議会報告

  • 2014年01月10日
    12月県議会 米田稔県議の代表質問と答弁(2013年12月11日)

質問テーマ

1、知事の政治姿勢

  ①社会保障制度改革の県民への影響

  ②介護保険行政について

  ③生活保護行政について

  ④原発問題について

  ⑤TPPについて

2、高知赤十字病院移転問題について

3、土電問題について

4、人権施策基本方針について

5、教育行政について

  ①学校給食について

  ②重度障害児の通学保障について

 

米田県議

 私は日本共産党を代表して以下質問をおこないます。
先の国会で、世論と憲法に逆らって、安倍自公政権が相次ぐ強行採決の中で秘密保護法を成立させた暴挙に、強く抗議するものであります。憲法の国民主権、基本的人権、平和主義をことごとく蹂躙する違憲立法であり、大きく広がっている平和と民主主義を求める国民的闘いと連帯して、悪法の撤廃・廃止、そして暴走政治ストップに向けて全力尽くすことを改めて表明しておきたいと思います。
 まず社会保障について知事にお伺いします。
 社会保障プログラム法が、与党により一方的に審議が打ち切られ採決が強行されました。
 本法律は昨年、税と社会保障の一体改革関連法案の審議最終盤、自民・公明・民主3党によって突然持ち出された社会保障制度改革推進法が根拠となっていますが、目標年次と方向性を列挙するだけの異例なものとなっています。
 プログラム法が異常なのは、政府の社会保障への責務を「自助・自立の環境整備」としてとくに打ち出したことです。法の大きな柱に「個人の自助努力を喚起させる仕組み」の導入を掲げ、医療では「個人の健康管理、疾病予防」「主体的な健康の維持増進への取組を奨励」などをうたい、介護では「介護予防等の自助努力」を促す仕組みの検討を唱えています。徹底した「自己責任論」で、「公助」「共助」の言葉さえ消えました。憲法25条「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」との規定から大きく逸脱した内容となっています。
 そのもとで検討されているのは、要支援者の介護保険外しや利用料の倍加、高齢者医療の窓口負担増、デフレ下での年金のマクロ経済スライド導入と支給開始年齢の引き上げも検討されるなど、改悪メニューが目白押しです。これまでも質問でもとりあげてきましたが、現在でも餓死や孤独死など痛ましい事件やお金がないために医者にかかれない深刻な実態があり、事態のいっそうの悪化が強く懸念されます。
 知事は昨年12月議会で、社会権について「社会国家の理想に基づき、特に社会的・経済的弱者の方々を保護することにより、社会における実質的な平等を実現するために保障されることとなった人権であると認識しておりまして、国民一人一人の固有の権利であり、基本的人権の中でも大きな意義を有する重要な権利」との認識を示し、社会保障制度改革については「必要な人に必要なサービス・給付が適切に行われるような社会保障制度を構築することが、すなわち国民の社会権の保障にもつながる」と、答弁しています。
 ◆具体的中身があきらかになった今、必要な人に必要なサービス・給付が適切に行われる内容となっているのか、県民への深刻な影響をどう認識しているのか、知事にお聞きします。

■知事
 米田議員の質問にお答えいたします。
 まず、現在、検討が進められている社会保障制度改革が、必要な人に必要なサービスや給付が適切に行われる内容となっているのか、県民への深刻な影響をどううけとめているのかとのお尋ねがありました。
 社会保障制度は、国民の一人一人が持つ固有の権利である基本的人権の中でも重要な位置を占めます社会権を、国の責任において確実に担保していくための根幹をなす制度だと認識しております。
 このため、現在、国が取り組みを進めております社会保障制度改革においても、人口の減少や高齢化などに伴う社会構造の変化を先取りし、適切な負担の下で、制度を必要とする人が、将来に亘って安心して利用できるよう、しっかりとした財源に裏打ちされた持続可能な社会保障制度の再構築をめざすこととされております。
 改革をすすめるにあたっては、給付の面において、制度を必要とする人に、サービスが確実に行き届く見直しとなることが求められているのはもちろんのこと、負担の面においては、その痛みを最小限に留めるために必要となる緩和策なども講じる必要があるものと考えております。
 今後は、社会保障制度改革の道筋を示します、いわゆる社会保障制度改革プログラム法に基づき、社会保障制度の全般に亘る改革進められることとなっており、現在、国において、個別の改正が進められることとなったおり、現在、国において、個別の改正法案の提出に向けて、詳細な検討が進められているものと承知しております。
 県といたしましても、今回の社会保障制度が、子どもから高齢者まで、全世代を対象に切れ目のない社会保障制度への転換を目指していく中で、制度の持続性と安定性を確保する側面と、国民の痛みを伴う側面のあるものとは認識知っておりますが、本県のような中山間地を数多く抱える地方の置かれた実情に、十分な配慮がなされたより良い制度となりますよう、全国知事会や国と地方の協議の場などを通じまして、しっかりとした意見を主張してまいりたいとそのように考えております。

米田県議
 次に社会保障制度改革の具体的な中身、高知県民への影響について伺います。
 まず介護保険、要支援者へのサービスの切捨てについてです。
厚生労働省は、当初、要支援サービスの全面廃止を検討していました。これは要支援サービスを、基準もなく、安上がりなボランティアまかせとなる現行の「介護予防・日常生活支援総合事業」の全面的実施をねらったものですが、同事業は今年3月時点で実施自治体は37とまったく機能していません。全面廃止の案に対し、「予防給付がなくなることで悪化がすすみかえって給付が増える」「受け皿がない」「自治体格差が広がる」など国民的な批判をうけ、厚生労働省は、予防訪問介護と予防通所介護のみを廃止とし、訪問看護など他のサービスは現状のまま予防給付に残す案に修正しています。しかし、要支援サービス利用者134万人余のうち予防訪問介護は59万5千人、予防通所介護は60万7千人にのぼり、修正してもその影響は極めて大きいといわなければなりません。
 予防訪問介護と予防通所介護が廃止されれば必要なサービスを受けられない事態が生まれ、在宅で生活できない事態が発生するのではないか。知事に認識を伺います。
 また、介護予防サービス費では、予防訪問介護と予防通所介護は、それぞれ23.1%、36.8%を占め6割にあたります。現状でも地方では事業所の経営がきびしく、事業所の撤退を防ぎサービスを提供するために、県単独で事業所に補助を出すなど努力しているところですが、予防訪問介護と予防通所介護が廃止となれば、頑張っている事業所も成り立たなくなり撤退があいつぎ、地域で住み続ける基盤が失われることが危惧されます。
 ◆地方の実情を無視した予防訪問介護と予防通所介護の廃止には、県として反対すべきではないか、御所見をお聞きします。

■知事
 介護保険制度における予防給付のうち訪問介護と通所介護を見直すことの影響と、その見直すことの影響と、その見直しについて反対すべきではないかとのお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えします。
 介護予防給付のうち、訪問・通所介護を市町村が実施する地域支援事業所に加えて、NPOなどによる新たなサービス提供を、利用者が選択することを可能に使用とするものでありまして、効果的かつ効率的なサービスの提供体制を整備するとともに、将来にわたって制度の持続可能性を高めていくための改革だと受け止めております。
 しかしながら、事業の実施主体となります県内市町村には、マンパワーや財政力などといった面で、厳しい状況に置かれている市町村もあります。このため、県といたしましては、来年度から、地域において必要となりますサービスの確保策について、全市町村を対象に、地域での取り組みを支援するためのアドバイザー派遣やセミナーを開催するなど、市町村の取り組みを積極的に支援していくことにしております。
 他方、国に対しましては、これまでも全国知事会などを通じまして、介護保険制度の見直しにあたって、市町村のサービス提供に格差が生じることのないよう強くうったえてきたこともあり、当初に予定されていた介護予防給の全面的な市町村業務への移行はは避けられたところであります。今後とも、見直しの具体化にあたっては、制度の運営に必要となる地方財政措置等を
含めて、地方の実情を十分に踏まえた制度設計となりますよう、引き続き、国に働きかけて参りたいと考えております。

米田議員
次に、生活保護行政についてでありますが、先の国会で保護が必要な人を保護から遠ざけ、憲法25条の生存権を空洞化するものとして多くの国民が反対する中で改悪法が強行されたことに、強く抗議を表明しておきたいと思います。
 改定内容は、申請者の困窮状態を証明する書類の添付が必須とされています。ですから、申請時に自分の困窮状態を証明するために添付する書類が一つでも欠けていれば、福祉事務所は申請を却下することができます。しかも、証明資料の不備で却下されたら、不服申立てを行う手段もありません
 政府は 「生活保護の運用は変えない」と繰り返し答弁していますが、だったら改定は必要ありません。改定するのは、生活保護からの締め出しを強化することにあることは明白です。改定には、親族の収入・資産などの調査を強化する規定がありますが、これを先取りする形で自治体が親族に調査書を送りつけている実態が11月7日の参院厚生労働委員会で、わが党の小池晃議員の追及で明らかになり、改定の危険性が一段と鮮明になっています。
 小池議員の取り上げた例では、生活保護を申請した男性の姉に“扶養を生活保護の前提にする”との文書と、姉の収入・資産を調査する用紙が送りつけられていたのです。給与明細、ローン返済予定表のコピー添付まで求められました。弟は姉に配慮して、保護申請をあきらめてしまいました。現在の生活保護法は、親族の扶養を生活保護受給の前提にしていません。明らかに違法行為です。この自治体は、民間会社の生活保護管理システムを利用し、民間会社が通知書や調査書を作成していますが、この企業を利用している自治体が全国519自治体にのぼっています。全国規模で、受給権の侵害が大規模に行われていたことになります。11月8日、厚生労働省は、調査書の「可及的速やかな改善」を全国の自治体に指示する事務連絡を発しました。
 ◆まず、県内でそうした「扶養を保護の前提」「要件」とするような文書が使われた事実はなかったのか、地域福祉部長にお聞きします。

■地域福祉部長
 次に、生活保護における扶養の取り扱いについてのお尋ねがありました。
 県内では、16の福祉事務所のうち6事務所で、扶養義務者に照会する依頼文書において、生活保護を受けるにあたっては、「民法に定められた扶養義務者の扶養を優先的に受けることが前提となっています。」という文面を使用していたとの報告を受けています。
 これは、議員のご指摘にありますように民間会社の生活保護管理システムに搭載されていた様式をそのまま使用していたことによるものであり、11月23日までに、県内の全ての福祉事務所において、生活保護法の趣旨に沿った文面に修正したことをかくにんしております。

米田議員
 現状でも、申請権が侵害をする例が後を絶ちません。その背景に政府の姿勢の問題があることは明白です。小池晃議員の調査で、扶養が保護の前提であるかのような調査書見本を2000年当時厚生省が作成し、全国の自治体に通知していたことが判明しています。さらに、連続して餓死者を出した「闇の北九州市方式」は、旧厚生省の天下り官僚が作成したもので、厚生労働省の監査では保護の適正実施に積極的 な自治体として高い評価を受けていました。そのような中で、法文がかわったのに運用は変わらないと政府が説明しても強い危惧を抱くのは当然ではないでしょうか。
 ◆知事は「必要な人が生活保護を受けられない実態があってはならない」と答弁していますが、今回の法改正によって申請権の侵害がひろがる危険があるのではないか。どう認識し対応するつもりかお聞きします。

■知事
 次に今回の法改正によって申請権の侵害がひろがる危険性があるのではないかとのお尋ねがありました。
 先週、成立をいたしました改正生活保護法は、就労による自立の促進、不正受給対策強化などと併せて、受給申請時の種類提出規定の新設や扶養義務者への調査権限の拡大などをその主な内容としております。
 国は、今回の法改正のうち、申請時の書類提出や扶養義務者への調査権限の拡大などは、法整備の上から明文化を図ったものであり、従来の取り扱いを変更するものではないとしています。
 併せて、書類提出規定には、提出できない特別の事情があるときは、提出を要しないことが明記されましたし、扶養義務者に報告を求めることについては、これまでの取り扱いにおいても、明らかに扶養が可能だと判断される場合に限って、行ってきたところであり、今後も同様に取り扱うこととされています。
 こうしたことから、今回の生活保護法の一部改正は、生活保護の申請権を抑制する趣旨のものとは捉えておりません。
 県といたしましては、保護を必要とされている方が保護を受けられないといったことがないよう、今後ともしっかりとした対応に努めてまいります。
 申請権をめぐり重要な判決がくだされました。10月31日、大阪地裁は、岸和田市福祉事務所長の行った生活保護却下処分を取り消し、岸和田市に対し慰謝料等の損害賠償として68万3709円の支払を命じる判決を下し、岸和田市が控訴を行わないことで地裁判決が確定しました。事案の内容は、派遣切りに遭って新たな仕事を探し続けても見つからず日々の食事にも困るようになった原告が、岸和田市福祉事務所に生活保護申請に赴いたところ門前払いをされ、その後も、5回も生活保護申請を却下され続けたことについて、岸和田市を被告として、却下処分の取消しと、精神的苦痛に対する慰謝料を求める行政訴訟でした。
 地裁判決の内容の要点は、概ね次の2点に集約されます。
第一は、水際作戦が断罪されたことです。確定判決は、まず、生活保護を実施する機関の義務として、福祉事務所に相談に訪れる者の中には、真に生活に困窮し、保護を必要としている者が当然に含まれており、そうした者の中には、受給要件や保護の開始申請の方法等につき正しい知識を有していないため、第三者の援助がなければ保護の開始申請ができない者も多いという現状を述べたうえ、保護の実施機関としては、このような者が保護の対象から漏れることのないよう、相談者の言動、健康状態に十分に注意を払い、必要に応じて相談者に対し適切な質問を行うことによって、保護の開始申請手続きを援助することが職務上求められているとしました。つまり改定生活保護法のもとでも、書類をそろっていないことを理由に申請を受け付けないことは、職務上許されないということです
 第二に「稼働能力活用要件」につき、いわゆる「真摯な」努力論と決別した点です。確定判決は、「稼働能力活用」の要件について、能力の有無だけでなく、年齢や健康状態、生活歴、学歴などを勘案し、困窮程度についても考慮すべきだと指摘。「就労の場所」についても、申し込みさえすれば原則として就労できる状態か否かを具体的に判断し、抽象的な有効求人倍率のみで判断すべきでないとしました。また、ここにいう「就労の場」とは申請者が一定程度の給与を一定期間継続して受けられる場をいうと判示している点も画期的な点です。
 ◆この判決の意義をどう受けてとめているか、知事にお聞きします。
この確定判決の内容は、生活保護の担当部署に徹底することは当然ですが、「必要な人が生活保護を受けられない実態があってはならない」ことを実現する、漏給を防止するためには、福祉に関係する職員や団体などで、広く認識を共有する必要があると思います。
 ◆県の福祉行政の中にどう生かしていくのか、合わせてお聞きします。

■知事
 次に、岸和田市福祉事務所の生活保護申請の却下処分に対する大阪地方裁判所の処分取り消し判決が確定したことについての受け止めと、県の福祉行政において、どう生かしていくかについてのお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えをいたします。
 今回の大阪地方裁判所の判決では、生活保護の実施機関が、働く能力の有無による就労可能性のみを根拠として、保護を開始しなかった行為について、単に稼働能力があるか否かではなく、稼働能力の程度を含めて申請者のおかれた個々の状況を総合的に勘案するべきだったとの判断が示され、生活保護申請の却下処分が取り消されております。このことは、保護を決定する際に、実施機関が年齢や有効求人倍率等といった数値のみを根拠として、機械的に処理するのではなく、より丁寧かつ慎重に総合的に判断を行ったうえで、処分を決定することを強く求められたと認識しております。
 保護が必要な方への保護を阻害するような、いわゆる「水際作戦」のような対応は、あってはならないことであり、各福祉事務所に対しましては、これまでも保護の申請意思が示された場合には、申請を受理するように指導をしてきたところであります。
 併せて、困って福祉事務所に相談に来られた方には、相談の内容を十分にくみ取り、適切な支援を心がけるよう指導もしてきております。
 今回の事案に見られましたような、単に稼働年齢層にあるという事実だけをもって判断を行い、保護の申請を却下するといったことにならないよう、今後とも、生活保護の適正な実施に努めてまいります。

米田県議
 次に、原発問題について知事にお伺いします。
 東京電力福島原発事故は、原発に対する国民の認識を大きく変え、「原発ゼロの日本」は多くの国民の切実な願いになっています。元首相の小泉純一郎さんも、核のゴミは処理できないのに原発を継続するのは無責任だ、と即時原発ゼロへと認識を大きく変えています。
 再稼働にむけた規制委員会の審査も始まっていますが、小泉元首相も指摘するように、処理できない、また具体的計画もないまま、これ以上核のゴミを増やし、未来の世代に押し付けることが許されるのか、という問題があります。困難を未来の世代に押し付ける大規模な「いじめ」とも言える行動は、倫理上の問題として吟味されなければなりません。
 ◆処理方法もないのに核のゴミを増やすことは未来の世代に対して無責任と思いますが、知事にお聞きします。

■知事
 次に、原発問題について一連のご質問にお答えをいたします。
 まず、処理方法もないの核のゴミを増やすことは、未来の世代に対して無責任ではないかとのお尋ねがありました。
 原子力発電に伴い発生する放射性廃棄物につきましては、その放射能レベルが十分低くなるまでには数万年を要することから、非常に長い期間にわたり安全性を確保する必要があり、原子力政策を考える上で、使用済み核燃料処分問題は、非常に重要であると考えています。
 現在、使用済み核燃料の処分に関して、国の総合資源エネルギー調査作業部会において審議をされておりまして、使用済み核燃料を再処理した後に発生する高レベル放射性廃棄物の採取処分場の立地については、地層処分を前提に、これまでの自治体による応募方式を見直し、政府が科学的知見に基づき適地を全国的に示した上で、前面に立って説明責任を果たしていく方針に転換する方向で議論が進められております。
 一方、国から検討を依頼された「日本学術会議」においては、昨年9月に、高レベル放射性廃棄物を地層で最終処分する現行政策を抜本的に見直し、十数年から数百年の「暫定保管」に転換するよう提言するなど、使用済み核燃料の処分については、国民的議論が十分深まっているとは言い難い現状であり、すぐには解決できない大変難しい問題であると認識をいたしております。
 原子力発電所を直ちに全部廃止してしまうことは、現実的に利用可能な料金による電力供給が困難となる恐れがあることから、現実的ではないとかんがえておりますが、そうであっても、使用済み核燃料の処理の難しさといったことも考慮し、原発については国全体として依存度を徐々に徐々に減らしていくという方針を堅持すべきだと考えているところであります。

米田議員
 9月議会で、過酷事故時の放射性物質の拡散シミュレーションの必要性について、知事は、昨年10月に国から拡散予測が示されており、その結果では、伊方原発による影響範囲は30キロ圏内に留まることが示された、と答弁しています。
 この国の拡散予測は、地形条件を考慮しておらず、1週間同じ方向に風が吹くなどが条件とした簡易型のものです。この試算について、放射線防護に詳しい笠井篤・元日本原子力研究所研究室長は「今回の試算で地形を考慮していないのは致命的だ」「信頼性の高い試算には、地理的条件は欠かせない。根拠があいまいな試算を基に事故に備えよという発想は、福島事故の教訓が生かされていない」と批判しています。
 実際、おなじく福島第一原発を基準にした滋賀県のシミュレーションでは、地形や気象条件を踏まえた結果、国の20キロ圏内にとどまるとの試算に対し、43キロとなっています。 また国の試算は、1週間で100ミリSVを超える地点を点で示したものであり、50ミリSVの影響はどこまでなのか、20ミリSVではどうなのかはまったく不明です。そもそも福島第一原発で放出された「死の灰」は、原子炉内総量の1割程度、放射性ヨウ素やセシウムなどは1~2%と言われており、福島並でいいのか、最悪の想定をしなくていいのか、という問題があります。
 地理的条件を無視した簡易型のシミュレーションで十分だとする対応は、県民の安全第一という知事の姿勢とは相容れないと思いますが、再度のきちんとしたシミュレーションの必要性についてお聞きします。
 ◆また緊急時対策支援システム(ERSS)には、現地からのデータが途絶えた場合にも適用できるよう、全交流電源喪失から炉心溶融に至る過酷事故などを想定したデータがいくつも内蔵されています。そのデータにもとづくシミュレーションの公開も求めるべきだと思いますがお聞きします。

■知事
 次に、県民の安全を第一に考え、放射性物質の拡散シミュレーションを再度実施する必要があるのではないか、とのお尋ねがございました。
 国が行った拡散予測シミュレーションでは「7日間で実効線量100ミリシーベルト」という指標が用いられていますが、これは、健康に被害が出る危険が高まる値、すなわち、すみやかな避難が求められる値であります。県民の健康と命を守る立場からは、この影響範囲を把握することが、まず、重要であると考えており、国のこの基準の設定には合理性があると考えています。
 また、国のシミュレーションでは地形による障害を設けず放射線が拡散しやすい前提としていることなど、滋賀県と比してもむしろ厳しい条件での試算となっております。以上から、国のシミュレーションは命を守る観点から保守条件に立って行われたものであり、現時点で滋賀県が行ったようなシミュレーションを再度行う必要は無いのではないかと考えております。
 伊方発電所を想定した国のシミュレーションでは、「7日間で実効線量100ミリシーベルト」に達するのは23キロ以内にとどまっておりまして、本県への影響はありませんが、過酷な事故が起こった場合には、微細な放射性物質が煙のように流れるプルームの通過など様々な状況も考えられますため、シミュレーションの結果に留まらず、放射線を実測するモニタリングの結果などをもとに、屋内退避や、安定ヨウ素剤の準備など対策を行うこととしているところでございます。

米田議員
 高知県は、原子力災害行動計画の策定など積極的に取り組んでいると評価していますが、防護措置を実施する際の指標について、知事は、SPEEDIによる予測線量から災害発生時のモニタリングによる実測値によることと変更になっていると、国の対応を説明しました。しかし、無批判に追認していいのでしょうか。
 福島事故では、原発から30-40キロ離れた飯館村が一番汚染されました。SPEEDIで予測できたわけです。この点では、SPEEDI開発・運用に関わった松野元・元原子力発電技術機構緊急時対策技術開発室長の指摘を質問の中で紹介しました。全電源喪失など異常事態を示す原子力災害対策特別措置法が定める「第15条緊急事態」通知から実際に過酷事故に至る時間は25時間前後であり、この時間をどう有効に使い避難をするかが大事になっています。ところが新たな国の指針では、この時間をまったく避難のために使われず、実際に事故がおきて、被曝がはじまってから避難を始める、無用な被曝を強いるとんでもない改悪です。地震がおきたら、即津波避難するのでなく、津波がおそってきてから逃げる、というようなものです。
 ◆SPEEDIによる予測線量にもとづく避難計画と行動が排除されたことは、重大な後退だと思いますがお聞きします。

■知事
 次に、緊急事態発生から過酷事故に至る間の対応にSPEEDIによる予測線量に基づく避難計画と行動が排除されたことは重大な高退ではないか、とのお尋ねがございました。
 国の指針では、非常時に原子炉を安全に停止するすべての機能が喪失するなど、いわゆる原災法第15条に該当する事態が発生した際には、放射性物質の放出の有無に関わらず、直ちに原子力発電所から5キロ圏内では緊急モニタリングを行い、その結果に基づき、避難及び一時移転を実施することとされています。
 本県のような30キロ圏外においても、同様に、緊急時モニタリングやSPEEDIによる放射性物質の拡散予想の結果を踏まえて、避難及び一時移転が実施されるわけです。
 また、県では、原災法第15条に該当する事態が発生した際には、以上のような対策に加えて、SPEEDIの予測を活用し、事故により飛散した微細な放射性物質が大気とともに煙のように流れる、いわゆる放射性プルームが本県を通過するとされた場合には、通過予測地区の住民等に対して、屋内退避の勧告を行うよう独自に市町村に要請することともしているところでございます。

米田県議
 また廃炉について、知事は、「電力供給が困難となる恐れがある」「廃炉を決定した時点で莫大な損金が発生し、経営を大きく圧迫する」ことを懸念材料としてあげています。
四国電力が9月中間決算を発表しましたが、昨年度の原発費用、固定費がなければ今回の電力料金値上げがなくても黒字になることが明らかとなっており、原発ゼロこそが急がれていることを示しています。
 そして、そのための廃炉についての特別なスキームが必要だと以前にも指摘しました。廃炉にすれば、残存簿価の除去損と廃炉引当金の不足が一気に発生するため、廃炉を決断できない恐れがあるからでした。
 ◆その後、廃炉に係る料金・会計制度についての規則など一部改正もされていますが、廃炉費用は遅かれ早かれ手当しなければならないものであり、電力会社が経済性、安全上、倫理上から適切な決断ができるためには、廃炉スキームの確立が急がれると考えますが、お聞きします。

■知事
 次に、電力会社が経済性、安全性、倫理上から適切な決断を行うためには、廃炉スキームの確立が急がれているのではないかとのお尋ねがありました。
 福島原発事故を教訓に強化された新規性基準では、古い原発施設にも。最新の安全技術の導入をさかのぼって要求することとなっており、今後、安全性に問題のある原発については、廃炉も必要になってくるものと思われます。
 これまでは、想定より早期に運転を終了する場合、原発施設に投資した費用のうち減価償却として改修できなかった残存簿価や廃炉に要する費用は、特別損失として一括費用計上され、電力会社の経営を大きく圧迫することから、円滑かつ安全な廃炉措置に支障を生じる恐れがありました。
 このため、議員からお話がありましたように、国において、10月1日付けで電機事業会計規則等の改正を行い、運転終了後にも役割を果たす施設については、減価償却を計上できることとなりました。
 併せて、これまで稼働実績に応じて積み立てられた解体引当金を、稼働状況に左右されず着実に引き当てする定額法に変更するとともに、運転終了後、施設の解体が本格化するまでの安全貯蔵期間の10年間についても引当を継続できるようになりました。
 今回の会計制度見直しにより、総括原価方式における経費として廃炉に伴い発生する費用を計上し、長期間にわたり電力料金への転嫁が可能になったことから、電力会社にとっては、財源が確保され、原発を廃炉にするうえでの負担は軽くなりました。
 一方で、廃炉のための費用は電力料金に転嫁され、国民の負担が増えることになりますので、廃炉を決定した電力会社においては、経営の見直しを含めて料金抑制のための最大限の努力をしていただく必要があります。また、国においても、今回のスキームについて、国民生活や産業活動影響も考慮し、適宜見直していくことも必要ではないかと考えておるところであります。

米田県議
次に、TPP問題について知事にお伺いします。
 政府が重要5項目を交渉の検討にのせるとの発言をうけ、9月県議会では全会一致で「重要5項目の聖域すら守れないTPP交渉からの撤退をもとめる意見書」が可決されました。その後も報道によると、この段階になり、米国を含む他の全ての参加国は、関税全廃を要求しているとのことであり、ISD条項も導入を前提にその範囲が交渉の課題になっているとされており、公約を投げ捨てた妥結がされる危険が大といわなければなれません。
 ◆知事は、県議会の決議もうけ、ただちに交渉から撤退するよう政府に強くもとめるとともに、大規模な県民大会を開くなど運動面でのリーダーシップを発揮することが求められているのではないか、お聞きします。

■知事
 次に、政府に対してTPPからの撤退を求めるとともに、大規模な県民集会を開くなど、運動面でのリーダーシップを発揮すべきではないか、とのお尋ねがございました。
 TPPにつきましては、今議会で私の提案説明でも申し上げましたとおり、政府におきましては、可能な限り、国民に対する情報開示と説明に努めていただくとともに、米などの重要5品目の関税をはじめとした国益を必ずまもっていただきたいと考えております。
 こうした考え方にたって、これまでも、国に対して精力的に政策提言等を行ってまいりました。
 特に、本年の3月、安倍総理がTPP交渉参加を表明して以降、私自身、4月早々には「重要5品目等を守れないのであれば脱退も辞さないものとすること」との提言を農林水産大臣やTPP政府対策本部に対して行いましたし、6月には四国の他の3県に呼びかけ、四国知事会として緊急提言を取りまとめ、農林水産副大臣などに要請行動を行ってまいりました。
 また、10月には、関税細目ごとに関税撤廃・削減の可能性を検討するとの報道を受け、県議会の決議もお示ししながら、「重要5品目の関税をはじめとした国益を必ず守るという姿勢で臨み、守ることができないのであれば交渉から脱退すること」との提言を農林水産副大臣やTPP政府対策本部に対して行ってきたところであります。
 TPPは、昨日までシンガポールにおいて閣僚会合が開催されておりまして、会合終了後の閣僚声明によれば、年内の交渉妥結を断念し、来月にも改めて閣僚会合を開くとされております。
 県といたしましては、今後の動向に十分注視しますとともに、こうした国際交渉では国内からの強い声が交渉する方々を後押しすることになりますため、国が拙速な決断を行うことがないよう、必要に応じて官界団体の皆様方と連携して、県民生活を守るための取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。

米田議員
 TPPの影響として新たに指摘しなければならないのは軽自動車税の見直し問題です。総務省の・自動車関係税制のあり方に関する検討会が10月31日にまとめた「報告」は、軽自動車と小型自動車の「両者の間にはかつてほど大きな差異は認められない」、「軽自動車税の負担水準の適正化を検討すべきである」としています。その理由の1つに「かねてより、全米自動車政策評議会、欧州自動車工業会から、軽自動車への優遇措置の廃止や見直しが求められていること」をあげています。今年1月、米通商代表部は、日本がTPP交渉に参加することに対する意見公募をした際、米自動車大手3社(ビッグスリー)で組織する米自動車政策評議会は、日本の自動車市場の閉鎖性を理由に「現時点では反対」と表明し、参入障壁となっている軽自動車規格については、「廃止すべきだ」と主張したことが報道されています(読売1/15)。政府の軽自動車税の見直しは、TPPの「入場料」であることは明らかです。高知県のような中山間地が多く、公共交通の整備が十分でなく、車は通勤、買物、通院など生活の足として必要不可欠なものであり、県民所得が低い中でも、1人が1台を所有している家庭も珍しくありません。軽自動車の増税は、こうした地域での暮らしを直撃するものです。また、高性能の軽自動車が発展してきたのは、狭い国土でしかも山間部の多い我が国の特性によるものであり、それに対応したメーカーなど技術開発の努力の結果であり、他国に干渉される筋合いのものではありません。
 ◆軽自動車税の見直しの影響をどうとらえているのか、政府にきっぱりと反対の意思を伝えるべきではないか、お聞きします。

■知事
 次に、軽自動車税の見直しの影響について、お尋ねがございました。
 今次の軽自動車の増税を含む見直しについては、本年1月に与党が決定をいたしました平成25年度税制大綱におきまして、自動車取得税が消費税率10%になった時点で廃止されることとなった一方で、他に安定的な財源を確保し、「地方財政へは影響を及ぼさない」とされたことから、与党において検討がなされており、近々結論を得るものと認識をいたしております。
 政府においても、本年5月に地方財政審議会に「自動車関係税制のあり方に関する検討会が設置をされ、大綱に示された見直し方向に基づいて、自動車取得税の代替財源をはじめとする様々な論点について専門的な検討が加えられ、10月にまとめられた報告書において、自動車税とバランスを欠いている軽自動車税の負担水準の適正化が提言されたところです。
 軽自動車が、本県のように中山間地域が多く、公共交通の整備が不十分な地域において、生活の足として使われている実情があることは十分承知しております。一方で、住民の皆様にいつも安心して道路を通行していただくためには、自動車の通行による道路や橋梁の損傷をしっかりと復旧していかなければならず、そのための財源を確実に確保する必要があるのも紛れもない事実であります。
 政府・与党におきましては、我々地方のこうした状況をしっかりと踏まえ、全体としてバランスのとれた税体系となるよう、結論を得ていただきたいと考えております。
 その際には、中山間地域の厳しい現状にも十分に配慮がなされることを望むものであります。

米田議員
 次に、高知赤十字病院移転問題について知事にお伺いします。
 高知赤十字病院はJR土讃線高架事業に伴い実施された高知駅周辺土地区画整理事業による再開発事業のランドマークとなった病院です。施工期間は1996年から来年度2014年度までの18年間で、清算金の支払いはいまも続いています。
 この再開発事業は日赤のある新本町の住民が中心になり期成同盟会を結成したことで初めて軌道に乗りました。それは、日赤はランドマーク、動かないという事を前提にした街づくりの基本計画に賛同したからです。家屋の撤去、そして仮住居での10年近い不なれな生活などを経て、慣れ親しんだ日赤通りに戻り、街の形が見え始め4年半です。
 やっと新しい街での暮らしになじみ始めたかなと思い始めたその矢先、日赤移転話が飛び込んできました。まさに寝耳に水。日赤があるからと区画整理事業に協力し、戻ってきた地域住民にとって到底受け入れがたい話であることは容易に理解できます。
 日赤に関わる生業での収入を見込み借金し新築している方々にとってはまさに死活問題です。また、減歩されても85年もの間地域にある日赤に日々の安心を求め、戻ってきた方々も、再びくらしの支えを奪われる事になります。行政を信用し協力もしてきたがゆえに、先日の地元説明会では「騙された」「詐欺だ」と怒りと憤りの声が出されました。
 その地域住民の方々が、今、日々の暮らしを守らんがため、移転ではなく日赤の現地での建て替えによる防災拠点病院としての充実・強化を求め、日赤、並びに、県・市に働きかける運動を始めたことは、至極当然のことではないでしょうか。
 ◆県は、高知駅周辺土地区画整理事業の認可者です。連続立体交差事業を含め高知駅周辺都市整備事業の施工者として、住民と合意した基本構想に基づく都市再開発、街づくりを貫徹する責任も県は負っています。土地区画整理事業に協力してきた市民の皆さんの思いをどう受け止めているのかお聞きします。
 新本町はじめ日赤とともに歩んできた当該地域の皆さんにとって、日常の診療のみならず、第3次救急医療機関としての病院が無くなり、浸水地住民としてだけ置いてきぼりにされる失望、消失感は大きいものがあります。これら、当該地域の市民・住民の声を代表する会、地域住民との真摯で誠実な対応を求めるものであります。スケジュールも含め今後の取り組みをお聞きします。

■知事
 次に、高知赤十字病院移転について、土地区画整理事業に協力してきた市民の皆さんの思いをどう受け止めているのか、また、地域住民などに対する今後の取り組みについて、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えします。
 高知駅周辺の土地区画整理事業は、高知市が平成8年に事業計画の認可を受け、平成22年に換地処分の公告をし、登記が完了しております。その後、想定外の東日本大震災が発生をし、大震災を契機として最新の知見による国や県の津波・浸水予測が公表されました。
 それによると、高知赤十字病院周辺は発生頻度の高い一定規模の地震でも長期浸水エリアとなる一方、秦南団地は最大クラスの地震でも長期浸水にはならないことが想定されております。
 南海トラフ地震では最大3万6千人もの負傷者が想定されており、高知赤十字病院には広域的な災害拠点病院として県内各地から負傷者を受け入れていただけなければなりません。県と市では、堤防や排水機場の耐震化浸水対策など長期浸水対策を全力で進め、浸水期間の短縮を図っていますが、現在の場所では浸水を完全に防ぐことは困難であり、大規模災害時に患者の受け入れができなくなるなど、広域的な災害拠点病院として役割を果たすことができません。
 このため秦南団地に高知赤十字病院と北消防署の機能を充実・強化し、災害時の活動拠点として整備することが最適と考え、県、市、高知赤十字病院の3者で利活用案の策定をすすめているものであります。
 土地区画整理事業にご協力されました皆様の思いは、真摯に受け止めなければなりません。ただ、今回の計画は、東日本大震災の発生と新たな知見の認識という、その後の重大な事情の変更を受けて、大規模災害時における県民・市民の皆様の命を守るために進めようとしているものであり、心苦しいことではございますが、是非ともご理解をいただきたいと考えております。
 今後とも、計画の必要性について、丁寧にご説明申し上げてまいりますとともに、周辺住民の皆様に少しでもご心配をおかけしないよう、病院移転後の土地の利活用についても、高知赤十字病院を中心に早急に検討を詰めて、できるだけ早くご説明していかなければならないと考えております。

米田県議
次に、土電問題について副知事にお伺いします。
土佐電鉄から11月14日付けで知事宛に出された報告文書で、議会調査費に関する領収書問題が提起されました。その中で「領収書が不適切に利用されている可能性がある」と述べ、またコンプライアンス上極めて問題、意見を述べることさえ容易ではなく企業統治の欠如があった、としています。しかし、不適切な利用とは何を指すのか何の検証もせず、また真摯な原因究明も責任の所在も明らかにしていません。入金を確認もせず会社自らが領収書をまとめて発行した事は、不適切利用に手を貸すことであり、共犯とも言えるものであります。この一編の文書はまさに開き直りとも言えるものであり、極めて不誠実、無責任なものだと言わざるをえません。◆この報告を受け取った県は、どう受け止め対処したのか伺います。
県議会としても議長の指示のもとで調査を続けているところですが、土電の誠実、協力的な対応と決して言えるものではありません。
また先日の、第2回「中央地域公共交通再構築検討会」では、領収書問題での「会社ぐるみ」を否定したことに、副知事はじめ参加している自治体から厳しい批判、指摘の声が続いたと報道されています。◆優待航空券問題についても、元会長の個人所有と主張するだけで真相を明らかにする姿勢は全く伺えません。また新たに、土電が税務調査を受けたことが明らかになりました。県は、これらの問題について土電から報告を受けているのか、またこれらについての基本的な認識について伺います。
◆この間の経過、事実を見ても公共交通機関にふさわしい、またそのパートナーに足るコンプライアンス、コーポレートガバナンスの確立に向かっているなどと到底言えない状況だと考えますが、県は凍結予算の扱いについては改革の具体的な動きを見て改めて判断する、としていましたが、現段階での認識について伺います。
◆また当検討会は、土佐電鉄の社内改革に対する指導及び提言を行うこととしていますが二人のトップが辞めただけで、これまでの陣容で真に改革ができると考えているのか、どう指導、提言をしようとしているのか伺います。

■副知事
 土佐電鉄の一連の問題について、お尋ねがありました。
 まず、土佐電鉄から11月14日付けで知事宛に出された、報告文書に対する、県の受け止めと対応内容について、お答えをいたします。
 土佐電鉄から11月14日に県に提出された報告書は客観的資料に基づかず、「元会長の求めに応じて発行した領収書が、政務活動費への請求に不適切に利用されている可能性がある」との内容でございました。
 この問題は、土佐電鉄が、西岡元県議の政務調査費の二重請求に関する新聞報道を受けて、同様の事例の有無を確認するため、社内調査を行った結果、明らかになったものであり、問題の重大性に鑑み、放置はできないとの判断のもとに、県への報告となったものと聞いております。
 県としましては、この報告書を受け取った際に、まず1点目に「領収書が不適切に利用されている可能性がある」と判断した根拠はないか。2点目に領収書の額と入金の差異、3点目に、この問題の責任の所在など、いくつかの点について説明を求めるとともに、報告書には調査書類が添付されていなかったため、関係書類の提出を求めた所です。その際、会社からは「今後、会社として整理を行い全面的に協力していく」との考えが示されました。
 報告内容が政務活動費に関するものであったため、県としては、報告書を受け取ったその日に、私が議長をお訪ねをし、県議会と今後の対応について協議していくことを申し合わせるとともに、併せて、県警にも報告書に関して情報提供を行ったところでございます。
 このような状況の中、未だに土佐電鉄からは①領収書が不適切に利用されている可能性があると判断した根拠や②領収書の額と入金額の差など、県が求めるものについての十分な説明がなされておらず、引き続き会社に対して、説明資料の提出を強く求めているところです。
 
■副知事
 次に、土佐電鉄の優待航空券と税務調査について、お尋ねがありました。
 優待航空券の問題については、8月の議会臨時委員会でも多くのご指摘、ご意見を受けましたことから、県からその内容を会社に伝えるとともに、会社として疑問点を明らかにするように要請しておきました。
 9月に開催された第1回中央地域公共交通再構築検討会で、航空会社からの報告がありましたが、元会長の使途についての把握が不十分であったため、私のほうから再度の調査を要請したところでございます。
 さる11月の第2回目の検討会において、会社からは、「秘書を通じて面談を依頼したり、元会長の会社を訪問する等により数度にわたり接触を試みたものの、ご本人が入院をされているということもあって、実施できない」という趣旨の報告があり、元会長分の使途については、現時点では、詳細が判明しておりません。
 、あた、お話にありました税務調査については、「税務調査が入ったらしい」との話は耳にしていましたが、いずれも不確かな情報であり、土佐電鉄からの正式な報告は、第2回検討会の場で、初めてお聞きしました。また、その会の場では、「今後、国税当局の見解を待って、会社として適切に処理する考えだ」と、お聞きしています。

■副知事
 次に、土佐電鉄関連の凍結予算の扱いについて、お尋ねがありました。
 土佐電鉄の予算につきましては、外部調査委員会による調査の結果、暴力団排除条例には抵触していないと判断されるものの、「コンプライアンスやガバナンスが欠如している」との、厳しい指摘を重く受け止めて、凍結を継続しているものでございます。
 土佐電鉄において、外部調査委員会の提言や、中央地域公共交通再構築検討会の指摘も踏まえた、社内改革が動き出していることは、一定評価できるものと考えていますが、予算の凍結解除には、公共交通を担う会社として、「土佐電鉄が生まれ変わった」ということが、県民の目に見える形で示され、信頼回復を得ることが重要であると考えております。
 検討会の場でも、凍結している今年度の予算の執行だけでなく、来年度の予算編成にも支障をきたすので、土佐電鉄には、一日も早い信頼回復をどういう形で示せば良いのかを、早急に考えてもらいたいと申し上げました。
 現在、執行を凍結している予算の扱いにつきましては、こうした土佐電鉄の社内改革の状況や、それぞれの事業の期限、趣旨や、補助金の性格的な面も考慮した上で、事業ごとに、県としての考えをお示ししたいと考えております。
 ■副知事
 次に、土佐電鉄の者会改革と、土佐電鉄に対する指導、提言についてお尋ねがありました。
 土佐電鉄が、一連の問題を引き起こした経営体質を改め、県民の信頼回復を目指すためには、議会や中央地域公共交通再構築検討会の場で出された厳しい意見や指摘を真摯に受け止め、経営体質をしっかり整え、社内改革に取り組んでいただく必要があると考えます。
県としましては、引き続き、再構築検討会の場を通じて、しっかりと指導、助言をしてまいりたいと考えております。

米田議員
 次に、県の人権施策基本方針について文化生活部長にお伺いします。
言うまでもなく日本国憲法は、生命や自由、幸福追求の権利など、基本的人権を規定し、侵すことのできない永久の権利として国民に保障されること、そしてそのための憲法尊重擁護義務を規定しているのであります。
しかし県の人権施策は、何より県民ひとりひとりが権利の主体者であり、ともに基本的人権の保障、享有をめざしていくとする基本的立場と施策が明確にされていません。また公権力などによる人権侵害の問題についての視点はなく、労働者の人権問題、また差別の課題でも思想差別や組合差別などは取り上げておらず、国民の間の人権問題、特定の課題での差別、偏見の問題に偏重、矮小化しているものと言わざるを得ません。
まず同和問題についてであります。
同和問題の解決は、差別的な考えや意識を持った人がゼロになることではありません。就職や結婚での不当な排除、日常生活での交流の排斥などがなくなること、差別的な言動などがあっても周りが同調せずうけいれられない状況ができることであると考えます。30年余続いた同和特別対策も、これ以上続けることは差別の解消にならないとして12年前、2001年3月で終結しています。住民、行政が一体となっての取り組みの中で今日基本的解決に向かって大きく前進しているのであります。
◆改めて同和問題の基本的な解決について、また現状・到達についてどう認識しているのか知事にお伺いします。

■知事
 次に、同和問題に対する認識について、お尋ねがございました。
 同和問題の解決のために、県では昭和44年の同和対策特別措置法の施行以来、30年余にわたって、様々な特別対策を実施し、対象地域を取り巻く状況は大きく改ざんされてきたことなどから、こうした特別対策は平成13年度末で終了しました。
 その後、同和問題の解決に向けては、ハード整備などは、一般対策で必要な施策を実施するとともに、人権施策として幅広く啓発にも積極的に取り組んでまいりました。
 平成14年度、平成24年度に県が実施いたしました「人権に関する県民意識調査」の結果によりますと、「同和地区や同和地区の人を意識する場合」を問う設問に対して、「気にしたり、意識したりすることはない」との回答が、平成14年度では45.7%、平成24年度では53.0%と、7.3ポイントの増加となっているため、同和問題に係る人権意識の高揚が窺われます。
 しかしながら、同和問題に係る差別発言や落書きは減少傾向にはあるものの、最近ではインターネットの普及に伴い、差別の助長につながる悪質な書き込みが発生するなど、同和問題に対する正しい認識や理解が十分でないことなどを原因とした差別意識がいぜんとして残っております。
こうしたことから、同和問題は、解決に向かいつつあるものの、差別事象は依然として存在しているため、解決には至っていないと考えます。そのために、今後も粘り強く取り組んでまいる方針であります。

米田県議
基本方針案では人権侵害の事例として差別発言・落書き件数などを紹介していますが、年間10件前後と大幅に減少しています。また以前一人の33件に及ぶ連続落書きもありましたが、児童・生徒の学校での発言などがほとんどです。件数も内容も、取るべき対応も多くが差別事件、人権侵害の事例とは言えないのが実態です。今日、同和問題が重要な社会問題、県政上の重大な行政課題とは言えない段階に到達していると考えるものですが、文化生活部長の御所見を伺います。

■岡崎文化生活部長
 人権施策について、一連のご質問についてお答えします。
 まず、今日、同和問題を県の重要な行政課題として位置づけるのか、とのお尋ねがございました。
 同和問題の解決にあたっては、これまで「高知県人権施策基本方針」や「人権教育のための国連10年高知県行動計画」にもとづいて、重要な人権課題の一つとして取り組んで来ました。しかしながら、同和問題に係る差別発言や落書きは減少傾向にはあるものの、最近ではインターネットを利用して、差別の助長につながる悪質な書き込みなどが発生をしています。
 併せて、昨年度、実施いたしました「人権に関する県民意識調査」によれば、人権意識の高揚はみられるものの、「結婚をするとき」や「不動産を購入したり借りたりするとき」などに「同和地区や同和地区の人を意識する」と回答する人もおり、同和問題に対する正しい認識や理解が未だ十分ではない、と考えております。
 こうしたことから、同和問題を重要な人権課題の一つとして、引き続きその解決に取り組んでまいります。

米田県議
 子どもの場合、使ってはいけない賤称語をわざわざ学校で教える中での発言です。これらは、教育課題として学校現場で解決するように援助、指導すべき事柄であり、子どもの発言等を差別発言、差別事象として人権侵害の事例として扱うべきでなく、また学校現場等にその報告を求めるべきではないと考えますが、教育長にお聞きします。

■教育長
 まず、人権施策に関して、子どもの発言等を差別発言、差別事象として人権侵害の事例として扱うべきでなく、また、学校現場等にその報告を求めるべきではないと考えるがどうか、とのお尋ねがございました。
 発達段階にある子どもは、様々な経験や過ちを繰り返しながら成長していくものです。県教育委員会としましては、そうした子どもの発言を大人の発言と同列で扱うという考えは持っていませんが、いわゆる賤称語は、その用語自体が他者の人権を侵害する差別性のある言葉であります。
 子どもがそういった発言をする背景には、大人の誤った認識や発言などがあることも考えられますので、差別意識のあるなしに関わらず、そうした発言は、教育上放置得ることができない事象としてとらえられています。
 そのため、そのような発言のあった学校では、その事例に至った背景や要因を分析し、発言した子どもへの指導を行うとともに、学校全体の課題としてとらえ、より充実した人権教育の推進に努めているところです。
 各市町村教育委員会からの報告につきましては、地域の学校で発生した事故や問題事案などについて、報告をいただくようお願いしておりまして、お話のあった差別事象についても、そういった事案の一環として、市町村教育委員会の判断をいただいているものであります。
 報告いただいた深刻な事例等については、市町村教育委員会を通じて、学校への指導援助を行うなど人権教育の充実を図っております。

米田県議
去年実施した人権に関する県民意識調査についてです。
 質問項目に同和地区、同和地区の人、同和地区出身の人という言葉を使うことは、県民に現在もなお存在するかのような誤解を与え広げることになり、また問題解決の到達点を無視するものであります。1986年地域改善対策協議会意見具申は、「今日、差別意識の解消を阻害し、また新しい差別意識を生む様々な新しい要因が存在している」として、行政の主体性の欠如や関係者の自立の遅れ、えせ同和行為、糾弾路線による自由な意見の抑圧・潜在傾向、の4点を提起しました。そして「因習的な差別意識は本来時の経過とともに薄れていく性質のものである。しかし、新しい要因による差別意識は、その新しい要因が克服されなければ、解消されることは困難である」と述べています。意見具申のこの方向での取り組みこそが大事ではないでしょうか。例え言葉の解説を加えても、現在存在しない地域、人を規定する言葉を行政、公権力がいつまでも使用すべきではありません。返って行政の側から県民への意識付けを強め、誤解・偏見を広げることになり、因習的な差別の解消、同和問題の解決に逆行することになると考えますが、文化生活部長にお伺いします。

■岡崎文化・生活部長
 次に、特別法失効後において、同和地区などの言葉を使うことは、誤解や偏見を広げることになり、同和問題の解決への逆行になるのではないか、とのお尋ねがございました。
 県では、特別法が平成13年度末をもって失効したからといって、同和問題そのものが解決したとは捉えていません。
 このため、人権課題の解決にむけた取り組みを進めて行く上において、必要であれば、今後において「同和地区」などの表現を用いることはあると考えていります。

米田県議
人権課題の達成目標に、「同和地区の人などを意識したりすることはない」の回答を53%から60%以上にする、また女性の課題は、「人権上問題があると思われるもの」の項目選択でDVが選ばれる率を29%から40%以上にする、などとしています。これは県民の意識、内心の問題にまで行政が介入し啓発によって県民の意識改革を行おうというもので、行政の役割を逸脱していると言わなければなりません。行政の取り組みをゆがめ、ひいては特定の考え方を県民に押しつけることにもなる達成目標は見直し、止めるべきと考えますが御所見を伺います。

■岡崎文化生活部長
 次に、意識調査を繰り返すだけでなく、人権侵害の実態を正確に把握し、具体的な対策を確立、検証していくべき、とのお尋ねがございました。
 本県では、人権問題の解決に向けて、啓発を中心に取り組んでありますことから、県民意識やその経年変化を把握できる「人権に関する県民意識調査」は、施策を推進するうえで基礎資料となるものと考えております。
 また、具体的な人権侵害の事例につきましても、中内の関係部局などとも連携しながら正確な実態把握に努めております。
 このようにして把握した内容を、今回改定する基本方針に反映した上で、効果的な施策を定めますとともに、今後、POCAサイクルを用いて検証してまいりたいと癌が得ております。

米田議員
 また女性の達成目標は、DV問題が深刻でもっと広く存在しているにもかかわらず、県民、当事者に十分認識されていない、との前提に立ったものだと思いますが、意識調査が必ずしも実態を正確に表していないという認識を示しているのではないでしょうか。今後は5年ごとに実施をするとしていますが、実態を正確に反映できない意識調査を繰り返すのではなく、人権侵害の実態を正確に把握し、具体的な対策を確立、検証していくべきだと考えますが、お伺いします。

■岡崎文化・生活部長
 次に、行政の取り決めをゆがめ、ひいては特定の考え方を県民に押しつけることにもなる達成目標は見直し、止めるべきではないか、とのお尋ねがございました。
 現在検討中の達成目標は、人権課題ごとに1~2程度、今後の取り組みによって、達成を目指す水準を、県民の皆様にできるだけ目に見えるよう、数値で分かりやすくお示し使用とするものでおざいます。
 人権問題の解決に向けましては、人権意識の高揚を図ることが必要であり、そのための手法であります啓発手法については、その効果を測るための分かりやすい指標として、「人権に関する県民意識調査」の結果を、達成目標の一つとして定めようとしているものでございます。

米田県議
 基本方針案は、子どもや高齢者、障害者の課題では、具体的、実体的な人権侵害の状況を明らかにし、保障するための取り組み、達成目標などを一定示していますが、県民の人権意識の大本にある実態の改善をすすめることが行政としての役割です。同時に様々な人権問題に対する県民の理解を広めることは当然必要ですが、その場合も学習会・講演会などを通して、多様なものの見方・考え方・知識・技術などを提供するものであること、県民の自主的な活動を支援する条件整備を図ることが行政啓発の役割だと考えるものですが、御見解を伺います。

■岡崎文化・生活部長
 次に、人権の在り方や、様々な人権問題に対する県民の理解を広げるために、行政が行うべき役割について、お尋ねがございました。
 人権課題を解決するためには、県民が、様々な課題を、自分自身のものとしてとらえて、取り組んでいくことが大切だと考えております。
 そのため、人権啓発にあたっては、一人ひとりが人権に関する正しい知識と認識を深め、人権の意義やその重要性を知識として身につけていくことで、人権への配慮が日常生活のなかで態度や行動に表れるようにす取り組んでいくことが必要です。
 こうしたことから、人権問題に対する興味と関心を高めるための様々なテーマを設定した「ハートフルセミナー」やワークショップ形式を取り入れた「ヒューマンパワー育成講座」などを採用することで、県民の皆様の自主的な活動につながるような啓発に努めていきたいと考えております。

米田県議
最後に、人権施策基本方針の策定、検討に当たって日常人権課題に粘り強く取り組んでいる団体やNPOなどと意見交換、懇談など実施されたのでしょうか。パブリックコメントとともに、ぜひ実施すべきと考えますがお伺いします。

■岡崎文化・生活部長
 最後に、人権施策基本方針の策定、検討にあたって、人権課題に粘り強く取り組んでいる団体やNPOなどとの意見交換や懇談などを実施すべきではないか、とのお尋ねがございました。
 人権施策基本方針の策定に当たりましては、学識経験者をはじめそれぞれの人権課題に専門的知識を有している方を委員とする「人権尊重の社会づくり協議会」のご意見をお聞きしながら、策定に取り組んであります。
 現在、パブリックコメントを実施し、幅広く県民の皆様のご意見をお伺いしておりますので、その場をご利用いただければと思いますし、意見交換などの申し出がございましたら、対応したいと考えております。

米田県議
 次に、学校給食について教育長に伺います。
 この間、県として教育振興基本計画や食育推進計画にそって一定の努力がされてきましたが、現在の実施状況について、進捗状況と遅れの原因をどう分析しているのか、まず伺います。

■教育長
 次に、現在の学校給食の実施状況について、お尋ねがございました。
 本県の学校給食の実施状況は、平成25年5月現在、小学校91.5%、中学校63.8%となっており、実施していないのは、7市の小学校17校、中学校38校でございます。
 このうち、2市の小学校9校、中学校6校につきましては、来年度、国の補助事業「学校施設環境改善交付金」を活用して整備に着手することを予定しております。
 残りの5市のうち、3市の小学校8校、中学校16校につきましては、土地取得の検討や、検討委員会の立ち上げ等の取組を進めておりますので、これらの整備が完了しますと、実施率が小学校100%、中学校84.8%になると見込まれます。
 現時点で、実施の方向性が未定となっている2市につきましては、財政状況等の問題により、学校給食実施に向けた具体的な検討に至っていないものと認識しております。

米田県議
 今日、核家族化やライフスタイルの変化もあり、個食の広がりや食の乱れは見過ごすことができない状況になっています。また、この食の問題とこどもの貧困問題を切り離して考えることはできません。こどもの貧困問題について、知事は「これは非常に重大な課題」、教育長は「貧困の世代間連鎖はむしろ教育の力で断ち切っていかなければならない」、高知市長は「深刻な影響を及ぼすもので喫緊の課題」とそれぞれ議会答弁をされています。学校給食導入の原点に返ることにもなりますが、食育を推進すると同時に、「学校でしか共同で、しっかりとした食事がとれない現状」があることもまた事実です。
 中でも、人口の集中する高知市の中学校給食実施は喫緊の課題です。高知市の子どもを取り巻く環境はきわめて厳しいものがあります。貧困と格差が拡大する中で、公立中学生の4割が就学援助を受けており、生活保護基準程度の水準で生活しています。また「就学前家庭の調査」によると、同世代の9世帯に1世帯は貧困率の高い、一人親世帯で生活をしています。「朝ご飯を食べない」「個食である」「給食が唯一まともな食事」「お金がなくて病院に行けない」「お弁当が白ごはんだけ」「昼は弁当もなく食べていない」などの現場からの声は、決して珍しいことではありません。しかし、この厳しい生活実態の中でも、高知市の中学校給食の実施率は生徒数でいえば16,6%と全国最低クラスにとどまっています。
 高知市教育委員会が今年2月に高知市立中学校の昼食に関するアンケートを中学生、保護者、教職員あわせて8607人にとっています。アンケート結果では、「中学生の昼食にもっともよいもの」に、保護者の9割は学校給食をあげています。生徒は、「温かいものが食べられる」「毎日違うものが食べられて、友達とも同じものを食べているから会話もできる」「お変わりができるから」「栄養バランスがいいから」「母が疲れているから母の負担が減るのはうれしい」など、具体的に給食を望む声が書きこまれています。教職員の中では、給食実施校では肯定的な回答が7割を超えました。3者どれをとっても学校給食について高い評価があり、一刻も早く未実施校での給食が望まれています。アンケート結果をどう受け止めるのかお伺いします。
 また、学校給食施設は南海トラフ地震で長期浸水の課題を抱える高知市にとっては、復旧復興に極めて重要な施設です。淡路市では、学校給食施設が災害時の炊き出し施設として位置付けられています。現在、県と高知市が南海トラフ地震による長期浸水対策を協力、共同して推進していますが、その中で学校給食もテーマに入れた議論をすべきだと考えます。また、県市連携会議の場でもおもいきった高知市への働きかけを行い、高知市の中学校給食の実現や食育の推進を具体的に図る必要があると考えますが、教育長のご所見と決意を伺います。

■教育長
 次に、高知市教育委員会が、市内の中学生や保護者等を対象にした「高知市立中学校の昼食に関するアンケート調査結果」についてどう受け止めているのか、また、高知市の中学校給食の実現、食育の推進を図ることについて、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをさせていただきます。
 学校給食の導入や食育の推進につきましては、これまでも、国の補助事業の活用、栄養教諭を中核とした食育や地場産物を学校給食に活用した食育をすすめるなど、それぞれの市町村の取組を積極的に支援しております。
 今回の調査結果を見ますと、学校給食を実施している6校では、回答した生徒の約6割が「学校給食が好き、どちらといえば好き」と答えており、保護者の約9割、教職員の約7割が「中学校給食の実施がよい、どちらかといえば実施がよい」と回答しています。
 また、学校給食が未実施の13校においては、回答した保護者の約9割が「中学校給食の実施がよい、どちらかといえば実施がよい」と答えている一方で、教職員の約6割が「中学校給食を実施しないほうがよい、どちらかといえば実施しないほうがよい」と答えております。
 高知市の給食の実施については、こうしたアンケート結果等も踏まえ、高知市として適切に検討していただくことが必要だと考えています。

米田県議
次に重度障害児の通学保障について教育長にお伺いします。
現在、ある養護学校本校に通う小学部5年生、重度障害児のK君。3,4年生の時は、週2回ほどの自宅への訪問教育でしたが、通学することによって表情も豊かになり反応もするようになった、学校給食を通じて味覚を感じているようだ、家庭で引きこもっているより社会生活ができ子ども自身が強くなっている、などとK君のお母さんは語っています。しかし、1学期はお母さんの体調もあってずっと休み、通学は2学期からです。また保護者の送迎自体も大変です。K君は吸引も必要で緊張する24時間介護のため、お母さんは慢性の睡眠障害、メニエル症などを抱えています。午後お迎えに行くとき、仮眠を取っても意識を失いふっと吸い込まれるようになることもある、と話しています。さらに経済的負担は深刻です。車で分校に通学していた1,2年生の時、お母さんが体調を崩したためお迎えに介護タクシーを月3回から6回、数ヶ月利用しましたが、公的な支援を受けることができず約10万円全額自己負担でした。しかも、K君の状態からヘルパーを同乗させることが必要で、その際の公的なヘルパー派遣の要件は厳しく、期間も限定されるものでした。お母さんは、人に会うとニコッとする、精一杯子どもを学校へ行かせたい、そのために子どもの障害にあった通学保障を支援してほしい、と訴えています。
また別の分校に子どもが通うお母さんは、介護で疲れストレスがたまり、運転もできないことがある、毎日でなくて良い週1,2回介護タクシーで送迎してほしい、そして精神的にもリフレッシュするために社会とふれあいたい、家計のことも考え週何回かでも働きたい、との切実なこえも寄せられています。
重度障害児を育てる多くの家庭が、通学時の精神的肉体的なご苦労と共に経済的負担は大きく、その上他のサービスの利用、在宅での訪問看護や訪問リハビリ、ヘルパー派遣やショートステイの利用、学校の放課後デイサービスの利用などによる負担等が、家計に重くのしかかっているのが実状であります。
今日、特別支援教育においても、すべての子どもたちに等しく教育を受ける権利、教育の機会均等を保障すること、一人ひとりの子どもたちの発達の可能性を全面的に保障していくことは当然のことであり、そのためにまず経済的家庭的条件にかかわらず通学を支援し、保障することが強く求められています。
そこでお伺いします。現在介護タクシーを利用しての通学の状況はどうなっているのか、また子どもの障害の実状や家庭の状況に応じて介護タクシーが利用できるよう、国の「特別支援教育就学奨励費」制度の改善、充実を図る必要があると考えますが、教育長の御所見を伺います。また、当面県として独自の対応を急いで確立すべきと思いますが、合わせてお聞きします。

■教育長
 次に、重度障害児の特別支援学校への通学支援に関して、介護タクシーの利用状況はどうか、また、国の「特別支援教育就学奨励費」制度の改善、充実を図るべきではないか、そして、県独自の対応を早急に確立すべきではないかとのお尋ねがございました。
 まず、特別支援学校に通学する児童生徒の介護タクシーの利用状況については、本年度、通学時に介護タクシーを利用したことのある児童生徒数は11名と把握しております。内訳は、保護者の仕事の関係や利用できる公共交通がない等、定期的に利用されている方が5名で、そのうち2名は国の「特別支援教育就学奨励費」制度における支給対象となっております。
 この他、保護者の病気など、突発的な事情で利用された方が6名いらっしゃいます。
 次に、国の「特別支援教育就学奨励費」の制度につきましては、保護者が自家用車で送迎した場合の経費や、公共交通機関を利用した場合の経費が支給の対象とされています。そして、保護者が車を運転できない場合や、利用できる公共交通機関がないといったやむを得ない場合には、タクシー料金等について、事前に国と協議し、承認をしていただくこととなっています。
 しかしながら、現在の制度では、介護タクシーの利用は事前に期間等を定めて、国の承認を受けることが必要であるため、保護者の急病など突発的な事情で介護タクシーを使用した場合には、タクシー料金は就学奨励費の支給対象とはなりません。
 国の「特別支援教育就学奨励費」制度は、保護者の経済負担を軽減する意味で有効な制度であり、県教育委員会では全国都道府県教育長協議会との連携のもとに、これまでも国に対して、制度の充実を要望してまいりました。
 現在、国においては、高等学校の授業料無償制度の見直しのなかで、特別支援教育就学奨励費の拡充も検討されておりますので、今後とも、様々な機会をとらえて、国に対して、制度の充実を働きかけてまいりたいと考えています。
 また、こうした取組と合わせて、県教育委員会といたしましても、障害の重いお子さんの保護者の負担は、十分理解できますので、他の都道府県の取組も参考に、何ができるか研究してまいりたいと考えております。

米田県議
次に、K君のように介護タクシーを利用する際、その実状に応じて介助者を同乗しなければならない場合がありますが、通学の時の公的支援、制度がありません。実際に通学を保障するためには、介護タクシーの利用と介助者派遣を合わせた公的な支援が不可欠であります。通学時に介助者を派遣、利用できる新たな施策の実施を強く願うところですが、ご見解を伺います。

■教育長
 次に、重度障害のある児童生徒が通学時に介護タクシーを利用する際の、介助者の派遣等に対する支援について、お尋ねがございました。
 障害のある方の外出時の介助者の派遣については、現在、障害者総合支援法に基づき市町村が実施している、外出時の移動支援のサービスがありますが、通学時のように、通年かつ長期にわたる利用となる場合には、支援の対象となっておりません。
 また、国の就学奨励費制度においても、事前に承認を受けて介護タクシーを利用する際に、タクシー代は対象となりますが、介助者の派遣のための経費は対象とされていないのが現状でございます。
 しかしながら、通学に介護タクシーを利用する際、一部には介助者の派遣を必要とする児童生徒がいらっっしゃいますので、児童生徒の安全確保や、保護者の経済的な負担軽減するという観点から、先ほど申し上げました国の就学奨励費制度の充実を国に要望するとともに、県教育委員会としてどのような支援ができるのか、他の都道府県の取組も参考に、研究してまいりたいと考えております。

米田県議
 次にスクールバスの運行についてであります。いま、養護学校分校にもスクールバスを走らせてほしいの声と取り組みが強まっています。また郡部から専門の特別支援学校へ1年生から通学させたいので、スクールバスの運行を改善してほしいなどの声も出ています。こうした子ども、保護者、地域の声を真摯に受け止め、スクールバスの運行と見直し、改善を強く願うものですが教育長の基本的な考え方についてお伺いします。

■教育長
 最後に、スクールバスの運行と見直し、改善に関する基本的な考え方について、お尋ねがございました。
 県は特別支援学校の児童生徒の通学を支援する手段の一つとして、特別支援学校5校13コースでスクールバスを運行しており、通学時間は児童生徒の身体的な負担を考慮し、1時間以内を目安に計画を立てています。
 また、スクールバス以外の対応として、遠隔地に居所のある児童生徒は、本校7校において寄宿舎での対応も行っているところです。
 お話にありました、スクールバスのない肢体不自由特別支援学校の分校は県内に3校ありますが、そのうちの、子鹿園分校については、平成22年度から通学生の受け入れ開始と同時に、本校のスクールバスが利用できるように対応しております。
 一方で、土佐希望の家分校と国立高知病院分校の2校は、学校に隣接する重症心身障害者施設利用者を対象とした分校であり、通学生もほとんどが、身体障害者手帳1種1級に該当する重度の障害のあるお子さんです。また、医療的ケアが必要な児童生徒も在籍しており、健康安全面から、スクールバスでの通学は負担が大きいと考え、保護者に送迎していただくことを基本としているものでございす。
 スクールバスの運行につきましては、今後とも、コース設定やバスの停留所について、毎年見直しや工夫を行いながら、適切に運動に努めていきたいと考えております。

米田県議
 それぞれ御答弁ありがとうございました。最初に、教育長に障害児の通学支援について様々な状況を受けて、県教委としても何ができるか、どのような支援ができるかということを前向きに真摯に検討されているということはよく分かりました。同時に、今日、明日、あさっての問題なのです。ですから、私は急いで、その検討解決を図るべきだと思うのですが、一つ質問ですが、結局介護タクシーを利用するに当たって、どういう要件や条件が必要なのかが明文化されておられるのか、しているのであれば提出をお願いしたい。そして私たちが聞くところによると、一つの条件に親が運転できない、免許証がないということがありますよね。その場合も、就労証明がないとダメだということが端からきているんです。自営業者の方でも、今下請けに入って、定刻に仕事に入らなければならないという実態があるわけです。ですから、家庭の状況を就労証明がとれるかどうかだけで、判断すべきでないし、できないというふうに思います。そういう運用が必要ではないかということ、いま教育長が言われましたが、急遽体調が悪くなって利用されたご家庭もあるということで、私が照会した、お聞きしたE君の場合も、咳き込んで唾液でおぼれるいうわけです。自らで、唾液を前にも後ろにも吸引することができない、処理することができないという24時間体制のなかで、保護者の方も大変なご苦労をされているということで、ゆっくり眠りにつくこともできない。そうしたら、当然体調にも影響します。そういう条件も含めて、運転できない、連れて行けないということだと思います。ですから、是非そういう対応をとれるように急いで改善していただきたい。他の方でも、公的支援がありませんので、有償ボランティアを一生懸命さがして、できるだけ安い介護タクシーを利用されているそういう家庭もおられるわけです。是非、この点前向きに解決していただきたいがどうか。
 もう一つは、介助ヘルパーの動向ですが、今言われましたように、国の就学奨励費制度で「付添人」という項目があって、その公共交通の費用は出せるようになっています。特にK君の場合には、私も同乗させていただいて、通学の数十分の間に、舌根沈下ということで、舌が奧に沈むわけですね。体型を治して窒息状態を避けるわけです。お母さんは自ら運転しながら、横でK君がそういう状態になれば、直ちに車を止めて体勢を治さなければならないというご苦労もされております。介護タクシーを利用したときも、介助者を乗せてくれることを要件と言うことにしていますから、是非ですね、付添人がそういう子どもの状況によって、ヘルパーでも対象となるいう、これは国の制度を変えなければなりませんが、そういう対応を県教委もできるのではないかと思いますが、どうかというのが2点目お聞きしたいと思います。
 もう一つは、土電問題で今は非常に副知事も毅然とした姿勢で、私は述べられたと思いますが、一つ気がかりは、昨日来年度予算見積もり概要が発表されて、25年度今年度凍結している真っ最中にも関わらず、見積もり概要で予算をさらに公共交通の維持、働く人の雇用を守ることは当然ですが、予算を提案すると言うことは、示された姿勢から言えば、非常に拙速ではないか。なし崩し的な受け止めをせざるを得ないですが、整理をされているのであれば、なぜこの見積もり概要が訂正されているかをお聞きしたいと思います。
 以上で第2問といたします。

■教育長
 お答えを申し上げます。介護タクシー利用の要件の件でございますが、一つは国の途方ではっきり決めている要件、それと国の方の運用で多少柔軟にできるという2つの部分があろうかと思いまます。それぞれが非常に得意な事例でありますので、運用の部分について実情をお話しすれば少しでも柔軟に対応していただける部分もあるのではないかと思います。ですから、私どもが、国に要望を申し上げるときは、制度改正論と運用の問題に2つがあります。先ほど申しましたように、ヘルパーの支援も含めてでございますけれども、その保護者の方の経済的負担、精神的負担、肉体的負担というものは、理解できますので、こううした方々の実態に応じたことを考えていかなければならないと考えております。従いまして、少し勉強させていただきたいということで御答弁申し上げたところでございます。以上でございます。

■副知事
 来年度予算で、見積もり積算高に入れているのは、26年度予算の編成過程でございます。状況の変化によっては、これはすぐに予算の積算の中から外すこともできますので、まずは予算として計算をさせていただいて、要求を指していただいたと言うことでございます。

米田県議
 副知事の点ですが、それなら手法はいくらでもあるわけで、予算案の時に知事が査定するとかいうことで逆にできるので、これは少し拙速ではないかと思いますので指摘をして歩きます。人権施策については基本的立場が違いますので、ただ、同和問題については、結局子どもを中心としたそういう不用意な発言でしか、人権侵害事例がないというところまで事態がきていますから、そのことをやっぱり到達点を是非見ていただきたいと思います。最後に、教育長が一生懸命、子どもさんや保護者の実態を見て、対応されると言うことですが、是非K君の通学の同乗・同行をしていただいたら、どうかなという提案をさせていただきます。どうかという点をお聞きして私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。

■教育長
 様々な実態を勉強し、制度を勉強し、どういう制度を作っていくかと言うことを勉強したいと言うことであります。

以上