奮戦情報

  • 2023年12月26日
    2024年度高知県予算編成に関する要望

日本共産党高知県議会議員団と日本共産党高知県委員会は12月26日、「2024年度(R6年度)高知県予算編成に関する要望書」を提出し、井上浩之副知事と懇談しました。

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懇談では、住宅・事業所などの断熱化・省エネ化、県としてのパートナーシップ制度の創設、港の軍事利用化が狙われている「特定重要拠点」問題などをめぐり議論。

 特に、「特定重要拠点」を巡っては、①11月15日に2度目の国からの来庁があり国土交通省四国整備局のみが説明に来たこと、②口頭のみの説明で高知港(新港含む)、須崎港、宿毛湾港が候補として示されたこと、③港の商用利用の妨げにならない平時の利用をすすめるとの説明だが、具体的な訓練・使用内容の言及はないこと、④県として口頭で情報をオープンにすることを求めたこと等の説明がありました。

 県議団としては、文書によって県民への情報公開を正式に求めるべきだと提起し、11月15日の来庁についても国から説明された内容を県として明らかにすべきと求めました。

井上知事は、国として港湾管理者(県)の合意なく指定することはないと説明を受けているとしましたが、情報公開については、現在はまだ口頭での説明のみで、国から正式な文書での要請がない段階で、県として文書で情報公開を求めるなどの対応する段階ではないとの認識を示し、まだ正式協議ではないと強調しました。

 しかし、事実上、候補が絞りこまれ、「平時の利用を進める」との名目で、軍事利用化に向けた合意に進みつつある中で、県民には国からも県からも明確な説明がない状態が続いています。県政の主権者である県民に情報を開示することは、民主主義の前提です。

 県議団は、このままなし崩しで「特定重要拠点」の指定に進むことがないよう、具体的内容を県民に明らかにすることを強く求めました。

 以下、要請文です(◎が重点項目です)。

 

高知県知事   濵田 省司 様

高知県教育長 長岡 幹泰 様

2023年12月26日

 

日本共産党高知県委員会

委員長 春名 直章

 

日本共産党高知県議会議員団

団長 塚地 佐智

2024年度(R6年度)高知県予算編成に関する要望書 (90項目)

~暮らしにケアを、一人一人の「困難」によりそう県政へ~

 

長引く物価高騰により県民のくらしは厳しさを増しています。また2022年の出生数は3721人と全国最少を記録、県人口の減少が続き67万人を割り込みました。これは、人口が最も多かった1956年88万3千人から20万人以上減少し、「大正時代」の水準まで下がっています。

中山間地域の疲弊、高齢化に伴う介護施設・サービスの不足、低所得、そして高い不登校率、南海トラフ等災害対策、ジェンダー施策の遅れなど高知県政には「課題」が山積していますが、県民が直面する困難に寄り添い「共感」する温かい県政こそが求められています

今年を象徴する漢字は「税」となりました。岸田政権は軍事費を年間5兆円から7.5兆円へ膨張させるなど軍事大国化をすすめていますが、その財源として庶民大増税や社会保障のさらなる削減が行われようとしています。「コストカット型経済」が今なお続く中、物価高騰への無策、実質的な消費税増税となったインボイス制度導入など国の悪政が県民の暮らしをさらに苦しめています。

世界では、来年2月で1年となるロシアのウクライナ侵攻、そしてイスラエルによるガザへの国際法違反の大量虐殺=ジェノサイドなど平和を脅かす事態が続いています。高知県は日本国憲法の源流の地でもあります。憲法に示される世界平和のメッセージを高知県からもしっかり発信していくことが必要ではないでしょうか。

国いいなりや国の悪政の下請け機関から脱却し、県民のいのちと暮らし、平和と人権を守る県政に転換するため、以下の項目で来年度予算要望をまとめました。来年度予算編成にあたって反映させていただきますよう強く要望いたします。

 

【「4つのシステムチェンジ」で、高知県の潜在力を引き出す地域循環型社会に】

高知県民の「暮らしの質」を改善していくことを第一に、内発的発展を中核に置いた地域循環型経済の実現、ケア分野をはじめとした賃上げや農林水産漁業・中小零細企業の振興、電気代等の低減を通じて、物価高騰への抜本的対策が必要です。

また、再生可能エネルギー普及によるエネルギー自給や農林水産漁業の振興(県土を保全する多面的機能の発揮)、また職員定数の改善など手厚いケア分野の整備は、南海トラフ地震をはじめとした災害に強いまちづくりにもつながります。

(1)ケアのチェンジ (21項目)

◎子育て支援を、子どもが健やかに成長できるための支援と位置づけ、子ども医療費の無料化=県として小学校卒まで拡充すること。あわせて全国でも広がる学校給食費を無料化すること。

●県内の介護・保育分野での働き手を確保するため、新規就労や復帰した場合に、県として独自に補助金を支給すること。

●高すぎる国保料(特に子どもの均等割免除)や介護保険料の引き下げのため市町村を支援すること。R12年度の国保統一保険料は大幅引き上げにならないように見直しすること。

●特別養護老人ホーム(多床室)をはじめ、希望者が入所できる高齢者施設の拡充など、介護サービスの地域間格差を解消すること。

●女性支援法にもとづく困難女性への相談支援員確保とともに、市町村での相談体制づくりの支援を行うこと。

●産婦人科がない地域をなくすため、産婦人科医医師確保、妊産婦への医療体制を確保すること。

●郡部など妊産婦健診受診時の通院費助成制度をつくること。

●保健師増員など、感染症対策をはじめとした保健行政を強化すること。

●介護保険利用料の原則2割負担導入など介護保険改悪を導入しないよう国に求めること。

●保育士が余裕をもって子どもと向き合えるよう、県独自の保育士加配措置をすすめること。

●健康保険証廃止は、国に対し中止を提言すること。

●必要な人が受けられるよう生活保護行政を改善すること。自家用車保有の許可要件を順守し、公共交通不便地域の多い地方での自家用車保有条件の緩和について国に求めること。

●コロナ禍で重要な役割を発揮した公立・公的病院について、国がすすめる縮小・廃止ではなく支援強化を国へ提言すること。県地域医療構想を撤回し必要な病床数を維持すること。

●コロナ後遺症への相談・対応を拡充し、医療費支援制度をつくること。

●加齢性難聴者の補聴器購入費を県独自で助成すること。

●医療的ケア児支援の施設増設、入所・通所・訪問系サービスの受け入れ拡大など支援法にもとづいた具体化をすすめること。

●児童相談所の児童福祉司など人員増員、高知市への児童相談所設置など児童虐待対策を強めること。

●県営住宅退去時のクリーニング・修繕費用は民間住宅に準拠するよう過度な請求をしないこと。

●住居確保困難者支援を強化するため、県営住宅の増設、建て替え、修繕を実施すること。住居を失った困窮者および難民等に対しシェルターとして県営住宅の空き室を利用できるようにすること。

●統一協会など反社会的集団による被害をなくし救済するため、相談対応の充実や県民への啓発に努めること。

●無料低額診療事業について、生活困窮者や県内在住の外国人への周知を強めるとともに、医療事業者負担となっている費用について財政支援を行うよう国に求めること。

 

(2)食料・農林水産漁業、産業政策のチェンジ (20項目)

◎資材・肥料・飼料など一次産業の必要経費への補助、重点作物への支援金、新規就農・就業者への支援を拡充すること。中山間地域など家族農業、小規模農業への支援を強めること。

●中小零細業者支援にあらゆる手を尽くし、最低賃金1500円を早急に目指すこと。県採用の会計年度任用職員の時給は1500円に引き上げること。

●公契約条例を制定し、中小零細業者の経営安定、地域の賃金上昇につなげること。

●学校給食での有機農産物活用を通じ、子どもたちが喜ぶ「食」を作り出すため、保護者、学校給食の関係者、行政、そして農業者が連携し、有機農業の普及・産地化を目指すこと。

●農家の自家栽培を原則禁止とする種苗法を改正するよう国に求めること。

●環境を守り災害防止にも効果のある自伐型林業・小規模林業への支援を強めること。

●燃油高騰支援や「原発処理水」海洋放出の風評被害対策など水産漁業の振興を強化すること。

●肥料の輸入依存を減らし、畜産業と農業の連携で、地場産の堆肥生産を加速させること。

●全産業で深刻な人手不足を解消するため、県内企業に勤務する若者へ奨学金返済支援策を強化すること。

●地域の商店・飲食店などでの消費を促す地域通貨の取組を後押しすること。

●価格転嫁が難しい中小零細業者に、電気代軽減など県独自の物価高騰支援策を行うこと。

●高知の食文化を担う「地消地産」の六次産品創出に支援すること。

●郷土の伝統ある食文化を守るため、HACCP対応など支援を強めること。

●関西万博・IR依存ではなく、高知の魅力を高める観光振興策をすすめること。

●多大な地元負担が伴う四国新幹線の整備でなく、在来線の利用者を増やし生活交通の存続に力を集中させること。

●市町村のコミュニティバスやデマンド交通など地域公共交通に支援を行うこと。

●深刻な運転手不足を解消させるため、交通事業者や市町村とも連携し運転手確保施策を強化すること。

●地域の経済を守るため、ガソリン税減税、消費税の減税、インボイス制度の中止、全国一律最低賃金の導入を国に提言すること。また小規模事業者も活用できる業務改善助成金の条件緩和・対象拡大を求めること。

●通信制の高校生へのJR定期券減免分を県として支援すること。

●ライドシェアの導入はしないこと。

 

(3)教育行政のチェンジ (21項目)

「子ども=未来」にもっともよい環境を。先生になるなら「高知」

◎県版学力テストは廃止すること。

●教員が心身ともに健やかに働ける環境づくりのため、学校現場の多忙化解消、さらなる働き方改革をすすめること。

●深刻な教員不足解消に向け、正規雇用枠を増やすこと。臨時教員の正規化を促進するため試験免除要件を拡充すること。

●学校現場でのハラスメントを根絶するため、相談機能の強化、独立した真の第三者機関設置など相談者に寄り添う体制を早急につくること。

●未配置・未補充状況を毎月公表し、「先読み加配」対応はじめ早期解決を目指すこと。

●他県と比較し異常に多い指導主事を現場に返すこと。

●全国トップクラスの不登校、いじめ対策を強化すること。

●子どもが楽しく安心して通える学校を作るため過度に管理的・競争的な教育を見直すこと。

●スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの学校常駐や、特別支援コーディネーター専任配置、子どもの居場所づくりをすすめること。

●地域コミュニティの核となる学校の統廃合はやめること。

●少人数学級を一層推進すること。

●教員の授業時間(持ちコマ数)の上限を設定し、それを可能にする県独自の教員配置を行うこと。

●特別支援学級は現在の1学級8人から6人へ定数を改善すること。

●教育でのデジタル活用について、子ども・保護者の同意なく情報が無限定に収集・管理・利用・提供されることを防止する自己情報コントロール権を設定するなど、適切な教育デジタル活用指針を策定すること。

●タブレットなどICT機器の故障や更新については保護者負担を導入しないこと。

●プールをはじめ学校施設の老朽化・長寿命化対策を強化すること。体育館へのエアコン設置をすすめること。

●高知県独自の給付型奨学金の創設と奨学金返済支援制度の再開・拡充をおこなうこと。

●過剰に管理的な校則について、児童・生徒の意見を尊重し見直しすること。

●子どもの意見表明権を保障し、子どもの声が教育施策に反映される「教育子ども審議会(仮称)」を設置すること。

●学校のスポーツ・文化クラブの地域移行は拙速にすすめないこと。

●子どもの年齢・発達に即した科学的な「包括的性教育」を公教育に導入すること。

 

(4)再エネ・省エネ推進へチェンジ (6項目)

◎住宅や学校、中小零細事業所など断熱化・省エネ対策を支援し、全県的な省エネルギー推進を抜本的に加速させること。県有施設の電力は100%再生可能エネルギーで賄うこと。

●「地球沸騰化」の時代に入ったといわれる深刻化する気候危機に対処し、ガソリン・電気・重油など(推計で年間1000億円以上)の県外に流出する県民のお金を地域で回す地域循環型経済に移行するため、再生可能エネルギー、省エネルギーの推進を抜本的に強化すること。

●県有施設の太陽光パネル設置、下水汚泥や上下水道活用した発電事業、畜産糞尿を活用したバイオマス発電など率先して事業化を行い、普及に努めること。

●市民・自治体が運営参加する地域電力会社の設立に県として支援すること。

●伊方原発はじめ再稼働、運転延長の中止を国へ提言すること。

●脱プラスチックに向け、積極的にプラスチック削減に取り組むこと。

 

【防災対策】 (9項目)

◎土砂災害を防止するため、盛土の規制強化、メガソーラーや大型風力発電などの乱開発規制を強めること。土砂災害につながる皆伐の影響調査を行い、再造林を着実に進めること。

●南海トラフ対策や風水害対策では要配慮者支援避難計画、避難所生活環境改善などソフト対策を抜本的に進めること。

●地域から要望のある避難タワー・避難路の整備をすすめること。

●福祉避難所およびこども福祉避難所を増設すること。

●車中泊避難者のため、トイレ・炊事施設を備えた駐車場を大規模公園などに整備すること。

●仮設住宅建設用地を県として確保すること。

●防災避難情報を迅速かつ正確に伝達するため個別受信機(自動起動防災ラジオ等)の普及推進、障害者への確実な情報提供をすすめること。

●1級河川および県管理河川について最大降雨量を想定した整備計画を着実かつ早急に実行すること。

●災害救助法の事前適用を積極的に活用すること。

 

【ジェンダー平等と多様性】 (6項目)

◎高知県としてパートナーシップ制度を導入すること。また、同制度を導入している自治体との相互利用連携を進めること。

●ジェンダー平等の推進、セクシャルマイノリティ・LGBTQ+の社会的包摂を促進する観点が、県の政策立案・行政運営全般に一貫して反映されるよう改善すること。

●国に対して、同性婚、選択的夫婦別姓制度の早期実現を提言すること。

●女性労働者が7割を超えるケア分野での処遇改善に取り組み、実効的に男女賃金格差を縮小すること。

●地域の防災活動に女性が参画できる環境整備や担い手育成に取り組むこと。

●県庁職員とりわけ庁議メンバーに女性幹部登用をすすめること。

 

【県土の平和を守る】 (3項目)

◎防衛省等がすすめる県内港湾の「特定重要拠点」整備について、県の港湾・空港は、商業など平和のために使う原則を順守すること。

●米軍の低空飛行訓練は止めるよう国、米国に強く求めること。併せて地位協定の抜本的改善を行うよう国に提言すること。

●日本国憲法の源流の地として、国際的な平和・文化交流事業を推進すること。

 

【コミュニティを育む 文化・芸術・スポーツの振興】 (4項目)

◎高知県で開催予定の第41回国民文化祭を契機に、地域の伝統的な祭り・行事などを維持・保存するため人材育成、団体への支援を通じ、後世に高知の豊かな地域文化を継承すること。

●県内のどの地域でも、高齢者や障がいを持つ方など全ての人が、芸術・スポーツに取り組めるよう、施設整備・環境整備に取り組むこと。

●アーティスト・イン・レジデンスの取り組みや地域のアートプロジェクト・芸術祭などを公的に支援し、地域の魅力に新たな視点で光を当てること。アートによって人と人が結びつく場を創出し、地域コミュニティの再構築・活性化を進めること。

●図書館や美術館をはじめとした文化施設の職員の専門家育成、待遇改善、増員も含め、地域とより密接に結びつく文化施設運営を進めること。また、各市町村の文化施設への支援を強化すること。