議会報告

【質問項目】

1、       知事の政治姿勢/安全保障関連法案

2、       知事の政治姿勢/伊方原発の再稼働問題

3、       知事の政治姿勢/財政問題

4、       教員の未配置問題

5、       小中学校へのエアコン設置

6、       地域医療構想

7、       農地の流動化・集積

8、       宿毛湾・宿毛湾港の利活用

 

【知事の政治姿勢/安全保障関連法案】

●塚地県議

集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈の根本的変更にもとづき、平和安全法制、実質的には戦争法案が国会で審議されています。この法案は、平和国家の歩みを否定し、日本をアメリカの戦争にいつでも、どこでも参戦できるようにする戦後最悪の法案といわなくてはなりません。同法案については、ほとんどの憲法学者が憲法違反と表しています。時事通信の調査では8割を超える国民が、今国会の成立に反対し、共同通信の調査では、同法案を「違憲」とする回答は56.7%に上り、「反対」の回答は58.7%で、この3週間で11.1ポイントも上昇をしています。県内でも11の議会で、廃止、慎重審議の意見書があがるなど、国民、県民の反対、不安の声は日増しに高まっています。県民の中には少なくない自衛隊員やご家族がおられ、県民の命にも直結する問題です。以下、同法案の認識について知事に質問をいたします。

 同法案は、集団的自衛権を容認する解釈変更とともに、国際活動において、従来の「戦闘地域にはいかない」「武力行使はしない」「武器・弾薬の提供、輸送はしない」、という歯止めをなくすことが柱となっています。国会審議では、その憲法違反の実態が明らかになっています。

まず、国際活動の問題ですが、第1に、アメリカが世界のどこであれ、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争に乗り出した際に、自衛隊がこれまで戦闘地域とされてきた地域にまで行って、弾薬の補給、武器の輸送など軍事行動である兵站活動を行うことです。戦闘地域での兵站は、相手方から攻撃目標とされ、武力行使に道を開くこととなります。

第2に、PKO法改正では、PKOとは関係のないアメリカ主導の活動へも参加できる仕掛けが盛り込まれました。形式上は停戦の合意が続いていても、戦乱が続いているようなところに自衛隊を派兵し、治安維持活動、任務遂行のための武器の使用を認める枠組みを新たに持ち込むことです。安倍首相は、アフガンに展開し3,500人もの戦死者を出しているNATO主導のISAF、国際治安支援部隊のような活動への参加を否定しませんでした。ISAFの活動は、掃討作戦を目的としない治安維持の活動ですが、戦闘状態となり多くの犠牲がすでに出ています。

政府は、海外で戦争する国に踏み出すことをごまかすために、世界的に通用しない説明を繰り返しています。

1つは「後方支援」。これは日本政府だけの造語です。戦闘部隊に対する補給・輸送などの兵站が武力の行使と一体不可分であり、戦争行為の不可欠な一部であることは世界の常識であり軍事の常識とも言えるものです。

2つは「武器の使用」という概念です。安倍首相は、戦闘地域で自衛隊が兵站を行う際に攻撃されたら武器の使用をすることを認めました。しかし、それを武力行使と認めれば直ちに憲法違反になるので、「武器の使用はするが、武力の行使には当たらない」、と強弁し続けています。しかし、国会審議で、外務省は、武力行使と別に「国際法上は、武力行使と区別された武器の使用という概念がない」ことを認めました。まさに、世界のどこにも通用しない概念です。

 知事は、同法案について、「防衛目的を逸脱することはあってはならない」と主張を先ほどもされましたが、国際協力活動の分野で従来の歯止めをなくし、自衛隊員のリスク、「殺し、殺される」危険性が格段に増加をしていくのが同法案の特長となっています。

国際的な協力活動の相手となるアメリカは、数々の無法な先制攻撃をこれまでも行ってきました。国連総会での非難決議があがったグレナダ侵略、リビア爆撃、パナマ侵略の事例、トンキン湾事件や大量破壊兵器の存在など事実をねじ曲げて開始をされたベトナム戦争、イラク戦争なども含め、日本政府は戦後、アメリカの戦争に一度も反対したことはありません。

同法案によって、アメリカの無法な戦争に自衛隊員、日本の若者が動員される危険が現実化をします。イラク派兵を官邸で統括をされてきた柳澤協二氏は、「今までは憲法9条があるので武力行使はできないと拒否できたが、同法案が成立すれば、今度はイラク戦争への軍事的行動は断れない、今度は必ず犠牲者が出る」と語っています。

そんな事態は、絶対に許してはならないと思いますが、知事のご所見を伺います。

 

■知事

安全保障関連法案に関して、犠牲者が出る事態を許してはならないと思うがどうか、とのお尋ねがございました。

諸外国の無法な戦争に日本が巻き込まれることは、あってはならないことで、それによって自衛隊員の犠牲を出すようなことも決してあってはならないことです。

あくまでも我が国の武力の行使は、憲法9条の下で自衛の目的に厳に限定すべきものであり、実質的に我が国に対する急迫不正の侵害とみなされるものに限定されるべきものであります。

また、海外での後方支援活動についても、他国の武力行使と一体化しない範囲を追求すべきであり、そのための歯止めが必要であると考えております。

私は、我が国の安全保障を確保するために、新たな法整備は必要だと考えておりますが、他方で、これは合憲であらねばならないとも考えます。是非とも、個別事例に即した徹底審議を望むものであります。

 

●塚地県議

集団的自衛権発動について、政府は、その要件として「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされること」を挙げています。そして、政府はこうした変更を行った唯一最大の理由として、国際情勢における根本的変容が起こったからだと説明しています。

しかし、「国際情勢の根本的変容というがそうした変化のもとで、他国による武力攻撃によって存立危機事態に陥った国が世界に一つでもあるのか」とのわが党の国会質問に、政府は「実例をあげるのは困難だ」と、ただの1つも示せませんでした。集団的自衛権行使の例として唯一言及しているホルムズ海峡の機雷封鎖も、イランとアメリカの関係は改善の方向に進んでおり、防衛大臣も「直ちに危険があるわけでない」と認められました。

同法案の必要性を示す立法事実が、示されていないと思うが、伺いをいたします。 

 

■知事

安全保障関連法案の必要性を示す立法事実についてのお尋ねがございました。

我が国の安全保障は、諸外国との協調なくして守れないという状況になっているものと私は認識しております。

この背景には、発達し続ける科学技術により、兵器の破壊力やスピード、精密化などあらゆる点での性能の向上、国際テロやサイバー攻撃などの新たな形態の脅威の増大など、予測不可能な攻撃が様々な形態で、遠隔地からでも瞬時に加えられるといった、我が国の平和と安全に影響を及ぼし得る、以前なら考えられない事態が十分起こり得るという事実があるものと考えております。

現時点では幸いにも我が国の平和と安全を直接脅かすといったことが現実には起こってないのかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、今後起こり得るという事実は存在しており、日本の平和と安全を守ることを目的として、考え得るケースをあらかじめ想定し、対応できるような法整備をしておくことは、国民の生命、財産を守るために必要であると考えております。

 

●塚地県議

その空想的な「存立危機事態」の判断は、政府に白紙委任されます。しかも日本に軍事危機が全く発生しない場合にも、自衛隊の戦争出撃を認める内容となっています。安倍首相は「我々が直ちに攻撃されることではなく、武力攻撃が発生しそれに起因する災いが発生することだ」と、経済的な災いによっても、発動を可能とすると明言をいたしました。阪田元内閣法制局長官が「満蒙は日本の生命線といって自衛を叫んだのと同じ理屈だ」と批判をされているように、日本を先制攻撃する国に変質させる重大な中身となっています。

知事は、集団的自衛権については「諸外国への攻撃でもほぼ連鎖して『わが国への急迫不正の侵害』につながり得るなら、連続的、合理的な範囲で自衛権の発動ができるとの解釈が成り立ちうる」と述べていますが、国会審議では、「つながり得る」事態も示せていませんし、同法案は、そのことに限定した規定もありませんし、「ほぼ連鎖して」という時間的概念もありません。「急迫不正の侵害」、武力攻撃でなくても、政府の総合的判断で発動できる内容となっています。

同法案は、「集団的自衛権の行使」を「限定」する仕組みとはなっていないと思いますが、改めてお考えをお聞きします。

   

■知事

安全保障関連法案は「集団的自衛権の行使」を「限定」する仕組みとはなっていないのではないか、とのお尋ねがございました。

私は、集団的自衛権の行使は、憲法9条の下に認められている武力行使の旧3要件から連続的かつ合理的に展開できる範囲内に収まっている必要があると考えており、例えば、これによる武力の行使は、他国への攻撃の中で、実質的に我が国への急迫不正の侵害と見なしうる場合に限られるべき、といった歯止めが必要だと考えています。

しかし、残念ながら、最新の世論調査では、81%の方が安全保障関連法案について政府は「十分に説明していない」と回答されている状況であります。

安全保障関連法案などが審議されている通常国会は、過去最長の95日間の延長が決定をされております。国会においては、出来る限り個別事例に則して、合憲性についての議論を積み重ねていただきたいと考えております。

また、そうした議論を積み重ねることが、後々の判断基準となり、集団的自衛権の行使を憲法の範囲内に限定することにつながるものと考えているところです。

 

●塚地県議

いわゆる戦争法案は、日本の若者、自衛隊員を「殺し・殺される」状況にさらし、紛争当事者となることで、海外で活動する日本人やNGOがテロの標的となるリスクを拡大し、また、日本国内でのテロのリスクを拡大します。そして「海外で戦争しない」と、民生支援を軸に、この70年築いてきた平和国家のブランドを失う、という亡国の法案といえます。また、立憲主義を否定し、憲法の規範性を揺るがす暴挙です。日本共産党は、多くの国民、県民との共同をひろげ、日本を侵略国の仲間入りにさせるいわゆる戦争法案の廃案にむけ、全力で取り組む決意を表明して次の質問に移ります。

 

 

【知事の政治姿勢/伊方原発の再稼働問題】

●塚地県議

伊方原発の再稼働問題について、知事に伺います。

 原子力規制委員会は5月20日、四国電力伊方原発3号機の再稼働の前提となる原発の規制基準に「適合」したとする「審査書案」を了承し、再稼働への動きが進んでいます。しかし、規制委員会の田中委員長が「リスクはゼロではない」と繰り返し強調をしている通り、安全性が担保されたわけではありません。愛媛新聞がこの2~3月に行った世論調査では、再稼働に否定的な意見は、69.3%と極めて高く、特に、「再稼働すべきではない」は34.3%と、過去7回の調査から大幅に引き上がっています。安全性に関しても「不安」「やや不安」が計89.5%と9割に迫っています。

高浜原発差し止め仮処分の判決が、原発の耐震設計の根幹をなす基準地震動が著しく低く設定されていることを明らかにしたことで、原発への不信、不安は、より大きくなっている状況です。

 基準地震動とは、これを超える地震動は発生しない、という耐震対策の基準をなす数値です。その計算方法は、「強振動予測レシピ」、設計者の名前をとって入倉レシピと呼ばれ、「スケーリング則」という方法がとられています。スケーリング則とは、地震現象や津波現象はその構造が良くは分からないため,多数の事象を集めて、その平均像を求めるという方式ですから、必然的に大きな誤差が伴うのが特徴です。このスケーリング則を用いた耐震設計も、当然の帰結として,大きな誤差が伴うこととなります。万が一にも事故にならない設計にするためには、必ず誤差評価を行い、ばらついたデータの中から既往最大の値をとることが、最低限の責務だと思います。

この10年間で基準地震動を超える地震動が5度も発生したのは、平均像で設定した方式に問題があったからではないかお伺いをいたします。

 

入倉レシピは9つのステップで構成をされており、どのステップも平均像で計算されています。特に、地震動の大きさに決定的な影響をあたえるステップ2では、震源断層面の面積から地震モーメントを導いています。破壊面積が大きくなれば地震モーメントが大きくなりますが、実際のデータでは、その関係は、相当なばらつきありますが、レシピは、その平均値をとっています。実際の入倉氏のデータは、平均から最も離れた値は、ほぼ平均像の4倍となっています。また、日本土木学会が採用する武村式のデータを、入倉レシピに落とせば、平均値の7倍に及ぶデータが存在すると指摘をされています。安全性に重きを置いた値にするならば、平均像の4倍、7倍の値が最低限必要です。高浜原発差し止めの福井地裁決定文の肝は、まさにこの問題点の弁護団による指摘であったと思います。 

過小評価された基準地震動による安全対策はまったく不十分で、再稼働の条件はないと思うがお聞きをいたします。

 

■知事

原発問題に関する一連のご質問にお答えをいたします。

この10年間で基準地震動を超える地震動が5度も発生したのは、平均像で設定した方式に問題があったからではないか、また、過小評価された基準地震動による安全対策は全く不十分で、再稼働の条件はないのではないかとのお尋ねがありました。関連しますので併せてお答えをいたします。

ご指摘のありましたように、過去に4つの原子力発電所で5回にわたり、想定されていた基準地震動を超える地震が観測されております。

原子力規制委員会では、こうした過去の教訓を踏まえ、東日本大震災後に見直された「新規制基準」に基づき、最新の科学的知見に基づいた厳格な審議が行われていると認識して

おります。

基準地震動に関しては、地震の平均像として策定されているわけではなく、原子力発電所ごとに地震が起きるメカニズムや地質学的な調査を行い、不確かさも十分に考慮したうえで、起こりうる最大級の地震として策定されております。

加えて、四国電力では、原子炉を止め、冷やし、放射能を閉じ込める機能を担う安全上重要な施設については、650ガルの基準地震動を超える、概ね1,000ガル程度の揺れを

受けても機能を維持できる対策も行うと聞いているところです。

しかしながら、基準地震動は非常に重要なものでありますので、最大級の地震となっているのか、それに対して各施設の耐震余裕は十分あるのかなどについて、勉強会を通じてしっかりと確認をしているところです。

いずれにしましても、四国電力に対しては、安全に絶対はないとの認識から、基準をクリアすれば良しとするのではなく、新たな知見や問題には速やかに対応し、継続的に万全の安全対策を講じるよう要請してまいります。

 

●塚地県議

政府、電力会社の原発回帰、原発固執が、自然エネルギーの普及による地域の振興にも大きな障害となっています。昨年来、全国の電力会社による新規の自然エネルギーの売電契約の保留、停止が相次ぎ大きな問題となりました。この事態を受けて、経産省と電力会社は自然エネルギーの接続可能量を算出しましたが、信じられないような内容となっています。四国電力の場合、3基全部の原発を稼動させることを前提に、その発電量を168万キロワットと設定し、その残りで、自然エネルギーの接続可能量を算出しています。その結果、太陽光発電の接続可能量は257万キロワットに過ぎず、すでに設備認定された281万キロワットに届きません。風力発電も60万キロワットに対し、昨年夏の時点で34万キロワットを超えており、すでに具体化している案件を含めると残りわずかになっています。老朽化し、追加安全策の計画もない伊方1、2号機の再稼動を前提にし、自然エネルギーの普及に背をむける態度は、知事のおっしゃられる「徐々に原発依存を減らしていく」「自然エネルギーを大いに普及する」という方向性に、挑戦するかのような住民不在の姿勢です。

今、原発ゼロでも電気は足りており、自然エネルギーを思い切って普及するチャンスです。世界的にも2014年は風力発電と太陽光発電の年間導入量が過去最大となっており、このままでは日本は取り残されていくことになります。

原発に固執し、自然エネルギー普及に消極的な政府、四国電力の姿勢をただす必要があると思うがお聞きをいたします。

 

■知事

原発に固執し、自然エネルギーの普及に消極的な政府、四国電力の姿勢を正す必要があるのではないか、とのお尋ねがありました。

従前より申し上げておりますとおり、原子力発電につきましては、脱原発に向けて、その依存度を徐々に徐々に引き下げていくべきだと考えており、併せて、太陽光発電や木質バイオマス発電などの自然エネルギーの導入を進めていくべきだと考えております。

そしてこの自然エネルギーの導入を進めていくことは、自然エネルギーの宝庫である本県の利益にもかなうものと、そのように考えているところです。具体的に、脱原発の進展スピードがどうなるかということにつきましては、科学技術の発達の度合いなどにもよるものと思っておりますが、いずれにしましても、重要なことは、原発への依存を徐々に減らしていくという方向性を維持し続け、そこに向けた具体的な努力をしていくということではないかと考えております。

そのため、県では、国に対して、自然エネルギーの導入促進に向けて、全国規模で電力を融通するためのシステムの構築や地域の送電網の強化などについて提言してまいりました。

また、四国電力に対しては、勉強会や株主総会の場で、脱原発の方向を維持していくべきで、今後、どのような対策を講じていくのかということについて説明を求めるとともに、自然エネルギーの導入促進に最大限の努力を払うよう要請をしているところであります。

引き続き、国や四国電力に対して、しっかりと提言や要請を行い、自然エネルギーの導入を進めていくための具体的な努力を求めてまいります。

 

 

【知事の政治姿勢/財政問題】

●塚地県議

財政問題について伺います。

県政は、この7年間、全体として、防災、産業振興など県民の願いに応える多くの施策を進め、連続して前年度比プラスの予算を組んできました。また、課題解決のために市町村支援を重視し職員数も全国平均よりも多く配置をしてきました。同時に、地方債残高の削減など財政健全化も進めてきています。そこで、県の財政運営にかわって、基本的な点を確認したいと思います。

自治体の財政状況の指標に将来負担比率があります。自治体の借金、負担金、退職手当など自治体の今後の負担となる総額から、地方債の交付税算入額、基金総額など充当可能財源を引いた額を、財政規模で除したもので、自治体の正味の負担を示す数字です。

12年度の将来負担比率は、全国平均は210.5%ですが、高知県は158.6%と全国8番目に低く、財政の健全性を示しています。特に、12年度までの5年間の改善率は、全国平均の8.8ポイントに対し、高知県は35ポイントとなっています。

率ではなく実際の額では、将来負担比率の分子の額ですが、高知県は、08年度から12年度の間に、511億4,500万円減少しています。年102億円の改善です。財政力が弱いので、不測の事態や大規模事業にそなえて、できるだけ身軽にするという方向性だと思いますが、積極予算を展開しながら、また、財政状況が好転していることは、この数字からもわかります。

その要因として、私たちは、①県民に開かれた県政運営による真に必要な施策の絞り込み、無駄の排除、②しっかりとした公務の役割発揮のもとで、民間、県民の力をいかすことでの「効率性」、③積極的な政策提言による国の財源の活用。新年度でも、自治体の取り組みを丸ごと支援する新型交付金、中山間地の拠点づくりなど県の提案が反映をされています。これら3点にあると評価をしています。

積極的な施策展開をしながら、財政の健全化も進めてきた要因、この間の創意工夫についてどう認識をされているか、お伺いをいたします。

 

将来負担比率にかかわって、年102億円の改善がされていることを示しましたが、自治体の財政は、言うまでもなく、家計と違い、「改善」すればするほどよい、というものではありません。例えば30年間使う施設なら、その間の住民が公平に負担するよう、あえて借金をし、毎年返済していくことで、「世代間の負担の公平性」を担保するということになっています。その借金が身の丈以上に過大であることは当然問題ですが、少なすぎることは、必要な施設整備をしていないか、必要なソフト事業をせずに借金返済に偏重しているか、ということになります。また、財政の急激な改善は、一時期の住民に過度の負担を強いるという問題にもなります。

この間の将来負担比率の改善をどう評価されているか。また、今後の方向性についてお伺いをいたします。

 

■知事

財政の健全化が進んだ要因とその創意工夫、また、将来負担比率改善の評価と今後の方向性についてお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えをいたします。

県の財政運営にあたりましては、財政規律をしっかりと維持し、県民サービスの確保と財政の健全化を共に実現することが重要だと考えております。そのような観点から、これまで予算編成などを通じ、財政の健全性を確保し、引き続き安定的な財政運営を行っていくよう努めてきたところであります。

具体的に申し上げますと、まず、歳入面では、県税徴収率の向上に向けた滞納処分の強化や遊休財産処分計画に基づく県有財産の積極的な売却など、自主財源の確保に向けた取り組みを徹底して進めてまいりました。

あわせて、政策提言の強化を通じて、国の様々な制度設計が、中山間地域を多く含む本県のような地域に配慮されたものとなるよう働きかけを行ってきたところであり、いわゆる「地方創生先行型の交付金」といった国の経済対策に伴う交付金や緊急防災・減災事業債など、有利な財源を一定活用することができたものと考えております。

また、歳出面では、定数削減などによる行政のスリム化を推進するとともに、徹底した事業の見直しを行うなど、歳出削減の取り組みを進める一方で、それにより生み出された財源や国の有利な財源を有効に活用し、南海トラフ地震対策や経済の活性化などの課題解決に向け、5つの基本政策をはじめとする重要施策への予算の重点化を図ってまいりました。

その際には、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想など、本県の基本政策に関わる各種計画については、PDCAサイクルに基づく不断のチェックを行うことにより、毎年バージョンアップを図るとともに、事業のスクラップアンドビルドに徹底して取り組んでまいりました。

こうした歳入・歳出それぞれの取り組みを進めた結果、本年度当初予算額は、対前年度比で7年連続で増となり、南海トラフ地震対策を含む普通建設事業費についても、7年連続増の1,000億円となるなど、課題解決に向けて必要な予算をしっかりと確保するべく努めてきたところです。

一方で、平成20年度末に5,944億円であった臨時財政対策億を除く県債残高は、平成25年度未には5,044億円と大幅に減少したことなどにより、将来負担比率など財政の健全性を示す各指標は、全国平均を上回る良好な水準となっております。

しかしながら、歳入に占める地方交付税などの割合が高いことから、本県の財政運営は地方税財政に対する国の動向に大きく左右されるところであり、決して楽観はできないと考えております。

従いまして、今後におきましても、課題解決に向けた必要な事業費を確保しつつ、安定的な財政運営に向けまして、中長期的な財政収支の展望をしっかりと持ちながら、財政運営を行ってまいりたいと考えているところであります。

 

●塚地県議

この財政状況から言えることは、子育て支援など県民の願いにこたえる思い切った施策の展開も可能だということだと考えます。例えば、年102億円の改善を1割ペースダウンすると約10億円の財源が出てくることになります。そこでいくつか提案をしたいと思います。

1つは、子どもの医療費無料化の拡充です。子育て支援、子どもの貧困対策として、その効果は証明ずみです。2月県議会でも、県の姿勢を示すうえで、中学卒業までの医療費無料化に踏み切るべきだと、提案をさせていただきました。「すでに多くの自治体が実施しており、財源が置き換わるだけだ」と、子どもの貧困解消に強い思いを持つ尾崎知事らしくない答弁にとどまりました。

しかし、自治体数では多くても、子どもの割合では、県内の半数の子どもが就学前の実施に留まっています。また、県自身も国に対して、子どもの医療費の拡充を要望しています。すでに全ての都道府県が国に先駆けて独自に努力をしていますが、「財源が置き換わるだけ」なのでしょうか。県としては、国として実施すれば、さらに子育て施策を充実させることができると、主張されるのではないでしょうか。県政においても、市町村との協議なども通じ、保育料の軽減など新たな子育て支援策に結びつける対応は可能だと考えます。

「財源がおきかわるだけ」という説明は、県の立場とも矛盾するものと思いますが、お聞きをいたします。

  

また14年度補正で計上された「地方創生先行型」の交付金は、16年度から本格実施されますが、少子化対策として子どもの医療費助成の前進に活用している自治体は、県内の3町をふくめ全国で74自治体あります。その場合、国保の国庫負担に係る減額調整を検討する必要があるとされており、この点も視野に入れ実施を検討すべきと思います

改めて、県として、医療費無料化を拡充させ、子育て支援策をさらに前進させる必要性について知事にお伺いをいたします。

 

■知事

子どもの医療費無料化に関する2月議会での答弁と拡充への考えについてお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えいたします。

子どもの医療費につきまして、全国知事会等で新たな子どもの医療費助成制度の創設の提言をしておりますが、これは、子どもが生まれ育った環境によって左右されず、全国どこでも治療費を心配することなく安心して医療を受けられるよう、社会全体で支えていくことが必要であり、子どもの医療は、国の責任において、全国一律に実施すべきであるとの考えによるものです。

子どもの医療費の助成制度は、現在、多くの市町村で拡充に取り組まれており、中学校卒業まで医療費の無料化を実施している市町村は、所得制限等も含めますと、本年4月時点で、32か所に拡充されました。

子育て支援のための施策は非常に幅広い取り組みがございますが、母体管理や産前・産後ケアなど安心して子どもを産み育てることができるための施策として、また、少子化対策、子どもの貧困対策として、どのような施策が最も効果的であるのか、県としても、議論を重ねながら、限られた財源の中で実施しているところであります。

特に、本年度から、厳しい環境にある子どもたちへの支援を重点課題と位置づけ、福祉や教育分野などが連携して取り組みを進めているところです。今後も、県と市町村との役割分担をしっかりと踏まえ、市町村が先行して頑張っていただいている事業は市町村にお願いしつつ、県としては、子育て支援のための施策が全体としてさらに拡充し、より子育てしやすい環境となるよう全力で取り組んでまいりたいとの考えです。

 

●塚地県議

2点目は、保育料の軽減策です。少子化対策として重要であり、県は第三子の無料化の助成制度を実施しています。しかし、中核市である高知市は助成の対象から除いています。今年度からスタートした子ども・子育て支援新制度では、保育料と一体である教育・保育給付の財源において、中核市にかかる大都市特例が廃止となっています。

新制度との整合性を鑑み、第三子の保育料無料化の助成制度を、高知市にも適用すべきと考えますが、教育長にお伺いします。

 

■教育長

第3子の保育料無料化の助成制度である多子世帯保育料軽減事業について、高知市にも適用すべきとのお尋ねがございました。

多子世帯保育料軽減事業については、少子化対策の一環として、子育てにかかる保護者の経済的な負担軽減を図ることを目的に、同時入所を要件とする国の制度では対象外となる第3子の保育料の無料化について、独自に対応しようとする市町村に対して、県が単独事業として支援を行っているものです。

高知市につきましては、中核市であり、従来は保育行政に関して県と同等の立場でありましたので、県として保育料軽減に関する支援は行っておらず、そうした中で、高知市が独自で第2子の保育料軽減・無料化に取組み、現在の形になっているものと承知しております。

今年度からスタートしました子ども・子育て支援新制度では保育所などの運営経費にかかる財源においては、大都市特例が廃止となり、中核市である高知市に対しても、他の市町村と同様に財源の一部を県が負担することとなりました。

しかしながら、中核市は保育行政に関する認可及び監査等の権限について、県と同等の立場であることは従来通りでございますので、多子世帯保育料軽減事業についても、現行のままで対応していきたいと考えておりますが、なお、高知市のお考えもお聞きしていきたいと思います。

 いずれにしましても、少子化対策については喫緊の課題であり、知事がチームリーダーを務める全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームでは、多子世帯保育料軽減措置における同時入所要件の廃止や対象の拡大など、第3子以降への重点的な支援及び抜本強化を求める提言活動を行っております。

引き続き、国の動向を注視しつつ、多子世帯の負担軽減について国に働きかけてまいります。

 

 

【教員の未配置問題】

●塚地県議

教員の未配置問題について伺います。

本年4月、年度当初から学校現場では、本来正規教員が配置されるべき定数内の学級担任に臨時教員が配置されたり、ある学校では、その配置されるべき臨時教員6名のうち、2名が未着任のままの状態が続いているなど、年度当初から教員の未配置の事態が生じていると学校現場から伝えられています。

この間、私たちはたびたび、この議場でも正規教員、臨時教員不足への取り組みを求めてきましたが、是正されるどころか悪化の一途をたどっているのではないかと思わざるをえません。

いわゆる「先生のいない教室」、代替え教員未配置が1か月以上となる件数を昨年度36校・51件としていますが、今年度すでに未配置の状況が、何校で何件発生したと県教委は把握をされているかお伺いをいたします。

 

教員の配置という教育行政の根幹をなす事業であるにもかかわらず毎年繰り返される教員配置の不足による混乱にたいし、決してあってはならない事態だという強い認識が県教育委員会全体に欠如しているのではないかと思わざるを得ません。

県民、そして現場教職員と児童・生徒の思いを教育長はどのように受け止めておられるかお伺いをいたます。

 

■教育長

本年度の臨時教員の未配置が1カ月以上となる学校数と件数について、また、県民、そして現場教職員と児童・生徒の思いについてどう受け止めているのかお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えいたします。

 本年7月1日までに、臨時教員を1カ月以上配置できていない学校の状況は、小学校で28校・32件、中学校で4校・4件、高等学校で2校・2件、特別支援学校で1校・4件の計35校・42件となっております。これは、昨年の同時期と比べて34件の増加となっており、特に小中学校で厳しい状況にございます。

このような状況に至った大きな原因として、定年を迎え退職する小中学校の教員の数が急速に増加していることがあります。県教委としては、退職者数の増加を踏まえ、新規採用者数も大きく伸ばしてきたところですが、教員の資質の確保や年齢構成の平準化など長期的な人員管理の面で、1年間に採用できる人数には自ずから限界があるため、退職者の急増に見合うだけの採用はなかなかできないという事情があります。

 その結果として、年度の当初から臨時教員で対応しなければならないケースが大きく増加をしてきております。

一方それに対し、臨時教員の志願者は、大きく減少しておりますが、それは、ここ数年の採用者の増により、採用待ちの教員志望者が減っていることや、少子化が進む中、新たに教員を志望する者の数自体も減っていることなどによるものと思われます。

また、このような状況を少しでも改善するように、退職教員の皆さんに、できるだけ多く再任用での勤務や臨時教員として頑張っていただくようお願いしているところですが、教員不足の解消までには至っていない状況です。

 本年度については、このようなことから、年度当初から、小学校を中心に指導方法工夫改善等の加配教員や病体等の補充のための臨時教員を学校に配置できていない状況があり、市町村教委や学校はもちろん、児童生徒の皆さん、保護者の方々にも、大変申し訳なく思っております。

 なお、臨時教員が不足している中にあっても、少なくとも学級担任については欠員とならないような措置を取っており、また、養護教諭につきましては、近隣校との兼務発令や看護師等の免許を持つ方に養護教員の臨時免許状を発行するなど、子どもたちへの影響ができるだけ少なくなるように努めているところです。

 先に申し上げた状況を考えると、本年度中に、教員の未配置を全て解消するといったことは困難ですが、今後、少しでも未配置を減らすことができるよう、あらゆる手立てを講じてまいりたいと考えています。

 

●塚地県議

 定数内の教員確保のため正規教員の採用を計画的に行うべき、との私どもの問いに対し、「できる限り定数内の臨時教員を正規教員に振りかえるように計画的な教員採用を行ってきた結果」として、全国に比して臨時教員の比率は低いと答えられていますが、2014年度の定数内臨時は452名、本年度は489名と、生徒数減で学級数が減っているにもかかわらず逆に増大していることは問題だと考えます。

2018年度末の退職教員数の予測は、本年度末の224名から年々増え339名と一段と増えていきます。

生徒数減、少人数学級枠の拡大などとの相殺含め、あらためて採用人員数の精査を行い、まずは定数内の非正規教員数の早期解消を図るべきです。今後の採用計画の見通しと決意をお伺いをいたします。

 

■教育長

定数内の非正規教員の解消も含めた今後の採用計画の見通しと決意についてお尋ねがございました。

公立小中学校における教員採用者数は、児童生徒数や学級数に伴う教員定数に指導方法工夫改善等の加配定数を加えた数と退職教員数を考慮して算定しています。

 このうち、定年退職教員数については、小学校では今後10年間で全教員の約半数にあたる1,500人余、中学校では4割にあたる750人余が見込まれております。

このようなことから、児童生徒数や学級数に伴う教員定数の減少を考慮しましても、今後しばらくは毎年、多くの教員を採用していくことが必要になってまいります。

-万で、先程も申しましたとおり、長期的な人員管理の観点や教員志望者が減少する中でも採用する教員の資質を確保しなければならないといった観点から、1年間に採用できる教員の数には自ずと限界があり、教員定数の全てに正規教員を配置することを前提とした採用計画は、現実論として不可能だと思います。

 当然のことながら、来年度以降、今年度のような教員の未配置を繰り返してはなりません。そのためにも、県外会場での採用審査の実施や、教職経験者を対象とした審査の一部免除の拡充、年齢制限の緩和など、志願者を増やす工夫も行うことで、採用者の資質を維持しながら採用数をしっかりと確保してまいりたいと考えています。

また、定年退職する教員に対して、できるだけ多く、また長く再任用などで勤務してもらえるよう、その必要性について強く訴えてまいりますとともに、短時間での勤務にも柔軟に対応するなど働き続けやすい条件整備にも努めてまいります。

 当面は、こうしたことをはじめ、あらゆる手立てを講じて教員の確保を図ってまいりますが、厳しい状況は今後10年程度続きますので、時期、時期には教員確保のためのシミュレーションも行いながら、対策が手遅れとならないよう万全を期してまいりたいと思います。

 

●塚地県議

このように先ず正規教員の採用を増やし埋めることで、臨時・非常勤の安易な乱用がなくなると、臨時教員不足への対応が取りやすくなります。産休・育休・病休など本来の代替え教員の配置数は本年度で360件程度です。本県の臨時教員志願者数は昨年度1,079名から本年度1,003名と減少しています。

各県とも教員の奪い合いが進む中、まずは、この本県での教員を希望する方々をしっかりつなぎとめるためには、採用計画を明らかにすると同時に、採用審査結果における採用候補名簿登録者数を定数及び代替え教員数の予測から年度途中採用者数を含む人数とするなどの見直しが必要だと考えるものですが、お聞きをいたします。

 

■教育長

採用計画を明らかにすること、年度途中採用者数を見込むなど採用候補者名簿の見直しをすることについて、お尋ねがございました。

先にも述べましたように、今後10年間では、全教員の約45%と多くの教員が定年退職を迎えることになりますので、その間、必要な教員数を確保するためには、大量に採用せざるを得ない状況になると考えております。

そのため、臨時教員や大学生などこれから教員を目指してほしい方には採用審査の勉強会や説明会などで、また、高校生の保護者の方にはPTAの会合の場などで、こういった現状をお伝えするとともに、本県の教育への関心や理解を深めてもらうことで、教員への志願者数を増やす取組につなげていきたいと考えています。

 各年度の具体的な採用計画については、必要となる教員定数をもとに、退職予定者数、再任用予定者数等を考慮しながら決定していますが、不確定な要素が多いことから、長期間を見通して採用計画を公表することは難しいと考えています。

 また、年度途中採用を見込んだ名簿登載につきましては、先ほど申し上げましたとおり、そもそも今後の大量退職から生ずる欠員の全てを新規採用者で補うことはできない状況に

あり、年度途中での追加採用まで見込んで採用することは難しいと考えております。

 

●塚地県議

さらには、免許所持を前提としていない地公法22条2項の臨時的任用と違い、「教員免許」を持ったうえで教育職としての経験を積んでいる臨時教員の教職経験を今以上に正当に評価する採用制度としなければ、着任し現場で臨時教員をするよりも採用審査への対応が優先される傾向が否めません。

一次審査を全部免除するなど教員経験尊重の採用審査を実施している他県での取り組みを参考に検討するお考えはないか。

 

■教育長

教職経験尊重の採用審査を実施している他県の取組を参考にして、審査方法を再検討することについて、お尋ねがございました。

現在、教員採用選考審査においては、現職教員、臨時教員、元教員を対象に、第1次審査の免除や一部免除といった教職経験を優遇する措置を講じているところです。

 今後も、他県の取組も参考にしながら、先ほど申し上げました教職経験者に対する優遇措置の拡充や年齢制限の緩和など、優秀な教員を幅広く確保できるよう審査制度の改善を検討していきたいと思います。

 

●塚地県議

最後に、臨時教員の確保を図るためにも現在学校現場で本県教育を支えている臨時教員の処遇の改善は急務です。

この間、全国的に見ても極めて低い処遇にある本県臨時教員の処遇改善を求めてきましたが、本年度はどう改善されたのか、また、来年度にはどのような処遇改善を図ろうとしているのか、お聞きをいたします。

 

■教育長

臨時教員の処遇改善についてのお尋ねがございました。

 これまでは、臨時教員の業務の実態や必要性等を踏まえながら、任用期間の改善を図ってまいりました。

本年度からは、これまで3月24日までの任用期間であったものを、小中学校にあっては原則3月26日まで、県立学校にあっては3月30日まで、それぞれ延長することとしました。

更に、来年度からは、これまで4月2日からであった任用を4月1日からに前倒しいたします。4月1日からの任用となることにより、臨時教員には、4月分の通勤手当、扶養手当、住居手当が支給されることとなります。

また、全体の任用期間が延びることで、次の任用までの間隔が短くなることから、次の年度も臨時教員として任用される予定であることが明らかになっている場合には、厚生年金保険及び健康保険が継続扱いとなります。

 以上のとおり、臨時教員の処遇については、できる限りの改善を図っているところです。

 

 

【小中学校へのエアコン設置】

●塚地県議

教育問題の2点目、小中学校へのエアコン設置への県の助成について伺います。

地球環境の変化によって、近年これまでにない異常気象が私たちの目の前に広がってまいりました。中でも地球温暖化による気温の上昇は、夏場を問わず熱中症対策を考えなければならない状況です。文部科学省の学校衛生基準は、「教室内の温度は、10度以上、30度以下がのぞましい」としていますが、エアコンのない教室の温度は30度を超え、扇風機を設置してあっても熱風をかき混ぜるだけで、子どもも先生も汗びっしょりの状況です。「お弁当が腐っていた」「病気の治療中で体温調整が十分できず、熱が出て熱中症のようになり驚いた」など、現場や保護者からの学ぶ環境を整えてほしいという声は、多く聞かれます。また、湿度の多い梅雨の時期は、教室や廊下に水が溜まって滑って危ない、などの例もあります。

文部科学省は3年に一度、公立学校の空調(冷房)設備設置状況調査を行っていますが、平成26年4月現在の調査発表によれば、全国の平均設置率は普通教室32.8%、特別教室27.3%で、特に普通教室は平成22年の調査では16%でしたから2倍に広がっています。東京都は普通教室設置率99.9%、それに次いで香川県が81%、神奈川71%、京都・沖縄60%台、群馬・福井・滋賀50%台、高知県は13.8%と大変遅れた状況です。

この、高知県の整備状況をどのようにお考えか、伺います。

 

県立学校のエアコン設置はすべての学校に順次設置するよう、県教育委員会としても努力をされています。当然小中学校へのエアコン設置で教育環境条件を整える時期がきており、冷房のあるなしはいま自治体間の教育環境の格差をもたらしています。

市町村の努力を財政的にも支援し、小中学校へのエアコン設置を積極的に推進する計画を県教育委員会としても作るべきだと思いますが、お伺いをいたします。

 

■教育長

本県の小中学校のエアコンの整備状況をどのように考えているのか、また、設置を積極的に推進する計画を県教育委員会として作るべきではないか、とのお尋ねがございました。

関連しますので、併せてお答えいたします。

文部科学省による調査では、平成26年4月1日現在で小中学校の普通教室へのエアコンの設置率は、ご指摘のとおり、全国で32.8%のところ本県は、13.8%であり、47都道府県中29番目の整備率となっております。また、県内小中学校別の設置率につきましては、小学校が9.7%、中学校が24.7%と小学校で特に低い状況でございます。

小中学校へのエアコンの設置があまり進まない要因の一つとして、現在、本県においては、まずは耐震化などの緊急性の高い課題に取り組んでいるという実情があるものと考えております。

 これまで、県教育委員会といたしましても、夏休み等における子どもたちの図書室の活用を進めるため、平成24年度からの3年間で県単独の補助制度を設けまして、小中学校の図書室へのエアコン設置を促進してまいりました。その結果、71校に設置されております。

一方、普通教皇へのエアコン設置につきましては、各市町村がそれぞれの学校の状況に応じて主体的に対応していただきたいと考えております。

 県内における小中学校の耐震化も完了に近づいてまいりましたので、今後は、市町村による普通教室へのエアコン設置等の学校環境改善対策も進んでいくものと期待しているところであり、県教育委員会といたしましても、引き続き、国の支援策の活用も含め、助言等を行ってまいりたいと思います。

 

 

【高知県地域医療構想】

●塚地県議

次に、今年度末までに県が策定を行うこととしている、「高知県地域医療構想」について伺います。

昨年6月に強行された「医療・介護総合推進法」に基づき、政府は、2013年現在の約134万7千床のベッドを、10年後までに約15~20万床削減して115~110万床程度にすると発表。年約40兆円に上る国民医療費の抑制を図るとしています。その数字を目安に、各都道府県が2025年までどのような医療体制を作るのかの計画「地域医療構想」作りが進められています。

この構想を策定するに当たり、政府は、都道府県ごとの「望ましい病床数」に関する報告書を発表しました。各病院を4つの機能別、①高度急性期、②急性期、③回復期、④慢性期に分類し、それぞれの病床数を示し、各都道府県の構想に反映させるというものです。本県は、総枠で1万6千200床からその約3分の1の5,000床もの削減が示されました。

本県も、すでに、各病院が先の4つのどの分類に位置づけるかの調査を実施されていますが、どのような状況なのか、また、今回国から示された県の25年の病床数との差は、どのようになっているか健康政策部長に伺います。

 

■健康政策部長

本県の病床機能報告における病床数と国が示した2025年の病床数との差についてお尋ねがありました。

本県の病床機能報告制度における平成26年7月1日現在の病床数は高度急性期が1,531床、急性期が4,938床、回復期が1,571床、慢性期が6,892床、県合計で14,932床となっています。

一方、政府の専門調査会が公表した2025年の必要病床数の推計値は、高度急性期が800床、急性期が2,800床、回復期が3,300床であり、それぞれの差は高度急性期が731床・47.7%の減、急性期が2,138床・43.3%の減、回復期が1,729床・110.1%の増となっています。

また、専門調査会の推計値のうち慢性期は、パターンAからCまでの3種類にパターン分けがなされていますが、入院受療率、人口10万人当たりの一日平均の入院患者数ですが、を全国最小値まで低下させるとするパターンAでは、4,492床・65.2%の減、入院受療率を全国中央値レベルまで低下させるとするパターンBでは3,692床・53.6%の減、パターンBの推計年次を2030年まで5年間延長した場合における2025年時点の値を示したパターンCでは2,592床・37.6%の減となっています。

高度急性期から慢性期までの4つの医療機能区分を合計した病床数の差は、パターンAが5,632床・37.7%の減、パターンBが4,832床・32.4%の減、パターンCが3,732床・25.0%の減となっています。

 

●塚地県議

これまでも政府は、医療費削減を目的に、病院の入院期間の短縮をせまる診療報酬の改定で、誘導をはかってきました。そのため、私たちのところへは、「退院を迫られているが、受け入れてくれる病院がない」とのご相談が相次いでいます。

今後高齢化がさらに進行する中、慢性期病床の必要性は一層高まるものと考えますが、本県に、政府から示された慢性期削減病床数は、2,400~4,300床で、現在の療養病床との比較では、最大60%もの削減となります。30年までの5年間延長ができるものの、まさに、衝撃的な数字で医療、介護関係者などから懸念の声が上がっています。

 県は、地域医療構想の策定に向け、今月にもワーキンググループで、検討を始めますが、この政府が示した、病床数の提示をどのように受け止められておられるか、健康政策部長に伺います。

 

■健康政策部長

国が示した病床数について、どのように受け止めているのか、とのお尋ねがありました。

今回の推計値は、国が都道府県に対して示した地域医療構想策定ガイドラインにおける計算方法、即ち、高度急性期から回復期にあっては2025年の推計人口に2013年度の入院受療率を掛け合わせた医療需要を、慢性期にあっては入院受療率の地域差を解消させるための3つのパターンの減少比率によって算出した医療需要を、それぞれ病床稼働率で割り戻す計算方法によって機械的に算出されたものですが、そのまま適用されないとしても人口当たりの病床数が全国一多い本県にとっては、大変厳しい数字であると受け止めています。

 本県における地域医療構想については、学識経験者や医療・介護の提供者、医療保険者、医療を受ける立場にある方々を委員とする地域医療構想策定ワーキンググループを今月設置し検討に着手する予定です。

ワーキンググループでは、構想区域の設定や医療需要に基づく必要病床数を踏まえた医療提供体制といった事項について検討していただきたいと考えています。

 先ほど知事からの答弁にもありましたように、療養病床に入院している方々の実態を把握するため、体の状態や医療の内容、療養にふさわしい施設・サービス等についての調査を行うなど、関係者の理解の下・医療と介護の適切な役割分担により県民個々人のQOLに適した療養環境を確保していくことがとりわけ重要であると考えています。

 

●塚地県議

これまでも在宅医療の推進、24時間対応の訪問介護事業所の設置などの取り組みを進めてまいりましたが、本県の地域的状況や、生活状況から在宅への移行は進んでいないどころか、特別養護老人ホームの入所待機者は2,500人を超えています。

 政府は、25年に向けて、補助金や診療報酬で誘導し、介護サービスとの連携を強めるとしていますが、まず、社会保障費、医療費の削減ありきでは、県民にとって必要な医療と介護の提供につながることは期待できるものではありません。

知事は、今回の政府の示した、報告書をどのように受け止められたか、国に対して、12月議会で答弁された、「必要な医療が受けられないことがあってはならない」という地域構想とするため、どのような提案と行動を起こされるおつもりかお伺いをいたします。

 

■知事

地域医療構想に関し、国が示した報告書をどのように受け止めたのか、また、国に対してどのような提案と行動を起こすのか、とのお尋ねがありました。

6月15日に政府の社会保障制度改革本部の専門調査会が公表しました、2025年における医療需要に対する本県の必要病床数の推計値は、国が策定した「地域医療構想策定ガ

イドライン」等に基づいて一定の仮定のもとに機械的に推計したものですが、現状の病床数よりも大幅に少ないものとなっています。

 必要病床数は、今後2025年におけるあるべき医療提供体制を構築するため、都道府県が地域の実情を踏まえて策定する地域医療構想において算定するものであると認識してお

りますが、人口当たりの病床数が全国一多い本県においては、ある程度の減少は避けられないものと考えております。

しかしながら、本県における地域医療構想の策定にあたっては、特に多い療養病床に入院している方々の実態を把握しながら、医療と介護の適切な役割分担によりQOL、クオリティーオブライフを高めていけるような療養環境の確保と併せて検討していく必要があります。このため、多くの頗係者と現状をしっかりと共有し、理解を得ながら進めていくことが肝要であると考えております。

国においては慢性期の医療・介護サービスについて、有識者による検討を始める予定とお聞きしていますが、その際には、現に入院している方々の追い出しにつながらないよう、

患者や利用者のQOLの向上にふさわしい受け皿のあり方について検討していただく必要があると考えております。

併せて、本県において在宅医療の普及や病床機能の転換を進めていくために、地域医療介護総合確保基金などの十分な財源を確保していただくよう、国に対し提言するなどしていきたいと考えているところです。

 

 

【農地の流動化・集積】

●塚地県議

農地の流動化・集積について農業振興部長にお伺いをいたします。

  政府の規制改革会議が6月16日、農地中間管理機構における農地の集積・集約化を加速する、として遊休農地等への課税強化、実績を上げた県等への施策の配慮等を求める答申を行い、これを受けて政府は6月30日に規制改革実施計画を閣議決定をいたしました。

 これに対して、日本農業新聞では「”強権”で集積進まぬ」として、次のように厳しく指摘、批判をしています。「遊休農地への課税強化では、農地の出し手の不安解消という根本的な課題の解決はできない。農家の財産権の不当な侵害にもつながりかねず、・・・極めて慎重な議論が求められる」「農地は信用によって動くものだ。農家から農地を収奪するようなペナルティーではなく、関係機関が一体となり・・・出し手農家の理解を地道に得ていく努力が欠かせない。今後の政府・与党での議論は、農村での農地の貸し借りの実態をしっかり踏まえるべきだ」と述べています。各県の実績に基づく差別的な対応を含めて、まさに上からの強権的また地方自治をおびやかすやり方、農家、農村の実態を無視した押しつけは到底認められるものではありません。

 今回の規制改革実施計画をどう受け止められるか、また国に対して、農家、地方の声を届けるべきだと考えますが、農業振興部長に御所見を伺います。

昨年から稼働した農地中間管理機構ですが、14年度の貸し出し、売り渡し面積は全国で3.1万ヘクタール、政府目標14万ヘクタールの22%にとどまっています。高知県の実績、その評価、問題点について伺います

 

■農業振興部長

今回の規制改革実施計画をどう受け止めるのか、また国に対して農家、地方の声を届けるべきではないか、とのお尋ねがございました。

 6月30日に閣議決定されました規制改革実施計画については、今後詳細が決まっていくものと承知しておりますが、例えば、お話のあった遊休農地の課税強化については、比較的営農条件の良くない土地が多い遊休農地が、仮に農地中間管理機構に貸し出されたとしても、条件の良い農地を希望する担い手への農地集積に対する効果は小さいのではないか、また、実績を上げた県への予算の優先配分については、実績が低い県では、本来積極的に支援するべき意欲的な担い手の「やる気」を削ぐことになるのではないか、といったことが考えられます。

 県といたしましては、本県農業の発展に繋がるような施策の見直しとなるよう、様々な機会を捉えて、国に対して地域の実態を伝えてまいります。

 

農地中間管理事業の改善や、将来にわたって農地を守っていくための取り組み、についてお尋ねがございました。

 ご指摘のありました、受け手が見つかるまでの農地管理と、地域の担い手を貸付者に選定することについては、本県では、一定の条件の下、既に対応できる仕組みとしているなど、事業のルールの範囲内ですが、地域の実情に即した運用に心掛けております。

 一方、機構集積協力金については、交付要件である貸借期間の短縮など、現場で柔軟な活用ができるよう、国に対して要件の見直しを提言しております。

今後、さらに効果的に事業を実施するためにも、今回いただきましたご意見や、現場の実情を踏まえ、さらなる改善に繋げたいと考えております。

あわせて、将来にわたって地域の農地を守っていくためには、地域の農地をどうしていくかの明確などジョンと合意の基に、農地の担い手への集積などに取り組んでいく必要が

あると考えています。

県といたしましては、市町村や農業委員会などと一体となって、地域農業の将来像についての話し合いを促すとともに、集落営農の推進や基盤整備など各種施策を組み合わせ、計画的な農地集積に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 

●塚地県議

  いま、後継者不足や高齢化などによる耕作放棄地の拡大は深刻で、その解決のためには、根本的には農業経営が成り立つ条件の整備が不可欠であることは言うまでもありません。同時に、遊休農地の再生、担い手の確保と農地の荒廃を防ぐ有効利用による、農村地域の環境を守ることが求められています。

  そのためには、当面受け手の見込めない農地も農地中間管理機構の借り入れ対象にし、受け手が見つかるまで管理や基盤整備を行う、貸し出し先は地域の担い手を優先し、借り受け希望者の不足する場合には地域外の新規参入を進める仕組みにする、機構集積協力金を柔軟に運用する、などの改善、拡充が必要です。

これらを国に求めると共に、それまで高知方式として独自の取り組みとして実施すべきと考えますが、将来にわたって農地をどのように守っていくべきかという観点から農業振興部長にお伺いをいたします。

 

■農業振興部長

本県の農地中間管理機構の実績とその評価、問題点についてのお尋ねがございました。

本県では、担い手への農地集積を今後10年間で2割から6割まで増やすことを目標とし、昨年度は、農地中間管理事業を活用して100haの集積を目指してまいりました。

 農地の集積には農地所有者との信頼関係構築が重要であることから、現地に入り込んで活動する「推進支援員」を農地中間管理機構に順次配置し、農地の権利関係の調査、出し手と受け手との合意形成などに取り組みました。

 その結果、昨年度は賃借で23.8ha、売買で3.9ha、合わせて27.7haの農地が農地中間管理機構を通じて集積されましたが、年間の集積目標には届いておりません。

こうした実績につきまして、外部委員からなる農地中間管理事業評価委員会から機構に対し、「体制整備や取り組みはおおむね評価できるが、目標達成のためには一層の工夫と努力が必要」との意見が出されています。

そこで本年度は、これまでの取り組みをさらに強化するために、推進支援員を増員すると共に、農地を借りたいという人が必要としている農地の具体的な条件を再度確認をして地域を絞り込み、その地域の事情に詳しい農業委員等のより積極的な協力を得て、出し手の掘り起こしに努めてまいります。

 

 

【宿毛湾・宿毛湾港の利活用】

●塚地県議

最後に、宿毛湾・宿毛湾港の利活用についてお伺いをいたします。               

本県の重要港湾である宿毛湾港と宿毛湾は、物流においても、漁業振興においても重要な役割を担っています。高知の海は、全国でも魚種がきわめて豊富な漁場であり、その中でも高知宿毛湾漁協は、多くの漁法が許可され操業しており、全国有数の規模を誇る養殖漁場も宿毛湾、まさに宝の海、本県漁業振興の中核を担っており、産業振興計画の水産業の目標達成のためにも、さらなる振興策の展開が求められています。

質問①:まず、宿毛湾港と宿毛湾の、産業振興の上での評価と位置づけをどのように考えておられるのか、知事にお伺いをいたします。

 

●塚地県議

しかし、この宿毛湾港の利活用に、重大な変更がもたらされる事態が生じています。

宿毛市は平成27年2月24日付けで、「重要港湾『宿毛湾港』等の利活用について」という要望書を宿毛市長、市議会議長、商工会議所会頭の連名で防衛省に提出しています。2月23日には、副市長、副議長、商工会議所会頭、商工会議所課長が上京、そこに高知県東京事務所所長、宿毛市選出の県議の方などが同行し、中谷防衛大臣を訪問、上記の要望をおこなっています。その要望内容を少し長くなりますが紹介をいたします。「新防衛大綱において、統合運用能力評価の結果を踏まえ、『南西地域の防衛体制の強化を始め.• • •海上優勢及び航空優勢の確実な維持に向けた防衛力整備を優先することとし、幅広い後方支援基盤の確立に配意しつつ、機動展開能力の整備も重視する』とされておりますところ、宿毛地域は、南西地域の『近からず、遠からず』の後背地としての地勢的条件を固有に備えており、物資の集積、装備品の整備、海上•航空•地上輸送や後送、事前の展開準備(部隊編成•訓練)などを行うための『(統合)近傍作戦根拠地)』として、最適の候補地と思われます。つきましては、宿毛湾港をはじめとする当地域の活用について、自衛隊の格段のご配慮を賜りますようご要望申し上げます」というものです。

中谷防衛大臣は、ご自身のホームページに、「高知県と宿毛市のみなさんからの要望」「海上自衛隊部隊誘致の要望を頂きました。新防衛大綱の統合機動防衛力の拠点として利用できるとのことです。宿毛市の宇須々木は連合艦隊の基地でした」と書かれています。

この要望書は、単なる自衛艦の寄港促進ではなく、事前の展開準備(部隊編成•訓練)などを行うための誘致で、尖閣や南シナ海有事に即応できる軍事拠点「近傍作戦根拠地」としての活用を要望していると思われます。単に「自衛艦の寄港回数を増やしてほしい」という水準のものではありません。2月25日付け高知新聞は「宿毛に自衛隊拠点を」の見出しで、「南西海域での防衛体制強化のため、物資の集積や輸送、部隊編成や訓練を行う後方支援拠点として宿毛地域は最適の候補地と訴えている」と書かれています。

質問②:この陳情には、東京事務所長も参加をしており、中谷防衛大臣もホームページに書かれているように「高知県も要望した」との受け止めとなっていますが、知事はこの要望内容を当時、承知されておられたのかお伺いをいたします。

 

要望書が誘致を求めた、「統合近傍作戦根拠地」とは、県民には耳慣れない言葉で、具体的にどのような機能がもたらされるのか判然としません。どのような規模の、どのような機能を持つものか改めて、県民に具体的にわかるご説明をいただきたい。先日、私たち県議団は、宿毛市、大月町に調査に伺い、漁民の方にもお話を伺ってまいりました。ある漁業組合長さんは、「初耳で、全く知らない」といっておられましたし、私ども、県議会にも全く説明はありません。

しかし、拠点化の要望の影響の現れと思われる動きが出ています。その1つが、海上自衛隊が実施した宿毛湾の海底調査です。

6月4日付けの高知新聞によりますと、調査は5月14日から17日に宿毛湾港新港沖で実施、第101掃海隊の掃海管制艇「まえじま」「くめじま」の2隻に分かれ、水中無線機で海中を撮影し、海底の泥を採取した。泥の質を確認することで、海底に機雷を敷設された際に、機雷がどのくらい沈むかが分かるという」という記事を伝えています。「艦艇の安全の確保に資する」のが目的という説明を加えてはいますが、宿毛湾港は県の管理する重要港湾です。

質問③:この調査にどのような説明を受け、同意をされたのか、土木部長にお伺いをいたします。

 

この間の一連の動きは、県の重要港湾の利活用計画にとっても重要な変更がもたらされ、今日の政治状況のもと、県民生活にも大きく関わる事柄であるにもかかわらず、県議会には、今もって説明もされていません。こうした段階で、中谷防衛大臣が公式のホームページにも記されているように、「高知県も要望した」とされているのは看過できるものではありません。先の要望内容は、宿毛市民はもとより宿毛湾で漁業を営んでいる方々にも、宿毛市議会の議論も経ていないもので、あまりに住民無視であり、今、地元でも問題になっています。

質問④:東京事務所長が同行したことで、「県も要望した」ことにはならないと思いますが、知事は、要望活動に参加したことをどのように位置づけられているのかお伺いをいたします。

 

年間150億円の水揚げ高の恵まれた宿毛湾漁業をさらに発展させ、加工業・販売店・飲食店など漁業に深く関わっている宿毛市民の生活を大切にすることにこそ力を注ぐべきです。

宿毛市は、環境・資源に恵まれていて、まだまだ地域産業づくりの可能性があると言われています。

質問➄:将来をみすえて、子ども達に豊かな宿毛湾漁業と宿毛湾港を商業港として発展させることこそ、県政の課題だと考えますが知事のご所見をお伺いします。

 

■知事/質問①と➄への答弁

宿毛湾港と宿毛湾の産業振興の上での評価と位置づけ、また、宿毛湾漁業と宿毛湾港の商業港としての発展についてお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えいたします。

宿毛湾では、ブリやマダイ、クロマグロなどの養殖業をはじめ、まき網や一本釣りなど様々な漁業が営まれております。その生産量は、本県の沿岸漁業生産量のおよそ4割を占めており、重要な海域だと考えています。

宿毛湾港につきましては、現在、工業流通団地に進出している企業の原材料や養殖飼料、フェリーなどの物流拠点として、また、クルーズ客船の寄港などの観光・交流拠点として利活用されており、地域の産業振興を支える重要なインフラであると認識しています。

 今後とも、宿毛湾の漁業や宿毛湾港の発展に向けて、養殖生産量の拡大や加工、流通販売など様々な漁業振興の取組を進めるとともに、企業誘致やポートセールスにより、西南地域における人や物が行き交う拠点として、宿毛湾港の一層の利活用に努め、若者が誇りと志を持って働ける地域の実現につなげてまいりたいと考えているところです。

 

■知事/質問②と④への答弁

宿毛市などが本年2月に防衛大臣に提出した要望書の内容を当時承知していたのか、また、防衛大臣への要望活動に東京事務所長が同行したことをどのように位置付けているのか、とのお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。

宿毛市では、平成25年3月に、宿毛商工会議所から提出された「宿毛湾港『海上自衛隊潜水部隊等』の誘致について」の請願を、市議会において採択されており、これを受けて、市、議会、商工会議所が一体となって、防衛大綱の見直しなどにあわせて、海上自衛隊の誘致に取り組んでおられることはよく存じております。

ご質問のあった本年2月の要望につきましても、その活動の一環と認識しているところであります。

自衛艦の寄港の誘致や災害支援については、地域経済の活性化や防災の観点から、県は、これまでも、宿毛市と一緒に、国への政策提言を行っています。

宿毛市の要望にある近傍作戦根拠地については、その規模や機能などは明らかになっておりませんが、地域経済への波及効果や大規模災害時の防災支援の効果が期待される一方、

実現にあたっては、既存の港湾利用者との調整など、様々な観点からの検討が必要になると考えています。

県としましても、宿毛市、宿毛市議会の意向をし、また、住民の皆様の様々なご意見も伺いながら、地元の取り組みをしっかりと支援してまいりたいとの考えでございます。

 

■土木部長/質問③

宿毛湾の海底調査について、どのような説明を受け、同意をしたのかとのお尋ねがありました。

宿毛湾周辺での海底調査については、海上自衛隊から説明は受けておりません。

 また、調査を実施した場所は公表されていませんが、仮に港湾区域内でも、新聞記事にあるような調査であれば、工事や占用に該当せず、また港湾の利用、保全、開発等に支障をあたえる恐れがないことから、港湾法に基づく手続きを行う必要はないと考えております。

 

 

【塚地県議 第2問】

●塚地県議

 原発の再稼働問題で知事にお伺いします。

 基準地震動の問題は、これから勉強もして、おおいに問題点も勉強会の中で深めてさらにいただきたいということはお願いしておきたいと思いますが、最後にご答弁をいただきました自然エネルギーへの転換ということで、ぜひ具体的にそういう方向を進めていただきたいと、具体的提言をしていきたというご答弁をいただいたと思います。

その具体的な点が何かということで、ぜひこういうご提案をしていいだきたいと思っていることで、ひとつは、2014年度の四国電力の決算が発表をされまして、それを見させていただきますと、電気料金の値上げ等によって収入も増えまして、経常利益は194億円ということが計上されたわけです。一方、支出の方では、発電をしていない原発を維持するために、48億円増えて642億円という数字に、私の調査ではそのような数字になっています。

 また電気事業の設備投資では、548億円の内、原発関連が269億円と半分をしめておりまして、自然エネルギーの普及に必要な送電網の整備ですとか、効果をあげるための投資というのは45億円にとどまっているというような状況の数字を私の方では調査をさせていただいていますが、この間、議会でもずっと提案をしてきたように、発電をしない老朽化した原発をそのまま維持するための維持経費というものが大変大きなウエイトを占めている状況です。そこを改めさせていくということが、これから自然エネルギーへの転換も、脱原発ということの具体化にとっても非常に重要なポイントになるのではないかと思いますので、ぜひ知事が先ほどおっしゃった具体的提案をしていくということに、老朽化した原発の廃炉ですね、そのことは早急に取り組むべきではないかという具体的提案をぜひおこなうべきではないかと思っていますので、その点、一点、伺いたいと思います。

 

■知事

 原発について、ご指摘のように老朽化した原発の廃炉を求めていくべきではないかというお話でございます。

 老朽化した原子力発電所についてどうするべきかということについてですね、この勉強会でも確認している中、28年に向けて色々検討を重ねていくというふうに四国電力においても、いまのところは一般論的な回答をいただいているわけでありますけれど、今後、少し議論を深めさせていただきたい論点だなと、そのように考えているところであります。

 ただ、先ほど言われましたように、確かに発電をしていない原発が大きく経費を食っていることも確かでありましょうが、廃炉ということになりましてもまた膨大なお金がかかることは塚地先生もご存知のとおりでありまして、やはりそういうところのトータルのバランスも考えていかなければならない問題であるということは一点、留意点としてあげさせていただきたいと思います。

 ただもう一つ、私も脱原発という話も申し上げ、その方向を維持すべきだということも言っています。そしてその進展スピードそのものについては正直、科学技術、社会のシステムいかんによるんだろうと、そのように考えています。10年後にできるようになるのかもしれませんし、100年かかるかもしれません。ただ、いずれにしてもその方向性というのをいかに維持し続けるかということが非常に大事だと思いますし、その具体的な努力をしっかりし続けるということが非常に大事だと思います。

 私たち県としても、ささやかかもしれませんが、木質バイオマス発電所をはじめ、ひとつひとつの取り組みをすすめてますし、それを私は県の利益にかなうと思っています。ぜひ四国電力に対しても具体的な努力を求めていきたいと考えているところです。

 

●塚地県議

 宿毛湾の問題について知事にお伺いします。先ほどの知事の答弁にちょっと驚いてしまいましたが、私が今回問題にいたしましたのは、統合近傍作戦根拠地というものが、今回新たに提案をされたわけです。

今回新たに提案をされた中身が、私たちは初耳だし、中身としてどんな規模になるのかも分からないし、書かれていることをみると訓練や部隊の再編もおこなうということが書かれてあります。これは私たちがこれまで宿毛湾の活用でこういったことがおこなわれるようになるということは議会でも議論もしていません。

先ほど知事はご答弁で「規模は機能は明らかになっていないが自衛隊の誘致は」とおっしゃいました。規模や機能が明らかになっていないのに、それを認めるという態度はいかがなものかと、しかも先ほどおっしゃったように、宿毛湾港を商業港として発展させる、宿毛湾の漁業を発展させると、そこにどんな矛盾が生じるのかという具体的中身も示さなくて、これを推進していくということをただ鵜呑みにする発言でどうなのかという点は再度ご答弁を求めたいと思います。

 

■知事

 宿毛湾について、鵜呑みにしてはいけないでしょうから、よくよく調べて対応も決定していくということになろうかと思いますが、先ほど私が言及もさせていただきましたけども、宿毛市議会において、そもそも海上自衛隊潜水艦部隊および掃海部隊の宿毛湾誘致についてということで市議会としての請願採択がされているわけであります。そしてご指摘のこの要望書につきましても、私コピーを持っておりますけれども、これによりますと、宿毛の市長、市議会議長、そして商工会議所会頭が連名で要望されているというわけでありまして、決してそれは宿毛市としてその関係者、しかも中心となられる方々が、議会も含めてですね、これはされた要望と言うことになるんだろうと思います。

 市議会で採択された一定の方向のもとにおいて、今回、市長さんと市議会議長さんとそして商工会会議所の会頭さんがそういう要望をされたという事実というのはそれは重いし、私は基本的に市町村が行っていこうとされていることについては、しっかり応援をさせていただきたいという立場でありますから、そのことを申し上げたわけでありますが、ただ、ご指摘のように確かに近傍作戦根拠地と言う言葉が意味するところがどういうことであって、広域的にもどういう影響があるかということついては、宿毛市のみなさんともよく議論をさせていただかなければいけないところはあると思いますし、住民のみなさんに懸念の声がある、それは今日議会で先生に伺いましたが、そういうことであれば、そこに耳を傾けなければならないことは確かだろうと思います。

 ただ、こういう要望書が、こういう連名でもってなされているということ、そして宿毛市議会での採択があるといこと、この事実はそれでまた重いのではないかなとそのように思っています。

 

●塚地県議

 宿毛湾の問題は、自衛隊の基地の誘致は難しいと判断をして、今回こういう要望に変えたんだというのが市長のお話でございます。

 それは自衛隊の基地だと漁業に与える影響も大きい、で、これに変えたんだと、でもその変えた中身は具体的には私たちにも分からないし、しかも漁業にどれだけの影響が与えられているかもわかっていません。それは議会でも、この問題は議論はされていないと、私も伺っております。それは事実を確認していただいて、県がこの3名の連記があがってきたから、住民の合意なんだ、市議会の合意なんだというふうな受け止めでは私は誤っていると、実態と、思いますので、よく調査をしていただいて、これからの対応を、宿毛湾を商業港として、宿毛湾を本当に美しい漁場として守るという、最初に示した知事の姿勢を崩すことなく、それに影響があるならストップをかけるというぐらいの県の重要港湾と漁業を守る立場でぜひともご尽力をいただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 

 教育長、大変ご苦労されている臨時教員問題、あえて聞きませんけれど、10年間の長期スパンを考えた時に、採用をするのはなかなか難しいんだというふうにおっしゃっています。10年先にどうするかという問題ではなく、やっぱり今この時点で、本当に目の前で子どもたちが先生がいなくて困っているという状態は正に緊急事態で非常事態だということです。私はやはり非常事態宣言を発するぐらいの気持ちでこの問題の解決に全力で当たっていただきたいということをお願いをしておきます。

 

 最後に、知事、安保法制の関係は、もう少し認識を深めていただかなくてはなりません。国自身が立法事実を示さない中で、この立法事実がないといわれている状況で、知事が思い付きでおっしゃられてもこれは納得がいかないということを申し上げて私の一切の質問とさせていただきます。