議会報告

【質問項目】

1、  知事の政治姿勢/戦争立法

2、  知事の政治姿勢/伊方原発再稼働

3、  知事の政治姿勢/少子化対策・人口ビジョン

4、  地域医療構想

5、  子ども子育て支援新制度

6、  高齢者の貧困

7、  介護保険

8、  住宅政策

 

 

【知事の政治姿勢/戦争立法】

●米田県議

まず憲法違反の安保関連法、戦争法について知事にお伺いいたします。

安倍自公政権は、19日、安保法制、戦争法の採決を強行しました。

私たちは、空前の規模で広がった国民の運動と6割を超す「今国会での成立に反対」という国民の世論に背いて、憲法違反の戦争法を強行した安倍自公政権に対して、満身の怒りを込めて抗議をします。

 国会審議をつうじて、その危険な内容が次々とあきらかになりました。

 米軍に対する海外での戦争支援、兵站(へいたん)活動は戦争法案の核心部分です。法案は、従来の海外派兵法にあった「非戦闘地域」という歯止めをはずし、自衛隊がこれまで「戦闘地域」とされてきた場所まで行って、弾薬の補給、武器の輸送などといった兵站を行う仕組みです。

 衆院の論戦で、日本共産党の「『戦闘地域』まで行けば相手から攻撃される」との追及に、安倍首相は「(攻撃される)可能性がないと申し上げたことはない」「自己保存型の武器使用はある」と答弁し、まさに戦闘になることが鮮明になりました。

 陸上自衛隊のイラク派兵に関する内部文書、「イラク復興支援活動行動史」は、派遣部隊が敵に連続射撃を加えて相手の行動を阻止する「制圧射撃」訓練を行い、隊員には「危ないと思ったら撃て」との指導を徹底していたことを明かにしています。まさに、戦闘寸前だったのです。自衛隊のイラク派兵決定時の内閣官房副長官補だった柳沢協二氏は「イラク以上のことをやれば、必ず戦死者が出る」と警告をしています。

 戦争法案で米軍のミサイルや戦車、非人道兵器とされるクラスター爆弾や劣化ウラン弾などあらゆる武器・弾薬が輸送できます。防衛大臣は核兵器も含め「除外した規定はない」と認めました。また、敵潜水艦を攻撃している米軍ヘリが、自衛隊のヘリ空母で給油し、また敵潜水艦を攻撃するということも、可能だと認めました。このような活動は、誰がどう見ても米軍と一体となった武力行使そのものです。

 法案審議の中で危険性がクローズアップされているのが、「武器等防護」です。

 自衛隊が自分たちの武器・弾薬などを防護するために武器使用できるとの規定を、米軍など他国軍を「防護」できるように改悪しました。防護する武器は、化学兵器、ミサイル、ステルス戦闘機など全ての戦闘機、原子力空母も入ることが明らかになっています。

 この規定には、地理的条件や「存立危機事態」とかの条件もなく、地球上どこでも、日米共同演習時など平時からでも、米軍への攻撃に対して反撃できる内容です。戦闘地域で行う兵站活動の場面でも、最前線の米軍への攻撃に対して、反撃できるわけで、文字通り米軍との軍事一体化です。しかも、この武器使用は、防衛大臣の判断一つで可能であり、国会が関与する仕組みはありません。

国連が関与しない治安維持活動でも自衛隊員が戦乱の地で住民に銃を向けて「殺す」リスクが高まることも明らかになりました。

国際協力の名で、米軍と一体で武力行使をし、自衛隊員が「殺し殺される」状況をもたらす戦争法は、憲法の平和主義を根底から破壊するものです。知事のこの間の一連の発言には、この部分の認識が欠如していると思います。改めて、自衛隊員の活動における危険性と法の違憲性について認識があるのか、お伺いします。

 

■知事

安全保障関連法に関して、自衛隊員の活動における危険性と法律の違憲性についてのお尋ねがございました。

安全保障上の問題が多様化し、また、厳しさを増す中、いずれの国も一国のみでは自らの平和と安全を守ることができない状況があり、国際社会の平和と安全の確保のために、我が国も国際社会の一員として、一定の役割を果たす必要があるのではないかと考えております。

一方、安全保障関連法に基づく自衛隊の後方支援活動や武力等防護については、憲法9条で許されない「他国の武力攻撃との一体化」に当たらない範囲にとどめるようにすべきことは当然であります。

そのため、どこまでなら武力行使の一体化に当たらないのかといったことについて、個別具体の事例に即した議論を積み重ねていただきたいと申し上げてまいりました。

政府は、国会での議論の中で、後方支援を実施していくうえでは戦闘現場にならない地域を実施区域に厳格に指定していくとするなど合憲の範囲となるような設計とし、かつ、参議院の付帯決議でもこの点が補強されております。

また、武器等防護についても、平時と武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対応するものであり、いわゆる武力行使に至る場合には、存立危機事態等に課せられた制限がかけられるとの設計としているところでもあります。

ただ、繰り返し申しておりますように、先々にわたって恣意性を排除するよう、今後も個別具体の議論を積み重ねていっていただきたいと思っております。

自衛隊員の活動における危険性については、安全保障関連法では、自衛隊に新たな業務が加わることになり、それに伴い自衛隊員に新たなリスクが想定されると思われます。

こうしたリスクへの対処として、法には、防衛大臣の責務として自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮する規定や、自衛隊が活動している場所や近傍で戦闘行為が発生した場合には、ただちに活動を中断し避難するなどして危険を回避することなどが明記されております。

加えて、防衛大臣が国会において、自衛隊が活動を行うに当たっては、派遣前に教育訓練を実施し、情報を収集したうえで、戦闘が行われていない地域であることを確認し実施区域に指定すると答弁されております。

このように政府は自衛隊員の危険性を最小化するよう十分な対策を講じようとしているものと考えますが、この点についても同様に引き続き具体的な議論を国会で積み重ねていただきたいと思うところです。

 

●米田県議

 日本は、アメリカの戦争に戦後ただの一度も反対したことがありません。直近でも、ウソではじめたイラク戦争を支持したこと、その結果、民間人の大量の犠牲とテロが拡散したこと、さらに自衛隊を派遣し、国連職員の輸送と偽って、バグダッドに米兵を大量に空輸し、その部隊がファルージャの虐殺に参加した可能性が極めて高いこと、これらを反省も検証もしていません。

 当然徹底した検証が必要と考えますが、お聞きします。

 

■知事

次に、イラク戦争などの徹底した検証が必要ではないか、とのお尋ねがございました。

イラク戦争についての見解に関する質問主意書に対して、政府は、「イラクが12年間にわたり、累次の国際連合安全保障理事会決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会をいかそうとせず、最後まで国際社会の真撃な努力にこたえようとしなかったことから、安保理決議に基づく米国、英国等の各国による武力行使を支持したものである」と答弁しております。これが、イラク戦争についての評価ということではなかろうかと思っております。

いずれにしても私は、国際社会に憲法9条の制限のもとで、一定の貢献をおこなうことは大切だと思っております。他方で、諸外国の無法な戦争に日本が巻き込まれることは、決してあってはならないことだと考えています。

他国から、憲法9条の下で許されない武力行使を求められた場合には、断固として「NO」と言うべきことは当然だと考えているところです。

 

●米田県議

こうした日本の国のあり方の大転換を、憲法解釈の変更というクーデター的手法で強行したことに、国民、県民の強い批判が巻き起こっています。圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官に続いて、最高裁判所長官を務めた山口繁氏が「憲法違反」と断ずる発言をしました。同氏は「集団的自衛権は憲法違反という憲法解釈が60余年間とられ、国民の支持を得てきたという事実は重い。それは、単なる解釈ではなく規範へと昇格しているのではないか。9条の骨肉と化している解釈を変えて、集団的自衛権を行使したいのなら、9条を改正するのが筋だ」と指摘をしています。60余年間の積み重ねで「規範」となり「骨肉」となった憲法解釈を、一内閣の専断で覆したことは、立憲主義、法的安定性、法の支配を根底から覆す暴挙です。

 知事は、一連の発言で「合憲であること」を強調していますが、最高裁元長官をはじめとした戦争法は違憲との指摘をどう受けとめたのか、お聞きします。

 

■知事

次に、元最高裁長官らの違憲との指摘をどう受け止めたのか、お尋ねがございました。

一言で集団的自衛権といっても、その内容には幅があり、国連憲章に規定された国家の国際法上の権利として認められている、いわゆるフルスペックの集団的自衛権については、憲法9条の下では当然その行使は認められておりません。

他方、科学技術の発達などによる安全保障環境の変化を踏まえれば、自衛目的に厳に限定した集団的自衛権は認められるべきだと考えており、憲法9条の下で認められている「武力行使の旧3要件」から連続的かつ合理的に展開される範囲内に収まる、すなわち実質的に「我が国に対する急迫不正な侵害」と認められる場合に限った「限定的な集団的自衛権」は合憲ではないかと申し上げてきたところです。

政府は、当然に合意となるよう法律を組み立てたものと考えますが、どうしても条文は一定、抽象的とならざるを得ないという側面があります。

だからこそ、個別事例に即した議論を積み重ねることにより、将来の恣意性を排除するよう努めていく必要があると申し上げてきたところです。

安全保障関連法は成立しましたが、この議論は終わりではなく、今後も引き続き、否定的な方も含め、様々な有識者の意見もふまえていただきながら、個別事例に即した徹底した議論を国会の場で積み重ねていただき、恣意性を排除するよう努めていただきたいものだと考えています。

 

●米田県議

戦争法をめぐる一連の知事の発言は、「合憲性の担保」「自衛に限る歯止め」という知事自らが示した条件をまったく満たしておらず、「理解」を示す態度は到底認められない、県民の代表としてはっきりと戦争法廃止を主張すべきです、この点を厳しく求めておきます。

日本の平和と国民の命を危険にさらす戦争法を存続させるわけにはいきません。憲法違反の法律が存在しつづければ、日本の民主主義の基盤は根底から揺らいでいきます。日本共産党は、戦争法廃止の国民連合政府の実現を呼び掛けています。全国で自発的に立ち上がった多くの個人・団体と力をあわせ、野党との一致点での共同を強め、戦争法廃止まで戦い抜く決意を表明し、次の質問に移ります。

 

 

【知事の政治姿勢/伊方原発再稼働】

●米田県議

伊方原発の再稼働問題について知事に伺います。

先日、伊方原発で過酷事故がおこった場合の民間研究所のシミュレーションの結果を地元紙が一面で報道しました。予想されたとはいえ、改めて住民に大きな衝撃を与えています。

 再稼働反対の世論はさらに強くなったと思いますが、シミュレーションの受け止めを知事にお聞きします。

 

■知事

次に、民間研究所のシミュレーション結果について、お尋ねがございました。

今回の民間会社のシミュレーションは、福島第一原発事故と同規模の事故が伊方発電所で発生した場合を想定したもので、そのシミュレーションの手法は、モニタリングポストの空間放射線量を元に福島第一原発からの放射性物質の放出量を逆算し、伊方発電所周辺の地形や気象条件に当てはめ、放射性物質の拡散を空間放射線量により試算したものと聞いています。

 一方、既存の放射性物質の拡散シミュレーションとしては、原子力規制庁が平成24年に公表していますが、これは、避難が必要となる範囲を明らかにするために、人体への影響を示す実効線量として結果を示しています。

県では、伊方発電所で万が一事故が発生した場合に備えて、昨年9月に「原子力災害対策行動計画」を策定し、空間放射線量によって屋内退避や一時移転、避難といった防護措置を行うこととしていますが、今回のシミュレーションは、空間放射線量を結果として示していますので、この手法は、一定参考になるのではないかと考えています。

 このシミュレーションは、放射性物質の放出量力仮定の数値ではありますものの、結果を見せみますと、県内で最も空間放射線量が高くなる場合でも、1週間程度内に一時移転が必要となる基準、20マイクロシーベルトを超えておりませんでしたが、線量が低いとはいえ、影響が広範囲に及ぶ可能性があることも示されているところであります。

県としては、伊方発電所から半径50kmに一部の地域が入る梼原町及び四万十市とともに、現在、避難計画に関する検討を進めているところです。

順次、影響が想定される市町村の避難計画にも取り組んでいくとともに、市町村を越えての一時移転や避難も想定し、広域の避難計画も検討していきたいと考えておるところです。

 

●米田県議

原発の再稼働に対し、菅官房長官は、8月11日記者会見で、国際原子力機関、LAEAの基本原則に「安全の一義的責任は許認可取得者にある、と明記されている」と説明し「再稼働を判断するのは事業者」と発言しました。一方、新規制基準は、「これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません」と規定をしており、規制委員長は「規制委は再稼働するかどうかについては判断しない」「規制基準の適合性審査であって、安全だとは言わない」と繰り返し発言をしています。7月16日記者会見では「審査に合格したとしても事故のリスクがゼロになるわけではない」と述べました。そもそも新規制基準は、過酷事故がおこることを前提としたものであるから当然です。

 つまり「リスクゼロ」でない原発を、事業者が、あえて再稼働するとした判断の根拠を明確にする責任があるということです。

 まず、電力利用者でもある住民との合意の問題です。電力料金値上げ後の世論調査でも再稼働反対は6割を超えています。事業者は「リスクが残っても再稼働はやむを得ない」との四国の住民との合意をどう担保したのか、合意があるとの根拠はどこにあるのか、私たちはそんなものは存在していないと思いますが、お聞きします。

 

■知事

事業者は「リスクが残っても再稼働はやむを得ない」との四国の住民との合意をどう担保したのか、合意があるとの根拠はどこにあるのか、とのお尋ねがありました。

住民の合意という観点でいえば、立地自治体である愛媛県と伊方町は、四国電力と協定を締結しており、事実上、立地自治体の同意なしには再稼働ができないことになっております。

現在、立地自治体やその周辺自治体では、再稼働への同意の是非について議論されている最中です。その動向を注視してまいりたいと思います。

本県は、協定に基づいて同意する立場ではありませんが、県民の皆様が日頃心配されている疑問を四国電力に投げかけ回答を得る勉強会を公開の場で繰り返し行うことにより、安全対策の実効性を担保していこうとしているところです。

 

●米田県議

 四国電力は、原発再稼働の理由として、火力発電の老朽化、ぎりぎりの運転をしていると主張していますが、電力需要の削減は劇的に進んでいます。朝日新聞の調査によると四国電力の電力需要は最大値600万キロワットから、今年の8月の最大電力は483万キロワットにとどまり、そのうち80万キロワットは、ピークカットに有効な太陽光発電が占めています。火力など従来の設備での需要は600万から400万キロワットと激減をしています。

資源エネルギー庁の電力調査統計、最新は今年7月分で、四国電力の最大電力需要は510万キロワットで、うち火力251万キロワットです。火力の設備能力は380万キロワットですから,最大時での設備利用率は66%、7月全体では、火力の利用率は40.0%です。

緊急時の他からの融通の余地はどうか。近隣の電力会社の7月の最大電力時と7月全体の火力の利用率は、九州 86.0%・61.5%、中国79.9%・49.9%、関西80.9%・49.3%となっています。

確かに老朽化し、苦労されていると思います。コンバインドサイクル方式、火力へのリプレイスも一定の時間がかかりますが、火力の設備利用率の数字は、まったく余裕がない数字とは思えません。また最近は数値目標を掲げての節電を呼び掛けていませんが、電力供給の不安があるなら、四国の住民に原発の再稼働か、節電か、を問うべきです。きっと大きな協力が得られるはずです。それもしないで一方的に再稼働が必要との説明に四国住民が納得するはずがありません。 

二点指摘しましたが、知事の認識をお聞きします。

 

■知事

火力発電は設備利用率をみれば、全く余裕がないとは思えない、電力供給に不安があるのであれば、原発再稼働か節電かと問うべきではないか、とのお尋ねがありました。

議員ご指摘のように、過去5年間で言えば、平成22年夏のピーク時の電力需要は、597万キロワットで、今年の夏の511万キロワットと比較すると、86万キロワット減少しています。しかしながら、ピーク時の電力需要は、夏や冬の天候、特に気温に大きく左右される傾向が強く、今後、ピーク時の電力需要が確実に減少していくとは言い難いこと、また、近年発電に寄与している太陽光発電は天候に左右されるため、安定的な電源ではないことから、火力発電などの安定的な電源が必要となっています。

四国電力では、伊方原発停止以降、10基の火力発電所を運転していますが、このうち、8基は、運転開始後40年前後を経過しており、老朽化が進んでいます。これらの火力発電所を、電力需要が大きくなる夏や冬には、定期点検を繰り延べしながら、電力需要に対応しているとお聞きしています。

このため、故障などによる運転停止、引いては停電の発生リスクが高まっており、電力の供給体制に余裕がある状況ではないことを四国電力との勉強会において確認をしています。

また、節電につきましても、福島第一原発事故以降、行政、産業界、そして一般家庭においても取り組みが進んでおりますが、将来的に原発への依存度を引き下げていくためにも、更なる節電に取り組むことが必要だと考えております。

ただし、真夏や真冬などの電力需要がピークになる時間帯に老朽化した火力発電所にトラブルがあるケースを想定すると、節電だけでは限界があると思われますので、必要な供給源を確保することは重要であると考えております。

こうしたことから、再稼働の必要性ということにつきましても、勉強会を通じて徹底して確認をさしていただいているところでありまして、今後、県民の皆様方のご意見も伺いながら新たに必要が生じますれば、さらに四国電力に確認をしていくという形でもってこの点についてさらに検討を深めさせていだけかなければならないと考えているところです。

 

●米田県議

  安全性についての責任、ここでも大きな問題があります。

  「震源を特定せず策定する地震動」は、どこでも発生しうる地震であり、新基準の「地震動評価」の「解説」では、モーメントマグニチュード6.5未満の地震としています。しかし、実際の計算で使われたのは、モーメントマグニチュード5.7の留萌支庁南部地震の地震動で、電力会社は609ガルと試算し、「不確かさ」を考慮して620ガルとしています。モーメントマグニチュード6.5は、5.7のエネルギーで14倍、地震動で2.5倍となりますので、620ガルでなく1,550ガルが必要ではないか。6.5が起こりうるとしているのに、5.7でよしとするのは、安全性に最大を考慮したとはいえず、県民の納得は得られないと思いますが、知事にお伺いします。

 

■知事

次に、基準地震動の設定が明らかに過小になって、安全性に最大の考慮をしたとはいえず、県民の納得は得られていないのではないか、とのお尋ねがありました。

基準地震動は、「震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」、この2つを考慮し、それぞれに検討用地震を選定したうえで策定していると伺っています。

「震源を特定して策定する地震動」の検討用地震としては、敷地周辺の地形や地質、文献調査などにより、影響の大きい地震として、マグニチュードを最大8.7まで想定した「中央構造線断層帯による地震」、マグニチュード6.9の「1649年安芸・伊予の地震」、マグニチュード9.0の「南海トラフの巨大地震の3つを選定し、基準地震動を策定していると承知をしています。

また最も大きな影響を与えるものは、「中央構造線断層帯による地震」であり、紀伊半島から九州にかけての、考えられる最大の長さである480kmが一度に動く場合も考慮されているところであります。

「震源を特定せず策定する地震動」の検討用地震については、原子力規制委員会により示されている、全国各地で過去に起こったさまざまな地震規模の16の地震の中から、地質や活断層の活動度、地下深部の構造などの地域特性を検討した結果、活断層の状況などから、伊方発電所の敷地において最も考慮すべき地震として、モーメントマグニチュード5.7の「北海道留萌支庁南部地震」及び6.6の「鳥取県西部地震」の2つを選定し、基準地震動を策定をしています。

このように、基準地震動の策定においてはモーメントマグニチュードが6.5以上の地震についても考慮されており、原子力規制委員会での厳格な審査により、最新の知見によって確認されたもので、起こり得る最大の揺れが想定されているものと認識をいたしているところでございます。

 

●米田県議

次にIAEA基準の深層防護の第五層である避難計画など原子力防災についてです。

新基準にはこの第五層がまったくなく、自治体に丸投げしているという大問題がありますが、しかし、「安全の一義的責任」があり、再稼働の「判断」をする事業者として、当然、避難計画の実効性についての責任が問われます。

 事業者として、避難計画の実効性を具体的に調査し、外部委員も入れた厳密な評価をしたのか、知事にお聞きします。

 

■知事

事業者は、避難計画の実効性を具体的に調査し、外部委員も入れた厳密な評価をしたのか、とのお尋ねがありました。

災害対策基本法に基づき、原子力施設で重大事故が発生した場合の避難計画は、原子力施設からおおむね30キロメートル以内の区域にある都道府県及び市町村の責務として、策定することとなっています。

このため、伊方原子力発電所のある愛媛県では、事業者ではなく、県や該当市町村が、原子力災害時における避難計画を策定するとともに、毎年、避難計画に基づく訓練を実施することなどにより避難計画の実効性を高めているとお聞きしております。

なお、本県は、伊方発電所からの距離が一番近いところで約50キロメートルとなっておりまして、災害対策基本法に基づく避難計画の策定は求められていませんが、先ほどお答えしましたとおり、万が一の場合を想定し「原子力災害対策行動計画」を策定するとともに、既に梼原町と四万十市とともに避難計画の検討を行っているところです。

 

 

【知事の政治姿勢/少子化対策・人口ビジョン】

●米田県議

少子化対策・人口ビジョンについて、知事に伺います。

補正予算では、「まったなしの少子化対策」として、より多くの独身者の結婚希望を叶えること、 総合的な子育て環境の整備により、県民の第1子を欲しい年齢の希望を叶えることで、2050年までに合計特殊出生率を2.27にするという大変意欲的な目標が掲げられています。

 また子どもの数の「理想」と予定の乖離がある理由のトップは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」で66%もの回答となっています。2位、3位は、仕事と家庭の両立が難しいとの回答で、「長時間労働」「子育てサービスの不足」という資料も示されています。

 2014年少子化白書では、非正規雇用者の有配偶率は低く、30~34歳の男性においては、正社員の6割弱に対し2割台、1割台となっています。第6回21世紀成年者縦断調査では、子どもがいなかった夫婦は、妻の仕事が正規の場合49.0%に第1子が生まれているが、「非正規」の場合22.4%で半分以下になっています。

 結婚も出産も、経済的要因に極めて強く規定されていることがわかります。少子化対策には、出会いの機会が少ないという問題もありますが、本質的には雇用の安定、子育ての経済負担の軽減が決定的カギとなることは論をまちません。

雇用の安定の方は、産業振興計画で取り組んでいるところですが、子育て、教育にかかる経済的負担の解消は、「第三子の壁」に限定されたものではありません。

 少子化対策に成功したフランスの手厚い家族支援は有名ですが、県の意欲的な目標を実現するためには、思い切った施策が必要だと思います。中学までの医療費無料化にも二の足を踏むような姿勢では、到底実現できるとは思えません。

 子育ての経済的負担軽減への決意について知事に伺います。

 

■知事

人口の将来展望に掲げる県の目標を実現するためには、思い切った施策が必要であり、子育てに伴う経済的負担の軽減に向けた決意についてのお尋ねがありました。

少子化の問題は近年その深刻さを増し、その大きな要因となっている出生率の低下は、若い世代の初婚行動の変化に起因しているとの分析がなされているところでもあり、少子化対策の取組みにおきましては、未婚化・晩婚化への対策が大変重要だと考えております。

先頃行いました県民意識調査でも、未婚者の約8割は結婚したいとの意向をお持ちだとの結果が出ておりますし、晩婚化が進む中でも、第1子を希望する年齢の現実と理想との間には、1.65歳の乖離が生じているという結果もございます。

このため、人口の将来展望が掲げる目標の実現に向け、県民の皆様の希望を叶えることを最優先に、「より多く」の独身者の皆様の結婚・妊娠・出産・子育ての希望を、いかに「より早く」叶えていくのかといった観点から、少子化対策の抜本強化に取り組んでまいります。

ただ、この中でも先々の子育て負担の軽減が、若者たちの結婚等への後押しとなるものと考えられます。さらに、理想とする子どもの人数と予定する子どもの人数との間にギャップが生じている大きな理由として、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という経済的な負担の問題が回答として約66%と大きなウェートを占めているといった県民意識調査の結果もございます。

こうした中、7月の全国知事会では、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、段階的な幼児教育・保育の無償化の実現や、子どもの医療費軽減に伴う国庫負担金の軽減調整措置の廃止、さらには、奨学給付金の拡充などによる教育費の負担軽減策などについての提言を取りまとめ、政策提言活動を行なったところです。

県としましても、子育てに伴う経済的負担の軽減に向けまして、引き続き、国に対し強く働きかけてまいりますとともに、国の施策とも連動した経済的負担の軽減策などの検討を深めてまいります。 

 

●米田県議

仕事と家庭の両立も極めて大切です。フランスと同じように経済的支援に力をいれているドイツは少子化克服に成功していません。07年内閣府の研究では、ドイツの場合、「家族と就業の両立」という概念はあるものの、3歳児神話を前提としている点で日本とよく似ている。このため母親のフルタイム就業を前提とした3歳児未満の子供を対象とする保育施設・機会はあまり発達していないこと、主に母親のみが子育てを行っていること、 家庭内で分業的であり、性別役割意識が強いことなどをあげ、日本はその傾向がさらに強いことを警告しています。

 先の21世紀成年者縦断調査では、育児休業制度を利用しやすい雰囲気がある場合、64.7%に第2子が生まれていると明らかにしています。また県の資料では夫の休日の家事・育児時間がゼロ時間と2ないし4時間では、第2子以降の出生率に3倍以上の差と強調しています。

 社会全体で取り組む大きな課題ですが、県自ら実践できる課題があるのではないでしょうか。県は行革プランの見直し、団塊世代の大量退職に対して、職員、教員の新規採用を増加させています。そうした若い世代の働く環境はどうなっているのか。仕事と家庭の両立は、少子化対策という枠だけでなく、女性が働きやすくその能力を発揮できる環境をつくることで、組織全体の力を伸ばすことになります。

 県自らが、具体的な実態を聞き取りも含め把握し、改善にむけた方針・目標を明確にすることが大事ではないか、知事にお聞きします。

 

■知事

仕事と家庭の両立について、若い職員の具体的な実態を把握し、改善に向けた方針・目標を明確にすることが大事ではないか、とのお尋ねがございました。

県は、課題に真正面から向き合い、県民の皆様のために成果を求めて挑戦し続けながらも、「高知県職員子育てサポートプラン」の着実な実施を通じて、次代の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ、育てられる職場環境づくりに努めているところでありまして、若い職員が増加してきている状況も踏まえ、仕事と家庭の両立に対する支援に取り組んでおります。

具体的には、まず、職場の環境づくりに関し、私自身も宣言をさせていただきました「イクボス」について、管理職を対象とした「イクボス養成塾」を開催し、管理職の意識を高めるとともに、子どもが生まれる職員、生まれた職員に対しては、管理職が定期的に面談を行い、子育て中の働き方についての希望や必要とする支援などの聞き取りを行っております。

さらには、行政管理課におきまして、若手職員の増加を踏まえた新たな取り組みとして、県内3ブロックで、男性職員の育児への参加や多様な働き方などをテーマに意見交換会を開催し、若い職員の声を直接聞き取ることとしております。仕事と家庭の両立に対する不安や悩み、支援に関する要望などについて、職員の生の声を聞くことで、取り組み内容め改善にもつなげることができるものと考えております。

こうした取り組みを通じて、「希望する職員全員が育児休業を取得できる」といった、子育てサポートプランの目標達成に向け、職員が県民の皆様から求められている役割を十分に果たしながら、仕事と家庭を両立し、その能力を発揮できる職場環境づくりを進めてまいりたいと考えております。

 

 

【地域医療構想】

●米田県議

地域医療構想について伺います。

先の6月議会でも塚地議員が質問しましたが、「地域医療構想策定ワーキンググループ」が開催されるなどしており、いくつか健康政策部長にお伺いします。

 本計画は、10年後の2025年までに、高知県の医療体制をどのようなものにするかを示すもので、遅くても来年度の半ばまでには決定することが法律で義務づけられています。計画を策定するにあったて、国は、「望ましい病床数」を示しました。その数字は、高度急性期を現況より731床、47%減、急性期を2,138床、43%減、回復期は、1,729床、110%増、慢性期は3パターンが示され、最大は4,492床65%、最小でも2,592床、37%の削減案が示されました。合計すると、最大で、5,632床、37%、最小でも3,732床、25%の削減となります。

 現状においても、高度な手術の必要な患者さんも手術日程がとれず、数週間待ちといった事例や病院のたらい回し、慢性期の患者の入院先が見つからないといった実態がある中、医療関係者には衝撃を持って受け止められています。

 そのため、厚生労働省は、各都道府県に本年6月18日、「必要病床数の試算値について」の通知文書を出しました。その中では、「あくまでも自主的な取り組みが基本であること」「直ちに、何らかの措置を講じさせるものでないこと」「なによりも、在宅医療等も含めた地域での医療提供体制を全体として検討される中で、需要に応じた適切な医療提供体制、病床数となっていくものであること」と数字目標ありきではないことを強調しています。

この通知を、どう受け止められたのか、伺います。

 

■健康政策部長

数値目標ありきではないとの厚生労働省通知をどう受け止めたのか、とのお尋ねがありました。

6月18日付地域医療計画課長通知では、議員の御指摘に加えまして、「県知事に稼働している病床を削減させるような権限は存在しない」ことにも言及したうえで、「単純に『わが県は○○床削減しなければならない』と誤った理解とならないよう」との要請がなされています。

 このため、地域医療構想の策定に当たりましては、本通知の趣旨を踏まえ、地域医療構想策定ワーキンググループにおいて将来の医療需要の推計結果や療養病床実態調査の結果等を関係者と共有し、将来のあるべき医療提供体制及びそれを実現していく上での地域で対応可能な対策を検討していきたいと考えています。

 

●米田県議

この構想を策定するに当たり、県は、各医療機関ごとに、病床の現在の機能と、6年後どのように転換するかを示すよう調査を行いました。その報告によると、高度急性期は全県で、468床の増、急性期が842床の減、回復期が172床の増、慢性期は217床の増となっており、国が示した10年後の数値とは大きくかけ離れ、全体の病床数も現状維持となっています。

6年後に目指した数値は、各医療機関が、医療現場での患者さんの実態から必要性を勘案、検討して出した数値であり、基本的に尊重すべきだと考えますが、病床機能報告の結果をどのように受け止めておられるのか、伺います。

 

■健康政策部長

病床機能報告の結果をどのように受け止めているのか、とのお尋ねがありました。

病院及び有床診療所は医療法の規定に基づき、毎年7月1日時点及び6年後における病床の機能区分、構造設備、人員配置及び具体的な医療の内容に関する項目を都道府県に報告することになっています。

 昨年度の病床機能報告を実施した時点では、将来の医療需要の推計など地域医療構想の検討を開始する前の段階であり、各医療機関において判断する情報が少ない中で現状の病床及び6年後の見込みを報告されたものと理解しています。そのため、この報告内容をもって将来の医療需要を反映したものであると判断することは難しいと考えています。

なお、今後は、地域医療構想において推計していく将来の必要病床数を医療関係者等が共有し、それに適合した医療提供体制を構築するために必要な役割分担や取組についての議論を踏まえて、医療機関が自主的な選択や取組を行っていくことが基本になるものと考えています。

 

●米田県議

国が示したいわゆる目標数値は、単純にいうと10年後の人口推計と10万人あたりの全国平均病床数を元に、算出をされたものです。しかし、本県は、CCRCをはじめ移住者の受け入れに力点を置き、人口減少に歯止めをかける県民あげての取り組みを進めているところで、その前提も織り込まなくてはなりません。

 さらに、患者さんの生活実態も地理的条件、家庭の看護力など数字だけでは図れない大きな課題があります。今議会に、療養病床の実態調査のための予算が180万円余計上されていますが、実態をしっかり把握し国への要望に生かす上でも重要な調査となります。

全入院患者が調査対象となるのか、現在、老人保健施設が実態としては療養病床の機能を担っていると思いますが、その患者も対象となるのか、調査内容、スケジュール、さらにこの調査結果の分析は、業者でなく県が行うべきと考えますが、お伺いします。

 

■健康政策部長

療養病床の実態調李の内容等について、お尋ねがありました。

療養病床実態調査は関係者の理解の下、医療と介護の適切な役割分担により県民個々人のQOLに適した療養環境の確保策の検討に資するために、療養病床に入院されている患者さんの心身の状態、提供されている医療・介護の内容、本人の所得や家族介護力の状況及び療養にふさわしい施設サービスについて調査することとしており、一般病床の入院患者や介護保険施設の利用者を対象とすることは考えていません。

スケジュールとしては、本議会後にできるだけ早く調査に着手し、年内に調査を実施、年度末までに集計結果の分析をとりまとめる予定です。

なお、調査の実施業務は民間事業者に委託したいと考えていますが、調査結果の分析については地域医療構想策定ワーキンググループの委員等の協力も得ながら、県において行う予定です。

 

●米田県議

さて、今後の医療ニーズとも関わって、日本創成会議が提唱した「地方への高齢者移住論」についてこの項は、知事に伺います。

 今後の人口推計を、きわめて一面的数値ではじき出した上、東京圏では介護施設が大きく不足することから、「高齢者の地方移住」を進めると提案。これは、東京圏に住む高齢者の人権無視も甚だしい暴論といわなくてはなりません。高齢者にとって、住み慣れた地域での生活が精神的にも重要であることは論を待ちません。たとえ、施設に入所したとしても、友人や家族の面会、日常的な介護の補助が人生を豊かに送る上で不可欠なんです。社会保障の貧困さを改善することなく、まさに、姥捨て山のように地方に追いやるこの提言は、東京圏の高齢者の人権を踏みにじる提案だと考えます。

 知事は、この提案を、どのように評価されているのかお伺いします。

 

■知事

日本創成会議が提唱した高齢者の地方移住の促進に対する評価ついてお尋ねがありました。

本年6月に日本創成会議から出されました提言では、東京圏の高齢者が希望に沿って地方へ移住できるような環境整備が必要だとしています。よって、特定の地域への移住を強制するものではありませんし、希望しない地方に高齢者の受け入れを要請するといった内容のものでもないと認識をしています。

経済や地域の活性化に取り組む本県にとって、都市部で長年にわたって豊富な経験を積んだアクティブシニアの方々は、大きな力になると期待をされます。

また、2020年をピークに65歳以上の高齢者数が減少に転じる本県では、医療や介護などのサービス基盤を有効に活用できる可能性もあるのではないかと考えているところです。

したがいまして、私としましては、今回の提言につきましては、確かに今後慎重に精査をしていくべき点はありますものの、6月議会でお答えしましたとおり、うまく活かしていけば、今後の地域の活性化や人口減少問題の改善などへとつながり得るものと考えているところです。

 

●米田県議

政府は、今回の医療・介護総合確保法の実施で、ふくれあがる医療費の大幅削減を狙っています。住民福祉の増進が地方自治体の最大の責務であり、命をないがしろにする医療費の削減を行わないよう、国に強く求めるべきだと考えますが、知事の決意を伺います。

 

■知事

医療介護総合確保推進法の実礫による医療費の削減を行わないよう、国に強く求めるべきではないか、とのお尋ねがありました。

医療介護総合確保推進法は、団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年を見据え、効率的かつ質の高い医療提供体制及び地域包括ケアシステムを構築し、国民一人一人の自立と尊厳を支えるケアを将来にわたって継続的に実現していくことを目的として制定されたものです。

 今後の高齢化の進展等に伴う医療費の伸びを適正な範囲に抑えていくことは、医療制度を持続可能なものにする上で必要なことであると考えており、県が策定する地域医療構想において将来の医療需要の推計結果や療養病床の実態調査の結果等を関係者と共有したうえで、医療・介護の適切な役割分担に基づく病床の機能分化を進めることで、2025年に向けて医療提供体制の効率化を図る必要があると認識しております。

療養病床が全国一多い本県におきましては、ある程度の病床数の減少は避けられませんが、他方で単に全国水準に病床を削減するのではなく、患者さんや利用者のQOLの向上にふさわしい受け皿を確保し、現に入院されている患者さんの追い出しにつながらないようにすることを前提として、住み慣れた地域で療養ができるようにしていくことがなにより大切であると考えていますので、必要な政策提言を国に対して行っていきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、県民の皆様が安心して医療が受けられるよう、医療制度を持続可能なものにしていくことと併せて、県民の社会福祉の向上につながるように取り組んでいくことが大切であると考えているところです。

 

 

【子ども・子育て支援新制度】

●米田県議

子ども・子育て支援新制度について、教育長にお伺いします。

 問題点を抱え、また十分な周知がないまま今年4月にスタートした新制度ですが、各地で戸惑いや疑問の声が後を絶たず、問題点も浮き彫りになってきています。

 この4月以降も、保育入所をめぐるトラブルを多く耳にします。「兄弟が同じ保育所に入れない」「障害のある双子の兄弟が入れなかった」「育児休業を取得すると、すでに入所していた上の子どもが退所を強要された」など、深刻な事態が続いています。

 待機児童の解消、質のよい保育を目的に始まった新制度ですが、待機児童は解消できたのか、現状と県としてどのように取り組んでいるのかお聞きをします。

 

■教育長

子ども・子育て支援新制度について、まず、待機児童は解消できたのか、その現状と、県としてどのように取り組んでいるのか、とのお尋ねがございました。

子ども・子育て支援新制度が始まった本年4月1日における児童の受入施設は289か所で、前年4月1日と比較して33か所増えており、また定員も26,823人と4,885人増加しております。

実際に受け入れた人数も、0歳児については前年4月1日と比較して107人、1歳児については、376人それぞれ増加しております。

 このように、定員や受入児童数は増加しているものの、まだ、高知市と香美市においては、待機児童が発生している状況です。

待機児童を解消するために、市町村では、昨年度策定した子ども・子育て支援事業計画に基づいて、計画的に保育所、幼稚園、認定子ども園などの教育・保育施設の整備を進めているところですが、子ども・子育て支援新制度の施行により、保育所等への入所要件が緩和されたことなどから、2市においては、受入体制の拡充を上回って申し込みが増えている状況です。

 教育・保育施設の定員増のためには、比較的規模の大きな施設整備が必要で、どうしても一定の時間がかかります。

このため、施設の受入体制を補完し、急速な入所希望児童の増加に対応するには、0歳から2歳児の少人数の保育に柔軟に対応できる小規模保育や家庭的保育などをおこなう地域型保育事業が効果的と考えており、特に、待機児童の多い市部を中心に、地域型保育事業の実施について検討していただいているところです。

 県といたしましては、市町村の計画が円滑に実施できるよう、引き続き教育・保育施設の施設整備への財政支援を行うとともに、市町村への個別訪問等により、地域型保育事業の実施に向けた助言等を行い、待機児童の早期解消のための支援を行ってまいります。

 

●米田県議

保育時間の認定区分をめぐって混乱、矛盾が生まれています。

 保育の「標準時間11時間」と「短時間8時間以内」に区分され、短時間の子どもの送り迎えが規定の枠を超えた場合、延長保育料が課されます。そのために保育所に着いた時間と帰る時間を保育士が常にチェックすることになり、大事な子どもの様子を保護者に伝える余裕すら無くなっています。延長保育料は、1カ月何時間であっても2,000円を徴収している園や、毎日チェックして支払ってもらう園など様々です。1時間以内100円とされていることが多く、不公平にならないようにと保育所の時計を電波時計に変え、厳格に登園、退園時間をチェックしたり、他県では園児一人一人のタイムカードを導入したという話も聞かれます。毎日、保護者がその日の延長保育料を何百円か持って子どもを迎えに行く、一日の締めくくりは、まるでコインパーキングのようだと言う人がいましたが、新制度が新たな混乱をつくりだしています。

 また、保護者の仕事の都合などで、短時間から標準時間に認定区分を変えようとすると、市町村窓口まで手続きに行かなければならず、しかも翌月からの変更になります。

 子どもの発達と成長を保障し、働く若い世代の子育てを支援する保育所の役割がいっそう重要になっているときに、子ども・保護者や保育士・保育所に多大な負担と犠牲を押しつけることは到底認められません。

 意味のない混乱と負担をもたらす保育時間の「認定区分」はやめるべきだと考えますが、お聞きします。

 

■教育長

保育時間の「認定区分」はやめるべきだと考えるがどうか、とのお尋ねがございました。

 これまでの制度においては、フルタイムやパートタイムといった就労形態や、保育所等の利用時間に関わらず、同じ所得階層では、保育料は一律となっておりました。

 しかし、本年度からスタートした子ども・子育て支援新制度は、市町村が保護者の就労実態に基づき、保育の必要性と必要時間を認定する仕組みとなっており、8時間の保育短時間、11時間の保育標準時間に分けて認定区分が設定されております。

原則として、パートタイム等の短時間就労の場合は保育短時間の認定を、フルタイムの就労の場合は保育標準時間の認定をしており、保育料も異なっております。

新制度への移行後、県では4月中旬と6月上旬に、市町村や事筆者に対して、新制度における課題等についてのアンケートを実施をいたしました。

その結果、市町村や事業者からは、支給認定区分や保育時間の認定について、事務手続きの煩雑さや業務量が増加したという意見が出されました。

また、保護者からは、施設の利用申し込みの提出書類が多くなり、手続きが複雑になったというご意見をいただいております。

 このような課題があることから、県では、国の子ども・子育て会議や、本年7月に本県で実施しました画の担当官による新制度の研修会で、事務手続きの煩雑さや業務量が増加した現状をお伝えし、改善を検討していただくよう意見を述べてまいりました。

 今後も引き続き、市町村や事業者、保護者からの意見や要望を踏まえ、手続きや事務処理の簡素化などについて、運用の改善を国に働きかけてまいります。

 

●米田県議

保育士が足りない現状はきわめて深刻です。

 今、子どもの発達はこれまでになく危機にひんしているといわれています。

しかし、これに取り組む保育士が不足し、臨時的雇用が多くなる中で専門性の継続・連携が図れなくなることは、根幹を揺るがす大問題です。一部の自治体は、あまりにも低い臨時保育士の給与水準をあげるなど努力を始めていますが、十分なものではありません。園長は保育士を探すために必死になっていますが、保育士が足りないために、入所の申し入れがあっても子どもを受け入れることができないのが現状です。

 保育士不足の実態を県はどう把握しているのか、また、臨時的雇用の実態はどうなっているのか、お聞きします。正規の保育士確保を含め、このまま放置することはできません。県としての積極的な対応を求めるものですが、決意と具体策について伺います。                                       

 

■教育長

保育士不足と臨時的雇用の実態、また保育士確保に係る対応策について、お尋ねがございました。

 保育士の人材確保について、本年7月から8月にかけて、市町村に対しヒアリングを行ったところ、23市町村で保育士が不足しているとの回答があり、保育士不足の現状を改めて認識したところです。

その要因としましては、保育士の手厚い配置が必要な0歳から1歳の入所児童数が増加していること、また、障害児や家庭への支援が必要な子どもが増えていることから、その対応として加配保育士が必要となっていること等が考えられます。

また、保育士の雇用の実態は、本年4月1日現在で、常勤職員のうち臨時的雇用が45.3%を占めているほか、パートタイム職員も多く雇用されており、全職員に占める正規職員の割合が低い状況となっております。

保育・教育施設においては、経営的な観点などから全国的に臨時的雇用やパートタイム雇用が多い状況ですが、保育や教育の質の向上や安定的に保育士を確保するためにも、正規職員を増やしていくことが必要であると考えております。

 特に、公立施設では、今後10年間で正規職員の保育士のうち、約4割に当たる大量の定年退職者が見込まれることから、県と市町村で危機感を共有し、正規職員の計画的な雇用を進めていただくことが必要と考えております。

 県では、保育士不足を解消するための対策として、これまでも、保育士の資格を持っているものの就労をしていない、いわゆる潜在保育士の活用や、高校生に対して、保育士の仕事の魅力ややりがいなどを紹介し、保育士を目指していただくよう取組を行ってまいりました。さらに、本年度からは、県内での就職に繋げるため、県内で一定期間従事した場合、償還金が免除となる修学資金貸付制度も創設いたしました。

今後も、こういった事業の内容を充実し、保育士の確保に努めるとともに正規職員の増加に向けて、市町村や事業者等と連携して取り組んでまいります。

 

 

【高齢者の貧困】

●米田県議

高齢者の貧困問題について知事にお伺いします。

  8月30日NHKスペシャル「老人漂流社会~親子共倒れを防げ~」が放送され、大きな反響をよび、さらに「老後破産」「下流老人」などの言葉が飛び交っています。

  立命館大学の唐鎌直義教授は、厚労省の「国民生活基礎調査」をもとに、貧困高齢者、単身で年収160万円以下、2人世帯で230万円以下は約400万世帯・515万人、高齢者世帯の貧困率を34%と分析をしています。まさに3人に1人以上です。

  敬老の日の9月21日付け高知新聞は、「深刻化する高齢者の貧困」と題する社説を掲げ、高齢者の5人に1人は生活困窮者、今後いっそう厳しくなる可能性が高い。現役世代の貧困拡大も懸念される。社会全体で早急に手を打っていく必要がある。特に、政官財界の責任と使命は大きいと指摘をしています。

  安倍政権が、医療・介護の負担増、給付の削減や年金切り下げを容赦なく続けるもとで高齢者のくらしはいよいよ深刻になっています。長年必死に働いてきた人が、老後になってまともに暮らすことができず、場合によっては「孤独死」「孤立死」に至る社会をこれ以上放置することは許されません。高齢者を冷たく扱う国に、未来はありません。

  知事は、高齢者の貧困問題をどう受け止めているのか、お伺いします。

  また、実態と重要性を十分に把握し、国に対して解決のための積極的な提言を行うとともに、「日本一の健康長寿県構想」を新たに高齢者の貧困問題の視点で充実させ独自施策を強化するよう強く求めるものですが、お聞きします。

 

■知事

高齢者の貧困問題についての受け止めと、「日本一の健康長寿県構想」を高齢者の貧困問題の視点で充実させることなどについて、のお尋ねがありました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。

本県では、介護保険の65歳以上被保険者のうち、低所得の方が占める割合が、全国と比べて高くなっておりますが、こうした高齢で低所得な方は全国的にも増加してきており、高齢者の貧困に絡む痛ましい事件が後を絶ちません。

今後とも、高齢化の進行とともに、低所得や一人暮らしといった配慮を必要とする高齢者の更なる増加が見込まれており、高齢者の貧困や孤立化といった問題は、社会全体で対応する必要のある深刻な問題だと受け止めております。

 こうした中、国においては、近年の社会・経済上の構造変化に対応し、高齢者を含めた生活困窮者への支援の抜本強化を図るため、生活困窮者自立支援法を制定し、本年4月から施行をいたしております。

 本県におきましては、支援の入り口となります自立相談支援事業について、多くの市町村で、地域福祉活動の要となります会福祉協議会において事業を実施しておりますが、県では、今年度から、社会福祉協議会の活動や体制のさらなる充実・強化に向け、積極的な支援に取り組んでいるところです。

また併せて、民生委員の皆様などによる地域での見守り活動の充実に向けた取組みのほか、「あったかふれあいセンター」の運営を通じた地域における支え合いの仕組みづくり、さらには、一人住まいや低所得などの配慮を必要とする高齢者向け住まいの整備などへの支援にも、積極的に取り組んでおります。

 今後とも、こうした「日本一の健康長寿県構想」の取組みを進める中で、さらに施策を発展させ、貧困問題を抱える高齢者の皆様などを含めた県民の誰もが、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる「高知型福祉」の実現を目指してまいりたいと考えています。

併せて、先ほども申し上げましたように、低所得や独居などといった配慮を必要とする高齢者への支援策は、全国的な課題ともなっておりますことから、全国知事会等とも連携のうえ、国の責任のもとでの実効性のある施策が講じられるよう、政策提言活動などを行うことも必要だと考えています。

 

 

【介護保険】

●米田県議

介護保険について、地域福祉部長にお伺いします。

  「医療・介護総合確保法」により介護保険法が改正され、具体化が進められています。今回の改正は、昨年の骨太方針「医療・介護を中心に社会保障給付について”自然増”も含めて効率化する」との宣言を具体化するもので、要支援者の介護からの排除、初めての利用料2割負担の導入、介護報酬の大幅削減などの大改悪がその中身であり、高齢者の生存と尊厳を脅かし、介護のいっそうの危機、崩壊を拡大するものといわなければなりません。

 まず、要支援者の排除、介護保険外しについてであります。

 全国一律の予防給付、訪問介護・通所介護を市町村が取り組む「地域支援事業」「新総合事業」に移行しようというものです。

  これまでのサービス、現行相当の訪問・通所介護のサービスを当面受けることができるのは現利用者と、新制度移行後限定された人に限られます。そして「自立の目標」に向けて、一定期間後「モニタリング」を行い、順次安上がりのサービスへ「移行・卒業」をさせ、最後は介護サービスそのものからの「卒業」「終了」、そして他の高齢者を「助ける側に」導こうとする動きが出ています。

 また、市町村の窓口で「基本チェックリスト」によるサービス割り振りの判断を行おうとしています。もともと、現行の「二次予防事業」で「要支援・要介護になる恐れのある人」を見つけ出すために使われてきた25項目の簡易なアンケートです。要支援と要介護1の状態像はきわめて近く、行き来する場合もあります。要介護認定権を保障せずに、機械的な「基本チェックリスト」活用を押しつけることがあってはなりません。

 一方従来のサービスを提供する見なし指定を受けた介護事業所は、介護報酬の引き下げによって前年度までの約8割の給付になったうえ、市町村から求められ実施する多様なサービス、例えば訪問型サービスAはそのさらに約7割の給付となり、結局前年度の5割程度の収入にしかなりません。その他のサービスは、シルバー人材センターや、ボランティアなどにさらに安く委託するというものです。

  今回の要支援者の介護保険外しは、老後の安心を脅かすとともに介護の職員、事業所、ボランティアなどの負担のもと、介護給付費の削減にあることは明らかです。厚労省は、今回の改定の実施によって現行制度のままなら年5~6%の割合で増えている要支援者への介護給付費を、後期高齢者の人口の伸び率、3~4%に押さえ込むように指示をしています。市町村はこれに従い、現行サービスが上限値をオーバーするとして、サービスそのものの切り下げやサービス提供者への給付費、委託費の引き下げなどを予定をしています。

  以上問題点を指摘して、地域福祉部長に何点かお聞きします。

要支援者の要介護認定状況、現行の介護サービスの現状と評価、また県下市町村の新総合事業への移行の状況について、伺います。

 

■地域福祉部長

県内の要介護認定者の状況や現行介護サービスの現状と評価、さらには、新総合事業への移行状況について、のお尋ねがありました。

平成27年5月未現在の県内の要介護認定者の状況は、要支援1が6,132名、要支援2が5,512名、要介護1が9,580名、要介護2が7,249名、要介護3が5,964名、要介護4が6,175名、要介護5が5,926名となっております。

なお、全国の65歳以上の第1号被保険者に対する認定率18.0%に対して、本県は19.2%と、75歳以上の後期高齢者が多いことなどもあり、高くはなっております。

 次に、現行の介護サービスの現状といたしましては、高知市を中心に、居宅系のサービス提供事業者が増加を見せておりますが、一方で中山間地域などにおいては、新たな事業者の参入がなかなか進まないといった状況があります。また、介護支援専門員によるケアプランの作成において、サービスの提供だけを目的とした計画のため、自立に向けた支援にまでは至っていないといった事例などもお聞きをするところであり、改善にむけた事業者への指導に努めてまいります。

 最後に、県内市町村の新総合事業への移行状況につきましては、平成27年4月から既に土佐市と土佐清水市が移行を開始しておりますが、現在のところ、その他に10市町村前後が、本年度内の移行を予定していると伺っております。

県としましても、県内の市町村の新総合事業への移行が円滑に進みますよう、引き続き市町村とも連携を図りながら支援に努めてまいります。

 

●米田県議

要支援のデイサービスは20%以上もの介護報酬引き下げになり、事業者で要支 援者受け入れを控える動きも生まれています。少なくとも現行予防給付の介護報酬を保障するよう国に求めること、また市町村と協力して保障することを検討すべきと考えますが、伺います。

 

■地域福祉部長

現行の介護予防給付に係る介護報酬について、のお尋ねがありました。

今後とも、一人暮らしの高齢者や認知症高齢者等が増加することなどを踏まえますと、個々の市町村において、それぞれの地域の実情に応じたサービスの確保が可能となる新しい総合事業への移行は、県としましても支援していく必要があるものと考えております。

 今後、新総合事業へと移行した市町村において、国が示す現行の訪問・通所介護に相当するサービスや、緩和した基準によるサービスを実鹿する際には、そのサービスの内容に応じた適正な報酬が設定されるべきものと考えております。

このため、各福祉保健所の管内ごとに、他の市町村の動向が把握できる情報共有の場を定期的に設けますとともに、新総合事業への移行に向けた県内の状況や他県の先進事例等を情報提供する担当者会などを開催しているところです。

なお、先程申し上げましたように、今後県下の市町村の多くが、新総合事業への移行に向けた本格的な検討を始めてまいりますので、適正な単価設定がなされるよう状況の把握に努めてまいります。

併せて、必要があれば、今回の改定による影響なども踏まえ、次回の介護報酬改定に向けた政策提言活動なども検討していく必要があるものと考えています。

 

●米田県議

市町村に、要介護認定の申請権を尊重し「振り分け」前に認定申請を受け付けるよう求めること、また現行相当サービス利用を抑制しないとともに、短期間での「卒業」「自立」を促進するのではなく、あくまでも要支援者の心身の状態と生活実態に沿う自立支援を行うように助言すべきと思いますが、お聞きします。

 

■地域福祉部長

市町村に対して、被保険者に係る要介護認定の申請権を尊重するとともに、国が示す現行相当サービスの利用を抑制することなく、要支援者の心身や生活の実情に沿った自立支援に取り組むよう助言すべきではないか、とのお尋ねがありました。

国の介護予防・日常生活支援総合事業ガイドラインのQ&Aによりますと、市町村は、相談者に相談の目的や希望するサービスを聴き取るとともに、要介護認定の申請などについても説明することとなっています。

基本チェックリストについては、こうした説明を経たうえで記入していただく手続きか示されており、相談に来られた方の納得をいただいたうえで進められるものと理解をいたしております。

また、新総合事業を利用する際に行われる介護予防ケアマネジメントにつきましては、利用者の心身の状況などを適切に把握した上で、ケアプランを作成し、サービスを提供することとなっておりますし、モニタリングを通じてチェックを行うことともされており、地域包括支援センターにおいては、本人の状況を十分に把握したうえで自立支援に向けた取組みがされるものと考えています。

こうしたことから、県としましても、地域包括支援センターの担う役割が、今後、ますます重要となってまいりますので、センターの職員への研修などを通じましてそのスキルアップを図りますとともに、市町村による適正なサービスの確保が図られますよう取り組んでまいります。

 

●米田県議

国に対し、総合事業の「事業費上限設定」を撤廃し、必要な費用を保障するよう求めること。また前年度の介護事業費を基礎に国の交付額が決定されますが、決算時点で事業費減になった場合、今年度の交付額が削減されることになります。市町村の当年度事業確保のために国、県の支援が必要と考えますが、お聞きします。

 

■地域福祉部長

新総合事業の「事業費上限設定」を撤廃し、必要な費用の保障を国に求めること、さらには、市町村の当該年度の事業量確保のための国や県からの財政支援の必要性について、のお尋ねがありました。

新総合事業の上限管理につきましては、予防給付から新総合事業へと移行したサービスに必要な費用がまかなえるよう、従前の費用実績を勘案のうえ、上限を設定することとされております。

 基本的には、事業開始の前年度における介護予防給付費のうち介護予防訪問介護など3事業の実績と、地域支援事業のうち介護予防事業の実績との合計額により上限額を算定いたしますが、介護予臨給付費全体の実績による上限額の算定を選択することも可能となっています。

また、実際の費用の見込額が、先ほどご説明をいたしました上限額を上回る場合には、移行期間中は、事業開始の前年度の実績額に,110%を乗じた額の範囲内とするこことも可能となっています。

さらには、これらの方法によってもなお、市町村の実情により上限額を上回る場合には、事業の実施期間中若しくは実施後においても、個別の特殊事情を恵める仕組みが設けられており、必要な費用は保障されるものと考えております。

いずれにいたしましても、平成29年度までの新総合事業への移行に向けまして、市町村の事業実績の把握に努めてまいりますとともに、必要があれば、国に対する提言活動なども検討してまいりたいと考えております。

 

●米田県議

介護報酬の引き下げについてお伺いします。

  「介護の倒産最多55件、1~8月で前年上回る、報酬減、人材流出響く」、9月21日付け高知新聞の報道が衝撃を与えています。

 訪問看護、訪問・通所介護、通所リハなどを営むある事業所は、月2,050万円の収益で、月136万円、6.6%の減収となっていますが、できるだけ要支援者を敬遠したくはないが、と苦しさを語っていました。

 介護報酬全体で2.27%、史上最大の引き下げです。基本報酬部分は平均4.48%引き下げで、デイサービス最大9.8%、特養ホーム6.3%、要支援者向けでは通所リハは25.5%、デイサービスは20%以上削減などとなっています。そして、介護職員不足、倒産などとなり必要な介護が受けられず、介護難民、介護漂流が広がっているのであります。

  ホームヘルプやデイサービスなど高知県内の介護事業所の倒産、休止、廃止の状況について地域福祉部長に伺います。

 

■地域福祉部長

県内における介護事業者の倒産、休止、廃止の状況について、のお尋ねがありました。

今回の介護報酬の改定以後、4月から6月までの3ケ月間における県内の介護事業者の状況ですが、県と高知市に届出があり把握出来ているのは、休止が11件、廃止が59件となっております。なお、株式会社東京商工リサーチに問い合わせをしたところ、負債額1千万円以上の倒産件数につきましては、ゼロ件とお聞きをいたしております。

なお、休止11件の内訳といたしましては、居宅介護支援事業者に係るものが4件で、その他の事業者に係るものが7件となっています。また、廃止59件の内訳は、訪問看護事業者が10件、通所介護事業者が9件、通所リハビリテーション事業者が9件で、その他の事業者に係るものが31件となっております。

 

●米田県議

  今回の介護報酬引き下げの事業所、利用者への影響をどう把握しているのか、また実態を調査すべきと思いますがお聞きします。

それらをふまえて国に対して、3年後の次期改定を待たずに「介護報酬の引き下げ撤回」と前回の交付金のように「国の責任による介護労働者の賃金改善」を求めるべきと考えますが、お聞きします。

 

■地域福祉部長

今回の介護報酬改定による事業者や利用者への影響と実態調査の必要性について、また、介護報酬の引き下げ撤回と国の責任による介護労働者の賃金改善を求めるべきだと考えるがどうか、とのお尋ねがありました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。

今回の介護報酬改定による事業者への影響につきましては、本年4月から3ケ月間の廃止届出件数と新規指定件数について、昨年の同時期と比較する調査を国において実施いたしております。

調査結果によりますと、廃止届出件数は、全国で3,016件の減少に対し、本県では、4件の減少と例年並みとなっておりますが、新規指定件数については、全国の3,594件の減少に対し、本県でも62件の減少となるなど、新たな事業者の参入が控えられているといったことも考えられます。

 こうした状況などから、現在のところ県内の介護サービス利用者の皆様には、大きな影響が出てはいないものと考えてはいますが、今後、第6期介護保険事業支援計画の進捗管理を行う中で、引き続き今回の介護報酬改定の影響などについての検証を行ってまいりますとともに、事業者の方々のご意見などもお伺いしながら、必要があれば、国に対する政策提言活動などを全国知事会などとも連携のうえ、検討してまいりたいと考えています。

 

●米田県議

 また、現在の介護職員の不足、そして10年後にはさらに900人確保しなければなりませんが、県として実効ある取り組みをどう進めていくのかお伺いします。

 

■地域福祉部長

介護職員の確保に向けて、実効性のある取組みをどのように進めていくのか、とのお尋ねがありました。

本県の7月末の介護関係の有効求人倍率は、1.37と上昇傾向にありますし、厚生労働省の推計では、2025年度に約900人の介護人材の不足が見込まれるなど、介護人材の確保対策は、喫緊の課題となっています。

このため、今後の対策を進める際には、新たな人材の参入促進と、職場定着率の向上に向けた就業者の他産業への流出防止といった、両面からの取組みを強化する必要があるものと考えております。

 先ず、新たな人材の参入促進に向けましては、福祉人材センターにおけるマッチング機能を抜本強化いたしますとともに、福祉人材センターと福祉研修センターが連携し、新規就労や復職希望者向けの研修体制の充実に取り組んでいるところです。

また、ハローワーク、「高知家の女性しごと応接室」などとも連携し、新規就業に繋がる就職相談会やセミナーを開催いたしますとともに、未就業の介護福祉士いわゆる潜在介護福祉士への求人情報の提供などにも取り組んでおります。

加えて、小・中・高校生を対象に、福祉・介護分野に関心を持っていただくためのキャリア教育なども推進しているところです。

 次に、他産業への人材の流出防止に向けましては、福祉研修センターにおいて、職員のモチベーションを高め、職場への定着促進につながる職員のスキルアップ研修などに取り組みますとともに、職場環境の改善に向けまして、福祉機器の導入などに取り組む事業者を積極的に支援してまいります。

 こうした取組みなどを通じまして、新たな人材の参入促進と他産業への人材の流出防中を図ることにより、安定した介護サービスの確保を目指してまいります。

 

 

【住宅政策】

●米田県議

住宅政策についてお伺いいたします。

  昨年12月、NPO法人ビッグイシュー基金が「若者の住宅問題」住宅政策提案書「調査編」を発表しています。首都圏、関西圏の20歳~30歳の若年で未婚、年収200万円以下の男女を対象に、インターネットを通じて居住実態を調査、1,767件のサンプルを回収。結果は、回答者の4人に3人が親と同居、正規労働者7%、非正規47%、無職39%。3人に1人が「大卒」、「いじめ」経験者、3割弱が「うつ病経験者」。結婚の意向については、「したいと思はない」34%、「将来結婚したいができるかわからない」20%、「できないと思う」18%などとなっており、住宅問題を超える「社会的不利・困難を抱えた若者」の深刻な問題にも連なっているとしています。そして同時に、「住宅事情の改善と安定が、貧困に立ち向かい、社会の持続を支える条件になる」とまとめています。

  高知県の未来を担うのは若者たちであり、若者に対する総合的な政策の必要性、重要性はいうまでもありません。いま若者の定住と人口問題の観点からも、先に紹介したように住宅や就業、結婚なども含めた総合的な若者の実態調査を実施してはどうかと考えますが、この点は産業振興推進部長にお聞きします。

 

■産業振興推進部長

若者の定住と人口問題の観点から、住宅や就業、結婚なども含めた総合的な若者の実態調査を実施してはどうか、とのお尋ねがありました。

この8月にお示しました本県の2060年の人口の将来展望の実現のためにも、県外への転出が多い20代、30代の若者の皆様に、県内にいかに定着をしていただくかが大きな課題だと考えております。

若者の皆様の県内への定着に向けましては、まずは、働く場の確保が重要になってまいりますことから、それへの対応を探るべく、これまでも国の国勢調査などを通じ、若者の皆様の就業の現状や希望の把握に努めてまいりました。

また、結婚や子育てに関しましても、県民意識調査などを通じて、若者の皆様に現状や希望をお聞きするなど、これまでも、若者の皆様の置かれた環境に関して必要な情報の把握に努め、各種の政策に利活用してきたところであります。

今後、人口の将来展望の実現に向けて、さらに若者の定着に向けた施策をバージョンアップする必要がありますことから、ご指摘のありました住宅状況なども含め、新たにどのような情報の把握が必要かについて研究してまいりたいと考えております。

 

●米田県議

次に、土木部長に具体的にお伺いしますが、公営住宅法が改正され入居資格の年齢制限が外されています。県としても同居、単身60歳以上の用件をなくしたとのことですが、その実績と県民への周知、また県下市町村営住宅の見直し状況について、お伺いします。

 

■土木部長

県営住宅の入居資格の年齢制限等が外されたが、その実績、周知および市町村営住宅の見直し状況について、お尋ねがありました。

 県営住宅については、公営住宅法の改正で同居親族要件が廃止されたことに伴い、平成24年度から単身者は60歳以上とする要件を廃止しています。

 県民の皆様への周知については、平成24年度の第1回の県営住宅の入居者募集案内時に、単身者の募集枠を広げたことについて、新聞、テレビ、ラジオで広報しています。

平成24年度以降、60歳未満の単身応募者数は284人であり、単身応募者全体の概ね3割を占めていることから、一定の広報効果があったものと考えています。

 また、市町村営住宅については、県と同様に、単身入居者の年齢制限を設けていない市町村は14となっています。

 

●米田県議

また今年度から、「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業」が新たな制度として始まっています。民間住宅の空き家を活用して、住宅確保要配慮者の方に入居してもらうという、公営住宅に準ずる制度ですが、県の取り組み状況について伺います。また、いわゆるハウジングプアにある若者も要配慮者であり、当然若者も対象となるよう、居住支援協議会などと協力をして国に改善を働きかけることを強く求めるものですが、お聞きします。

 

■土木部長

「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業」にかかる県の取り組み状況と、ハウジングプアにある若者も対象となるよう国に改善を働き掛けるべきではないか、とのお尋ねがありました。

「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業」は、国から民間事業者に直接補助する事業であることから、県は宅建団体等に事業の内容について周知を図っています。

7月から事業の募集が始まったところでございまして、県内の民間事業者から現時点で1件の応募があったと聞いています。

本事業では、単身若者世帯は入居対象となっていないため、今後、ニーズを見極めながら、必要に応じ、制度の拡充に係る国への要望を検討してまいりたいと考えています。

 

●米田県議

さらにこの事業を発展させて、借り上げ公営住宅を整備することを提案するものです。いま増え続ける空き家問題が大きな社会問題となっています。全国的には820万戸・空き家率13.5%、高知県は約7万戸・空き家率17.8%です。そのうち賃貸用民間住宅は全国で約430万戸、高知県では約2.4万戸あります。賃貸住宅は重要な社会資源でもあり、活用・再生について、福祉サイドとも協力して所有者、住民などと検討すべきと考えますが、お伺いします。

 

■土木部長

福祉サイドとも協力して所有者や住民などと、空き家の活用・再生について検討すべきではないか、とのお尋ねがありました。

 空き家を再生し、低廉な家賃で提供することで、低所得者や移住希望者などへ居住支援ができると考えています。

このため、県では昨年度から、市町村が空き家を借り上げるなどして、良質な公的賃貸住宅として活用する場合に、耐震改修や水回りのリフォームなどに要する費用の一部を補助する「空き家活用促進事業」を推進しており、これまでに26件の空き家が再生され、低廉な家賃で供給されています。

この事業は、借り上げ公営住宅ではありませんが、低廉な家賃で供給することが可能なことから、低所得者などへの居住支援にも活用できるものとなっています。

 今後も、福祉部局と連携した居住支援も含めて、当該事業の活用を市町村に積極的に促し、県内全域で空き家の再生を促進してまいりたいと考えています。

 

●米田県議

若者の家賃補助の実施についてですが、フランスやデンマークなどでは、少子化対策の一つとしてもすでに実施をしています。全国でも高齢者、新婚、障害者、母子・父子、子育てなどとともに若者向け含めて約80自治体で取り組まれています。若者の貧困を放置していては、社会の持続はありません。若い人たちが親の家にとどまるのか、自分の住宅を借りるのかを選択できる施策が必要ですが、家賃補助制度導入について伺います。

 

 

■土木部長

若者を対象とした家賃補助制度導入について、お尋ねがありました。

 特定の方を対象とした家賃賃貸住宅に対する家賃補助は、家賃の高止まりを招き、結果として政策効果が薄まるとともに、家賃補助の対象となる方以外の入居を阻害するおそれがあります。

 加えて、民間の賃貸住宅が都市部に集中する本県において、若者を対象とした家賃補助制度を県が導入した場合、郡部からの若者の流出を助長することにも繋がりかねません。

 このため、県の事業として若者を対象とした家賃補助を行うことは、困難と考えています。

 

●米田県議

住宅の耐震改修について伺います。

  住宅の耐震、家具の固定は、津波浸水予測地域を含めて、住民のいのちと財産を守るとともに津波避難行動への出発点、土台であることはいうまでもありません。県は、新たに木造住宅の耐震設計・改修工事に対する補助金を、事業所が自治体から直接受け取る「代理受領制度」の仕組みもつくり耐震化促進に努めています。

  県は、2020年度までに耐震化率を95%程度に向上をめざすとしていますが、到達状況とその要因について伺います。

 

■土木部長

2020年度までに耐震化率を95%程度とする目標の現在の到達状況とその要因について、お尋ねがありました。

本県における住宅の耐震化率については、平成25年住宅・土地統計調査」をもとに、約75%と推計しており、その後、年1%程度のペースで向上しているものと考えています。

 住宅の耐震化を阻害する要因としては、耐震化の必要性に対する県民の皆様の理解が深まっていないこと、耐震化に多額の費用がかかる場合があることなどが考えられ、現在のペースを加速化させるためには、普及・啓発の徹底や住宅所有者の経済的負担の軽減など、さらなる努力が必要と考えています。

 

●米田県議

また「代理受領制度」のすべての市町村での実施に向けてどう支援をしていくのか、県民、事業所などへの周知徹底をどう図るのか、お聞きします。

 

■土木部長

「代理受領制度」の全ての市町村での実施に向けた支援と、県民や事業所などへの周知徹底について、お尋ねがありました。

 住宅所有者が耐震改修工事費の全額を準備しなくて済むよう、市町村から事業者に直接補助金を支払う代理受領制度については、現在、8市町村で実施されています。未実施の市町村に対しては、個別に実施の依頼を行っており、年度内には、さらに7市町村で実施していただけることになっています。

 今後、制度の効果を検証した上で、未実施の市町村への情報提供を行い、全市町村での実施に向けて取り組んでまいります。

また、県民の皆様や事業所に対しては、出前講座や事業者向け講習会などで、制度の仕組みについて紹介をしています。広報誌への掲載や、戸別訪問の際に住宅所有者の方に説明することを市町村に要請するなど、引き続き周知を図ってまいります。

 

●米田県議

この間県は、住宅耐震化の一つとしていわゆる「段階的改修」について検討されていますがどう対応されるのか、また「低コスト工法」の普及を促進するとしていますが、事業の効果と県民への周知、普及をどう進めていくのか、伺います。

 

■土木部長

「段階的改修」の対応と、「低コスト工法」の普及促進による事業効果と県民への周知、普及について、お尋ねがありました。

段階的耐震改修については、住宅所有者の初期費用の負担を抑えるため、多額の費用がかかる基礎の補強工事を分離して後から施工することでも、一定の基準まで耐震性が向上すれば、倒壊のリスクの軽減につながるものと考えています。

事業主体となる市町村の意向を確認しながら、年度内に補助制度の枠組みを決めてまいりたいと考えています。低コスト工法については、昨年度、マニュアルを作成し、これを活用して講習を実施しています。

6月に実施した耐震診断士を対象としたアンケート調査によると、低コスト工法を認知している診断士が、昨年度の39%から60%に、低コスト工法を耐震改修設計に採用している診断士が8%から14%に上昇しており、低コスト工法の定着が進んでいると考えています。

 また、県民の皆様に低コスト工法の周知を図るため、県では、低コスト工法による耐震補強計画のポイントや、補助制度を活用して自己負担が10万円程度となった施工事例などに関する資料を市町村に提供し、戸別訪問の機会に活用していただいています。

 今後も、これらの取り組みにより、住宅所有者の経済的負担の軽減を図ってまいります。

 

●米田県議

耐震改修を促進するためには、住民負担のさらなる軽減が必要と考えます。同時に重要なのは、県民への粘り強い広報・啓発、そして単身含めて高齢世帯も増えており、耐震化の必要性や工事にかかる家財整理など住民一人一人にあった支援を強めなくてはなりません。県も、今後思い切った全戸訪問を計画されていますが、県、市町村、など行政が一体となって、自主防災会、自治会、民生委員、ボランティア、大工・工務店などとのいっそうの協働が求められているのではないでしょうか、伺います。

 

■土木部長

耐震改修を促進するために、県、市町村、自主防災会、自治会、民生委員、ボランティア、工務店などとの一層の協働が必要ではないか、とのお尋ねがありました。

耐震改修を促進するためには、議員からお話がありました通り、住宅所有者の経済的負担の軽減に加え、市町村、自主防災会など、幅広い分野の方との協働も必要と考えています。

このため、市町村や事業者、自主防災会などとの連携をさらに強化するとともに、NPO法人や民生委員など、幅広い分野の方々と協働した取り組みを進め、耐震改修の促進に努めてまいります。

 

●米田県議

公営住宅の耐震化についてですが、県、市町村それぞれの状況と、耐震化計画の策定状況について、そして学校の耐震化促進のために県の財政的支援を行っていますが、公営住宅は入居者・住民の安全に直接責任を負う立場にあり、その耐震化促進のためにも市町村への財政的支援を検討すべきと考えますが、お伺いします。

 

■土木部長

県及び市町村の公営住宅の耐震化の状況と計画の策定状況、市町村営住宅の耐震化に対する県の財政的支援について、お尋ねがありました。

耐震化も含めた公営住宅の長寿命化計画については、県とすべての市町村で策定しております。平成27年8月時点の耐震化率は、県は100%、市町村は平均で87%となっています。

 また、県の財政的支援に関しては、公営住宅は家賃収入で運営しており、原則として家賃収入を得ている市町村が、国の補助も活用しながら、責任をもって行うべきものと考えています。

 

 

【第二問】

●米田県議

 教育長に、待機児童数の実数、ふたつの市でそれぞれ何人になっているのかというのと。雇用の問題で臨時45.3%、正規何%、パートタイム何%ということが分かればお願いします。

 

■教育長

 待機児童の数ですが、高知市で43名、香美市で4名の合計47名となっております。

 それから保育士の臨時、正規職員、それからパートでございますが、先ほど申し上げましたのは、常勤職員の中での臨時職員の割合は45.3%ということでございますが、パート職員も含めた全体で申しますと、正規職員が44%、臨時職員が36.4%、パートの職員が19.7%

となっております。

 

●米田県議

地域福祉部長にお伺いします。新総合事業は明らかにこれまでのサービスの水準を保つものではなくて、コスト削減が大きな目的となっています。ある市のシルバー人材センターが、新しいサービスを受けていますが、そのセンターの文書に明確に書かれています。従来、介護事業所のヘルパーによっておこなわれていたサービスをセンターが担うことで、サービスのコストを低減できるということで、介護事業所、プロがやりよったところを、センターが受けるということが起こってきているわけです。ぜひ、必要な介護サービスを後退させない、そういう思いで市町村と一体になって、私は取り組んでいただきたいと思いますので、改めてそれにむけての決意をお伺いします。

 

■地域福祉部長

 介護保険を運営するのはあくまでも市町村となります。議員のお話にもありますように、市町村ともども円滑な運営にむけて県としても協力して、やってまいりたいと考えております。

 ただ、今回の新総合事業への移行につきましては、片一方で地域地域で創意工夫をいかしたサービスの提供によって、新たな雇用の創出につながっていくという側面もありますし、また市町村と鋭意協力しながら、そういう視点も大事にしてやってまいりたいと考えています。

 

●米田県議

知事に何点かお伺いします。ひとつは原発の再稼働問題で、民間研究所のシミュレーションの回答をいただきまして、いま非常に深刻なことが予想されるわけですけれど、同時に県民の健康や農林水産業へ、そういうことが想定された場合、どんなふうに受け止めておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。

 

■知事

 シミュレーションの問題ですが、やはり健康、農林水産業、大きな影響があるからこそ、絶対に事故を起こさせてはいけないと、ですから、安全対策を徹底して求めていくことを繰り返してきているところでありまして、やはりまずはそういう方向での取り組みをすることが第一。ただ他方で、危機管理というのは最悪の最悪の事態も想定して対策も立てておくということもまた一方で必要であるということでありまして、先ほど申し上げましたように、こういうシミュレーションなども参考としながら避難計画を立てていくと、そういう両者を両立させていくような、考え方なのかなと思っております。

 

●米田県議

2点目は、少子化対策問題で、知事自身も言われましたように、結婚するにしても子育てにしても、やはり安定した雇用と収入、そして経済的負担の軽減がカギになっています。しかし、県の少子化対策をみるとですね、経済的負担がカギになると、国と連動してとだいぶトーンが落ちるんですよ、率直なところ、私は子育て支援、少子化対策なくして、やっぱり地方創生、地方再生はありえないと思うんですね、そういう点では、国に抜本的な対策を求めることも大事ですけれど、同時に県として、いま知事の本気度がとわれているのではないかと思います。中学校までの医療費の無料、あるいは給付制奨学金の創設など、若者や県民全体にむけて、やはり、子育てするなら高知県ということを県民のこころに響く力強いメッセージを送る決断を私はすべきではないかなと強く思うところですが、それぞれご答弁をお願いします。

 

■知事

 少子化対策について、安定した雇用、そして経済的負担の軽減ということは非常に大事なことだと思っています。ただやはり、安定した雇用とか、経済的負担の軽減ということについては、まず第一に産業振興計画、中山間対策をはじめ、さらに日本一の健康長寿県構想も色んな形で雇用を生む方向の取り組みもあると思っていますが、こういう取り組みを総合的に進めていく中で、全体の底上げを図るように取り組むということが第一であります。  

 第二に、それぞれ子育てにかかるそれぞれの局面での経済的負担を軽減するなどといった取り組みについては、非常にインパクトをもたらすものとなってきますとやっぱり国全体の財政出動がなければ、なかなか叶わないということが多いということかと思っています。

 そういう意味におきまして、やはりこれは結果をもたらすためにも、国を動かすということでありまして、知事会のプロジェクトチームなんかでも意見して、求めていくと、こういう2つの方向でいかしていただきたいと考えているところです。

 

 

【第三問】

●米田県議

 確かに少子化対策では、知事も全国知事会議で次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーですので、国に対してやっぱり迫ると、地方の声や県民のみなさんの願いに応えて、全国知事会が国に迫っていくというリーダー的な役割を大いに発揮してもらいたい。同時にその力を、後押しを大きくするためにも、我が高知県でどうするんだということも合わせてやらないと、全国的に子どもの医療費もそうですよね、全国の自治体が国のやらないなかで、すすんで子育て支援、子どもの健康を考えてすすんだわけですから、そういうことも引き続き検討して頂きたい、これは要望しておきたいと思います。

最後に、安保関連法、戦争法についてですが、 国会審議を通じて、憲法学者や、憲法の番人と言われる方々の発言などによって、安保関連法は知事のいう「合憲であること」「自国防衛であること」を全く担保するものではないこと、憲法に明確に違反していることを鮮明にしていると思います。

  また仮に安全保障の環境の変化があるとしても、「規範」となって「骨肉」となった憲法解釈を覆すことは到底許されるものではありません。

   いま若者が、お母さんたちが、年配・戦争体験者が、学者が、各界の著名人が自主的に、勇気を持って立ち上がり、闘いが続き広がっています。ここに希望があると私たちは確信をしています。

  改めて憲法の平和主義、立憲主義を取り戻し貫く政治の実現を目指してがんばる決意を表明させていただいて質問を終わります。