議会報告

【質問項目】

1、教員採用制度について

 

【教員採用制度】

 ●塚地県議

 教員採用に係わりまして、現場からの疑問の声なども含めまして、教育長に順次お伺いをさせていただきます。

「平成29年度県立高校教員採用候補者特別選考審査」がこの225日に実施されました。31日に、採用候補者も発表されています。この段階で質問させていただくことは採用候補者個人を問題にしようなどとしているわけではなく、今後の教員採用制度に禍根を残さないよう経過も含めて伺うものです。

今回実施された特別選考審査のⅠとは、県教育委員会が初めて、スポーツ指導者を高校教諭として採用するために実施したものという理解でよろしいかお伺いいたします。

 

■教育長

その通りでございます。

 

 ●塚地県議

 県政でも初めてという状況ですし、全国でも極めて事例の少ない課題だと思います。

この特別選考審査は、教育長が実施を公表したのが125日。願書の受付は一週間後の21日から8日まで。発表からわずか約2週間で締め切られ、しかも公募方法は教育委員会のホームページにアップしただけ。特定の人にしか情報が届かない状況で採用選考が行われたこととなります。もっと早い段階から広く周知していれば、全国から様々な優秀な人材が応募できたと思います。

教育長は、スポーツ指導者の採用については2016年度から検討してきたと述べられていますが、なぜ、周知期間がわずか約2週間という事態になったのかお伺いいたます。

 

 ■教育長

 優れた県外の人材を学校に採用することについては、平成27年3月に策定しましたスポーツ推進プロジェクト実施計画で位置づけをされております。その後、計画の具体化に向けて検討してまいりましたけれども、昨年の夏のリオデジャネイロオリンピックの出場者に本県出身者が一人もいなかったことですとか、国体の成績が3年連続で全国最下位だったといったことなどから、危機感を持ってそれから本格的に検討を始めたという経緯がございます。

 検討にあたりましては、スポーツ強化校といった関連予算とも合わせて検討してきたといった経過もございまして、最終的に特別選考で採用していこうと決めたのが、1月になってからでございます。

 その選考の実施に当たっては、受審資格をどのように設定するかとか、そういった事務的なこともございまして、結果として、1月25日に選考の発表をしたということがございまして、その後の事務的な手続き等を考えますとどうしても、トータルで15日間ということになりますけれどもそういった短い期間にならざるを得なかったという事情がございます。

 

 ●塚地県議

 その期間では、私は、本当に短く、周知も十分ではないと思います。

とりわけ、周知方法も、地元紙に掲載するなど広く募集をかけなかったのはなぜなのか、お伺いをいたします。

 

 ■教育長

 県教委が実施する選考審査につきましては、教育採用選考審査の他に、学校の実習助手あるいは寄宿舎指導員、土佐海援丸機関員の4つの種類がございます。そのうち、一般の教員採用選考審査につきましては、採用予定者数が200名を超えるということで、広く全国に周知をする必要もあるということで、報道への投込みを行っているところでございます。

 それ以外の選考審査については、採用予定者数が数名程度ということでこれまでもホームページへの掲載のみで対応させていただいているということでございます。今回の特別選考についても人数が少ないということで同様の扱いとしたところでございますけれども、優秀な人材を広く募集するという観点からはもっと手を尽くすべきであったというふうには考えておりまして、今後はこういった際には、報道への投込みなど広く周知をしていきたいというふうに考えております。

 

 ●塚地県議

 県政でも初めての事例を実施しようという状況からみると私は極めて周知期間も、周知方法も不十分だったということを指摘しておきたいというふうに思います。

 この高等学校教員採用候補者特別選考審査の募集要項には、勤務条件等として、給与の記載はありますが、その他の条件は示されていませんし、「スポーツ指導者」という規定も記載をされてありません。あるのは、受審資格として一つ、国際規模の競技会(オリンピック大会、世界選手権、アジア大会等)に日本代表として出場した競技者またはこれらを指導育成した実績を有するもの。二つ、全国規模の競技会(国民体育大会、全日本選手権大会、全日本社会人選手権大会、全日本学生選手権大会およびこれらに準ずる大会)で、大学以降に優秀な成績を収めた競技者またはこれらを指導育成した実績を有するもの。三つとして、スポーツ科学に関する修士または博士の学位またはそれと同等の知識および能力を有するもの、具体的にはアスリートを対象としたスポーツ科学支援業務に関する実務経験を有するもの、この3点のいずれかに該当するものとの記述で、スポーツを得意分野としている高校教員の募集であることは理解をできます。

しかし、「スポーツ指導者」などという規定はありません。そこで教育長に伺いますが、今回の特別選考で採用された高校教員は、どのような身分、勤務形態になるのか具体的にお示しください?

 

■教育長

今回、採用を予定しております、教員につきましては、一般の教員と同じ、基本的に、勤務形態にあるというふうに考えております。配置校におきまして、授業を担当し、自身が専門とする運動部活動の顧問を担当するということでございます。あわせまして、配置校全体の運動部活動を支援をするとともに、競技団体とも連携をしながらジュニアから系統だった育成ができる体制作りにも取り組んでいくというふうにしております。

したがいまして、勤務場所は、配置校であり、配置校の校長が所属長ということになります。初任者研修につきましても、教員免許所有者は当然行うということになりますし、特別免許状の所有者についても初任者研修の対象者ではありませんけれど、県教育委員会としてそれと同等の研修を実施する計画でございます。免許更新手続きにつきましては、普通免許状と同様に、必要と考えております。

 

●塚地県議

今のお話ですと、まさに高校教諭としての活動だというお話として受け止めました。

それでは、「スポーツ指導者」という規定と一般の高校の教諭とどう違うのか。改めてお示しください。

 

■教育長

先程も申しましたように、基本的には同じでございます。ただ、勤務の時間、授業を持つ時間ですとかそういったところは、一定の軽減といいますか、それ以外、全体的に、その学校の部活動あるいは県全体の競技力向上に寄与してもらうという面もございますので、そういった面、一定の授業時間の軽減といったこともあるかと思っております。

 

●塚地県議

一定の授業時間の軽減というのはどの程度のことをさしておられるのか、具体的にお示しください。

 

■教育長

現時点で、はっきりといえることではございませんけれど、全体、通常で、25時間なり、30時間ということかと思いますけれど、その半分程度ということにはなるかなと思います。

 

●塚地県議

ちょっと話を先に進めて、再度また伺いたいと思います。

通常の教員採用審査、高校教諭の審査でもスポーツの実績は重く見られておりまして、10点から30点の加点制度があります。そのような優遇もされて、得意分野が活かされるという採用制度になっています。

今回のスポーツ指導員の選考方法はどのようなものかお示しください。

 

 ■教育長

 今回の選考につきましては、一般の教員採用審査でも一定加点制度もございますけれど、特にそのスポーツ指導者としての活躍を期待しておりますので、世界大会ですとか、全国大会などその大会規模に応じまして、競技実績や指導実績に大きなウェイトをおいて選考をしております。もちろん教員としての採用でございますので、個別面接ですとか口頭試問によりまして、教科の専門性についても評価をおこなっております。

 

 ●塚地県議

 それでは具体的にどのような審査が行われたのか、具体的にお示しください。

 

 ■教育長

 まず、競技実績なり、指導実績については、それぞれの本人からの提出書類、当然、証拠を付けたうえでの提出書類ですけれどもそれにもとづきまして、評価をさせていただきました。

 あらかじめ評価基準を作ったうえで、評価をいたしました。

 それ以外に、個別面接、口頭試問によりまして、加えての評価をさせていただく、全体で競技実績、あるいは指導実績については、全体100点満点のうちの60点のウェイトをおいて評価させていただいたということになっております。

 

 ●塚地県議

 実際どういうふうに行われたかというと、いまありました実績表を自ら提出していただくということと、このA4の一枚のこの用紙に、いわゆる作文といいましょうか、自分自身がスポーツ指導者を希望する理由、また、今後高知県におけるあなたのスポーツ指導者としての展望について記述してください。これ一枚を作文をして、面接は20分間で採用の審査をしているんじゃありませんか。

 確認をお願いいたします。

 

 ■教育長

 提出いただいた書類は、おっしゃる通り、そういうものを提出していただいておりますし、面接時間は20分ということもおっしゃる通りでございます。

 

 ●塚地県議

 最初からそういうふうに答弁してください。

 20分間の面接、そしてこの作文、それで、高校教諭としてのこの教育公務員としての身分として正式採用する。それが本当に、県民のみなさんに納得のいく採用方法なのかと、いうことを私は改めて、指摘をしておきたいというふうに思います。

 それで、今回の面接にあたった方々、一般の審査では、教育委員会内部だけでなく、民間の方々やPTA関係者のみなさんそういった方々からの面接も行われるという状況ですが、面接官がどういった方だったのか、お伝えください。

 

 ■教育長

 おっしゃるように一般の教員採用審査におきましては、教科の専門性を評価する指導主事一名と、人物、教員としての資質を評価する民間の方を含めた事務局職員など三名の計4名で面接を行っております。今回の特別選考については、競技実績等の確認のため、それに加えて、スポーツ健康教育課の職員一名を加えて選考をしております。

 多面的に、人物を評価するためには、保護者や民間の方を面接に加えるということがベストであろうとは思いますけれど、保護者の方には、なかなかスケジュールを確定している一般の採用審査であれば、対応しやすいということがございますけれど、臨時に実施する場合は、なかなか依頼がむずかしいということで、これまでも特別選考においては、保護者や民間の方などが入るということは、できておりません。

 こういったことで、教員としての社会性、人間性などについては、先ほど言った面接員で十分に対応できるものというふうに考えております。

 

 ●塚地県議

 20分間の面接と一つの作文で審査をする、しかも教壇にも立つということになります。一般の審査では、審査結果について個人的に審査結果を公表していただけるというシステムもございます。このことはまた、後で、お伺いをしたいと思いますけれども、それに本当に、対応できるのかということを私は考えます。ぜひ、透明性を確保する改善ということは必要ですし、今回の採用が本当に県民の皆さんが、納得がいくものなのかということは改めて、指摘をしておきたいと思います。

県内では、本来正式採用されるべき定数内の臨時教員が、劣悪な環境で働きながら本県教育を支え、採用を目指して必死で受審の勉強にも取り組んでいます。しかし、高校教員の採用枠はきわめて少なく昨年は29名で競争倍率は約10倍にも上っています。今回の高校教員の採用枠は5名程度となっていますが、教職員定数の中にどのように位置づけられるのか、お伺いをいたします。

 

■教育長

 保健体育科の教員採用選考審査における採用予定者数は平年、最近では、1~2名程度ということになっております。今回採用とします人材については、スポーツ振興ですとか、競技力の向上ということでの期待がございまして、一般選考とは区別した選考でございまして、配置校におきましては、加配措置として配置をすることを考えております。

 したがいまして、一般での採用審査で募集する採用枠には基本的には影響はないというふうに考えております。

 

 ●塚地県議

 今、基本的には影響はないというお答えでした。ぜひ、一般の教員の採用枠に組み込むことのないように、厳に要請をしておきたいと思います。

 さて、今回の採用で、教員免許を持っていない方には、県教育委員会が実施する教職員検定を実施をし、特別免許が交付されることとなっています。この特別免許については、県民も、議会もよく理解しておらず、教員免許の資格取得が無意味になるのではないかとの疑問も生じています。

どのような基準と方法で、教員資格を持っていない人に特別免許が与えられるのか。お伺いを致します。

 

 ■教育長

 特別免許状制度は、社会人で優れた知識、経験や、技能を有する人を学校に迎え入れ、学校教育の多様化とその活性化を図る観点から設けられた制度でございまして、文部科学省においてもこの制度の活用を推進をしております。特別免許状を授与する条件は、強化に関する専門的な知識、経験、または、技能を有していること、そして社会的信望があり、かつ教員の職務を行うために必要な熱意と識見をもっていることの2点でございまして、特別免許状審査会による審査に合格をする必要がございます。その審査会の委員は、高知県におきましては、高知大学教育学部長、特別免許状を授与しようとする校種の学校長で構成されている団体の長、学校教育に関し学識経験を有するものの3名ということになっております。

 

 ●塚地県議

これまで、県教育委員会はこの特別免許をきわめて厳格に取り扱ってこられたと思いますが、現在特別免許で教壇に立っておられる方は、どのような教科でそれぞれ何人おられるでしょうか。

 

 ■教育長

 現在、本県で特別免許状で教壇に立っている教員は、看護科で8名、工業で2名、インテリア・デザイン・建築のそれぞれの3教科で1名、合計で11名でございます。

 

 ●塚地県議

 授業内容が極めて特別で、教壇教員が確保できないという状況のみで特別免許を与えてこられたというふうに認識をしています。しかも、この特別免許を与えるにあたっても、審査内容は、一般審査とほぼ同様に行われ、今回の特別免許は、一般審査も経ない異例な状況だと言わなくてはなりません。

文部科学省は、この特別免許の交付の趣旨として、学校の教員として学校教育に貢献することのできる優れた知識経験等を有するものが授与対象者として、あくまで学校教育への貢献を重んじております。今回先程のお話では、一般の教員とほぼ同等の教育活動を行うということでしたけれども、一方では、競技力を高めるために、様々な競技団体との協議もするという役割も果たす。そういった教諭だというご説明だったと思います。

今回、「文化生活スポーツ部」新たにそういう部を設立することとなりました。

本来、スポーツ指導者という立ち位置なら、この新たにできる「文化生活スポーツ部」に属すると、いうたてりが、本来的姿ではないのか、というふうにも思いますが、そうした検討はなされなかったのか、お伺いをいたします。

 

■教育長

 まず、特別免許状の対象者としまして、文部科学省から、示された資料の中でも、事例として、その体育のコーチといったこともあげられております。先程ももうしあげました通り、今回特別選考で採用した教員は教科の授業を担当するほか、学校全体の運動部活動の競技力向上のために他の運動部活動の顧問との連携を密にした取り組みをおこなうことになります。生徒の人格形成にかかわる教員という職だというふうに考えておりまして、知事部局での採用は考えておりません。

 

 ●塚地県議

 今のお話しでしたら、私はスポーツの加点も含めた一般審査の中で、しっかりと透明性を確保して、採用すべきだったと、いうふうに改めて指摘をしておきたいと思います。

 現場からは、この周知期間、周知方法、そして、この簡易な採用の審査のあり方これはただただ、採用予定者があったのではないかという疑義が聞こえてまいります。そういう状況を作り出した教育委員会の責任は重大だというふうに私は思っておりますので、改めて指摘をしておきたいと思います。

さて、先日、ある県立高校の先生から「本当かどうか確認してほしい」との問い合わせがありました。その内容は、学生の募集に来た県外大学の担当者から、「来年度から高知県の教員採用に当たって大学からの推薦制度が始まります。うちの大学もその対象となっている。是非、本学に生徒さんを送ってほしい」との話がなされた。全く知らないことなので驚いている。というものでした。確認のため、県教委が1月31日に発表した「高知県公立学校教員採用選考審査の主な変更点」という文章も、22日に発表いたしました募集案内も見ましたが、大学推薦制度については全く記載をされていませんでした。

 来年度の教員採用審査に「大学推薦制度」を導入することは、決定事項なのでしょうか。お伺いをしたします。

 

 ■教育長

 この件について、募集要項として公表するのは、今月の15日を予定をしておりますが、すでに大学側とも協議をしておりまして、内部的には決定をさせていただいたということでございます。

 

 ●塚地県議

 内部的に決定をしているものをなぜ主な改善点に記されていないのか、お伺いをいたします。

 

 ■教育長

 この採用については、特別選考という形で実施をさせていただくということで、別の募集ということになりますので、そこに入っていないということでございます。

 

 ●塚地県議

 特別選考という新たな選考を設けるなら、当然そのことを事前に公表すべきだったのではないですか。

この大学推薦となった場合の審査は、一般の審査とどのような違いがあるのか、伺います。

 

 ■教育長

 大学から推薦を受けました学生については、専門教養など筆記審査の第一次審査とそれから第二次審査のうち実技審査が免除されることになります。第二次審査につきましては、学習指導案の作成ですとか、口頭試問を含む模擬授業、面接を行うこととしておりまして、実技審査をのぞいては、一般の採用審査と同じということになります。

 

 ●塚地県議

 あらたに、免除がされるという制度になります。特別枠といわなくてはなりません。

その大学の担当者は、小学校教員が対象で、8大学が推薦枠を持つことになり、うちの大学は、1名の枠になっていると、極めて具体的な内容を示されたとのことです。

そうした情報が、すでに、大学側に具体的に示されているのか、お伺いをいたします。

 

 ■教育長

 各大学には、指名の推薦していただきたい人数についてはお話をさせていただいています。指名していただく内容といたしましては、小学校、それから、中山間地域への小学校・中学校、それから特別支援学校、とこの3種類で枠を設定させていただきたいということでございます。

 

 ●塚地県議

すでに具体的に決まっているものでしたら、今、具体的に大学名も含めてお示しいただけますでしょうか。

 

■教育長

大学名については、公表をいたしますと、指定されていない他の大学のこともございますので、ここでは、公表は差し控えさせていただいたらと思います。

 

●塚地県議

 公表できないものを、すでに個別に大学側に、通知してある、こんなおかしなことはないですよね。そう思いませんか。

 

 ■教育長

 指名させていただいた内容につきましては、過去5年のうちに、本県への教員の採用実績のある大学の中から選ばせていただいたということにしておりまして、そのこと自体は、基本的に、ある意味客観的な基準で選ばせていただいているというふうに考えております。

 

 ●塚地県議

 客観的な基準というものがあって、指定をすると、堂々としたそうしたものなら、しっかりと公表してもよろしいんじゃないですか、再度うかがいます。

 

 ■教育長

 公表することをためらうということではないんですけれど、先程も申しましたように、他の大学への配慮ということもございますので、あえて、というふうには思っておりません。

 

 ●塚地県議 

教員採用における「大学推薦」というのは、すでに8都府県、5指定都市で実施が公表されていると伺っています。本県では、今初めて実施されることを正式に教育長からお伺いをいたしました。しかし、先行実施しているところでも様々な課題が挙げられております。

大学側では、どのような基準で推薦決定をするのかの基準が明確でないため、複数の推薦願いがあった場合の判断が困難なこと。教育委員会としては、大学側に特典を付与することともなり、どの大学を選定するかの基準や透明性をどのようにしていくのか等、慎重な対応が必要なこと。導入していない教育委員会は、そもそも、教育公務員の採用に特例をもうけることで、特定の大学への利益供与につながる可能性も否定できないという判断もあると伺っております。

こうした問題点を、どこで検討し、どのような結論に達したのか教育長にお伺いいたします。

 

 ■教育長

 この制度を導入するにあたりまして、先行実施をしております、3つの自治体に、事務局から訪問をして、お話しを伺っておりますけれども、ただ今の議員からご指摘のあった課題の話については特にございませんで、むしろ優秀な人材を確保する上での有効な意義だというようなことでお伺いをしているところでございます。したがいまして、お話しのあった課題ということについての検討は、行っておりません。

先程もおこたえいたしました通り、受審者に対しましては、一次審査、二次審査の実技審査を免除いたしますけれども、二次審査については、学習指導案の作成、口頭試問を含む面接ということで一般の審査と同様に実施をいたしまして、最終選考を行うということで、必ず採用するということを約束している制度ではございませんので、お話しのあった大学への利益供与ということではないかと思っております。教員の大量退職、大量採用の、真っ只中の状況で、優秀な学生を他県に先んじて優先的に本県の採用審査を受審して頂くように、促すという制度であると考えまして、導入させていただいたということでございます。

 

 ●塚地県議

 現に、この県立学校に訪れられました県外の私立大学の学生募集の担当の方は、こういった枠が設けられたと、だから、うちの大学にきてほしい、オープンキャンパスに来てほしいと、県内の県立の複数校に出向いてお話をなさっています。

 あきらかに、その大学を受験するそういう動機づけになるということではないですか、利益供与にもなる可能性もあるというのは当然で、先程、教育長もお話になった通り、推薦願を出していない他の大学との問題で気を使わなくてはならない状況をつくっているではありませんか。そうした問題をやっぱり、真摯に、真剣に議論をして、明らかにして、透明感ある受審制度に、私は、しなくてはいけないというふうにおもっております。

そして、いま「優秀な人材の確保」と言われましたけれど、学校は教育機関であり研究機関ではありません。子どもたちに寄り添い、発達を保障し、保護者と向き合い、教職員の集団の中で困難を一つ一つ乗り越えながら教員として成長していくものです。現在、高知県内には、まったく現職と遜色なく、日々の教育実践でも熱意を持ち、そして、多忙な校務分掌も引き受けて教育を支えている、いわゆる試され済みの多くの臨時教員が今年度も定数内で500人を超えています。高知県の教育の現場を支えている貴重な存在です。

その熱意と頑張りを正当に評価するシステムこそ真剣に構築し、正式採用に道を開くことこそ、教育委員会がなすべきことではないかと思いますけれども、伺います。

 

 ■教育長

 まず、指定大学から、お話しがあったということについて、指定した大学については、学外に公表しないようにということで依頼をしておりまして、事実ということであれば、再度依頼をしていきたいというふうに思っております。

 それから、現在の臨時教員につきましての対応でございますけれども、前年度の一次審査を合格し、二次審査をすべて受審したものについては、翌年度の第一次審査を免除しております。また、一定の期間、本県の臨時教員として勤務した場合は、第一次審査における教職一般教養の受審を免除する優遇措置をとっております。こうした措置は、臨時的任用は正式任用に際していかなる優先権を与えるものではないという地方公務員法の制約の中で、ぎりぎりのものと判断をしておりまして、今以上の優遇措置は、なかなか難しいのではないかというふうに考えております。

 

 ●塚地県議

 今以上の優遇措置を、私は、検討すべきだというふうに思います。法のぎりぎりのラインをさらに掘り起こして、しっかりと、今の高知県の教育を支えている臨時教員の皆さんの採用に、道を開く真剣な検討をあらためて要望しておきたいと思います。

今回の質問で、私は二つの事例を取り上げさせていただきました、教員採用における先程の特別審査の不透明さ、そしていま、大学推薦の学外には公表しないようにというふうに言わなくてはならない不透明さ、教員採用における信頼性の確保は、教育行政の根幹とも言えるものです。

確かに採用の権限は教育長に権限がゆだねられています。しかし、それはあくまで教育公務員を採用するという県民から負託されたものであり、説明責任を果たせる慎重な検討が重ねられたものでなくてはなりません。知事部局においては人事委員会が存在をし、執行部とは独立した組織で採用の透明性を確保しています。教育委員会においても少なくとも、教育委員会の審議にかけ、議事録をとり検証ができるものにすること。採用審査の制度の変更に当たっては、事前に議会への説明を行うよう求めるものですが、今後の対応についてお伺いいたします。

 

 ■教育長

 教員の採用につきまして、透明性、信頼性、また公平性というのが大事なことはあらためていうまでもございません。

一方で、教員の選考につきましては、お話しにもございましたけれども、採用審査などの過程も含めまして、教育公務員特例法におきまして、教育長に、直接ゆだねられた法定事項でございまして、教育委員会への付議といったことにはなじまないと考えております。また、採用審査の変更等についても、重要なものについては、教育委員の方に説明をさせていただいておりますので、議会にもご報告をさせていただきたいというふうに思います。事前ということにつきましては、大量退職、大量採用の時を迎えまして、教員の確保が困難な状況の中で、質の高い人材をどのように確保するかといったような大きな方向性については、今後説明しご意見もいただきたいと思いますが、採用に関する個別具体的なことにつきましては、教育長にゆだねられた人事に関するということなので、慎重に考えさせていただきたいというふうに考えております。