議会報告

  • 2012年12月18日
    談合問題、南海地震対策、生活保護行政、自殺予防対策、中山間地対策

2012年12月定例会 一般質問 米田稔議員

質問項目

  1. 談合問題
  2. 南海地震対策
  3. 生活保護行政
  4. 自殺対策
  5. 中山間地対策
  6. 第二問

1.談合問題

■米田議員

私は、日本共産党の立場から以下質問を行います。

まず談合問題について知事にお伺いをいたします。

県は国土交通省と県の発注工事をめぐる談合で、「法令遵守を確立するため厳正に処分する」として県内建設業者37社に6~14月の指名停止処分を行いました。談合は、独占禁止法に違反する明確な犯罪であり、当然法令や要綱等に基づいてきびしく対処されなければ成りません。

全国知事会が2006年12月に「都道府県の公共調達改革に関する指針(緊急報告)」を示しています。当時、官製談合事件も含め摘発が相次いだ中で、地方行政に対する国民の信頼を著しく損なうものである、として官製談合の防止策と入札制度改革を検討、まとめたものです。談合は事実上税金の詐取であり、云うまでもなく犯罪である、とのべ内部通報制度の整備やペナルティの強化などを提起しています。そこでは、入札談合にかかる違法・不正行為を行った場合には、少なくとも12月以上、内容によってはそれ以上の入札参加停止とするべきである、また、談合等の不正行為をした者は、地方自治法施行令により2年間入札に参加させないことができるが、これを3年間に延長することも国に要望すべきである、違約金特約の額を契約額の20%以上とする等の厳しい措置を講ずるべきである、また談合を根絶するためには、建設業界の古くからの談合体質も一掃されなければならない、などと指摘、提起をしています。知事はこの指針にどう対応してきたのか、また今日改めてどう受け止められるのかご所見を伺います。

この11月に違反業者に対する指名停止処分の短縮等を求める請願が提出されていますがこれに関わってお伺いします。同様の事件があった山梨県では、昨年11月指名停止措置の軽減を行いました。これに対して山梨学院大法学部長の日高昭夫教授は、経済に影響が生じているのなら、選択肢としては期間短縮もあり得るだろう。しかし今回の措置は談合の再発防止という面では何の担保も得ていない。また県民が納得できるように丁寧な説明をする必要がある、と述べています。また多くの談合事件を手がけている大川隆司弁護士は、ルールはルールとして貫くべき。前例をつくってしまうと制度自体が形骸化する恐れがある。経済面で影響が出ているとしても、救済策は罰則とは別に考えて措置するべきではないか。特定の業界だけ例外扱いされるのはおかしい。談合をしても罰則は緩和されるという意識が業者側に出てしまうことは、再発防止面から見て非常に危険だ。と語っています。また、建設業者の廃業や倒産は公共事業削減による全国的な傾向で、この地域に限った話ではない、とする帝国データバンク甲府支店長の指摘や、まともに仕事をしている我々から見れば軽減の判断は全く理解できない、との他の業界の経営者の声なども紹介されています。

一方同様の事件があった石川県では、昨年10月基準通り厳正に処分すべき、と51社12月などの指名停止措置を執りその後も処分の変更を行っていません。ただし、除雪や自然災害などの復旧工事は、県民のためにも配慮すべきで例外的に発注する、また地域経済への影響については、犯した行為とは別の観点で議論する必要がある、としています。

業界、業者にコンプライアンスの確立を求めるわけですから、当然行政当局がコンプライアンス確立の立場を貫くことが求められることはいうまでもありません。こうした他県の対応状況をどのように受け止められるのか、また影響が予想される地域経済や雇用確保などへの救済策、支援策を進めるうえでも県として両県の調査などを行ったらどうかと考えますが、知事の見解をお聞きします。

■知事

米田議員のご質問にお答えをいたします。

まず、談合問題について、全国知事会の「都道府県の公共調達改革に関する指針」にどう対応してきたのか、また今日改めてどう受け止めるのかとのお尋ねがございました。

平成18年12月の全国知事会議で了承されたこの指針に盛り込まれている対策につきましては、各県の実情に応じて対応されております。

本県におきましても、本県の公共工事や建設業者の状況など、入札制度を取り巻く環境を踏まえて、これまで順次取り組んできているところであります。

例えば、官製談合の防止に関しましては、入札事務に関与する職員への研修を毎年行っておりますし、県政改革アクションプランにおきまして、公益通報制度など意思決定に対するチェック機能の強化や決裁権限のある上司が下した判断に対して法令遵守等の観点からの異議を申し立てることができる仕組みづくりなども行っております。

また、入札制度の改革に関しましては、一般競争入札や総合評価方式の拡大、電子入札の導入、情報公開の推進のほか、賠償金の割合の引き上げなどペナルティの強化も実施してきております。

現在、今般の独占禁止法違反の事案を受け、高知県談合防止対策検討委員会で、談合防止対策についてご議論をいただいておりますが、全国知事会の指針の内容やそれを踏まえた他県の現状もお示しし、入札制度やペナルティのあり方などについてご議論をいただいております。

先日、それらの対策の中間取りまとめについて最終的なご議論をいただき、近日中に報告書をいただけることになっています。

この中間取りまとめを踏まえまして、県としての談合防止対策の骨子をお示しし、議会でのご議論をいただくとともに、談合防止対策検討委員会で、さらにご議論をいただいた上で、具体的な対策につなげてまいりたいと考えております。

次に、山梨県や石川県の対応状況をどのように受け止めるのか、また両県の調査を行ってはどうかとのお尋ねがございました。

山梨県や石川県の対応につきましては、それぞれ地域における経済や雇用への影響なども含め、総合的に判断された結果だと受け止めております。

県では、昨年独占禁止法違反が認定された両県を含め、他県の対応状況等についての状況収集を行っており、地域経済や雇用確保のための支援策なども参考にしてまいりたいと考えております。

■米田議員

 次に、談合認定業者に働く人々の雇用や、関連する下請け業者などへの影響を可能な限り軽減していくためにどのような具体的対策を検討、実施しようとしているのか土木部長に伺います。

先の議会企画建設委員会では、この年末からのボーナスの削減、従業員の解雇もやむを得ない、とする企業もあるとの話が請願者からありました。しかし9月から始まったばかりの指名停止措置に乗じるかのような、安易なリストラ、合理化は避けなければなりません。まず法を犯した役員自ら手当の返上や、形成してきた個人財産の処分などで事業継続に最善を尽くすべきと考えます。現時点での談合37業者のこうした動きについて県はどのように把握しているのか土木部長にお聞きします。また今回の独禁法違反について、個々の談合業者での役員等の処分なり解任なりの対応をした所はあるのか、併せてお伺いします。

今回談合を認定されたのは、土木一式A等級26の内21業者ですが、B等級217の内14業者、C等級は1業者のみで、多くの業者の皆さんがコンプライアンス確立に取り組み、建設業としての責任を果たされているのであります。ここに技術力などの課題があると思いますが、当面の必要な公共事業が基本的に支障なく推進できる条件があるのではないかと考える所であります。

一定の障害、困難があっても今年度、そして来年度の新たな事業が推進できるように、また公共投資予算を確保し南海地震対策の推進、必要な公共事業の確保を図り地域経済を支えるために、現在どのような対策を実施し、今後どう強化していくのか、土木部長にお伺いします。

■土木部長

今般、談合が認定された事業者における雇用や下請け業者への影響の軽減策についてのお尋ねがありました。

今回の指名停止措置にあたっては、指名停止に伴う県経済全体への影響を少しでも緩和する観点から、県工事の発注に関しましては、今年度発注を予定している事業につきましては、入札手続きが保留となっていた工事の再入札など、一部遅延するものもございますが、それ以外は計画どおり実施することとしておりますし、当初県内の建設業者での施工を予定していたものについては、引き続き、県内の建設業者に発注することとしております。

また、県経済に及び得る間接的な影響も勘案し、県の制度融資の融資枠の確保や関係機関との連携のもとに相談体制の強化などを図っております。

いずれにしましても、やはり県経済・雇用の面を考えましても、コンプライアンスの確立が何よりも優先されなければならないと考えております。

次に、談合が認定された37者の指名停止に伴う動きと役員などの処分の状況についてのお尋ねがございました。

先月、県発注工事で独占禁止法違反が認定された21者から聞き取り調査を行いましたが、その後、改めて、今般違反が認定された37者に対し、雇用等の状況についての調査を行いました。

その結果は、全体としては、当面の間の影響は限定的であるものの、手持ち工事が年度内で終了する事業者が多く、手持ち工事の終了後は資金繰りが悪化し、給与の削減や解雇などの雇用の調整を考えざるを得ないとの回答が多くございました。

一方、役員等の処分につきましては、高知県建設業協会の調査によると、12月17日現在で、37者中30者から回答が得られ、そのうち、役員の解任や降格を行ったのは約4割、また、役員報酬を減額したのは約5割と聞いています。

今後もこうした業界の動きについて、情報収集に努めて参ります。

次に、本年、及び来年度の新たな事業が推進できるように、現在どのような対策を実施し、今後どう強化していくかとのお尋ねがございました。

先ほども申し上げましたが、本年度に発注を予定しております事業につきましては、一部遅延するものもありますが、計画どおり実施することとしております。

また、当初県内の建設業者での施行を予定していたものは、引き続き、県内の建設業者へ発注することとしております。しかしながら、土木一式工事のA等級の事業者の多くが指名停止措置を受けた結果、A等級の事業者を入札参加対象の中心とする案件において競争性の確保が必要となります。

このことから、共同企業体の要件の特例を定め、土木一式工事の一般競争入札のうち、発注予定額が1億円以上の案件については、B等級の事業者同士により構成された特定建設工事共同企業体が入札に参加できることとするなど、競争性を高めるよう入札参加資格要件を設定することとしております。

今後も、こうした取り組みによりまして、競争性を確保し、公正な入札を行えるよう対策を講じてまいりますとともに、遅れているインフラ整備はもとより、南海トラフ巨大地震対策を推進するための予算の確保にも努めて参ります。

■米田議員

談合は建設業界の古くからの体質、と云われているところであり、宣言や行動憲章、また改善計画書の制定、システムの確立等が、直ちにコンプライアンスが確立した言えるものではありません。議会企画建設委員会審査の中で、招請された建設業協会の役員の方は、最後に、自らの努力についても述べましたが、県にも談合ができない仕組みを検討してほしい事を要請する、との発言に全委員が驚きました。また今回の談合では、会長始め常任理事以上の協会役員20人中7人が、そして全役員40人中13人が談合業者と認定されました。これはまさに業界、協会ぐるみそのものではないか、内部調査も実施し、自浄作用の発揮こそ問われているとの指摘に、改善計画書等制定後に内部調査の実施について検討する、と答えられました。これではコンプライアンス確立をめざす真剣な取り組み、確立を保障する取り組みと言えるものではありません。

県の事業者からの聞き取りにおいて、電話連絡等で受注希望を確認、希望者多数の場合は建設会館に集まっていた、話し合いで調整がつかない場合第三者に入ってもらい決定した、等の業者の意見は、業界、協会ぐるみであったのではないか、容易に推測できるのであります。また業界の慣習で、業界内で生きていく上で参加せざるをえなかった、流れの中で、談合に参加してはいけないとの強い意思表示ができなかったなどの業者の意見は、業界内の弱肉強食の姿、根深い談合体質の一部を示していると思うのであります。同時に談合認定工事52件をみますと、例えば代表とその関連企業がJVも含め12件もの県工事を受注しており、その他の特定の協会役員企業も同じように4件、あるいは5件などと落札しているのが実際です。県の聞き取りで、談合の理由、背景に、業界の共存共栄のため、と言う意見がありましたが実態は大きな強い企業、特定の企業の受注確保、利益の確保が第一ではありませんか。

こうした実態を踏まえた業界自らの真摯な反省と、その検証がなければ体質そのものを変えることにはなりません。また「建設業界の古くからの談合体質」と全国知事会も指摘しているように、一通りの改善計画書作成などで体質が一掃できるほど容易でないことは明らかであります。

そこで知事は、コンプライアンスの確立をどういう基準で判断するのか、また協会も含めた業界の古い体質が一掃されたという判断をどのようにされるのか、伺います。

次に企業献金に関わる問題です。高知民報に続いて11月30日付け地元高知新聞が県内特定政党に、談合30業者が4年間で8731万円、系列企業含めると1,2億円超える献金がされていることを政治資金規正報告書に基づいて明らかにしました。さきほどの全国知事会の文書でも、談合は事実上税金の詐取、と指摘しており、結局談合業者からの献金は詐取した税金の一部ということに成るではありませんか。しかもいま談合業者従業員の賃金引き下げやボーナスカット、解雇、そして事業自体の存続を危ぶむ、という真っ只中です。またそのことを危惧するとする請願がわざわざ県議会に提出しなければならないような状況の中で、献金を行いまたそれを受け取っている、少なくとも社会的道義に反する行為であると言わざるを得ず、県民の不信と怒りが広がっています。今年度も献金が行われているとの話も伝わってきています。

知事は、こうした実態をどう受け止められますか、また少なくとも談合認定業者に対して、そして公共事業受注業者に対しても献金自粛を呼びかけるべきではないでしょうか、御所見を伺います。

■知事

次に、コンプライアンスの確立をどういう基準で判断するのか、また、協会も含めた業界の古い体質が一掃されたという判断をどうするのか、とのお尋ねがありました。併せてお答えを致します。

まず、独占禁止法違反が認定された事業者においては、今般の事案を真摯に反省し、コンプライアンスを徹底することを宣言するとともに、コンプライアンスの確立に向けた基本方針に基づく具体的な取り組みが確実に実践されはじめていることが確認できている必要があります。

また、高知県建設業協会が、先月14日に提出した改善計画書の骨子が、具体的で実効性のある改善計画書として策定され、それに基づく取り組みが確実に実践されはじめていることが確認できる必要があります。

そして、それが建設業協会全体のコンプライアンスの確立に向けた動きとして、県民の皆様に見えている必要があります。

他方、県としましては、今回の違反行為の背景や原因などを把握・分析した上で、それを踏まえた入札制度の見直しなどの具体的な談合防止対策が県民の皆様にお示しできている必要があります。

このように、事業者、事業者団体及び発注者それぞれのコンプライアンスの確立に向けて取り組む姿勢が県民の皆様の目に見えるようになり、建設業界が再び独占禁止法違反で疑いを持たれることがないとの安心感を持っていただけるような状況になることが重要だと考えております。

次に、企業献金の自粛を求めることについて、お尋ねがございました。

企業献金についての報道は承知しておりますが、いずれにしましても、企業献金を含む政治活動に関する寄附については、政治資金規正法において、量的・質的な制限が規定されており、これらの制限の範囲内であれば、政治活動に関する寄附も含めた政治資金の拠出について、国民の自発的意志を抑制することのないように、適切に運用されなければならないとされております。

この規定の趣旨を踏まえ、寄附を行う側、受ける側の双方において、適切に対応していくべきものと考えております。

2.南海地震対策

■米田議員

次に、南海地震対策についてお伺いします。

まず南海地震による長期浸水対策についてでありますが、県は、2010年度、東日本大震災以前から先駆的に検討を始めており今年度が最終年度となっています。約2800ヘクタールという広大な浸水範囲、そして少なくとも約13万人に上る被災者が想定され、生活、産業、交通などが集積する県都の機能が失われかねない深刻な課題であり、国等もふくめ総力を挙げた対策が急がれます。

止水、排水、住民避難、医療、衛生、廃棄物、それぞれの対策を総合的に検討されていますが、止水対策についてです。河川・海岸堤防の高さは一定確保できているとしていますが、現在耐震化・耐水化対策はほんの一部のみしかできていません。今後の対策の基礎的な資料になる、本年度高知市で実施している耐震点検結果はどうか、またそれを踏まえた止水対策の基本的な考え方、今後の具体的な方針について土木部長にお聞きします。

排水対策ですが、排水ポンプ車20台、1日24時間稼働で6つのエリアどこも最大2ヶ月の浸水継続、対策優先エリア2カ所を設定し優先排水すればそれぞれ約11日と22日で排水可能、と予測。同時に、排水ポンプ車に比べて10倍以上の機能を持つ多くの既存の排水施設が稼働できれば、飛躍的な排水期間の短縮を図れる可能性がある、としています。対策を促進することが必要と考えますが、県、市それぞれの排水機場数と耐震化、耐水化対策の現状、想定される事業費、事業計画について土木部長に伺います。

住民避難対策についてですが、長期浸水区域内に取り残されるとされる13万人の避難についてどう検討がされているのか、危機管理部長にお聞きします。

次に長期浸水地域の課題とするかどうかは別にしても、地震火災、津波火災についての検討、対策が必要ではないでしょうか。

東日本大震災では、総務省消防庁によれば287件の火災が起こり、ろうそくやボイラー、復電などによる地震火災とともに、津波浸水範囲で130件から160件の津波火災が起こったと云われています。気仙沼市では、10万平方メートルが焼け鎮火までに12日かかっている、また避難した学校で一階、あるいは二階が浸水し漂着したがれきや自動車が燃え校舎に延焼する直前に消火、また奇跡的に2度逃げができ難を逃れたなどの体験が語られています。この9月のNHKクローズアップ現代 津波火災 知られざる脅威 のテレビ報道はまさに衝撃的でした。津波がせき止められた高台のふもとに火災が集中、がれきや自動車をせき止める頑丈な建物が危険、津波避難ビルがかえって危険と指摘する専門家、などなどでした。

津波火災も含めた火災対策を調査、検討すべきと思いますが危機管理部長の見解を伺います。

長期浸水対策の検討が最終年度を迎えているのでありますが、今後どう実施していくのかスケジュールも含めてお伺いします。また被害の概要、対策の全体像、県や高知市、事業所、県民の役割など県民にわかりやすく、住民参加が促進されるようなパンフレットを作成し広く知らせることが必要と考えますが、今後のすすめ方について危機管理部長にお聞きします。

■土木部長

次に、南海地震対策に関し、浦戸湾内の河川・海岸堤防の止水対策に関するお尋ねがありました。

浦戸湾に流入する河川の堤防の耐震点検は、国分川、鏡川、舟入川など14河川で、また海岸堤防では26箇所で、地質調査と耐震性についてのシミュレーション解析を実施しており、最終的な点検結果の取りまとめは、来年度末になる予定でございます。

次に、止水対策の基本的な考え方は、背後地の重要度が高い箇所から、現有機能を損なわないための既設堤防の液状化対策などを実施し、避難時間を確保することとしています。

このような考え方のもと、河川堤防では、昭和南海地震の際、長期浸水の被害を受けたエリアを防御するよう国分川右岸や鏡川左岸などを重点区間として位置づけ、他の河川に先行して調査を行い、現在、液状化対策を実施しています。

これらの河川の対策に引き続いて、鏡川右岸や舟入川左岸などの対策を進めていく予定でございます。

また、海岸堤防については、これまでの調査により、液状化対策が必要となった箇所のうち、鏡川と一連区間となる若松町地区に本年度、事業着手いたしました。その他の地区においても、今後、補完調査を行いながら、必要な箇所について、順次対策を進めてまいります。

次に、県、市それぞれの排水機場の数と耐震化、耐水化対策の現状、想定される事業費、事業計画についてお尋ねがありました。

高知市の長期浸水エリアには、県が管理する排水機場が8箇所、高知市が管理する排水機場が74箇所、合わせて82箇所あります。

このうち、耐震化対策については、県が5箇所、高知市が2箇所完了しています。

機械室などの防水機能を高める耐水化対策は、今年度から県の排水機場4箇所で事業着手し、高知市では1箇所で調査に着手しています。

今後想定される事業費については、県が管理している排水機場で10億円程度を見込んでおり、今後5年を目途に完了するよう耐震化・耐水化対策を進めて行きます。

他方、高知市においては排水機場対策を計画的に進めていくため、事業計画を検討中と聞いており、今後、高知市と議論を深めながら、県市が連携して一体的な対策が講じられるよう取り組んで参ります。

■危機管理部長

南海地震対策に関しまして、まず、高知市の長期浸水区域における住民避難対策の検討状況について、お尋ねがございました。

住民避難対策については、「南海地震長期浸水対策検討会」の下に、「救助・救出」とそして「住民避難」の二つのワーキンググループを設け、長期浸水によって取り残される住民の皆様をどのような方法で安全に浸水区域外へと救助するのか、また、浸水区域内の自宅や津波避難ビルにとどまらざるを得なくなった場合にどのような問題が生じるのかといったことについて具体的に検討を進めてきております。

こうした検討の中で、浸水区域から住民の皆様を救助する際には、高齢者、入院患者や在宅療養患者、小学校・保育園の児童など、特に早い段階での救助を必要とする方々約2万人を、およそ三日以内に優先的に救助することを目標とし、そのために必要となる約200艇のボート確保に向けて、警察や消防などの応急救助機関への追加配備を進めていくほか、民間事業者の保有するボートを提供いただくといったことについても協議を進めております。

また、入院患者のうちボートでの救助が困難な方については、病院内に留まるための医薬品や食料の支援が必要になるといった課題も明らかになってきております。

一方、在宅避難者を含め、浸水区域内のどこにどれだけの避難者が残されているかといったことや、救助や物資の提供をどうやって行うかなどの課題もあります。

さらに浸水区域から救助された方々を受け入れる避難所が必要となりますが、高知市の避難所は不足することが明らかであることから、周辺市町村を含めた広域的な調整を行わなければなりませんので、今後明らかにする新想定での被害予測も踏まえ、引き続き検討することとしております。本年度内には、こうした検討結果や課題をとりまとめ、高知市や関係機関と連携しながら、順次対策を進めてまいります。

次に、津波火災も含めた火災対策を調査、検討すべきではないか、とのお尋ねがございました。

東日本大震災においては、津波火災が発生し、その上浸水やガレキにより、消防隊の消火活動が困難であったために、大規模な火災となった事例がございました。

本県においても、南海地震が発生した場合、地震火災に加え、津波火災の発生が懸念されるところであります。

こうした地震や津波による出火や火災の拡大を防ぐためには、先ずは各家庭で、揺れが納まったら電気のブレーカーを落とし避難するといった火災の発生を防ぐ対策や、出火した場合には、安全を確保したうえで、近所や自主防災組織で協力し、初期消火を行って頂くということが有効であると考えております。

また、東日本大震災では、LPガスのボンベが市街地火災の一因として確認されておりますが、この件につきましては、本県では、これまでガス事業者により地震の際にガスの供給を自動的に止める装置の設置や、ボンベの転倒・流出を防止する取り組みが、先進的に行われているところでございます。

一方、津波による火災の拡大を招く要因となる石油タンクなどへの対策も必要となりますが、県では、農業用・漁業用タンクにつきましては、昨年度から実態把握のための調査を行い、今年度からはタンクの転倒や流出防止対策などの具体的な検討を行っております。

また、高知市のタナスカなどにあります大規模な石油やガスのタンクにつきましては、今後、有識者による検討会を設置し、効果的な防災対策の在り方や、発災時の応急対策に関する検討を行うことも必要だと考えています。

ただ、津波火災につきましては、現時点では、出火要因の詳細が明確にされておらず、また、浸水地域で火災が発生した場合の効果的な消火方法なども確立されていないのが実情であります。現在、消防庁の消防研究センターでは、地震・津波火災を防ぐための、技術的な方策の検討や出火要因の究明に取り組んでおりますので、それらの結果を踏まえ、今後の対策の充実に繋げていきたいと考えております。

次に、長期浸水対策を今後どう実施していくのか、また、対策への県民参加を促進するためのパンフレットの作成などについてお尋ねがございました。

長期浸水対策については、先ほど申し上げた救助救出、住民避難のほか、止水・排水、衛生、医療、廃棄物、燃料の7つの分野で、発災時に想定される課題を整理し、それらの対策の検討結果を本年度内に取りまとめることとしております。

取りまとめるにあたりましては、それぞれの対策ごとに目標期間を設けるとともに、県と高知市、また国や関係機関がそれぞれが責任をもって担っていく役割を明確にしてまいります。

例えば、先ほど土木部長の答弁にもありましたが、県が管理する排水ポンプ場の耐震・耐水化を、今後5年を目途に完了するよう進めてまいりますほか、ガレキなど災害廃棄物の処理につきましては、県が年度内に新想定に基づく発生量を予測し、それを受けて高知市が複数の仮置き場の候補地を選定することとしております。

また、長期浸水対策への住民の皆様への広報に関しましては、地震に伴う停電や断水に加え、浸水により衛生環境が悪化する中で、先ほども申しましたように、救助が行われるまで浸水区域内に留まらざるを得ない場合が想定されますことから、少なくとも3日分の飲料水や食料の備蓄を各家庭で行って頂くことや、長期浸水によって引き起こされる様々な状況をお伝えしておくことは、住民の皆様の事前の備えにつなげていくうえで重要なポイントであると考えております。このため、お話のあった長期浸水対策に関するパンフレットの作成についても、高知市と協議してみたいと思います。

■米田議員

 津波から避難するための避難路の確保にとって重要なブロック塀等の安全対策についてです。県としてもこの耐震対策事業に取り組み努力もされ、私たちにも住民の方から強い要望や期待が寄せられています。しかし所有者本人はもとより、周辺の方も何とかしなければ避難に支障を来す、と思っても当事者が高齢や所得によって自力で対応できないケースが数多くあります。これらに対応するために県が今年から始めた耐震対策への支援ですが、現在実施をしているのは18市町村にとどまっているとお聞きしていますが、コンクリートブロック塀耐震対策事業の取り組み状況と、全市町村実施への支援について土木部長にお聞きします。

また、この事業が進まない要因として地域の津波避難路としての指定待ちがある、との話がありますが、この指定避難路沿い、という要件を改善することが必要だと考えます。

県が実施している木造住宅等の耐震化助成も、地域指定や予想される震度分布による棲み分け等をしているわけではなく、揺れによる倒壊から命と財産を守るということで個々の耐震基準を要件にしているのであります。コンクリートブロック塀耐震対策事業も、地域の津波避難計画、マスタープランによる指定避難路に面している事を要件にするのではなく、所有者含め住民一人ひとりの多様な避難経路を確保することが重要です。南海地震の特別委員会で訪問、調査した静岡県沼津市では、ブロック塀等耐震改修促進事業が取り組まれていますが、倒壊または転倒のおそれのある、ことのみを要件に撤去または防災上安全な塀への造り替え、改善に補助しており、なおかつ津波避難路沿いの場合に補助率を2分の1から4分の3に引き上げています。こうしたとりくみも参考に改善を図るべきだと思いますが土木部長の見解をお聞きします。

■土木部長

次に、コンクリートブロック塀耐震対策事業について、その取り組み状況と全市町村実施への支援、また、静岡県沼津市の取り組みも参考に改善を図るべきだとのお尋ねがありました。関連いたしますので、併せてお答えいたします。

コンクリートブロック塀耐震対策事業については、今年度から、市町村が定める地域防災計画、耐震改修促進計画、津波避難計画に位置づけられた緊急輸送道路や避難路の沿道にある、危険性の高いコンクリートブロック塀を撤去するなどの安全対策を行う所有者を対象として、市町村と協力して補助を行っております。

補助額については、コンクリートブロック塀の撤去と簡易なフェンスなどの設置に要する費用を1mあたり2万円と想定し、住宅が避難路などに面する長さが10m程度であれば、ほぼ自己負担がゼロとなる、1件あたり20万円を上限としております。

現在の取組状況については、県内14市町から139件の補助申請が出されており、既に22件ほどの工事が完了したとの報告を受けております。

避難路の安全性を確保するため、事業のスピードアップを図るとともに、県内全ての市町村で実施されるように、まずは、取り組みが十分でない市町村に対して、補助制度の策定に向けた要請を行って参りたいと考えております。

沼津市の取り組みは、避難路の沿道でなくても、倒壊または転倒の危険性のあるコンクリートブロック塀を補助の対象としているとお聞きしていますが、補助制度の改善については、まずは、優先すべき緊急輸送道路や避難路の安全性の確保を目的として、本事業を開始したばかりであり、今後の状況を見極めて判断したいと考えております。

■米田議員

次に家具の転倒防止の促進についてであります。9月議会でも岡本議員がお伺いしましたが、まず津波から早く逃げることを保障する大前提であると共に、強い揺れから死傷者を大きく減少できる取り組みであります。最悪の場合、巨大津波と強震動が襲うことが想定されている高知県にとっては、とりわけ喫緊の課題といえます。

県として要綱未制定の14市町村への支援強化と、各自治体の福祉部門との連携など取り組みを強めています。大工、左官などの団体やシルバー人材センターなどに取り付け作業を委託、連携してすすめている自治体もあるとお聞きしています。この事業を抜本的に推進することは、県民一人ひとりの防災意識の向上に大きく貢献することになりますし、災害時要援護者対策の推進と地域との連携強化にもつながっていくと考えます。そのために補助制度の拡充、民生委員等との協力、取り付け業者等との連携、県民・対象者へのPRなどが必要ではないでしょうか。さきほど紹介した沼津市では、対象を高齢者のみの世帯、障害者世帯だけではなく、要介護・要支援の認定を受けている人、母子世帯も対象とし、対象家具4品まで、タンス・本棚・冷蔵庫・食器棚などの金具代(8千円)と作業賃(8150円)合計16150円ですが無料となっています。5品目から有料です。委託を同市の建築工業組合に行い様々な広報もしています。

そこで県の家具転倒防止についての目標と現状、補助制度の拡充、推進体制などについて、危機管理部長にお伺いします。

■危機管理部長

次に、家具転倒防止の目標と現状などについて、お尋ねがございました。

地震による強い揺れから身を守り、津波から避難するために、家具の転倒防止対策はまず取り組まなければならない対策であり、現在の行動計画においても平成26年度末の達成目標を90%に設定をして取り組んできております。

しかしながら、実施率を見ると、本年度の県民世論調査では、家具転倒の危険性を63%の方が認識しているものの、対策を実施している方は20%にとどまっています。

対策が進んでいない理由としては、家具転倒防止の必要性を、住民の方々一人一人が実際にやってみようという意識レベルまで浸透させることができていないこと、これはある意味、我々行政の方の責任の部分もあります。また、対策費用がわかりにくいことなどが考えられます。

このため、来月にはテレビやラジオで家庭における地震への備えについての呼びかけを行いますほか、2月には県の広報紙で南海地震対策の特集を組み、室内安全対策の啓発を重点的に進めていく予定としております。

また、家具転倒防止の重要性や、それに要するおおよその費用をわかりやすく示したリーフレットを作成し、ホームセンターや家具の販売店などにご協力いただき、来店者にお配りするなどといった広報に努めてまいります。

あわせて、市町村に対しましては、引き続き補助制度の導入を要請してまいりますとともに、福祉部署とも連携して、補助の対象である高齢者や障害者世帯などへの制度の周知に取り組んで参ります。

こうした取り組みを通じて、家具転倒防止対策の一層の推進に努めますとともに、対策の進捗度合いを確認し、必要があれば、お話のあった他県の事例も参考としながら、補助制度の拡充などについて、市町村とともに検討してまいります。

■米田議員

 次に改良住宅を含む県、市町村の公営住宅の耐震化についてであります。81年以前の建築物だけでみると耐震性を有しているのは約6割にしかすぎません。耐震基準を満たしていない約900棟、2600戸の耐震化、整備が急がれますが、特に財源確保も含めて市町村への支援をどう強めていくのか、今後の公営住宅の耐震化計画について土木部長に伺います。

 平成24年度県民世論調査の中間報告が発表されています。

 南海地震対策について、自主防災活動に積極的、あるいは時々参加している、との回答は27%、あまり参加していないと、今後は参加したい、が33%、自主防災組織がない、あるいはわからない、が33%となっています。 また地震防災訓練の参加については、訓練がなかった、またあったかわからない、が45%と一番多くなっています。

先月、高知市主催の津波避難困難地域における防災懇談会が開かれ、私も何カ所か参加しましたがどこも会場いっぱいで、避難タワー、避難ビルの早急な整備、学校や保育園の耐震化、放送設備の改善、こどもの防災教育などを求める声が活発に出されていました。県民世論調査にも表れていますが、一定の改善は見られるものの自主防災組織の100%組織化と住民参加、県民へのわかりやすい広報、啓発の促進が求められています。

そこで市町村と連携しての備えちょき隊派遣の強化、拡大のための体制の充実が必要と思いますが、これまでの実績と今後の取り組みについて危機管理部長にお伺いします。

また来年度作成予定の南海地震に備えちょきの再改訂版をわかりやすく実践的なマニュアル式にすることや起震車の購入などによる防災意識を高める啓発を強めるとともに、いくつかの自治体や地域で取り組んでいる地盤高の表示板を市町村、自主防災組織などと協力、連携して設置をしていくことが必要ではないか。絶えず県民に見えるようにすることは、防災の意識付け、防災意識の向上に効果的ではないかと考えますが、今後の取り組みについて危機管理部長にお聞きします。

■土木部長

次に、県、市町村の公営住宅の耐震化計画についてお尋ねがありました。

市町村の公営住宅については、市町村が平成23年度末の調査では907棟、2604戸が耐震基準を満たしておりません。

これらの住宅については、市町村が平成21年度に作成した公営住宅等長寿命化計画に基づいて、建て替えや用途廃止を進めているところであり、県といたしましては、市町村が国の社会資本整備総合交付金等を十分活用できるよう、支援してまいりたいと考えております。

■危機管理部長

次に、市町村と連携しての「備えちょき隊」派遣の強化、拡大のための体制の充実について、お尋ねがございました。 南海地震の被害を最小限に抑えるためには、自助に加えて、地域ぐるみで備える共助の果たす役割が極めて大きく、その担い手となる自主防災組織の設立や、活動の活性化が重要であります。

そのため、これまでにもマスメディアを用いた広報をはじめ、様々な啓発活動に取り組んで参りました。特に、昨年、県内全世帯に配布しました啓発冊子「南海地震に備えちょき」では、自主防災組織の設立や活動の必要性を強く押し出した内容に改訂しております。

また、本年4月に発足させた「備えちょき隊」を、地域からの要請に基づいて、県内各地へこれまでに60回派遣しており、学習会などへ参加した県民の皆様は、約3500人となっております。

昨年度の同様の取り組み実績がございまして、派遣回数49回、参加者数約2,300人であったことからも、県民の皆様の防災に関する意識が高まってきていると感じております。

しかしながら、防災意識の高まりはあっても、自主防災組織の設立が進まない、あるいは組織そのものが設立されていても活動が十分に行われていない地域が少なくない、ということを大きな課題と受け止めております。

そのため、こういった課題を持つ地域に対しましては、地域からの要請を待つことなく、市町村と連携して積極的に働きかけ、「備えちょき隊」を派遣して学習会や訓練参加などの具体的な活動が行われるよう取り組んでいきたいと考えております。

また、こうした地域の防災活動をサポートする人材の充実にむけ、訓練の指導ノウハウを持ち、「備えちょき隊」のメンバーとして活動することができる防災士を養成を促進する、そういった取り組みについて現在検討しておるところでございます。

最後に、地盤高の表示の設置について、お尋ねがありました。

津波浸水の恐れのある沿岸地域で、地盤の高さを示す表示板を設置することにより、県民の皆様に日常生活の中で防災・減災を意識していただくことや、いざという時の避難行動に結びつくものと考えております。

市町村が行う地盤高表示板の設置費用は、みんなで備える防災総合補助金の対象としており、市町村の地震津波対策が本格化する中で、本年度の整備予定数は昨年度に比べ2.5倍の約1,000枚となっております。

また、本年10月には、地盤高や避難路の表示を県民の皆様から見て分かりやすいものとするために、県と市町村で組織する「南海地震対策等に関する市町村課題検討会」において、JIS規格も参考にしながら標準的なデザインを定めましたので、今後はこれらを活用しながらできるだけ統一的な表示として設置が進んでいきますよう取り組んでまいります。

3.生活保護行政

■米田議員

次に生活保護制度についてでありますが、いま213万人を超える国民の命と暮らしを支えています。しかし、政府は大手マスコミも一体となって生保バッシングを強めながら制度の見直し、保護基準の引き下げなどをすすめようとしています。最大の目的は、保護費の抑制、公費の削減であり、憲法25条の棚上げ、社会保障の国の責任放棄であると言わなければなりません。現在また今後の受給者の問題にとどまらず、最賃制、住民税非課税、就学援助制度など圧倒的な国民に直接影響を及ぼすものであり、また社会保障全体の切り捨てにつながるもので許せるものではありません。

生活保護法は、第1条「憲法25条に規定する理念にもとづき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の度合いに応じて必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的」とし、第2条「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等にうけることができる」と定めているのであります。しかし、先進諸国の中で日本の生活保護利用率、受給率はとても低いのが実態であります。そして捕捉率、生活に困窮している人、受けることが必要な人で利用できている人の割合は、ドイツ65%、イギリス90%、フランス91%に対し日本はわずか15~20%と云われています。まさに膨大な漏給、受ける資格があるのに受給できていない、ここにこそ大きな問題があるのであります。岡田副総理が「生活保護は、窓口であきらめたり窓口を訪ねないなど、本来受け取るべき人が受け取っていないことでかろうじてなりたっている」と発言しています。法も人権も顧みない姿勢は全く許せるものではありませんが、漏給、の実態を認めているのであります。また大友信勝中部学院大教授も「生活保護の最大の問題は不正受給ではなく、貧困層の一部しか救えていない点。一連の報道で、困窮した人が制度を利用しづらくなるのが心配だ」と話しています。(7月6日付け朝日新聞)政策的に漏給を生み出す、「恥意識」を植え付けるような情報提供や親族の扶養義務の強化、門前払いや、強権的な打ち切りなどは直ちに止めるべきであります。

知事は、漏給の実態をどう認識し、どのように解決を図るのか決意と対策を伺います。

■知事

次に、生活保護の漏給に対する認識と対策などについてお尋ねがありました。

生活保護は、国民生活の最後のセーフティネットであり、「保護の必要な方が、保護を受けられない」ということがあってはなりませんので、その制度の適切な運用に努めているところであります。

お話にありました、生活保護を申請すれば受給が可能な人のうち実際に受給している人の割合、いわゆる「捕捉率」について、厚生労働省は、申請されない限りは保有資産などを把握することができないことから、正確な推計は困難であるとしています。

そのため、それに代わるものとして、生活保護基準未満の低所得世帯のうち保護を受けている世帯数の推計を公表しておりますが、推計に用いるデータによって、その数値は大きく異なっており、その評価も困難としています。

ただ、どの推計によりましても、生活保護を受けずに、保護基準未満の収入で生活されている世帯がございますため、県といたしましては、民生委員・児童委員やライフライン事業者などの皆様のご協力もいただきながら、保護が必要な方が、適切な保護を受けられるよう、引き続き、制度の適正な運用に取り組んで参ります。

現在、国において、生活困窮者などへの「生活支援戦略」が検討されており、その中で、経済的に困っておられる方などを早期に把握して、必要な支援につなぐ総合相談窓口の設置などが議論されています。

この「生活支援戦略」の検討には、全国知事会をはじめ地方3団体も参加し、現場の実態が反映されるよう要請もしており、県としましては、こうした動きを注視してまいりたいと考えています。

■米田議員

県内のある福祉事務所が生活保護法第61条に基づく収入の申告についての確認書、そして調査の同意書、2通の提出を求めすべての保護利用世帯に郵送などをしています。

法第61条は、収入、支出など生計や世帯構成に変動や異動があったときはすみやかに届け出をしなければならない、とするものです。この確認書には7項目あります。高校生など未成年の収入も申告義務がある、などと一応説明していますが、不実の申告があった場合全額徴収される、不正の意思がなくても重なれば「不実の申告」と判断される場合がある、世帯主が知らない家族の収入も申告がない場合全額徴収される、などの項目を確認させしかも18歳以上全員のサインと捺印を求めています。

これはある意味、事情はともかく申告がなければ徴収しますよ、自署して確認してますね、と対応できる材料にもなり、極めて配慮に欠ける強権的なやりかたではないでしょうか。法第61条の理解、徹底をはかるのなら高齢者などにもわかるようなチラシを送付し、十分説明すればよいのではありませんか。

しかも法的にも問題だと思いますが、7項目の一番したに「以上のことにつきまして、○○福祉事務所○係○○より説明を受け、理解しました。」の一文が添えられています。 全被保護者に説明したのか、郵送では絶対それはありえません。電話なりで問い合わせした方はいると思いますが明らかに虚偽なり、公文書と言えないのではありませんか。それぞれ地域福祉部長に御所見をお聞きします。

もう一つの「調査の同意書」は、家族の分も含め資産、収入につき銀行や勤め先などに福祉事務所が問い合わせ、報告を求めることに同意する、というものです。

一番の問題は、世帯主本人はもちろん家族の勤め先にまで問い合わせをすることであります。もらってくる給与明細等で十分ではありませんか。本人の収入申告を信頼する行政と被保護者との信頼関係を大事にすることが求められます。勤め先まで調査することは、当事者の人権、プライバシーを守るためにもすべきではありません。また仮に同意書があっても慎重に実施することは当然ですし、少なくとも事前に説明し本人の承諾を得ることが必要ではないでしょうか。地域福祉部長に見解を伺います。

私も何人かの方から相談を頂き、内容を検討し一緒に対応しましたが、ある方はこれでやっと安心して寝ることができる、と話をしていました。

 いま、意図的とも言える生活保護制度に対する冷たい風潮もある中で、必死に暮らす生活保護世帯に様々な心労を与えていることも事実であり、憲法と生活保護法に基づく権利保障が自治体に強く求められていると思うのであります。 当該福祉事務所に対し実情を把握し必要な助言、指導をすべきではありませんか。また他の自治体でも同様のことがないか実態を把握するとともに適切な助言、指導が必要ではないか、地域福祉部長の見解をお聞きします。

■地域福祉部長

まず、生活保護行政について、県内のある福祉事務所が提出を求めた確認書と同意書の取り扱いについての見解と対応、また、他の福祉事務所の実態把握についてお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えします。

「生活保護法第61条に基づく収入申告についての確認書」は、本年7月の国からの通知に基づき、不正受給を未然に防ぐことを目的として、保護受給世帯に収入申告の必要性と義務を説明したうえで、提出していただこうとするものです。

お話のありました福祉事務所に確認したところ、確認書の内容について十分な説明をしないまま、郵送のみで提出を求めたということでしたので、収入申告義務について十分な説明をし、理解を得たうえで提出を求めるよう指導したところです。

収入や資産などに関する調査の同意書につきましては、原則として、保護申請時に提出を求め、その後においては、年金の受給資格調査など、必要な場合は提出を求めています。

また、お話にありました勤務先への問い合わせにつきましては、個人情報の保護の観点からも配慮が必要ですので、収入申告に疑義があるなど、真にやむを得ない場合に限って行うべきものと考えています。

他の福祉事務所の取り扱いを確認しましたところ、確認書につきましては、ケースワーカーが訪問の際に収入申告義務について口頭で丁寧に説明し、相手方の理解を得たうえで提出を求めています。

また、同意書につきましては、保護受給中の世帯に一律に提出を求めている事例はございませんでした。

いずれにいたしましても、今回の福祉事務所の取り扱いは適切さを欠くものであり、当該福祉事務所を指導するとともに、他の各福祉事務所には、改めて適切な取り扱いを周知してまいります。

4.自殺予防対策

■米田議員

つぎに自殺予防対策について地域福祉部長にお伺いします。

1998年から14年続けて毎年3万人を超える方が自殺をされています。毎日平均80人位の人が亡くなり続け、自死家族も300万人を超え、国民40人に1人がその関係者ということになっています。自殺率は、アメリカの2倍、イギリスやイタリアの3倍、40~60代の男性が全体の4割を占める、20代、30代の自殺率は20年前の1,5倍で死因第1位が自殺、20代の1割が「過去一年に本気で自殺を考えたことがある」、80歳以上の自殺率は28%、自殺率の国際比較は、男7位、女2位などが特徴で、自殺は国民的リスクを抱えた社会問題、と云われています。知事も県の自殺対策行動計画のはじめのあいさつで、自殺は、その背景に倒産や失業、多重債務等の経済的な問題など様々な社会的要因があることから、個人的な問題としてとらえるべきものではなく、社会全体で取り組まなければならない喫緊の課題です、と述べています。

県はこの間、こうした基本的な立場で自殺死亡率全国8位という高水準の実状を踏まえ 県民、関係団体、NPOなどと連携、協力して自殺対策行動計画を進めてこられています。まずこの間の取り組みの総括、検証について地域福祉部長にお聞きします。なお県の行動計画の名称は、自殺予防あるいは自殺防止等に改正すべきと思います。

ここ数年前より、政府内閣府自殺対策推進室が「地域における自殺の基礎資料」をまとめ、公表しています。都道府県レベルとともにすべての市町村別自殺者数内訳を、性別、年齢別、同居人の有無、原因・動機別、自殺未遂歴の有無など詳しく分析、公表しています。これらも活用して、県レベル、そして各市町村ごとの特徴等を分析し、自殺予防、自殺防止の県、各市町村ごとの取り組みを強化すべきと思いますが、地域福祉部長の見解を伺います。秋田県ではピーク時の自殺者より4割減少、東京都足立区では2割減少などの結果が出ていますが、実態の根拠となるデータを元に、自分たちの地域ではどういう人たちが追い詰められ亡くなっているのかを分析して、そうした方々が抱え込みやすい問題解決に必要な機関が連携してアプローチをしてきた、とのことであります。足立区では、失業した男性の自殺者が多いという実態を踏まえ、失業、生活苦、多重債務、うつ病などの問題につながりやすいと、ハローワーク、福祉事務所、弁護士、保健師が一カ所に集まってワンストップの対応、総合的な対応をする場「雇用・生活・こころと法律の相談会」を、失業者がアプローチしやすいハローワークなどで開催、実施しているのであります。

つぎに増加している若い人たちの自殺を防止するために、WHOが提唱するライフスキル教育が必要と考えます。借金を背負った場合の解決策、不当な労働条件を押しつけられたときの対応、死にたいといった衝動に取り付かれてしまったときの対処法など、実社会で直面するかもしれないリスクや問題に対する解決の手段と相談先を学校にいるうちに、子どもたちに伝えることが大事です。そういうことを学ばないまま社会に出て、例えば上司から不当な扱いをされて、それが不当かどうかも分からない状態になってしまっているのではないでしょうか。また就職後の早期離職の防止対策にもつながると思いますが、ライフスキル教育についての見解、また高知県での実施状況と今後の対応について教育長のご見解を伺います。

次に、県広報紙さんさん高知12月号にも大きく紹介されていますが、高知いのちの電話や関係するNPO団体など相談窓口、駆け込み寺を当事者や若い人を含めた県民にわかりやすく、広く広報する取り組みの工夫、強化を求めるものですが、地域福祉部長の見解を伺います。

■地域福祉部長

次に、自殺対策行動計画の取り組みの総括と検証について、お尋ねがありました。

平成21年4月に策定しました高知県自殺対策行動計画は、平成28年までの8年間を計画期間としており、今年度は、策定後4年目となっています。

この間、平成22年2月に日本一の健康長寿県構想を策定し、自殺・うつ病対策を重点施策として位置づけ、PDCAサイクルによる検証を通じて、バージョンアップをしてまいりました。

この計画による具体的な取り組みとして、①いのちの電話の24時間化に向けた支援や、②自殺予防情報センターとひきこもり地域支援センターの設置による専門的な相談支援の強化、③傾聴ボランティアや高齢者心のケアサポーターなど、悩みをかかえる人の身近で相談を受けることのできるボランティアの養成、④うつ病の早期発見・早期治療の仕組みづくりとして、かかりつけ医の対応力向上研修、かかりつけ医から精神科医への紹介システムの構築、などに取り組んでまいりました。その結果、いのちの電話の相談対応は、年末年始も休まない365日体制となり、毎月10日は24時間のフリーダイヤルを実施しています。

また、うつ病の可能性のある人をかかりつけ医から専門医へ紹介するシステム「G-Pネットこうち」を、本年度中に、高知市から中央及び高幡の2つの医療圏域に拡大することとしているなど、関係機関と連携した自殺・うつ病対策を着実に進めているところです。

こうした取り組みなどによって、自殺者数は平成22年に13年ぶりに200人を下回る197人となり、23年も196人、今年は11月末で昨年同時期よりも10人少なく、減少傾向にありますが、議員のお話にありますとおり、自殺死亡率が全国8位と厳しい状況にあることを踏まえまして、平成25年度には、行動計画を見直し、さらに取り組みの充実・強化を図ってまいりたいと考えています。

次に、内閣府が公表しているデータを活用した取り組みについて、お尋ねがありました。

自殺の状況に関するデータにつきましては、平成21年は都道府県ごと、平成22年からは市町村ごとに、自殺者数、年齢階級、性別、原因・動機、同居人、自殺未遂歴などの詳細について、内閣府から公表されています。

本県は、人口規模の小さい市町村が多く、市町村単位でのデータ分析が難しいため、内閣府が公表したデータを、県において福祉保健所ごとにわかりやすく整理して、平成23年から福祉保健所を通じて市町村に提供しています。

県では、これまでの市町村への個別の支援に加えて、平成24年度から、福祉保健所が中心となり、地域の関係機関が連携した支援が行えるようネットワーク会議を開催しており、その際にも分析したデータを活用して、管内の市町村の自殺対策の取り組みを支援しているところです。

データ活用の具体例としましては、①高齢者よりも働き盛りの男性の自殺が多いことが明らかになった中山間地域の事例、②女性の高齢者の自殺が多い地域において、睡眠と自殺との関連について検討を始めた事例、など、市町村と福祉保健所が課題を共有し、地域の特性に応じた取り組みを始めています。

県としましては、今後も、市町村の実情に応じたきめ細やかな対策が一層強化されますよう、適切なデータ分析と情報提供を行ってまいりたいと考えています。

■教育長

ライフスキル教育の実施状況と今後の対応について、お尋ねがありました。

世界保健機関いわゆるWHOが提唱するライフスキルには、対人関係、問題解決、意思決定などの10項目の能力が挙げられています。これらはメンタルヘルスの観点から提唱された対応的な能力でございます。

メンタルヘルスへの対応的な能力は、現在、学校教育の保健体育、道徳教育、人権教育などの中で育成に努めています。また、子どもたちが学校教育の中で学んできた、これらの力を十分に活用できるようにするため、土台となるキャリア教育を進めていき、「生きる力」につなげていきたいと考えています。

具体的には、子どもたちの各発達の段階において、学校の教育活動と、目的をより焦点化した消費者教育や労働者の権利を学ぶといった活動を、今まで以上に外部人材を活用するなど工夫して行う事で、社会人として基盤となる力をつけていくことが必要であると考えます。

今後も県教育委員会としましては、効果的なメンタルヘルスへの対応とキャリア教育を推進することで、子どもたちが社会の厳しい変化に流されることなく、それぞれが直面するであろう様々な課題に柔軟かつたくましく対応し、社会人として自立していくことができるよう努めてまいります。

■地域福祉部長

最後に、高知いのちの電話やNPO団体などの相談窓口や駆け込み寺を当事者や若い人を含めた県民にわかりやすく、広く広報することについてお尋ねがありました。

県では、自殺を考えるほど深い悩みや心配事を抱える方に、自殺予防情報センターやいのちの電話などの相談窓口を知っていただくため、これまで、テレビ・ラジオでのCMをはじめ、新聞広告や「さんSUN高知」、啓発グッズの配布など、さまざまな方法を通じた広報活動を行ってまいりました。

こうした取り組みの結果、自殺予防情報センターへの相談件数は、平成21年度の513件から平成23年度には716件に、また、いのちの電話への相談件数は、平成21年の6,498件から平成23年には約1.6倍の10,043件となり大幅に増加しています。

自殺は、悩みや心配事を一人で抱え込まず、他の人に相談することにより、多くの方が思いとどまると言われています。

今後もさらに、若い人を含めた県民の皆様に広く相談窓口を周知するため、コンビニエンスストアや大型ショッピングセンターなどに相談窓口を記載したカードを配置していただくなど、広報の充実に努め、深刻な悩みや心配ごとのある方が、適切な相談機関につながるよう取り組んでまいります。

5.中山間地域対策

■米田議員

中山間地域の振興に関して中山間対策・運輸担当理事に伺います。

県としても、住み続けられる中山間づくりに大いなる努力が図られているところです。

私たちも、その取り組みを積極的に進めるべきだと考えて、8月に日本で唯一設置されている島根県立中山間地域研究センターを視察してきました。そこで、本県のアドバイザーに着任されている研究企画監の島根県立大学連携大学院藤山浩教授のお話も伺ってきました。大変示唆に富んだお話で、是非本県でも取り組みを進めるべきと考え、以下何点か伺います。

島根県が中山間地域の振興のため重要視したのは、現状認識と課題解決の方向を、住民、行政が共有し、積極的に市町村、地域住民が地域振興に取り組む土台を創るという点でした。

その認識を一致させるため、全県中山間地域の基礎的なコミュニティ、公民館区など227エリアの分析を行った地域比較カルテを作成し、何が課題でどのような手立てをとれば集落の維持、発展が可能なのかを市町村住民に示し、県庁内でも横断的にその情報を共有することに力点を置いているということでした。

本県でも、集落実態調査を行いそれに近いものを作成していますが、残念ながら展望を示すものにはなり得ていないように思います。

同時に高知県が今年度から取り組んでいる集落活動センターについては、きわめて注目され、高い評価を述べておられました。しかし本山町や土佐町など積極的な推進を図っている自治体と他市町村では、取り組みに大きな温度差が感じられます。まず成功例を創ることが急がれるのは当然ですが、市町村や住民に意欲を持っていただける取り組みが最大のポイントとなります。

島根県ではこの地域比較カルテを用いて、たとえば、人口1000人で毎年2組の若い世帯が定住してくれれば、将来人口増になるとの試算を示し、努力の目標を明確化しています。

本県でも、地域住民の意欲がわく材料を示す施策が必要と考えますが、どのような取り組みを今後されるか伺います。

市町村、住民と情報や展望を一致させる取り組みは地道なものです。すぐに成功事例につながるものではありません。しかし、そこを飛び越え県が直接集落活動センターの設置を進めても継続が困難となります。地域産業振興監や地域支援企画員も多忙を極めています。まず、市町村長にその意欲を持っていただくことが喫緊の課題ともいえます。どのような取り組みを今後強化されるおつもりか伺います。

また、市町村から高い評価を得ている地域支援企画員を増員するつもりはないか、この点産業振興推進部長に伺いまして第一問といたします。

■中山間対策理事

集落活動センターの推進に関しまして、住民の意欲が湧く材料を示す施策が必要ではないか、また、市町村長に意欲を持ってもらうことが重要だが、どのような取り組みを強化するのかとのお尋ねがありました。関連いたしますので併せてお答えします。

集落活動センターの取り組みでは、住民の皆様と市町村が地域の課題や資源について共に考え、取り組みたいことやアイデアを話し合う中で、集落の将来のイメージや目指す姿を共有していくことが重要となってまいります。

現在、立ち上げに向けて取り組んでいる地域では、集落活動センターという仕組みを活用して、自分たちの思いを如何にして形にするかという話し合いが進んでいます。

県といたしましては、地域の皆様のこうした取り組みに対しまして、他の地域の取り組みや活用できる事業の紹介、研修会の開催やアドバイザーの派遣など行い、地域での機運の醸成を図っております。また、関係部局の職員で構成する支援チームをセンターごとに立ち上げまして取り組みの支援を行っておるところでございます。一方、市町村に対しましては、これまで様々な機会を通して集落活動センターの取り組みの主旨や支援策を検討してまいりました。先月からは改めて市町村長のところへお伺いし、市町村としての考え方や支援制度の在り方に関して意見交換を行うなど、取り組みへの理解を深めていただけるよう努めておるところでございます。

来年度に向けましては、今年度開所予定の6地区に加えまして、10を超える地区で準備が進んでおります。

むこう10年間で130カ所を目標に開設を目指しており、今後は、地域外からの積極的な人材導入による地域の担い手の確保と育成といったことや、地域でお金が回る仕組みづくりなどへの支援を強化してまいります。そうしたことで集落の活性化に向けての一歩を踏み出す動きを県内各地に広げてまいりたいというふうに考えております。

■産業振興推進部副部長

中山間地域対策に関連して、地域支援企画員の体制についてのお尋ねがありました。

地域支援企画員は、市町村や地域の皆様と一緒になって、地域の自立や活性化に向けた様々な取り組みのお手伝いなどをさせていただいております。

平成21年度からは、産業振興計画の推進のため新たに配置した地域産業振興監のもとで、地域アクションプランなどを通じて、地域の思いや夢を具体的な形にすることのお手伝いも行っております。

さらに、今年度からは、中山間地域における集落活動センターの立ち上げや運営等への支援を重点項目に位置づけ、市町村や地域の方々の取り組みを積極的に支援しております。

このように、地域支援企画員は、県の政策や地域のニーズに応じて柔軟に見直ししながら、市町村や地域の方々とともに活動をさしていただいておりますが、その活動が地域から評価をいただいているとのお話もいただき、大変ありがたいことだと思っております。

お尋ねがありました集落活動センターは、地域が主体となって、集落の維持、活性化を目指す取り組みですが、その活動内容は集落によって様々で多岐にわたりますので、地域支援企画員だけではなく県の関係課室や出先機関で構成するセンターごとの「支援チーム」を設置をし、まさに全庁あげて地域の実情に応じた支援を行っています。

さらに、集落活動センターの推進役となる「高知ふるさと応援隊」の導入を進めるとともに、配置された応援隊員とも連携してセンターの立ち上げや運営のサポートを行っておりますので、当面は、こうした現状の体制の中で、市町村や関係団体とも十分な連携を図りながら、地域の取り組みを支援してまいりたいと考えております。

6.第二問

■米田議員

それぞれの丁寧なご答弁ありがとうございました。第二問を行います。

一つは談合問題で、知事も担当部長もコンプライアンス確立を最優先してやる、と言われておりましたので、おおいにその立場を貫かれて頑張って頂きたいと思います。

それに関わってですね、仮にも山梨のように5,6月期間を短縮するとか、半分短縮するとかいうことになればですね、これは私は早いところで来年の1月18日には解除になるわけですよね。公共事業の発注期間は6月頃ですから、結局せっかく指名停止をしてペナルティを加えているわけですから、短縮すれば結局指名停止、処分そのものが事実上形骸化するという可能性があるのではないかと理解、解釈するわけですが、その点については知事はどう思われるのか。

もう一つは14日の談合防止検討委員会の方向性も更にこういうことを繰り返してはいけないということで指名停止の見直し強化の方向を基本的には打ち出しているわけですよね。仮にこれ、目の前のことで短縮するとなれば、新たな提言に逆行することになるわけですよね。ですから私はそういうことをやはりきちっとその精神、方向性を堅持した上で、今回の対応を貫くべきではないかと思うのですが、その点知事にお伺いを重ねてします。

それから献金問題ですけれども、確かに法的にはそうですけど、当分は影響ないという話も個々ありますけれども、従業員の手当まで削減せざるを得ない、救済を議会にまで公に求めている、とそういう企業が政治献金を行うということはこれは私たちはすべきではないし、県民だれも納得できない。ですから、この問題に限ってですよ、知事が業者の方と話しをしてそれは自粛したらどうですか、と優しく助言をするなり、そういう心配りをするなり、いうことが私は必要ではないか、と。一方では大変なそこまで来ている企業の方々が、いくら法に基づいているからといって献金をすることについて多くの方が不安を感じていますので、その二つの点をよろしくお願いします。

■知事

まず、今回の指名停止措置についてのお話でございますが、この問題について私自身も大変色々と多方面に渡って考慮いたしましたし、大変悩みました。本県において非常に経済的なウェイトの大きい業界での話でございます。それぞれの会社の特に従業員のみなさん、更には下請けの従業員のみなさん、この方々が今回の措置によって本当に厳しい思いをされるであろう。ということを考えますと、本当に今回の厳正な措置をとること、このこと自体について私自身も身を切られるような思いをしたところでございます。しかしながら、従前より申し上げておりますように、コンプライアンスの確立がなければ例えば国からの安定的な事業の受注は見込めないのでは、いや寧ろ大幅に削減されてしまうリスクさえあるのではないか、ということや、更には民民契約、更に今回もそういう事例はございましたけれども、JVを組成しても高知の業者と組成をすると、また何らかのことによってそのJVが一から振り出しに戻ってしまうということが起こってしまうのじゃないか、という懸念が残り続けて、結果として様々な形で経済的なダメージをはかりしれない形で受けてしまうのではないか、そういう恐れもあると、経済面をも、雇用の面をも考えてもやはり大事なことはコンプライアンスの確立、そしてこれについて県外のみなさんからも安心してもらえるような状況にまで至ること、これが大事ではないかとそのように思ったところでございます。

一時的に確かに痛みを伴う措置であると思いますし、そのことについては私自身も辛い決断をしたわけでございますけれども、しかし一時的なつらさを乗り越えてでも、本当の意味でコンプライアンスの確立をしなければ、その先に来るのは本当のいばらの道だということになりかねない、というわけでございます。ということでございますから、私はコンプライアンスの確立、ということについて早い段階から、またこの厳正な措置をとったこととあわせて、強く業界のみなさまの方々に要請をしてまいりましたし、またこれからもそのようにさせていただきたい、とそのように考えておるところです。

コンプライアンスの確立について、どういう状態になればコンプライアンスの確立がはかられたと言えるのか、ということについて申し上げれば、先ほど来答弁してきたとおりでございますが、やはり具体的な行程がしめされて、それに向けて具体的に歩み始めた、という状況がしっかり確認できる必要がある、とそのように思っておるところでございます。

委員会で提言を色々取りまとめて頂いておりますが、この委員会の提言において、また我々の方からもご議論もさせていただいたりもしておりますが、この委員会の検討、取りまとめについて言えば、非常に多角的な検討をしていただくことがこれもまた重要だろうと思っています。やはりこの談合がなぜ行われたのかという背景も分析して、それに対する対応をしていく、ということ、そういうことも必要だと思います。

また、従前の入札制度について脇の甘いところもあったのではないか、やはり行われにくい制度もつくっていくということを考えていく側面もあろうかと思います。

背景に鑑みてやはりもう一段、事業者のみなさんの経営体質を強化するような策を取るべきではないか、そういう方向もあろうかと思いますし、また、あわせまして行われにくい制度とするために例えば入札についてもう少し競争性を高めたり、更にはペナルティの問題はどうか、ということを考えるとか、そういうことも考えなければならないだろうと思ってます。非常に多角的な視点からご議論をいただいております。中間取りまとめもまもなくいただける予定でございますので、それをもとに我々としてもこう対処していただきたい、という骨子をお示しをさせていただいて、議会で先生方からおおいに多面的な面からのご指導・ご鞭撻を賜りたい、とそのように思っておるところです。

三番目、献金についてでありますが、私の立場から言わせて頂きますれば、政治資金規正法に従った適切な処理が必要である、とそういうことを申し上げさせていただくにとどめさせていただきたい、そのように考えております。

■米田議員

再度、ご答弁ありがとうございました。

知事も言われたように、固い決意、判断をされているわけで、本当に県民誰もがみても、繰り返される状況にはない、と分かるようなことはきちっと確立することは何よりも大事ですので、その点はしっかりと見極めていただきたいと思います。

また、生活保護問題では、漏給問題でも決意をもって対策をとっていく、と言われましたので、本当に県民の命と暮らしを守るために引き続き頑張って頂きたい。このことを要請して全ての質問を終わります。