議会報告

【質問テーマ】

1、知事の政治姿勢

  ①消費税増税

  ②消費税に頼らない景気対策の方向性

2、オスプレイ防災訓練

3、米軍機の低空飛行訓練

4、原発再稼働

5、土電問題

6、職員研修での服務規程

7、高校再編問題

8、臨時教員の不当な処遇解消

 

 

【知事の政治姿勢】

●吉良県議

政府は、4月から消費税増税を実施する構えでいますが、生活、経済の実態からいっても、増税できる環境ではありません。

今月5日に厚生労働省が発表した「毎月統計調査」によれば、実質賃金は6ヶ月連続で低下、名目賃金が伸び悩む中で物価上昇が加速し、実質賃金が前年比マイナス1%半ばと急速に低下しています。中でも、ニッセイ基礎研究所のレポートは、食料、電気代、ガソリンなど生活必需品の物価上昇率が相対的に高く、賃金低下の実態は統計以上となっていると指摘しています。政府によれば、来年度の物価上昇率は消費税込みで3.2%です。そのうえ社会保険料の負担も増えるので、4-5%程度の賃上げがないと可処分所得は低下します。高齢者の年金も減っています。

増税への懸念は、企業も同じで、1月の衆議院調査局の「最近の企業動向等に関する実態調査」によれば回答した1万社のうち、直面する経営課題として、1位は、消費税引き上げに伴う価格見直しや売り上げ減少の懸念が33.9%、それに続き、円安でのエネルギー関連・原材料費の高騰、また民間消費の減退による売上げの低迷とそれぞれ30%前後が続きます。

実質賃金が低下しているもとで、増税すれば、いっそう景気がおちこみ、結局、税収も減る。97年の失政の繰り返しになることは明かです。

消費増税は、県民の暮らし、県経済へ極めて深刻な影響を与えると思いますが、知事に見解をお聞きします。

政府の説明では、消費税増税による税収は国と地方合わせて5兆円です。しかし、社会保障四経費、これは現在の32.9兆円から来年度36.6兆円と3.7兆円増えるだけです。しかも、その3.7兆円には、定率減税廃止の2.8兆円で既に国民が負担しているはずの年金の国庫負担2分の1の置き換え分2.95兆円を含めており、新たに社会保障の充実に回るのは、わずか0.5兆円、つまり5,000億円、増税分の1割で社会保障費の自然増分にも届かない額です。消費税増税分は社会保障に使うという説明は、国民をごまかすものであったと言えます。

ですから、増税されたにもかかわらず、介護保険の軽度者の切捨てや前期高齢者70~74歳の医療費の窓口での支払い増など、サービス切捨て、負担増メニューが目白押しとなるのです。

社会保障の面でも、県民の暮らしの不安が強まり、消費が低迷すると思うのですが、お聞きします。

 

■知事

 消費増税の県民の暮らしや県経済への影響について、また、社会保障の面でも、県民の暮らしの不安が強まり、消費が低迷するのではないか、とのお尋ねがございました。

 関連しますので、あわせてお答えをいたします。

従前より申し上げておりますとおり、私は、確実に進行する少子高齢化などの社会情勢の変化に対して、しっかりと財源に裏打ちされた持続可能な社会保障制度を確立するためにも、消費増税は必要であると考えております。

 全国に先行して少子高齢化が進んでいる本県にとりましても、しっかりとした社会保障制度が確立されるという点で、また、若い世代の暮らしを支えるという点でも飲まざるを得ない苦い薬だと思っております。

 消費税引き上げに伴う増収分およそ5兆円は、全て社会保障の充実・安定に使われることとなっております。

 具体的には、社会保障の充実として、子ども・子育て支援や医療介護の充実などに0.5兆円、また、社会保障の安定化として、基礎年金の国庫負担に2.95兆円、後代への負担のつけ回しの軽減に1.3兆円充てられることとなっております。

 社会保障の充実という面では、増収分のおよそ1割でございますが、今後の高齢化の進行に伴う社会保障経費の増加や、国、地方を通じた厳しい財政状況を考えますと、社会保障の安定財源の確保とその将来へのつけ回しの回避に取り組んでいく必要もあります。

 それら2つのことを同時に達成するという観点から、私は、今回の社会保障と税の一体改革は理解できるものでございますし、社会保障の安定化を図りますことが、国民の皆さまの安心感にもつながるのではないかと思っております。

 他方、消費増税に伴い、県民の皆様の暮らしや県経済への影響が懸念されることも事実でございます。

 そのため、まずは、国におきまして、本年度の補正予算に計上されております、増税による痛みの部分を緩和するための低所得者や子育て世帯に対する臨時の給付金措置などを確実に行っていただきますとともに、消費増税に伴う駆け込み需要とその反動減を緩和し、回復基調にある景気の下振れリスクに対応する経済対策を着実に実行していただくことが重要でございます。

 その上で、企業収益の拡大が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、それが消費の増加を通じてさらなる景気回復につながるという経済の好循環を実現していただきたいと思っております。

 県としましても、県経済が国全体の景気回復のトレンドとしっかり連動できるよう、引き続き地産外商を中心とする産業振興計画を強力に推進してまいりたいと考えております。

 

●吉良県議

次に消費税に頼らない景気対策の方向性についてお聞きします。デフレ不況の原因は、非正規雇用の乱用と拡大、賃金低下の一方で、大企業の内部留保が溜まり続けている事です。ゆえに、日本共産党は、賃上げを大企業には内部留保での対応で、また、雇用の7割を占める中小企業へは国が最低賃金を引き上げ支援と減税とのセットでの大胆な経済政策に乗り出す事が必須であることを国会でも一貫して提案してきました。

ここ5年で一気に最低賃金を200円引上げ、合わせて中小企業支援に8,800億円の減税費用を投じたアメリカでは、最賃を上げた州の方が雇用や中小企業の経営が改善したことから、当初賃上げに反対していた経営者らも「最賃引き上げはビジネスにも、地域社会にも利益となる」と声明を出しています。業績が良くなったら上げるではなく、最賃引き上げが業績を伸ばすと言っている点が非常に重要です。フランスも最低賃金引上げに3年間で2兆2,800億円、社会保険料の事業主負担分軽減を投じています。日本の支援策は3年間でわずか111億円しかなく、抜本的な政策転換が急務です。

わが党の質問に対し麻生副総理は「大変参考になった。たまった内部留保が賃金や配当、設備投資に回らず、じーっとしている状態は異常だ」、安倍首相も「重要なご指摘があった。われわれも研究しなければならない」と答弁しています。

中小企業への支援とセットで最低賃金引き上げることは、高知県の地域経済を活性化し、若者定住、少子化対策にとって極めて重要な施策だと思います。

県として、中小企業への支援とセットで最低賃金引き上げることを国に対して積極的に提言する必要があると思いますが、知事の見解をお聞きします。

 

■知事

 中小企業への支援とセットで最低賃金を引き上げることを、国に対して積極的に提言する必要があるのではないかとのお尋ねがございました。

 昨年、政府が策定しました成長戦略の中には、「持続的な経済成長に向けた最低賃金の引き上げのための環境整備」、これが盛り込まれています。

 また、経済の好循環を実現するため、政府、経済界、労働界で構成された会議においても、共通認識に立って、最低賃金も含めた賃金上昇に向けて取り組むことが、確認されているところです。

 最低賃金の引き上げにつきましては、県民生活に直結する大きな問題であると認識しておりますが、中小零細企業においては、単に最低賃金を引き上げるだけでは、事業自体の継続が困難になることも懸念をされます。

 この対策として、まずは、中小零細企業の体力をつけていくことが、何よりも重要であると考えていますし、政府においても、最低賃金の上昇を目指して、平成26年度予算案に、中小企業が実施する労働能率を高める取り組みへの支援など、拡充策が、盛り込まれております。

 最低賃金の引き上げには、こういった支援策の更なる拡充が欠かせませんので、まずは、賃金上昇に向けたこれからの国の動きを、注視してまいりたいと考えています。

 また、県としましても、県内の中小零細企業の体力をつけるため、産業振興計画に全力で取り組み、企業収益の向上や、県内の賃金水準の引き上げの動きに繋げてまいるべく努力を重ねてまいります。

 

●吉良県議

高知県の最低賃金は664円です。この金額では、週40時間目いっぱい働いても年間で、約138万円にしかなりません。自立して結婚、子育てできる賃金ではありません。

こうした最低賃金の現状をどう認識しているか。自立できる賃金、生活費の実態にあった賃金など、よく研究もし、国に提案する必要があると思うがお聞きします。

 

■知事

 最低賃金の現状や実態について、お尋ねがございました。

 本県の最低賃金は、中央最低賃金審議会から示される目安も参考にしながら、公益、労働者、使用者の三者で構成される高知地方最低賃金審議会で十分に審議されたうえで、高知労働局長に答申され決定されております。

 地方審議会では、労使間で、本県の経済状況や、現在の最低賃金と生計費との格差、地域の中小零細企業の経営状況、また、今後の景気の動向といったことが議論され、最終的には、公益委員が調整を行い、答申の内容が決定をされているものであります。

 議員のお話のありました平成25年度の最低賃金額の664円は、こういった手続きを踏まえて、適正に決定されているものと承知をしているところです。県としましては、この最低賃金額が少しでも引き上げられいきますように、様々な取り組みに全力をあげてまいりたいと考えているところでございます。

 

【オスプレイ防災訓練】

●吉良県議

2月7日に行われた日米共同統合防災訓練では、天候不順を理由にオスプレイの参加が中止になりました。私たちは重大事故がつづき安全性に懸念のあるオスプレイ利用に一貫して反対してきました。飛行機としては翼の面積、ヘリコプターとしては回転翼の面積が小さく、失速しやすい構造上の弱点をもったオスプレイの安全性を確保するために、県が、高度、進入コースの極めて厳格な運用をもとめ、確認を求める対応をとったために、あの位の天候不順でも対応不能と判断したのではないかと考えられます。

県民の命と財産を守るための防災訓練に、安全確認の対策をとらなくてはならないオスプレイを参加させること自体が根本的矛盾です。

中止の経過と原因について、どのような説明を受けたのか、危機管理部長にお聞きします。また、民間機も自衛隊機も飛行可能な天候でも飛べなかったことが証明された今、今後防災訓練に敢えて加える必要はないと思うものですが、知事の見解をお聞きします。

 

■危機管理部長

日米共同統合防災訓練へのオスプレイの参加中止の経過と原因についてお尋ねがございました。

先般の防災訓練に参加する米軍機は、オスプレイ、そして大型ヘリコプターCH-53であり、これらは、沖縄から一旦岩国へ移動した後、本県に飛行してくる予定となっておりました。訓練への参加が中止となったのは、本県上空の天候が理由ではなく、前日からの岩国での降雪や沖縄から岩国への移動経路上における気象状況に基づいたものだということでございました。

また、防衛副大臣からは、米軍機が飛行しなかった理由について、天候によるものであること、あくまで訓練であり、飛行航路など運用上の安全性をしっかり担保しなければならないことなどを総合的に勘案した結果である旨、当日の護衛艦上での取材の場で説明がなされたところであります。

 

■知事

 日米共同統合防災訓練に関して、今後の防災訓練へのオスプレイの参加についてのお尋ねがございました。

 先日の防災訓練では、訓練の一部が中止となりましたが、訓練までの準備段階での調整や、自衛隊や医療救護チーム、そのほか関係機関の連携が図られたことは大変意義があったと思っております。

 オスプレイについては、県民の皆様方の安全性への懸念が払拭されていないことから防衛省に対して安全性についての配慮を求めてきたところであり、防災訓練であるからこそ無理をせず、天候も含めた安全性を重視した結果ではないかと考えています。また、米軍機だけでなく、県外から訓練への参加を予定していた自衛隊のヘリや救難飛行艇も、当日の天候によって本県への飛行をとりやめております。

 なお、オスプレイは、昨年のフィリピンでの台風被害に対する災害支援活動においても、人命救助や人道支援活動に従事したと承知しており、今回の防災訓練にオスプレイが参加できなかったということをもって、災害時の有効性を疑問視するべきではないと考えております。

 また、一般論として申し上げれば、災害時に使用する機材は限定されるものではなく、その時々の条件で使用可能な機材でもって、活動していただくものでありまして、気象状況が悪ければ、ヘリなどの航空機や艦船など、使用が制限される機材も当然出てくるものであります。だからこそ日頃から様々な機材で訓練を行うことが必要であると考えているところでございます。

 

●吉良県議

そもそもこの訓練について、元防衛庁長官である中谷元・衆院議員は「オスプレイ訓練の分散」「自衛隊も在日米軍も災害派遣のためでない」と9月13日付けの高知新聞に、あけすけに述べているように、訓練の目的はオスプレイの日本全土での本格的な運用にあります。

事実上のオスプレイの軍事訓練の固定化、または拡大につながる危険はないのか、知事にお聞きします。

 

■知事

 防災訓練の実施がオスプレイの軍事訓練の固定化や日本本土への拡大につながる危険はないのかとのお尋ねがございました。

 今回、本県で行う予定であった防災訓練は、南海トラフ地震を想定した患者搬送や孤立地域への物資輸送など、その内容からも災害対応の訓練、防災訓練でありますため、広域で甚大な被害が想定されています本県にとって、このような防災訓練は必要だと考えております。

 軍事訓練と防災訓練では、その目的からおのずと内容が異なるものであり、防災訓練を実施することが軍事訓練の固定化や全国への拡大につながるものではないと考えております。

 

●吉良県議

東日本大震災はじめ各地での災害現場で活躍する自衛隊の姿をみて、南海トラフ巨大地震においても自衛隊の役割に多くの県民が期待を寄せていると思います。

ところで、南海トラフ巨大地震の被害範囲は、関東から中部、近畿、中国、四国、九州の広範囲にわたります。例えば、最悪想定で死亡人数が1万人を超えるところは 静岡、愛知、和歌山、三重、徳島、愛媛、高知、大分、宮崎の9県となっています。

 長年、自衛隊の活動を追跡し報道している東京新聞論説委員の半田滋さんが昨年著わした書、「冷戦後の自衛隊 PKO20年〜改憲と国防」の中で、これら広範囲の災害に対応する自衛隊の全国レベルの防災計画がなく、「近くの駐屯地にいる陸上自衛隊がかならず助けに来てくれると信じている。しかし、自衛隊は政府からの命令にしたがってより優先順位の高い施設や地域に移動する可能性が高い。地元にいない自衛隊を当てにして計画をつくっても意味がない」という自衛隊幹部の声を紹介しています。

 そこで、危機管理部長にお聞きします。

現在、地元の自衛隊丸ごとが、高知で救助活動にあたるという保証はあるのか、南海トラフ巨大地震において、政府の計画で第50普通科連隊は、どう位置づけられているのか、また、県の出動要請などはどのような経緯を経て実効にいたる計画なのか

また、県としては、本来、地域の常備消防力を強化し救助活動の核にしてこそ防災力を担保できると考えるものですが、どう取り組まれているのかもお聞きしておきます。

 

■危機管理部長

 南海トラフ地震の際の陸上自衛隊第50普通科連隊の活動と出動要請についてのお尋ねがございました。

 南海トラフ地震が発生した場合の自衛隊をはじめ、消防、警察など応急救助機関の各部隊の配備先や規模といった枠組みにつきましは、現在、内閣府において、計画の見直しが進められておりますが、お話のありました第50普通科連隊など各地に駐屯する自衛隊の部隊の活動については、南海トラフ地震を想定した師団あるいは旅団ごとの対処計画の中で位置づけられることとなります。

 四国を管轄する第14旅団の南海トラフ地震対処計画におきましては、第50普通科連隊は、地震発生後、部隊全体が本県での人命救助や情報収集等にあたることとなっております。

 次に、災害時の自衛隊への出動要請についてでありますが、南海トラフ地震が発生した場合には、自衛隊法の規定に基づきまして、知事が出動を要請し、その要請に答えて、第50普通科連隊は直ちに本県での活動を開始するとともに、14旅団は本県に向け部隊を派遣するという手順となっています。

 なお、通信の途絶などにより県から要請を行うことができない状況となった場合には、県からの要請を待つことなく自衛隊が自らの判断で出動できることとなっています。

 

 次に、地域の常備消防力の強化についてのお尋ねがございました。

 迅速で確実な救助活動を行いますためには、応急救助機関である消防、警察、自衛隊などが連携し、活動を行うことが重要であります。特に、その際、日頃から地域に密着して活動している消防の果たす役割は大きく、お話のありました常備消防はもとより、消防団も含めた県内消防の機能を維持強化していくことが、地域の防災力を高めるうえで不可欠であると考えています。

 このため、県では、常備消防については消防学校における南海トラフ地震を想定した負傷者のトリアージやDMATとの連携についての研修、倒壊家屋からの救出訓練やヘリを活用した救助訓練の実施を通じて、隊員の地震災害への対応力の強化に取り組んでおります。また、消防団については、市町村とともに団員確保対策に取り組むほか、トランシーバーや救命胴衣など、装備の充実による団員の安全確保、そして、情報収集活動に活用できるバイク、いわゆる赤バイの配備による機動力の強化などを支援することにより、消防力の向上に取り組んでおります。

 ただ、県下全域で甚大な被害が想定される南海トラフ地震に対しては、県内の消防力だけでは、十分ではないことから、他県からの支援が不可欠となってまいります。このため、昨年9月には県内15消防本部すべてが参加をし連携して、県外からの緊急消防援助隊を受け入れるための訓練をスタートさせたところであります。

 今後とも、大規模災害時の応急対策の活動の中心的な役割を担う消防組織の充実、強化と、県外からの受援体制の確立に取り組みまして、南海トラフ地震に備えてまいります。

 

【低空飛行訓練】

●吉良県議

関連して米軍機の低空飛行訓練についてお聞きします。

本県における米軍の低空飛行訓練は、横須賀を母港とする米空母艦載機と岩国基地に所属する米海兵隊の艦載機によるものであり、94年には米空母インディペンデンスの所属機が早明浦ダムに墜落、99年には岩国基地所属の米海兵隊機が土佐沖に墜落し、県民の訓練中止を求める声は頂点に達し、県議会においても中止をもとめる意見書を可決しています。また、2011年11月には本山町での消防防災ヘリを使った訓練と同時刻に3機の米軍機が超低空で飛来するなど県民の命を守る防災ヘリ、ドクターヘリの運航も危険にさらされています。そうしたもと2012年1月19日、年末から頻発した訓練に対し、知事名で、外務省と防衛省に対し中止を要請したところです。米軍は、そうした県民の願いを無視し、夜間飛行訓練などさらにひどい訓練を実施し、本山町では昨年過去16年で最多の73回の訓練が確認されています。到底ゆるされるものではありません。県は、新に騒音測定装置を増設するなど対策をつよめていますが

低空飛行訓練中止をもとめる嶺北地域など県民の願いにどう応えていくおつもりなのか決意をお聞きします。

 

■知事

 米軍機の低空飛行訓練中止を求める県民の願いにどう応えていくつもりか、とのお尋ねがございました。

 嶺北地域での米軍機の低空飛行訓練は、昨年は回数が大幅に増加しており、前年の2倍を超える合計86回の飛行回数を記録しています。

 特に、4月以降は、近年目撃記録がなかった夜間における飛行訓練が16回、休日の飛行訓練が5回行われています。

 こうした夜間の飛行訓練や、日米合意で原則として避けることとされている休日の訓練は、住民生活への影響が大きく、特に、夜間は昼間よりさらに音が大きく響き、会話が全く聞き取れないといったような声も寄せられています。

 従前から申し上げておりますように、沖縄の現状を考えると、その負担軽減のために、訓練の県外移転が必要とされる際には、安全の確保を前提としたうえで、全国で公平に負担を引き受けていくべきだと思っておりますが、他方で、本県では、子どもが怯えて泣き叫ぶような訓練がすでに行われており、こうした過重な負担については是非とも止めてもらいたいと考えているところでございます。

 

●吉良県議

低空飛行訓練の問題の本質は、アメリカ本国はもちろん、日本と同じ敗戦国であるドイツ、イタリアでも許されない住宅密集地で訓練が実施されていること、住民にも全く知らされず好き勝手に実施されているという民主国家ではありえない異常さにあります。

被害をうけている他県、あるいは知事会とも共同し、米本土などでの運用規定を参考に、異常な訓練への対応を政府に迫るべきではないか、お聞きいたします。

 

■知事

 被害を受けている他県や知事会と共同し、対応を政府に迫るべきではないか、とのお尋ねがございました。

 住民生活に大きな影響がある形での夜間や休日の飛行、日米合意で配慮を払うべきとされている学校や病院の上空、さらには早明浦ダムをかすめるような形での超低空飛行訓練など、異常ともいえる訓練が繰り返される場合は、県として国に実情を訴えてまいりますし、オレンジルートの関係県も含め、全国知事会や四国知事会等と連携して中止の要請活動を行ってまいりたいと考えております。

 

【原発再稼働】

●吉良県議

今月2日に、共同通信と徳島新聞、四国新聞、愛媛新聞、高知新聞は合同世論調査の結果を報道しました。伊方原発の再稼働について、「反対」「どちらかといえば反対」は60.7%で、「賛成」「どちらかといえば賛成」の36.3%を大きく上回りました。原発の安全性について86.9%が「不安」「やや不安」と回答しています。

再稼働反対の声をどう受けとめているのか、知事にお聞きします。

また、再稼働への自治体の同意について、原発から三十キロ圏の市や町を加えた上で「山口県や四国四県の同意も取るべきだ」と答えた方が48.6%、「三十キロ以内にある愛媛県六市町や山口県上関町の同意も取るべきだ」30.0%となっており、これまで同様、「愛媛県と伊方町だけで良い」は13.9%しかありませんでした。

 事故がおこれば、広範囲にわたるわけですから当然の声といえます。もともと立地自治体だけの同意というのは、格納容器はこわれず、原発事故の影響は原発敷地内にとどまる、という虚構の前提にたったものです。

原発立地の愛媛県と伊方町だけの同意でよい、という枠組みは実態に合っておらず、見直しを提案すべきだと考えますが、知事の見解をお聞きします。

 

■知事

 原発再稼働についての一連の質問にお答えします。

 まず、今月2日に行われた合同世論調査の結果をどう受け止めるか、また、再稼働への自治体の同意の枠組みについて、見直しを提案すべきではないかとのお尋ねがありました。関連しますので、一括してお答えをいたします。

 ご指摘の合同世論調査の結果につきましては、福島第一原発事故による被害の大きさやその影響が多岐にわたっていることに加え、再稼働の議論が現実味を帯びてきていることから、県民の原発に対する不安や緊張感が高まっていることを反映したものと受け止めております。

 現在、原子力規制委員会において、新規制基準による安全審査が行われていますが、このような厳しい声があることを踏まえ、厳格な上にも厳格な審査を行い、基準に該当しない原発は稼働させないとの姿勢を堅持していくべきであり、また、四国電力においても、安全確保に向けた最大限の努力をしていただく必要があると考えております。

 再稼働の判断における自治体の同意については、立地自治体と四国電力との間の協定に基づくもので、法令等の定めにより付与されたものではありません。現在は、愛媛県と伊方町が四国電力と協定を締結しておりますので、これに基づいて、事実上、同意なしには再稼働できない、ということになっております。

 また、伊方原発周辺に位置する八幡浜市などは事前協議などについて定めた覚書を締結しており、このように、距離に応じて強い発言力を持つ形になっているということは、合理的な姿だと私は思っております。

 本県は、協定に基づいて地元同意する市場ではありませんが、四国電力に対しては、勉強会などを通じて、南海トラフの巨大地震による影響なども含めた安全対策について詳細な説明を求め、徹底した安全確認を行っております。

 この取り組みは、県民目線で、時間をかけて詳細な確認を行っていくことを目指したものであり、現に再質問を繰り返すなど、実効性のある安全確認の取り組みを重ねているものと考えております。

 このように高知県は、四国電力との協定による地元同意を果す権能は持っていませんが、そうであっても、実効ある取り組みにより、安全確認の徹底を図ってきているものと考えております。

 

●吉良県議

四国電力は、伊方3号機の再稼働にむけて規制委員会の審査をうけています。私たちは立地審査指針が削除され立地自体が問われていないこと、避難計画の実効性が判断材料にないこと、シビアアクシデント対策が追加的で基本設計から見直しがなされていないこと、なにより福島原発事故の原因がわかっていないことを指摘し再稼働の条件はないことを指摘してきました。

さらにここに来て新たな、しかも根本的な問題が指摘されています。

電力各社の申請では、基準地震動及び基準津波の評価が二重基準となっている問題です。津波の波源評価については土木学会の指針、2002年に発表されていますけれども、それに基づいて「武村式」が用いられています。しかし、同じ断層でも基準地震動を導く場合、電力会社は「入倉式」を用いています。入倉式を使った値は、武村式を使った場合の4.7分の一になります。

伊方原発の基準地震動・入倉式の値は570 ガル。土木学会指針・武村式の値は4.7 倍の2,680 ガルとなります。四国電力は、基準地震動の2倍までの裕度をもっていると説明しますが、まったく足りず、重要機器が壊滅する値です。2,000ガル以上になるという岡村真教授の指摘とも一致します。

この両評価の違いは、それぞれの基になった地震データの違いにあります。入倉式は、世界中の244の地震から抽出した、米国、中国等のアジア、南米、トルコ、イラン等の約40の地震データを基にしており、その中で日本国内地震は福井地震のみです。他方、武村式は、すべて日本国内の地震データに基づいています。武村式が大きな地震規模となるのは、日本の地震の特性を反映しているためです。

昨年8月21 日の審査会合で島﨑委員は「今までの評価指標がまるっきり、津波はこの手法、地震はこの手法って分かれてますけれども、本来の地震は共通なもんですので、それは、やはり近づける方向が望ましいと思います」と述べています。なにより入倉氏自身が、2012年5月に放送された「検証・伊方原発 問い直される活断層」の中で「私は570ガルを見直すべきだと思っている」「(東日本大震災から)何を学ぶかが非常に重要」と述べられています。

これまでの「安全神話」を真摯に反省するなら、より安全側にたった土木学会指針である武村式を採用すべきであると思いますが、林業振興・環境部長にお聞きします。

 

■林業振興・環境部長

 原発に関する、一連のご質問にお答えします。

 まず、電力会社の申請では、基準地震動および基準津波の評価が二重基準となっており、基準地震動について、より安全側に立った武村式を採用すべきではないかとのお尋ねがありました。

 新たな規制基準においては、基準津波の策定が新たに加わるなど、津波対策の強化や基準地震動について、より精密な策定を求めたものとなっております。

 お話のありました「武村式」は、断層が引き起こす地震の規模を断層の長さを基にして算定する手法であるのに対し、いわゆる「入倉式」は断層の面積を基に算定するもので、どちらの手法を採用するかによって、算定される地震の規模が異なることになります。

 四国電力によれば、津波の評価については、土木学会が策定した「原子力発電所の津波評価技術」に基づき武村式を使用する一方、地震動評価については、地震発生時に大きく動く断層面の設定や面積が重要となるため、断層面積に基づく手法である入倉式を使用していると聞いております。

 いずれにいたしましても、基準地震動については、現在、原子力規制委員会において、こうした四国電力の考え方も含め、慎重に審査を進めているところであり、今後、審査結果が明らかになった時点で、四国電力から詳しい説明を求め、その妥当性について、しっかり確認を行ってまいります。

 

●吉良県議

一方、四国電力が、再稼動を申請している伊方3号機は、プルサーマル運転で、しかもステップ2燃料とMOX燃料を組み合わせた全国で唯一の原発です。プルサーマル運転は、世界的にも運転実績が少ない、制御棒の効きがわるい、熱効率がわるく割高である、使用済核燃料は発熱量が大きくより長期の保管が必要である、死の灰の量が多く事故の影響が一般の原発より大きい等々、繰り返し問題点を指摘してきました。

◆なぜ、早期に再稼働が必要といいながら、より危険で割高で、住民の理解が得にくいプルサーマルに固執するのか、この点は、どう考えても道理がないと思いますが、林業振興・環境部長の所見をお聞きします。

 

■林業振興・環境部長

 次に、四国電力が、早期に再稼働が必要と言いながら、住民の理解が得にくいプルサーマルに固執することについての認識について、お尋ねがありました。

 一般的に、プルサーマル運転は、使用済み核燃料から核分裂に使われなかったウランや新たに発生したプルトニウムを抽出し燃料として再利用することで、資源の有効活用を図るとともに、発電によって生じる放射性廃棄物をできるだけ低減させることを目的に行っていると言われております。

 一方で、ウランに比べて毒性が強く、原子炉の制御が難しいなど、プルトニウムを使用することに対する心配される声がございますことから、県におきましては、四国電力との勉強会においてプルサーマル運転における安全対策等について確認を行っていおります。

 その中で、四国電力からは、プルトニウムとウランの混合燃料であるMOX燃料の特性により、原子炉の出力を調整する制御棒の効きが悪くなるのを抑えるために、原子炉内のMOX燃料とウラン燃料を適切に配置する、核分裂を引き起こす中性子を、より多く吸収するよう、一次冷却水のほう酸水濃度を高めるなどの安全対策をとっているとお聞きしております。

 今後も、継続的な勉強会などを通じて、安全性について詳細に確認を行ってまいります。また、四国電力におきましては、安全確保に向けて最大限の留意をしていただくとともに、しっかりと説明していただく必要があると考えております。

 

●吉良県議

次に原発稼働コストと電力料金に関わってお聞きします。

2013年の貿易赤字が11兆4,800億円となりました。アベノミクスによる円安誘導により、輸入額が大きく膨らんだこと、一方、のびるはずだった輸出量は、逆に1.5%減少したことによるものです。これら「輸入額の増加は、原発停止の影響」というイメージが流され再稼働を求める声なども聞かれました。しかし、日本エネルギー経済研究所の永富悠研究員はこの6日のテレビ番組で、2010年から13年の化石燃料の輸入額増加10兆円のうち、量の増加分はわずか1.3兆円であり、円安誘導の為替影響がその3倍近くの、3.5兆円あることなど量以外の要因が9割近くをしめていると指摘しました。特に2012年と13年の比較では、輸入量は省エネの推進などで0.2兆円減少、価格の影響も1.3兆円に縮小する一方、為替の影響が5.2兆円と高くなっていると数値で示し、アベノミクスによる悪影響を指摘するものとなっています。

つまり、無謀な金融緩和をやめ、エネルギー効率が1.5倍となるコンバインドサイクル式火力発電の導入などに力を注げば、十分安価な電力が提供可能であり、再生可能エネルギーの普及とあわせ、健全な経済の再生に資することになります。

燃料費増にたいする原発停止による影響は、きわめて限定的であり、主要な要因はアベノミクスによるものだと思うが、林業振興・環境部長にお聞きします。

 

■林業振興・環境部長

 次に、2013年の貿易赤字に関し、その大きな要因である燃料費増に対する原発停止の影響は限定的であり、主要な要因はアベノミクスによるものではないか、とのお尋ねがありました。

 原発停止による輸入燃料費の増につきましては、現在、政府原案が示されているエネルギー基本計画によりますと、平成25年度は3.6兆円と試算されております。

 一方、財務省の貿易統計によれば、福島原発事故の発生前である平成22年と平成25年の化石燃料の輸入を比較すると、天然ガスの量が25パーセント増え、額で100パーセント、約3.5兆円の増、原油等では量に変化はなく、額で51パーセント、約4.8兆円の増など、総額で58パーセント、約10兆円の増となっています。また、この間の為替レートの動きは、9.1パーセントの円安となっております。

 ちなみに、第二次安倍内閣が本格的に動き始める前の平成24年と平成25年を比較いたしますと、量的にはあまり変化がないものの、金額的には14パーセント、3.3兆円の大きな伸びをみせております。

 こうしたことから最近の化石燃料にかかる輸入額の大幅な増加は、原油や天然ガス等の価格上昇を主因として、円安も加わったことによるものでないかと推察されます。

 また、天然ガスについては、原発事故以降、相当に輸入量が増えておりますし、価格についても需要の逼迫を反映してヨーロッパやアメリカに比べて特に急激に値上がりしておりますので、3.5兆円しいう輸入額の急増は原発停止による影響が大きいのではないかと思われます。

 

●吉良県議

1月30日に四国電力の昨年4月から12月の決算が発表されました。経常損益62億円、純損益は46億円となっています。決算概要によれば、値上げでの収入増は177億円であり、値上げがないとすればざっと経常損益は約240億、年換算で320億円です。しかし、原発は発電しなくても巨額の固定費がかかります。2012年度、発電ゼロの原発の経費が574億円でした。今期も同様の経費が発生していると考えられ、原発コストがなければ、値上げなしで、黒字だったことが読み取れます。四国電力は、原発再稼働できなければ、再度の料金値上げの検討が必要と述べていますが、原発固執こそ値上げの要因です。

知事は、原発なしで安価な電力が供給できるのか、としはしば発言しています。しかし、この決算や固定費を考慮し、さらに事故の補償、除染費用、汚水対策、困難な廃炉作業、使用済み核燃料の処理コストなどを考えれば、原発がいかに高額な電力なのかは明らかです。

この期間の原発コストはいくらになると把握しているのか、また、原発なしでは安価な電力は供給不可能とお考えか、知事の認識をお聞きいたします。

 

■知事

 次に、2013年4月から12月の決算における原発コストはいくらになると把握しているのか。また、原発なしでは安価な電力は供給不可能と考えているのかとのお尋ねがございました。

 四国電力の昨年4月から12月までの原発にかかる費用等につきましては、事業年度が終了した後において算定を行い、その内容を公表する取り扱いとなっていると伺っておりますが、同じように原発が停止していた平成24年度のコストが574億円であることに照らしますと、同程度の負担がかかり、多額の費用になると考えます。

 これに加えて、万一の事故が起こった場合の対応や、将来にわたって使用済み核燃料を管理していく費用なども合わせ鑑みれば、原発に伴う社会的負担は大きいと言わざるをえません。

 だからこそ、原発の安全性には厳重に注意を払い、かつ、国全体として電力供給における原発への依存度を徐々に徐々に引き下げていく必要があると申し上げてきたところであります。

 原発コストがなければ、値上げなしでも黒字だったとのご指摘ではありますが、現に原発がある以上、減価償却費用や停止した原発を安全に管理するための維持費用は、避けることができないのであり、現状においてこの現実は現実として受け入れざるを得ません。そして、このままの状況が続けば、原発の維持管理コストに加え、電力供給不足分を補うための燃料費が大幅に増加することで、電力会社の経営を圧迫し、現実的に利用可能な料金による電力供給が困難となる恐れもあります。

 電力料金の上昇は、国民生活や経済活動に深刻な影響を与えることから、やむを得ず原発を再稼働せざるを得ない時期や場面が出てくる可能性は否定できません。

 ただその場合であっても、安全の確保が大前提であり、国は、新規制基準に基づき、厳格な上にも厳格な審査を行い、基準に該当しない原発は、再稼働させないとの姿勢を堅持すべきだと、これまでも繰り返し申し上げているところでございます。

 

【土電問題】

●吉良県議

次に、土電問題について副知事にお伺いします。            

  昨年12月議会で副知事は、予算の凍結解除には「土佐電鉄が生まれ変わった」ということが県民の目に見える形で示され、信頼回復を得ることが重要である、と答えました。そして今回凍結解除の判断をされましたが、県民から本当に土佐電鉄は生まれ変わったと言えるのか、一連の問題をうやむやにすべきでない、など厳しい声があがっています。

  新役員体制については、二人の新任取締役以外、事業の継続性を理由にして、旧経営陣がそのまま残っています。これまで暴力団問題をはじめとする一連の問題、またコンプライアンス、コーポレートガバナンスの欠如という企業体質を醸成、温存してきた役員であります。とりわけ、特殊株主から暴力団問題を直後に直接聞きながら、監査役の役割を果たしたとは言えないなど元県警幹部の経歴を持つ常勤監査役の留任など、経営体制の一新といえるのか。また新任の代表取締役社長は、暴力団問題が表面化する前年度までの2年間県の運輸担当理事を務めてきた方ですが、在任期間を含め長期にわたって維持されてきた悪しき体質にメスを入れ改革を実行できるのか、というのが少なくない県民の率直な思いであります。

  この間私たちは、予算の凍結解除にあたって議会のチェック機能を果たすためにも、議会として直接土電から話を聞くべきだ、と主張してきました。同時に、県議会議長への就任挨拶だけではなく、談合事件の時のように、土電自らがすすんで県民を代表する議会に説明責任を果たすべきではないのか、そのことが経営体制を名実ともに一新した、土電が生まれ変わったということを県民に示すことになるのではないでしょうか。 

  こうした県民の厳しい声をどう受け止めるのか、また「土佐電鉄が生まれ変わった」とした根拠、予算凍結解除を判断した根拠について副知事にお伺いします。

 

■副知事

 土電問題について、お答えいたします。

 まず、県民の厳しい声をどう受け止めるのか、また「土佐電鉄が生まれ変わった」とした根拠、県議会常任委員会に予算凍結解除を諮った根拠について、お尋ねがありました。

 暴力団排除条例違反の疑念に端を発した、このたびの一連の問題について、土佐電鉄は、公共交通事業という公共の関与度が大きく、高い倫理性が求められる事業者であり、単なる一私企業として扱われるべきものではないとの考えのもと、県としましては、事実の究明と、再発防止に向けた指導・助言を行ってまいりました。

 凍結しておりました予算の扱いにつきましては、この間の外部調査委員会の報告などを受け、県としましては、暴力団排除条例に抵触していないという判断のもと、土佐電鉄において、一つ目として、外部の専門家の指導も受けながら、コンプライアンス諮問委員会や、風通しの良い組織づくりのための経営改革委員会を立ち上げて、社内改革に取り組んだこと、二つ目として、責任の所在を明らかにして、経営体制の刷新が図られ、新社長から「全社一丸となって信頼回復に努めていく」との所信表明がなされたこと、三つ目として、更なる社内改革を推し進めて、領収書問題については、引き続きさらなる事実の究明に向け、関係者に協力を求めていくとの姿勢が示されたこと、などを総合的に評価し、信頼に足りる組織に生まれ変わったものと判断して、県議会常任委員会に予算凍結の解除をお諮りをしたところでございます。

 厳しい声があることは承知しておりますが、土佐電鉄は、信頼回復に向けて、専門家の力も借りながら、社内改革に取り組んでいると受け止めており、そうした取り組みが着実に進められることによって、県民の信頼回復につながっていくものと期待をしております。

 

●吉良県議

1月27日の中央地域公共交通再構築検討会では、土電側から報告書が出され、コンプライアンスに関する改革は道半ばと認識している、議会調査費の領収書発行問題は事実の把握に努める、また今回の問題についてなぜ起こったのか、どこに問題があるのか探っていく等と述べています。そして副知事も、土電自らが検証して日々チェックするよう求めています。

  領収書発行問題はもちろん、優待航空券、税務調査、暴力団問題など一連の問題の引き続く究明と検証、県民への説明責任を果たすことに真摯に向き合うかどうかが問われています。それらがなされて初めて県民の信頼回復を得ることにつながると考えるものでありますが、副知事の所見と今後の対応についてお聞きいたします。

 

■副知事

 次に、土電の一連の問題に対する究明と説明責任を果す真摯な姿勢が、県民の信頼回復を得ることにつながるとの考えに対する所見と今後の対応について、お尋ねがありました。

 公共交通を担う事業者として、県民の信頼を回復していくためには、会社として不断の努力が必要だと考えております。

 土佐電鉄は、先程もお答えしましたように、領収書問題についても、引き続きさらなる事実の究明に向けて取り組むことや、信頼回復に向けて、県民の皆さまをはじめ、関係者の意見に謙虚に耳を傾けて、最大限の努力をすることなどを表明をされています。

 今後とも、徹底的な社会改革にしっかりと取り組み、目に見える具体的な形で改革は進んでいる姿を県民等に示すことが、今回の一連の事案により失くした信頼を回復するために必要なことだと思っております。

 県としましては、中央地域公共交通再構築検討会の場でも関係市町村などともに、しっかりと改革の取り組み状況を確認をし、指導や助言等サポートを行ってまいりたいと考えております。

 

●吉良県議

 次に、今回の事態を踏まえて、県民の人権とも言える移動手段の維持・充実、働く人々の雇用の確保と労働条件の改善を図ることが求められています。過疎化と少子化・人口減少、高齢化が進む中でのこの取り組みは、課題解決先進県をめざす先駆的な挑戦でもあります。

  これまでも度々バス一元化問題が議論されてきましたが、現実化するチャンスでもあり県行政の積極的、大胆な役割発揮が必要です。韓国のソウル市などでは、バスを民間から準公営に移管、いわゆる民間委託をするなどし公共交通を拡充しています。2004年に始まり検証も必要と思いますが、こうした国内外の交通事情、公共交通維持・充実の経緯などを学び、取り入れることも検討すべきであります。

県中央地域の公共交通再構築めざす今後の検討方向、スケジュールについて副知事にお伺いします。

 

■副知事

 中央地域における公共交通の再構築の検討方向と、スケジュールについて、お尋ねがありました。

 議員のご指摘のとおり、過疎化・少子高齢化・人口減少が進む中で、県民の皆さまの移動手段を維持・充実させていくことは、大変重要な取り組みでございますし、喫緊の課題であります。

 人口が集中する中央地域においてさえ、公共交通を取りまく状況が深刻化をしております。

 そういった交通事業者の厳しい経営状況が続く中で、行政、金融機関、交通事業者などの関係者が、「現状を打開して、持続可能な公共交通の確立を目指さなければならない時期に来ている」という危機意識のもとに、昨年の9月に中央地域公共交通再構築検討会を立ち上げ、私もこの検討会の一員として、参画しております。

 検討会では、公共交通が、子育て世代や、学生、ご高齢の方などの県民の皆さまの日常生活を支える足として、さらには、県外からの観光客にとっても利用しやすく、将来にわたって持続可能なものになるための、スキームの確立を目指し、交通事業者の実態把握や行政側の課題整理などについて、専門家の分析、アドバイスもいただきながら、検討を進めております。

 当面の日程としましては、この3月末をめどに、中央地域における公共交通の再構築のスキーム案を取りまとめられますよう、関係者間で鋭意検討を行っているところでございます。

 今後、様々なスキーム案の中から、関係者の理解を得られる方策を絞り込んでいくことになりますので、その後のスケジュールについては、現時点ではっきりとした見通しを申し上げることは難しい状況にあります。

 しかしながら、経営環境が日々厳しくなる現状を考えますと、早期にスキーム案を固めて、関係者間の合意のもと、実行に移していく必要があると考えております。

 

●吉良県議

最後に、県議会としても、二度にわたる県議会決議に責任を持ち、県民の負託に応えるために、議会としてのチェック、監視機能を果たすべく引き続く真相の究明に取り組むことを強く求めておきたいと思います。

 

【職員研修での服務規定】

●吉良県議

県の職員研修での公務員の服務規程に関して総務部長にお聞きします。

公務員も主権者であり、憲法の思想・信条、結社の自由をはじめ政治的自由が認められるのが、民主国家の常識です。フランスは、いっさいの規制が存在せず、イギリス、ドイツも幅広く政治活動を保障しています。ILO151号条約は、公務員も「他の労働者と同様に、結社の自由の正常な行使に不可欠な市民的政治的権利を有する」と規定しています。その点で、日本の現状は極めて遅れているという根本問題がありますが、それでも、地方公務員は、政治団体に属すること、公務時間外に一個人として、友人に政党の支持を訴えること、友人に政党、政治団体の加入をすすめること、知人に募金を訴えること、政治団体、機関紙の配布を手伝うことは自由にできます。また選挙に関係のない署名や組合の要求の署名運動は選挙期間中であっても自由にできます。これらは憲法の規定から当然です。地方公務員法36条における内容を定めた「通知昭和26・3・19地自乙発第95号」でも、その制限する政治活動の内容は、政治団体の役員になることや運動を主宰することなどに限定されています。

地方公務員が一個人として行う政治活動まで禁止されているのか、総務部長に伺います。

 

■総務部長

まず、地方公務員の政治活動についてのお尋ねがございました。

公務員については、「全体の奉仕者」という基本原則が憲法第15条第2項で定められています。その原則のもとで行政の中立性を確保するために、政治的に中立であるということが要請されています。

そのため、国家公務員、地方公務員を問わず、公務員が政治的目的を持って、政治的行為を行うことについては、一定の制限が課せられております。

一般の地方公務員につきましては、公の選挙・投票での投票勧誘運動や、署名運動の積極的関与などの政治的行為が地方公務員法において、制限されています。

なお、地方公務員の中でも、教育公務員は、教育公務員特例法によって、より政治的行為の制限の厳しい国家公務員と同じ規定が適用されますし、逆に、公営企業職員の一部など、地方公務員法上の政治的行為の制限の適応を受けない職員もおります。

 

●吉良県議

国家公務員は地方公務員と違い、刑事罰が適用されるなど、より政治活動が厳しく制限されていますが、その国家公務員でさえ、一律に政治活動が制限されているわけではありません。

休日に職場とはなれた地域で政党の機関紙を配布したことが国家公務員法と人事院規則に違反するとして逮捕され、裁判となった「堀越事件」で、最高裁は、74年の猿払(さるふつ)事件判決を「不必要に規制が広すぎる」と退け、2012年12月7日、「行政の中立的運営や国民の信頼の確保を侵害する抽象的危険性すらない」とし、無罪を確定しました。判決は「憲法21条1項の表現の自由は民主主義国家の政治的基盤を根元からささえるもの。国民の基本的人権のうちでもっとも重要なもの」と指摘しています。

ところが県職員研修中、公務員倫理の理解度テスト設問11の回答で、「機関紙の配布、政治団体への勧誘、署名運動を企画したりなど」と示し、他人にはたらきかける政治活動が一切禁止されていると、法的に誤った解答を正解としています。最高裁判決に照らすなら「民主主義国家の政治的基盤を根元から」揺るがす内容です。

この誤答を正解とした内容のテキストはいつから利用され、受講者数は何人か。また、直ちに設問並びに解答説明文の削除・変更など、是正すべきものであると考えるが、対応をお聞きします。

さらに、受講した職員に誤った認識が定着しているのではないかと危惧されますが、どう対処なさるのかも、お聞きします。

 

■総務部長

次に、研修の受講状況と今後の取扱いなどについてお尋ねがございました。関連しますのでまとめてお答えをします。

お話にあったテキストは、平成21年度の「公務員倫理」をテーマにした職員研修の中で、想定問答集にまとめた形式で活用しております。

その際には、テキストを配布し、その解説を講師が行う方式で実施いたしました。翌年度には、同じテキストに解説文を加える形で研修を実施しております。

また、平成24年度と25年度の新規採用職員研修では、平成21年度と同様に、テキストを配布して講師が解説を行っております。

研修を受講した職員数につきましては、集合研修の形式で、平成21年度は78名、翌年度は65名が受講しております。

新規採用職員研修では、両年度あわせて279名が受講しております。

また、平成24年度以降は、各職場で行う研修の参考資料として、職員のパソコンからダウンロードして利用できるような、環境を整えております。

このテキストは、人事院規則をもとに国家公務員の事例を掲載しておりますが、集合研修の際には、国家公務員と地方公務員ではそれぞれ制限される政治的行為に違いがあること、また、個別の具体的な行為が制限に抵触するか否かについては、行為の内容や状況などを考慮して個別具体的に判断する必要があることを口頭で付け加えて研修を行っております。

ただ、このテキストの文面だけを見ると、国家公務員の事例となっておりますことから、職員が誤解をしてもいけませんので、高知県独自のテキストを作成し、全庁への周知を図ってまいります。

 

●吉良県議

また、こうした内容が問題にならず広く研修材料として使われてきたことに、基本的人権について軽視する風潮、体質があるのではないかと危惧をするものです。

あらためて憲法21条の意義をしっかり踏まえた研修にする必要があると考えるものですが、見解をお聞きします。

 

■総務部長

憲法の意義を踏まえた研修の実施についてお尋ねがございました。

県民の皆さまの県政への信頼と、透明で公正な行政運営を確保していくため、公務員は全体の奉仕者であることや、表現の自由などの保障を規定した憲法をはじめ、法規法令の正確な理解と運用の両面に十分に意を用いながら、今後も適切な職員研修の実施に取り組んでまいりたいと考えております。

 

【高校再編問題】

●吉良県議

次に県立高等学校再編振興計画(案)策定について、教育長にお伺いします。

高知南高校を高知西高校に統合するとする県教委事務局案、つまり県立南中高の閉校、廃校案に、生徒、保護者、地域住民から強い反対の声がうずまいています。すぐさま統合案の撤回を求める陳情書がつくられ、この21日には、9,080名、27日には在校生も保護者の皆さんと一緒になって集めた5,773名、合計1万4,853名もの署名とともに、森田県議会議長、中沢教育長に提出されました。県民、当事者を抜きに、一方的に再編振興計画案を策定、強行することは絶対許されるものではありません。

  子どもたちは閉校を知り傷ついている、高校入試の願書を出したが閉校になる学校に行きたくない、合格してもやめられるのか、クラブ活動をずっと続けていけるのか、こんな思いを1千人の生徒たちが毎日している、1千人の生徒たち、そして教員も動揺している、「高知家」と言いながら何で子どもをいじめるのか、閉校になった仁淀高校に学んだ保護者、追手前小学校に学んだ子どもたちもおり、私たちの母校を全て奪ってしまうのか、など不安と怒りとも言える声が広がっています。また、高校普通科への進学機会が縮小される、市内から郡部へ出て行かざるを得ない子どもが増える、子どもたちにリサーチしたのか、当事者の意見を全く聞いていない、納得できない限り受け入れられないなどの意見がだされています。

こうした子ども、保護者、地域の思いを教育長はどう受け止めているのかお聞きいたします。

 

■教育長

 県立高等学校再編振興計画について、子どもや保護者、地域の思いをどう受け止めているのか、とのお尋ねがございました。

 それぞれの県立高校は、地域や保護者の皆さまとともに教育活動の充実に努め、特色ある学校の伝統や文化を築き上げております。

 私自身、これまで、そうした学校の取り組みを見てまいりましたので、今回の前期実施計画のたたき台としてお示した案に対して、該当学校関係者の皆さまから厳しい意見をいただいていることは、ある意味当然だと思いますし、同時に、重く受け止めなければなりませんし、また大変心苦しく思っているところでございます。

 しかしながら、県内の中学校卒業者数は、高知南高校の開校した昭和62年には、12,000人を超えていましたが、現在では、7,000人を下回っており、更に10年後にはまた1,000人程度減少し、その後も生徒数の減少が続いていくことが見込まれております。

 また、南海トラフ巨大地震への備えや、グローバル人材の育成なども喫緊の課題となっております。このように高等学校を取り巻く環境が大きく変化する中で、将来にわたって高等学校教育の質の充実、維持を図っていくためには、大変厳しい判断ではありますが、学校統合は避けて通ることができないと考えております。

 今回お示ししている案は、こうした考え方のもとに、広く皆さまからのご意見をいただきながら、再編振興計画を取りまとめていくためのたたき台としてお示ししたものでございます。

 まさに議論を始めているところですので、今後、より具体的で分かりやすい情報の提供に努めるとともに、保護者の皆さまをはじめ学校関係者への丁寧な説明を行い、ご意見等もお聞きしながら、慎重に協議してまいります。

 あわせて、高知南中高校の生徒の皆さまに対しては、今回の再編振興計画に関する議論の状況について十分な説明を尽くしていくとともに、生徒の一人一人へのアンケートなどを通じて、生徒の心の状態の把握に努め、スクールカウンセラーなども活用しながら、卒業まで安心して学べるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

 

●吉良県議

 1月末の統合案の突然の発表により、生徒、保護者、地域に大きな不安と衝撃を与えました。県教委事務局案と言えども少なくとも当事者に事前に説明をし意見を聞くことをすべきであったことは当然であります。その上、生徒に直接向き合っている当該校長はもとより、教職員にも一切事前の報告、説明をしていません。また、直接関わる高知市立中学校校長会にも、事務局案作成過程での意見聴取もしておらず、今回の発表についての事前説明もされていません。その後要請されて開いた校長会で厳しい意見が出された、とも伺っていますが余りにも当然のことであります。

これらの経過は、生徒や現場、県民不在の強権的ともいえる教育行政の姿勢を示していると言わざるを得ません。厳しく反省を求めるとともに、一連の経過について、教育長の見解をお聞きします。

 

■教育長

 統合案発表の経過について、関係者への事前の説明もなく県民不在の強権的ではないか、とのお尋ねがございました。

 県立高等学校再編振興計画につきましては、幅広い県民の皆さまのご意見をいただきながら策定していくことが重要だと考えています。

 そのため、平成23年9月に、有識者や学校関係者、保護者の代表などに参加していただいた、県立高等学校再編振興検討委員会を立ち上げて、生徒数の減少への対応や、これからの高等学校教育の在り方について、のべ12回の協議を重ねていただき、昨年2月に報告書をいただいたところでございます。

 また、検討委員会の開催と併せて、県内12ブロックで地域懇談会を開催し、県民の皆さまから、再編振興に向けた数多くのご意見をお聞きしてきたところでございます。

 こうした取り組みも踏まえながら、今年度、事務局において、教育委員からのご意見もいただきながら具体的な県立高等学校の再編振興の在り方について検討を重ね、本年1月に計画策定に向けた議論のたたき台として、高知市内の学校の統合を含む案をお示ししたものでございます。

 このたたき台について、関係者に事前説明がなかったとのお話がございましたが、学校統合の問題は、学校関係者の皆さまはもとより、将来、高校生となる子どもたちをはじめ、広く県民の皆さまにかかわる重要な問題でございます。また大変デリケートな問題でもあるため、一部の方々だけ事前にお示しするということでなく、たたき台の段階から広く県民の皆さまにお示しし、教育委員による議論もオープンにした上で、ご意見をいただきながら協議を進め、計画案を取りまとめていくこととしたものでございます。

 

●吉良県議

次に、高知南高校統合案の理由の一つに、生徒数の減少への対応があげられています。

  再編振興計画の基本的な考え方案では、適正規模としているのが1学年4学級から8学級です。今後、生徒数が減少していく中にあっても、生徒の個性や進路希望などが多様化する状況に対応し、習熟度別の学習指導など、きめ細やかな指導ができる体制を確保できるとしています。県の実施計画検討案では、この適正規模、4学級から8学級は、2022年度、平成34年度も基本的には維持できる見通しとなっています。南高校を含めて、きめ細やかな指導ができるということであります。それをわざわざ同じ適正規模でも「中央部」は、1学年6学級以上必要としており全く合理的根拠があるとは言えません。また特定の高校の規模を維持するために特定の学校を廃止することは県民的な納得を得られるものではありません。郡部や中山間地の高校を存続させ教育の機会を保障するために、1学年1学級以上、そして生徒数20人以上とする新たな対応を提案しています。

それならば中央部においても適正規模基準を堅持し、中山間地域と同様に、教育を受ける権利を等しく保障していく、また必要な体制の整備をおこない財源の投入も求められていると考えるものですが、教育長の見解を求めます。

 

■教育長

適正規模に関して中央部においても1学年4から8学級を基準として、教育を受ける機会を保障していくことが必要ではないか、とのお尋ねがございました。

先程、申し上げましたとおり、県内の中学校卒業者数は大幅に減少してきております。

こうした現状を踏まえ、県立高等学校再編振興計画の基本的な考え方の案では、生徒数が減少する中においても、高等学校としての教育の質を維持していくための適正規模について、県全体としては、1学年4学級から8学級としております。

そのうえで、高等学校としての教育活動の充実や、部活動などでより活気あふれる学校づくりを進めるしいったことを考えますと、一定の生徒数の確保が見込まれる中央部では、1学年6学級以上の維持に努める必要があるという考え方を併せてお示ししたものでございます。

1学年6学級になりますと、1学年4学級と比べ、国の基準では教員数が14人増員となり、加配教員を活用した習熟度別授業の充実や生徒指導体制の強化が可能となってきます。

また、教員研修の充実による指導力の向上や、生徒が切磋琢磨しながら成長できる環境づくりも可能となるなど、教育活動の充実といった観点からは、1学年6学級以上を維持していくことが重要であると考えています。

さらに、部活動の面でも団体競技をはじめとした多様な種目や文化系の分野にも取り組むことが可能になるなど、生徒の希望や適性に応じた、より充実した教育環境を提供することができるようになります。

中央部においても教育を受ける機会を保障していく必要があるとのお話がありましたが、過疎化が著しく近隣に他の高等学校がない地域において、高等学校で学ぶ機会を保障するためには、生徒数が減少していく中でも、できるだけ地域の学校を残していくという対応を取らざるを得ません。

一方で、一定の生徒数の確保が見込まれる中央部においては、学校統合を行うことで学校規模を維持していくという選択肢がありますので、将来にわたって教育活動の充実を図っていくためには、入学定員を一律に減らすのではなく、学校の統合を考えていく必要があると考えています。

 

●吉良県議

もう一つの統合理由に、南海トラフ地震への備えが言われています。子どもたちの命を守り、被災後は一日も早い学校再開が求められていることは言うまでもありません。先の議会総務委員会では、県教委は津波被害については、地域住民の避難ビルにも指定されており最善の対策を取っている、問題は長期浸水対策・早期の学校再開だと言われました。計画の基本的考え方案では、適地への移転の検討も示されています。

であるならば、高知南高校や高知工業高校をふくめ、長期浸水区域にある6校の対応も合わせて示すのが責任ある態度であり、高知南高校だけの統合、廃校への口実に使うことは許されません。教育長の見解を求めます。

 

■教育長

 学校統合の理由として南海トラフ地震への備えをいうのであれば、長期浸水区域にある6校の対応も併せて示すべきではないか、とのお尋ねがございました。

 県立高等学校における南海トラフ巨大地震への対応につきましては、全ての学校において、まずは生徒の命を守ることを第一に、平成27年度までに耐震工事を完了させるとともに、食料や飲料水等の備蓄を進めているところです。

 また、いざというときに生徒が的確に判断・行動し、自分の命は自分で守ることができる力を身に付けさせるために、避難訓練も含めた防災教育に重点的に取り組んでいます。

 高知南中高校については、3mを越える津波の被害と長期浸水が想定されていることに加え、港湾に隣接している立地状況から、船舶等の漂流物による被害、近隣の工場の被災による影響など、他の高等学校にはない、大きなリスクも想定をしておかなければなりません。

 こうしたことから、将来にわたって安心して学ぶことができる教育環境を整えるために、高知南中高校については適地への移転や他校との統合といった対応が必要だと考えております。

 しかしながら、県中央部においても生徒数の大きな減少が見込まれている状況のもとで、高知南中高校を単独で移転することは現実的ではなく、他校との統合によって、これまで学校が培ってきた伝統や文化、国際理解教育やキャリア教育の取り組みの蓄積を継承し、さらに発展させていくべきだと考えたところでございます。

 今回のたたき台は、こうしたことも踏まえた上で、総合的に判断してお示ししたものでございます。

 

●吉良県議

次に、南高校を統合し西高校に中学校併設、これまでの英語科をグローバル教育科に変更、そして国際バカロレアコースを設置するという再編振興計画案についてであります。  これまでの南高校の国際理解教育や西高校の英語科とは全く異質なものであり、これまでの評価や検証が行われていません。また新しい国際バカロレア構想は、海外の大学へ入学できる資格を取ることを目的にし、6科目必修、うち3科目の授業は英語で実施しなければなりません。国内では現在ハイスクールなど私立高校だけで取り組まれているのみであります。

  国際的世界的な視野に立った教育、また人を育てることは、一般的には誰も否定するものではありません。

しかし、いま高知県で海外の有名大学への受験資格を取得できるという特殊なコースを必要としているのか、また公教育がそのことに力を注ぐことが適切なのか、子どもや保護者のニーズがあるのか、外国語で授業できる教員の確保や体制が確立できるのか、検討すべき数多くの問題があり、決して前のめりに進めるべきではなく、慎重に検討すべきだと考えますがご見解を伺います

 

■教育長

 高知西高校へのグローバル教育科の設置に関して国際バカロレアコースの導入は慎重に検討すべきではないか、とのお尋ねがございました。

 社会や経済のグローバル化が急速に進む中、外国語活用能力とともに論理的思考力やコミュニケーション能力を備え、国際社会で広く活躍できる人材の育成が課題となっております。

 また、本県におきまして、これからの地域振興や産業振興を実現していく上でも、こうしたグローバル人材の育成は大変重要なことだと考えております。

 そのため、今回の県立高等学校再編振興計画のたたき台においては、高知南高校と高知西高校を統合し、中学校を併設するとともに、新たに高知西高校にグローバル教育科を設置し、その中に本県のグローバル教育をリードしていくための国際バカロレアコースを設ける案としています。

 この国際バカロレアの教育プログラムは、その卒業生が国内外からの大学から求められているなど、国際的にも高い評価がされており、国においても国際バカロレアの認定校を平成30年までの5年間で200校とする目標を掲げているところです。

 本県の高等学校教育にとって、確かに高い目標ではありますが、こうした目標を掲げて学校と生徒、教員が意識を合わせて取り組んでいくことにより、高知西高校はもとより他の高等学校でのグローバル人材の育成に、ひいては本県の高等学校教育全体のレベルアップにも大きな効果が期待できるものと考えます。

 また、学習指導要領においても、小学校での英語教育の充実が図られており、本県の将来を担う子どもたちに、広い世界で活躍するという大きな可能性を提供することにもつながると思っています。

 実現のためには、お話にもありましたように、英語で指導できる教員の確保や、カリキュラムの見直しなどに取り組む必要がありますので、教育委員会として、全力をあげて計画的かつ着実に取り組みを進めていかなければなりません。

 また、子どもたちや県民の皆さまに、グローバル教育の重要性や、国際バカロレアコースで学ぶ意義を積極的に広報していくことで、高い志をもって国際社会の場へ挑戦していこうとする意識も喚起していきたいと考えています。

 国際バカロレアの取り組みは、本県におけるグローバル人材の育成に向け先頭を切って走る取り組みであります。これらの取り組みを通して、坂本龍馬やジョン万次郎を輩出した高知県ならではのグローバル教育を生み出していきたいと考えております。

 

●吉良県議

最後に、今回の高知南高校統合案、事実上の廃止案は白紙に戻して、少なくとも複数案を示して県民の意見を聞くべきではないか教育長にお聞きします。

 

■教育長

 今回の高知南高校の統合案は白紙に戻して、少なくとも複数案を示すべきではないか、とのお尋ねがございました。

 現在の案は、あくまでも今後の議論を進めていくためのたたき台としてお示ししたものでございます。

今後、より具体的で分かりやすい情報の提供に努めるとともに、学校関係者をはじめ、県民の皆さまのご意見もお聞きしながら、このたたき台をもとに丁寧な議論を重ねた上で、県立高等学校の再編振興計画を取りまとめたいと考えております。

 

【臨時教員の不当な処遇解消】

 

●吉良県議

臨時教員の不当な処遇の解消問題についてお聞きします。

文科省の調査では2012年度の非正規教員数は、公立小・中学校で11万8千人、16.1%、この中には臨時的任用教員6万2,581人、非常勤の講師が5万581人含まれていますが、非正規率は小学校で17.23%、中学校で18.5%、高校で23.86%、障害児学校で23.21%で、市区町村費などで任用されている非正規教員を含めると20万人、学校単位の平均では5人に1人にも上る数になっています。

県内の臨時教員数は2012年度で960人、これに市町村負担の任用などを合わせると、全教員数の13%に上っています。そのうち定数内臨時教員数は、本年度、小学校で63名、中学校は141名、県立143名、特別支援学校97名、合計381名もの本来正規教員が担うべき枠が埋められていません。

4月当初から定数内・定員籍としての学級担任が非正規教員で充てられるなど、臨時・非常勤の安易な乱用で、産休・育休・病休などの代替え教員が配置できず「先生がいない教室」が長期化・常態化しています。そのため他クラスの担任や教頭、専科教員などが入れ代わり立ち代わりクラスに入り急場をしのぐなど、児童・生徒が安心して継続的な学習に取り組めず、また本来つくべき業務につけないなど、学校運営上大きな支障をきたす事となっていることは、まさに教育の根幹にかかわる重大問題といえます。

こうした非正規教員の増大と常態化が学校教育に与えている影響についての教育長の見解を、先ず、お聞きいたします。

 

そもそも教員の給与は義務教育費国庫負担制度で保たれていますが、国は負担対象から共済費や退職手当、児童手当など次々と外し、2004年度から対象は給与本体だけとなっていました。その給与に対しても国は2006年度から、国負担率をついに二分の一から三分の一へと引き下げ不安定・不透明な一般財源化し、県負担を増やしてきました。

一方、2001年度からは、常勤の教職員定数を、非常勤の講師の数に換算することができることとし、教職員定数を活用して非常勤の講師を任用することができるよう標準法を改変し、安上がりな教員配置、官製プワーの臨時教員創出への道がつけられました。そして、2004年度から総額裁量制を導入し、常勤・正規採用教員そのものの給与水準を引き下げてもかまわない道をもつくりました。

財政難と新たな教育課題への対応に苦しむ自治体は、窮余の策と、いきおい正規教員の人件費圧縮と非正規教員の大量充当による対応への道を選択し、それが、全国で5人に一人の非正規雇用の臨時教員となり、絶対数不足での「教室に先生がいない」状況を恒常化させた原因であるといえます。

さすが文部省も、2013年度概算要求での説明資料で、「国の計画改善がないため、都道府県が先の見通しを持った計画的採用・配置が行えない。臨時的任用教員など非正規教員が近年増加傾向にあり、学校運営や教育の質の面で問題」と、国の責任を認めざるを得ないような認識を示し、その解消のための定数改善を図ろうとしていました。しかし、2014年、その概算要求からは臨時教員に関する記述はなく、非正規教員の増加解消という問題意識すら消え去っています。

未来を担う子どもたちの教育に必要な人材は、標準法での定員も、また、各種加配教員も正規雇用によって安定的に充足されるべきです。何年間にもわたって臨時・非常勤での不安定雇用を強いることは、児童・生徒の継続的な学習を保障しないばかりか、本県教育に情熱を持つ人材の意欲を減衰させ、教育現場から離反させ、教育水準の低下にもつながる恐れも十分にあります。

教員の正規雇用を増やし優秀な人材確保するとともに定数内講師の解消、臨時・非常勤での不安定雇用の漸進的縮減をどう図っていくのか、教育長の見解をお聞かせ下さい。

 

■教育長

非正規教員の増加と常態化が学校教育に与える影響をどう考えているか、また、教員の正規雇用を増やし、臨時・非常勤を縮減するために、どう取り組むのか、とのお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えをさせていただきます。

本県の未来を担う子どもたちの教育を充実させていくためには、正規雇用教員の割合を増やし、必要な人材を安定的に確保していくことが、重要だと考えています。

また、教員の皆さまが、安定した雇用のもとで教育活動に専念していただくという意味からも、臨時・非常勤での配置をできるだけ少なくしていくことが必要であると考えております。

本県の平成25年5月1日現在における公立小・中学校の教員定数の標準に占める非正規教員の割合は3.1%であり、全国の割合の8.3%と比較して、大変低い割合となっています。これは、本県の教育改革を推進していくため、また、教員の大量退職に備えて、できる限り定数内の臨時教員を正規教員に振りかえるように計画的な教員採用を行ってきた結果であると考えております。

しかしながら、改善したとはいえ、近年、臨時教員の志願者の減少に加えて、市町村の学習支援員などに志願者が先に雇用されるケースも増え、充分に臨時教員を確保することができない状況がございます。

そのため、病気休暇や介護休暇などで代替の臨時教員が配置できない案件が増加しており、このような学校では、加配教員など学級担任以外に配置されている教員が、一時的に当該教科や学級を担当することによって、できるだけ子どもたちに影響が生じないよう努めております。

一方、高等学校における非正規教員の割合は、平成25年度は9.3%であり、全国の割合7.2%と比較して高くなっております。

この要因としましては、学校の特色に応じて教育課程が細分化されるために、小規模の学校では、一校当たりの各教科の時間数が少なく、正規教員を配置できないといったケースがありますことと、生徒数が減少する中で正規教員の配置については慎重な対応をとらざるを得ないということがございます。

しかしながら、今後、高等学校でも退職者数が大幅に見込まれる状況を見据え、計画的な教員採用を行うことで、臨時教員の縮減に取り組んでまいります。

また、特別支援学校においても非正規教員の割合は17%であり、全国の15.1%と比較しても高くなっております。

特別支援学校の児童生徒数は、高知県に限らず全国的にも知的障害を中心に増加をしています。それに伴って必要な教員数も増えている中で、特別支援教育を担うために必要な高い専門性を持った教員の確保が大変難しくなってきている現状がございます。

しかし、この児童生徒数の増加への対応は喫緊の課題ですので、できる限り多くの優秀な人材を確保する取り組みを行うことで、臨時職員の縮減に努めてまいります。

 

●吉良県議

また、給与本体の国庫負担率引き下げと一般財源化による本県の持ち出し分、その負担分の変化と、見解をお聞きいたします。

 

■教育長

 給与本体の国庫負担率引き上げと一般財源化による本県の持ち出し負担分の変化と見解について、お尋ねがございました。

 平成18年度に実施された義務教育費国庫負担金の国庫負担率の引き下げによりまして、公立学校の教職員の人件費に係る県の負担割合は、1/2から2/3に増えました。

 このことにより、引き下げ前の平成17年度に約350億円であった小中学校教職員の人件費に係る県負担額は、平成18年度には約376億円と、約26億円増加しました。

 また、平成15年度から16年度にかけて、共済費の長期給付金や退職手当などが負担金の対象から除かれ一般財源化されましたが、これにより増えた県の負担は、教職員が減っていることによる給与総額の減少などによって相殺をされ、全体の県負担額が大きく増加することはありませんでした。

 なお、教職員の人件費に係るこの県負担額は、地方財政計画において措置されており、地方交付税の需要額に適正に反映されていますが、将来にわたって本県の教育課題の解決に積極的に取り組んでいくためにも、また教育に対する国の責務という観点からも、現在の国庫負担制度が安定的に堅持されていくことが重要であると考えます。

 そのようなことから、国に対しては、これまで同様、義務教育費国庫負担制度の恒久的な措置を求めますとともに、教員の増員などの教育予算にかかる要望についても継続的に行ってまいります。

 

●吉良県議

次に、非常勤や臨時的任用などの教員が直面している不当な勤務条件の問題についてお聞きします。

地方公務員法二十二条による臨時的任用の教員は、臨時的であることが原則なので任期は六か月が上限で、更新は一回まで、最長で1年と決められています。ところが実態は、年度末に一日とか数日の空白を設けて年度を越してすぐ臨時的任用で着任させ、何度でも何年間でも更新を繰り返すという脱法的なやり方が行われています。これは、地方公務員法十七条による非常勤の教員についても同様に行われています。

本県では、臨時教職員は、3月24日に退職とされ、3月25日から4月3日まで10日間は空白期間を設け、次年度に再度任用することが慣例となっています。この空白期間が大きな不利益をもたらしており、その一つが、健康保険や厚生年金の問題です。

これらの加入資格が発生するのは月末日に雇用されていることです。3月31日に在籍していないと脱退手続が行われるので、健康保険や年金が継続せず、臨時教員自らが国保と国民年金への切り替えのための加入手続を取ることになります。保険証は事前に返却を求められて交付までの期間は十割負担での受診が強いられます。また毎年三月は国民年金への切替えを余儀なくされるので年金額にも当然不利益が生じることになります。

第185回臨時国会の参議院文教科学委員会でわが党の田村智子議員がこの問題を取り上げ「一日若しくは数日の空白期間があるという者の場合、引き続き健康保険、厚生年金の被保険者になるか」との質問に、厚生労働省は「事業主と被保険者の間であらかじめ次の雇用契約又は任用の予定が明らかであるといったようなケースで事実上の使用が継続していると認められる場合には被保険者資格は継続する」と答弁し、年金機構に対して必要な周知・指導をはかる旨回答しました。

そして本年1月17日、厚労省は保険局保健課長ならびに年金局事業管理課長名で日本年金機構に対して「厚生年金保険及び健康保険の被保険者資格に係る雇用契約又は任用が数日空けて再度行われる場合の取り扱いについて」を通知し、「適用事業所等に対する適切な周知・指導等」を求めました。これにより、各年金事務所は当該事業所に対して周知・指導等をおこなうこととなり、教育委員会および教育事務所もその対象となります。

県教委は一日短くするとお聞きしていますが、年度末に空白期間を置くことによって被る不利益は、これら保険や年金以外にもまだあります。

臨時教員は3月24日で任用が切られますが、臨時教員は学校に出向いているのが実態です。3月31日を勤務していないものはその月を雇用していない事になるので、3月分の社会保険料の事業者としての負担を県は免れています。

さらに4月に新たに着任した場合、月初め1日の在籍が通勤や住居手当など各種手当を受ける資格要件となっており、4月分の支給も免れています。

学校に必要な教職員は正規で配置することが基本であるにもかかわらず、国の総額裁量制や安上がりな定数政策にのって臨時教員を充て、正規教員と同じ仕事をさせておきながら、健康保険、厚生年金、通勤手当や住居手当など各種手当の不利益な処遇を事実上強いている現状について、教育長の認識をお聞きします。

 

今回の国会質問により任用期間終了の時点では再度の任用が決定していなくても、空白が短期間である場合には健康保険、厚生年金の被保険者の資格を喪失させない扱いをする自治体が増えると考えられますが、現にそういった扱いをしている自治体も既にあります。

正規教職員との均等待遇をはかることは文部科学省や都道府県教育委員会などの責務であり、9日間と、全国で一番長い空白期間を置いている本県は、この機会に臨時教員の処遇改善を図ることは急務だと考えるものですが、教育長の見解をお聞きしまして第一問とします。

 

■教育長

 不利益な処遇を事実上強いている現状についての認識と、臨時教員の処遇改善を図ることは急務であるとのお尋ねがございました。関連しますのでまとめてお応えをさせていただきます。

 臨時教員の配置につきましては、正規教職員の人事異動発表後に、配置校の決定に係る学校との調整など、臨時教員を採用するための作業に一定の期間が必要なことから、現在、4月4日からの雇用を原則としております。

 また、臨時教員の雇用は、地方公務員法第22条第2項の規定により、1年を超えての継続雇用はできませんので、雇用の終期を、学年末の終業式を一つの区切りとしまして、3月24日までとしております。

 現在、各学校では、学力、体力の向上をはじめ、生徒指導上の諸問題への対応など、多くの教育課題に取り組んでおりますので、これらの教育課題に適切に対応していくためには、4月当初から、臨時教員も含めた教職員全体で組織体制を整え、スタートしていくことが、より望ましい姿であると認識をしております。

 このことから、平成26年度においては、臨時教員の配置作業の更なる効率化や市町村教育委員会及び各学校との調整方法の見直しなども行うことで、現行の4月4日から少しでも早い採用ができるよう努めてまいります。

 また、議員ご指摘の厚生年金保険及び健康保険の被保険者資格の継続の取扱いに関しましても、他の都道府県の考え方や運用状況などについての情報収集と、年金事務所等関連機関との協議を行い、どのような対応ができるのか研究をしてまいります。

 

【第二問】

●吉良県議

 南高校の生徒や保護者の皆さんが、残してほしいと15000人近い署名も集めて要望しているわけです。私も先ほど質問で要望しましたように、少なくともその願いを実現するためには、こうこうこういうような状況になりますよと、そして教育長がおっしゃるように、進路保障も含めて、部活も含めて保障するためには、これくらいの加配の人数もいります、県単の持ち出しはこうですというふうに、やはりきちっとその願いに応えるような案も出しながら、県民的な論議をすすめていくということが何よりも私はいま求められていることだろうと思います。いまの案を徹底するために、理解願うためにとなると、とてもじゃないけど合意が生まれるようなものではないと思いますので、具体的にやはりいまのみなさんの要望に合った案もたたき台として並行して説明もして理解をあおぐということに取り組んでいただきたいということを思うわけですけれど、それについてのご意見を伺いたいと思います。

 

■教育長

南高校の統合の問題でございますけれども、なかなかその現実問題として、例えばなぜわれわれが6学級以上といっているのかといったことなど、わかりにくいことが確かにあろうかと思います。

先程も答弁でお答えいたしましたが、いくつかのその小さくなることによって困難な課題がありますが、ひとつひとつのその課題ををとらまえた時に、そのひとつひとつが絶対のこれがあるからいけないというものではなくて、それらがいくつもあって重なってきて、最終的にはいつのまにか知らない間にボディブローのようにきいてきて、学校の活力を奪ってしまうというような恐れがあります。非常に説明が難しいわけですけれど、そうしたことも、いま吉良議員がおっしゃいましたようにそこらあたりも含めて、いまの再編の計画のペーパーそのものだけでいくのではなくて、そこらあたり、いままでも保護者の方々、生徒の方々から、疑問点が出されておりますので、そういうものをふまえまして、教育委員会の中でいま議論しておりますので、そうしたものでよりわかりやすいものにして、ゆっくりと時間をかけて議論をし、ご説明もしていかなければならないと、このように考えているところでございます。

 

●吉良県議

臨時教員の不当な処遇の問題ですけれど、ちょっと具体的にお聞きしたいのですけれど、厚生省は年金機構に通知を出してですね、そして各年金事務所が教育委員会だとか教育事務所に周知・指導をしていくということに国会の中ではなっているわけですね。実際に17日にも出されたと。それで、年金事務所から具体的にどのような周知・指導があったのか、あったとするならばどのような論議がなされたかということもお聞きしたいと思います。

それと同時に、もうひとつみなさんに知っていただきたいことは、ここに全教がつくった全国の臨時教員の任用期間の一覧表があるんですけれど、ほとんどが4月の1日が入っているんですね。年度末の教員は大変でして、学級編成をやったり、当然、指導要録を書いたり、臨時教員を抱えている学年はですね、土・日、24日以降は出させたいかんと、もし事故でもあったら大変なわけですから、社会保険も何も入っていないわけですから、ということで深夜まで残って編成をやるんですよ、これはね、みなさんわからないと思うんですけど、本当に暮らしぶりから学業から、男女比、地域性を見てですね、何パターンかに学級編成もしていくことに小学校なんかはなります。それから中学校は部活をやっていいて練習試合なんかがあれば、24日でもう知らんという訳にはいかんですね、それから高校入試で不合格の子が出てくるんです、やはり、臨時教員のクラス、学年でも。それに対して、みんなで春休みを返上して対応していくとしいうことも実際にやっているんですね、これはね、教員という職務の本質なんですよ。だから、高知県みたいに24日で切って、25日から4月の3日までというのは他県にないです。他は全部、これを見たらわかりますが、4月の1日から3月30日までというのが80%、圧倒的なんですね。しかも高知県の処遇がひどいのは、社会保険の要件になっている3月31日、それから各種手当の要件が4月1日になっている、両方とも入っていないのは沖縄と高知県だけです。平均で2-3日で、今回一日短くしましたけれど9日間というもちかたはあまりにもひど過ぎるということで是正を求めておきますけれど、具体的にどのようにしていくかということと、それと人事委員長にお聞きしたいんですけれど、まずひとつは総務省でも、私、この前の予算委員会でも質問させてもらいましたけれど、総務部長も認めたんですけれど、空白期間を置かなくてもいいというのが正式な回答なんです。その置かなくてもいいけれど、本県が他県に比して9日間、今回一日減らしてですね、あるということについてどうご見解をもっているのか、そしてそのもとで非常な不利益を臨時教員がされている、しかも校長はわかっていながら4月1日に出てきてくれと言うんですよ、ほとんどがそうですよ、実際問題として4月末にはだいたい校長にあんたが行くからと連絡するんです。校長は4月1日というのは本当に舵をきってですね、大きく船出をするときですから、教育長もおっしゃったようにやはり一緒になって論議をせんといかんのです。労基法違反とわかっていながら呼ぶんです。必ず来ているんです。これはね、ブラック化ですよ、こういうことを校長に強いるような、やはり空白期間の設定、そしてその内規も見直すべきだと思うんですね、人事委員長にそのことについて、そういう働かせ方がどうなのかということを、それから内規の見直しについて具体的に、教育長にもお聞きして二問とします。

 

■教育長

臨時教員の問題でございますけれども、確かに吉良議員が言われましたように様々な問題を抱えていると思っております。改善をしていかなければならないと思っております。

したがいまして、牛歩といわれるかもしれませんけれども、来年度からは、その採用を少しは早めたいということで取り組むようにしているところでございます。

厚労省年金事務所からの通知ということでございますけれども、たぶんこれはですね、 向こうの方からわれわれにアプローチというよりか、どういう状況で雇用するかということを、われわれが説明をしないと判断できないと思います。具体的なことを説明しないと判断できないと思いますので、その作業を相談に行って協議をしたいというふうに考えているところでございます。 

それから先ほどお話がありましたように、空白の期間というのはですね、いままでの長い間の労働慣行の中で、臨時ということでやってきておりますが、少しづつ、少しづつ、その期間を短くして、なんとか、私の思いとしては、できるだけ採用を早めたいと、4月の初めから、今年度の学校の経営計画をみなさんで議論していただきたい、そういう体制をつくっていきたいと思っております。ただ事務的に難しい面がありますが、おっしゃいましたように他県ではできている、エイヤーとやっている場合もあろうかと思いますが、それも参考にしながら、少しでも改善したいと考えているところでございます。

 

■人事委員長

 事前通告を受けておりませんでしたので、基本的な認識に止まりますが、お答えをさせていただきたいと思います。

 私には、高知県、他県に比べて、長い中断期間をもうけているのではないかと、それからもう一つは3月31日、4月1日がその中断期間に含まれていて、不利益を被っているのではないかと、内規の見直しも含めて必要ではないかということだったと思いますが、関連をしますので、まとめてお答をさせていただきたいと思います。

人事委員会は、年度の当初に、任命権者から地方公務員法22条にもとづいて、臨時的任用職員の、これは個々の職員ということではなくて、全体にどうするかということでございますが、その取扱いにつての承認申請をいただいておりまして、その中身が法律の規定等に照らして適当かどうかと、こういう判断をさせていただいています。

中断期間を何日設けるかといったようなことにつきましては、具体的基準はないというように私は承知してございますが、中断期間を設けることそのものについては、現在の地方公務員法の規定上は、同一人について1年を超えて任用することが認められていないとまたその任用の期間を中断することなく、またはきわめて極々短期間で、あるいは同一人を繰り返し任用するということは、事実上、一般的な職員と同様の勤務形態になるので、これは法の趣旨に照らした時に適切ではないのではないかと、そういうような基本的認識をもってございます。中断期間を何日から何日までに設定するかといった具体的な期日の設定でございますとか、期日の長短、これにつきましては業務運営など、もろもろの判断のもとで任命権者が設定をし、私ども人事委員会に承認申請をしてくるというものでございまして、私どもとしましては、今後とも法令の趣旨に照らして適切な判断をしていきたいと思います。基本的な認識で申し訳ございませんが。

 

【第三問】

●吉良県議

実際、東京都と北海道は、空白期間がございません。そういう運用をなさっているところがありますので、ぜひ参考にしながらですね、いま一生懸命、子どもたちのために頑張っている青年教師、臨時教員が、誇りをもって教育にあたれるような条件整備をしていただけますように心から要望いたしまして、私のすべての質問を終わります。