議会報告

  • 2015年07月15日
    2015年2月議会 予算委員会での中根佐知県議の質問と答弁(2015.03.06)

【質問項目】

①   臨時教員の雇用条件の改善

②   大学生等への給付制奨学金制度の創設

③   男女共同参画プランの推進

 

 

【臨時教員の雇用条件の改善】

●中根県議

最初に、臨時教員の雇用条件の改善問題について、教育長に質問をさせていただきます。

教育現場で、子供の成長を助けて学力をつける教員の仕事に、臨時はないという言葉をずっと私たちは使ってきました。貧困と格差が広がって、社会的な背景を背負って学校に来る子供たちを、しっかり受けとめる教員の仕事というのは多岐にわたっていて、今、本当に大変だと思います。そんな中で病休に入らざるを得ない、そんな先生たちも続出をしています。そんな中ですからこそ、そこに配置される臨時教員の皆さんは難しい局面に向かうことも少なくありません。

それだけではなくて、さらに4月当初から1年間、本来正規教員が配置されるべき定員籍の先生が非正規の臨時教員で補われるということが常態化していると。そして、産休や育休や病休の代替え教員が配置できないという状況が起こっています。先生のいない、配置ができない、そんな教室が生まれていること、私たちはこの間も何度か取り上げてきましたけれども、やっぱり看過することはできない、見過ごすことはできないということで、子供たちへの影響、それから学校運営上もやっぱり大事な、重大な局面に差しかかっている、こう思っています。臨時教員の雇用条件の改善について、具体的にお聞きをしていきます。

まず、教育長のほうに、定数内臨時教員の数、そして臨時教員の未配置、先生のいない教室の発生数、それから学校教育に与える影響についてどのように考えているか、お聞かせください。

 

■教育長

平成26年度の小中学校での臨時教員数については163名、高等学校では139名、特別支援学校では103名で、合計405名となっておりますが、子供たちの教育を充実させていくためには、実践的な研修プログラムに基づき、授業力や教科専門力を磨いた正規雇用の教員の割合をふやして必要な人材を安定的に確保していくことが重要だというふうに考えております。

また、同じく平成26年度病休等取得教員の代替臨時教員の配置が1日以上おくれた案件につきましては、公立小中学校及び高等学校、特別支援学校で141件で、そのうち1カ月以上臨時教員の配置が遅くなった案件については56件ということになっております。配置されるまでの期間は、学級担任や教科担任がいないといったようなことが生じないように、加配教員などの学級担任以外の教員ですとか管理職員が、授業や学校内の分掌業務を、かわって受け持つ等の対応をしていただいているところでございます。

 

●中根県議

本当に大変な事態が長年続いているというふうに言わざるを得ないと思います。

数のとり方というのはいろいろありまして、ちょっと前後しますけれども、平成26年当初、4月の時点で臨時教員の登録者数は、小・中・高・特別支援学校合わせまして948人という数字が出ています。複数登録者、小学校、中学校、どちらも登録をしているという方がいまして、実質866人でした。そのうち着任数は、この4月時点で776人、その中で定数内で着任をしている方が423人、病休の代替えとして行かれていた方が38人、産休・育休代替えが140人、研修代替えが138人、非常勤講師として138人など、4月当初臨時についていない登録者は、この数だけで差し引きしますと90人となっています。それ以外に、この中から支援員さんとなる方もいらっしゃいますから、本当に4月時点で臨時教員として登録するけれども、ほとんどの方が着任をするということになっています。

今、やっぱり問題だと思うのは、当初から臨時教員が不足してくるという構図が見えているということ、それから毎年400人前後の定数内臨時教員が1年間の配置についている実態、このことについてやっぱりしっかりと正していくべきだというふうに思うんですね。

また、時を転じまして、平成26年度ですけれど、9月1日現在を見てみますと、教員の義務で376人、県立で338人、計714人が臨時についています。ほかに非常勤として181人が着任をしていまして、その合計数895人、全体の12%。こういう方たちが、臨時教員として高知県の教育を支えているということになります。

本当に、こうした非正規の働き方が、高知県の教育を支えることに毎年毎年四苦八苦して、教育委員会も、その先生方を配置するというのは大変だと思いますけれども、この構図そのものを、やっぱり採用の形として変えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

それからもう一つ、先ほどの話の中で、先生のいない教室の実態ですけれども、昨年の4月から1月31日まで141件というお話をしていただきました。平成25年度の状況を見ますと、2週間以上1カ月未満で先生がいなかったという実態が27件、1カ月以上先生がいなかったという実態が42件、計69件報告をされています。このように、まさに教育に穴があいてしまうという状況を解決する方策を、実は採用要件等含めてつくっていかなければならないというふうに思います。

臨時教員をこれほど定数内に配置してしまうと、臨時教員とは言えません。不測の事態で対応できなくなっているのが現実なので、昨年2月議会で、吉良県議が中澤前教育長に対してこういう質問をいたしました。その質問に答えて中澤前教育長は、「できる限り多くの優秀な人材を確保する取り組みを行うことで臨時教員の縮減に努めてまいります」と答弁されています。

その後、田村教育長が就任をされておりますけれども、この改善策を具体的にどんなふうにお考えでしょうか。学校の現状を見ると、新たな教員確保の対策がどうしても必要だと考えますので、再度、この問題を質問させていただいています。定数の教員数は、臨時的雇用ではなくて正規雇用に大きく切りかえるのが本来の姿だと考えますが、認識をお聞きします。

 

■教育長

前教育長も申しましたように、私も考えておりますけれども、正規の教員をふやしていくということは必要だと思っています。

それに向けて、来年度の採用に向けては、相当、今年度の採用よりも多い形の採用を予定しているところでございますけれども、一方で、大量の退職の時代を今後迎えるようになります。今の60歳の公立学校教員が179名ですけれども、これが2年後になりますと300名とかというような数になってまいります。そういう状態が続きます。ということになると相当な数、新採を採らなければならないということになるわけですけれども、一方で、一定の資質能力を備えた教員を採用する必要もあるというようなところで、我々としても苦労しているところということがございます。できるだけ、そういう中でも多く採用していきたいというふうには考えております。

一方で、再任用ですね、これからできるだけそういったところで対応できない部分については、再任用に退職した先生方を活用するということを積極的に行わせていただきたいということで、正規の教員を何とかより多く確保していきたいというふうに考えております。

 

●中根県議

ありがとうございます。大量退職の問題、それから今子供たちが減ってきているとは言われていますけれども、しかし文部科学省は先日も、少人数教育の方向にベクトルをという、少人数教育の方向が出てきています。そして知事も教育長も、ベクトルは少人数教育の方向に合わせなければというお答えも、この本会議場でもされているところです。

そういうことを考えますと、大量退職、それから再任用の先生方に頼るだけでは、本当に高知の教育を成り立たせることはできないという構図は明らかです。以前に、中澤前教育長がおっしゃったときに、臨時の形はたくさんあって、そして高校などの先生方も本当に大変な状況で、時間講師を何回も、幾つも重ねている。3校かけ持って、そして英語を教えている先生や、国語を教えている先生や、芸術教科はもちろんですけれども、時間講師ですから、近隣の学校に2校行って、そしてさらに定時制の高校に1校行くというふう

な形などもたくさんありますけれども、いつまでもこんな形で、高知の教育の底上げができるのかということも、率直に言わせていただきたいと思います。

臨時教員は、現在引っ越しの手当なども全くなくて、求められる配置について、とにかく求められるところに飛び込んでいくということで高知の教育を支えています。そうなりますと、本当に臨時教員を経て、高知の地で子供たちに教育をしっかりしたいんだという心構えの人たちが、こんな大変な中で頑張っているというふうに言わざるを得ません。その比率が余りにも高過ぎると。その比率を、再任用に今後頼っていきますというお答えは、とても現実的でないとも思います。

再任用の先生方は60歳を超えているわけでして、例えば小学校などでは、体育、そしてさまざまな子供たちと、本当にまみれ合って教育をしていく上で、いつまでも体力が保たれるというふうにお考えなのか。

再任用に頼るのは全てだめだというわけではありませんけれども、そういう考え方ではなくて、中澤前教育長が、さまざまな点であるけれども、採用そのもののあり方、それから学校のあり方、正規教員を配置できないといったケースがあること、生徒数が激減する中で、正規教員の配置については慎重な対応をとらざるを得ないと。しかしながら、今後、高等学校でも退職教員が大幅に見込まれる状況を見据え、計画的な教員採用を行っていきますと。臨時教員の縮減に取り組んでいきますということをはっきり言われているわけです。このことを大量退職と再任用に置きかえるということでは、とても高知の教育の質を上げることはできないというふうに思います。その点でもう一度、教育長、答弁をお願いします。

 

■教育長

先ほど、再任用のことを申し上げたのは、大量退職ということで、できるだけそれは新採で補っていきたいというのが原則でございます。ただ、最近まで60名とか50名くらいしか採用できておりませんでした。来年は相当ふやすように、例えば小学校のことを今言いましたけれども、そういったような形でしか採用できておりませんでしたけれども、ふやそうとしています。ふやそうとしておりますが、一遍に今200人足らずのところを300人を超えるような退職者が出てくるとなると、新採の資質能力をきちんと確保した上でそれだけの人数を確保するのがなかなか難しい面もあるので、その分を再任用で何とか補うことができないかというような趣旨で申し上げたということでございます。

 

●中根県議

ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

それで、一つ問題なのは、定数内の臨時の先生、臨時の配置がこんなに、400人前後例年いるということをしっかり頭に置いていただいて、定数内の臨時教員を縮減していくという方向をぜひ貫いていただきたいと思うんですが、もう一つそこのところを答弁いただけますか。

 

■教育長

方向性としては、ぜひそういうふうにしたいというふうには思っております。

 

●中根県議

ありがとうございました。こんな中で、たくさんの臨時教員が頑張っているんですが、先生方をしっかりと配置して、そして頑張っていただくために、私たちはさまざまな提案をこの間も重ねてきました。そんな中で、昨年9月予算委員会で吉良議員が質問をした、平成26年7月4日付の総務省通知「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」以降、全国では臨時教員の待遇が随分と改善をされています。今時点で高知県は全国一、臨時教職員の雇用条件が悪い県となりました。

吉良質問でも指摘をしましたけれど、年間雇用期間が4月2日から3月24日までとなっている現状。これでは3月25日から31日の7日間の空白が生じるために、3月分の国民年金と国保に、本人が切りかえて手続をしなければならないこと。4月1日に着任をしていないがために、扶養手当や住居手当や通勤手当、この3つが4月は支給されていないこと。まだまだ改善の余地があるというふうに、これは教育長が答弁をされている中身です。

先日これに対しまして、2月23日に教育長から各市町村教育長に通知が出されまして、それによると、平成27年度末からは空白があっても厚生年金と健康保険を継続扱いにすると。そして平成28年度からは、4月1日からの雇用が可能となるようなシステム改修経費を27年度予算案に計上しているということが書かれていまして、1年を経過しなければなりませんけれども、大きな変化だと喜んでいます。

ただ、27年度について雇用期間の変更案を見ますと、小中学校を4月2日から3月26日にする、県立学校を4月2日から3月30日とするというふうにされています。小中学校と県立学校の間に5日間の差がありまして、なぜこんな違いがあるのか、お伺いします。

 

■教育長

一言で申しますと、小中学校と県立学校で業務の違いがあるということでございます。小中学校におきましては、指導要録の作成ですとか学級編制作業などの業務に、終業日以降2日間が必要であろうと。それから県立学校におきましては、本年度からの高校入試制度の改正に伴う入試関連事務などの業務に従事するために6日間が必要であろうということで、そこの差があるということでございます。

 

●中根県議

教員の仕事というのは、もう御存じのとおり、子供たちがいる場だけが仕事ではありません。事務作業、そして研究、さまざまなことが含まれていまして、そしてプラス事後処理、1年間の総まとめをするのが年度末です。定数内教員の枠での配置をしながら、なぜ忙しい年度末の業務を臨時教員だけ区切って短くするのか、特に小中学校ですけれども。そしてその上で、県立と小中学校との期間をわざわざ変えることが待遇改善と言えるのか、このあたりが大変疑問です。せっかくの改善策を打ち出されたのに、歯切れの悪さを感じます。

全国では、既にほとんどの県が義務と県立校の分け隔てをせずに、3月30日ないし31日までの雇用期間となっているんです。今後、こうした全国の流れをしっかり見ていただいて、雇用期間について改善されていく考えはないのかどうか、お聞きします。

 

■教育長

先ほど申しましたように、業務の必要性によって雇用期間を考えさせていただいたということでございますんで、今後も業務の内容を見ながら、検討はさせていただきたいと

いうふうに思っております。

 

●中根県議

例えば、中学校などでも、臨時の先生でもクラブ活動などを行っています。それから、さまざまな研究校を受け持っている学校もたくさんあります。26日まで2日間延びたから、指導要録全てを書けたからというだけでは、仕事が終わらない実態がありまして、これまでも皆さん、サービスで学校に出向いているという実態があるんです。ですから、せっかく改善をされるのであれば、現場の実態をしっかり見ていただいて、定数内として配置をした責任を教育委員会として果たしていただきたい。その点を要望しておきたいと思います。

次に、加えてですけれども、既に全国の34都道府県では、臨時教員の夏季一時金、夏のボーナスの算定が、前年度の12月2日から3月末の着任分をつなぎまして、半年分支払われています。高知県では、実際に働いているにもかかわらず、前年度分は支払われないできました。また、年休の繰り越し実施をしている県も、全国では15都道府県に上っています。こうした状況を見ていただいて、年休の繰り越し、夏季一時金の算定についても改善を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 

■教育長

臨時教員につきましては、実際に授業を受け持つといったことなど、正規教員に近い勤務実態にございますので、通常の事務の臨時職員とは違って、正規教員に準じた給与体系、服務体系にするなどの対応をしております。

ただ一方で、臨時教員につきましては、3月に一回退職をして、4月に新たに任用するという、そもそも1年以内とした年度での任用でございますので、1年を超えて連続任用される正規教員と全く同じということにはならないというふうに考えております。

したがいまして、臨時教員の年休について繰り越しを認めたり、夏季の期末勤勉手当について新たに任用する前の雇用期間を含めて算定するということにはならないのではないかというふうに考えております。なお、臨時教員の処遇につきましては、教育力の向上ですとか円滑な学校運営の観点などから、今後とも検討はしてまいりたいというふうに考えております。

 

●中根県議

せっかく健康保険も年金もつなぐようになるんですよね。なるのであれば、それに付随をして賃金の問題もやっぱり考えるべきだというふうに思います。

今、1年間の雇用ですからというふうにおっしゃいましたけれど、全国の流れはもう既に違っているんです。34県というのは、大変大きな都道府県の数だと思います。よその県でできていて高知県だけ待遇改善がなかなか進まないということになりますと、これだけ臨時教員が少ない、正規採用はするけれども全てをまだ改善するには至らない、そんな状況の中で、いつまでも先生のいない空白の教室をつくることになるではありませんか。そうした点でも、臨時教員の待遇改善というのは大変求められていることですし、そのことで、これまで以上に臨時教員の方たちにもパワーを出していただいて子供たちの教育に当たっていただけると、そういう条件をつくることができるというふうに思います。

ぜひ全国の状況を教育長も調査していただいて、全国並みに近づけるということをお願いしたいと思うんですが、その点で、全国的な状況をもう一度しっかり見ていただくという点はいかがでしょうか。

 

■教育長

全国の状況については、私もそういった県が多いということは承知をしておりますが、本県につきましては、例えば6カ月以上臨時教員で勤務をすれば、退職手当として10万円以上のものもあるとかといったようなこともございますので、それとあわせて期末勤勉手当を通算するというようなことには、なかなか今の時点で考えるのは難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

 

●中根県議

退職金も出しているところもあります。出していてもつなげて、それとは別の形で一時金問題は考えていくというのが流れですから、そこのところをもう一度精査をしていただいて、ぜひ前進をさせていただくように要請したいと思います。

 

 

【大学生等への給付制奨学金の創設】

●中根県議

それでは、次の問題に移ります。知事にお伺いしたいと思うんですが、大学生などへの給付制の奨学金を創設してもらいたいというお話をさせていただきます。

今、貧困と格差の広がりが全国でも本当に問題になりまして、知事も貧困の再生産をさせないんだという決意も、たびたびお話になっていらっしゃいます。中でも異常に高い教育費、この問題は家計を圧迫して、高等教育を受けたくても受けられない、貧困の連鎖を生み出す状況になっていまして、本当に新たな対応が求められるようになっています。

高知県では、就学援助を受ける家庭が2011年度には、小学校で22.4%、中学校で27.6%。高校の無償化を廃止して所得制限を導入しましたので、それに関連した高等学校等就学支援金制度の利用率ですけれど、高知県は86.4%、全国平均の81.9%を上回っています。家計の大変さが見てとれるんですけれども、これに大学や専門学校に進学するというふうになりますと、本当に金額の桁が違いますから、家計へのしわ寄せが大き過ぎて大変になっています。頑張って高校推薦で専門学校に入学したけれど、入学金と前期学費を年度内に納金しなければならなくて、必死で借りられる制度を調べる、こういう母子家庭や、入学はしても奨学金とアルバイトで、親の仕送りに頼れない大学生の実態。これは、昨年6月の本会議でも米田質問で取り上げました。この中身は、県内の大学生207人にアンケートをとりまして、その中で奨学金を利用している人たちは63%、そして家庭の仕送りの平均は3万円でした。そして、全く仕送りがない家庭も23%ありました。こういうことを見てみましたら、そういう状況で必死で学生さんたちは頑張るんですけれども、卒業した途端に数百万円規模の奨学金という借金を背負うというのが今の状態です。

そういう重圧を感じながら、社会に一歩を踏み出している奨学生の状況、これなどを見てみますと、本当にますますこの状況がふえているということですので、知事は大学など大変重い教育費の負担、この実態をどんなふうに認識していらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

 

■知事

御指摘にありました数字にもあらわれておりますように、この高等教育段階における教育費の負担というものは、実感を伴って本当に重くなってきているということなのかなと、そのように思っております。

そういう中において、県としても、例えば高知県立大学、高知工科大学において、授業料全額免除の対象者、これを拡大していくでありますとか、全国で唯一なんですけれども、専修学校の授業料減免に対する補助を行うとか、そういう対応をとってきているところであります。いずれにしても、厳しい状況でありますので対応を考えていく必要があると、そのように考えています。

 

●中根県議

ありがとうございました。本当にそのとおりで、今、全国の自治体でこうしたことに対応しようという動きが強まっています。ちょっと二、三、例をお示ししたいと思うんですが、香川県では3年前から、意欲や能力が高いにもかかわらず経済的な理由で大学などに進学することが困難な方を支援するために、香川県大学生等奨学金という貸し付けを行っています。貸付額というのは、3万円または国公立に自宅外から通う方が5万1,000円、国公立に自宅から通う方が4万5,000円から選ぶことができます。それから大学院の博士課程などは、8万円か12万2,000円、どちらかから選ぶことができるというふうになっています。

さまざまな奨学金がありますけれど、香川の場合は無利子の上に、奨学生が県内外の大学などを卒業して香川県に帰ってきて居住をして県内で就業している場合には奨学金の一部、今は1万5,000円なんですが、来年度からは2万5,000円と、1万円上乗せをするというふうにお聞きしました。1カ月当たり1万5,000円掛ける貸付月数を免除するという制度になっています。これは大変喜ばれています。

そしてまた、これだけでなくて、要件の中に多子世帯への配慮が盛り込まれていまして、安心して子供が育てられる環境づくりに資するために、子育て家庭の経済的負担の軽減が図られるよう、対象になるのは奨学金を申し込む本人を含めて、就学中、就学前の子供が3人以上いる世帯と、これを優遇する仕組みも設けています。3人以上いなければ受けられないということではないですけれども、要件の中にこういう子育て多子世帯、それから帰ってきて香川県内で仕事をする人、結局、税金を払うことができるようになる人、こういう人には奨学金を一部給付制にしていくという考え方です。

また、長野県では、大学などの入学一時金に相当する給付型奨学金を創設しています。県内の大学や短大に進学する人を対象にしていまして、上限は30万円。30万円というのは、国立大学などの入学金に相当する金額となっています。30人程度に給付するということになっていまして、他の奨学金制度との併用も可能になっています。経済的な理由で進学を諦めている学生を支援しようという取り組みは、この長野県でも大変喜ばれているというふうに聞いています。

また、山口県ですけれども、ここはちょっと違いまして、高度な専門知識を持つ産業人材を確保するために、県内就職につなげる奨学金返還補助制度を、国の制度に先駆けて、新たにこの新年度に創設するということです。県内製造業に一定期間働くと、奨学金の返還額の全額または一部を補助すると。山口だけでなくて、全国の理科系大学生や大学院生、薬学部生など20人を対象にしています。

こんなふうに給付制の対象はさまざまですけれども、具体的な自治体の施策、これをどんなふうに知事はお感じになるか。高知県も教育に係る費用が大変な実態は例外ではないですから、もう御答弁のとおり、ぜひとも具体的に意欲ある子供たちや保護者を励ます給付制奨学金を創設してもらいたいと、このことが少子化対策、子育て支援にもつながるというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。

 

■知事

そういう給付金とかいうものを考えていくに当たって、幾つかポイントがあると思うんですけれども、1つは、やはり本当に将来のある子供たちの将来の夢をかなえるような、そういう仕組みにしていこう、それが大事だろうと、それが1つ。もう一つは、やっぱり膨大な量、いろんな方に対応していかないといけなくなるだろうと、そういうことを考える必要もあるだろうと。

そういうことを考えましたとき、やっぱり制度設計というのは、本当の意味で子供たちに夢を持たせるような制度設計にしていかないといけない。ここはよく考えないといけないだろうと思っておりますし、そしてもう一つが、やはり膨大な人数にも対応できるようなものにしていく必要がある。そういうことを考えたとき、ぜひ我々県のみならず民活型でいろんな対応ができないものだろうかと、そういうことも今思っているところです。

今、国において、自治体とそれぞれ民間事業者の皆さん方と一緒になってやっていくような、そういう仕組みって考えられないだろうかと、そういう議論が始まっておると聞いていまして、我々もこれは非常にいい方向ではないかなと、そのように思っています。その制度設計の議論というのを我々もよくよく見ていきながら、我々高知県として、どういう対応ができるのかということについて真剣に考えていきたいなと、そのように考えているところです。

 

●中根県議

ぜひ、そういう方向でよろしくお願いします。

本当にどこを対象にするのかという点では、今政府などもこれから奨励をしようとしている、企業からも資金を出してもらって、そして自治体からも出して給付制をやっていこうと。そして、この職種にかかわって仕事につくことができたら、それは給付制にしましょうというふうな方向も随分出されているように見受けられますけれども、高知県などがそれに該当するかどうか、その点も大変心配なところです。

やっぱりこれだけ全体の所得が低まっているときに、実態としては、ひとり親家庭のお宅などは大学に行かせることを断念せざるを得ない。そして行ったとしても、アルバイトと奨学金を重ねて、私も何人か、体を壊すほど働き続け、学業を続け、そしてやっと卒業したけれども今メンタルで休業している、その中で、返していく奨学金が大変という方も知っています。こう考えますと、本当に所得の制限も含めまして、給付型の奨学金をつくっていくことが、高知県でしっかり働いてくれる、そして高知県を支えてくれる社会人をつくっていくためには、大事なポイントになるというふうに思いますので、ぜひ少子化、子育て施策、関連させて検討していただきたいと要請したいと思います。

 

 

【男女共同参画プランの推進】

●中根県議

次に移ります。男女共同参画プランの推進の立場でお伺いいたします。この男女共同参画というのは本当に大変な仕事でして、意識を変え、場を広げ、環境を整えるということで取り組んでいます。

第3次男女共同参画プランの最終年度が平成27年度になりまして、第4次に向かって、もう既にプランをどうするかという審議が始まっていますけれども、まず第3次プランの進捗状況を文化生活部長に伺います。そして中でも、私は気になっているんですが、市町村のプランづくりが100%になかなかならないという状況がありまして、そこにどう対応していくお考えなのか、この点も含めましてお願いいたします。

 

■文化生活部長

こうち男女共同参画プランにつきましては、努力目標として定めました13項目のうち、12項目におきまして、プランの策定時から進捗が見られるなど、全体としては一定の成果が上がってきているのかなと、このように認識をしております。

しかし、先ほど委員もおっしゃったように、市町村における計画づくりというのは、半数の市町村にとどまっているということがございます。このことにつきましては、やはり忙しい市町村業務の中で、プランづくりの優先度を高めていただくと、これが一番欠かせないポイントだろうと、私は考えております。

このため、個別に市町村を訪問いたしまして、女性の活躍に関する新しい法案も国のほうから出されております。そういった流れ、そういった動きを説明しながら、人口減少に打ち勝っていくため、またはこれからの地域の活性化の観点からも、女性の活躍促進のベースとなりますこの市町村の計画づくりの重要性を御理解いただいて、ぜひつくっていただきたいと働きかけを強めていきたいと、このように考えておるところでございます。

 

●中根県議

本当に大変な事業ですけれども、多様性を認める、ともに働きやすい環境をつくる、こういう点には、今、職員の皆さんも本当に大変な働き方もされているようにも見受けられますけれども、大きなエネルギーが必要で、ワーク・ライフ・バランスをどうやって整えていくか、高知県内にこういう考え方を広げていくということは本当に大変だと思います。そんな中で、ぜひ意識的にお願いをしたいと思いますし、今文化生活部長がおっしゃいましたけれど、各市町村にこの男女共同参画プランを広げていくためには、担当課の努力が大変大事だというふうに思います。

この間、こうち男女共同参画ポレールなどの民間団体に、そうした計画づくりや、それから市町村のいろんな策定のときに知恵を出していく、そういう業務を委託されていましたけれど、この業務は来年度から委託しないというふうに聞いています。そうした点では、ますます男女共同参画にかかわる担当課のお仕事が大変になると思うんですけれども、そうした点で、よそに委託をしたりしないで県の担当課がしっかりとこの部分を押さえて、策定を担っていくという点では、決意はおありでしょうか。その点、お聞かせください。

 

■文化生活部長

市町村の計画づくりにつきましては、今委員がおっしゃったように、策定の実務的な指針、市町村に示していくべき指針が昨年度でき上がりました。今度は、それを各市町村で実践していただくということでございますので、課を挙げて、いやそれ以上に部を挙げて取り組んでまいりたいと、このように考えております。

 

●中根県議

ぜひよろしくお願いいたします。だんだん時間がなくなってきまして、知事に県の女性職員の幹部登用についての認識と決意をお聞かせいただきたいと思います。

 

■知事

私も日々仕事をしておりまして、本当に優秀で頑張っていただいている女性職員がたくさんいらっしゃいます。まさに、こういう適材適所という観点からも、こういう皆さんにぜひぜひ主要なポストについていただきたいと思いますし、またもう一つ、そもそも非常に多様な価値観を県政の中に反映させていくという観点からも、女性職員の皆さんの登用ということは大事だと、そのように思っています。

そういう中で、ただ、本当に幹部職員になっていくというのは大変なことでありまして、いろいろとしっかりとキャリアパスを積んでいくということも大事であります。いきなり庁議メンバーに、女性だからという理由だけで登用するなどということは、それは当然できないわけでありまして、しっかりキャリアパスを積んでいっていただくということが、また大事なんだろうと思っています。

そういう意味において、今現在、チーフ、班長級以上のポスト職に占める女性職員の割合でありますけれども、平成19年度はたかだか10.7%でした。しかし、平成26年度は19.4%ということでございまして、約倍増いたしております。こういうことで将来に向けて、少し時間はかかるかもしれませんが、しっかりと土壌は涵養されてきておると、そのように考えております。

 

●中根県議

だんだんに広がっていると。2020年までに政府は30%登用と言っていますけれども、これからが大変なんじゃないかなというふうに思います。裾野を広げながら、ぜひ皆さんがワーク・ライフ・バランスも含めまして、働きやすい職場の中で、さまざまな社会貢献もできるような、そんな状況を県庁としてもつくっていっていただきたいというふうに思います。

それと、県職員の男性の育児休業の問題や、それから教育長に学校の先生方の育児休業の取得率、これなどお聞きしたいと思っていましたが、なかなか進んでいないという実態だというふうに思います。

教育にかかわって、子育てにかかわって、仕事にまた生かせるという中身はたくさんありまして、教育に携わる方たちが育児休業をとると、男性教員がとるということは大変意義があるというふうに、私たちは常々思っています。こうした点もぜひ見ていただいて、男女共同参画プラン推進のために、今後ともお力添えをよろしくお願いして、時間が足りなくなりましたね、申しわけありませんが、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。