議会報告

  • 2012年09月25日
    知事の政治姿勢【消費税、原発、自然エネルギー、オスプレイ、談合問題】、南海地震対策、公共交通問題、青年対策、生活保護行政、教育行政(奨学金)

2012年9月定例会 代表質問 岡本和也 議員

質問項目

  1. 知事の政治姿勢【消費税】
  2. 知事の政治姿勢【原発】
  3. 知事の政治姿勢【自然エネルギー】
  4. 知事の政治姿勢【オスプレイ】
  5. 知事の政治姿勢【談合問題】
  6. 南海地震対策
  7. 公共交通問題
  8. 青年対策
  9. 生活保護行政
  10. 教育行政(奨学金)
  11. 二問目

1.知事の政治姿勢【消費税】

■岡本 議員

お許しをいただきましたので日本共産党を代表して、議案並びに一般質問をさせていただきます。まず知事政治姿勢の消費税増税が県経済に与える影響についてお聞きします。

8月10日、多くの国民の反対を押し切って3党合意による消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が成立しました。しかし、法案が成立してからも消費税増税に対する国民の反対の声は一向に消えず、今からの生活に対する不安から怒りの声として上がっています。日本世論調査会が9月8,9日に実施した「暮らし意識」に関する調査で、社会保障と税の一体改革で消費税増税により今後の社会保障制度は安心できるか、との問いかけに、なんと74%が「安心できない」と答えている事からも今回の消費税増税がいかに国民から理解されていないかがわかります。

そこで、前回中根議員が消費税増税による県内医療分野への影響について聞きました。

今回私は、高知県の経済、その中でも農業分野についてその影響についてお聞きします。

何で農業か。農業は高知県の基幹産業であり、産業振興計画の重要な位置を占めることから県経済に甚大な影響が予想されるからです。
農業への影響は「現代農業」7月号の中で『消費税増税の影響は、その需要が家計消費支出に負う割合の高い産業分野が大きく、輸出に負う分野は小さい。前者の代表が食糧、農業なのである。総務相から公表されている「産業連関表」によると、生産活動の70%以上を家計消費に依存している分野は「食糧・飲料・たばこ」が90%弱でトップ。「農林漁業」が80%弱で第2位』と食料・農業分野が消費税増税の影響を大きく受け、国内生産の減少につながることが指摘されているからです。

JA幹部は「すべての資材に増税分が負担としてかかってくる。特にいまからビニールハウスを建設しようかという時になって、その負担が見えてくるから資金面でどうなるのか心配をしている。消費も落ち込むことが予想され経営が悪化するのではないかと危惧している。」

四万十市のかんきつ農家は、総売り上げ14461837円で、消費税納税額206200円。その他必要経費の中の消費税分は約27万円。消費税が10%になった場合は単純に倍だから新たに47万6千円の負担になる。現在景気が悪いからそれを商品に転嫁することができない。身銭を切るしかない、政治が決めた事だから仕方がない。と政治への幻滅とあきらめを訴えていました。新たな消費税分47万と言えば一家の2か月分の生活費になり大変大きな負担になります。これが農家の実態です。この様な実態はすべての作物に共通するものです。高知県の産業振興計画も大きく狂いが生じることになります。

知事は、消費税増税における農業分野への影響と産業振興計画の目標への影響をどのように考えているのかお聞きします。

又、厳しい経営を強いられている農家の負担をどのように考えているのかあわせてお聞きします。

■知事

岡本議員の一連の質問にお答えします。

まず、消費税増税による農業及び産業振興計画の農業分野の目標への影響や、農家の負担に関する考えについてお尋ねがありました。

このたびの消費税増税に係る関連法案の成立そのものは、社会保障と税の一体改革として、しっかりとした財源に裏打ちされた持続可能な社会保障制度を再構築していくという点において、一歩を踏み出したものと評価しているところでございます。そしてこれが将来に向けた安心感につながることとなれば景気にもプラスの影響を与えうるものと思います。

しかしながら、増税であることは国民生活に負の影響をも与えることは当然であります。今回の法律では、経済状況を好転させることが消費税率を引き上げる条件とされておりますし、また、経済への影響等を踏まえ、成長戦略や事前防災等の分野に資金を重点的に配分することが政府原案に対して追加されるとともに、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含めて所要の措置を講ずることなどが明記されております。こうした経済状況の負の影響とあわせ考える視点もまた重要だと思っております。

お尋ねのありました農業分野への影響としては、そもそも現在の農業を取り巻く環境は厳しく、農業に従事される皆様方は大変なご苦労をなさっておられますし、農業団体からは「増税となれば、資材費等に係る増税額分を価格に転嫁できず、結果的に農家の負担になってしまうのではないか」といった、懸念の声が挙がっていることは承知しております

また、消費者の購買意欲の低下により、農産物の販売にも影響が出ることが懸念されるところでございます。

私としましては、全国知事会や国と地方の協議の場などを通じまして、農業分野など経済への増税による影響を軽減していく施策をあわせて実施していただくよう、国に対してしっかりと主張していきたいと考えております。かねて申し上げております。贈与税の見直しなど資産移転をうながし、経済活性化につなげうる税制改革、これも今回の法律において検討するとされておる項目であります。経済にプラスの影響をもたらす税制改正、こういうものを促していくなど、そういう取り組みをしていきたいと思っています。

本県が全力で取り組んでおります産業振興計画の農業分野では、「地域で暮らし稼げる農業」の実現を目指し、4年後、10年後の農業産出額を目標値に掲げております。

増税によってこの目標値を変えることは考えておりませんが、更なる生産性の向上や経営の規模拡大、法人化といった、本県農業の足腰を強める取り組みを一層加速化していかなければならないところであり、こうした取組によって、社会経済情勢の変化による影響にも耐え得る、競争力をもった成長産業にしていくことを目指していきたいとかんがえきたいと考えているところでございます。

■岡本 議員

消費税増税と関連して、大阪維新の会「維新八策」などが掲げる「消費税の地方税化と地方交付税の廃止」について伺います。これは財界が進める道州制ともセットの政策であり、自公政権時代の道州制ビジョン懇談会の報告が示した、国は防衛、外交、通貨政策などに特化し、福祉・教育など住民の身近な行政は地方が担い、そのサービス水準と財源は、地域の自己決定、自己責任で行うとした。と一致するものです。

消費税10%になれば県民の負担は731億円増加します。一方、現行の5%のうち1%はすでに地方財源となっていますので、増税分も含めてすべて地方財源として単純計算した場合の税収は1316億円増となります。廃止される・臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税(22年度決算ベース)は、県2204億円、市町村1647億円の計3851億円ですから、差し引き、財源は2535億円減少することになります。

高知県民の負担は731億円増えるのに、財源は2535億円減少となります。これは高知県だけでなく多くの地方が同じ状況です。

大阪維新の会などが主張する消費税の地方税化と地方交付税の廃止という政策は、高知県をふくめた地方を崩壊させることになりはしないか、知事の考えをお聞きします。

■知事

消費税の地方税化と地方交付税制度の廃止に関して、お尋ねがありました。

現行の消費税は、国税として国が徴収するが故に、その一部を地方交付税の原資にあて、地方公共団体間の財源の不均衡を調整することができるのでありまして、これ故にすべての地方で、一定の行政サービスを提供できる財源を保障するための再配分が可能となっているところであります。加えて、地方消費税分につきましても、消費税と併せて国において徴収し、一定の基準により都道府県間で精算することによって、最終消費地に税収を帰属する調整が図られています。

消費税の全額地方税化では、このような消費税の調整・分配機能を維持できないこととなりますが、更に地方交付税制度の廃止までも行えば、所得税や法人税など他の国税収入を含めた財源調整、財源保障機能を失うことになり、地方公共団体間の格差は、益々広がりかねないものと懸念しておるところでございます。

大阪維新の会は、地方交付税制度を廃止して消費税を地方税化する際には、地方間の財政調整制度を導入することも提唱されておりますことから、この新たな制度がいったいどういったものなのか、早期に明らかにしていただくことが必要と考えております。

2.知事の政治姿勢【原発】

■岡本 議員

原発問題についていくつか知事にお聞きします。

原発政策について、各地で開かれた意見聴取会や世論調査、パブリックコメントでは原発ゼロの支持が圧倒的多数となっています。

ところが政府は、原子力規制委員会の人事について、「原子力ムラの影響の排除」「利用と規制の分離」「国民の信頼回復」など規制委員会設置法の趣旨に反した人選を強行しました。この人選には、日弁連なども原子力事業者の委員への就任を禁じた原子力規制委員会設置法第7条第7項の規定や過去3年間、原子力事業者に所属していたものの委員への就任を禁じる7月3日付政府ガイドラインに違反したものと指摘しています。

また、人事案は国会の同意を得ていません。1ヶ月も国会の議運にかけられていたにもかかわらず、国会議員の批判・質問に政府が十分応えることができず、本会議にもかけられなかったものを、総理が任命することは法の濫用でしかありません。

原子力規制委員会は、出発点において国民の信頼を失っていると思うが考えをお聞きします。

次に、原発を再稼働したい、維持したいと主張している四国電力のリスク対策の状況について伺います。

07年に「原子力防災─原子力リスクすべてと正しく向き合うために」という本が出版されています。福島事故を予見した本として注目を集めています。著者の松野元(げん)氏は、四国電力の元技術者で、伊方原発にも勤務し、その後、原子力発電技術機構・緊急時対策技術開発室長として、SPEEDI設計・運用にたずさわってきた方です。今年5月には雑誌に長文のインタビューが載りました。松野氏は、全電源喪失や炉心溶融は、地震や津波でなくても、ヒューマンエラーなどで起きる事象であり、IAEAは、チェルノブイリ事故を教訓に、「5層の深層防護」という基準を打ち出したが、4層、5層の対策がないことが「日本の原子力発電所の致命的な弱点」と語っています。これは、国会事故調査報告書が「5層の深層防護」が実施されていたら「事故は防ぐことはできたかもしれない」と指摘した内容と一致しています。

5層とは、これまで言われてきた「 止める」「 冷やす」「閉じ込める」に加え、第4層の「放射性物質の放出を可能な限り低く抑えるシビアアクシデント対策」、第5層の「原子力防災」は、事故による放射性物質の放出の影響を緩和するための汚染予測、迅速な避難の対策。その後の除染などの対策です。

松野氏は、対策がとられなかった原因は「格納容器は壊れない事にする」という国際的には通用しない前提を採用したからと明かにしています。

「格納容器はこわれない」ことを前提にした是までの対策を改め、第四層、五層の対策を整備するのが、安全対策として求められていると思うが、お聞きします。

また、五層の深層防護について、四国電力の対策状況についてもお聞きします。

福島原発事故は収束せず、被害は拡大し続けています。それに輪をかけているのが被害者の現状復帰の要望に対する国や東電の冷たさです。河北新報8/29付けは「原発事故・宮城集団賠償請求 『2億円被害』に支払い3万円」との記事を報道しています。風評被害など多大な被害を受けているのに、東電は、国の賠償中間指針に宮城県内の損害の大半が対象外とされていること、「事故と損害の因果関係は確認できない」とか、「自主廃業は自身の自主的な判断で、事故とは無関係」として拒否をしているという報道です。

こうした事が起こるのは、リスクに相応した損害補償の準備をしていないからです。昨年、ライプチヒ保険フォーラムは、福島原発並みの事故がドイツで生じた場合、最大損害額を730兆円(2011年5月)と試算しました。

四国電力はどんな備えを取っているのか、また無制限の損害保険に入る事が必要と思うがお聞きします。

■知事

次に、原発政策についての一連のご質問にお答えします。

まず、「原子力規制委員会」に対してどう考えるかというお尋ねがありました。

国会の同意が得られないままの委員の任命は極めて異例の事態でありますが、原子力施設の安全対策は待ったなしの状況であり、法律上の設置期限が今月26日に迫っていたことを考えるとやむを得ない措置であったと考えます。

福島第一原発事故以来、原子力規制行政の在り方が問われており、規制委員会の役割は重大であります。

今後は、原子力安全の番人として、国民の安全・安心を守る原子力規制行政の実践に全力を尽くしていただきたいと考えます。

次に、IAEAの基準における5層の深層防護について、第4層、第5層の安全対策の必要性と四国電力の対策状況のお尋ねがありました。関連いたしますので、一括してお答えいたします。

国会事故調の報告書においても、IAEAでの5層の深層防護の考え方に対して、日本は、炉心の損傷を防ぐまでの第1層から第3層までの予防対策については規制の対象としていましたが、第4層の炉心の深刻な損傷が起こった場合の緩和措置や第5層の放射性物質の放出から住民を守るための対策については規制の対象とはせず、有効な対策を講じてこなかったことが指摘されております。

ご指摘のとおり、第4層、第5層も含めたいわゆる深層防護の考え方は非常に重要であると考えております。 

四国電力における対策状況でございますが、勉強会などを通じて次のことを確認しております。

まず、炉心の損傷を防ぐための予防対策である第1層から第3層の対策につきましては、異常な運転の制御や故障発生を検知するための、管理・制御・保護システム等の導入や、設計時に考慮された設定事故を起こさないよう、また仮に起こったとしてもシビアアクシデントに進展しないようにするための対策として、原子炉の緊急停止装置や非常用炉心冷却装置などの対策を講じております。

さらに、重要な設備について、耐震裕度を2倍にするための取り組みを行っており、伊方原発3号機について、本年6月に完了したとお聞きしております。なお、1,2号機につきましても、平成27年度までに完了する計画とのことです。

これまで、事業者の自主的対応に委ねられてきたと指摘されている第4層の対策につきましては、福島第一原子力発電所の事故を受けた国からの指示などに基づいて、代替再循環や格納容器内注水等の酢段の整備といったアクシデントマネジメント対策や、電源車や消防自動車の配備等の緊急安全対策を実施しています。

万が一事故が起こった際の防災対策である第5層については、周辺の地域の方々や発電所所員の安全を確保するため、非常災害本部の設置や非常事態時の情報連絡体制、救急医療体制などを定めた防災計画を作成し、災害の拡大防止並びに復旧に対処するとお聞きしております。

また、国の対応ではありますが、原発事故時の対応拠点でありますオフサイトセンターにつきましては、現在、伊方原発から4.5キロと近い伊方町役場内に設置されていることから、より遠方への移転が検討されておると承知をしております。

四国電力の安全対策については、今後も勉強会などを通じて確認していくとともに、必要な対策について万全を期していただくよう、求めて参りたいと考えております。

いずれにしましても、先に発足しました原子力規制委員会において、新たな安全基準を策定するものと承知しておりますので、IAEAが示す国際基準にも適合した世界最高水準の安全基準を策定し、その基準に照らした上で、厳格に審査していただきたいと考えております。

次に、四国電力が、事故が発生した場合の損害補償としてどのような備えをとっているか。また、無制限の損害保険に入ることが必要ではないかとのお尋ねがありました。

原子力災害に対する損害賠償制度は、昭和36年に制定された「原子力損害の賠償に関する法律」と「原子力損害賠償補償契約に関する法律」に基づくものでありまして、原子力発電所を運転する場合には、1発電所当たり1,200億円の保険契約及び国との補償契約を締結することが義務づけられています。

四国電力においても、この制度に基づきまして、保険契約等を締結しております。

また、万が一の事故が発生した場合は、電力会社が無限の賠償責任を負うことになっていますが、地震・津波による事故で、賠償額が1,200億円を超え、かつ必要な場合には、国会の議決により、原子力事業者が損害を賠償するために国が援助を行うことになっておるところでございます。無制限の損害保険に加入すべきではないか、とのお尋ねでございますが、なかなかそういった保険は想定しづらいのではないかと思っております。

3.知事の政治姿勢【自然エネルギー】

■岡本議員

自然エネルギーについて知事にお聞きします。7月から自然エネルギーの固定価格買取制度、FITが開始されました。とくに最初の3年間は、普及に弾みをつける為に、内部利益率(IRR)が高めに設定されています。この時期に普及を進める事は、売電益が地域に落ちるという経済的側面からも効果が高いという事です。

メガソーラーなど大規模なものは、電力会社への系統接続の為の工事が必要であり、補助制度があっても大きな障害となっています。送電ロスという欠陥にくわえ、県外の大資本による設置となれば売電益が県外に流れ、県民の暮らし向上には殆ど役立ちません。

他県へも視察に行きましたが、やはり、3年間の有効期間を生かした自然エネルギーの普及には、家庭や小規模の事業者での太陽光発電設置を支援する事がもっとも効果的だと実感しました。香川県では、大手業者が設置する2メガワット以上ソーラー発電は助成していません。一方、家庭向けは1kW2万円、上限4kW分に対し助成しています。売電益だけでなく設置の工事費としても経済波及効果が見込まれるとの事から2330戸分、2億円の予算を組んでいます。経済面だけでなく、省エネ・温暖化対策、防災上の備えとしても重要です。

そこで、高知県として3年間の有利な期間を生かす対策として、家庭や小規模事業者向けの補助制度を設置すべきと考えますが考えをお聞きいたします。

また、自ら設置できる場所、建物をもたない県民が、参加できるシステムも早急に立ち上げるべきと前回質問をいたしました。公用施設の屋根を利用し、県が直営で市民債などで初期費用を確保する取組みとか、地元の金融機関と協力し、自然エネルギーに参画できる商品を開発することも考えられます。

県民参加の仕組づくりの状況がどうなっているのか伺います。

自然エネルギーや省エネルギーの本格的推進のためには、原発ゼロの決断をし、エネルギー政策を転換することがカギになります。財界系のシンクタンクからも政策転換をもとめる提言、意見が出されています。

「原発ゼロへ 政府は明確な意思を ニッセイ基礎研コラム 2012/3」、「自然エネ、省エネが、最大の成長戦略 富士通総研2011/12」「国民負担を凌(しの)ぐ、再生可能エネルギーの経済効果 みずほコーポレート銀行産業調査部の若林資典(もとのり)副部長に聞く2012/6」「政府案・技術進歩を過小評価 家庭の電気代はむしろ減少する 三菱総合研究所・理事長インタビュー 2012/8」などです。

原発ゼロを決断することが、自然エネルギーや省エネルギーの本格的推進のカギとなると思いますがお聞きします。

■知事

次に、自然エネルギー政策についての一連のご質問にお答えします。

まず、固定価格買取制度の施行後3年間の有利な期間を生かした家庭や小規模事業者向けの補助制度の創設についてお尋ねがありました。

県におきましては、県産木材の活用した住宅の新築や増改築に合わせまして、太陽光発電設備を導入する場合に補助制度を設けておりましたが、導入コストが低減するにつれて順調に普及が拡大していること、また、国におきまして余剰電力を有利な金額で買い取る「固定価格買取制度」など手厚い支援策や市町村における支援制度も充実してきたことから、補助制度につきましては一定の役割を終えたものと考え、予算化を見送ったところです。

今後は、メガソーラーをはじめ、小水力発電や風力発電など地域の自然エネルギーを最大限に活用し、地域が主体となった導入を進めることなど、新たな取り組みの展開に力点を置いてまいります。

次に、自然エネルギー事業への県民参加の仕組みづくりの状況において、お尋ねがありました。

地域の資源を最大限に生かし、発電事業から生まれる収益を地域に環流させるためには、地元市町村・地元企業や住民等が参加した形での発電事業を展開していくことが重要となります。

そのため、県では、昨年11月に「こうち再生可能エネルギー事業化検討協議会」を設置し、地域が主体となって発電を行う事業スキームの検討を行ってきたところであります。

その中で、発電事業のメリットを地域に環流させることが重要でありますので、地元市町村や県内企業等にも発電事業を行う特定目的会社などといった主体への出資という形で参画いただきますとともに、事業資金につきましても地元金融機関から資金調達する仕組みを検討しているところです。

こうした取り組みを通じて、地元の皆様の参画を幅広く得ることが出来ないか、今後、さらに検討を重ねて参りたいと思います。

次に、原発ゼロを決断することが自然エネルギーや省エネルギーを本格的に推進するための鍵になるのではないか、とのお尋ねがありました。

私としては、従来から申し上げているとおり、福島第一原発事故による直接的被害の大きさやその影響が多岐に及んでいることを考えると、電力供給における原発の依存度を徐々に徐々に引き下げていく必要があると考えております。 

しかしながら、電気は人々の暮らしに必要不可欠なものであり、電力を低廉な価格で安定供給していくことの重要性や、電気料金の上昇に伴う国民生活や経済活動への影響、さらには化石燃料への依存が高まることによるエネルギーの安全保障の問題などについても、考慮する必要があると考えます。

また、原発の依存度をどの時点でどれくらいの比率にするかは、再生可能エネルギーや蓄電、節電等の技術開発のスピードや社会システムの変革等を推進するなどの今後の政策の展開に左右されると思います。

原発の依存度を下げていくためには、こうした国民生活への影響や科学技術の開発や施策の展開状況等を踏まえた上で、具体的な工程表を示していくことが非常に重要ではないかと考えます。

従いまして、原発ゼロがいつの時期に実現できるかは現時点では、はっきりいたしませんし、そうした状態で単に決断だけを行っても実効性はないのではないか、と懸念をいたすところでございます。いずれにいたしましても、自然エネルギーや省エネルギーの推進につきましては、我が国の総力を上げて取り組んでいかなければならないものである、とそのように考えております。

4.知事の政治姿勢【オスプレイ】

■岡本議員

オスプレイの国内配備について知事にお聞きます。

オスプレイの配備と米軍機の低空飛行訓練に反対し、9日に沖縄県民大会10万人、また岩国集会も開催されました。14日にわたし達も多くの皆さんと力をあわせ嶺北地域で開催し、関係自治体から首長さんの参加やメッセージも寄せられました。県も同様の立場で奮闘されています。

そこで政府に中止をせまる力を高める為に3つの提案をしたいと思います。

1点目のドクターヘリの運行に支障をきたすという問題は、NHKの時事公論にも取り上げられました。全国の関係自治体、医療団体と連携をとり、その声を大きくする事にさらに努力するへぎと思うがお聞きをいたします。

2点目、防衛省は、米軍機の低空飛行訓練等に対する苦情の受付をデータ化しています。2002年から2012/5/31現在で沖縄県をのぞき全国で1538件、最多の群馬県の1020回が大半をしめ、高知県は4回となっています。この数字は、防衛省が米軍に問い合わせをした上で、米軍側が飛行を認めたものの記録です。その都度きちんと抗議をし、意思を伝える取組みが大事だと思いますが、お聞きします。

3点目 アメリカ国内では、環境アセスメントが実施され、野鳥やもぐらなどへの影響を調査します。また住民の意見を聞いて、訓練の中止や凍結がされています。NATO諸国においても、低空飛行は訓練空域や時間帯などが事前に明かにされ、その国の主権のもとに実施されています。領空の全てで外国軍隊の航空機が自由に訓練でき、それが法的に保障されている等という事は、日本以外ではありえません。低空飛行訓練中止の声を強める為には、世界でも異常な運行運用がされている実態を、県民に情報提供することが大事だと思うが、お聞きします。

最後に、昨日24日、中四国防衛局企画部長が県庁をおとずれ、オスプレイの機体の安全性に特段の問題はないとして飛行運用開始の説明を行いました。しかし、米軍低空飛行訓練の被害を受けている大豊、本山、土佐町、大川村の4町村の副町村長と県の高松危機管理部長が同席し説明を受けたものの、逆に不信感を抱く内容で到底納得できるものにはなっていませんでした。ここまで関係する地元自治体や国民の批判が高まっている中での飛行訓練は断じて許す事はできません。厳しく批判するべきで、さらに強い反対の意思表示をするべきです。考えをお聞きします。

■知事

次にオスプレイに関しまして、政府に中止をせまる力を高めるための3つの提案をいただきました。関連いたしますので、あわせてお答えします。

政府は9月19日、オスプレイの安全性を確認したとして、国内においても運用を開始させることを決定いたしまして、本県に対しましても、昨日、中国四国防衛局からその説明がありました。

その中で、沖縄県への配備後における、本県上空のオレンジルートをはじめとする国内各地での低空飛行訓練の実施については、今後、日米間での検討に委ねられるという説明を受けました。

オスプレイによる低空飛行訓練が実施されれば、本県上空での飛行回数が増加し、事故のリスクも高まることとなりますことから、防衛省に対しまして、オスプレイを含めた米軍機による低空飛行訓練の中止について強く要請し、その場で要請書を手渡したところであります。

さらに、今後、中山間地域で活動するドクターヘリや消防防災ヘリの安全性を確保するための方策として、米軍が飛行訓練を行う際のルートや時刻について、事前提供を求めていくなど、オレンジルートの関係県と連携した要請活動も行っていきたいと考えています。

また、現在、米軍機の低空飛行が目撃された場合、県は、市町村に報告を求めるとともに、その都度速やかに飛行実態を防衛省に伝えています。

その回数は、昨年1年間で37回にのぼり、爆音の状況や超低空飛行であったことなど、本県で繰り返される低空飛行訓練の実態を訴え続けています。

今後も、県民の皆様にも情報提供を行っていきながら、日々不安を抱えて生活をしている地元市町村と連携し、訓練中止を訴えてまいりたい、とそのように考えております。

次に、オスプレイの試験飛行について、さらに強い反対の意思を表示すべき、とのお尋ねがありました。

政府による安全宣言後、9月21日から岩国基地及びその周辺においてオスプレイの試験飛行が開始されましたが、依然として沖縄では配備反対の声が根強く、岩国市長も飛行を認められないと述べられるなど、未だに地元の十分な理解が得られていません。

さらに、本県も含め、低空飛行訓練が予定されている関係自治体への説明も無い中で試験飛行が行われたことにより、各地で反発の声が数多く上がっておりまして、私もこうした中で、政府が試験飛行を開始させたことは拙速であったと思います。

政府は、配備ありきで行動するのではなく、オスプレイの安全性について、全ての関係自治体や国民に丁寧に説明し、まずは、1日も早く不安を払拭するための努力をすることが求められているのではないかと思います。

5.知事の政治姿勢【談合問題】

■岡本議員

談合問題について知事にお聞きします。

国土交通省四国地方整備局が発注した県内の公共工事をめぐり、同整備局の幹部が関与していた官製談合の疑いが強まったとして、公正取引委員会が4日、県内30数社に総額十数億円の課徴金納付命令などの事前通知を行いました。国土交通省においても18日に「再発防止対策検討委員会」が開催されています。 国土交通省は、07年と09年にも水門工事と公用車の運転業務をめぐる官製談合事件を起こしており抜本的な対策が求められます。官製談合の背景に退職後の天下りポストの確保などの問題があります。

官製談合の全体の事業に与える影響の大きさからいっても、天下りの全面禁止に踏み切るべきだと思いますが、考えをお聞きします。

それと関連して9月11日付で県土木部の人事異動がありました。部長に就任された方は2004年から2006年土佐国道事務所長だった方です。今回の公正取引委員会の談合認定は2008年ごろからとされています。2006年の所長が全く無関係だったとは通常考えにくい事柄です。談合による土木行政への信頼回復が求められている時に今回の人事が適切であると考えているのか、考えをお聞かせください。

公共工事の信頼をとりもどす為に、県においても、いわゆる天下りに対する規制の強化をさらに進めるべきではないでしょうか。今回の談合を指摘された企業から県内の政党支部へ政治献金がなされています。談合で手にした税金の還流とも言えるもので、公共工事や行政そのものへの信頼性を損なうものです。この場を借りて、自主的に献金を返金することを呼びかけたいと思います。その上で公共事業の信頼回復を行う為に、県の公共事業を請け負っている企業に、政治献金の自粛を求めるつもりはないか、お伺いいたします。

談合は厳しく指弾されなければなりません。そこで処分はどんな基準で臨むのか考えをお聞きします。

次に、南海地震対策の推進もまったなしの課題となっています。防災対策など事業への影響と、その回避策について伺います。公共工事の実際の現場では、一次、二次、三次などの下請け企業、中小零細業者によって担われており、地域経済や地域の災害復旧においても重要な役割を担っていますが、経営体力が弱い業者が多くを占めています。今回の元請企業による官製談合により、仕事を失い、倒産や従業員の解雇につながることは避けなければなりません。

県としてこのような業者同士でJVを組んでの、工事の受注をできるようにする等、支援と対策を考える必要がありますが、お聞きします。

9月6日の朝日新聞は、業者の声として“「今回の公正取引委員会の動きで、業界が改善されるのではないか」と前向きにとらえる。「これまで落札が一部業者に集中し、業界は不公平だった。現状には不満で、そうした声はうちだけではない」”と述べたことが紹介されています。改めて、公正な入札制度を築く決意について伺います。

■知事

次に、談合問題についてのご質問のうち、まず、天下りの全面禁止に踏み切るべきとのお尋ねがありました。

公務員の民間企業等への再就職につきまして、様々な批判的な見方があることは承知しておりますが、民間企業などが必要な人材を広く適材適所で求めようとする場合に、国家公務員や地方公務員として培った知識や経験を活用しようとすることは、有効な手立てのひとつでもあると思います。

しかしながら、公務員は、現役時代に公権力の行使をはじめとする権限を背景にして民間企業等の方々と接しておりますので、再就職にあたりまして、そのことが国民、県民の不信や疑惑を招くことのないよう一定の歯止めは必要ではないかと考えますし、まず第一に、公務員一人一人が国民、県民の信頼を裏切ることのないよう常に自ら厳格に律していくことがなにより大切であるとそのように考えています。

次に、土木部長人事についてお尋ねがありました。

土木部長は、道路行政に関して豊富な経験を持っており、国との密な情報交換や国への説得力ある政策提言などを行っていく上で、大いに力を発揮してくれると思います。

謙虚なお人柄で、コンプライアンスを重視して仕事を進めてくれる人物であると評価しています。

土木部長には、様々な課題に正面から取り組み、南海トラフ巨大地震対策や高速道路の整備など本県の基本政策の推進に全力を尽くして成果を導き出しもらいたいと思い、また期待をしています。

次に、政治献金の自粛を求めることについてお尋ねがありました。

政治活動に関する寄付については、政治資金規正法において、量的・質的な制限が規定されています。

一方で、同法は、これらの制限の範囲内であれば、政治活動に関する寄附も含めた政治資金の拠出について、国民の自発的意志を抑制することのないように、適切に運用されなければならないとされており、寄附を行う側、受ける側の双方において、この規定の趣旨を踏まえ適切に対応していくべきものと考えております。

次に県の処分はどのような基準で臨むのか、とのお尋ねがありました。

今はまだ、公正取引委員会の調査中であり、その結果を待たなければなりませんが、今後、公正取引委員会から正式な処分が決定された場合には、高知県建設工事指名停止措置要綱に基づき、速やかに指名停止措置をとるとともに、公正取引委員会の処分の確定後は、建設業法に基づく監督処分や契約書に基づく賠償金の請求などを行うこととなります。

今後、再び、建設業界の皆様が独占禁止法違反の疑いを持たれ、県の工事の入札手続きが保留されるという事態が生ずることがあってはなりません。建設業界におけるコンプライアンスの確立を最重要の課題として、県としても適正な対応を図って参りたいと考えているところでございます。

次に、下請け企業や中小零細企業への支援と対策に関するお尋ねがありました。

平成24年度に発注を予定しております事業につきましては、一部遅延するものもありますが、計画どおり実施することとしております。

また、当初県内の建設業者での施行を予定していたものは、引き続き、県内の建設業者へ発注することとしております。

こうしたことにより、事前通知を受けていない業者への影響ができるだけないように努めていまいりたいと考えております。

次に、公正な入札制度を築く決意についてお尋ねがありました。

このたび、県内の建設業者に、公正取引委員会から処分案の事前通知が出されたことにつきましては、非常に残念に思っているところでございます。

今後、さらにコンプライアンスの確立を何よりも優先する環境が醸成されますように、公正取引委員会の調査結果が出ましたら、その内容についての詳細な把握に努め、県の談合防止対策検討委員会でもご議論いただきまして、入札制度の見直しなど、具体的な対策を講じて参りたいと考えております。                                                           

6.南海地震対策

■岡本議員

次に南海地震対策についてお伺いします。

県政、国政の重要課題として、知事、担当部局を始め対策のさらなる拡充・加速に取り組んでいる所ですが、被害想定も含めた新たな想定を踏まえていくつかお伺いします。

今回の想定では、津波対策の重要性はもちろん、同時に地震動、揺れ対策の重要性と本格的な推進を提起しています。国の被害想定は、建物被害では全壊及び焼失棟数が約24万戸という膨大な数に上り、そのうち揺れによるものが16万7千戸7割を占めている事、人的被害も4万9千人でうち建物倒壊によるものが1万人を占めている事を示し、また被害の大幅軽減に避難の迅速化、早期避難の重要性を強調しています。これら被害の大きさからも、又まず避難を確実に実践できる様にする為にも、住宅の耐震化は最重要課題の一つである事は明らかであります。6月議会でも中根議員が提言しました住宅の耐震化について、県も努力されている所ですが、被害想定をうけての位置づけ、重要性、そして本格的な促進への決意と対策について土木部長に伺います。又、家具の転倒防止について、県の補助制度の市町村の活用状況と今後の推進策について、合わせて危機管理部長にお聞きします。

■土木部長

今回の被害想定を受け、住宅の耐震化の位置づけや重要性、本格的な促進に向けた決意と対策について、お尋ねがありました。

今回の新たな被害想定において、特に強い揺れによる死者や建物の倒壊が大幅に増えており、その多くが強い揺れに対して脆弱な、昭和56年以前のいわゆる旧耐震基準に沿って建築された建物の倒壊によるものと考えられます。

地震の強い揺れで倒壊する住宅を減らすことにより、多くの県民の皆様の生命を守ることができますので、住宅の耐震対策は非常に重要な課題の一つとして考えております。

県では、耐震診断、改修設計、改修工事を行う住宅所有者に対する支援を市町村と協力して実施しております。特に、改修工事については、住宅所有者の負担軽減を図るため、従来の60万円に加えて平成22年度の途中から30万円の上乗せを行い、最大で90万円の補助を実施しております。

これらの支援により、平成20年以降、300戸程度であった改修工事の実績が、昨年度は、2倍を超える695戸となっております。引き続き住宅の耐震化の促進に取り組んで参ります。

■危機管理部長

南海地震対策に関するご質問にお答えいたします。

まず、家具の転倒防止について、県の補助制度の活用状況と、今後の推進策に関するお尋ねがございました。

8月末に公表された内閣府の被害想定では、家具の転倒防止対策など室内の安全対策を講ずることで、死傷者数を大幅に減少させられることが明らかにされております。

しかしながら、県内でのこの対策の実施率は、県民世論調査では約18%となっており、全国での26%に比べ、大きく下回っております。

また、県の家具固定の補助制度を活用できるよう、補助要綱を制定している市町村は、今年度新たに制定する見込みの6市町村が加えましても、まだ34市町村中20市町村にとどまっており、この制度を広く県民の皆様が利用できるまでには至っておりません。

一方、要綱を制定している市町村におきましても、この制度が十分に活用されているとは言えない状況です。その原因の一つには、補助の対象と成る高齢者世帯などへの広報PRの不足が考えられます。

このため、まずは要綱を制定していない市町村に対しまして、家具の転倒防止対策を推進することによる減災効果の大きさを引き続き訴えながら、制度を導入していただくよう取り組んでまいります。また、この補助制度に関しては、これまでの市町村の防災担当課を窓口としてきましたが、今後は、福祉担当課との連携も図ることによって、対象となる高齢者や障害者の方々のこの制度の活用を促進をしてまいりたいと思います。

■岡本議員

つぎに、学校施設の耐震改修について教育長にお聞きします。

例えば本県の公立小中学校の耐震化率は、76,7%で、全国平均84,8%より下回り、全国37位、この10年間の進捗率も31位となっています。また天井材、照明器具、窓ガラスなど非構造部材の耐震点検、耐震対策も大きく遅れています。

19市町村が沿岸域にあり、また震度7が想定されている市町村が30に上っていることを考えた時、学校の耐震改修はまさに待ったなし、喫緊の課題です。

国は平成27年度までに耐震化100%実現を目指しているとしていますが、高知県の遅れている要因、100%目標年度、そして対応策について教育長にお伺いします。

また文科省は、耐震化の遅れている全国137市町村、県内では高知市、須崎市、宿毛市、土佐清水市の4市が対象になっているとの事ですが、直接文書要請と訪問をするとしていますが、その経過と県としての支援、指導についてお聞きします。

■教育長

まず、本県の学校施設の耐震化が遅れている要因と、耐震化100%を実現する目標年度とその対応策についてのお尋ねがありました。

学校施設の耐震化は、県立学校は、国が目標とする平成27年度までに耐震化を完了する予定です。一方、市町村立の学校については、財政状況の厳しさや統廃合の問題等により、平成27年度までに県内の全ての学校が耐震化を完了するのは困難であり、現在のところ耐震化100%は、平成30年度になると考えております。

県としましては、できるだけ早い時期に耐震化を完了させるために、これまで実施してまいりました市町村が行う学校施設の耐震診断費用等に対する県単独補助や、耐震補強工事に対する国の補助制度への継ぎ足し補助を今後も行うことにより、引き続き市町村を支援してまいります。

また、国に対しましても、国庫補助制度の更なる充実等の要望を継続し、早期の耐震化完了に向け、努めて参ります。

次に、文部科学省が学校の耐震化が遅れている市町村に対して直接の文書要請を行い、今後訪問をすることについての経過と県としてどのような支援を行い、指導をするのか、とのお尋ねがありました。

文部科学省は、本年4月1日現在の耐震化率等に基づき、今後、より一層積極的な耐震化への取り組みが必要と考える4市(高知市・須崎市・宿毛市・土佐清水市)に対し、8月24日付けで耐震化の加速化について要請書簡を送付しました。さらに、このうち、平成27年度までに耐震化が完了しない予定の2市(高知市・須崎市)に対しては、文部科学省の職員が直接訪問し指導することになっております。

4市のうち、宿毛市と土佐清水市は、現時点では耐震化が遅れてはいますが、平成27年度までには耐震化を完了する予定とお聞きしております。

また、高知市と須崎市については、財政的に厳しいことから耐震化完了予定は、高知市が平成30年度、須崎市が平成29年度とお聞きしております。

この2市に対しましては、先ほどもお答えしました耐震診断や耐震補強等工事に対する支援を引き続き行いますとともに、耐震化を前倒しをして実施していただくよう強く要請してまいります。

■岡本議員

次に、避難路、避難場所の整備、地域避難計画の策定、そして実際の避難訓練、避難行動、防災意識の向上にとって住民参加と自主防災組織の結成、活性化は必要不可欠ですが現状はどうか。

地域、市町村への支援体制をどう充実、強化するのか危機管理部長にお伺いします。

■危機管理部長

次に、自主防災組織の現状、地域や市町村への支援体制の充実強化についてお尋ねがありました。

まず、自主防災組織の組織率は、本年4月現在で74.7%となっており、地域や市町村の重点的な取り組みにより、昨年の全国平均75.8%とほぼ同程度の水準まで上昇しました。

平成17年には、全国平均のほぼ半分の32.6%という県内の組織率でしたので、この7年間の伸びは非常に大きなものがございます。

しかしながら、組織率が高まる一方で、自主防災組織の活動実態については、活動への参加者が少ない上に、参加されるメンバーが固定化していること、あるいは活動の内容が発災時に実効性を発揮できるものとなっているのか、また、そうした活動を継続して将来にわたって担っていける組織となっているのか、といった点で課題を抱えている自主防災組織もあるとお聞きをしております。

このため、今後は、例えば、活動内容にDIGのような実践的な図上訓練を取り入れたり、自主防災組織と学校が連携して防災訓練を行うことで、住民の方々の防災活動への関心を高め、参加者を増やし組織を活性化させる取り組みを市町村と連携して進めていくことが必要だと考えております。

また、防災対策を進める上での地域や市町村への支援体制については、今年度から南海地震対策課の職員を増員いたしまして、避難タワー設計のための手引や避難方法の選択に係るガイドラインの作成など、多くの市町村が直面しております共通の課題への対応に重点的に取り組んでおります。

また、今月4月に「こうち防災備えちょき隊」を設置し、地域での防災学習会の開催や、避難計画の策定また避難訓練に関するアドバイスなどを行っているところでございます。

今後も引き続き、地域や市町村の要望もお聞きしながら、地域の防災力の向上に向けて取り組んでいきたいと思いますし、市町村を支援していきたいと考えております。

7.公共交通問題

■岡本議員

公共交通問題について、県民生活における鉄道の位置付けについて知事にお聞きします。

急速な車社会の進展の中、少子高齢化、人口減が続く高知県にとって交通弱者の移動手段である公共交通を守っていくことは大切です。この間行政として高知県公共交通経営対策検討委員会を設、知事の諮問を受け答申を行いました。また、議会としても公共交通問題調査特別委員会を設置して調査活動を1年かけて行い前回の議会でその取りまとめの報告を行ってまいりました。その事を前提にしながら、今回は鉄道に限定した質問を行います。

高知県公共交通経営対策検討委員会答申による「県内公共交通の望ましい維持・確保策の確立に向けて」によると、鉄道分野では「都市間ネットワークの主要幹線、地域密着路線として維持」としています。ご存知のように鉄道は通勤通学、車などの移動手段を持たない高齢者や若者などの長距離移動手段に利用され、また観光振興や、高知県の地理的条件の中ではなくてはならない存在になっています。この様な鉄道の位置付けについてどの様に考えているのかお聞きします。

私も公共交通問題調査特別委員会の委員としてこの間鉄道の調査にかかわってきました。調査の中で、高速道路の延伸による旅客数の減少が経営努力を大きく超えて経営悪化を招いています。具体的には。土讃線では平成4年川之江JCTから大豊ICが開通して高松自動車道と接続した時の旅客数は1314万人でしたそれが翌年の平成5年以降、右肩下がりで減少が始まり平成23年度では836万8千人の約6割にまで減少しました。又、中村宿毛線では平成14年伊野ICから須崎東ICまでの開通時には旅客数124万人が翌年の平成15年から極端な右肩下がりの減少が始まり平成23年度では72万2千人と、これも約6割にまで減少いたました。特に中村宿毛線では平成24年度中には中土佐町から窪川までの高速道路が延伸することから県の試算で現在の7,6%の旅客が減少するようになっています。当然のように経営悪化を招きます。旅客数が減少する中、合理化や給与の削減、様々なイベントの企画などに取り組んできています。経営努力には限界があるのではないでしょうか。特に中村宿毛線は基金が今年度末見込みで約三千万円になり今後の経営が持続できなくなってしまいます。これが鉄道を取り巻く実態です。高知県公共交通経営対策検討委員会の答申では鉄道については「三セク鉄道の運行継続のためには、経営安定基金による支援は引き続き必要。その際、大きな果実を生む金額を造成することも検討」とあります。答申にある運行継続のために財政面の支援は絶対に必要です。その事をいかに考えているのかお聞きをいたします。

同時に今日の三セク鉄道の経営危機の最大の元凶は国鉄分割民営による地方路線の切り捨て政策があります。知事は国に対しても財政的支援を求めるべきでないかと考えますが考えをお聞かせください。

■知事

次に、鉄道の位置づけと運航継続のための財政支援の必要性についてお尋ねがありましたので、併せてお答えします。

鉄道は、「速く、時間に正確で、大量の乗客を運ぶことができる」といった特性を持つ交通手段であり、地域の経済活動や日常生活などの基盤となる重要な社会インフラであります。

本県においても、県外はもとより、東西に長い県内各地を結ぶ基幹的な公共交通機関として、本県の産業や観光など経済発展に大きく寄与しており、また通勤通学などの日常の生活路線としても重要な役割を果たしております。

お話にございましたように、土佐くろしお鉄道「中村・宿毛線」は、少子化や過疎化の進展、高速道路の延伸などにより利用客が年々減少しているとはいえ、昨年度も72万人が利用するなど、西南地域の動脈として大きな役割を果たしている重要な路線であると考えております。

このため、維持・存続に向けた利用促進策の取り組みと併せて、経営安定基金の造成について、関係市町村との間で鋭意、協議・調整を行っているところでございます。

次に、第三セクター鉄道の経営危機に対して、国に財政的支援を求めるべきでないか、とのお尋ねがありました。

昭和62年の国鉄分割民営化を契機に、全国で第三セクター方式による鉄道事業者が誕生しましたが、その多くは、輸送人員の減少による収入の減少、設備の老朽化や燃料の高騰等による経営コストの増加などにより、厳しい経営環境におかれております。

このため、本県など第三セクター鉄道を有する29の府県で構成いたします「第三セクター鉄道等府県協議会」では、これまでも国に対して、支援制度の拡充や創設などの要望を行いますとともに、本県独自でも、第三セクター鉄道を支援する自治体への財政支援などの提言を行って参りました。

このような取り組みにより、鉄道施設の安全対策に関する支援制度が拡充されるなど、地方の声も反映されつつあります。

地方の第三セクター鉄道を取り巻く経営環境は、ますます厳しさを増すことが予想されますことから、今後とも、地域に必要な第三セクター鉄道が継続して運行できますよう、関係府県とも連携して国への提言・要望を行ってまいりたいと考えております。

8.青年対策

■岡本議員

次に青年対策についてお聞きします。次代を担う青年に未来への展望を語れない様では高知県の将来はありません。地域の中で青年が自信と誇りを持って暮らしていく事。結婚して子供を産み育て、また次の世代に生きる知恵や文化を継承していく、このサイクルをしっかり確立することが高知県を繁栄させていく礎になると確信します。しかし実情は理想通りにはなっていません。少子高齢化による人口減。所得全国最下位など地域経済の衰退を見ると一目瞭然です。高知県の未来を考えるなら青年問題は最優先的に取り組んでいかなければなりません。

県としても、第二期産業振興計画で「地域地域で若者が 誇りと志を持って働ける高知県」を打ち出し、一次産業の後継者対策、若者の就労対策、少子化対策など様々な取り組みをされています。その上での質問とさせていただきます。

私は今回の質問の準備をするにあたり民青同盟の皆さんと一緒に幡多地域で暮らす青年104名からアンケート調査を行いました。

アンケートでは、200万円以下の収入が約半数、6割が親と同居し、半数が親から援助を受けながら暮らしていると回答。75%の青年が地元幡多、もしくは県内での就業を希望していました。

介護施設で働く20代の青年は「非正規で働いて6年。給料は手取り10万円程度。仕事にやりがいを感じているが、賃金が安いのが一番の不安。今は親との同居で何とか暮らしているが、親が退職したらどうなるか。結婚を考えている相手もいるが、収入の低い現状では不安定で踏み切れない」と話しています。

また、30代の女性は自治体の臨時を8年間続けています。10か月単位で期限が切れ、手取りも10万円程度。交通費などの手当もなく、通勤のガソリン代も大きな負担になっています。無職で無収入の時は外へ出るお金も気力もなくなり、臨時を繰り返すという不安定な状況から抜け出せず、将来がとても不安で怖いと話してくれました。知事は幡多地域の一部分ですが、これら青年の声をどう受け止めるかお聞かせください。

青年が気軽に相談できる窓口としてジョブカフェがあります。今回、幡多のジョブカフェでも聞き取りを行いました。

履歴書の書き方から仕事体験講習、適職調査、ミスマッチの解消などが取り組まれています。過酷な労働、非正規雇用が常態化し、安定した暮らしが保障されない中、精神的な病気に悩まされる引きこもりなど深刻な事例が後を絶ちません。多岐にわたる相談に対応するため、サポートステ―ションや四万十市の福祉事務所など関係機関とも連携を始めています。青年の身近な相談所としても、青年の実態を総合的につかむ場としても更なる機能の充実が求められていると実感しました。

現在、営業が日曜日を除く週4日となっていますが、平日毎日営業できる体制、また、利用者の増加により手狭になった場所の拡充、総合的な相談機能等、幡多地域でのジョブカフェの機能強化のために積極的に支援を行うべきと考えますが、商工労働部長に答弁を求めます。

また、全県的課題として、労働基本権や就労支援についての教育、普及があります。労働基本権や就労支援についての知識は青年の職場定着や離職防止においても必要最低限の知識です。20代女性は県外のアパレル業に就職。一日10時間を超える労働と手取り15万の低賃金の中、体調を崩し、幡多に戻ってきました。彼女は、「違法労働にも気づかなかった。雇用保険の制度や労働基本権についての知識は仕事をするときも辞めるときも大事だった。失業保険などのセーフティネットを使えたが、まわりの友人たちもほとんど知らない」と話しています。  

県として高知県の青年の実態にあった簡易でわかりやすいリーフレット作成やインターネットでの普及。また若者雇用セミナーや高校教育での労働基本権の教育に取り組むべきと考えますが、商工労働部長と教育長にお聞きします。

■知事

次に、青年対策について、不安定な雇用状況から将来への不安を訴える幡多地域の青年の声をどのように受け止めるのか、というお尋ねがありました。

議員ご紹介のアンケートからも浮かんで参ります、若い方々が安心して暮らすことのできる安定した雇用の場を、各地域でいかに確保していくかということは、本県のみならず全国的にも、大変重要な課題となっています。

私自身、これまで直接、地域地域に足を運ばさせていただいて、地域の皆様方と率直な対話させていただきまして、地域地域の実情を学ばせて頂く中で、様々なヒントやお知恵を賜ると同時に、きわめて厳しい実情もお伺いしておるところでございます。

その中で出されましたそうした県民の皆様の願いを何としても実現しなければならないという強い思いを持ちまして、産業振興計画の実現に向けた取り組みを、官民挙げて全力で進めているところであります。

これまでの3年間の取り組みによりまして、本県産業の振興に向けて積年の課題に立ち向かう仕組みが整い、県内各地で官民一体となった新たな事業が数多く動き出し、経済や雇用といった面も含めて、成果も着実に現れてきています。

例えば、有効求人倍率や企業の現況判断の全国比較では、かつては、全国の景気回復の波に乗れず低迷していたものが、近年、産業振興計画の取り組みや時を同じくして実施された雇用対策基金事業、さらには土佐・龍馬であい博などの効果もあり、全国的な動向に並んで上昇に転じてきております。

また、平成22年10月には一時的ではありましたが全国の有効求人倍率を上回ったことや、1人あたりの現金給与総額などが前年と比べプラスに転じるなど、明るい兆しが見え始めてはおります。

一方で、現状ではまだ、県民の皆様が県勢浮揚を実感するまでには至っていないと考えておりますし、これまで実行してきたからこそ明らかになった、乗り越えるべき課題も数多く出てきているところでございます。

そのため、第二期計画では、各産業分野においてこれまで実施してきた施策を大幅に拡充をいたしまして、これからの高知県を担って頂く若者が志を持って打ち込める魅力ある仕事をつくる、という大きな指針のもと、取り組みを強化いるところです。今後とも鋭意取り組みを進めていきたい、そのように考えております。

また、非正規労働者の処遇や不安定な雇用状況の改善につきましては、本年7月に全国知事会としても国に対し、要望を行っております。

国として、しっかりと取り組んで頂く必要がある重要な課題でありますので、今後とも若い方々の安定した雇用の場の確保につき、要望してまいりたいと考えております。

■商工労働部長

まず、若者の就職支援相談センターであるジョブカフェこうち幡多サテライトの機能強化についてお尋ねがありました。

幡多サテライトは、若者が気軽に相談できる就職支援機関として、平成21年4月からジョブカフェこうちのサテライトとして設置し、幡多地域の若者の就職支援を行って参りました。平成21年度の来所者数は986人でしたが、平成23年度には、1,206人と大幅に増えていますし、また、就職に繋がった方の実績も同じく21人が35人と増加しており、幡多地域での若者の就職支援に大きな役割を果たしているところです。

また、本年度からは、開所日を週3日から4日に増やして利用者の利便性を図るとともに、「しごと体験講習」のコーディネーターを新たに1名配置するなど、体制の強化を図ったこともありまして、8月末までの就職者数は、前年同月の5名から42名へと大幅に増加するといった成果もあがっています。

さらに、10月には、幡多サテライトの新たな取り組みとしまして、介護福祉分野の職場見学セミナーを四万十市の高齢者の施設で開催することとしております。

今後につきましては、本年度に実施しました体制の強化や新たな取り組みの状況や効果も十分に検証していきますとともに、利用者の声や現場の意見も参考にしながら、開所日も含め、サービスや機能の充実について検討してまいります。

次に、若者に対する労働基本権や就労支援の教育、普及に取り組むべきではないか、とのお尋ねがありました。

働く人たちが生きがいをもって充実した職業生活を送るためには、賃金、労働時間などの労働条件や雇用保険制度といった職場における権利や諸制度がどのようになっているのかを理解し、有効に活用していくことは、大変大切なことであると考えております。

同様の考えのもと、国においては、労働法の基礎知識を学ぶためのわかりやすいハンドブックが作成されていますし、また、県内の労働基準監督署やハローワークから学校に出向いて、労働法に関する授業を行うといった取り組みも行われています。

また、県におきましても、「ジョブカフェこうち」で国が作成していますハンドブックの配布や職業相談を通じて、働くときに必要な基礎知識などの周知を行っているところです。

お話にありました簡素でわかりやすいリーフレットなどは、若い方々に労働に関する権利や就労支援策などを知っていただき、安心して働いて頂くために、有効なものであると考えますので、今後、労働局とも連携を取りながら、その作成について検討してまいります。

■教育長

次に、高等学校における労働基本権の教育の取り組みについてお尋ねがありました。

県立高等学校では、労働基本権については、必ず履修しなければならない科目である現代社会か政治経済で学習しており、特に、日本国憲法のほか、労働組合法、労働基準法、労働関係調整法の労働3法については、教科書等で基本的な条文も学んでいます。したがって、労働時間や賃金などの労働に関する基本的な知識は学習しています。

今後は、学習指導要領の改訂を受け、本県でも取り組みを進めている新聞等を活用した授業実践などを通しまして、学習内容と実社会のつながりを一層意識させるとともに、課題を発見し、課題に対応していく力についても、教育活動全体を通じて身につけさせていきたいと考えております。

9.生活保護行政

■岡本議員

次に生活保護行政についてお伺いします。

今年1月の札幌市での42歳の姉と40歳の障害を持つ妹の病死、凍死、又さいたま市での60歳代の夫婦と30歳代の息子など餓死、孤立死が全国各地で相次いでいます。

報道されたケースの多くが、生活保護に結びつけられる事なく、生活保護以下の生活を強いられ、身体が衰弱し餓死、孤立死に至ったと言われています。

また高知市が初めて行った調査で、11年度生活保護受給者で1ヶ月が経過して見つかった事例を含めて39人が、自宅で孤立死していることが明らかになりました。

これらの現実は、住民に大きな衝撃を与えると共に、地域社会のあり方や政治と行政の役割、あり方を問う事を改めて求めていると思います。

こうした背景に、家族や地域社会の変化と共に、先日の日本世論調査会の調査で79%の国民が現在の社会保障制度は安心できない、不安だ、との回答が示すように社会保障の劣化、未整備、そして貧困の広がりがあるのではないでしょうか。今の政権になって初めて日本の貧困率が発表されましたが、OECD基準によれば(たとえば4人家族で月18万6千円未満で暮らす人の率)16%、約2千万人に達しています。しかし生活保護受給者は増えたとはいえ日本は人口比1,6%程度であり諸外国、ドイツ9,7。イギリス9,3。フランス5,7%等と比べて著しく低いのが実態です。結局補足率、生活保護水準未満の収入しかない人で保護を利用している人は2割程度で、膨大な漏給層、生活保護から漏れている人々が存在しているのが実状です。

紹介したこれらの事例について、地域福祉部長はどう受け止められているのか、また県下の餓死、孤立死の実態はどうなっているのか、調査の実施状況も含めてお聞きします。 そしてこれら事例の背景についてどう考えるのか合わせてお伺いします。

つぎに餓死、孤立死をなくすための対策等についてであります。

一つは生活保護の漏給防止策の徹底です。

 札幌市の例は、3度も福祉事務所を訪問しているにもかかわらず必要な支援が実行されませんでした。生活保護の水際作戦は依然として根強いものがあり、必要とする人が漏れなく受けられるよう改善する事を徹底する事が求められています。また、役所への相談等にも行っていないケースも多くあり広報の強化が必要です。高知市では、提言をうけて福祉事務所の窓口はもちろん、市民が訪れる各地のふれあいセンター等にもしおりを配布しています。

二つめは、餓死、孤立死は電気、水道、ガスなどライフラインの途絶から始まっています。厚生労働省からも通知が出されていますが、個人情報問題を解決しライフライン業者、介護保険や郵便、新聞事業者等との連携を強化し緊急対応を実施する事です。

三つめは、餓死孤立死予防の点です。一人暮らしや高齢者のみ、や障害者世帯などいわゆるリスク層への積極的なアプローチです。東京港区では、一人暮らし高齢者の中から介護保険等認定を受けながら利用していない人、生活保護を受けてない人などを、各地区のふれあい相談室の相談員が対象世帯を訪問して必要なサービスにつなぐ活動を行っています。こうした事例にも学び、住民、市町村と協力、連携して、餓死孤立死ゼロ、健康長寿県のとりくみを抜本強化すること。

四つめは、行政内部の連携強化とケースワーカーなど福祉関係職員の充分な配置と専門性の向上を図ること。この4点について地域福祉部長の所見と、県としての今後の対策、取り組みについてお伺いします。

今年7月厚生労働省の生活支援戦略中間まとめ、また社会保障制度改革推進法、元々は自民党の4月、日本の再起のための政策(原案)でありますが、これらにもとづいて生活保護制度の見直しが進められています。しかし問題は、憲法と生活保護法などにもとづき当事者の声も反映した見直し、充実こそ求められているのであり、財源問題を口実にしたり、社会保障の国の責務放棄と個人責任の押しつけによる見直しは決して認められるものではありません。ますます、餓死、孤立死事件を生み出すことに成りかねません。

そこでお伺いします。給付水準の適正化が言われています、例えば高知市70歳以上の一人暮らしであれば月68950円の生活扶助費で、食事、水光熱費、衣服も含め日常生活品をまかなわなければ成りません。一日2食、安売りを求めてスーパー周り、冠婚葬祭など大事な交際も控える等などこれが生活実態です。これをさらに10%削減の見直し案も出ていますが、これで文化的で最低限度の生活といえるでしょうか。国の見直しに当たって、当事者の生活実態や意見を反映するよう提言すべきと思うが地域福祉部長の御所見を伺います。

また給付水準の引き下げは、現在の受給者の生活水準の引き下げにとどまらず、膨大な低所得者、漏給者がいるなかで新たに申請のハードルを高くし申請権を奪う事になると思うが、地域福祉部長にお伺いします。また生活保護の基準額のあり方は、国民生活に大きな影響を及ぼす問題です。住民税の非課税限度額、介護や保育、住宅などの料金、2-3割が受けている就学援助制度、最低賃金制度などに連動しており、多くの県民生活に直接影響を与える事になると考えますが、地域福祉部長はどう認識しているのか、また多くの県民に影響を及ぼす基準額の引き下げをしないよう国に提言すべきと思いますが、合わせてお聞きします。

■地域福祉部長

生活保護行政に関します一連のご質問にお答えをさせていただきます。

まず、餓死、孤立死の事例への受け止めや、県内の餓死・孤立死の実態、また、これらの事例の背景や、孤立死等をなくすための取り組みなどについて、お尋ねがありました。関連しますので併せてお答えします。

お話にありました餓死、孤立死の事例は、高齢者や障がい者の世帯だけでなく、30代や40代の家族が同居しているにも関わらず、世帯全員が亡くなるなど、これまで以上に深刻な事例であると受け止めています。

「孤立死」の背景には、単身世帯の高齢者夫婦世帯などの増加していることや、近所付き合いや地域の支え合いの力の弱まり、生活に困窮された方の情報が十分に把握されていないこと、などの要因が考えられます。

県下の「餓死」「孤立死」の実態としましては、平成23年度において「餓死」が死因となった事例は報告されておりませんが、周囲との交流がなく、社会的孤立のために、住居内で誰にも気づかれずに亡くなられる、いわゆる「孤立死」につきましては、生活保護受給者の事例では、平成23年度は、お話にありましたとおり高知市で39件、高知市以外では、10市町で24件となっています。

このため、生活保護行政に関しては、これまでにも県のホームページに制度の概要を掲載するとともに、市町村の窓口には申請書を備えて、身近なところで気軽に生活保護に関する相談に応じられるように努めて参りました。

また、福祉事務所に相談に来られた場合には、生活保護制度について懇切丁寧な説明を行い、保護が必要と思われる方などには、申請書をお渡しして、記入方法などの助言も行っております。

体制面においても、ケースワーカーに加え、面接相談員や学習支援員、就労支援員などを配置して、世帯の状況に応じたきめ細やかな支援を行っていますが、さらなる体制の充実に努めるとともに、お話のありました生活保護制度のあらましを説明したチラシを全ての市町村窓口に備えるなど、生活に困っている方への支援の充実に取り組んでまいります。

また、地域での見守りでは、日ごろから地域住民と接する機会の多い、高知新聞販売所やJAグループ、四国電力などの事業者と、高知県民生委員・児童委員協議会連合会と県の3者による見守り協定を締結しており、今後ともこうした事業者と連携しまして見守り活動を強化してまいります。

さらには、ライフライン事業者との連携では、孤立死防止についての協議を重ねる中で、四国電力は、督促状を送る際に「福祉事務所からのお知らせ」として、「生活にお困りの時は、最寄りの福祉事務所までご相談下さい」という文書を、この10月から督促状の中に掲載していただくことになりました。水道、ガス事業者に対しても、こうした協力を要請して参ります。

併せて、社会的孤立を無くしていくためには、住民同士の支え合い、助け合いといったことが重要となってまいります。 「あったかふれあいセンター」などの拠点づくりや「地域福祉アクションプラン」の策定など、地域の支え合いを意図的、政策的に再構築していく取り組みは、孤立の防止にも繋がってまいりますので、引き続き取り組みを強化してまいります。

また、県では、南海トラフ巨大地震への対応として、日ごろから地域における見守りや声かけの活動が活発であれば、いざというときの備え、また孤立の防止にも繋がりますので、市町村や社会福祉協議会、民生委員等と連携した災害時要援護者対策にも、さらに積極的に取り組んで参ります。

次に、生活保護制度の見直しにあたり、生活保護受給者の生活実態等を反映した国への提言、また、生活保護基準が引き下げられた場合の県民生活への影響等について、お尋ねがありました。関連しますので併せてお答えをさせていただきます。

生活保護基準の見直しにより、基準額の引き下げが行われますと、議員のお話にありましたように、住民税の非課税限度額、それに連動する保育料や介護保険料、また、就学援助制度などに影響を及ぼすことが考えられます。

また、現に生活保護を受給している方々の中にも、要保護の状態から外れる方が出てきますし、現在の生活保護基準ぎりぎりのボーダーライン層の方々など、生活保護基準の見直しは、県民生活に影響が出てくるものと認識をしております。

現在、国においては、生活困窮者に対する支援の在り方と生活保護基準を含めた生活保護制度の見直しについて、総合的に取り組むための「生活支援戦略」が、社会保障審議会の中に設置された、「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」で検討されています。

この特別部会には、全国知事会をはじめ地方3団体の代表等も参加し、現場の意見を反映するため、実態の報告などもされておりますし、別途、「生活保護基準部会」では、最新の全国消費生活実態調査のデータ等を集約し、生活保護基準と一般所得世帯の消費実態との均衡が図られているか否かなどについて、専門的かつ客観的な評価と検証が行われることとなっています。

県といたしましては、こうした国の検討の状況を注視してまいりたいと考えており、お話にありました、国への提言につきましては、その状況を踏まえて検討して参りたいと考えています。

10.教育行政

■岡本議員

次に、教育に関してお聞きします。

教育の無償化へ向けた流れが加速されています。2010年度からの公立高校の授業料不徴収、無償化に続き、政府はついに、高校・大学までの段階的な無償化を定めた国際人権A規約(13条2項b、c)の適用留保を撤回する事を、9月11日、国連に通告しました。同規約は1966年に採択され、日本は1979年に批准しましたが、中・高等教育への「無償教育の漸進的導入」の規定については留保。締約国160カ国のうち、留保しているのは日本と一人当たりのGDPが日本の1%しかないマダガスカルの2カ国だけになっていました。今回の政府の決定は、毎年本議会にも提出される教育署名をはじめとする多くの県民・国民の30年にわたる運動に押されたもので、日本は文字通り、義務教育段階の小中学校にとどまらず、中・高等教育、高校や大学の無償化を国際的にも迫られる事になります。

この間、留保姿勢を取る国を尻目に国民の教育を受ける権利を支援する各自治体での独自の取り組みがなされてきました。今後は、給付制奨学金の実現、大学の学費の無償化、私立高等学校の就学支援金の拡充などをすすめ、名実ともに留保撤回にふさわしい施策を県や市町村段階で実施し県民所得の低い本県の児童・生徒の就学を支援するとともに、国に対してこれら無償化に相応し速やかな実施を迫るべきだと考えます。留保撤回を受けた知事並びに教育長の姿勢をお聞きします。

本県は、高校授業料無償化による特定扶養控除縮小の影響で、かえって低所得世帯の税負担が増加する事への対応として、定時制や通信制をはじめとする留年生徒に対しても授業料不徴収としている事は先進的な取り組みとして評価されます。政府はそれら課税増の補てんともいうべき「給付型奨学金」の設定さえも3年連続で見送っています。文科省は、見送られた後、各県に設置されている「高校生修学支援基金」について、低所得世帯へ奨学金を貸し付ける場合、返還猶予・減免制度の導入や、控除見直しによる負担増家庭に「定時制6000円、通信制3万円、特別支援学校高等部3万6000円」を従来に増額して貸し付け可能とし、これら増額部分も含め返還免除できる制度改正を行うと聞いています。これらの実施は都道府県の判断となるが、本県での取り組みを教育長にお聞きします。さらに、「所得連動返済型」を岐阜や富山で実施しているが本県も実施し、返還の減額・免除とすべきと考えるが取り組みを教育長にお聞きします。

いずれにしても、本来の修学保障のための「給付制奨学金」制度を創設する事は留保撤回を通告した今の時点で焦眉の課題です。日本高等学校教職員組合の昨年7月の調査によると、国にも都道府県にも存在しない給付制奨学金が支給されている市町村は全国47都道府県1742自治体のうち、234自治体、13.4%となっています。本県での実施状況はどうなっているのか、そして、県としてこれら各自治体への支援や、県としての取組を行う考えはないか教育長にお聞きします。

奨学金の目的は「経済的理由により進学が困難なものへの修学保障」ですが、高校統廃合や学区拡大に対応するため、本年度から通学定期代二分の一補助を始めた四万十町などの取り組みにたいして、県としてこれら取組への助成など検討すべきだと思うが、どうお考えか教育長にお聞きします。
この項の最後に、小中学校における就学援助費に関してお聞きします。

2010年度より、小中学校の学用品や給食費などを支給する就学援助制度に、新たな項目が3つ含まれる事となっています。クラブ活動費、生徒会費、PTA会費が充当される事になったのです。支給する事になった理由を文科省は①これらの活動が教育の一環である事、②生活保護制度で既に支給している事を挙げています。本県での実施の現状とそれら取組を進めていく手だてを県としてどうおとりになるのか教育長にお聞きし一投目とします。 

■教育長

次に、高等学校授業料無償化等を契機とした国の国際人権A規約の留保撤回を受けての児童・生徒の就学支援に対する姿勢についてお尋ねがありました。

家庭の経済状況にかかわらず、すべての子どもたちが自らの志に向かって、しっかりと将来を切り開いていくためには、就学支援を充実していくことは大変重要なことと考えています。

高等学校の授業料無償化は、経済的に困難な家庭の子どもたちの学びを支援するうえで、大きな前進となりました。

また、給付型奨学金については、国が、就学意欲のある全ての生徒が安心して教育を受けられるよう、低所得世帯の生徒に対し、授業料以外の教育費の負担軽減制度として、文部科学省が平成24年度予算まで3年連続概算要求してきたものと理解しています。

こうした経緯を踏まえますと、まずは国が全国的な制度として制度設計を行い、そのうえで県レベルでの取り組みを検討すべきものと考えます。

■知事

次に、国において、国際人権規約の中の「無償教育の漸進的な導入」に関する規定の留保を撤回したことを受けて、県としての就学支援と国に対する姿勢についてお尋ねがありました。

お話のありました規定の留保の撤回につきましては、国において、高校授業料の無償化と就学支援金の創設、大学生の奨学金に係る予算と制度の拡充など、経済的支援の充実が図られてきたことがその背景にあると伺っております。

こうした国の制度を受けて、県におきましても、経済的負担を軽減するため、就学意欲のある生徒に対しては留年生や既卒者であっても、公立高校の授業料無償化や私学の就学支援金の支給の対象とするといった独自の取り組みも行って参りました。

将来を担う子どもたちの学びを支えていくということや、夢や志を持つ子どもたちの学ぶ機会をしっかりと保障するということは極めて重要なことですが、本件に関しては、まずは国が全国的な制度として経済的支援等のしくみをしっかりと構築する必要があり、県としては、この国の対応を踏まえた上で、その取り組みを検討すべきものと考えております。

■教育長

次に、国の制度改正に伴い、県として所得連動型猶予制度や貸付金の増額、返還金の減額・免除などに取り組むべきではないかとのお尋ねがございました。

お話にもありましたように、国の平成24年度の制度改正によりまして、第1に特定扶養控除の見直しにより負担増となる世帯を対象とした貸付金の増額、第2に低所得世帯に対する返還猶予制度。第3に低所得世帯に対する返還の減額・免除の3つの制度が設定されました。

これらの制度は、低所得世帯の高校生が、将来の返還への不安なく奨学金を活用し、修学の機会が確保できることを目的としたものと捉えています。

本県では、第1の奨学金の増額貸付につきましては、平成22年度より成績要件を撤廃するとともに自宅からの通学者に限ってではありますが、貸与金額の上限を増額してすでに対応しております。

第2の所得連動型猶予制度につきましては、奨学金の貸与を受けた奨学生を対象に高等学校を卒業後、一定の収入(生活保護の収入基準程度以上)が得られるようになるまで、返還を猶予する制度でありまして、3年限定の基金の活用を原則としていますが、県教育委員会としては、恒久的な制度としての検討を考えています。

一方、第3の返還の減額・免除につきましては、猶予を行ってもなお、返還が困難な者を対象に実施する制度となっており、基金解散後に生じる、将来の県費負担の増加等も考慮し、慎重に検討する必要があると考えております。

次に、市町村の給付型奨学金の実施状況とそれに対する県の支援及び県の取り組みについてのお尋ねがありました。

本県で給付型奨学金を実施しているのは、2市1町となっています。自治体により、給付要件等は多少異なりますが、経済的に厳しい家庭の生徒の修学を支援しています。

現在、県として、給付型奨学金は実施しておりませんが、県で行っている貸与型奨学金制度において、これまでも所得基準の見直しや成績要件をなくすなど、制度の拡充を行い、経済的に厳しい家庭を広く支援するため、より借りやすい制度となるよう努力してまいりました。

さらに、高校生が将来、奨学金の返還への不安がなく、借りられるよう先ほど申しました所得連動型猶予制度の導入を現在検討しているところです。

次に、市町村が行う通学定期代の補助などへの取り組みに対して、県として助成などを検討すべきではないかとのお尋ねがありました。

現在、市町村が行っております高等学校への修学を保障する支援には、通学に関する保護者の負担軽減や地元の高等学校への進学の促進、統廃合により遠距離の高等学校に通学することになる生徒に対する通学支援など、市町村がそれぞれの目的による就学支援を行っています。

一方、県教育委員会としましては、経済的な理由で修学が困難な方につきましては、「高知県高等学校等生姜金制度」による修学支援を行っております。

また、高等学校の統廃合により、通学距離が延び、修学が困難な状況となる生徒に対しては、通学費の負担を軽減するために「高知県県立高等学校通学支援奨学金制度」を設けており、今後も、現在行っている奨学金制度による支援で対応してまいりたいと考えております。

最後に、小中学校における就学援助に関して、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費の支給の現状と今後の手立てについてお尋ねがありました。

小中学校の就学援助制度は、教育の機会均等の精神に基づき、すべての児童生徒が義務教育を円滑に受けることができるよう制度化されているものであり、そうした趣旨のもと、平成22年度から、国の要保護児童生徒援助費補助金の補助対象費目に、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費の3費目が新たに追加されました。

これら3費目については、既に生活保護の教育扶助の対象となっておりますことから、これまで県内の市町村において、要保護児童生徒に対する就学援助を行った実績はございません。

一方、準要保護児童生徒に対する就学援助については、それぞれの市町村において、認定基準が定められており、平成24年5月1日現在で、3費目全てを対象としている市町村数は、3町村(田野町、北川村、仁淀川町)、3費目のうちいずれかの費目を対象費目としている市町村数は3市町村(土佐清水市、馬路村、越知町)ございます。

就学援助制度は、市町村において実施されるものとして、国の財政措置もなされており、それぞれの市町村で制度の趣旨を踏まえた適正な取り扱いが行われていることが重要であります。県としましても就学援助制度が趣旨に沿って有効に活用されますように、市町村に対しまして、制度の周知など必要な助言を引き続き行って参ります。

11.二問目

■岡本議員

それぞれご答弁いただきました。

いくつか二問をしたいと思います。

1点目は自然エネルギー政策についてです。メガソーラー、小水力発電に移行する、という知事の答弁があったところです。これはですね、ちょっと考えて頂きたいのはそういう方向で今進んでいるというのはわかっておりますけれども、IRRの優遇措置が三年です。この期間にかなり積極的に進めるというのが県民への利益につながると思います。小水力発電も率的にはかなりあると思いますけれども、結構困難な部分もあるというのは知事もご存知のとおりだと思います。メガソーラーにしても新たな送電設備もいりますし。そういう点で、家庭や小規模物件への補助制度については、今そういう形でメガソーラーや小水力に進んでおりますけれど、三年の間がありますので、ぜひこうでなければならない、ということではなくて、柔軟な対応で県民の利益につながるような方策を見いだしていただきたい。その点について1点目。

2点目の談合問題についてです。午前中の浜田議員の答弁の中で、コンプライアンスの確立が大切ということで申されておりましたけれど、本当に大切なことだと思います。多くの県民が今回の県の対応については注目しております。納得できるような対応が求められるわけです。私も今回の質問を準備するにあたり、様々な業者からのご意見も伺ってきたところです。納得できるような答弁が必要だと思いますけれど、その中で公正な入札制度を築くという点で、一点ですね、こういう話を伺ってきました。総合評価方式の加点ですね、ここに大手業者に有利になっていると。これは業者の話ですが、こういう声がありました。総合評価方式のですね、加点の在り方含め、改善する必要があるのではないか、というふうに色々な情報をみて感じたところですが、その点について後所見があれば考えをお聞かせ頂きたいと思います。公正な入札制度を構築するという中でです。

次に公共交通対策についてです。72万人という人たちが訪れたということで、無くしてはならない存在です。私も県議になりましたから、中村-高知間をかなり鉄道を利用しているところです。財政を出すのか出さないのか、どういう姿勢でのぞむのか答弁を求めて終わりにします。

■知事

まず新エネルギーですが、とにかく最終的な目標は新エネルギーの導入促進をはかることで、高知県内県民の皆様に利益が及ぶようにする、そういう制度をつくっていきたい、ということが非常に我々として目指すところなわけでございまして、そういう中で一番普及の実効性が高いのは何だろうかということで、県として財政措置をすることによって実効性が高いのは何だろうかということを考え模索をしてきたところです。確かにメガとか小水力というものについては、固定設備が必要となりますが、逆に言いますと、それをクリアすれば多くの人がそれに参画することができる仕組みもあわせて考えることができるわけで、一機でたくさんの人が関係して利益を享受することができるというしくみも考えられるんじゃないか、むしろその方が受益者が多くなるんじゃないか、という考えのもとで個々個別の普及制度、個別に個々のものについては一定制度も普及してきている中で、そういう一つによって多くの人が受益する制度を後押ししていこう、と今はそういう考えてやらせて頂いておるところです。ただ、色々な考え方、こういうのあると思いますので、色んな柔軟な姿勢でもって色々な対応を考えていきたい、そのように思います。

入札制度についてはですね、個別の制度がどうか、ということは私は今ここでお答えはなかなかできませんけども、多角的な視点から公平公正な入札制度はどうあるべきか、についてよく検討を重ねさせて頂きたいと思います。

公共交通について姿勢はどうか、という話でございますけれど、今鉄道について関係の市町村の皆様とも協議させていただいておるところでございまして、今日のところは鋭意検討させて頂く、ということでお許しをいただきたい、と思います。