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- 2014年07月07日
- 議会(質問・討論)
- 6月県議会 米田稔県議の代表質問と答弁/③大学の学費と奨学金問題(2014.06.25)
【大学の学費と奨学金問題】
●米田県議
大学の学費と奨学金問題について、知事にお伺いします。
異常に高い日本の学費の無償化と、給付制奨学金の一日も早い創設を強く願い質問をするものです。
13年の国立大学法人の授業料は、53万5,800円、入学金は28万2千円に達し、初年度納付金は81万7,800円、さらに私立大学の学費は、11年の平均データで授業料85万7千円余と、入学金、施設管理費含めて初年度納付金は131万4千円余にのぼります。高学費の実態は、とりわけ経済的に貧しい家庭の出身者はもちろん、全ての国民、子どもたちから「教育の機会均等」を奪うものとなっています。さらに進学、進路を保障すべき奨学金制度は、利用者の内7割が有利子の貸与となっており、まさに金融事業化しています。いま不安定雇用が広がり、雇用破壊が進むもとで「奨学金が返せない」という深刻な社会問題を引き起こしています。大学卒業と同時に数百万円規模の借金を抱えての社会人スタートが、希望ある青年と日本の未来をも奪うものとなっているのであります。
この間、日本民主青年同盟高知県委員会が、学費、奨学金などについて県下の学生実態アンケートを実施し207人から回答が寄せられています。これがその結果のまとめですが、これに基づいて質問したいと思います。
アンケート結果をみると、奨学金は予約などを含めると63%、6割を超えて利用している実態が浮き彫りになっています。実家からの仕送りの「ある」人が62%で月3万円が一番多く、「仕送りなし」が23%です。また、学生の約7割が「親に経済的な負担をかけている」ことを気遣いながら、奨学金がないと生活できない、アルバイトしないと生活できないと、と訴えるとともに、バイトのために学習時間を削ったり、授業を遅刻・欠席するなど学業への直接の影響も現れています。そして、学費を安く、教材費を無料に、返済不要の奨学金を作って、アルバイトの時給を上げて、など経済的負担の軽減を強く求めていることが明らかになっています。
直接の聞き取り調査も実施しています。
奨学金月3万円借りている2年生の女性。授業料は親が払い、3万円の奨学金と月3~4万円のアルバイト収入で生活。二人の弟も大学で家は大変。バイトは週3回、終わって家に帰ると、疲れて寝てしまい課題もできなくなる。不安なことは本当に奨学金を返せるのかと言うこと。怖くて総額を数えたことはない。借金なので、できるなら借りたくなかったが、家族と相談の結果借りた。でも奨学金がないと生きていけない。でも将来が不安と、話しています。
無利子奨学金を月5万円借りている4年生の女性。奨学金を借りないと大学に行けなかった。奨学金とアルバイトで生活。服は買う前に悩んだら買わない。マイボトルのお茶を持参し、自炊は毎日。もしお金があれば大学院で勉強もしたかった。将来のことを考えても結婚どころではない。自分たちも生活できないのに子どもがほしいとは思わない。病気になって奨学金が返せなくなるのが一番不安だ。奨学金で儲けるのはおかしいし、国がもっと教育にお金をかけるべきだと思う。自己責任はおかしい。だから少子化になると思う、と訴えています。
こうした学生の生活実態や学費・奨学金への願いをどのように受け止められるのか、また直接学生に会い話を聞く場をもってはどうかと思いますが、知事の御所見を伺います。
■知事
次に、大学生の厳しい生活実態や学費・奨学金への願いをどのように受け止めるのか、また、直接学生から話を聞く場をもってはどうかとのお尋ねがございました。
我が国の大学の授業料は、諸外国と比較しても高い水準にありますし、近年の経済状況を背景に、家庭における高等教育段階での教育費負担は増加をしております。
こうした中、国におきましては、高い志を持って大学への進学を望む学生が、経済的な理由で進学を断念することのないよう授業料減免や奨学金に係る予算を拡大するなど学生への経済的支援を充実させております。
また、県におきましても、大学改革に合わせて県立大学の授業料減免枠を撤廃したり、文化学部夜間主コースの授業料を半額にするなど、学びの機会の保障、拡大に向けた取り組みを進めております。
家庭の経済状況にかかわらず、意欲あるすべての子どもや若者たちが安心して教育を受けることのできる環境を整えることは非常に重要であり、我が国の将来の社会、経済、文化の発展を支える人材育成という観点からは、こうした学びを社会全体で支えることが必要であると考えております。
また、これまでも医師や福祉職を目指している、或いは防災活動に取り組んでいる県内の大学生や専門学校生の皆さんと意見交換を行っております。今後、そういった場で学生生活の実態などについても率直な意見交換を行っていきたいと考えております。
●米田県議
1979年の国会批准以来、長い間留保されていた「国際人権A規約」第13条2(b)および(c)が国民的世論の中で、2012年9月11日留保が撤回されました。これは中等教育、そして高等教育の「特に、無償教育の漸進的な導入」を規定しており、拘束されることになったのであります。いまOECD加盟34カ国中17カ国が大学授業料無償化となり、無償化でない残り17カ国のうち16カ国に給付制奨学金があります。しかし学費無償も給付制奨学金もないのは日本だけであり、まさに教育後進国なのであります。いま世界の流れは、学費は無償、奨学金は給付が当たり前となっています。
知事は、留保撤回をどう受け止めているのか、また高知県の実態をふまえ、「無償教育の漸進的な導入」を国に積極的に提言すべきと考えますが、合わせてお伺いします。
■知事
次に、国において、国際人権A規約の中の「無償教育の漸進的な導入」に関する規定の留保を撤回したことについての大学教育に関する受け止めと、国に対する働きかけについてお尋ねがございました。
国におきましては、国際人権A規約の留保撤回以降、大学の授業料減免や無利子の奨学金に係る予算の拡充、所得連動返還型奨学金制度の導入など高等教育段階での経済的支援の充実が図られております。
また、私も委員として参加している教育再生実行会議においても、来月とりまとめられる予定の第5次提言では、国及び大学は、授業料減免や所得連動返還型奨学金等の支援策を一層推進するといった内容を盛り込むよう議論が進められているなど、国においても改善の方向で取組が進められていま
す。
将来を担う子どもたちの学びを支えていくということや、夢や志を持つ子どもたちの学ぶ機会をしっかりと保障するということは極めて重要なことでございます。
私は、日本が今後も成長し、安全で安心して暮らせる社会を維持していくためには、教育への投資は決して惜しんではならないと思います。少子化対策への投資とともに未来に対する投資と位置付け、国においても新たな財源も確保しながら積極的に対応していただくことが重要であります。
教育再生実行会議の場におきましても、私はこの点を強く強調してまいりました。今後も、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして政府への政策提言のその他の場などでも申し上げていきたいと考えております。
●米田県議
次に、高知県立大学、高知工科大学に関して文化生活部長にお伺いします。
まずそれぞれの、日本学生支援機構の第1種、第2種奨学金の貸与の推移、また貸与にならなかった申込者数とその主な理由についてお聞きします。
■文化生活部長
高知県立大学と高知工科大学における日本学生支援機構の奨学金の貸与状況についてのお尋ねがございました。
無利子であります第一種奨学金につきましては、平成21年度の学部生で、高知県立大学が230件、高知工科大学が221件でございましたが、昨年度にはそれぞれ、301件、343件と両大学とも増加している状況でございます。
有利子でございます第二種奨学金につきましては、毎年増減はありますが、この5年間は、高知県立大学が、350件から400件程度、高知工科大学が500件から700件程度で推移をしております。
また、申し込みをしたにもかかわらず不採用となった件数につきましては、第一種、第二種合わせで、両大学合計で毎年10件程度あり、その理由としては、収入基準や学力基準を満たしていなかったり、大学ごとの推薦枠を超過しているためでございます。なお、ここ数年、奨学金事業予算は大きく増加しており、昨年度は大学ごとの推薦枠の超過による不採用はございませんでした。
●米田県議
授業料免除制度については、一定の改善を図られているとのことですが、その内容とそれぞれの実施状況の推移について伺います。
■文化生活部長
両大学の授業料免除制度についての見直し内容と実施状況の推移についてお尋ねがございました。
高知県立大学は、平成23年度まで、授業料総収入の約4%を授業料免除の上限枠としておりましたが、平成24年度より要件を満たす全ての学生に対して免除を行うこととし、その免除枠を撤廃をしております。なお、平成21年度44件であった免除件数は、昨年度は79件と増加をしております。
一方、高知工科大学は、私立大学の時から、学資負担者の死亡や失職など、家計の急変者に対して免除を行ってきておりましたが、平成22年度からは、他の国公立大学の免除要件と同様、経済的理由により授業料の納付が困難であり、学業成績が優秀な者を対象とするよう制度を見直しております。平成21年度には1件であったものが、平成22年度には22件となり、昨年度は38件とこちらも大きく増加をしております。
●米田県議
先に指摘をしました「無償教育の漸進的な導入」との立場に立脚したさらに抜本的な改善が必要だと考えます。学力基準の緩和・撤廃、日本学生支援機構等の奨学金貸与を前提にすることの見直しなどを検討すべきと思いますが、御所見を伺います。
■文化生活部長
両大学の授業料減免の要件であります学力基準の緩和や撤廃、また奨学金貸与を前提とすることの見直しなどを検討すべきではないか、とのお尋ねがございました。
ほとんどの子どもたちが進学する義務教育に近い高等学校段階における減免制度は、学びの保障という観点から経済的要件のみで対象とすることが望まれます。一方で、自ら進路として選択し、就学する大学段階での授業料減免制度は、意欲と能力のある学生が安心して修学できる環境を整備する
ための制度でございまして、学びへのインセンティブを高める観点も求められております。さらに、経済的支援の制度として、大学においては、まずは貸与型の支援である奨学金を活用していただきたいと考えております。
このため、大学段階においては、学力基準や奨学金の貸与を受けているという要件は一定必要であると考えておりますが、現在、国において学生の経済的支援のあり方について検討を行っておりますので、今後の国の動向を注視していきたいとこのように考えております。
【第二問】
●米田県議
実態について、知事も再生実行会議議の一員でありますし、次世代のリーダーとしても頑張っておられるわけで、さらにそういう生の声を、実態を反映をするということで、そういう問題でも学生と会いましょうというふうに答えられたのか、ちょっとよう聞き取りませんでしたが、それをお聞きしたいのと。確かに、奨学金問題が社会問題にもなってまして、色んな改善も国も検討せざるを得ない所にきています。しかし、まったく不十分な中身なんですね。もともと有利子制度というのはなかった訳でして、奨学金に、導入された時に、将来的には撤廃するということまで言ってたんですよね、それが今、全奨学金を受ける方の7割が有利子になってますから、少々の改善ではやはり、当初の思いがかなえれない訳で、そういう点で本当に未来の投資ということからしたときに抜本的な改善が求められますので、ぜひ、学生のリアルな意見も聞いていただきたいし、そういう声を届けることについて再度、お聞きしたいと思います。
■知事
学生と会うのか会わないのかという話でありますが、先生ご指摘のみなさんと会うということを特定した訳でなくて、幅広く色んな方々のご意見を聞いてみたいですねと、そういうご意見を申し上げたつもりでございましたけれど、先生から再度そういうふうにお話もいただきましたし、特に私、後者の方のお話にちょっと興味があります。ですから、ぜひお話を聞かせていただければとそのように思います。