議会報告

  • 2016年03月15日
    2016年2月議会 予算委員会での塚地佐智県議の質問と答弁(2016.03.08)

【質問項目】

1、子宮頸がん検診

2、スクールソーシャルワーカー

3、教職員の健康管理

 

 

【子宮頸がん検診】

●塚地県議

今日は、国際女性デーでございまして、女性の健康と命にとって重要な子宮頸がん検診について、まず質問させていただきます。

2012年の集計では、本県では子宮頸がんの新たな罹患者数は80名、残念ながら19名の方が亡くなっています。08年は罹患者数は56名でここ数年増加傾向となっています。子宮頸がんの手術により、出産可能年齢の方の子宮を摘出する場合もあり、健康対策としても出産希望を叶えるためにも子宮頸がん対策は重要な課題となっています。

子宮頸がんはその原因が特定をされています。それはヒトパピローマウイルス、いわゆるHPVの感染が原因だと解明されているため、予防が可能ながんなのです。本来であれば、検診と予防ワクチン接種の両輪で予防を推進すべきと考えますが、ワクチンの積極的な摂取勧奨が差し控えとなって、ほぼ3年が経過しており検診がその重要な対策となります。  

この3年間の予防ワクチン接種者数、検診受診率はどのようになっているか、健康政策部長におききいたします。

 

■健康政策部長

ワクチンの新規接種開始者は、平成24年度が2,962人、25年度が658人、26年度が36人となっています。

子宮頸がん検診の受診率ですが、20~69歳までの県全体の受診率で言いますと、24年度が27.7%、25年度が28.1%、26年度が27.5%となっています。

 

●塚地県議

予防ワクチンの課題もありますけれども、今日はこの点は今回さておくとして、市町村によって決して高くない今の受診率ではありますが、さらに大きな差がありまして、最低のところは受診率は10.8%と25年度の数字が出ている町もございます。

この原因をどのように考えておられるか伺います。

 

■健康政策部長

受診率が逆に高い市町村で見ますとですね、やっぱり長年の取り組みの中で住民に受診意識が定着しているというところが多くあります。住民組織による個別訪問をはじめとした受診勧奨や再勧奨などが、受診率の向上には効果があるというふうに考えています。

このため県の方もですね、平成22年度から市町村に対して、検診対象者への個別通知、未受診者への再勧奨を行う経費を支援しておりまして、確実に検診対象者に検診情報が届くように取り組んでおるというところでございます。

●塚地県議

ご努力はわかりますけれども、先ほどの数字は決して効果が今の段階で現れている数字ではないと思います。

島根県の出雲市では、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスに感染しているかどうかを自分で検査できるキットを、市内の25歳~45歳の未受診者のうち希望者に無料配布をして、結果が陽性だった人を中心に、検診の受診を促す取り組みを開始されています。

1人の未受診者も作らないというきわめて積極的な取り組みだと考えますが、部長の見解を伺います。

 

■健康政策部長

市町村検診として導入するには、検診精度や、陽性となった方がどの程度、細胞診を受診するかなど検討が必要な点はありますけれども、子育て世代や働き世代など、時間が取りにくい方を検診に結びつけるには、有効な手段のひとつではないかと思います。

出雲市は研究事業として平成27年度限りでこの検査を実施しているとのことですけれども、どのような結果がでるのか注目をしております。

 

●塚地県議

ありがとうございます。

出雲市が、ここまで積極的取り組みを行っている背景には、07年度から、先ほどお話もありました全国で初めて子宮細胞を調べる「細胞診」とHPV遺伝子を検出する「HPV検査」の併用を実施し、その成果が科学的にも、さらに受信回数が縮減されることで財政的負担も出雲市では軽減されることが実証された結果だと思います。

先にも、少し述べましたけれども、子宮頸がんには他のがんと決定的に異なる点があります。それは、検診で「がんになる前の段階」で発見が可能という点です。

この間島根県立中央病院の副院長長の岩城治医師や、自治医科大学付属さいたま医療センター産婦人科の今野良教授などが研究を重ねてこられ、その有用性が検証されています。その第1は、がんになる前の細胞いわゆる前がん病変の発見の精度が向上し出雲市では導入後、発見数は2倍に増加をしています。第2は、そのことによりがんの進行が進まない段階での発見が可能となり、全県的にこれを実施しています島根県では浸潤がん、いわゆる重くなったがんの症例数が約半減したということが報告されています。第3には、この間の研究で、HPV検査も細胞診も陰性の場合、約3年間はがんにならないというデーターも含まれておりまして、陰性の方の安心と検診回数を減らす効果が得られています。

日本産婦人科医会では2011年の秋に専門家の立場から子宮頸がん検診のリコメンデーションを作成して、HPV検査併用検診を推奨をしてまいりました。

この間、宮崎県や川崎市などでも実施がされてまいりましたけれども、この県のHPV検査併用検診の実施について、検討されたことがあるのかお伺いをします。

 

■健康政策部長

対策型検診は、国の検診指針に基づいて実施することが基本だと考えています。

国の動きとしては、平成24年度にがん検診のあり方に関する検討会を開催し、HPV併用検診について検討が行われています。この検討の中では、有識者及び検討委員ともに、HPV併用検診導入については前向きな発言が多くありましたけれども、検診対象年齢や検診間隔など、日本人にあった検診内容を早急に検討すべきであるとの見解により導入自体は見送られていることから、県としてそれ以上の事は検討をしておりません。

 

●塚地県議

 県としていま検討をされてないということでしたけれども、確かに、国の検診指針に基づく検診は必要です。でもそれはあくまでガイドラインで、いまお話をしたとおり島根県などではその実践的に有用性が明らかになっています。

全年齢にその検診をするとなれば、予算的にも大変なものになりますけれども、ぜひとも前向きに一定の若年層を含めて、この検診をぜひとも、早急に私は取り組んでいただきたいというふうに思いますけれどもいかがでしょうか。

 

■健康政策部長

現在の子宮頸がん検診は、2年ごとの受診で統一されていますが、HPV検査を導入すると、陽性者は1年に1回、陰性者は3年に1回など、これまでの受診間隔が見直される可能性が高く、検診台帳による受診状況の管理と未受診者へのフォローアップが重要となってきます。その体制が整うことが確認できれば、県が検診方法や精度管理について検討するために設置しています「高知県健康診査管理指導協議会子宮がん部会」の中で、検討を始めることはできると考えています。

しかしながら、併用検診の導入に向けた一番のネックは、今お話にもありましたように、検診費用が倍になることで、10年スパンで見ても6割程度高くなります。国の検診指針に盛り込まれていない検診を独自に実施する場合、受診者本人に全額負担を求めるのか、行政として支出するのか、実施主体である市町村の判断が出てきますので、十分な協議が必要であると考えています。

 

●塚地県議

 確かに十分な協議は必要だと思いますけれども、この間、島根県で出されてきている浸潤がんの症例が減る、命にかかわることでございますので、ぜひ私は前向きにがん部会の方でも検討をしていただきたいと思いますし、先ほど受診率を高めるためにこのHPVの検査を自ら行うことのできるそうした方法もございます。

ぜひそうした方法で受診率を高めていくということも検討をしていただきたいと思いますが、その点最後にお伺いいたします。

 

■健康政策部長

自己検診をして、その陽性の方に、子宮頸がんの細胞診を受けていただくという取り組みは、受診率を高める上で非常に注目をしております。今年の出雲市の結果で本当に子宮頸がんの受診率が高くなるということであれば、積極的に検討はしていきたいと思っています。

ただ、経費的にもたぶん1千万オーダーかかるというところもありますので、費用対効果をしっかり見極めたいなというふうに思っています。

 

●塚地県議

 ぜひとも注目していただいて、その費用対効果も命を守るという観点で効果も考えていただいて取り組みをすすめていただきたいとお願いをしておきます。

 

 

【スクールソーシャルワーカー】                           

●塚地県議

スクールソーシャルワーカーの問題で教育長にお伺いをいたします。

今議会の知事説明でも、厳しい環境にある子どもたちへの支援として、教育相談支援体制のさらなる充実を目指すとして、スクールカウンセラーの配置校の拡充、スクールソーシャルワーカーの配置数を69人から79人に拡充する方向が示されました。

困難を抱えた児童生徒に寄り添いながら、その家庭の保護者や専門機関との連携を図り、家庭ぐるみの支援活動を展開する上で、その専門性や人間関係の蓄積はきわめて重要となります。スクールカウンセラーもその重要な役割を担っておられますが、今議会では、スクールソーシャルワーカーの課題について、その機能と体制強化を求めて何点か伺います。

まず、昨年度の相談実績と特徴的な取り組みを教育長に伺います。

 

■教育長

昨年度、スクールソーシャルワーカーの支援の対象となった子どもの数は、1,278人で、そのうち継続的に支援した子どもは949人でございます。相談内容としては、家庭環境の問題、不登校、発達障害に関する課題などが多くなっております。

 平成20年度に初めてスクールソーシャルワーカーを配置して以来、その拡充に努めておりまして、それに伴いまして支援する子どもの数も増えているという状況でございます。

 スクールソーシャルワーカーは、それぞれの学校や地域の実態に応じまして工夫した取組を行っていただいており、その取組は大変多様なものでございますけれども、その中で、特徴的なものをいくつか挙げますと、相談者との初回面談は必ずスクールカウンセラーと一緒に行い、情報共有の効率化やスムーズな役割分担を図っているといったケース。あるいは、不衛生な家庭環境にある子どもに対して、市町村の福祉部局を巻き込んで清掃を行い、家庭での居場所や学習できる環境を整えたといったようなケース。また、教育支援センターを活動拠点とすることによって、不登校の子どもへの居場所づくりと、保護者が気軽に相談できる窓口を一本化させたようなケース。こういったことがあげられます。

 

●塚地県議

 大変、生活に寄り添って、これは時間的に言うと、いわゆる8時間勤務でない状態の中で支えている姿だというふうにお話を伺って受け止めております。

文部科学省でも、その必要性から来年度小中学校に3,000名、高校に4名。貧困対策の重点加配を600人から1,000人に増員すること。新規にスーパーバイザーを47人配置し、資質向上のために研修会や連絡協議会を支援することとされていますが、本県での配置計画はどのようにされているか伺います。

 

■教育長

本年度は、27の市町村の264校の小中学校と、県立の中学校3校、高等学校9校、特別支援学校2校の合計278校に延べ69名を配置をしております。

 来年度は、29の市町村の269校の小中学校と、県立の中学校3校、高等学校14校、特別支援学校5校の合計291校に延べ79名を配置する予定でございます。

スクールソーシャルワーカー1人当たりの活動時間は、ケースにより様々ございますけれども、標準的には1日6時間の週3回というふうになっております。

 その他、スクールソーシャルワーカーへの支援やアドバイスを行っておりますスーパーバイザーにつきましては、平成20年度から大学教授等を3名配置をしてきておりますけれども、本年度からは、4名に増員をいたしまして、来年度も同様の4名の配置を行う予定でございます。

 

●塚地県議

 ありがとうございます。

全国的に見てもですね、本県の配置は積極的なものだというふうに思っています。故に、全国に誇る機能や体制整備に先進県として、一歩踏み込んでいただきたいというふうに思っております。

まず、専門性の確保です。基本的には、社会福祉士や精神保健福祉士などの福祉に関する専門的知識を持っておられる方の確保が必要だと思いますけれども、どうなっているか伺います。

 

■教育長

本県の状況でございますけれども、平成27年度のスクールソーシャルワーカー延べ69名と申しましたのは、一人のスクールソーシャルワーカーが市町村をまたいで配置した場合などは、複数でカウントしておりますので、実人数としては57名でございます。

そのうち、文部科学省がスクールソーシャルワーカーの原則的な資格要件としております、社会福祉士と精神保健福祉士につきまして、いずれかの資格を有している方は1名でございまして、うち2名は両方の資格を持っております。

 その他では、退職された校長等、教員免許を有する方が30名で最も多くなっております。 退職校長等は、子どもと接してきた経験が豊富で、地域の実情にも明るいことから、スクールソーシャルワーカーとして大いに活躍していただいているというところでございます。

 社会福祉士の資格を持っていることが望ましいといったことは確かでございますけれども、現在は、スクールソーシャルワーカーの人数自体が不足しているという状況でございますので、当面は、人数を確保するといったことを第1として取り組んでいるところでございます。有資格者の確保につきましては、今後、県立大学や関係機関と連携してその確保に努めていきますし、雇用主体であります市町村とともに、教育・福祉の分野で活動の実績がある人材の確保にも努めていきたいと思います。また、研修の機会についてもこれから充実をさせていきたいというふうに考えております。

 

●塚地県議

 県立大学の方との協力というお話もありました。社会福祉士を要請されて、正式にその仕事に着きたいという学生さんたちもおられると思います。ただ、いまの状況ですとそのことだけで一生、仕事を続けていけられるのかという身分上の不安定な問題などもあって、専門家をお雇いするというのが難しい状況も一方ではあります。

そのことを先日、有資格者の確保の努力をされて、事業説明会も県教委もされたと思いますけれども、そこで出された課題について、見えてきたものをお示しください。

 

■教育長

本年1月に、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有する方々ですとか、県立大学社会福祉学部の学生を対象に、スクールソーシャルワーカーの活動について具体的に知ってもらいまして、将来、スクールソーシャルワーカーとして活躍してもらうことを目的に事業内容の説明会を開催しました。

説明会には、有資格者の方が10名、大学生7名の参加がございました。説明会では、スクールソーシャルワーカーを募集する市町村からの業務内容の説明ですとか、現役のスクールソーシャルワーカーから実際の活動内容ややりがいなどの話をしていただいたというところでございまその後、説明会に参加した方々から市町村へ2件ほどの問い合わせや応募があったというふうに聞いております。

 一方、参加者が必ずしも多くなかったということ、また、参加者の中からは、「スクールソーシャルワーカーは、関心がある職業だが、継続した雇用ではないため、なかなか転職には踏み切れない」といった声が聞こえたことは今後の課題だというふうに考えております。今後、こうした課題への対応についての検討を進めるとともに、社会福祉士や精神福祉士協会といった団体とも連携して、人材の確保に努めてまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

ぜひ重要な役割を担う方にふさわしい処遇というのを実現をしていただきたいと思っています。

国は、スクールソーシャルワーカーの必要性は認めながら、小中学校に配置するスクールソーシャルワーカー1人あたりの積算基準を週あたり1日3時間というふうにしていまして、全く不十分なものといわなくてはなりません。

国に対して予算措置を含めた抜本的な見直しを求める必要があると思いますが、教育長に伺います。

 

■教育長

お話にありましたように、1週間の内、1日3時間というのは、当然不十分だというふうに思います。

 県では、これまでも、国に対して、スクールソーシャルワーカーの配置の拡充ですとか、専門性の高い人材を確保するための常勤化などの待遇改善を要望してきております。また、全国都道府県教育長協議会におきましても、スクールソーシャルワーカーの養成に努めるとともに、学校や教育委員会に確実に配置できるよう、財政支援の拡充ですとか国庫補助率の引き上げなども要望してきているところでございます。

 国におきましては、昨年12月の中央教育審議会の答申の中で、将来的には、学校教育法等におきまして、スクールソーシャルワーカーを正規の職員として規定するとともに、教職員定数として算定し、国庫負担の対象とすることを検討することが求められているということでございました。

 今後は、スクールソーシャルワーカーの配置について、学校の数だけでなく、1校あたりの配置時間を増やせるよう拡充するための予算確保と共に、答申の内容に沿った法整備が実現されるよう、引き続き要望をしてまいります。また、予算がつきましても、先程申しましたように人の配置の問題で、十分配置できないといったようなケースもございますので、人材確保に引き続き努めていきたいというふうに考えています。

 

●塚地県議

 ありがとうございました。国の法制化の動きがいま急速に強まっている中です。ぜひとも常勤化をするというのがやっぱり基本のスタイルではないかというふうに思いますので、ぜひそういった方向が実っていくように声も届けていただきたいというふうに思いますのでよろしくお願いいたします。

現状ですね、一歩でも改善する取り組みというのが現場では求められています。県教委は、県立学校は直接事業を行い、小中学校は市町村への委託事業ということにしております。この委託先によってスクールソーシャルワーカーの処遇の差が当然あるわけですけれども、どこでも決して十分な状況ではなくて、身分の不安定性、携帯電話やパソコンなどの機器の未整備といった状況もありますし、それぞれの相談の情報管理の困難さというようなことも現場からは声が上げられています。先ほどの国の体制整備を待つまでもなく、一刻も早くこの県としては改善に取り組む必要があるというふうに思います。

緊急な相談などに気軽に連絡をとる携帯電話などのアイテムは必須だと私は思っておりますけれども、処遇の改善にどのように取り組まれるか教育長に伺います。

 

■教育長

お話にありましたように、市町村に配置するスクールソーシャルワーカーは、委託で行っておりますので、市町村の規定に基づいて雇用されていることで、処遇が異なっているという状況がございます。

 ですので、お話がありましたように、仕事に必要なものも含めまして、執務環境の改善といったことについては、市町村に働きかけをしていきたいというふうに思います。

 また、そのスクールソーシャルワーカーに対する報酬の時間単価についても、かなりばらつきがございますので、そういったことについても、是正ができないかといったことについても、市町村とも相談させていただきたいというふうに思っております。

 

●塚地県議

 時間単価の問題もございましたが、それと同時に時間の単価が高くても、社会保険に入れていないとか、通勤手当が出ないとかいうような様々な処遇の違いもあって、私は高いところにしっかり合わせていくという助言をお願いしておきたいと思います。

 それと同時に県も独自にこのスクールソーシャルワーカーさんを配置をしているわけです。県がどのような処遇をしているかというのがある意味、市町村のひとつのバロメーターにもなるというふうに思いますので、県の処遇のあり方をどうしていのかということはぜひ積極的に検討をしていただきたいですし、大変小さいことで申し訳ないんですけれど、携帯電話はスクールソーシャルワーカーさんにとっては極めて重要なアイテムです。

学校にいつもいるという仕事ではありませんので、少なくともそれぐらいはしっかりとやっぱり配備をしていくということが必要じゃないかと思いますけれども、教育長、その点は如何でしょうか。

                            

■教育長

 携帯電話につきましては、これまで具体的なお話として、私は伺っておりませんので、今、委員からもお話がありました実態をお伺いしたうえで、どういった対応ができるのかというようなことについても、市町村とも話をしていきたいと思います。

 

●塚地県議

 市町村でなくて、県の事業主体としてやっている部分をぜひとも具体化していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

そこで知事ですけれども、本当に貧困対策に力を注いでおられて、スクールソーシャルワーカーは、専門家として、子どもたちに寄り添ってがんばってくださっていますけれども、先ほど少し述べました携帯電話の問題なども含めて予算措置をしっかりしていただく必要があると言う点で、知事に決意をお伺いいたします。

 

■知事

本当に、厳しい環境にある子どもたちへの対策という意味においても、このスクールソーシャルワーカーの皆様方に対する期待感というのは非常に大きいわけでございまして、そういう意味において、まず量的にですね、しっかり多くの皆様になっていただくようにすると。まあ、そういうことで、県単独で、15名のスクールソーシャルワーカーの方も措置させていただくとか、結果、来年度からは、延べで69人から延べ79人に拡充することになるとか、まあ、こういう形で多くの皆様にお願するようになっています。

 さらに、質的と言いますかね、本県として特徴的な取組だと思いますが、就学前の児童、それから保護者の皆様方にも関わっていただいて、円滑な小学校入学に繋げていただくような取組もしていきたいと、そのようにも考えております。

質的にも量的にもですね、しっかり充実できますように、県としても今後、ご指摘の点なども含めて予算措置の在り方をよく研究をしてみたいとそのように思っています。

 併せて、これはやっぱり国がですね、しっかり対応するということも極めて大事だと思っておりまして、全国の次世代育成支援対策プロジェクトチームのチーム長としてですね、貧困対策、それから少子化対策の観点から、このスクールソーシャルワーカーさんについての関連の予算の充実をということもお願いもしてまいりました。

 今回、国においても大幅に予算措置の拡充ということが図られるようになってきているところでありまして、引き続きまた、国に対してもしっかりと政策提言をしていくようにしてまいりたいとそのように思います。

 

●塚地県議

 ぜひご検討をいただきたいと思います。

    

 

【教職員の健康管理】

●塚地県議

 それでは最後に教職員の健康管理について教育長に伺います。

文部科学省の調査でも、教員の多忙化が問題として認識をされ、その対策が講じられています。先生のいない教室というのが続出するなど、教員不足が慢性化する中、健康管理は重要な課題となっています。教職員の健康状態は、そのまま子どもたちの教育に直結するもので、県教育委員会としても現場任せではない積極的な対応が求められていると思います。

まず、昨年度と本年の現在までの教職員の1ヶ月以上の病気休暇と病気休職の状況が、県立学校、小中学校でどうなっているかお示しください。

 

■教育長

まず、30日以上の病気休暇取得者は、平成26年度は、市町村立小中学校で延べ136人、県立学校で延べ61人。合計197人で、うちメンタルが74人でございます。今年度は、2月末現在で、市町村立小中学校で延べ109人、県立学校で延べ52人。合計161人で、うちメンタルによるものが57人でございます。

 それから病気休職者でございますが、26年度は、市町村立小中学校で延べ76人、県立学校で延べ26人。合計で102人。うちメンタルによるものが52人でございます。今年度は、2月未現在で、市町村立小中学校で延べ61人、県立学校で延べ27人。合計88人。うちメンタルによるものが54人となっております。

 

●塚地県議

 先生方の大変な現状というのが、いま数字でも出されてきたと思います。

文部科学省は昨年7月、学校における労働安全衛生管理体制の整備のためにという冊子を改訂をいたしました。主な改訂内容は、昨年12月より、教職員の心理的な負担の程度を把握するための検査、いわゆるストレスチェックが50人以上の学校で年1回実施するよう義務づけられたことです。その結果、高ストレスであり医師による面接指導が必要と判断された教職員から申し出があった場合には学校の設置者は医師による面接指導を実施しなければならない、その上で、適切な就業上の措置を講じることが求められることとなりました。

教職員が50人以上の学校には必置義務のある衛生委員会が置かれ、産業医も配置されていますが、圧倒的多数の、10人以上50人未満の学校には衛生推進者を配置することが義務づけられているだけで、チェック体制はきわめて不十分な状況です。

現在、衛生委員会が設置されている学校の割合はどのようになっているか伺います。

 

■教育長

2年に一度、文部科学省が実施します調査の結果では、平成26年5月1日現在の高知県内の公立学校におけます衛生委員会の設置割合は8.1%となっておりまして、衛生委員会の設置が義務づけられている学校全てで設置されています。

 

●塚地県議

 衛生委員会は、必置義務のところには当然ある。それを補完するような役割が本来、衛生委員会が設置をされていない現場でも先生方になくてはならないというふうに思います。 

とりわけ小規模な公立学校における労働安全衛生管理体制の課題というのがいま浮き彫りになっていると思いますけれども、その点の認識を教育長にお伺いいたします。

 

■教育長

現在の労働安全衛生管理体制でございますけれど、市町村立学校におきましては、市町村教育委員会ですとか校長が、その労働安全衛生法の関係法令を十分認識していないというようなことがございまして、結果として、多くの市町村の教育委員会では、職員の安全や健康を確保するために必要な事項を定める安全衛生管理規程を整備をできていないといったことですとか、必要とされている衛生推進者が選任されていない学校があるなど、教職員の健康管理体制が十分でないといった状況はございます。

 また、県立学校につきましては、産業医の選任や衛生委員会の設置等、法令で義務づけられている体制は整備をされておりますけれども、健康診断後の指導等が十分にできているかというと一定の課題もあるのではないかというふうに考えているところでございます。

 

●塚地県議

 いま課題認識をお示しをいただきました。

 実は県庁職員さんはですね、出先機関の職員も含めて約3,500人の全員の検診の受診結果を職員厚生課が把握をして、病気休職、病気休暇30日以上を把握し、その疾病別の推移も明確にして、常勤の産業医が分析をし、職場へのアドバイスや本人の相談にも乗る体制がとられています。

いまお話のあったとおり、教職員にはその体制が十分でないという実態だと思います。私たちは、先の12月県議会でこの50人未満の学校の課題も専門家を交えて、チェックし対応ができ、進捗管理ができる総括安全衛生委員会の設置というのを求めました。すでに28の道府県では、県立学校の総括安全衛生委員会が結成をされて、産業医や教職員組合からも現場の実態をテーブルにのせる観点から参加をされているところもあります。

その点について是非、前向きな取り組みを求めるものですけれども、教育長のご所見を伺います。

                             

■教育長

先ほどもご答弁したように、県立学校について、十分な健康管理ができているかと、一定の課題があるというふうに考えているところでございます。

 お話のありました、そういう意味で「総括安全衛生委員会」といった、お話でございますけれども、この点につきましては、12月議会でお答えしたとおりですね、今のところ、設置をするという考えはもっておりませんけれど、教育委員会事務局と県立学校の総括衛生管理者として、教育次長が位置付けられておりまして、これまで事務局については定期的に衛生委員会を開催し職員の健康管理を行っておりますが、県立学校については、対象に出来てこなかったというような状況もございます。

 ですから今後、県立学校につきましても、総括衛生管理者を中心として、職員の健康管理を県全体で議論していくなど、健康管理体制を充実させていくといったことで、「総括安全衛生委員会」と同様の機能が出せるのではないかと考えているところでございます。