議会報告

  • 2014年03月18日
    2月議会 予算委員会での岡本和也議員の質問と答弁(2014.03.06)

【質問テーマ】

1、地域の中小建設業者育成の方策

2、下田港改修事業の推進

3、安倍政権が進める「農政改革」と高知県農業に及ぼす影響

4、野生鳥獣被害対策

 

【地域の中小建設業者育成の方策】

●岡本県議

地域の中小建設業者育成について質問します。

東日本大震災において復旧作業が早期に行われたのは地域の中小建設業者の役割が大きかった事は周知のところです。さらに昨年春から夏にかけて起こったゲリラ豪雨による土石流やがけ崩れ、又昨年末から今年にかけた大雪に対する除雪作業においても地域の建設業者は大変大きな力を発揮しました。この事からも今後高知県でも予想される突発的で様々な災害の復旧に即時に対応してくれる地域の中小建設業者をしっかり育成する必要がありますが土木部長の見解を求めます。

 

■土木部長

 南海トラフ地震等の大規模災害をはじめ、台風などの多くの自然災害に対応していくため、地域の中小業者をしっかり育成していく必要があると考えております。

 また、昨年11月の「高知県地域防災力維持確保対策検討委員会」の報告書でも、迅速な災害対応への仕組みづくりと、地域をよく知る建設業者の確保が重要だと提言を受けております。

 ご提案いただいた対策の実施と、県内建設業の活性化への支援を通じ、地域の建設業者の確保と育成に取り組んでまいります。

 

●岡本県議

心強い発言をいただいたところです。しかしですね、実際の現場の状況についてご紹介します。

建設業者の声を聴くと、「長年の公共事業の削減で、技術者などの従業員を減らし機械も手放した。公共工事も少なくなったし、後継者がいないので廃業するしかなかった」など深刻な実態もあり、さらに「昨年から一気に工事が出てきたが、将来の不安定さを考えると会社の規模を大きくすることはできない」「現状で出来るだけのことをするだけ」、現状は大変厳しいとの答えが返ってきました。この事は最近の県の発注事業でも、入札で落札業者が決まらないなど、発注した工事を消化することができない異常な事態からも判断できます。その状況をどう判断するのか、高知県としては、地域の中小建設業者を守るための対策がしっかり取られているのか、土木部長の考えをお聞きいたします。

 

■土木部長

 地域の中小業者を守るためにもですね、先ほど議員がおっしゃいました入札の不調、不落の増加への対応というものは急務だと判断してございます。今回、策定いたしました高知県建設業活性化プランにおきましてもこうした入札の不調、不落問題を大きな柱として位置付け、現場なりの常駐緩和の制度化、あるいは翌債繰越制度の活用による工事の平準化など、こうした不調、不落の対策に努めてまいります。

 

●岡本県議

そこで、具体的な要望をしたいと思います。高知県が作成している建設業での総合評価方式に関する取扱要領を見ると、地域性の評価は地域内拠点の有る無しで、地域を市町村に主たる営業所があるとしています。そこに適合すれば15点の加点になって、その事は地元業者を育成する点で一定評できるんですけれども、そこで今回はその上でもう少し細分化できないかとの質問です。例えば、市町村によれば、市町村合併の影響で行政面積が大変広くなりました。そのことを考えた場合に、旧市町村での細分化ができないものか、土木部長のお考えをお聞きます。            

 

■土木部長

 地域内拠点の範囲を、市町村単位からさらに細かい旧市町村単位に狭めることは、入札参加者が減少し、競争性の低下を招く恐れがございます。

 このため、競争性の確保に十分留意したうえで、地域防災力の観点から、地域をよく知る建設業者を適切に評価できる仕組みについて検討してまいります。

 

●岡本県議

 競争性の確保が難しいということですけれども、例えば山間部にある地域がありますわね、それを海側の業者が工事をしなければならなくなったと、競争性の中でそういうふうになった場合にですね、何かあった場合に海側からすっと行きにくくなる、災害が起こった場合に、そういう対応に問題ができるという可能性もでてくるわけですから、ぜひ、その地域性には、もうちょっと細分化の重点を置いていただきたいんですれけども、いまからどう検討されるかわかりませんけれど、もう一回、細分化してほしい、地域の業者の声もありますけれど、それに対する土木部長の答弁を求めます。

 

■土木部長

 まさに地域にですね、重機を保有して、またそこでの雇用をしている、こういった地域の業者、こういった方をきちんと育成することが、やはりそこでの地域の防災力を高めることにつながるものと考えております。こうしたいわゆる重機を保有しているだとか、地域をよく知るという、こういう視点をですねきちんと評価をすれば、きちんと仕事を受注できる、こういった姿をめざしてまいりたいと考えております。

 

【下田港改修事業の推進】

●岡本県議

四万十市下田港改修事業について、質問いたします。

この質問は、四万十市下田地区のローカルな事ですけれども、切実な問題だとお聞きとりをいただきたいと思います。下田地区は、四万十川の河口に位置し、支流の竹島川と合流点にもなっています。その下田地区の昔からの課題の一つに地区の浸水問題があります。浸水はどの様にして起こるのか説明いたしますと、四万十川上流域での大雨で、河口が増水する事と海側での満潮が重なった場合に、支流の竹島川への逆流が起こって、竹島川上流からの増水と重なって下田地区が浸水するというものです。この問題を解決するために、昭和55年度から、地区住民からの切実な陳情に応えて、国交省と高知県の連携で総事業費122億2千万円の計画で、浸水対策事業が始まりました。事業の内容は、四万十川と竹島川が、河口で合流している部分を堤防で分離することによって、出口が無くなった下田港から、海に出る航路を別に開設するとのものです。その工事も、着工以来34年が経過してまだ完成していません。あまりに長くかかることから、地区の中では行政不信の声が上がっています。そこで、工事の進捗状況と、これまで長引いた原因は何なのか、土木部長にお聞きいたします。

 

■土木部長

 まず工事の進捗でございますけど、本年度末には防波堤の計画延長1,015mのうち975mが完成する予定でございます。進捗は、事業費ベースで言いますと約90.5パーセントとなります。

 次に、工事が長期間に及んでいる原因についてでございますが、まずもってこれが122億円強の事業規模が大変大きいことがございます。またそれ以外にですね、事業を開始した昭和55年から平成7年にかけての地方港湾改修費全体の予算を見てみますと、当時は30億円程度で推移しておりましたけれども、ここ数年間で最近をみますと4億円程度にまで減少してると、これは、公共事業全体の縮減傾向に連動した地方港湾改修費の大幅な縮減ということも要因と考えております。

 

●岡本県議

 事業費が大きいと言われましたけれども、90%までは進んでいるということで確認してよろしいですね。

この間には、工事の影響から様々な問題も起こっています。現在の港の入口に砂が堆積し、船が出港できなっています。それを取り除くための浚渫費用も毎年の様に投入されています。これまでの浚渫費用はどれだけかかったのか、これは二重の投資で、長引けば長引くほど浚渫費用が増えることになるのではないかと危惧しますけれど、木部長にお聞きします。

 

■土木部長

 これまでの航路機能の維持に費やした浚渫費用は、平成16年度から平成25年度の10年間で災害復旧事業費も含みまして約4億5千400万円となってございます。

 この航路の浚渫は、下田港を利用する船舶の安全な通行を確保するために行っているものでございまして、地域にとって必要不可欠と考えてございます。

 現在、国と連携しまして砂州を復元させる工事をすすめております。砂州が安定すれば、航路の浚渫費用が低減するものと考えております。

 

●岡本県議

122億、総事業費がかかってきて、90%が進んだと、それ以外に4億5千万の事業費が新たにかかり始めていると、まだまだ完成しなければ続くわけですけれども、そこで現在までの工事費の支出ですよね、先ほど90億といわれましたけれど、それと合わせて、完成までの事業費の総額、様々な状況の変化があろうと思いますけれども、その総額、それを達成するための工期ですね、それなど全体像をどう認識しているのか土木部長にお伺いいたします。

 

■土木部長

 下田港では、昭和55年に改修工事に着手してから平成25年度末までに110億6千万円の事業費を投じまして、防波堤の工事を進めてまいりました。

 工事完成までには、防波堤40m、航路護岸110mなどの構造物と航路掘削13万㎥などの整備が残ってございます。これに必要な事業費は、約11億6千万円でございます。

 また、新たな航路の開削によりまして、竹島川と海が直結することとなるため、上流のノリ養殖場への影響、あるいは竹島川の水質変化など自然環境への影響を考慮し、慎重に工事を進めていく必要がございます。

 このため、工期につきましては、現時点では明確になってございません。

 

●岡本県議

大変問題な答弁で驚きましたけれども、明確になってない、90%までは進んで明確になっていない、これは大変由々しき事実だと思います。

この事業は、最初にも申しましたけれども、着工以来34年経っているわけです。本当に長い期間経っていると思うんですけれど、地元からの早期完成の強い要望もあります。さらにこのまま放置すれば、先程申しましたように浚渫費用にどれだけかかるかわからないということですよね、余分な事業費もかかるわけですけれど、この際一気に予算を確保して、地元の声にこたえる必要があるのではないかと思うんですけれど、土木部長の決意をお聞きしたいんですが。

 

■土木部長

 下田港の改修や砂州の復元工事の完成には、予算の確保とともに、環境への配慮、あるいは関係者との調整が必要不可欠でございます。

 今後も引き続き、必要な予算の確保に努めるとともに、地元関係者や国などとしっかりと協議をし、早期完成に向けて取り組んでまいります。

 

●岡本県議

 早期という言葉には、様々な意味が含まれているんですけれど、どれを目途にするんでしょうか。地元の人たちは、行政不信が起こっている。34年間経って。工事以外の新たな余分な工事費がかかっているという点で、土木部長としてはその部分についての責任を感じないのでしょうか。その点についてお考えをお聞きします。

 

■土木部長

 先ほど申し上げましたけれど、ここの事業は非常に重要な事業でございますので、しっかりやる必要がございます。それも早期にやる必要があるということでございますが、何分いろんな自然環境の条件、あるいは関係者との調整、こういったものをしっかりこなしまして、全体の合意を進めたうえで工事を進捗していく、これがやはり事業をすすめるうえではやはり最も早くなると考えておりますので、しっかりと地元の方々と関係者と協議をしていきたいと申し上げたことでございます。

 

●岡本県議

 ぜひ、早期と言わずに何年を目途にというね、それが地元への説得力にもなろうと思うんですよね、行政不信を払拭することが必要だと思います。知事が土木部長の答弁を聞きながらうなづいていましたけれども、そのあたり知事の覚悟をお聞きしたいと思います。

 

■知事

 できる限り急いでいきたいと思いますが、先ほどですね土木部長が答弁申し上げておりますように、いろんな多方面の影響が考えられる事業でありますので、よくよく地元のみなさんとお話をさせていただきながら進めるということも、また他方で非常に大事だと思います。

 スピードとともに、その地元の皆さんとお話をするという丁寧さ、この両方が必要だと思いますから、両方を確保するようにしていきたいとそのように思います。

 

●岡本県議

 知事から、知事の大好きなスピード感を持ってという言葉がでましたので、ぜひスピード感を持って取り組んでいただきたいことをお願いして、次の質問に移ります。

 

【安倍政権が進める「農政改革」と高知県農業に及ぼす影響】

●岡本県議

安倍政権が進める「農政改革」と高知県農業に及ぼす影響について質問させていただきます。

ご存知のように高知県は面積の84パーセントが森林面積であることから、多くの中山間地を抱える県の一つです。したがって、この中山間地の活性化なくして高知県の活性化はないと言わなければなりません。その上に中山間地は国土の保全や水源の涵養、食料の供給など公益的役割に対しても期待されており、高知県にとっても非常に貴重な位置づけの地域です。この中山間地こそが高知県農業の象徴だといえます。

この高知県農業が、安倍政権が進める「農業改革」によってつぶされようといたしております。許しがたい事です。

安倍首相は1月22日スイス・ダボスで開かれた「世界経済フォーラム年次会議」で、「40年以上続いてきたコメの減反を廃止します。民間企業が障壁なく農業に参入し、作りたい作物を、需給の人為的コントロール抜きに作れる時代がやってきます」と演説しました。この演説から見えてくるものは、農業を企業のビジネスチャンスにすることから、中山間地域で長い間営まれてきた家族経営農業を否定する事になります。さらに生産調整やコメ政策、経営所得対策、農地政策、農協・農業委員会制度などを総見直しすることになり、高知県の農業経営が成り立たなくなってしまいます。高知県の農業を守り発展させなければならない立場に立つものとして、絶対に認めるわけにはまいりません。その思いで今回の安倍政権が進める「農政改革」の問題点について何点か質問します。

まず「コメの直接支払交付金」についてです。農政改革では現行10アール15,000円を来年度から7,500円に半減し、5年後に打ち切ることになります。これはこの制度を利用している全国百数十万戸の稲作農家が影響を受けるとともに、特に交付金への依存度の高く高知県も推進を図る集落営農組織への打撃は深刻で、最悪の担い手つぶしになります。そのことは、中山間地で主に行われている家族経営を締め出すことになりますが、その影響を農業振興部長はどのように考えているのか認識をお聞かせ下さい。

 

■農業振興部長

 今回の見直しによりまして、コメの直払単価は委員がおっしゃられたように、15,000円から7,500円と半額になります。見直し前、本県全体で4億4千万円の交付がありましたので、水田面積、これが変わらないとするならば2億2千万円、半額になります。この2億2千万円がいわゆるコメの直払による本県への影響になるということでございます。

 また一方、その交付金制度でございますけれど、これは販売農家の約3割の方が加入している、いわゆる一定の条件がある訳ですが、全国平均がだいたい6割でございます。それから見ますと影響を受ける農家の割合、これは、全国的に見れば低いとは思いますが、実際にその方々にとっては減収になろうというふうに考えているところでございます。

 その一方で、今回の見直しで新たに充実されたものが水田活用の直払いの中の飼料米でございます。飼料米は今まで一律8万円だったものが、10.5万円まで上限アップされました。このようなことを中心としました新規需要米の生産拡大を図って、これに対応していけるのかなというふうに思ったりしているところでございます。

 

●岡本県議

飼料米のことについて部長の方から申されましたけれど、対策として、資料米についてはまた後でありますので、その時に質問します。

次に、生産調整の廃止についてお聞きします。43年間に及ぶ生産調整について、私たち日本共産党は一貫して反対の立場をとってきました。理由は農業を衰退させ水田を維持できなくなる、その事は水源涵養や国土保全に影響を起こすというものです。同時に反面、価格の維持や転作補助金で所得を補てんする役割がありました。しかし、今回の生産調整廃止は、今後政府がコメの生産数量目標を示さず、農家が米価の動向などを判断して、主食用米を作るか、飼料用米や麦などを作るか判断せよといいます。これでは米価の下落と不安定化を避けられませんが、ここ事について、この影響を農業振興部長の見解を求めます。

 

■農業振興部長

 米価でございますが、今までも米価は下落傾向にございましたし、今後ともこのトレンドは続くと予測されます。先ほど申しましたように、飼料米への転換を促しつつ、生産者の所得の確保につなげたいと思っているところです。

 また5年後を目途に、需要に応じた生産環境を整えるということでございますけれども、その5年間の間にいろんなことが起こることも予想されますし、当然ながらそれに対して我々は、農業振興部としてと言いますか、県としては農業の生産者を守る必要がございます。その時々にタイムリーに国に提言申し上げて、その時々の皆さんの農家の生活を守っていく、もしくは農業の生産を促進していく、そのような施策を提言していきたいというふうに考えています。

 

●岡本県議

部長の話によると、何とかなるのではないかというような答弁の仕方でしょうか。現実は私はそうではないと判断しているんですけれども、もう一点、飼料用米について質問をさせていただきます。政府がですね、飼料用米について450万トンの需要が見込んでいるといわれていますけれど、しかし2014年予算の飼料用米に見込んでいる補助金に対する数量はたったの20数万トン程度です。さらに飼料用米の販路は、農家自らが見つけなければなりません。高知県では県内の畜産農家をどのように見つけだすことができるのか疑問です。また現在、日本の畜産農家が輸入している飼料のトウモロコシはキロたったの20円です。コメに換算すると30キロのコメが600円にしかならない訳です。補助金がなければ飼料米を生産する農家はいません。この飼料用米への転換が実際に出来るのか、農業振興部長のお考えをお聞きします。

 

■農業振興部長

 非常に視点を小さくして見ていけば、飼料用米への助成金が10アール当たり8万円。これであれば、主食用米の価格とほぼ同じになります。飼料用米への転換は一定進むと思います。

 そして、飼料用米の用途につきましては、かたや配合飼料でトウモロコシが相当トン数入っておりますが、これに対して飼料用米で置き換わっていく。そのような販路についても、国の方で、もしくは関係機関と一緒になってその流通先、販路先、これについては検討しているところでございます。

 

●岡本県議

飼料米の販路については、まだまだ検討しているというところで、確約というとこはない訳ですよね。そういうところに私は問題があると思います。その点については、また次の機会に議論をしていきたいと思います。

今回の農業改革の中でですね、国、政府の産業競争力会議の農業分科会でとりまとめ役をしたローソンの社長がおりますけれど、生産数量目標の配分中止など生産調整の廃止を提案したのは彼です。企業の観点でしか提案をしていないわけですよね。その資料には自給率の「じ」の字もない訳です。ここに問題があるというふうに私は思っているところです。なんとかなるのではないかというのが農業振興部長の答弁でしたけれども、私がいま指摘申し上げましたコメの直接支払公布金の問題、生産調整の廃止によって、高知県における耕作放棄地を益々増やす状況が想像されます。その影響を農業振興部長はどのようにお考えなのか、見解を求めます。

 

■農業振興部長

 今まで申しましたように、飼料用米への転換に努めてまいります。それでも離農される方の農地についてということでございますが、平場のように比較的条件の良いところでは、大規模稲作農家に農地を集約化させたい。このように考えています。

また、中山間地域では、集落営農組織に農地を集約化させるとともに、「こうち型集落営農」、これは現金収入を稼ぐために園芸品目を作るという集落営農ですが、そういうものを育成いたしまして、園芸品目などでその収入の確保につなげていきたい、そのように考えております。

 

●岡本県議

いま高知型集落営農のことが出ましたけれども、まだまだ今からですよね、いま国が進めている農業改革をおこなうとすれば、耕作地がですね、だんだん未耕作になっていくということが心配されております。米が安くなれば、どうしても今でさえ60キロが1万円くらいですよね、2万円くらいないと経営が成り立たないと言われています。それが補助金も、直接交付金もなくなるということで、農家の方は、今、部長が申されたのではなくて、悲観的になっています。もうこれ以上、米が下がれば、機械を新たに買うこともできないし、農業を続けていくことができなくなるというのが悲痛な思いです。その声に国がそういう政策を出しましたから、部長とやりあっても仕方ないわけですけども、国に対してしっかり物を言っていくということが今求められていると思います。

安倍政権が行おうとしていますこの政策の問題点、高知県農業への影響を申し上げましたけれども、私は影響は甚大であると思っています。この様な安倍政権の進める「農政改革」に対して、高知県の農業を守る立場にある知事の決意をお聞きしたいと思います。

 

■知事

先ほど農業振興部長がいろいろとご答弁をいたしました。我々としても農家の皆さま方のその不安感を感じているところでございます。これをしっかりと受け止めて政策を展開していかないといけませんし、また、国に対する政策提言もしていかないといけないだろうとそのように思っているところです。

県としてですね、先ほど部長も申し上げましたように、その飼料用米への転換、大規模稲作農家に農地を集約化、これはできるところということでございますが、一方で家族型の農業も大事にするということで、例えば、「こうち型集落営農」の推進とか、こういう取り組みはしっかりと進めていきながらもですね今回、国がおこなった政策転換の影響というものをしっかり見極めて国へ政策提言をしていかなければならないと思っています。

経営所得安定化対策の見直し、そして日本型直接支払制度の新設、こういう大きな変更をしていきながら、あわせて今後コメの生産調整の見直しという取り組みがこれから国で大きな変換が行われていくわけでありましてその影響、我々は先ほど言ったような形での取り組みしっかり進めていって、農家の皆さんへの色んな影響を小さくする、いやむしろいい方向に転換されるように努力をしていきながらも、その上においてもなお、影響を見極めながら言うべきことはしっかりと政策提言をしていきたいとそのように考えておるところです。

 

●岡本県議

もうひとつ農業問題について質問します。農地中間管理機構について質問します。

農地中間管理機構の設立も、安倍政権の進める「農政改革」の一つですけれども、農地中間管理機構は、各都道府県の農業公社を衣替えして設立し、農地売買を主な業務としてきた農地保有合理化法人は廃止されることから、高知県に直接関係があるので、別建てで今回質問をさせていただきます。

機構は平成24年度から開始した各市町村における「人・農地プラン」の作成プロセスなどにおいて、「信頼できる農地の中間的受け皿があると、人・農地問題の解決を進めやすくなる」との意見を踏まえて整備することとされました。  機構は、必要に応じて基盤整備を行うこととなっております。又、国おいては、事業実施に併せて、遊休農地解消に向けた手続きの簡素化や農地台帳の法定化なども行われることになっております。しかし、県も認めるように課題となるのは、農地の所有者に対して、貸付を促す対策が必要なことや、借りた農地の貸付先が見つからなくても賃料を払わなければならず、賃借の需要調整が必要で、調整が不調の場合には逆に耕作放棄地を増やすことになりかねません。農地中間管理機構の問題点についての認識、その対応について、農業振興部長にお聞きします。

 

■農業振興部長

新設されます農地中間管理機構につきまして、農地の出し手に対しましてインセンティブを措置することで、機構への農地の貸し出しを促します。具体的には、出し手となる農家に対しまして、一戸当たり30万~70万円を給付する個人タイプの集積協力金というものがございます。また、集落でまとまって機構に農地を貸し付けた場合に給付される10a当たり2万~3万6千円の地域タイプ、これも同じく地域協力金と言いますが、この2つなどがございます。

一方、機構が農地を借り受けるに当たって、機構に農地が滞留することを防ぐためには、農地の受け手があらわれないような非常に条件の悪いこのような農地は引き受けないということにしております。また、万一、農地の受け手が現れないような場合も2年程度で返却するような借り受けルールを検討しておるところでございます。

そして、農地の出し手と受け手のマッチング機能の強化につきましては、関係します市町村、そして農業委員会、JAなど農地と農家の状況を熟知いたしました地元関係機関と密接な連携が当然必要不可欠でございます。機構となります県農業公社にはですね、今の案では県内5つくらいのエリアに分けまして、そのエリア担当の職員をそれぞれ配置いたしまして、実際に座るのは公社でございますけれども、先ほど申し上げました市町村等との連携を密にいたしまして、出し手と受け手のマッチングに精力的に取り組んでまいりたいこのように考えています。

 

●岡本県議

農地中間管理機構について、答弁をいただきました。今からのことで、関係者からは様々な問題点の危惧がされていますので、しっかりと対応して。、高知県の農民に不利益のないように、部長も今期でおやめになられるので、しっかりと引き継いでいただきたいなぁということをお願い申し上げたいと思います。農業問題について質問をさせていただきました、問題点の指摘をさせていただきました。

本会議で池脇議員からの質問にもありましたけれども、今年、国際家族農業年です。国連の食糧農業機構ですが、ここがですね、家族経営の農家は収入を地元で消費し、農業、非農業の雇用を多く生み出すと指摘しています。国際年を定めた背景としては、家族経営の農業が、飢餓根絶や食料安全保障の促進、環境保護、天然資源の管理、地域の発展などで重要な役割を果たしているということを挙げています。本当に家族農業というのは大事だというふうに国も定めている訳です。

ですから私は今回の安倍政権がすすめる農業改革は家族農業をつぶすものだと危惧している訳ですから、この家族農業がですね、しっかりと守られるような農政をしていただくよう、知事にはしっかりと発信をしていただきたいということを申し上げておきます。

 

【野生鳥獣被害対策】

●岡本県議

最後に、野生鳥獣被害対策について質問します。先程、加藤議員からも質問されたところですけれども、私はもうちょっと小さいところで質問をさせていただきます。

中山間地域において喫緊の課題になっている一つが野生鳥獣被害です。

その対策が日々求められています。県としても市町村と連携しながら、毎年度防護柵、捕獲に対する報奨金、わな支給への補助金などの事業を行っているところです。そんな中今回政府が、抜本的な鳥獣捕獲強化対策を打ち出し来年度から野生鳥獣害対策の取り組みを本格化させる動きを作っています。対策の中身は、シカとイノシシの生息数を10年後までに半減させるなど、具体的な捕獲目標を盛り込んだものです。今後は目標達成に向け、都道府県や市町村段階で捕獲事業を強化するほか、狩猟者を含む人材の育成・確保、技術支援の拡充を上げています。捕獲事業を拡大するためには、報奨金の上乗せが必要と捕獲する現場関係者から要望が出されていますけれども、高知県としても国の抜本的な鳥獣捕獲強化対策をうけて、報奨金の上乗せをするべきではないかと思いますけれども、中山間対策運輸担当理事にお聞きをします。

 

■中山間対策運輸担当理事

 本県では、全国に先駆けまして、平成20年度から狩猟期におけますシカの捕獲報奨金制度を導入いたしました。その効果もありまして、捕獲数は年々増えてきております。

 捕獲報奨金でございますけれども、11月中旬から3月中旬までの狩猟期間におきましては、シカの捕獲に対して1頭当たり8,000円、県の報奨金としてお支払しております。それ以外の狩猟期以外の有害捕獲につきましては、市町村ら報奨金が支払われております。これは額はまちまちでございまして、シカの場合でしたら8,000円から20,000円、イノシシでしたら3,000円から20,000円、サルでしたら10,000円から30,000円というような状況になっております。

加えまして、今年度から国の緊急捕獲事業によりまして、有害捕獲期間につきましては、シカとイノシシに対して8,000円の上乗せがございます。そういった事業がございますので、いろいろご意見はあろうかと思いますけれども、有害鳥獣の捕獲に関しての奨励する報奨金の制度といたしましては現行で十分な水準にあるのではないかと考えているところでございます。

 

●岡本県議

現状について説明いただきました。私の住んでいます四万十市では、市が2,000円、県が8,000円、1万円ですね、これに国からの報奨金が8,000円加わるということで、18,000円です。これは24年度におこなわれましたね、24年度からという解釈でよろしいですね。

資料を見ますとですね、23年度から24年度にかけて、シカの駆除数が極端に増えています。これがこの影響だというふうに私は判断をしているんですけれど、13,000頭から15,000頭に増えています。2,400頭が増えています。ということは、この報奨金、これ重要な役割を果たすのではないかというふうに思うわけです。いまですね、四万十市の林業関係者にお聞きしますと、農地はある一定柵で守られて徐々に被害が少なくなってきているけれども、それ以外に、田村林業環境部長から答弁もあったところですけれども、林業への被害が増えていると、シカが植林に角を押しつけて、その植林に被害を及ぼしているとうことです。ですから、林業の被害が、中には入ってこなくなったわけですが、外は開けっ放しですから、そこへの被害が増えるわけですよね。そこで一番の対策は捕獲しかないといっています。関係者が。ですから捕獲の補助金ですよね、この奨励金を一気にあげる、このことが年間30,000頭の目標に対して15,000頭、半分の目標しか達成していませんけれども、一気に個体数を減らすことにつながるのではないかというふうに私は判断しておりますけれども、現在18,000円を25,000円にしたら、一気に捕獲数が増えるのではないかと思いますけれども、理事の答弁を求めます。

 

■中山間対策運輸担当理事

 委員のお話にございましたように、シカの個体数を短期間に減少させるために、県単独自事業で狩猟期間中における報奨金制度を設けております。このこと自体が全国と比べましてもかなり手厚い事業だと思っておりまして、他県では数県しかないようにお聞きしております。

 狩猟期間のこういって県の単独事業に加えて、市町村の報奨金、更に今回、国の3カ月の上乗せ事業もありますので、いろいろご意見はあろうかと思いますけれども、全体の水準としましては、捕獲を奨励していくという趣旨から言いますと、今の水準というのは適正な水準にあるのではないかと考えております。

 

●岡本県議

 思い切った手だてを打たないと、なかなか問題は解決していかないということを申し上げておきたいと思います。

次にジビエについて質問します。先程、紹介しました国の抜本的な鳥獣捕獲強化対策では、捕獲頭数の増加と並行して、ジビエの取り組みも強める方向になっています。国内でもジビエを産業振興と位置付けているケースが、年を追って増えています。高知県内でも食品加工するなど、様々な取り組みが試されていますが、先進地の取り組みと比べるとまだまだ弱いです。ジビエは捕獲してから精肉にするまでの時間的な制限、安全に精肉にするための施設、精肉の安定した販売の確保が課題になっていますが、県としてこの課題に積極的に取り組むべきだと思いますが、理事のお考えをお聞きかせください。

 

■中山間対策運輸担当理事

 委員のお話にございましたように、安全で安心な肉を提供していくことは非常に大事なことだと思っており、併せておいしく食べていだけるようなことも一体的に、ジビエの活用について積極的に機運を高めるような取り組みを進めていきたいと考えております。

 

●岡本県議

 一点、残しましたけれども、これで私の質問を終わります。ぜひですね、高知県の発展のために、私がいま指摘したことが積極的に前にすすむようにお願いしたい申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。