議会報告

【質問項目】

1、ビキニ被ばく

2、学力テスト

 

 

【ビキニ被ばく】

●吉良県議

62年前の195431日から2か月半の間、アメリカは太平洋・ビキニ環礁で6回も水爆実験を強行。それに遭遇し被爆した日本のマグロ漁船の「放射能汚染検査」の記録文書が厚労省から公開され2年経ちました。被曝したのべ992隻のうち高知県の船はのべ270隻、実数は117隻といわれています。

公開された後、本県は201412月に、厚労省健康局総務課長に対し、新資料の科学的検証と元乗組員などへの健康影響を国としてまとめ、適切な救済支援措置を早急に実施するよう要望・提言しました。厚労省は、翌1月に厚労科研費研究班を設置し検証を始めました。

一方、2016年、今年の226日、ガン発症した高知の元船員6名と遺族4人が、全国健康保険協会高知支部に船員保険の労災適用を求めて集団申請しました。31年にわたって350名もの高知の被爆船員を掘り起こし調査してきた太平洋核被災支援センター山下正寿事務局長は、記者会見で「主だった関係者は8割がた亡くなっている。県の助言で書類を揃えることができた。何とか早めに認定につなげたい」と語りました。

更に59日、高知の元船員ら45人が、国家賠償を求める集団訴訟を起こしました。被災資料を隠してきた公文書開示義務違反と、被災者への援助と被害を回復する義務=作為義務を全くしなかった責任を問う訴訟です。マグロ漁船「第二幸成丸」の元乗組員で40代で仲間を相次いで失い、胃癌で半分を切除した原告団代表の桑野浩(ゆたか)さん(83)は「ここに来るまで62年待たされたのか」「国は正直に被ばくの事実を認めてほしい。真実を明らかにし、亡くなった仲間に報告をしたい」と無念さを滲ませて語ったと報じられています。

被災者が国を提訴した同月531日、厚労省研究班は、研究代表者明石まこと名で、ビキニ水爆関係資料の線量評価に関する研究「平成2627年度総括・分担研究報告書」を出しました。

検証を提言した本県に対し、「研究報告書」に関する説明あるいは連絡等、どのような対応が厚労省からあったのか、健康政策部長にお伺いします。

 

■健康政策部長

 研究報告書につきましては、研究班から厚生労働省に提出された後、すみやかに本件への送付がありました。ただ、研究結果についての説明は特に受けていません。

 

●吉良県議

なかなか専門的内容ですので、本来、説明をしてしかるべきだと私は思います。そもそも開示に当たっての厚労省の対応姿勢は、黒塗りや重要な被災船外し、また、被ばく線量を過少に評価したメモを取材記者だけに配布するなど、60年間放置してきた事件を解明しようとする姿勢が見られませんでした。報告内容は救済支援措置の有無を左右するものであり、また、今後の放射線研究上の重要な資料となるものですから、

関係者が参加できる「報告会」や国会公聴会など、広く意見を求め検証がなされる場を設定するよう、厚労省に提言すべきだと考えるものですが健康政策部長にお考えをお聞きします。

 

■健康政策部長

 今回の平成27年度ビキニ水爆関係資料の線量評価に関する研究は、厚生労働省において定めた研究課題について、当該分野を専門とする研究者に依頼しておこなうものであり、研究方法などについては研究者が主体的に定めるものです。

 研究の評価については、学会等の場で専門家によっておこなわれるものと考えていますが、元乗組員やその家族のみなさんから今回の研究内容について分かりやすい説明を求める要望等があれば研究代表者にお願いしていきたいと思います。

 

●吉良県議

今回の研究班の報告は、最大の外部被ばく線量が、第12高知丸などで約1.12mSv、内部被ばくは極めて低く、健康に影響が出る被ばく量ではない。下痢や頭痛との関係は「放射線が原因と考えることは困難」と結論付けています。

この研究班報告に対して、県の「ビキニ環礁水爆実験の健康影響に関する健康等相談会」で講演と相談にあたった星正治先生や田中公夫先生はどのように評価なさっているのか、これも健康政策部長にお聞きします。

 

■健康政策部長

 新聞報道などで、最新の文献を読むという基本的なことが出来ていないという発言があったことは承知をしていますが、この報告書に対する見解を県としては伺っていません。

 

 

●吉良県議

それにかかわってですね、被曝した元被災船員らの支援を行っているビキニ被災検証会は厚労省研究班報告に関する申し入れを行い、両先生の研究と関連させて次のように指弾しています。

「広島大名誉教授・星正治グループによる血液(染色体)・歯(ESR)の検査について意見を求めず、国際学会で発表された元環境技術研究所の田中公夫博士の染色体分析からの線量評価の研究報告や岡山理科大の豊田新教授の歯の分析データについて、問い合わせもせず、引用もしていません。特に田中博士のビキニ被災船員の染色体異常のデータは『研究班』の報告書公表の2ヶ月前の20163月にドイツの学術雑誌Radiation and Environmental Biophysics に掲載されています。最新の先行研究から学び、研究協議するという研究上のルールも踏まえられていません」と研究原則に悖ると述べています。先程、部長がおっしゃいましたように、まさにこの評価も、星先生の評価と一緒じゃないかと思います。

また、厚労省研究班が、31日のブラボー実験時だけに調査対象船を絞っていることに対しては「調査した10隻の航路は326日までしか調査されず、第11高知丸、第2幸成丸,瑞洋丸、弟12宝幸丸、尾形海幸丸は26日以降の航路記録が消されている。327日に2回目の水爆実験ロメオ(11MT)があったからとしか思えない「…低線量被ばくである」という前提で船体汚染を推定しているため、2回目の実験影響をはずす必要があったとしか考えられません。3万カウントの船体汚染をした第8順光丸、長期入院で『水爆実験による白血球減退症の疑い』と診断された貨物船弥彦丸、歯の検査で319mSvの被ばくが証明された第5明賀丸などは、ブラボー以降の水爆実験中に操業・通過した被災船です。6回の核実験の影響調査をせず、最初の1回だけしか対象としないのは、証拠隠滅を意図した報告書と言わざるを得ない」と断じています。

その他、ビキニ検証会が指摘した問題点を以下紹介させていただきます。

①不十分な厚労省開示資料を基に、関係機関、研究団体、被災船員・遺族に一度も聞き取り調査をしていない。

②二つ目、放射線被ばくの健康影響は5年以上の経過を見る必要があるのに、開示文書中の白血球数のみで、健康に影響を与えるような被ばく線量がないと結論つけるのは、放射線被ばくの後影響を無視した非科学的な詭弁にすぎない。

③三つ、高い放射線汚染海水調査結果に研究者が完全防護した、政府の調査船「俊こつ丸」の第1次調査結果を全く引用していない。

④四つ目、貨物船「弥彦丸」の岡山大学医学部内科学教室の研究報告書で「傷病名・放射性物質による白血球の減少の疑い」と書かれた最も重視されるべき資料を分析していない。「前白血病状態」といわれる骨髄異形成症候群で亡くなった弥彦丸の元船医山本勤也医師が記した記録も分析していない。

⑤五つ目、検証会代表で静岡「ビキニ研究会」代表の聞間元医師は、広島・長崎の原爆症を認定する基準の一つは爆心地から3.5㎞以内の被ばくで、その外部被ばく線量は1mSvなので、厚労省研究班報告の「最大被ばく線量1.12mSv」という値は、健康に影響が出る被ばく量であり、船員たちにがん発症のリスクがあった事を認めたものである。第5福竜丸以外の船員も同程度の被爆だったことが明らかになった。

他は時間の都合で省きますが、このような疑義を生む研究報告では、研究者はもちろん本県はじめ全国の被災者が納得できるはずがありません。

高知県議会は本年2月議会で、全会一致で科学的検証による分析を求めています。また、2014年度「総括・分担研究報告書」の「結論」に「ビキニ水爆実験当時に被災した船員の被ばく線量の評価については、さらなる調査・分析が必要である」とも書かれています。

そこで、県は厚労省に対し研究体制と方法の改善と合わせ、科学的な分析結果を得られるべく、来年度も研究事業を継続するよう提言すべきだと思いますが、健康政策部長のお考えをお聞きします。

 

■健康政策部長

 今回の研究を踏まえての国の方針について、国へ改めて確認をしたところ、当該研究は厚生労働省が開示した資料の整理および約60年前の散逸した資料の収集をおこない、線量評価の可能性について検討をおこなうことを目的としたものであり、その目的が達成されたため、研究を継続することは考えていません、との回答がありました。

 国家賠償案件として係争中でもあることから、慎重な対応となることが予想されますが、県としては被ばくされた船員の皆様方に寄り添っていくことが大事だと考えていますので、もう一歩踏み込んだきめ細かな検証をしていただけないか、国に求めていきたいと思います。

 

●吉良県議

宜しくお願い致します。また、被災者はじめ、高知でですね、やはり報告をしてほしいという声もすでに上がっていますので、その声も県に伝えて報告会などもですね、先程の答弁もありましたように、一緒になって、もし声が上がればですね、応えるような取り組みもしていだきたいというふうに思います。

19853月、ビキニと長崎で二度、被爆をした藤井節弥さんの衝撃的な話を高校生たちが知ったことから、30年の間、歴史の中に埋もれていたビキニ水爆被災漁船員の存在がクローズアップされ、漁師としての誇りとわが人生を取り戻す取り組みが始まりました。高校生たちが元乗組員一人一人を探し出し被爆の事実を積み重ね明らかにしていく姿に触発され、医師や科学者、被曝者や漁船員、教職員など50人が集まり、19859月「高知県ビキニ水爆実験被災調査団」が結成されました。各地で調査団による健康調査が始まり、国や県に被爆調査や救済を求める活動が拡がり始めました。

翌年、198612月、高知県議会では「原爆被爆者と同じように保健行政を行うよう検討する」と答弁がなされ、翌19876月には、県の健康保健環境部から各保健所に対して「申し出があれば被爆者同様の検査を」と通知が出されています。その当時の厚生省と水産庁が、資料はないと、そして調査もできないと、無視を決め込んでいた時に、「被曝者同様の検査する」としたこの県の姿勢は、私は見事と言わざるを得ません。同年、土佐清水市は自治体としては初めての独自調査を実施して、267人の被災船員を把握しています。

被災漁船員の会も次々と立ち上がり始めました。19885月、高校生が始めて3年ですね、大方町で被災漁船員40人近くが「ビキニ被災船員の会」を結成。宿毛市では20人。室戸市では1990年に30人。そして県段階の「高知県ビキニ被災船員の会」は、1988年の5月の11日、第11富佐丸元漁労長・稲妻昴さん(世話人・高知)、そして第二幸成丸元船長・崎山さん(室戸)、そして今津さん(土佐清水)など、関係者26人で結成されました。

そして意見を集約し、県庁へ行き以下の4つの要求を行っています。①被災者調査を県指導のもとに実施、②定期的な健康診断の実施や医療費の補助、③適正な職員配置や研修、④原爆医療法をビキニ水爆実験被災者にも適応するよう政府に働きかけること。

そしてその後、9031日にドキュメンタリ―映画「ビキニの海は忘れない」が封切されます。高知の高校生によって核被災ビキニ問題が全国に、全世界に広げられることとなったわけです。

その907月の3日に、高知県議会に「ビキニ環礁における水爆実験にともなう被災船員の医療保障に関する請願」が6,228人の署名で提出されています。それは「241名中77名が癌や心臓病、その他の疾病で、年若くして死亡している」として、①被災船員の健康診断や癌検診、②医療費の補助、③実態の調査、④被曝者手帳交付など被爆者並みの扱い、を求めたものでした。残念ながら、この請願は否決をされています。その理由は討論に立っていないんで明らかになっていません。きわめてこれは残念なことだと私は思っています。

しかし、それから役員がこうやって出したものですね、役員が被災していますので、次々と死亡していきます。そして2001年には、ついに被災船の会の役員全員が死亡していなくなって、被災船員の会は自然解散となります。被災船員の実態調査や健康診断を主な活動としてきた「高知県ビキニ水爆実験被災調査団」も、ビキニ被災者の医療対策や外交文書の全面開示を求める「太平洋核被災支援センター」へと発展的改組となりました。

それから13年たった2014年、厚労省の公文書開示を契機に、県は2015年より、室戸市、そして土佐清水、今年は高知市と、健康相談会を3回開催しています。それは極めて大事な役割を果たしてきたと私は考えています。この県の取組は今年7月の黒潮町独自の健康相談会へと結び付きました。会場には25名の方々が参集し、そして米軍の飛行機が3回まわって、そして通信筒を落としていった、そこには危険なので7か国語で、危険なので私たちの方向に一緒に逃げてほしいということも書いていたというような証言も初めて出されて、そして5組の方々が健康相談を受けております。

県民の不安に寄り添う県の取り組みが、こうした取り組みが、被災者と遺族の心を間違いなく支えて、そして船員保険適用や国の不作為に向き合う力を育ててくれたと私は思っております。

土佐清水市での相談会での地元保健師が優れた役割を果たしたことも忘れられません。地元を知っている訳ですから、被災している船員の方とも、本当に分かっているわけですね、知っている、安心して会に来てくださる、

さて、来年度は、高齢化する被災船員の健康相談の身近な窓口として、このような保健師の役割を位置づけながら、この間実施してきた各地域での健康等相談会も、内容を吟味し継続実施すべきだと思いますが、健康政策部長にお考えをお聞きします。

 

■健康政策部長

これまで県主体で開催してきた健康等相談会では、市町村の保健師には問診や介護福祉的分野の相談を実施していただきました。また、相談会の後も家庭訪問などをしていただくなど重要な役割を果たしていただいています。

本健康相談会は、講演会とセットにした形で合計3回、県の東部、中央部、西部でそれぞれ開催したことや元乗組員の方々も高齢となってきていることから、この形式での健康等相談会は一旦終了して、今後は市町村と連携して個別に必要な方への相談支援をおこなってまいりたいと考えております。

 

●吉良県議

いまの答弁は、どうも縮小していく方向に、私は取れてしまうんですけれど、そうではなくてですね、常に相談の窓口は開いているよと、県としては節々にこういうこともやりますよと、いうことをね、やはり示していくということが、県民を励ますことになるんですね。いま、戦後史上初めて、世界の歴史上初めてですね、国を相手に自らの人生をかけて戦っている県民がいるわけですから、その立場に立ったですね、取り組みを県は引き続き行っていきたいと思います。

その取り組みがですね、生活に近いところで行っていく、それと同時に広く門戸も広げて、窓口も明確にしていくということであってほしいと思いますけれども、そういうことでしょうか。

 

■健康政策部長

 健康相談そのものは、当然、ご高齢でもありますし、個別に身近な方に対してやっていきます。そもそも新たな資料が明らかになりましたので、健康に不安を持たれている方に対して、しっかり説明をして少しでも不安を和らげていただこうということで行いました。

 せっかく来ていただけるので、講演というのも一緒にやりましたけども、講演というのは3か所でやりましたので、今後は講演というよりは、個別相談の健康相談の方に力点を置いてやっていきたいというふうに考えておるということです。

 

●吉良県議

了解いたしました。次に移ります。

食中毒や感染症など予期せぬことが発生すれば、県は、県民の健康を守るため調査し症状等を記録もするでしょう。同様に、ビキニ被爆によって被災した県民の災いを県史に位置づけ、記録化することは県行政の大事な任務ではないでしょうか。

長く被災船員の追跡調査をしてきた山下氏は、県や厚労省など公的機関がその気になればすぐに船員保険加入記録から被災船員リストが入手でき、その後の病院記録、健康状態や死亡診断書の閲覧を含め健康追跡調査が可能と思われると述べ、自分たちのような民間団体の聞き取り調査では、個人情報、非開示資料が多く、1隻の8割程度の判明まで6か月~1年以上もかかりますと述べ、行政による追跡調査に期待を込めています。

高知新聞の社説【ビキニ提訴】被災者に誠実に向き合え、は、「広島長崎に続きその1000倍もの威力に被災した船員はこの間、体調と被ばくの影響に不安を抱きながら生活することを余儀なくされた。がんを発症し亡くなった人も多い。今回の原告には死去した17人も含まれ、元漁船員は80代が目立つ。残された時間は多くない」とのべています。

そこで知事にお聞きします。県として被災船ごとに本県船員を確認し追跡調査を行い被爆の実相を後世に伝え残す取り組みを求めるものですが、お考えをお聞きいたします。

 

■知事

 県と致しましては、これまでこのビキニ被ばく、この被災船員の皆様方に対しまして、国に対して科学的検証をおこなって必要に応じて対応をおこなうように提言するとか、さらには少しでもご不安が和らぎますように、健康等相談会等、開催をするでありますとか、さらには船員保険の労災認定申請のお手伝いでありますとか、こういうことに積極的に取り組んでまいったところでございます。

 ご指摘のように、こういう問題について記録をですねしっかり残すということは非常に大事なことだろうと、そのように思います。ただ、要するに約60年前のことでありまして、さらに言えば様々な個人情報管理の観点の問題もあるわけでありまして、県でも極めて今後のさらなる追跡調査などについて困難な側面もあるのではないかと考えています。

 ただ、何か対応の仕方があるんであればですね、私共としても、県としてですね、関係者の皆様とお会いして十分にお話を聞くように部局に指示をしたいと、そのように考えております。

 

●吉良県議

意思はあるというご発言だと私は確認したいと思います。積極的にですね、やはり厚労省の方にも、水産庁の方にも出向いてですね、一応475隻、今回明らかになりましたので、追跡してですね、本県の船籍をまずは調べてみると、そしてどのぐらいの船員の被害があったのかということをね、残していくということは非常に大事なことだと思いますので、その方向でですね、また検討もしていただければと思いますけれど、再度、知事、お願いいたします。

 

■知事

 正直なところ、そんなに簡単な問題ではないと思っています。しかしながら、県であればどういうことがよりできるようになるのか、そういうことについてですね、関係者の皆様方にお話を聞いて、ちょっとその方法を探ってみるということを、ぜひするようにというふうに指示をしたいと、そのよう思っています。

 

●吉良県議

健康相談会を重ねた中で、この相談会を担当してくださつた鎌田先生、星先生、田中先生の3人の先生から被災船員や家族の証言集の作成が要望されています。数値だけではわからない被災直後や放射線の時を経た影響は貴重な体験であり、いま記しておかないと忘れ去られてしまうのです。

被災船員の証言集作成に向けて、多くの船員の手記や証言などを持つ太平洋核被災支援センターと連絡を取り、県としての取り組みを求めるものですが、健康政策部長にお聞きいたします。

 

■健康政策部長

 元乗組員の方々は、相談会でご自分の体験をよく話されており、話すことで心が和らいでいるという印象でした。このため相談にあたった専門の方々から体験談をまとめてみてはどうかというご意見が出されたものと承知をしています。

 また、太平洋核被災支援センターの関係者が、これまで多くの元乗組員の体験談を収集されており、すでに証言集の作成に着手されているとお聞きしていますので、センターより具体的な要望がありましたら、お話しをお聞きしたいと考えています。

 

●吉良県議

宜しくお願い致します。

かつて30年にわたり日本領であったビキニ環礁含むマーシャル諸島は、アメリカ占領後67回も核実験が繰り返され、住民と共に大地が海が被爆しました。汚染された海流と大気によって放射線は地球規模に広がり、そして、今また、福島第一原発事故による住民と大地、海への放射線汚染の危機であります。ますます先鋭化し大きくなるであろう人類と核の戦い、その中でのビキニ被災船での核被災への今の取組は、一地方の事ではなくグローバルな人類の課題に取り組んでいるといえます。核被災・放射線汚染問題解決の先進県として、県民とともに取り組みを積み重ねていただくことを県に求めてこの項を終えたいと思います。

 

 

 

【学力テスト】

次に学テ問題について質問させていただきます。

今年4月に実施された全国学力・学習状況調査の後、馳文科大臣が過去問を解かせるのは本末転倒だと批判し、その後、428日付で文科省は「過去の調査問題を練習させ、本来実施すべき学習が十分に実施できない」状況や、「数値データの上昇のみを目的にしている」状況は、「本調査の趣旨・目的を損なう」ものだとの通知を都道府県教委に出しています。

まず、いわゆる「過去問」をめぐる本県での状況について、教育長にお伺いいたします。

 

■教育長

 全国学力学習状況調査の問題には、これからの社会においてどのような力が求められるかといったメッセージが込められておりまして、これをしっかりと受け止めるためには、過去の問題も含めて教材として、授業の中で学習したり、児童生徒の学力の定着状況を把握するために活用することは大事なことだというふうに考えております。

 ただ一方で、学力学習状況調査を成績だけを上げることを目的として、過去の問題を繰り返し子どもたちに練習させることは、先程もお話しましたように本末転倒だというふうに思っております。このため県教育委員会では、文部科学省の通知を受けまして、各市町村教育委員会に対して、調査の趣旨・目的を再度周知するとともに、調査結果を上げるために過去問題を繰り返すことのないように、調査の目的を逸脱する指示をおこなってはならない旨の指導をおこなっております。

 また、今年度の結果の公表の後に、このようなことがおこなわれていないか、市町村教育委員会に聞き取り調査をおこなっておりまして、市町村の教育委員会からは、そのようなことはないという回答をいただいております。

 

●吉良県議

高知県教組がこの3月にですね実施したアンケートでは、各地教委が相当、過去問をやらすような、先頭に立ってですね、やらしているというアンケートがでています。先程、教育長がおっしゃたようなことではないですね。

例えば、全国学テまでの50日プラン、県版学テまでの70日プランが市教委から下され、その実施が強要されている。そして、市教委から印刷された過去問が回ってきた、どの時間に行うかは担任が決めればよい、問題形式に慣れさせるためと説明がされた、実際は算数タイム、金曜6時間目、月3回の学校裁量の時間に取り組んだ、これも市教委ですね。そういう意味では、教育長、今度しっかりとですね、各地教委を指導していくということが必要だろうと私は思うわけです。

そして、この小6と中3対象の全国学テだけでなくてですね、本県が独自に小学校45年生と中学12年生に課している県版学テをめぐっても似たような事象が起こっています。

「県版学テ」と言われている「高知県学力定着状況調査」の今年の実施日、112日の4日前に、県中部の中学校の英語教師が試験問題と酷似した練習プリントを配布。試験日までに解くよう指示した、このことは不適切な指導だと県教委が発表との記事が1月下旬に報道されております。

不適切とした理由をお聞きします。教育長。

 

■教育長

お話のあった事案につきましては、得点を高めることを直接に意図したものということではございませんでしたけれども、生徒の学力状況を把握し、補充学習や指導方法の改善に生かすという調査の目的をはき違えるとともに、調査目的を妨害することにもつながるという行為であったために、不適切な指導ということで指示したものでございます。

 

●吉良県議

それじゃないですね。

例えば、こういうアンケートが返っているんです。「二学期末を控えたある日、県版学テ対策にその過去問を12月中に全部行うように校長に言われた教員が『(今からそれをやると、予定しているところまで)教科書が終わらないので、出来ません』と答えた。すると、その校長は、『今はどっちが大事と思っているんだ』と怒鳴り返された」、このアンケートを見れば、英語教師をどうして責めることが出来るでしょうか。はき間違えじゃないです。間違いなく、校長なんかが出しているはずです。これは全国的にですね、過去問やドリル、類似問題は、何度も繰り返しやらせる事態はね、普通に広がっているんですよ。県版学テの結果が出ての取り組み含めてですね、もう一度点検し直すいうことが必要です。

そして、学校長をして授業時間を奪ってでも過去問練習へ、点数アップへと追い立てているものは「点数を競うのではなく」といっている文科省、県教委本人であることを私はここで指摘したいと思います。

高知県教育振興基本計画第3章、この基本計画ですね、これです第二期の、これにですね、「小学校の学力は全国上位を維持し、さらに上位を目指す。中学校は全国平均以上に引き上げる」ことを明記、また、冒頭で小学校国語A問題で全国平均を3.4ポイント上回る等々、数値を明示して意識化させています。こうなると、学校現場が「点数対策」に走りざるを得ないじゃないですか。上位を目指すというんですから。上位というのは点数でしょ。それでしか測れないんですよ。教育長もその自覚を持つべきだと思います。過去問やドリル、類似問題で測られる学力を何らかの指標として比較したり語ったりすることに余り意味は見出せません。

第2期教育振興基本計画における全国学力・学習状況調査の位置づけが、現場の点数競争をあおるものになっていると私は考えられるものですが、見直すお考えはないか、教育長にお聞きします。

 

■教育長

 第2期高知県教育振興基本計画、まぁ教育大綱も同じでございますけれども、その最終的な目標というのは、基本理念に掲げております、学ぶ意欲にあふれ、心豊かでたくましく、夢に向かって羽ばたき、郷土への愛着と誇りを持って、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り開く人材を育てるということでございます。

そのうえで、それに向けた取り組みの進捗状況を把握しながら、しっかりとPDCAを回していくためには具体的で分かりやすい指標が必要であると考えております。そのようなものとして、知の分野に関しましては、小学高の学力は全国上位を維持し、さらに上位をめざすと、中学校の学力は全国平均以上に引き上げるという目標を掲げているものでございます。

これは市町村や各学校の競争をあおるというものではなく、目標達成にむけて、それぞれの立場で達成に向けてがんばっていこうという主旨の目標だと考えております。あくまで学力向上に向けた取り組みの成果を示すKPI、重要指標として掲げているものであって、得点を高めることだけを目指しているわけではないということをご理解いただきたいと思います。

 

●吉良県議

 理解できません。

過去問の繰り返しではなくてですね、教育条件をしっかり整備して、そして教師が学んでうれしいという授業を創造できる、そういう方向にですね、県教委の基本理念、目標を変えていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。