議会報告

  • 2015年07月10日
    2015年6月議会 「安全保障法制関連二法案」の撤回を求める意見書への賛成討論 中根佐知県議(2015.07.10)

 私は、日本共産党を代表し、ただいま提案説明のあった議発第5号、「安全保障法制関連二法案」の撤回を求める意見書案に賛成の立場で討論を行います。

政府は国会の会期を延長したものの、いまだに審議が十分尽くされたとはいえない状況にもかかわらず、来週にも衆議院での強行採決を狙っています。法案の内容は、戦後の憲法に基づいた日本の国の姿勢を大きく変えようとする重大なもので、憲法違反が明々白々、どんなに審議を重ねても「合憲」にはなりません。

この4月、日本の国会に提出もしていない時期に、安倍首相はアメリカを訪問し、アメリカ議会で「夏までには関連2法案を通過させる」ことを表明しました。日本の国会審議を無視し、国民主権を踏みにじったこの行為は、アメリカの強い要求に何がなんでもこたえていくという安倍政権の異常な強行姿勢を象徴したできごとです。

政府は、「国際環境の変化により、日本の平和と安全のために外国から武力攻撃を受けることを防ぐ力、いわゆる抑止力を高めるために必要な法案」だと説明をしています。「日米同盟を強化しないでどうやって日本の平和と安全を維持できるのか」「アメリカと共に抑止力を高めるために」といいますが、アメリカは1983年のグレナダ侵略、86年のリビア爆撃、89年のパナマ侵略を始め数多くの先制攻撃と侵略を繰り返してきました。日本政府はこれに全部「賛成」「支持」「理解」を示してきました。

イラク戦争では、アメリカ自身が「イラクによる大量破壊兵器の保有については事実認識に誤りがあった」と今では認めています。しかし、日本政府はその反省も検証もしていません。イラク戦争は、数十万とも百万ともいわれるイラク人の命を奪い、その傷跡はいまだにイラクや中東地域で癒えないままです。米軍による戦争と、分断統治政策に基づく占領は内戦ともいえる混乱を作り出し、その中で誕生し勢力を拡大したのが今、世界を震撼させている過激組織IS、イスラム国です。イラク戦争がなければISは存在しなかったというのは中東問題の専門家の間ではほぼ常識で、山崎拓元自民党幹事長も「米国にISの製造責任があるが、小泉首相を一番に、我々にも連帯責任がある。米国の誤りは、そのまま我々の誤り」と6月12日の日本記者クラブで述べています。米軍は、昨年8月以降、ISを掃討するため、イラクとシリアで空爆作戦を実施しています。しかし、思うような効果を上げないどころか、ISがさらなる残虐性と求心力を増す事態をもたらしています。「戦争でテロはなくせない」ということは、今や国際社会の当たり前の認識です。

これまで中立の立場で尊敬されてきた日本の立場が、アメリカと一体化することでテロの脅威にさらされ、国際活動に支障をきたす状況が起こることは、多くの人が指摘をしているところです。

安倍首相は、昨年9月にアラブ各国首脳と会談した際、米軍のIS空爆について、「国際秩序全体の脅威であるISが弱体化し、壊滅につながることを期待する」と表明しており、ここでもアメリカへの追随姿勢が鮮明になりました。無法な戦争に反省も検証もない政府が集団的自衛権の名でアメリカの要求を受け入れて武器を持つことは、抑止力にはならないし、なんの道理も見いだすことはできません。

国民は、各新聞社の世論調査に、どの結果をとっても半数以上の人が憲法違反の意思を表し、今国会での成立に反対の人は、いずれも約6割に上ります。 法案を「合憲だ」と政権が強弁すればするほど、安倍政権の強硬な前のめりの姿勢が国民の信頼を損ねています。

また、憲法学者や法律家、科学者、文化人、戦争体験者、女性たちなどなど、立場は違うけれど、法案の持つ「武力を行使する危険な本質」をみてとった人たちが、次々と声を上げて法案の撤回・廃止を求めています。国民の多数が憲法に違反すると考える法案は、今国会での強行が許されないのはもちろんのこと、撤回する以外にはありません。こと憲法に関わる問題で、国民の反対世論を無視し、与党が数の力で法案を押し通すことは、あってはならないことです。

 憲法制定以来、政府は「憲法第9条下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべき」として、集団的自衛権の行使や他国軍の武力行使との一体化を憲法違反としてきました。そして自衛隊は、個別的自衛権の範囲に限ってぎりぎり合憲であるとの解釈が、戦後70年たった現在の到達点です。今回の2つの法案は、平和憲法下の日本の基本政策を転換し、戦争を放棄した平和国家日本のあり方を、一つの内閣の憲法解釈をもって根本から変えるものです。国家権力の濫用を抑える立憲主義に反し、民主主義を根底から覆すものとして到底許すことはできません。

 この間の国会論戦の中で、法案の具体的内容・運用が、少しずつ明らかになってきました。法案は、集団的自衛権行使のもと、戦闘地域への派兵を認め、銃弾が飛び交う「戦闘現場」になっても、「捜索・救助」活動であれば活動を継続するとしています。日本共産党の宮本徹国会議員は、捜索・救助活動は、米軍ではパイロットを再び戦闘できるように戦列に復帰させ士気を維持するのに不可欠な任務であるとしていることを指摘し、「政府は人道的な活動というが、米軍は捜索・救助活動を軍事作戦に位置づけている。その認識はあるのか」とただし、中谷防衛大臣は、軍事的手段の一つとして認めました。軍事作戦として、戦闘現場で活動を継続することは大きな危険が伴うとともに、「戦闘現場」で自衛隊に軍事作戦を遂行させる法案は、憲法が禁止した「武力の行使」そのもので、憲法違反が明確ではありませんか。まさに戦争法案そのものです。

また、自衛隊が行うアメリカの艦船の防護で、平時から日米の統合部隊化が進み、米軍の相手国との武力紛争の事態が進展したときに、日本政府が集団的自衛権を行使する「存立危機事態」と判断すれば、武力行使を行うことになり、自衛隊のイージス艦は「切れ目なく」米艦防護を行う、まさに日米統合部隊が作られることになるなど、具体的に見れば見るほど、戦争できる体制づくりであり、憲法違反そのものです。

戦後70年の節目にあたり、日本国憲法の先進的な意義こそを真摯にかみしめ、複雑な国際情勢への対応は現行憲法の基本原理である恒久平和主義のもと、これからも粘り強く、積極的に非軍事、非暴力の平和外交を貫くべきです。

 集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を速やかに撤回し、平和安全法制二法案の制定を断念することを強く求め、議発第5号、「安全保障法制関連二法案」の撤回を求める意見書案への賛成討論といたします。