議会報告

  • 2015年12月28日
    2015年12月議会 消費税増税を前提とした2016年度税制大綱に反対する意見書への賛成討論 塚地佐智県議(2015.12.25)

 

 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となっています、議発第8号「消費税増税を前提とした2016年度税制大綱に反対する」意見書議案に賛成の立場から討論を行います。

政府は、2017年4月からの消費税10%増税を前提とした2016年度税制改定についての大綱を決定し、安倍政権の来年度予算案に盛り込みました。しかし、国民、県民の反対の声は大きく、このまま消費税増税案を黙認できるものではなく、今後の国会審議に対し、県民の声を届けることは重要なことだと考えています。

税制大綱は、法人税の減税は前倒しし、消費税については2017年4月からの10%への増税を「確実に実施する」ため、食料品など一部の品目を8%に据え置く対策を決めました。しかし、そのために必要なおよそ1兆円もの財源は、2016年度末までに「安定的な恒久財源を確保する」とのべるにとどまり、まるまる先送りという無責任ぶりをしめしています。しかも、一部の品目の税率据え置きは、負担の軽減でもなければ、低所得者対策にもなりません。税率据え置きで税収が減ると言われる1兆円を差し引いても、消費税率の2%引き上げによる増税分4兆4千億円は国民に重くのしかかってまいります。軽減どころか、昨年4月の増税に次ぐ、大規模な負担増で国民の暮らしも日本経済も徹底して痛みつけられてまいりました。

私たちは、総務省「家計調査」、2人以上の世帯をもとに、消費税率が10%に増税された場合の負担額を算出をいたしました。与党が決定をした、2017年4月に消費税率を10%に引き上げる際、「酒類・外食を除く食料品全般」の消費税率を8%に据え置いたとしても、平均年収世帯の1年間の消費税負担は25万5,000円で、現行8%より4万1,000円の負担増となります。勤労者世帯の消費税負担は年27万9,000円にもなってしまいます。

年収に対する消費税の負担率を年収階層別に計算をすると、年収200万円未満の最も低い層で現行5.9%が、増税後、酒類・外食を除く食料品を8%に据え置いとしても6.8%に負担率が上がります。負担率は年収が増えるほど小さくなり、年収1,500万円以上の層では現行2.1%、増税後は2.6%で、最も所得の低い層との差は増税でさらに広がることになっていきます。食料品の税率据え置きが低所得者対策にならないことは明らかです。しかも、食料品の値段が抑えられる保証はありません。食料品本体の税率が据え置かれても、販売価格の大部分を占める物流コスト、包装代、電気代などには10%の税率が係り販売価格の値上げの圧力になるからです。

消費税は、「社会保障のため」といいながら、安倍政権が行っていることは、低福祉政策のオンパレードといわなくてはなりません。これまで、医療では入院食費や高齢者の窓口負担増、介護では要支援者の保険給付を制限、年金給付、生活保護費の削減を強行いたしました。今後も、社会保障費の自然増を毎年3,000億から4,000億円削減する方針を打ち出しています。その上、「軽減税率」の財源確保のために「低所得者対策」に当てるとしていた4,000億円を取りやめるといっているのですから、本末転倒、ひたすら、立場の弱い人たちに負担を押しつけるもので断じて認めることはできません。

さらに、消費税の増税は、景気を冷え込ませ、日本経済に決定的なダメージを与えます。2014年4月に8%に引き上げて以来、GDPは14年全体でマイナス0.9%のマイナス成長に落ち込み、「景気回復の低迷は一時的」といっていた政府も「言われたよりはるかに深刻だった」と菅官房長官が発言し、本年7月~9月の改定値でも個人消費は速報段階よりも落ち込んでいます。10月の家計調査でも、消費支出がマイナス2.4%。勤労者世帯実質収入もマイナス0.9%となっています。消費税の増税は消費を冷え込ませ景気悪化を招くのは必至です。

一方、法人実効税率を20%台に引き下げる減税の前倒しを、経団連は「歓迎する」、経済同友会は「高く評価する」と財界は大歓迎を示しています。「『稼ぐ力』のある企業等の税負担を軽減」という税制改定が財界・大企業の利益優先なのは明らかといえます。

国民には増税を押しつけ、一方、300兆円を大きく超える内部留保金を増やし続けている力のある大企業の税負担は軽くする税制改定は経済のゆがみをますます拡大をしていきます。消費税増税は中止するとともに大企業減税もやめ、大企業・大資産家の応分の負担と景気拡大で歳入を確保する消費税に頼らない税制度を確立すべきです。

とりわけ、低所得者の多い本県の県民の暮らしは、今でもきわめて厳しいものがあります。中小零細業者が圧倒的に多数を占めている本県産業界にも、新たな事務負担や、身銭を切ってのさらなる税負担が生じ「10%になれば営業は続けられなくなる」との悲痛な声が広がっているのを同僚各位もお聞きになっているのではないでしょうか。県民のこうした声にしっかりと耳を傾け、消費税10%増税を前提とした、税制大綱には反対の声をあげ、政府、国会に届けるため、本意見書へのご賛同を心よりお願いをし、私の討論といたします。