議会報告

  • 2012年02月28日
    知事の政治姿勢【社会保障と税の一体改革、産業振興、広域行政】、高知県立短大の存続、米軍の低空飛行訓練、東日本大震災・原発事故被災者の受け入れについて

2012年2月定例会 代表質問 米田稔議員

質問項目

  1. 政治姿勢【社会保障と税の一体改革】
  2. 政治姿勢【産業振興】
  3. 政治姿勢【広域行政】
  4. 高知県立短大の存続
  5. 米軍の低空飛行訓練
  6. 東日本大震災・原発事故被災者の受け入れについて

■米田稔 議員

日本共産党を代表して質問を致します。

1.政治姿勢【社会保障と税の一体改革】

■米田 議員

まず知事の政治姿勢について最初に社会保障と税の一体改革について知事に伺います。
 野田内閣は2015年までに消費税を10%に引き上げる方針をきめています。消費税が5%から10%に引き上げられると約13・5兆円の増税となります。県内各地の団体を訪問していますが、「とても生きていけない」「営業をつづけられない」との怨嗟の声が満ち溢れています。
 そもそも「一体改革」で社会保障はよくなるのでしょうか。増税分のうち政府の説明でも、社会保障の充実に使われる分は1%、2.7兆円にすぎず、それをはるかに上回る切り捨てのメニューが目白押しとなっています。 年金では「物価マイナス・スライド」と「マクロ経済スライド」を合わせて約2兆円の削減。子ども手当の減額で4400億円。今年は延期されましたが70歳から74歳の医療費の窓口負担の1割から2割への引き上げで1900億円。介護保険の軽度の方の利用料1割から2割への引き上げで800億円など年金削減と合わせて2・7兆円となります。さらに年金支給開始年齢引き上げが検討されています。68歳まで引き上げられたら、年金削減額は約6兆円。70歳で約10兆円におよびます。
 国会質疑の中でも、「社会保障の水準全体は引きあがらない」との日本共産党の指摘に、政府も否定できませんでした。増税と社会保障の切り捨て、これが「一体改革」の実態です。
 低所得の高齢者が多い本県にとって、極めて深刻な影響を与えると懸念されますが、消費税10%となった場合の影響額の推定とあわせて、お聞きします。

消費税は、価格に転嫁できない中小企業に深刻な打撃を与えます。

昨年、中小企業4団体――日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会の4団体が、「中小企業における消費税の転嫁にかかる実態調査」を行っています。「消費税が引き上げられた場合、販売価格に転嫁できない」という回答は、売上高1億円から2億円の中小企業で50%、売上高1000万円から1500万円の小規模企業は71%にもなっています。
 石沢義文・全国商工会連合会会長は、毎日新聞のインタビューで「(消費税)5%分もの負担がしわ寄せされれば、中小企業の利益は吹き飛ぶ。廃業が増え、国や地方の税収も逆に減るのではないか。中小事業主は消防団や祭りなど地域活動の担い手でもあり、地域の崩壊すら招きかねないと懸念している」とのべています。  
 全国中小企業団体中央会は、「消費が冷え込み、雇用の7割を担う中小企業に大きな負担がのしかかり、景気回復の動きを止める」「安易に消費税を引き上げないこと」との態度表明をしています。
 中小零細企業の多い高知県、産業振興にとりくんでいる本県にとって否定的な影響を与えると思うがお聞きします。

消費税増税は安定財源の確保につながらないことは歴史が証明しています。

1997年に消費税増が5%に増税されましたが、増税前の1996年度の税収は90.3兆円、2010年度は76.2兆円と14兆円も減少しています。消費税収は増えても、法人税、所得税を軸に国・地方の税収は大きく落ち込んでいます。
 
 98年7月の「経済白書」は「(税負担増の)影響は予想以上に大きく現れた」と甘い見通しの誤りを認め、“想定外”の不況となった原因の「第一は、消費税率引上げ…等の影響が長引いたことである」と明記しています。時の橋本首相は、この失政を国民に謝罪しています。97年の負担増は、直前の5年間に雇用者所得が253兆円から272兆円へ19兆円増える中でしたが、それでも日本経済は大不況に突き落とされました。内閣府が発表した昨年のGDP統計によると、雇用者所得は244兆円で、この5年間に10兆円も減少しています。所得が大きく減少し、デフレスパイラルが大問題となっている時期にさらに大きな負担増を強行すればどうなるかは火を見るよりも明らかです。
 世界経済危機のもとで、これまでのような輸出依存の成長路線にはますます展望がありません。日本経済は大きな曲がり角にきています。内需主導の経済成長に根本から転換することが、いっそう切実になっています。政府の統計も20兆円~30兆円の需要不足があるとしています。内需主導というときに、頼みの綱となるのは、内需の6割を占める家計消費、そして雇用の7割を支える中小企業です。消費税の大増税は、その両方に破壊的な影響をあたえることになり、日本経済を破たんに追い込み、結局は、財政破たんもひどくするものといえます。
 現在の経済状況で、消費税を増税することは、暮らしも、経済も、財政も壊すことであり、まったく道理がないと考えますが、お聞きします。

日本共産党は2月7日、「消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表しました。その柱は、社会保障の充実と、国民の所得を増やす経済改革を一体ですすめる点にあります。社会保障については、「構造改革」で切り捨てられた部分などの「再生」と先進諸国なみの水準への「抜本的拡充」という2つの段階を、財源を確保しながら段階的にすすめ、財源の考え方は、税と社会保障の根本原則である「負担能力に応じた負担」に切り替えるもので、政党助成金や天下りの禁止、米軍の思いやり予算、効果がはっきりしない巨大開発などムダ削減とあわせて確保していきます。
 証券優遇税制の廃止、新たな大企業減税の中止による1.7兆円の確保、相続税対象額で5億円を超える資産を対象にした富裕税や年間約6000兆円にも及ぶ為替取引に、0.01%を課税し投機的な金融取引を規制する課税を新設します。さらに第二段階では、可処分所得の増加を前提とし、国民で支えあう観点で、累進課税の強化などを提案しています。この間、引き下げられてきた法人税率は、OECDも各国の減税競争の悪影響を指摘しており、国際協調で是正をするというものです。
 この社会保障の再生・拡充と同時並行で、国民の所得が増える経済の民主的改革をすすめます。派遣労働の原則禁止、長時間・過密労働をなくし雇用を増やす、大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくる、農林水産業の再生のための抜本的方策をはかるなど、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」へ改革し、大企業の内部に蓄積された260兆円の内部留保を日本経済に還流させ、国民の所得を増やし、家計を温め、日本経済を内需主導の健全な発展の軌道に乗せ、企業の健全な成長を応援する政策です。
 それは、税収増につながり、対GDP(国内総生産)比での長期債務を削減していく展望を開くことになり、「少子化」という日本社会の危機を打開することにもつながると確信しています。
 先日、日本医師会が「医療の営利化許してはならない」との政策レポートを発表しました。この中で、権丈善一(けんじょうよしかず)慶大教授は「合成の誤謬と自由放任の終焉」との見出しで、「日本の政策レベルでは、需要不足は投資不足ゆえとみなして、多くの投資促進政策を展開した。それが効果はなかったのも当然で、過少消費の状況下で供給サイドに向けて民間投資を促すだけの政策は、無人島で商売を強要しているようなものだからである」と、社会保障の充実など家計を応援し、内需を拡大する必要性を提言しています。
 また、新日鉄系のシンクタンク、日鉄技術情報センターの北井義久(きたい・よしひさ)チーフエコノミストは、2010年10月“日本に必要な成長戦略とは「賃上げターゲット」政策だ”とのレポート発表し、その最後に「デフレも、格差拡大も、消費低迷も、円高も、財政赤字拡大もすべての問題の原因は、賃金が上がらないことにある。健全な日本経済を再び取り戻すために、中期的な経済目標としてゆるやかな賃上げを中心に据える必要がある」と指摘し、労働者に有利な制度に舵を切ることを提言しています。
 2010年ILO総会は「経済危機からの回復と持続可能な成長にとってもっとも重要なのは、経済政策の中心に雇用を位置づけることにある」と、良質な雇用の拡大の重要性を結論づけています。
 家計消費の低迷、働くものの賃金の低迷が、今日の長期不況の原因であるとの見方は立場を超えて大きな合意となってきています。
 内需の6割を占める家計消費、雇用の7割を支える中小企業、地方の基幹産業の第一次産業をしっかり応援など内需中心の政策に切り替ることが、経済、財政の建て直しに必要だと考えます。
 また、何より内需中心の全国的な景気の回復は、産業振興計画を大きく前進させる基盤となると思うがお聞きします。

■知事

米田議員のご質問にお答えをいたします。
 社会保障と税の一体改革の低所得の高齢者の方々に与える影響についてのお尋ねがありました。
 我が国の社会保障制度は、人口減少・少子高齢化といった人口構成の大きな変化、雇用基盤の変化、貧困・格差問題など、新たな課題への対応が求められているところです。
 とりわけ、今後、人口構成の変化が継続して進んでいくこと、また、社会保障を支える財政も極めて厳しいことなどをふまえれば、国民、県民の皆様の暮らしを先々にわたり守っていくために、社会保障制度とそれを支える税制を改革することは、もはや先送りのできない課題だと認識しております。
 こうした状況を受け、先日、政府において、「社会保障・税一体改革大綱」が閣議決定されました。
 私自身、子ども・子育ての関連では、全国知事会の代表として議論に参画してまいりましたが、「未来への投資という性格を強め、全世代型の制度としていく」という大綱の考え方については、賛成をするところです。

また、地方消費税の配分基礎となる社会保障における地方単独事業の取り扱いについても、国と地方の協議の場などにおける議論を通じて、十分とは言えないものの、地域の実情に応じて実施する施策の財源が、一定確保されることとなったものと考えております。
 また、消費税が10%となった場合につきましては、昨年12月に財務省が政府税調に提出した資料に基づきますと実収入321万円の低所得者層で最大年間9万円の負担増となると試算されますことから、本県の低所得者の高齢者に与える影響も少なくないものと考えております。
 低所得者に与える影響軽減策につきましては、消費税率の引き上げによる増収分は全て社会保障経費に充てることとされておりますことから、一体改革において、低所得者への年金加算、介護保険料・国民健康保険料の軽減措置等、きめ細やかな社会保障のセーフティネットとしての機能強化策とともに、税制面においては、2015年度以降の番号制度の本格稼働・定着後の実施を念頭に、給付付き税額控除等の導入に向け検討を進めることとされております。
 私としましては、このような低所得者に対する配慮につきましては、引き続きより一層丁寧な議論がなされ、適切な対策が講じられる必要があると考えております。

次に、中小企業が多い本県への消費税の引き上げの影響についてご質問がありました。
 お話のありましたように、中小企業におきましては、増税額の価格への転嫁が難しいケースが出てくることも否定はできないと考えております。
 このため、国におきましては、増税額の適正な転嫁を推進していくため、内閣に本部を設置し、優越的な地位を利用した不公正な取引の取り締まり強化や中小企業向けの相談窓口の設置などの取り組みを進めることとしております。
 今後とも、中小企業への影響に配慮した丁寧な議論を積み重ねていただく必要があると考えています。

次に、現在の経済状況で消費税を増税することについてお尋ねがございました。
 さきほども申し上げましたとおり、人口減少・少子高齢化等、我が国の社会保障を取り巻く現状を考えれば、社会保障制度とそれを支える税制を改革することは、もはや先送りのできない課題であると考えております。
 ただし、この改革が経済や暮らしにマイナスの影響を与える側面も考慮する必要があり、「国と地方の協議の場」において、知事会としても主張しておりますとおり、消費税率引き上げの前提として、①地域経済状況をふまえた実施時期の判断、②消費税の逆進性対策、③地域主権改革をはじめとする国の徹底した行政改革、の3条件について、十分な対策が講じられる必要があるものと考えております。いずれにいたしましても、引き続き、十分な議論を積み重ねていく必要があると考えております。

次に、内需中心の政策に切り替えることが、経済、財政の立て直しに必要ではないか、また、内需中心の全国的な景気の回復が産業振興計画を大きく前進させる基盤となりはしないかとのお尋ねがありました。
 全国的にも人口減少や高齢化が進展する中にあって、我が国の産業構造や経済市場を考えますと、これまでリードしてきた自動車や電気製品などの輸出産業が、未曾有の円高などにより苦戦を強いられる中、台頭するアジア地域をターゲットとしたインフラ整備などの展開を図ると同時に、観光立国や地域活性化の推進、さらには環境・エネルギー分野への挑戦などにより内需を押し上げる、均衡のとれた政策が必要と考えます。
 本県におきましては、県内経済の縮みという根本的な課題に対して、産業振興計画を通じて、活力ある県外市場に打って出ていく、いわゆる外貨を稼ぐ地産地消に挑戦しております。
 その際、重要なことは、地産の部分を支える第一次産業の足腰の強化や、ものづくりの地産地消などの取り組みを通して、競争力の強化と県内への経済波及効果の拡大を図っていくことにあると考えているところでございます。
 全国的な景気の回復が、産業振興計画の推進に良い影響を与えることは言うまでもありませんが、全国的な景気の動向にかかわらず、官民一体となって地産を強化し、外貨を稼いでいける力強い産業構造を目指していかねばなりません。産業振興計画の各取り組みを全速力で進めて参りたいと考えている次第でございます。

2.政治姿勢【産業振興】

■米田 議員

次に産業振興計画について知事にお聞きします。東日本大震災後の日本経済、地域経済を考える際、先進的な事例を被災地から学び活かすことが重要になっています。
 岩手県住田町は、震災3日目から地元材をつかった仮設住宅の建設をはじめ、壁・床の8割は地元産の気仙杉、カラマツを使い、約3億円の予算で、100%木造の仮設住宅(一戸250万円、給排水設備除く)を100戸程度建設しました。仮設住宅を早く建設できた理由は、森林組合、製材工場、集成材工場、プレカット工場、工務店・大工という連携が機能したからです。仮設住宅に使った町予算の3億円は、ほとんどが町内部で循環しています。木造一戸建て町営住宅の建設を日常的に取組んできた成果と言えます。
 こうした森林・林業の循環システムを確立する本県の取組みの現状について林業振興・環境部長に伺います。
 岩手県宮古市は、地元業者を軸に、がれき処理を極めて迅速にすすめました。震災3日後、建設業3団体があつまり、5日後に「宮古地区災害復旧対策連絡協議会」を結成しています。そこには、市内の建設、電気、水道、下水道の協会や組合が参加し、ライフラインがまったく機能してない状況で、遺体捜査を行う自衛隊の後方支援として、チェーンソー部隊などがれき処理、倒壊した家のかたづけを行っています。
 宮古市も、地域循環型の経済を重視し、「住宅リフォーム」助成制度で支援するとともに、様々な建設業者が集まり安全管理の向上など協同のとりくみを実施しています。
 新製品、技術の開発など防災関連産業の振興が位置づけられています。それとともに、災害があった時に、地域の業者が結集できる市町村単位の仕組みづくり、「地産地消」型の循環経済を築くことを重要な観点、目標として位置づけるべきだと思いますが、土木部長にお聞きします。

■林業振興・環境部長

産業振興計画に関しまして、本県の森林・林業の循環システムを確立する取り組みの現状についてのお尋ねがありました。
 林業・木材産業の振興に当たっては、お話にありました住田町の例にもありますように、いわゆる川上から川下、原木生産から最終消費まで視野に入れての一体的な取り組みが必要です。そうした中で、震災など、いざという時の木材自給に備えるということも意識しつつ、林業・木材関係業界の連携を密にしながら、県内での資源流通を円滑化し、地産地消を推進していくためにも重要なポイントだと考えております。このため、県産材を利用した戸建て住宅への助成制度を拡大する中で、高知県木材普及推進協会が中心となって木材業界と工務店等との連携を図って参りました。その結果といたしまして、助成制度を活用し県産材を使用した住宅は460戸余りとなり、戸建て住宅の木造率は86%まで高まっております。今後とも、県内における林業・木材産業・工務店等の連携をさらに強化し、県内で木材資源が循環するよう努めてまいります。
 なお、木材のマーケットという意味では、本県の豊富な資源量に対しまして、県内需要だけでは小さいため、大都市部への外商活動についても、併せて力を入れてまいります。

■土木部長

災害があった時に地域の業者が結集できる市町村単位の仕組みづくり、地産地消型の循環経済を築くことを重要な目標として位置づけるべきだと思うがどうか、とのお尋ねがありました。
 現在、東日本大震災の被災地では、技術者などの人手不足により、復旧・復興事業に支障が出ていると聞いておりますが、南海地震に備えて、人員の確保や資材の調達など、いざというときに十分な対応を図ることができるようしっかりと準備をしておかなければなりません。
 とりわけ、地域の建設業の皆様には、復旧・復興の要として重要な役割を担って頂かなければならないと考えているところでございます。
 これまで、県におきましては、建設工事の県内企業への優先発注や県内産品の利用の促進に取り組んできており、また入札契約制度では、地域性に配慮し、厳しい経営状況の中で、技術と経営に優れ、地域に貢献する企業が引き続き発展していける環境づくりに努めて参りました。
 来年度は、建設業の皆様の災害時における事業継続計画(BCP)の策定を後押しするため、県による認定制度をスタートさせることとしておりますが、併せて、有識者の方々にもご意見をいただきながら、行政と地域の建設業とが協力し、啓開作業や復旧・復興事業を円滑に行うための連携のあり方や、ご協力をいただく企業の必要なマンパワーを確保するための方策など、地域の防災力を維持・確保していくための具体策について検討していくこととしてございます。
 南海地震に備えては、地域をよく知り、行政との連携のもとで、迅速に、また的確に対応していただける建設業の皆様のご協力が不可欠と考えておりますので、これまでの取り組みを更に充実させ、地域の建設業の皆様が継続して発展していける環境づくりに向けて取り組んでまいります。

■米田 議員

住宅リフォーム助成制度について伺います。
 昨年4月から須崎市において、また、この4月から四万十町において、個人住宅のあらゆる改築、改修に対し一定の補助を行う住宅リフォームへの助成制度がスタートしました。
 須崎市では実施後、84件の申請、補助額1400万円、工事高1億2000万円、補助額の9倍となり、地域活性化につながっています。
 私たちはこれまでも、この助成制度は、1、中小零細業者の仕事確保 2,大きな経済、雇用効果 3,環境、地球温暖化対策 4,安心安全な住環境づくりとなることを示し、とりわけ、災害時に地域で活躍できる住宅関連業者の後継者育成にもつながる事業として、その効果が示されていることを訴えて、本県でも是非実施に踏み切るべきと要望して参りました。
 しかし、県の考え方は、介護や耐震化、県産材活用といった県の政策目的に沿った形でのリフォームにしか助成する考えはないとの答弁でした。
 安心安全な住宅政策としてとらえること、災害時に必要な大工、左官、水道工事などの業者が地域に残っていることは震災の復興にとっても重要であり、失業者を生み出さないためにも大きな効果があるという点は、県の産業振興、復旧・復興対策の上でも県政政策の狙いと一致するものと考えますが、知事に伺います。
 この間、住宅新築工事は激減し、本県での新築戸数は、平成18年の4434戸から22年度は2770戸と37%も減少しています。そうした中、リフォーム工事を着実に伸ばしていくことが重要です。住宅建設に関わる業者や個人事業者を対象としている高知県建設労働組合の調査では、組合員の構成が39歳以下がわずか11,6%。49歳以下でも22,3%で、仕事がなく後継者を育てられる環境にないとの声を上げています。
 今年度、産業振興推進総合支援事業費補助金が、事業の熟度などに問題があったとして、8億円の予算が不執行となっています。この厳しい経済状況の中、この予算が地域に循環にしていれば、どれほどの景気対策となっていたことでしょうか。
 確実に地域の仕事づくり、経済の活性化につながることが明らかになる中、この間全国の市町村での実施が広がり40都道府県330自治体で実施、県レベルでも、秋田、広島に続き、佐賀県でも実施されることとなりました。震災復旧復興の観点からも、本県でも是非とも実施すべきと考えますが、知事に伺います。 

■知事

次に、産業振興計画について、住宅リフォーム助成制度の実施は、県の産業振興や復旧・復興対策の上でも県の政策の狙いと一致するものと考える、また、本県でも実施すべきと考えるがどうかとのお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えをいたします。
 ご指摘のように、住宅の新築工事が激減する中で、リフォーム工事を伸ばしていくことは重要であり、産業振興にも有効であると考えています。また、災害時に地域の事業者の皆様が、復旧・復興の大切な担い手であるということも認識をいたしております。
 これらの視点もふまえ、本県においても、南海地震に備えた住宅の耐震化、高齢者や障害者の居住する住宅のバリアフリー化、移住希望者のための「お試し住宅」の整備、県産木材の活用等を対象に、住宅のリフォームを支援してまいりました。こうした県の政策目的に沿った住宅リフォームの支援によりまして具体的に経済効果も上がってきている、拡大してきている、と考えているところであります。
 例えば、住宅の耐震化の補助制度においては、平成20年度からの実績が毎年300戸程度であったのに対し、平成23年度は約550戸の実績を見込んでおりまして、さらに、平成24年度予算には、800戸分を計上しているところであります。経済効果は、1件あたりの総事業費が平均290万円ほどであることから、800戸実施すれば、約23億2千万円にのぼります。このうち約14億円が主に地域の中小の事業者に支払われると考えられ、地域への経済効果も大であると言えます。
 また、平成24年度予算では、耐震改修助成におけるブロック塀等の単独の改修等への適用追加、県産乾燥材使用木造住宅助成における補助対象部材の追加、定住促進のための改修助成における個人所有住宅への支援追加など、制度拡充も行うこととしております。限られた財政状況の中で一石二鳥三鳥、こちらを狙っていかねばなりません。これらの施策の普及促進によって、県の政策目的の実現を図りながら、住宅リフォームの支援を図り、合わせて経済波及効果をもたらして参りたいとそのように考えておる次第でございます。

■米田 議員

社会保障は、医療・介護・保育など人件費の割合が高く、雇用効果が高い産業でもあります。2008年版の厚生労働白書も、社会保障分野の総波及効果は公共事業よりも高い、雇用誘発効果も主要産業より高く介護分野は第1位となっています。しかもどの分野でも、医師、看護師、介護福祉士、保育士などの人手不足という状況になっており、社会保障の充実は、若者の就職難の解消、地方での雇用の場の確保とともに、子育てや介護などの安心を支え、持続可能な地域づくりと災害に強いまちづくりを支えるものです。
 昨年の2月議会で、田頭議員の質問に対し、知事も「今後も増大する介護・福祉ニーズに対応すると共に、雇用の創出という面からも重要であると認識しておりまして、全国に先駆けてこの課題を克服するために『日本一の健康長寿県構想』と『産業振興計画』を連携させた取り組みを進めることにいたしております。」と答弁しています。
 第二期の産業振興計画案は、可能なかぎりアウトカム目標を設定するとして、4年後、10年後の目標を設定していますが、介護・福祉部門は、産業振興計画案の中で明確な位置づけがされておらず、第二期「健康長寿県構想」案においても、主に「人材確保」という課題としての扱いになっています。再度、雇用面での介護・福祉分野の位置づけについて知事にお聞きします。
 また、介護・福祉分野も、新たに必要となる雇用者数、直接的な経済波及効果とともに地域に若者が残ることによる社会的な効果など、県民に分かりやすい数値や目標を示すべきではないでしょうか。あわせてお聞きします。

■知事

次に、産業振興計画への雇用面での介護・福祉分野の位置づけや、数値目標などについてお尋ねがございました。   日本一の健康長寿県構想では、県民誰もが、住み慣れた地域で安心して暮らせる、高知型福祉の実現に全力で取り組んでおり、この中で介護や障害福祉などの福祉サービスは、在宅でも施設でも利用者のニーズに応じたサービスを受けられるよう、その拡充に取り組んでいるところであります。
 今回改訂いたしました第二期の健康長寿県構想でも、必要なニーズへの対応は積極的に取り組んでいくこととしており、来年度から3年間の第五期介護保険事業支援計画や第3期障害福祉計画における在宅サービスの拡充や施設整備などにより、計画期間中に新たに約1,200人の介護・福祉職員の雇用が見込まれます。
 また、施設の運営などによる経済波及効果としては、平成23年度の年間約880億円から、計画期間終了時の平成26年度には約1,000億円へと120億円の増加が見込まれ、非常に大きいものがあります。
 このように、介護・福祉の分野では、健康長寿県構想の推進を通じて、福祉施設の整備など、ニーズの増加に伴うサービスの拡充を図ることや、中山間地域が多く、過疎化が進む本県特有の課題やニーズに対応するサービス、例えば、あったかふれあいセンターの取り組みなどのこうしたサービスを行き届かせることで、雇用の場の創出や経済的な効果につなげて参りました。今後とも、日本一の健康長寿県構想をメインエンジンとして、高齢化の進行に伴いさらに拡大するニーズや、地域の潜在的なニーズにきめ細かく対応して、福祉サービスの拡充とともに、必要な人材の育成・確保を図ることで、より大きな雇用や経済効果に結びつくよう、積極的に取り組んで参ります。
 日本一の健康長寿県構想を経済面から見れば、いわば増大する、または潜在する需要に対応する供給面の強化をはかることで、より高いレベルでの均衡をはかり、経済効果と雇用を確保しようとするもの、と言えるものと考えているところでございます。併せまして、産業振興計画におきましても、こうした介護・福祉分野における人材の育成・確保の取り組みを施策に位置づけるとともに、企業や団体、専門家などで構成する成長分野研究会による関連商品の事業家を支援しております。既に、この研究会を通じて高齢者用の軟化食や、感染症の防疫用消毒マットといった事業化の事例も表れておりますので、第二期産業振興計画においても、こうした関連商品の事業化等を引き続き支援してまいりたいと考えております。

3.政治姿勢【広域行政】

■米田 議員

次に広域行政について知事にお伺いします。
 昨年6月閣議決定された「地域主権戦略大綱」は 国の出先機関の原則廃止を打ち出しました。四国の知事会では、その受け皿づくりとして、広域連合を立ち上げることが合意されたとのことです。
 いわゆる地方分権については、国のナショナルミニマム保障の責任を土台に、国の画一的な行政の弊害をとりのぞき、住民の視点にたった地方の自由度の拡大という、本来の意味での地方自治の充実という面もあり、出先機関の仕事についても、どの段階の行政体が実施することが効果的かなど個別、具体的に検討していくことが求められます。
 しかし、今日の「地域主権改革」は、国の役割は、外交・防衛などに限定し、社会保障は地域の受益者負担主義を徹底するという市場原理主義を徹底するものとして議論され、また進められていることに警戒心を持ってあたることが必要です。地域主権戦略大綱でも、「地域主権改革が進展すれば、おのずと地方公共団体間で行政サービスに差異が生じてくる」とかかれています。一方で、国のナショナルミニマム保障の責任には言及せず、憲法に規定のない「補完性の原理」をもってきて、国と地方の役割分担をかかげ、「地域の住民が自らの住む地域を自らの責任でつくっていくという『責任の改革』」を主張しています。
 その「地域主権戦略大綱」は、「広域化」とならんで、「道州制についての検討も射程に入れ」ることが述べられていますが、今回の「広域化」が道州制の足場になる危険性があります。
 道州制については、08年の道州制ビジョン懇談会「中間報告」においても、デメリットとして“国の「上からの調整機能」が失われるために、地域間の格差がかえって拡大する”“規模が大きくなることで住民との距離が広がり、住民自治が形骸化してしまう”“道州間の企業や富裕層誘致の競争が激化し、生活者の目線から遊離してしまう”などの“懸念や課題も指摘されている。”と認めざるを得ませんでした。
 そうしたことから道州制の導入には多くの反対、懸念の声があがっています。全国町村長会は、09年8月、「道州制に断固反対する」との意見を提出しています。地方分権推進委員会専門委員などを歴任してきた大森彌(わたる)東京大学名誉教授は「道州制で日本の地方自治が良くなることはない、という確信を持っています。何とかしてこれを阻止したいと考えています。」と述べています。
 国の出先機関廃止の受け皿として四国広域連合をつくることは、道州制のレールに乗ることを意味するのではないのか。お聞きします。

今回の広域連合に立ち上げについては、そのメリット、デメリットなど十分に県民に説明されていない中での合意です。なぜ広域化を急ぐ必要があるのか。また、可能なもの、道理のあるものから、国から県への権限委譲などで慎重に対応すべきと思いますが、お聞きします。

日本経団連は2010年4月「成長戦略 2010」で、道州制の導入を求め、その手始めとして地域主権改革を断行することを求めています。その2ヵ月後、経済同友会は、「地域主権型道州制」の導入を提唱し、「道州制を視野に、出先機関の権限・財源・人員の受け皿として広域連合の形成や都道府県合併などを促していく」ことを求めており、政府の地域主権改革は、財界の要求と一致する内容で進められています。
 財界は、道州制を「究極の構造改革」と評価し、「官の役割をゼロベースで見直し」、「小さな政府、民主導の経済社会」をめざして、「規制改革の推進や官業の民間開放…を徹底する」ものと位置づけており、その動機は、地域受益者負担主義による社会保険料など企業負担の軽減といわゆる官製市場の拡大、地域間競争による規制緩和、減税競争による経済活動の野放図な自由化を狙ったもので、あらゆる規制を貿易障壁として徹底した自由化をめざすTPP参加を求める姿勢と共通したものです。
 財界主導ですすめられる道州制になれば、高知県は条件不利地、周辺部として切り捨てられるのではないか。その懸念について認識をお聞きします。

■知事

次に、四国広域連合の設立と道州制との関係についてのお尋ねがございました。
 このたび四国知事会で合意をいたしました四国広域連合の設立につきましては、国自らが法制化に向けて作業を進めております、国の出先機関単位での受け皿となる「新たな制度に基づく広域連合」に則った受入体制の整備を図ることについて、合意をしたものでございます。
 今回の広域連合が、都道府県の枠組みを超える組織でもあるという観点から、道州制と関連づけた議論がなされる側面も多分にございますが、今回、4県知事で合意を致しましたのは、県と広域連合が併存することを前提に、地域の特性に応じた広域的な行政体制の設立を目指す方向での一致でございまして、将来的な道州制の導入を視野に入れたものではないということで、4県知事の間での考え方は一致しております。
  国の出先機関を受け入れることを第一の目的とした今回の広域連合と、都道府県のみならず、国や基礎的自治体を含め、根本的な統治機構を変えていくことを前提に置いた道州制は、切り離した上で、議論することが適切ではないかと考えております。

次に、広域連合の設立にあたりまして、広域化を急ぐ必要性と、国から県への権限委譲などで慎重に対応すべきではないか、とのお尋ねがありました。
 国と地方の役割分担の見直しに基づき、権限の委譲を行う際は、事務を所管する関係省庁間での調整を行い、協議が調ったものについて、閣議決定を行うという手順を踏むことになりますことから、どうしても、全国画一的な視点といったものが重視されますし、時間を要する結果となってしまいます。しかしながら、今回の国の出先機関の原則廃止に向けた権限の委譲は、「広域で意思統一が図られた地域からの発意に基づき、権限の委譲を行う」との基本方針に従ったものであり、地域の実情に応じた事務の委譲につながり、結果として、地域の住民にとりまして、より大きな効果をもたらすこととなります。このため、四国4県の地域活性化の鍵となります産業振興施策に関わります「四国経済産業局」の移管を目指していくことが、四国にとってメリットが大きいとの判断に立ち、現在、平成26年度の移管に向けて法整備が進められています「新たな広域連合制度」に則った受け皿づくりに向けて、迅速に取り組むことが必要だとの考えで、4県知事の間で合意がなされたものでございます。
 今議会において、ご理解を賜りましたなら、今後、様々な機会を捉えまして、市町村や県民の皆様などに、こうした趣旨などを十分にご説明してまいりたいと考えております。

次に、財界主導の道州制となった場合に、本県が条件不利地などとして切り捨てられることへの懸念について、お尋ねがございました。私は常々申し上げておりますが、道州制と言いましても、地域の活性化に向けて、地域地域の実情に応じた政策の展開を可能とし、真の意味での地方分権の確立につながる良い道州制と、行政改革の視点から、単なる規模の拡大や数字合わせで進められる悪い道州制とがあり、両者の制度設計は全く異なることから、そこから得られる効果や生じる課題も、自ずと大きく違ってくるものと考えているところであります。
 仮に、どちらの形で道州制が進められるといったことになりましても、本県のような中山間地域を数多く抱える地方が、条件不利地域といった形で切り捨てられることのないようにするためには、まずは、最低限の競争条件を整えるための道路などといった基礎的なインフラ整備に加えて、道州間及び道州内での財政調整の仕組みが確実に担保されることが、前提条件として不可欠になるものと考えています。加えて道州の歳入のしくみ、歳出のしくみ、それぞれの権限、決定機構などなど多数の問題についての検討を加えていかねばならないものだと考えております。総合的な観点からの、時間をかけた議論が必要な問題だというのが私の認識でございます。

4.高知短期大学の存続

■米田 議員

次に、高知短期大学の存続について知事にお伺いいたします。
  知事は提案説明で、短大の機能を発展させながら、高知県立大学と高知工科大学に引き継いでいく、とする考えを示しました。しかし実際は、継承でも発展でもなく、事実上の高知短期大学の廃止そのものであり、県民の学びの場を切り捨て、教育を受ける権利を奪うもので到底認めることはできません。
 知事は存続を求める学生、県民の思いを、働きながら学べる、2年制という短期間の学び、学費も安いことなどを上げ、それを両大学で十分担うことができると説明していますが、短期大学の果たしている役割、実態を全くみない考えであるといわなければなりません。これらのことがばらばらではなく一体的であること、そして短期大学士の資格、入試制度などが合わさって県民にとっていつでも学びたいときに学べる大学として、県民に貴重な学びの場を保障しているのであります。人口の減少、高校生の減少がいわれる中で毎年毎年120人近い学生が入学し学んでいます。そして、年齢も社会経験も違う学生の励まし合いと切磋琢磨による学問的、人間的育ち合い、学生自身と先生、学校の努力によって三年次編入・四年制への進路保障、また障害のある学生への自主的な支援など外部の専門機関の高い評価を受けるなど全国でも稀な良さを発揮しています。まさに高知県民の宝、とも言えるのであります。こうした高知短大の果たしている役割、実態そしてその重みこそ真摯に直視しなければ成りませんが、あらためて知事の認識をお伺いします。
 知事も言う、学びやすさ、教育の機会保障の上で重要な学費の問題についてです。年間授業料は、短大26万円、県立大53万円と約2倍、2年、4年の修業年数で言えば52万円から212万円と、約4倍にもなります。短大がなくなれば、経済的事情で大学進学をあきらめざるを得ない人が多数生まれることは明らかです。そこで知事は授業料減免制度、奨学金制度があると言うわけです。しかし誰でもが活用できるわけではありません。たとえば授業料免除者は、今年度県立大で申込者71人で48人、全体の学生数のわずか4,1%、短大は6人2,1%、予算の枠があり、きびしい所得と学力の基準やなんらかの奨学金を受給していることなどが要件になっており、希望する人、必要な人誰もがこれらの制度を受けれるという保障はありません。知事は、実態をどう認識されているのか、また授業料が2倍、あるいは4倍になることによって進学そのものをあきらめざるを得ないなど、経済的事情によって学びの門戸を閉ざすことになることは明らかだと思いますが、お伺いします。

次に、新たに1年、2年の学習プログラムを作り修了者に履修証明書を発行する、などとしています。しかし短期大学士という資格が取れなくなることは決定的に重要な問題であり、これで短大機能の継続、発展などと言えるのでしょうか。現在は学歴と資格の社会であり、それぞれの社会生活においても人生においてもきわめて大きな意義を持っているのが現実です。夜間に学び続けることは、大変な精神力の持続が要求される、との意見表明がありましたが、短期大学士取得は学び成長する喜びと共に充実感、達成感の証とも言えるのではないのでしょうか。パブリックコメントで有る方が述べています。子育てと親の介護をすませてから長年の夢だった短大に入学。その前に、生涯学習の講座にも2年ほど通いましたが両者では全然違います。生涯学習は修了したらすんだで終わりますが、短大は単位を取得するために卒業をめざして勉強するし、本も読みます。一番の違いは達成感です、と語っています。
 2年制の短期間の学びと、ということで1,2年の学習プログラムと履修証明書の発行、生涯学習や講座開催などによって短大の機能を継承できるという論理は全く通用するものではありません。短期大学士取得の場を奪うということについての知事の認識をお伺いします。

次に、学びたいときに学べる場を保障することは、教育の原点です。高知短大の入試制度は、県立大学などと違ってセンター試験などを受ける必要がなく、現代社会1科目で受験ができます。そして論文による社会人入試制度もあり学ぶ意欲が有れば、いつでも誰でも入学できる、制度的保障が確立されているのであります。そのことが現役高校生の進学の一つの場になることはもちろん、勤労者、定年退職者にいわゆる生涯学習の場を保障するとともに、年代も社会体験も違う人々が刺激し合い学び育ちあうという高知短大特有の良さを作り出しているのであります。23日高知県公立大学法人設立記念式典で卒業生トークがあり、5年前に短大を卒業した人が語っています。25歳の時、何か学びたいと思っていたが大学をあきらめていたところ、友だちに言われ入学した、働いている人や様々な年齢の中で普通の学生生活で味わえない貴重な体験ができた、学ぶことの楽しさに気づかされ人生ずっと勉強を続けていきたいと思う、機会が有れば年齢の幅のある学びを経験してほしい、とのメッセージでありました。
 こうした短大の機能、役割は、学びたいときに学べる制度的保障があるからであり、いくらセンター試験の必要のない社会人特別入試制度を設けるといっても、毎年120人近い短大入学者を受け入れることができないことは明らかであり、これからの何千、何万という県民の学びの場を奪うことに成るではありませんか、知事にお伺いいたします。
 提案説明にある存続を求める三つの理由と、以上指摘したことが合わさって初めて短大の機能が維持、発展できるのであって、組織をなくしては不可能ではありませんか、伺います。

今日高知短大は、現役高校生の高等教育の進路を保障する重要な場であると共に、格差と貧困が広がり、自己責任論と生きづらさ、学びづらさが強まるもとで小学校、中学校、高校での学びや生活でのつまづきを体験しながらも、学び直しができる場としてますます重要になっていると考えます。また課題解決型の先進県とする、今後の高知県の発展を支える人作りという点でもかけがいのない生涯学習の場であります。改めて教育長に高知短大の今日的役割についてどのように考えているのかお伺いします。

次に、知事説明では、4年制大学への編入希望者の増加、就業者の割合の低下をあげ、短大の役割が変化している、他方工科大、県立大の拡充で短大と領域が重なる分野等も充実、また両大学が短大も担ってきた社会人教育、生涯教育をやる、としています。しかし、これらは、短大を廃止しなければならない理由になるものでは全くなく、先に廃止ありきの論理、こじつけと言わざるを得ません。
 もともと県立大学の改革問題は、県外の社会科学系学部に進学する毎年700人の子どもの進学先を県内に保障する、そして保護者の経済的負担を軽減することが目的の一つとして検討されてきました。そのことからすれば両大学を拡充することと短大の廃止とは全く別次元の話ではありませんか。また社会人教育などは三大学が大いに県民の教育、学習の要求に応えて推進すべきですし、必要な役割分担は検討すればよいことです。
 短大生の4年制への進学希望者の増加についてですが、様々な事情の中でストレートに4年制大学に進む道ではなく、高知短期大学での学びを通じての進学希望であります。短大がそのステップとしての役割がしっかり果たせることこそが求められているのではないでしょうか。
 また就業者数の低下と言う点も、厳しい経済、雇用情勢の中で現に六割の方が仕事をし、就業希望者も含めると九割を超えています。授業料や生活費を作るための姿が浮き彫りになっているではありませんか。
 この間高知短大は、ずっと120人近くの県民の学びを保障してきおり、この事実こそ見なければ成りません。また今日の経済、社会情勢を考えたときに、短大へのニーズは今後減少していくなどと軽々しく廃止を決断できるものではありません。一つ一つ指摘しましたが、知事が言われていることが到底短大廃止の理由にはならないと考えますが、知事の見解をお聞きします。

次にこの間の手続きそのものも強引で拙速と言わなければ成りません。
 一つは、公立大学法人が高知短期大学の発展的解消、事実上の短大廃止をきめたのは、昨年10月24日の第3回理事会ですが、わずか3月余まえの県議会において全会一致で平成23~28年度の中期目標が決定されたばかりです。もちろんそこには短大廃止の文言は一切ありません。まさに、県知事、県議会軽視そのものではありませんか、お伺いします。
 二つめに、短大廃止議案は、昨年10月の第3回理事会で初めて議題となり、その場で決定をしています。五つの議案がありましたが全体の所要時間はわずか10分。短大廃止議案の審議はわずか数分でしょう。教授会等様々な機関があるにせよ県民にとっての重要問題を最高議決機関法人理事会がこれほど軽々しく扱って良いのか、また知事は昨年12月7日に学長から報告を受けていますが、こうした実態での理事会決定をそのまま受け止めていいのか、お聞きいたします。
 三つめに平成22年3月の県立大学改革にかかる永国寺キャンパス検討会報告に関わってであります。そこには要約の提言と共に「高知短期大学の今後のあり方については、新たな社会科学系学部の設置状況を踏まえ、同学部との連携による社会人教育の充実や効率的で柔軟な大学運営の観点から、検討すべきである。その際、短期大学として存続させることや、社会科学系学部を設置する大学の短期大学部として組織を再編することなど、その設置形態についても検討すべきである」としています。ここにある短期大学としての存続、短期大学部としての再編について具体的にどう検討してきたのか、知事に伺います。
  短期間の間に2万5千人を超える存続を求める県民の署名が知事に届けられています。また113人からパブリックコメントが寄せられており、6人が廃止容認、103人91%、圧倒的多数の方が存続を求めています。対話と実行を掲げる知事としてこれら県民の声とその重みをしっかり受け止め、そして検討すべき課題が残され全体像が明らかになっていない、県民への説明責任が十分果たされていない中での短大廃止強行は許されません。高知短期大学廃止方針は撤回すべきであります。
  少なくとも当面存続し、慎重な検討を行うべきではありませんか、知事に伺います。 

■知事

次に、高知短期大学に関しての一連のお尋ねがありました。
 まず、高知短期大学の果たしている、役割と実態についてであります。
 高知短期大学は、勤労者のための高等教育機関として、これまで社会科学系に重点を置いた社会人教育を通じて、本県の人材養成に重要な役割を果たして参りました。しかしながら、教育の高度化やニーズの多様化などから、高等教育機関に求められる役割は大きく変化してきております。
 高知短期大学においても、官公庁や企業に正規に雇用されている学生が、昭和50年代には入学者の7割を超える年もありましたが、本年度の入学者については、長時間のアルバイトをされる学生も含めて、その割合は約3割となっております。
 また、4年制大学への編入を希望又は検討する学生が、本年度は約6割をしめるなど、高知短期大学に対するニーズは、多様化しているものと認識しております。こうした中で、永国寺キャンパスには、高知工科大学が新たな社会科学系学部を設置し、高知県立大学も文化学部の拡充を行うこととなりました。これにより、県内高校生の進学機会の拡充が図られるとともに、両大学において高知短期大学と領域が重なる分野での教育研究体制の充実も図られることとなりました。これに加え、両大学の連携の下で、これまで高知短期大学が担ってきた働きながら学ぶ機能を充実することとしています。こうした取り組みにより、これまで高知短期大学が担ってきた機能を、両大学において、より充実させ、教育の高度化やニーズの多様化に対応していくことができるものと考えています。

次に、授業料減免制度の実態について、お尋ねがありました。
 今回の短期大学の発展的解消は、働きながら学ぶ場をこれまで以上に拡充し、経済的事情があっても学ぶことができる環境を整えるものであります。学ぶ意欲がありながらも、経済的に厳しい方には、まずは拡充されてきている日本学生支援機構などの奨学金を活用して頂きたいと考えています。その上で、なお、授業料の納付が困難な方には、授業料減免制度を利用して頂くこととしております。この授業料減免制度については、これまで、高知県立大学においては、減免枠との関係で、困窮度の低い方に、授業料の減免が一部適用できていない実態もありましたが、高知短期大学の場合は、要件を満たす方には全て適用できる状況にありました。今後は、経済情勢の厳しさや大学進学率の向上などをふまえ、高知県立大学においても、要件に該当する方には全員に適用できるよう対応してまいります。
 また、働きながら学ぶ方のため、高知県立大学では、昼間に加えて夜間や土日にも開講し、四年間で学士の資格を取得できる昼夜開講制を設けることとしています。加えて、夜間や土日に4年間受講することで、学士の資格が取得できる仕組み、いわゆる夜間主コースを設置することに、高知県立大学法人と取り組むこととしたところであります。このコースの定員は、実施に短期大学で働きながら学んでいる学生数を考慮しまして、少なくとも30名程度以上とし、授業料については、通常の半額とすることで、現在の短期大学とほぼ同等の年間授業料で学ぶことができるようにしようとしているところでございます。なお、高知県立大学では、働きながら学ぶ方に対しては、4年間の授業料で、4年を超えて最長8年まで計画的に学ぶことができる長期履修制度も導入することとしております。こうした取り組みを、働きながら学ぶ方々に有効に活用していただきたいと考えているところでございます。

次に、短大学士の取得ができなくなることについて、お尋ねがありました。
 高知短期大学の発展的解消により、短期大学士の資格は、取得できなくなりますが、高知工科大学による新たな社会科学系学部の設置と高知県立大学の文化学部の拡充により、入学定員が増加するとともに、高知短期大学と領域が重なる分野での教育研究体制の充実が図られ、新たに、働きながら学士を取得する道が広がることとなります。
 特に、県立大学では、社会人が働きながら昼間夜間や土日に受講し、さらには夜間と土日のみで受講し、4年間で学士の資格が取得できる仕組みを設けることとしており、4年制大学の中で、より幅広い分野で、より専門性の高い教育が提供されることとなります。4年制大学の卒業を条件としている企業の採用にも応募できるなど、卒業後の進路も広がることとなります。

次に、センター試験の必要のない社会人特別入試制度を設けても、高知短期大学への入学者を受け入れることができないのではないか、とのお尋ねがありました。
 高知工科大学の社会科学系学部の設置と高知県立大学文化学部の拡充にともない、入学定員は合わせて170人増加します。また、これにともなって、両大学は、入学定員の約4分の1を県内高校生の推薦入試枠としておりますので、県内高校生に対しては、センター試験を課さない推薦入試枠は、新たに40人以上拡充されることになり、これらによって、県内高校生の進学機会は拡充されます。これに加えて、先ほども申し上げましたように、高知県立大学におきましては、働きながら夜間と土日に学び、4年間で学士を取得できる、夜間主コースの設置に取り組み、その定員は、実際に短期大学で働きながら学んでいる学生数を考慮して少なくとも30名程度以上とすることを考えています。
 また、社会人につきましては、両大学におきまして、高知短期大学と同様の、社会人特別入試制度を導入することとしておりますし、加えて、県立大の文化学部に3年次編入枠を設け、これまでに短大を卒業されている方など編入を希望される方の受け皿も拡大していきます。さらに、従来からの聴講制度や科目等履修制度に加え、短期の学習プログラムの修了者に履修証明書を発行する制度を新たに導入するとともに、資格取得などにも対応することとしています。これらの取り組みによって、高校新卒者をはじめ、幅広い年齢層の多様な学習ニーズにこれまで以上に応え、より多くの県民の学びの場として、さらに充実していきたいと考えています。

次に、短大の組織がなければ、短大の機能が維持・発展できないのではないか、また、説明が短大廃止の理由にならないのではないかとのお尋ねがありました。関連いたしますので、併せてお答えいたします。
 高知短期大学は、県内唯一の社会人のための夜間の大学として、これまで、県内外で活躍する多くの人材を育成してきましたが、近年は、入学者に占める勤労学生の割合が減少するなど、その役割は大きく変化してきております。
 一方で、高知工科大学の社会科学系学部の設置と、高知県立大学の文化学部の拡充による教育内容や制度の充実などによって、高知短期大学が果たしてきた役割は十分に担うことができますし、4年制大学であることで、より幅広く、専門性の高い教育が提供されることになると考えています。加えて、社会人の方々に、短期大学士に代わって学士の取得の道を開こうとしています。
 県といたしましては、県民の皆様により良いサービスを提供することが、まず重要であり、そのために、組織の改革を行っていくことも必要であります。
 このようなことから、今回の改革は、高知短期大学を発展的に解消し、その機能を高知県立大学と高知工科大学に引き継ぐことで社会人教育をはじめとした教育研究機能の充実に、より力を注いでいくことにしたものです。

■教育長

高知短期大学の今日的役割について、どのように考えているのか、とのお尋ねがありました。
 高知短期大学は、昼間に勤労している方々はもとより、定年退職後、第二の人生を開かれようとされている方々、将来はさらに大学に編入学を目指されている方々など、多様な背景を持った学生が学ぶ場としての役割を果たしているものと承知しております。
 こうした中で、勤労学生が減少している一方、教育の高度化のニーズから、4年制大学への編入を希望する学生が増加しているとともに、退職者を含む中高年層の学生が増加しているものと考えております。こうした教育の高度化や生涯学習をはじめとした県民のニーズの多様化により適切に対応する観点から、高知短期大学の機能を高知県立大学及び高知工科大学へ発展的に引き継ぐことが提案されているものと思います。高等学校を所管する教育委員会といたしましても、入学定員の増加により、県内の高校生の進学の受け皿が拡大されることは望ましいことであると考えており、また期待をしておるところでございます。

■知事

次に、法人の中期目標や、法人理事会での決定、また、永国寺キャンパス検討会報告書との関係について、それぞれお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えいたします。
 県立大学改革につきましては、平成20年7月に、県立大学改革プランを策定し、県立大学の基本的な考え方や、県が関与する大学の方向性、県立大学のキャンパス整備の方向などをお示ししたところでございます。この県立大学改革プランを受けまして、関係する大学と有識者で組織する「永国寺キャンパス検討会」を設け、高知短期大学に関しては、「新たな社会科学系学部の設置状況をふまえて、そのあり方を検討することが適当である」との提言を、平成22年3月に頂きました。
 この提言を受けまして、平成22年7月には、県と関係する3大学で永国寺キャンパス整備等検討チームを設置し、新たな社会科学系学部、社会人教育の充実、高知短期大学のあり方などについて、具体的な検討を行ってまいりました。 その結果、高知短期大学の機能については、高知工科大学の新たな社会科学系学部の設置と、高知県立大学の文化学部の拡充による教育内容の充実をふまえ、両大学に発展的に引き継ぐという案をとりまとめて、昨年の12月議会にお示しし、この2月には、正式のとりまとめがなされたものです。

次に、昨年7月に、県が公立大学法人に指示した中期目標につきましては、こうした検討の途中過程にありましたが、現に高知短期大学には、学生が在籍しておりますので、その教育の質の向上などについて指示したものでございます。今後、議会の議決をいただいて、その内容は変更していきたいと考えています。
 また、高知県公立大学法人におきましては、県立大学改革プランや、永国寺キャンパス検討会の報告書、さらには、永国寺キャンパス整備等検討チーム会での議論をふまえまして、昨年10月の理事会で、高知短期大学の発展的解消について県と協議していくことを決定しております。
 この決定に至るまでには、昨年の5月以降、高知短期大学と高知県立大学のそれぞれの教授会、教員で構成する教育研究審議会、学部長等で構成する役員会などで議論を重ねてきております。その上で、理事と外部の有識者で構成する経営審議会で議論を行うなど、慎重な議論の積み重ねを行い、理事会としての決定がなされたものでございます。このように、高知短期大学の発展的解消は、県と法人におきまして慎重に検討を重ねてきたものでございます。

次に、短大は少なくとも当面存続し、慎重に検討を行うべきではないかとのお尋ねがありました。
 高知短期大学の発展的解消は、これまで申し上げてきたとおり、短期大学の役割の変化を踏まえるとともに、高知工科大学による新たな社会科学系学部の設置や、県立大学の文化学部の拡充を踏まえ、検討してまいりました。検討にあたっては、外部の有識者などのご意見をお伺いするとともに、関係する大学と協議を重ねて参りました。加えて、今年の1月から2月にかけて、パブリックコメントを実施するとともに、学生の皆様からご意見も伺い、改めて関係する大学を含めた検討チームにご意見をお聞きして、私自らの考えを整理いたしました。
 このような慎重な検討の結果、パブリックコメント等で求められた、働きながら学ぶことができるといった、高知短期大学の機能は、高知県立大学と高知工科大学を拡充することで十分担うことができ、むしろ4年制大学であることによって、より幅広い分野でより専門性の高い教育が提供できると判断するに至ったところです。産業振興や少子高齢化、中山間対策といった課題を抱える本県におきまして、地域の活性化や福祉の向上に貢献できる人材の育成は、何よりも重要であります。このためにも、今回の改革によって、県内高校生の進学先を確保や、働きながら学ぶことができる場の充実を急いでいかなければならないと考えております。

5.米軍の低空飛行訓練

■米田 議員

米軍機の低空飛行訓練について知事に伺います。
 今年1月19日、高知県は尾崎知事名で外務大臣と防衛大臣に、米軍機飛行訓練中止の要請を行いました。県民の安全を脅かす事態を解決するための行動とその姿勢は大いに評価するものです。
 これまでも平成3~8年知事名で7回の中止要請、平成10年総務部長名で1回、平成20年知事名で1回、県議会としても平成2年~7年の間に計5回の中止要請、全国知事会は国の施策や予算に関する提案・要望時に毎年、低空飛行に対する中止の要望を出しています。低空飛行が頻繁な嶺北地域の4町村(大川村、土佐町、大豊町、本山町)は、昨年、12月28日に首長4氏の連名という異例な形で中国四国防衛局に中止要請書を提出しました。にもかかわらず、低空飛行は無くなるどころか、今年1月には、本山町の飛来記録によると11回14機にものぼっており、米軍の横暴に怒りの声が強まっています。さて、要請時の両省の対応と回答はどうだったのか、またその後、何らかの報告はあったのか、お聞きします。
 米軍の飛行訓練ルートは8ルートあり、高知にかかわるルートはオレンジルートと呼ばれています。低空飛行ルートを飛ぶときの米軍の『心得』には、このルートが日本の航空局に認可されたものではなく民間航空のパイロットへの公式な通達もない。また、ルート上の障害物情報の更新もされない。このルートを飛ぶときは、自らが「良く見て避けろ」という、極めて無責任なものとなっています。よく見ることも出来ないほど速く飛ぶ戦闘機が、勘を働かせながら危険な訓練を繰り返しているのです。また、本当にルート上の障害物情報が更新されていないとなれば、県の防災ヘリやドクターヘリの情報も知らされていないことになります。ヘリポートが多く作られ、中山間地の住民の期待も、利用される頻度も増す中で、救急・救援の人命も危険にさらされる事態が、さらに続くことになります。県民の安全を脅かす事態は何としても取り除かなければなりません。危険な低空飛行訓練を、米軍はアメリカ本土でどのようにしているのか。実態を、県はどう認識しているのか伺います。
 米軍機が訓練で飛ぶルートも、時間も全く知らされず、自治体の判断もなしに行われる訓練は、余りにも異常です。ルート上の自治体に働きかけるとともに、他県の知事とも連携をとり、訓練の中止のために、知事が先頭に立って、さらに積極的に動くことが求められています。どう行動するおつもりか伺います。
 また、交渉をするにあたっては、低空飛行の実態を正確に示すことが必要です。嶺北地域だけでなく、県内のすべての市町村と共通認識を持つため、報告の手順などを徹底させることが大事だと考えますが、徹底の状況と見解を危機管理部長に伺います。

■知事

次に、米軍飛行訓練に関しまして、中止要請時の各省の対応と回答はどうだったのか、また、その後、何らかの報告はあったのかというお尋ねがありました。
 米軍の低空飛行訓練につきましては、1月19日に危機管理部長を防衛省及び外務省に出向かせ、直接中止要請書を持参させて、中止要請を行いました。その中で、危険な低空飛行訓練の実情について説明をするとともに、地元市町村が衝突事故等について懸念しておられることを踏まえ、本県における消防防災ヘリ等の運航状況なども説明をいたしました。米軍との交渉窓口となります防衛省の地方協力局補償課長、外務省の北米局日米地位協定室首席事務官にそれぞれ対応いただき、要請のないようは米軍に伝える、また、消防防災ヘリ等の飛行状況については、安全上重要であると思うので、情報提供に協力していきたいとの回答をいただいたところであります。
 後日確認しましたところ、在日米軍司令部に対して、苓北地域に配慮した訓練を行うよう要請するとともに、ヘリの安全航行に対する懸念があることを伝えた、また、苓北地域のヘリパッド(ヘリポート)の位置情報について、米軍の各機関に情報提供を行ったとの連絡をいただいています。

次に、米軍のアメリカ本土における訓練実態についてお尋ねがありました。
 防衛省に確認をしたところ、米軍がアメリカ本土でどのような飛行訓練を行っているのか、詳細には把握していないとのことであり、県としましても独自には、訓練実態の把握はできていません。しかしながら、米国本土における訓練の実態に関わらず、県民の安全・安心を確保することは県の責務であり、危険な訓練が行われていますことは誠に遺憾に思っており、今後とも粘り強く中止要請を継続していくことが重要であると考えております。

次に、訓練の中止のために知事が先頭に立って、さらに積極的に動くことが必要だが、どう行動するつもりかというお尋ねがありました。
 米軍の低空飛行訓練は、日米地位協定に基づいて行われている訓練で、地位協定を所管する外務省及び我が国の防衛を所管する防衛省に米軍との交渉窓口としてしっかりと対応してもらうことが大事だと考えており、両省に対しまして中止の意志を粘り強く継続的に伝えていくことが重要であると考えています。今後も他県の現状や取り組みも参考としながら、関係町村との情報交換を続けるとともに、全国知事会を通じた中止要請も引き続き行っていきます。また、状況に応じまして、私自身が直接外務省等に出向いて中止要請をすることも考えていきたいと考えておるところでございます。

■危機管理部長

米軍の飛行訓練について、県内の市町村からの報告の手順の徹底状況と見解についてお尋ねがありました。
 紀伊半島西部から四国山地にかけての東西を通る飛行ルート、いわゆるオレンジルートにおいて米軍機による低空飛行訓練が目撃された場合には、苓北地域の4町村に加えまして香美市からも県に報告をあげていただくよう、担当課長が各市町村を回りまして要請を行っており、市町村から報告のあった場合は、速やかに中四国防衛省に情報提供する仕組みを構築しています。
 今後は、他の市町村につきましても、実態をお聞きするなどご意見を賜りながら、県に報告をいただく仕組み作りについて検討していきたいと考えています。 

6.東日本大震災・原発事故被災者の受け入れについて

■米田 議員

次に東日本大震災・原発事故被災者の受け入れについて伺います。
 東日本大震災から早くも1年がたとうとしています。しかし、復旧復興のスピードは緩慢で、今後の生活への展望が持てない多くの方々の怒りと嘆きの声が聞こえてきます。
 私たち日本共産党も 、義援金をお届けしたり、ボランティアを派遣したり、積極的な取り組みをしてきました。高知県委員会は、福島県を中心に支援を展開、福島第一原発のある南相馬市には今でも、ほぼ毎週、学校給食センターに野菜や果実をお送りし、昨年末は仮設住宅全戸に毛布を提供するプロジェクトを四国4県、京都の共産党と協力し実施してきました。これからも、息の長い支援活動を続けて参ります。
 さて、本県もいち早く震災支援対策本部を設置し、県のホームページでもトップで情報提供を行うなど積極的取り組みがなされているところです。その支援の中でも、高知県に避難し、移住していただく取り組み、被災地の児童生徒にリフレッシュツアーで心のケアに資する取り組みを強化していただくよう、質問いたします。
 福島第一原発事故は、「収束宣言」どころか、原発を廃炉にできる見通しもなく、放射能被害は、放射性物質を含む石材の流通で全国に広がるなど深刻さを増しています。政府は、住民が避難して存在していない大熊町と双葉町の除染を最優先にし、二本松町など福島県中通りの住民が居住している地域の除染について自治体任せにするなど、対応が遅れています。そうした中、福島県から他県に避難している人は6万5千人に上り、今なお増え続けています。とりわけ幼い子どもさんを持っておられる保護者の不安は日々大きくなり、県外移住を考えている方々も多くなっています。
 先日も、県と四万十町の協力で避難者受け入れのボランティア団体なごみネットを頼ってきた方が家族4人で移住してくることになりました。この方は、いったん緊急避難として四万十市にある施設に1ヶ月ほど滞在。その間、幡多地域での人間関係もでき、高知県への移住を決意し、子どもさんの入学の時期も考慮し、この時期転入することになったものです。技術職をされていたため高知県でも経験を生かした事業を始めるとのこと町にとっても児童数が増えるなど大きなメリットとなっています。
 住み慣れた地域を去ることは被災者の方にとっても深刻な問題です。仕事がなくては生活ができないため、夫は残り、妻と子どもだけでもと家族がばらばらに生活しなければならない状況も広がっています。そうした方々の思いに心を寄せた被災者受け入れの体制強化が求められています。
 本県にもすでに、58世帯140人の方が公営住宅や民間住宅等に入居されていますが、今後、放射線被害を懸念する方々の相談が増加することも考えられ、体制の強化を提案します。この間も、相談者はまず、住居を構えることが大前提となるため、まず県の住宅課に相談されます。住宅課で、一定の聞き取りをしてハローワークや市町村につなぐ形です。そうなると全く高知県にゆかりのない方々は、その時点で気持ちが萎えるかもしれません。佐賀県などは、被災者の気持ちにより添った、ワンストップで様々な相談に対応できるよう、被災者受け入れ支援チームを立ち上げています。地域づくり支援課には、移住促進の担当者がいますが、そのノウハウと活動とも合体させた形で体制強化を図り、賠償金問題などにも精通したコーディネーターを配置してはと考えますが、知事のご所見を伺います。
 また、通常の移住促進のアピール事業に、避難者相談コーナーを設けるなど受け入れの積極的な姿勢を示すことも大切だと考えますが産業振興推進部長に伺います。また、先に述べた事例のように、一時的な避難を積極的に受け入れることが、永住も含めた移住につながる大きなツールとなります。自主避難者であっても1月ほどの短期受け入れを支援する制度ができないか合わせて伺います。
 自主避難者には、母子のみで来られる方があり、2重生活となることから保育料負担が大きくのしかかります。罹災・被災証明がなくてもたとえば、居住地の放射線量などを根拠に一定の保育料軽減や家賃補助など被災者への生活支援が考えられないか地域福祉部長に伺います。
 被災地の子どもたちに、豊かな自然の中でリフレッシュしてもらう取り組みも全国に広がっています。愛媛県では、義援金を活用した受け入れ事業も行われています。本県でも、高校生平和ゼミナールのつながりで福島県の高校生を受け入れ、自然体験をしていただいた中で、「ふさぎ込んでいた気持ちが前向きになり、がんばる気持ちが持てるようになった。」「高知から帰って、明るい笑顔で高知のことばかり話してくれる」と保護者からの感想も寄せられています。被災地応援プロジェクトとして検討してはと思いますが、教育長に伺います。

■知事

次に、移住を希望される東日本大震災・原発事故被災者への対応に関しまして、賠償金問題などにも精通したコーディネーターを配置してはどうかとのお尋ねがありました。県では、東日本大震災支援対策本部をワンストップの総合窓口としまして、住まい、暮らし・生活、就労相談、介護・福祉サービス、教育・保育サービスなど、様々な分野について、被災者の方々からのご相談をお受けしているところであります。
 また、被災者への対応を含めました移住相談は、地域づくり支援課に配置しております移住コンシェルジュが担っておりまして、被災者の方々からのお住まいに関する相談を担当する住宅課とも連携しまして、情報提供を行っております。本県への移住相談の件数は年々増加しており、平成23年度には、被災者からの相談や、移住実績が相当な割合を占めておりますことから、来年度は相談体制を強化しまして、移住希望者への対応を充実させたいと考えております。
 特に、被災者の方々からの相談等につきましては、被災者の方々に寄り添い、被災者の方々の心情に配慮した、きめ細やかなフォローアップに努めていきたいと思っております。
 なお、お尋ねにありました賠償金問題などについてのご相談など震災に関する法律的なご相談がありました場合には、法テラス等に相談窓口がございますので、そちらへの橋渡しを行うなど、丁寧な対応をしてまいりたいと考えております。

■産業振興推進部長

東日本大震災・原発事故で被災された方への対応に関しまして、受け入れの積極的な姿勢を示すことも大切ではないかとのお尋ねがありました。
 今年度は、2月21日現在で、東日本大震災で被災された方や、震災や原発の影響を懸念されている方から県の移住相談窓口への相談件数が46件、そのうち実際に移住された数が11組28名となっております。これは、相談件数では全体の1割弱であるのに対して、移住者数では全体の1/3を超える割合となっておりまして、被災をされた方々の切迫した状況が窺われるものと感じております。こうした方々は、移住を検討される背景に複雑で大変困難な事情がおありですので、何よりもその点に配慮し、相談窓口で親身になって、また、しっかりとした対応を行うことが大切だと考えております。
 来年度は移住コンシェルジュの体制を強化することとしていますので、被災された方々等に対しましても、しっかりとしたサポートをすることで、安心して高知県に移住していただけるよう努めてまいりたいと考えています。
 なお、移住促進のPR事業としましては、大都市圏で開催されます移住相談会への出展、あるいは小規模での座談会の開催、ホームページやメールマガジンを通じまして、「高知で暮らす。」をキャッチフレーズに、高知の魅力であります自然、温暖な気候、新鮮で安心な食、人情などにつきましても来年度も積極的に情報発信をしていく予定ですが、被災地への配慮という観点からも、積極的なPRは控えながらも、何よりも安心して移住していただけることを第一に心がけてまいりたいと考えております。

次に、自主避難者であっても1月程の短期受け入れを支援する制度ができないかとのお尋ねがありました。
 県では、これまでも、高知県への移住をお考えの方々に対する短期間での滞在を促進する環境づくりとしまして、市町村が行うお試し滞在施設の整備を、移住促進事業費補助金で支援をしておりまして、室戸市、奈半利町など補助金を活用して施設整備を行い、移住を希望される方々を受け入れてまいりました。
 また、県と県内の2つの不動産団体との協定に基づき、災害時における民間賃貸住宅情報提供や媒介事務についてご協力をいただく仕組みになっておりまして、不動産団体から県に住宅情報を提供していただき、避難を希望する方々への物件の紹介を実施しております。
 これまで、県の移住相談窓口への自主避難者の方の短期滞在の相談はありませんけれども、実施に高知で暮らしていただき、その生活の中で高知の良さを実感していただくことは、定住につなげていくうえで、非常に効果的なことであると考えており、市町村との連携や不動産団体のご協力のもとに、移住相談窓口でのサポートを行ってまいりたいと考えております。

■地域福祉部長

罹災・被災証明書がなくても、居住地の放射線量などを根拠に一定の保育料の軽減や家賃補助など被災者への生活支援が考えられないかお尋ねがありました。
 本県に避難して来られた被災者の方々に対しましては、安心して生活できる環境を提供するため、東日本大震災支援対策本部を設置し、被災者の方々のニーズに応じて、公営住宅等の提供や、県の臨時職員としての雇用、学校等への転入の支援、生活福祉資金の貸し付けなど、住まいや暮らし、生活、就労などにわたり、幅広い形でサポートができる体制を整えています。
 また、高知県ボランティア・NPOセンターとNPO高知市民会議とともに、「東日本大震災支援プロジェクトこうち」を立ち上げ、官民協働による支援を行うなど、関係機構が連携して、本県に避難して来られた被災者の方々に対する生活支援を行っているところです。
 お尋ねのございました、保育料の軽減や住まいに関する支援については、避難元の住所が、①国の定める「特定被災区域」内にある、或いは、②原発事故による避難指示等の対象地域内にある等、一定の要件を充たす方々は、罹災・被災証明書を提出する必要がない取り扱いとなっています。また、「東日本大震災支援プロジェクトこうち」では、企業等から寄贈いただいた物品については、罹災・被災証明書の有無にかかわらず、被災者の方々に提供するなどの柔軟な対応について、検討を行っているところです。
 県としましては、引き続き、「東日本大震災支援プロジェクトこうち」とも十分に連携を図りながら、本県に避難して来られた被災者の方々の実情に応じて、きめ細やかな支援を行っていきたいと考えています。

■教育長

次に、被災地の子どもたちに、豊かな自然の中でリフレッシュしてもらう機会を提供することを検討してはどうか、とのお尋ねがありました。
 被災地の子どもたちは、東京電力福島第一原子力発電所の事故等の影響により、外遊びを控えるなど、多くのストレスを抱えている実態があります。昨年、文部科学省が、国立青少年施設2箇所において、福島県内の小中学生に自然体験の機会を提供する「リフレッシュキャンプ」を実施しました。その結果、自然体験活動は、子どもが震災や原発事故で受けた心身のストレスに対して一定の軽減効果があると評価されております。
 県内におきましても、自然体験活動を提供する団体が、福島県の被災した子どもを受け入れた事例や、よさこい祭りの関係団体が、福島県や宮城県の小中学生を招待し、よさこい祭りを体験したり、県内の子どもたちとの交流を行った事例などがあります。
 現在のところ、県立の青少年教育施設において、このような被災者支援に特化した事業を行うことは予定しておりませんが、県内において子どもたちに自然体験活動を提供する団体等が集まる機会をとらえまして、「リフレッシュキャンプ」の取り組みを紹介するなど、さらに県内の関係者にこのような取り組みへの理解を促していきたいと考えております。

7.第二問

■米田議員

それぞれ答弁ありがとうございました。第二問を行います。
 最初に知事に短期大学の問題について。つい一週間前に地元新聞に学長のインタビュー記事が出てましたけど、夜間主コースとか授業料半分の問題とかは今後検討だと、大学でも法人で検討していくという、そういうことしか出てませんでしたよね。今、知事が言われましたけどいつどこでそのことを決めたのか。明らかにしていただきたい。そしてそういうことも含めて県民にパブリックコメントを本来求めるべきじゃないですか。去年10月の県の基本方針案は社会人入試とか夜間開講については全部検討します、としかないんですよ。今知事が言われたようなことを改めて明らかにした上で県民に意見を求める、というのが本来の筋じゃないですか。

二つ目は、さかんに定員の拡大と言われますけど、170人言われますけど、知事はその経過を知ってるでしょ。700人社会系学部の四年制のもともとの希望者、県外に行く方をどう県内にとどめるか、ということが改革の目的であったし、それが基本的なスタートでしたよ。それを短大の方を含めて170の定員が増えるから120人の短大の方がそこへ行けるじゃないか、という言い方は非常に乱暴ですし、議論の経過を無視したものだと思いますが二つ目お聞きします。

三つ目は四年制に行くか二年制に行くかは家庭なり本人の希望ですし意思です。人数が行動かしてもどれを選択するかは本人の意思ですから、あたかも四年制でなければならないような言い方をされてますが、改めて聞きますけど、二年制なら通える、二年制しか通えない、今行っている短大の多くの学生のそうした思いを切り捨てることになりませんか。そのことをお答えいただきたいと思います。

それから、学習プログラム、履修証明という制度と言われますけれども、これもぼっかりでてきた話でね、もともと文科省が当時どう言っていたかというと、所用の単位を習得して学位を取得するための学位過程ではない、と、留意して下さいよ、とわざわざ文科省が言ってますよ。もともとは職業訓練、スキルアップ、そういうことを目的としているわけですから、大学とは呼べないわけです。だからいくら短い期間の学びといっても皆さんは大学で学びたいといってるわけですから。決してこれはかわるものではないと思います。

次に、知事にパブリックコメントを、非常に忙しいからあれですけども、これ、意見等の概要というこれではなく、パブリックコメントを直接目を通してくれましたかね。まぁ、通されちょったらあれなんですけども。ぜひ目を通して下さいという意見があります。ここにものすごく思いを書かれているのに、この概要ではわずか3行とか1行しか書いてないんですよ。ほんとにこれで県民の思いが僕は伝わらないと思うんですよ。もし読まれてましたらこれを読んでパブリックコメントを読まれての思い、どんなふうに受け止められたのか、改めてお聞きしたいと思います。以上第二問です。

■知事

さきほど夜間主コースについてこういうことにしたいというお話を申し上げたところでございますけれども、これは正直申し上げてまさにそこにあったパブリックコメント、まさにそこにあった様々なパブリックコメントを私自身も読んで、更に学生のみなさんとお話もさせていただいて、とにかく学ぶ意欲があるのに経済的な事情で進学を諦めないとならんということのないように、ということでこれを繰り返し繰り返し検討チームのみなさんに問いを発し続けて、そういう中で公立大学法人としてもこういうことも受けて、また ぜひこういうコースも設け、学費も安くし、そういう対応をはかりたい、というこういう考えが出てきたものでございます。パブリックコメントをして、さらには学生の皆さんともお話をさせていただいて、私とも密な意見交換をしていく中で、そういう一つの答えとして提示をして頂いた意見だというふうに考えておるところでございます。今後理事会の決定とか、そういう手続きをふんでいかねばなりませんけれども、学長さんとしてもそういう方向で行く、と決められた、意志を固めておられる、とお伺いしているところでございまして、設置者と学長としての意志が一致したものとして提示をさせていただいているものでございます。 
 現実的に、今働きながら学んでおられる方々がいらっしゃいます。アンケート調査等調べてみるとだいたい30人くらいの方がそういう方々でございます。そういう方々の要請に応えていかなければならないということでそういうコースを設置をさして頂こうといたしました。定員の拡大の経緯について、その本来県内にあるなら県内に行きたい、という人のニーズに応えていくという側面、これは確かに第一のものとしてございました。それに従った定員の拡充ということでございますが、そののち、これは特に社会科学系学部について論じておったものです。そののち文化学部の拡充の議論が新たに追加的にでてきてもいるところでございます。その文化学部の中で夜間主コース、働きながら学ぶということについて、少なくとも現行で働いておられる相当の定員分は確保し、学費も安くしていこうじゃないかという議論がなされてきたところです。二年が四年になる、確かに負担は 長いという点において、働きながら学ぶ期間が長いという点においての負担は大きくなるかもしれません。ただ、今は働きながらだと短大学士しか取得できないのに対し、働きながら学士の資格が取得できるようになって、後の企業就職などについても大きく可能性が広がっていくんではないか、というメリットもございます。ただ、二年から四年になることに伴う様々な物理的負担にも対応していかなければならない、ということで四年分の学費で8年学ぶことができるとか、一旦休学しておいてまた復学できるしくみを設けるとか、二年が四年になることになる伴う負担に対する配慮をするようにと、そういうことを今やろうとしているところでございます。これらもパブリックコメントをふまえて色々議論 した末に導き出してきた考え方でございます。
 履修プログラム、確かにこれは短大学士と同等に論ずられるものではないことは自覚をいたしております。ただ、これによりまして様々な社会人の方々の社会人教育、さらには生涯学習、こういう知的欲求に色々と答えていくことができるものであり、また一定の励みになるものではないかと思います。もう一つ、履修プログラムという形をとることによって、そのプログラム構成が非常に体系立ったものとなることで、結果として教育の質を上げていくという効果ももたらすものではなかろうかとそのように考えております。
パブリックコメント、非常に大きな声があります。現実に私の家にも毎日ハガキを送っていただいておって、私も全部読まさせていただいておりますけれども、そういう多くの皆様方の思いもふまえて、働きながら学士がとれるようになるという大きなメリットがでてきますが、それに伴って生じるであろう様々な問題についてできるだけきめ細かく対応していこうということで、夜間主コースであったり4年の学費で8年分であったりとか、色々な制度について提示をさせていただいておる、そういうことでございます。

■米田議員

四年制によって生じる様々な問題、その解決を求めているわけですよ。それをするためには組織をなくしてはできんわけです。知事は四年制は深いことを学べると言いますが、それは四年制よね。四年制に行く人はおります。しかし二年制を行きたい、そこで短大学士をとりたい、そういうことを知事の代でなくすわけですから、大変なことですよ。私は教育は100年の大器といわれています。60年続いた短大の良さを知事の代に決してなくしてはならない、こういうふうに思いますのでぜひ今後も引き続き研究・検討をしていただきたいということも強く要望もしてすべての発言を終わります。