議会報告

  • 2014年06月27日
    6月県議会 米田稔県議の代表質問と答弁/④高等学校再編問題(2014.06.25)

【高等学校再編問題】

 

●米田県議

次に、高等学校再編問題について教育長に伺います。

  この間、南高校関係者を対象にした教育委員協議会が2回行われましたが、引き続き強い批判と反対の声が寄せられています。「署名をいっぱい集めたのに何も変わっていない。署名をしてくれた人に責任もてない。統合案だけでなく、第2案、第3案を絶対出して下さい」と涙ながらに母親が訴えていました。「あくまでたたき台」「丁寧な議論を」と言いながら、結局「統合ありき」「事実上の廃校ありき」のすすめかたは、到底認められるものではありません。 関係者の130項目を超える意見への、県の回答にもそのことが現れていると思います。いくつか紹介し、個々お聞きいたします。

  「適正な規模」について、再編振興アンケート結果は、7割の保護者・生徒が一学年2~5学級を希望している、との意見に、アンケートは中山間地域を中心にとった結果だからと、高知市中心部での結果とは違うかのように反論をしています。そうならば、改めて高知市、また周辺部を含めたアンケートを実施すべきではありませんか、お伺いします。

 

■教育長

 高知市とその周辺部を含めて、高等学校の適正規模に関するアンケートを実施すべきではないか、とのお尋ねがございました。

 議員ご指摘の県立高等学校再編振興に係るアンケートは、有識者等による県立高等学校再編振興検討委員会にお示しするために、県全体の高等学校の適正規模を判断する基礎資料として、平成23年9月に実施をいたしております。

 このアンケートの趣旨は、中山間地域が大部分を占める本県の状況を踏まえた高等学校の適正規模に関する生徒や保護者の意見を把握するということでございました。

 こういったアンケートの結果も参考にしながら、再編振興検討委員会からは、高等学校の適正規模を、1学年4~8学級という報告をいただいております。

 この報告を基に、今回の再編振興計画のたたき台では、中山間地域を含めた県全体の適正規模を

1学年4ないし8学級としたうえで、過疎化が著しく、近隣に他の高等学校がない学校は、地域の学びの機会を保障するため、特例として1学年1学級以上を最低規模として学校を維持することとしております。

 一方、高知市及びその周辺地域の中央部においては、検討委員会の報告書を踏まえ、さらに突っ込んだ検討を行った結果、生徒が切磋琢磨できる、より充実した教育環境を維持するために、1学年6学級以上の学校規模の維持に努めることと判断したものでございます。

 したがいまして、高知市とその周辺部を取り出して、あらためて、アンケートを実施する考えは、もっておりません。

 

●米田県議

  6学級以上でないと十分な習熟度別授業などができない、と回答していますが、13年2月の検討委員会報告では、習熟度別学習指導などを行うためには一学年4~8学級必要としているではありませんか。また高知市などは6学級以上とする明確な根拠はありません。4、5学級についても、必要なところは行政が責任もって条件整備を図るべきであり、その検討を行うべきではありませんか、お伺いします。

 

■教育長

 1学年当たり4ないし5学級になると見込まれる高校であっても、必要なところは行政が責任を持って条件整備を図るよう検討すべき、とのお尋ねがございました。

 今回お示しした、再編振興計画のたたき台では、生徒数が減少する中においても、一定の生徒数の確保が見込まれる高知市及びその周辺部地域の中央部においては、6学級規模の学校を維持することで、教員数の加配による習熟度授業の実施などにより、より良い教育環境を維持していくこととしております。

 学校規模による教育環境を比較いたしますと、1学年6学級規模の学校であれば、その学校規模に応じ教員が配置され、習熟度別授業は1学年7科目程度を実施することができますし、地理歴史科・公民科や理科などの専門科目をそれぞれの専門教員が指導できます。その結果、生徒の進路や課題に応じたきめ細かな学習支援が可能となります。また、生徒数が多い学校であれば、団体競技をはじめ、多くの部活動を行うことが可能となり、切磋琢磨しながら互いに成長できるようになりますし、部活動の数が増えることで、生徒の希望や適性に応じた選択の幅が広がります。

 一方、1学年4学級の学校となりますと、教員数が少なくなることから、習熟度別授業は1学年3科目程度しか実施できませんし、地理歴史科・公民科や理科などの専門科目にそれぞれの専門教員を配置することができなくなり、きめ細かな学習支援が行き届きにくくなります。また、部活動につきましても、多人数の団体競技は、例えば、野球やサッカーかどちらかしかできない状況となるなど、生徒が望む選択肢の幅を狭めていく状況になります。さらに、3学級規模の学校ともなれば、習熟度別授業は、1学年2科目以下の状況となるなど、生徒が充実した教育環境で学ぶための条件はさらに厳しくなってまいります。

 現在、高知市内には1学年7学級規模の学校が4校、6学級規模の学校が2校ありますが、このまま、何もせずにいますと、生徒数が減ることで、20年後には全てが5学級以下となり、1学年4学級や3学級の規模の学校も増えてまいります。このことによる教育環境への影響は大変厳しいものが予想されます。

 こうしたことから、統合により1学年6学級以上の学校規模を維持していくことが必要と判断したものであり、何卒ご理解を賜りたいと思います。

 一方で、今回のたたき台によっても、1学年6学級以上の学校規模を確保できない学校も多く、中には1学年1学級となるような学校もありますので、それらすべての学校で生徒たちが将来の目標に向かって挑戦できるような教育環境の充実にしっかりと取り組んでまいります。

 

●米田県議

  また部活動等は大事な教育活動の一環ではありますが、特別活動含めて学校規模が小さくなれば学校の活力が弱くなっていく、6学級以上ではより活気あふれる学校づくりが可能、と回答しています。

しかし部活動等のあり方をもって、しかも6学級を基準に、抽象的な学校の「活力」「活気」について云々できるものではありません。また先のアンケートは高校選択の要素に部活動と答えた人は1~2割となっており、あくまで高校教育の目的から見て副次的なものです。部活動を理由に一つの学校を廃校することは県民の納得を得られるものではないと考えますが、お聞きをいたします。

  こうした対応を見ると「統合案」に強く固持するばかりで、県民の思いを大事にして誠実に対応しているとは言えません。

 

■教育長

 部活動を理由に統合することは県民の納得を得られるものではない、とのお尋ねがありました。

 今回お示しした、たたき台では、生徒数が減少する中においても、一定の生徒数の確保が見込まれる高知市及び周辺部地域の中央部においては、6学級規模の学校を維持することで、教員数の加配による習熟度授業の実施などにより、より良い教育環境を維持していくこと、社会や経済の急速なグローバル化に伴う、幅広い教養や課題解決能力などを備えたグローバル人材を育成していくために、中高6年間の一貫した教育プログラムを導入し、より効果的な教育を実施すること、津波によって長期浸水が予想されている地域の高等学校は、最大限のリスクを想定し、必要な対策を講ずることにより、将来の子どもたちが安心安全に学ぶことができる環境を提供すること、を柱として統合案をお示しをしております。

 このことに加えまして、部活動につきましても、高校生にとって、お互いが切磋琢磨し、人間性や社会性を養ううえで、また、生徒の学習意欲の向上や責任感、連帯感を育むうえで大きな役割を果たしておりますので、学校の規模を判断するうえでの重要な一つの要素になるものと思います。

 

●米田県議

  2月県議会で議長に提出された1万5千名をこえる統合計画案の撤廃を求める陳情、そしてその後採択された高知市議会での請願と県知事、教育長に対する意見書決議は、民意そのものであり極めて重いものがあると考えますが、どう受け止めているのか改めてお伺いをいたします。

 

■教育長

 統合計画案の撤廃を求める県議会議長への陳情と高知市議会の意見書等は、極めて重いものがあると考えるが、どう受け止めているのか、とのお尋ねがございました。

 1万5千名を超える陳情への署名や高知市議会からの意見書等につきましては、たいへん重く受け止めております。

 そのため、教育委員会において丁寧な議論を重ねることが必要であると考え、本年5月から教育委員協議会において、統合案の対象となっている学校関係者の皆様や高知県小中学校長会、高知県小中学校PTA連合会、高知県高等学校PTA連合会の方々などに、より具体的で分かりやすい資料を示しながら丁寧な説明と意見交換を重ねているところでございます。

 高知南中学校・高等学校や高知西高等学校の関係者との意見交換の場では、ご出席いただいた皆様からは、南中・高等学校関係者を中心に「統合にはあくまで反対である」とのご意見がある一方で、西高校の関係者からは「統合後の学校の姿として、グローバル教育への取り組みは是非進めてほしい」という声もいただいております。また、検討をすすめる上での具体的なこととして、「別の統合の仕方を検討してほしい」「高知南中高の生徒へのケアを充実させてほしい」というご意見もいただいております。

 こうしたご意見につきましては、しっかりと受け止めさせていただいたうえで、今後の検討に生かしてまいります。

 

●米田県議

  また、西高校関係者の協議会では、まずは南中高の生徒や保護者に納得してもらえる案を出してほしい、それからの話だ、とPTA会長が発言をされています。全く道理のある話であり、先に南中高の納得がなければ西校との話も進まないということでもあります。この発言をどう受け止めているのか、「たたき台」に対する第2案、3案を誠実に提示すべきではありませんか、今後の対応も合わせてお聞きをいたします。

 

■教育長

 高知南中学校・高等学校関係者の納得を得ることや「たたき台」に対する別案を示すことについて、お尋ねがございました。

 今回のたたき台につきましては、高知南中学校・高等学校の保護者の皆様などから、「なぜ、高知市内で統合が必要なのか」、「なぜ南中高なのか」というご意見をいただいておりましたので、より具体的で分かりやすい資料を示しながら丁寧な説明と意見交換を重ねているところでございます。

 1回目の協議の際には、「30人学級にすれば今のまま維持できるのではないか」など134項目に及ぶご意見やご質問をいただき、これにお答えするために、先日、2回目の協議の場を持たせていただいたところでございます。

 また、高知南中学校・高等学校との2回目の場では、「統合をするとすれば、高知南と高知西の生徒がいっしょに学ぶような統合案はだせないのか」などのご意見をいただきました。

 現在、そういったご意見も踏まえ、高知南中学校・高等学校と高知西高等学校の関係者のどちらからも、ご理解いただけるような、現在のたたき台で示している案に代わる統合の仕方がないのか、検討中であり、できるだけ早く、教育委員協議会でお示しをし、ご意見をいただくことを考えております。

 

 

【第二問】

●米田県議

 たたき台に代わる案をというふうに言われましたけれど、それはどういう統合をするかという案を深めるという案もあるかと思いますが、合わせて現在の統合案ではないという案も含めた案も指されていると思うのですが、そういう理解でよいのか。

 それとですね、一番やっぱり問題なのは、高知市とその周辺の子どもたちが多く通う高知市とその周辺の大改編ですよね、としたときに、やはり高知市の中学校長会、たぶん一度お話を聞いたとおもうのですが、私は厳しい意見があったというふうに伺っていますけど、ここのご意見もやっぱりよく聞くべきではないかというふうに改めて思いますが、その後どういう対応をされてきたのか、どうするのか、いうことですね。

 もうひとつは、結局統合ありき、しかも、見切り発車ありきで、絶対に話を中断すべきではないですし、丁寧な議論というのは、やっぱり意見交換、お互いがやっぱり歩み寄っていく、そういう話し合いを粘り強くするということですから、期限を持って、あるいは入試のこととか色々持ち出して決して見切り発車をするべきでないし、そういう思いはあると思いますので伺っておきたいと思います。

 

■教育長

 統合案の仕方を検討するということの中身についてのご質問がございました。私、申しました趣旨はですね、南中高等学校、西高等学校の統合そのものをということではございません。統合の仕方について今現在の考え方といたしましては、それぞれを入学した学校でそれぞれ卒業をしていいだくということを基本にした統合の仕方を考えております。そうなりますと、南中高等学校ではだんだんと最終的に統合するまでに生徒の数が減っていくということについてのご心配される声もございましたので、そういったことについてですね、別のやり方がないのか、そういうことを検討したいということでございます。

 それから高知市の中学校長会からご心配されているご意見があるということでございますけれども、そういったご意見については、我々もお聞きしております。内容といたしましては、ひとつは県立の南中学校にですね、いま進学している子どもが、高知の南部に多いわけでございますが、そういった現在多く、高知市の南部地域から県立中学校に進学している子どもたちの行き先の問題ですとか、あるいは西高校のほうに県立高校が併設された場合に、西高校周辺の中学校において、これまで地元の中学校に入学する生徒がそういった新しい県立中学校に入学することで、地元の中学校に問題が起こるのではないかと、そういったご心配があるとお聞きしています。県立中学校については、そもそも広域から入学していただくということが基本でございますので、そういった基本はふまえつつ、地元の高知市内の中学校につきましては、高知市の教育委員会と連携しながら教育内容の充実を図ってまいりたいというふうに考えています。こういったことについては、高知市の教育長さんとですね、定期的な連絡会も開催しておりますので、そういった中でも議論させていただきたいというふうに思っております。

 また、高知市の中学校長会にはですわね、会に県の教育委員会からも出席するような機会もございますので、そういったご説明もさせていただきたいと考えております。

 それから再編の検討について、期限を設けることなく粘り強くということでございますが、三石議員にお答えしましたように、一定、そのいまの中学生が進路を決定するような時期の問題ですとか、あるいはいたずらに伸ばせないような事情もございますが、とはいいながら、丁寧に議論していくということは大変大事だと思いますので、見切り発車することなく、丁寧な議論はしていきたいというふうに考えております。

 

●米田県議

 再編問題では決してゴールや出口を決めずにですね、真摯に話し合いをぜひしていただきたいと思います。高知市とその周辺も初めての重大な問題ですので、十分時間をかけて議論してください。