議会報告

  • 2012年10月09日
    「米軍機「オスプレイ」の国内配備・運用の撤回を求める意見書(案)」「安全確保策の合意を無視したオスプレイの本県通過に抗議し、安全確保を求める決議(案)」に対する賛成討論

2012.9月定例会 中根佐知 議員

私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっています議発第14号、米軍機「オスプレイ」の国内配備・運用の撤回を求める意見書、ならびに、議発第16号「安全確保策の合意を無視したオスプレイの本県通過に抗議し、安全確保を求める決議」に賛成の立場で討論を行います。
 
政府は「安全宣言」なるものを発表し、米軍は、岩国基地に陸揚げしたオスプレイ12機の試験飛行を行い、ついに10月6日、沖縄普天間基地にすべての機体を配備しました。今後これを運用しようとしていますが、これは、全国各地の自治体・住民の願いを踏みにじる暴挙です。断じて認めることはできません。

この間、8月には四国4県議会正副議長会議がオスプレイの飛行訓練に関する緊急アピールを出し、国に「安全性や事故原因、飛行訓練による周辺住民への影響等について、責任を持って関係自治体に詳細に説明するとともに、国民の生命・安全の確保に全力を尽くすこと」を求めています。にもかかわらず、9月24日には、オスプレイ配備説明のために防衛省中国四国防衛局が高知県を訪れましたが、日米間で合意した文書にある地域住民への配慮や安全という言葉の形式的繰り返しに終始しました。県幹部とともに同席した嶺北地域の4副首長は「安全」「配慮」への見解はあまりにも大きく食い違うと、今後もオスプレイを含む、住民の安全を脅かす訓練の中止を連携して訴えるとの姿勢を確認しています。高知県も、尾崎知事名で「米軍機飛行訓練中止の要請について」の文書を防衛大臣に宛てて手渡しました。 続く9月27日には四国57町村の首長と議長が集まる四国四県町村長・議長大会が松山で開かれ、「オスプレイの低空飛行訓練を実施させないこと。飛行の安全性について国民の理解が十分得られないまま飛行訓練の本格運用を実施しないことを米国に強く申し入れること。」を記した「米軍機MV-22オスプレイの低空飛行訓練の中止について」との緊急決議を満場一致で採択をしています。

沖縄県では、9月9日、本土復帰後最大規模10万1千人の県民大会が開かれ、オスプレイの配備計画撤回、米軍普天間基地の閉鎖・撤去を求めていますし、世論調査でも7割の国民が配備反対を表明し、自治体、住民ぐるみの運動が強まっています。高知県においても、防災ヘリやドクターヘリの活動への危険と不安も強まる中で、嶺北4町村長がオスプレイの配備と低空飛行訓練中止を政府とアメリカに要請したことを始め、市町村議会での意見書決議の採択や県民運動が広がっています。

墜落事故が懸念され、配備に反対する住民の声に押され、日米両政府は9月19日、オスプレイ配備を前に運用ルールである「安全確保策」に合意しました。この内容は、「基地周辺では可能な限り学校や病院など人口密集地の上空を避け、移動の際は可能な限り水上を飛行する。」運航上、危険性が高いとされる「ヘリモード飛行は米軍施設の上空に限定する。」「低空飛行訓練の最低高度を150メートルに限定。」「普天間での夜間飛行回数を従来のヘリコプターの回数並みに制限する」などですが、合意から数日後、岩国では住宅地上空を飛行、配備先の沖縄では市街地上空を複数のオスプレイがヘリモードで飛行しています。合意した途端に守られないルールとは何でしょうか。

こうした中、10月1日と6日、岩国基地を飛び立ち沖縄に向かったオスプレイが、四万十市など県西部を遠回りして飛行したことが明らかになりました。

10月6日の県西部を飛行したオスプレイの下では、多くの住民が騒音と目視できる高さでの飛行に不安や怒りを募らせました。

1日に飛行したオスプレイの飛行ルートについて、6日になって答えた防衛省は、「米軍は岩国から普天間へのオスプレイ飛行計画を国土交通省に提出し、航空管制に従ったルートを飛行した。米軍の特別ルートではない」としていますが、これからの本格訓練が始まれば海上を飛行する配慮すらせず、県西部の居住区域上空がその移動ルートとして含まれる可能性が高まっています。

オスプレイの日本への配備・運用は、沖縄県民だけの問題ではなく、私たち高知県民の問題でもあります。移動は、配備・運用する上で一体のものであり、運用ルールが適用されるのは当然です。国土交通省が定める航空管制下の通常の飛行ルートだからという言い逃れは認めることはできません。航空管制下の飛行ルートを選んだとしても、オレンジルートを許さない県と県民への挑戦です。これに、今抗議しないことは、規定ルート化を認めることになります。

規定ルート化をゆるさず、県民の命と安全を守る使命を果たすために、国に向かってしっかりと声を上げるべき時が今ではありませんか。

私たちは、強い抗議の意志を表明するもので、今議会に決議案も提出をいたしました。

事実誤認など、全くありません。いかに危険かをしっかりと認識すべきです。

4月モロッコ、6月フロリダ、二つの墜落事故についての米軍の報告も政府の「安全宣言」も人為的ミスとしているものの、浮き彫りになったことはわずかな追い風や先行機からの乱気流の影響で操縦不能になり墜落すること、ちょっとした操縦ミスでも重大事故を起こす危険な飛行機であると言うことです。

また、オスプレイの構造的欠陥を指摘してきた、元国防分析研究所【IDA】の主任分析官のリボロ氏は、1996年ごろから、操縦士が編隊飛行をした時に操縦不能の揺れを起こすと報告していたことに気づき問題を提起しました。近接飛行する飛行機の後方乱気流に巻き込まれて制御不能に陥る危険性が高いことをオスプレイの六大欠陥の一つにあげました。ところが、この点を試験・評価する計画は強い圧力により2002年に放棄されています。オスプレイの後方乱気流の重大性は過小評価されたとリボロ氏は指摘をしています。エンジンが機体の左右にある構造自体がこの不安定性の原因だといいます。 また、オスプレイのプロペラが止まったとき自動的に体勢を立て直すというオートローテーション機能についても、構造的な欠陥が明らかになっているのです。機能は保持しているといいますが、その機能を発揮できる飛行条件は、オスプレイが通常飛行する高度の二倍の高さで、速度も二倍の速さが前提になっています。危険なため、シミュレーションでの訓練しかできず、このような実際にありえない設定で機能があるとしており、これでは全く使えません。ないに等しいのです。9月19日に発表された日米合同委員会の議事録でも、日本政府代表の「オスプレイが既存の場周経路からオートローテーションによって安全に普天間飛行場へ帰還する能力を有することを確認したい」との問いに、米政府代表は「必要となる極めて想定し難い事態において、パイロットは飛行場内に安全に帰還するためのあらゆる措置をとる。」と答え、体よく確認を拒否しています。

日米合同委員会でまとめた運用ルールも、すぐに破られ、住民の不安を払拭し安全を保証するどころか、安全とは程遠い行為が続いています。アメリカでは、住民の声が反映されオスプレイの訓練の先送りや撤回が相次いでいます。日本という主権国家で、在日米軍の特権を許さず、国民、高知県民の命と安全を守ることを第一に、オスプレイの国内配備・運用を撤回するよう国に求めようではありませんか。

県民が安全で安心して暮らせる高知県であるためにも、県議会として今こそ声をあげることは責務だと考えます。議員各位のご賛同を心からお願いして討論を終わります。