議会報告

  • 2014年07月07日
    6月県議会 米田稔県議の代表質問と答弁/⑦障害時の通学支援(2014.06.25)

【障害児の通学支援】

 

●米田県議

障害児の通学支援について教育長に伺います。

  介護タクシーの利用などについて、昨年12月議会に続いて実状に見合ういっそうの改善を求めて質問をします。

  この間、県教委が国に積極的に提言、協議する中で、保護者等が急病等の体調不良により介護タクシーを利用した場合、年間4回、2往復ですが、全額就学奨励費の対象になりました。しかし、年間2往復では現状に合いませんし、障害児の通学保障には不十分です。安心して学校へ送り出せるよう回数を増やすこと急がれます。さらなる改善を国に働きかけると共に、この間の国との協議の中で、文科省は「突発的な事情により介護タクシーを利用した場合の承認や、介護タクシーを利用した際に、ガソリン代を支給するか、介護タクシー代を支給するかは県の判断」という見解をしめし、県はガソリン代支給の新たな制度をスタートをさせていますが、県として実態に見合う対応に踏み出すことを強く求めるものですが、ご所見を伺います。

 

■教育長

介護タクシー利用のさらなる改善について、お尋ねがございました。

通学時におけるタクシー利用については、昨年度まで、やむを得ない理由があり、事前申請があったものについてのみ、就学奨励費の補助対象としてまいりました。

本年度から、保護者の通学支援を一層充実させるために、国とも協議したうえで、保護者の急病といった突発的な理由がある場合について、事後申請であっても、年間4回を超えない範囲でタクシー代全額を就学奨励費の補助対象とするとともに、その他の突発的な理由で、タクシーを利用した場合についても、自家用車のガソリン代相当分を補助対象とすることといたしました。  

このことは、国の就学奨励費が原則としている「最も経済的な方法」という主旨を踏まえながら、一歩踏み込んだ対応を行ったものでございます。

本制度は、この4月から運用を開始したばかりですが、保護者から制度の新設を歓迎する声もいただいており、現在、2名の児童生徒が、のべ5回、利用している状況です。

今後も活用状況を把握し、検証も行いながら、より実態に応じた運用に努めてまいります。

 

●米田県議

  次に、障害者移動支援事業、ガイドヘルパーの派遣についてであります。

  12月議会で紹介したK君は、視力障害もある重度重複障害児で通学の車中でも舌が下がり窒息状態になるのを防いだり、ずれる体を元に戻すなど送迎するお母さんは必死の運転です。重度であっても、仲間の中で学び、成長するK君をみたい、そのためにも一日でも多く通学をさせたい、との親の思いです。しかしお母さんが病気になれば、介護タクシーを仮に利用できても学校に通わせることはできません。どうしても介助者が必要なのであります。

  東京都千代田区では、義務教育や養護学校高等部への通学に保護者が付き添えないとき、現在月30時間という制限はありますがガイドヘルパーが同行してくれます。年間45人が移動支援サービスを登録しており、うち26人の子どもたちが通学に利用しています。確かに区の実施要綱も「通年かつ長期間にわたるもの」は対象外との規定ですが、紹介事例は実態もそれに該当しないし、できるだけ広く住民の移動を、社会参加を保障しようという立場を貫かれていました。こうした臨時的、突発的とも言える通学への移動支援サービスを実施する自治体は多数広がっています。

地域福祉部長にお聞きいたしますが、県下の状況はどうか、実施がすすむように自治体への支援・指導を強めていただくよう求めるものですが、御所見を伺います。

 

■地域福祉部長

障害児が通学する際の支援に関して、県内市町村の移動支援事業の実施状況と、当該事業が進むように、市町村への支援、指導を強めるべきではないか、とのお尋ねがありました。

障害児の通学の際における移動支援につきましては、障害の種別や程度などにより、障害者総合支援法に基づく自立支援給付の対象とはならない場合、市町村が行う地域生活支援事業として実施することが可能となっています。

しかしながら、国が定める基準では、通学などの通年かつ長期にわたる外出は、やむを得ない場合を除き、対象外とされているところです。

本県では、昨年度において、市町村が移動支援事業を活用した障害児の通学に際しての支援を行った事例はなかったものの、これまでに、保護者の疾病を理由に、ごく短期間での支援を行った取組みの事例はございました。

また、他県などにおきましては、やむを得ない理由により、保護者が付き添いのできないケースにおいて、移動支援事業の取り組みの中で、上限を設けることにより、ガイドヘルパーの同行による通学支援を認めている事例などがあることをお聞きいたしております。

県といたしましても、他県の取組事例などを参考にいたしまして、市町村への積極的な情報提供を行ってまいりますとともに、地域ニーズに応じた適切できめ細やかな対応が可能となるよう、県や市町村の教育委員会との調整も図りながら、指導・助言に努めてまいりたいと考えております。

 

●米田県議

  K君は介護タクシーと共に、ガイドヘルパーの同行がないと学校に通うことはできません。教育行政の核心である、通学を支援し教育を受ける権利を保障するために、市町村の移動支援事業が整備されるまでの間、緊急対応をするべきだと考えますが、教育長の見解を伺います。

 

■教育長

通学を支援するための介護タクシーの利用と、ガイドヘルパーの同行に関してのお尋ねがございました。

タクシーの利用については、障害が非常に重い児童生徒の保護者の方にとって、通学などにかかる肉体的、精神的な負担も考慮し、身体障害者手帳1種1級を所持されている児童生徒の保護者に限定して、特に突発的な理由がなくても、通学に自家用車に代えてタクシーを利用した場合、かかる経費の一部について、今年度から県独自に補助することとしております。

一方、ガイドヘルパーの同行につきましては、児童生徒の状況や保護者の事情によって、必要と思われるケースがあることは、県教育委員会としても認識いたしておりますが、国の就学奨励費の補助対象となっておらず、他の都道府県教育委員会においても、関連する事業を実施していないのが現状です。

一方で、県外のいくつかの市区町村では、福祉的サービスとして、通学支援を含むガイドヘルパーの派遣を事業化しているところもありますので、福祉施策との整合性も考慮しながら、今後の対応について研究したいと考えております。

 

●米田是県議

  最後に就学奨励費の支給手続きについて伺います。

  ある障害児はお母さんと一緒に路線バスに乗って通学をしています。しかし月々の定期代に悲鳴を上げています。多くのご家庭が共働きもままならないなどきびしい経済状況にあり、一日も早い奨励費の支給が求められています。収入・所得証明書提出の手続きなどがあり、支給が9月頃と伺っています。いま奨学金や高校授業料無償化の手続きでも改善に努力されており、就学奨励費についても早急な支給へと改善を図るべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。

 

■教育長

就学奨励費について、早急な支給へと改善を図るべきではないか、とのお尋ねがありました。

就学奨励費の支給にあたっては、毎年度、保護者の経済状況を基に決定を行わなければなりません。

この手続きには、課税証明書の提出が必要となり、この証明書は、例年6月以降に各市町村から発行されることになっております。その後、すべての保護者から関係書類が提出され就学奨励費の支給が開始されるのは、9月頃となるのが現状でございます。

しかしながら、学校や年度によっては、全家庭から7月下旬までに関係書類が速やかに提出され、8月初旬に就学奨励費が支給されるようなケースもございます。

今後とも、学校から、すべての保護者に対して、速やかに関係書類を提出していただくよう、手引書などを作成し、お知らせをしていくとともに、県教育委員会といたしましても、学校と連携し、なお一層速やかな就学奨励費の支給ができるよう、事務手続きの見直しも図ってまいります。

 

【第二問】

 

●米田県議

 就学奨励費なんですけど、確かに事務的にはご苦労も多いんですけれども、私は、仕組みを、システムを、考え方、変えるべきだと思うんですよ。この4月から始まった高校の修学支援金も、4月、5月、6月分、どうするかということは、前々年度の収入所得証明でやっています。それから、県営住宅の家賃も前々年度でこの4月からの家賃を決定している訳です。それから高校奨学金も予約申請ということで、5月に決定して6月に支給するという、そういうこうそれぞれの主旨にふさわしい改善、システムを取っていますので、ぜひ、そのことも検討していただきたいというように思います。

 

■教育長

 就学奨励費につきまして、支給の時期が遅いということについて、システムの変更をするべきではないかというお話でございます。いまの制度そのものは国の制度にのっとって、前年度の課税証明を6月にということが前提となっております。そういった中でもできるだけ早く支給できるような、県教育委員会としての工夫はやっていきたいと思いますが、そもそものシステムがですね、もう少し改善できないかということについては、我々としても勉強させていただいて、必要であれば、国のほうにも申し入れをしていきたいと思います。