議会報告

  • 2014年03月05日
    2月県議会 吉良富彦県議の代表質問/県立高等学校再編振興計画(案)に関する質問と答弁(2014年2月28日)

●吉良県議

次に県立高等学校再編振興計画(案)策定について、教育長にお伺いします。

高知南高校を高知西高校に統合するとする県教委事務局案、つまり県立南中高の閉校、廃校案に、生徒、保護者、地域住民から強い反対の声がうずまいています。すぐさま統合案の撤回を求める陳情書がつくられ、この21日には、9080名、27日には在校生も保護者の皆さんと一緒になって集めた5773名、合計1万4853名もの署名とともに、森田県議会議長、中沢教育長に提出されました。県民、当事者を抜きに、一方的に再編振興計画案を策定、強行することは絶対許されるものではありません。

  子どもたちは閉校を知り傷ついている、高校入試の願書を出したが閉校になる学校に行きたくない、合格してもやめられるのか、クラブ活動をずっと続けていけるのか、こんな思いを1千人の生徒たちが毎日している、1千人の生徒たち、そして教員も動揺している、「高知家」と言いながら何で子どもをいじめるのか、閉校になった仁淀高校に学んだ保護者、追手前小学校に学んだ子どもたちもおり、私たちの母校を全て奪ってしまうのか、など不安と怒りとも言える声が広がっています。また、高校普通科への進学機会が縮小される、市内から郡部へ出て行かざるを得ない子どもが増える、子どもたちにリサーチしたのか、当事者の意見を全く聞いていない、納得できない限り受け入れられないなどの意見がだされています。

こうした子ども、保護者、地域の思いを教育長はどう受け止めているのかお聞きいたします。

 

■教育長

 県立高等学校再編振興計画について、子どもや保護者、地域の思いをどう受け止めているのか、とのお尋ねがございました。

 それぞれの県立高校は、地域や保護者の皆さまとともに教育活動の充実に努め、特色ある学校の伝統や文化を築き上げております。

 私自身、これまで、そうした学校の取り組みを見てまいりましたので、今回の前期実施計画のたたき台としてお示した案に対して、該当学校関係者の皆さまから厳しい意見をいただいていることは、ある意味当然だと思いますし、同時に、重く受け止めなければなりませんし、また大変心苦しく思っているところでございます。

 しかしながら、県内の中学校卒業者数は、高知南高校の開校した昭和62年には、12000人を超えていましたが、現在では、7000人を下回っており、更に10年後にはまた1000人程度減少し、その後も生徒数の減少が続いていくことが見込まれております。

 また、南海トラフ巨大地震への備えや、グローバル人材の育成なども喫緊の課題となっております。このように高等学校を取り巻く環境が大きく変化する中で、将来にわたって高等学校教育の質の充実、維持を図っていくためには、大変厳しい判断ではありますが、学校統合は避けて通ることができないと考えております。

 今回お示ししている案は、こうした考え方のもとに、広く皆さまからのご意見をいただきながら、再編振興計画を取りまとめていくためのたたき台としてお示ししたものでございます。

 まさに議論を始めているところですので、今後、より具体的で分かりやすい情報の提供に努めるとともに、保護者の皆さまをはじめ学校関係者への丁寧な説明を行い、ご意見等もお聞きしながら、慎重に協議してまいります。

 あわせて、高知南中高校の生徒の皆さまに対しては、今回の再編振興計画に関する議論の状況について十分な説明を尽くしていくとともに、生徒の一人一人へのアンケートなどを通じて、生徒の心の状態の把握に努め、スクールカウンセラーなども活用しながら、卒業まで安心して学べるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

 

●吉良県議

 1月末の統合案の突然の発表により、生徒、保護者、地域に大きな不安と衝撃を与えました。県教委事務局案と言えども少なくとも当事者に事前に説明をし意見を聞くことをすべきであったことは当然であります。その上、生徒に直接向き合っている当該校長はもとより、教職員にも一切事前の報告、説明をしていません。また、直接関わる高知市立中学校校長会にも、事務局案作成過程での意見聴取もしておらず、今回の発表についての事前説明もされていません。その後要請されて開いた校長会で厳しい意見が出された、とも伺っていますが余りにも当然のことであります。

これらの経過は、生徒や現場、県民不在の強権的ともいえる教育行政の姿勢を示していると言わざるを得ません。厳しく反省を求めるとともに、一連の経過について、教育長の見解をお聞きします。

 

■教育長

 統合案発表の経過について、関係者への事前の説明もなく県民不在の強権的ではないか、とのお尋ねがございました。

 県立高等学校再編振興計画につきましては、幅広い県民の皆さまのご意見をいただきながら策定していくことが重要だと考えています。

 そのため、平成23年9月に、有識者や学校関係者、保護者の代表などに参加していただいた、県立高等学校再編振興検討委員会を立ち上げて、生徒数の減少への対応や、これからの高等学校教育の在り方について、のべ12回の協議を重ねていただき、昨年2月に報告書をいただいたところでございます。

 また、検討委員会の開催と併せて、県内12ブロックで地域懇談会を開催し、県民の皆さまから、再編振興に向けた数多くのご意見をお聞きしてきたところでございます。

 こうした取り組みも踏まえながら、今年度、事務局において、教育委員からのご意見もいただきながら具体的な県立高等学校の再編振興の在り方について検討を重ね、本年1月に計画策定に向けた議論のたたき台として、高知市内の学校の統合を含む案をお示ししたものでございます。

 このたたき台について、関係者に事前説明がなかったとのお話がございましたが、学校統合の問題は、学校関係者の皆さまはもとより、将来、高校生となる子どもたちをはじめ、広く県民の皆さまにかかわる重要な問題でございます。また大変デリケートな問題でもあるため、一部の方々だけ事前にお示しするということでなく、たたき台の段階から広く県民の皆さまにお示しし、教育委員による議論もオープンにした上で、ご意見をいただきながら協議を進め、計画案を取りまとめていくこととしたものでございます。

 

●吉良県議

次に、高知南高校統合案の理由の一つに、生徒数の減少への対応があげられています。

  再編振興計画の基本的な考え方案では、適正規模としているのが1学年4学級から8学級です。今後、生徒数が減少していく中にあっても、生徒の個性や進路希望などが多様化する状況に対応し、習熟度別の学習指導など、きめ細やかな指導ができる体制を確保できるとしています。県の実施計画検討案では、この適正規模、4学級から8学級は、2022年度、平成34年度も基本的には維持できる見通しとなっています。南高校を含めて、きめ細やかな指導ができるということであります。それをわざわざ同じ適正規模でも「中央部」は、1学年6学級以上必要としており全く合理的根拠があるとは言えません。また特定の高校の規模を維持するために特定の学校を廃止することは県民的な納得を得られるものではありません。郡部や中山間地の高校を存続させ教育の機会を保障するために、1学年1学級以上、そして生徒数20人以上とする新たな対応を提案しています。

それならば中央部においても適正規模基準を堅持し、中山間地域と同様に、教育を受ける権利を等しく保障していく、また必要な体制の整備をおこない財源の投入も求められていると考えるものですが、教育長の見解を求めます。

 

■教育長

適正規模に関して中央部においても1学年4から8学級を基準として、教育を受ける機会を保障していくことが必要ではないか、とのお尋ねがございました。

先程、申し上げましたとおり、県内の中学校卒業者数は大幅に減少してきております。

こうした現状を踏まえ、県立高等学校再編振興計画の基本的な考え方の案では、生徒数が減少する中においても、高等学校としての教育の質を維持していくための適正規模について、県全体としては、1学年4学級から8学級としております。

そのうえで、高等学校としての教育活動の充実や、部活動などでより活気あふれる学校づくりを進めるしいったことを考えますと、一定の生徒数の確保が見込まれる中央部では、1学年6学級以上の維持に努める必要があるという考え方を併せてお示ししたものでございます。

1学年6学級になりますと、1学年4学級と比べ、国の基準では教員数が14人増員となり、加配教員を活用した習熟度別授業の充実や生徒指導体制の強化が可能となってきます。

また、教員研修の充実による指導力の向上や、生徒が切磋琢磨しながら成長できる環境づくりも可能となるなど、教育活動の充実といった観点からは、1学年6学級以上を維持していくことが重要であると考えています。

さらに、部活動の面でも団体競技をはじめとした多様な種目や文化系の分野にも取り組むことが可能になるなど、生徒の希望や適性に応じた、より充実した教育環境を提供することができるようになります。

中央部においても教育を受ける機会を保障していく必要があるとのお話がありましたが、過疎化が著しく近隣に他の高等学校がない地域において、高等学校で学ぶ機会を保障するためには、生徒数が減少していく中でも、できるだけ地域の学校を残していくという対応を取らざるを得ません。

一方で、一定の生徒数の確保が見込まれる中央部においては、学校統合を行うことで学校規模を維持していくという選択肢がありますので、将来にわたって教育活動の充実を図っていくためには、入学定員を一律に減らすのではなく、学校の統合を考えていく必要があると考えています。

 

●吉良県議

もう一つの統合理由に、南海トラフ地震への備えが言われています。子どもたちの命を守り、被災後は一日も早い学校再開が求められていることは言うまでもありません。先の議会総務委員会では、県教委は津波被害については、地域住民の避難ビルにも指定されており最善の対策を取っている、問題は長期浸水対策・早期の学校再開だと言われました。計画の基本的考え方案では、適地への移転の検討も示されています。

であるならば、高知南高校や高知工業高校をふくめ、長期浸水区域にある6校の対応も合わせて示すのが責任ある態度であり、高知南高校だけの統合、廃校への口実に使うことは許されません。教育長の見解を求めます。

 

■教育長

 学校統合の理由として南海トラフ地震への備えをいうのであれば、長期浸水区域にある6校の対応も併せて示すべきではないか、とのお尋ねがございました。

 県立高等学校における南海トラフ巨大地震への対応につきましては、全ての学校において、まずは生徒の命を守ることを第一に、平成27年度までに耐震工事を完了させるとともに、食料や飲料水等の備蓄を進めているところです。

 また、いざというときに生徒が的確に判断・行動し、自分の命は自分で守ることができる力を身に付けさせるために、避難訓練も含めた防災教育に重点的に取り組んでいます。

 高知南中高校については、3mを越える津波の被害と長期浸水が想定されていることに加え、港湾に隣接している立地状況から、船舶等の漂流物による被害、近隣の工場の被災による影響など、他の高等学校にはない、大きなリスクも想定をしておかなければなりません。

 こうしたことから、将来にわたって安心して学ぶことができる教育環境を整えるために、高知南中高校については適地への移転や他校との統合といった対応が必要だと考えております。

 しかしながら、県中央部においても生徒数の大きな減少が見込まれている状況のもとで、高知南中高校を単独で移転することは現実的ではなく、他校との統合によって、これまで学校が培ってきた伝統や文化、国際理解教育やキャリア教育の取り組みの蓄積を継承し、さらに発展させていくべきだと考えたところでございます。

 今回のたたき台は、こうしたことも踏まえた上で、総合的に判断してお示ししたものでございます。

 

●吉良県議

次に、南高校を統合し西高校に中学校併設、これまでの英語科をグローバル教育科に変更、そして国際バカロレアコースを設置するという再編振興計画案についてであります。  これまでの南高校の国際理解教育や西高校の英語科とは全く異質なものであり、これまでの評価や検証が行われていません。また新しい国際バカロレア構想は、海外の大学へ入学できる資格を取ることを目的にし、6科目必修、うち3科目の授業は英語で実施しなければなりません。国内では現在ハイスクールなど私立高校だけで取り組まれているのみであります。

  国際的世界的な視野に立った教育、また人を育てることは、一般的には誰も否定するものではありません。

しかし、いま高知県で海外の有名大学への受験資格を取得できるという特殊なコースを必要としているのか、また公教育がそのことに力を注ぐことが適切なのか、子どもや保護者のニーズがあるのか、外国語で授業できる教員の確保や体制が確立できるのか、検討すべき数多くの問題があり、決して前のめりに進めるべきではなく、慎重に検討すべきだと考えますがご見解を伺います

 

■教育長

 高知西高校へのグローバル教育科の設置に関して国際バカロレアコースの導入は慎重に検討すべきではないか、とのお尋ねがございました。

 社会や経済のグローバル化が急速に進む中、外国語活用能力とともに論理的思考力やコミュニケーション能力を備え、国際社会で広く活躍できる人材の育成が課題となっております。

 また、本県におきまして、これからの地域振興や産業振興を実現していく上でも、こうしたグローバル人材の育成は大変重要なことだと考えております。

 そのため、今回の県立高等学校再編振興計画のたたき台においては、高知南高校と高知西高校を統合し、中学校を併設するとともに、新たに高知西高校にグローバル教育科を設置し、その中に本県のグローバル教育をリードしていくための国際バカロレアコースを設ける案としています。

 この国際バカロレアの教育プログラムは、その卒業生が国内外からの大学から求められているなど、国際的にも高い評価がされており、国においても国際バカロレアの認定校を平成30年までの5年間で200校とする目標を掲げているところです。

 本県の高等学校教育にとって、確かに高い目標ではありますが、こうした目標を掲げて学校と生徒、教員が意識を合わせて取り組んでいくことにより、高知西高校はもとより他の高等学校でのグローバル人材の育成に、ひいては本県の高等学校教育全体のレベルアップにも大きな効果が期待できるものと考えます。

 また、学習指導要領においても、小学校での英語教育の充実が図られており、本県の将来を担う子どもたちに、広い世界で活躍するという大きな可能性を提供することにもつながると思っています。

 実現のためには、お話にもありましたように、英語で指導できる教員の確保や、カリキュラムの見直しなどに取り組む必要がありますので、教育委員会として、全力をあげて計画的かつ着実に取り組みを進めていかなければなりません。

 また、子どもたちや県民の皆さまに、グローバル教育の重要性や、国際バカロレアコースで学ぶ意義を積極的に広報していくことで、高い志をもって国際社会の場へ挑戦していこうとする意識も喚起していきたいと考えています。

 国際バカロレアの取り組みは、本県におけるグローバル人材の育成に向け先頭を切って走る取り組みであります。これらの取り組みを通して、坂本龍馬やジョン万次郎を輩出した高知県ならではのグローバル教育を生み出していきたいと考えております。

 

●吉良県議

最後に、今回の高知南高校統合案、事実上の廃止案は白紙に戻して、少なくとも複数案を示して県民の意見を聞くべきではないか教育長にお聞きします。

 

■教育長

 今回の高知南高校の統合案は白紙に戻して、少なくとも複数案を示すべきではないか、とのお尋ねがございました。

 現在の案は、あくまでも今後の議論を進めていくためのたたき台としてお示ししたものでございます。

今後、より具体的で分かりやすい情報の提供に努めるとともに、学校関係者をはじめ、県民の皆さまのご意見もお聞きしながら、このたたき台をもとに丁寧な議論を重ねた上で、県立高等学校の再編振興計画を取りまとめたいと考えております。

 

【第二問】

●吉良県議

 南高校の生徒や保護者の皆さんが、残してほしいと15000人近い署名も集めて要望しているわけです。私も先ほど質問で要望しましたように、少なくともその願いを実現するためには、こうこうこういうような状況になりますよと、そして教育長がおっしゃるように、進路保障も含めて、部活も含めて保障するためには、これくらいの加配の人数もいります、県単の持ち出しはこうですというふうに、やはりきちっとその願いに応えるような案も出しながら、県民的な論議をすすめていくということが何よりも私はいま求められていることだろうと思います。いまの案を徹底するために、理解願うためにとなると、とてもじゃないけど合意が生まれるようなものではないと思いますので、具体的にやはりいまのみなさんの要望に合った案もたたき台として並行して説明もして理解をあおぐということに取り組んでいただきたいということを思うわけですけれど、それについてのご意見を伺いたいと思います。

 

■教育長

南高校の統合の問題でございますけれども、なかなかその現実問題として、例えばなぜわれわれが6学級以上といっているのかといったことなど、わかりにくいことが確かにあろうかと思います。

先程も答弁でお答えいたしましたが、いくつかのその小さくなることによって困難な課題がありますが、ひとつひとつのその課題ををとらまえた時に、そのひとつひとつが絶対のこれがあるからいけないというものではなくて、それらがいくつもあって重なってきて、最終的にはいつのまにか知らない間にボディブローのようにきいてきて、学校の活力を奪ってしまうというような恐れがあります。非常に説明が難しいわけですけれど、そうしたことも、いま吉良議員がおっしゃいましたようにそこらあたりも含めて、いまの再編の計画のペーパーそのものだけでいくのではなくて、そこらあたり、いままでも保護者の方々、生徒の方々から、疑問点が出されておりますので、そういうものをふまえまして、教育委員会の中でいま議論しておりますので、そうしたものでよりわかりやすいものにして、ゆっくりと時間をかけて議論をし、ご説明もしていかなければならないと、このように考えているところでございます。