議会報告

2012年2月定例会 岡本和也議員

日本共産党を代表して、議発第6号「抜本的な衆議院制度改革を求める意見書」(案)に反対の立場で討論を行ないます。
 民主党は、消費税導入に先立ち、自ら「身を切る」という口実で、衆院比例定数の80削減法案を準備しています。
 民主党単独でも提出するという策動は各党の反発を招き、各党協議が再開されました。しかし、民主党はあくまで「1票の格差」是正を理由にした小選挙区の「0増5減」案などとともに「同時決着」させる事に固執しています。
 選挙制度をどうするかは議会制民主主義の根幹にかかわる大問題です。国民の意思を議席に正しく反映する抜本的な選挙制度こそ求められています。
 衆議院の選挙制度は今でも大政党に圧倒的に有利な小選挙区制が中心で、国民の意思が正しく議席に反映していません。全国11ブロックで180が定数の比例定数を80議席削減すれば、たとえ300小選挙区から5議席削減しても、比例代表と小選挙区の比率は約2対3が1対3まで拡大します。得票が議席に正しく反映する比例代表の比重が下がり、1選挙区で1議席を選ぶため大政党に有利で「死に票」も多い小選挙区の比重が高くなれば、投票と議席のゆがみがいっそう拡大し、民意の反映がさらに妨げられるのは明らかです。
 現在の小選挙区中心の選挙制度では民意がゆがめられ、問題が多いというのは、全党が参加している衆院選挙制度各党協議会でも共通の認識となっています。
 例えば、この間の様々な発言を紹介すると。自民党の細田博之衆院議員も1月26日の代表質問で「小選挙区制は議席の多い二つの党に有利になる」と指摘しました。3月4日のNHK日曜討論では、「今の選挙制度は問題があるとずっと言ってきた」(たちあがれ日本・園田博之幹事長)、「今の小選挙区制度を前提とした制度はだめだ」(みんなの党・山内(こういち)康一国対委員長)、「1票の格差の問題、定数削減、選挙制度の問題を三位一体で解決しようといっている」(公明党・漆原良夫国対委員長)などの発言からも判断できます。
 また、民意をゆがめる小選挙区制が、今日の政治不信、政治の劣化に大きく影響しています。
 その事を裏付ける報道がされました。読売新聞の昨年11月25日付の世論調査では、日本の政治が「悪くなっている」が76%、国民が選挙で投じた「1票」が現実の政治に「反映していない」との回答は81%にも達しています。同様の結果は、内閣府がおこなった「社会意識に関する調査」でも、国の施策に民意が反映されているかとの問いに、78・7%の人が「あまり反映されていない」または「ほとんど反映されていない」と答えています。
 当時、小選挙区制導入の先頭にたった政治家からも反省の弁が語られています。
 その中身を紹介すると。河野洋平元自民党総裁は、「今日の状況を見ると、それが正しかったか忸怩(じくじ)たるものがある。政治劣化の一因もそこにあるのではないか。政党の堕落、政治家の資質の劣化が制度によって起きたのでは」(「朝日」昨年11月8日付)。又、細川(もりひろ)護煕元首相は「小選挙区制度により、総選挙の結果が一方の政党に偏り過ぎる傾向があります。落ち着いた政治にならないといけない」(「朝日」昨年9月19日付)、また細川・河野会談に立ち会った森(よしろう)喜朗元首相は「政治の劣化をもたらす要因は、いろいろとあると思いますが、根本的には小選挙区制に原因があると思っています」 (「自由民主」昨年11月22日付)」と語っています。
 この様に問題の多い小選挙区制の仕組みは変えず、比例定数削減を持ち出すのは、民意が反映した選挙制度を求めるこうした声にも反するものです。今求められるのは、各党協議会でも共通の認識となっている民意を反映した選挙制度への改革です。定数削減で無駄を削減すると言うのであれば国会議員457名分に相当する政党助成金320億円を廃止すべきです。
 以上申し上げてきた事を考えた場合、今回提出されている意見書案は、「民意を反映する」という今日求められる選挙制度改革の最も肝心な小選挙区制の問題点の根本に触れていません。その小選挙区制のもとで、財界いいなりの政治が横行し、コメ輸入自由化や「三位一体改革」など一次産業と地方を切り捨ててきた政治が進められてきた事実を無視したものです。さらに財界本位の国づくり、地方切捨てをいっそうすすめる道州制や国民合意にもなっていない憲法改定にも言及するなど、国民、県民の願いや各党協議会の合意にもとづく選挙制度改革に混乱と障害をもたらすものであり認める事は出来ません。よってこの意見書に反対するものです。私たち日本共産党は、衆院の選挙制度について、民意を乱暴にゆがめる小選挙区制をただちに廃止し、全国11のブロック別比例代表で選出できるその事を提案し、また、各党との協議の中で、かつての中選挙区制にもどすことについても検討に値すると考えていることも申し上げ、反対討論を終わります。