議会報告

【質問項目】

・ビキニ被災船員の救済

・特別支援学校の整備

 

【ビキニ被災船員の救済について】

●吉良県議 まず、ビキニ被災船員の救済についてお聞きします。

7月20日、高知地裁の西村修裁判長は「ビキニ国家賠償請求訴訟」の判決を出しました。内容は、国が故意に文書を隠したとは認めず、損害賠償請求権も20年の除斥期間を超えており消滅している故に、元遠洋マグロ漁船員と遺族45人の原告の請求を棄却するというものでした。

2016年5月に高知の元漁船員など45人が提訴した本訴訟の目的は、一つに、日米両政府の政治決着に従い、ビキニ被災船員を放置し、被ばく線量など記した公文書すら開示しなかったその国の責任を明らかにし被災船員救済の道を開くことであり、もう一つは、司法の場で被災者自らが事実を証言し、第5福竜丸以外の、高知をはじめとする多くのマグロ漁船員の被曝を認めさせ、広く知らしめていくことにありました。

判決を受けた後の記者会見で原告の元漁船員、増本和馬さんは、「私たちは日本政府に見放された状態だ。国民でありながら、国民扱いされていない。悔しい。」と怒りを込めました。「故意であるなしに関係なく、除斥期間の20年以上、公文書が公表されなければ責任が問われないなんて許されない。ずさんな管理であったこと自体が責任を問われる事で、国は賠償すべきではないのか」などの声もあがっていました。

原告側は、「国民を犠牲にし、ほったらかしたという人権侵害を放置できない。被災者救済のためにも控訴審で政府の責任を明らかにする」と新たな決意を示し、高松高裁へ控訴しています。

 

請求棄却の判決の一方、判決文は「判断の要旨」の冒頭に、「本県核実験及び被曝の事実について」という項を起こして、「証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば、米国が昭和29年3月1日から同年5月14日までの間、6回にわたり、マーシャル諸島共和国ビキニ環礁及びその付近において、核実験を行い漁船員であった原告ら又は原告らの被相続人が被爆した事実が認められる」と記しています。これは、歴史上初めて司法が、水爆実験によって第五福竜丸以外、高知県の漁船員らの被ばくを認めた事になります。

被告である国側は、裁判最初の反論で、第五福竜丸の漁船員に放射線被ばくした者がいたことは認めましたが、「その余は不知」、つまり知らぬ存ぜぬで押し通そうとしていました。それに対し、判決は「争点に対する判断」の項で、原告一人一人が語った操業当時の諸環境やその後の体調等も検証、また、水爆実験の歴史的経緯や放置された第五福竜丸以外の無数の被災船員らの存在など、ほとんど原告団提出の証拠と主張通りに認定し、国の反論を退けています。

 

こうして第五福竜丸以外の多数の漁船員らの被曝を認めたうえで判決は、広島と長崎への原爆投下と同じく「本件被爆者については、米国による核兵器使用によって被害を受けたという共通性があり、本件核実験に使用された水爆の方が上記原爆より遥かに強力で広範囲に放射性降下物を撒き散らしたことが判明しているのであるから、これによる健康被害を等閑視することなく、その救済が同様に図られるべきという主張は理解できないものではない」と、救済を求める原告の主張を認めています。そして、「個々の漁船員が被爆したことに加え、被曝と健康状態の悪化との因果関係を立証するのは、困難を伴うことが否定できない。そうすると、長年にわたって顧みられることが少なかった漁船員の救済の必要性については改めて検討されるべき」と述べ、それは、広島と長崎の原爆被爆者に適用されている現行の被爆者援護法で「司法的救済を図ることは困難」なので、「立法府及び行政府の一層の検討に期待するほかない」と新たな立法による救済に言及をしています。

核実験被害者には被爆者援護法のような救済法律はいまだありません。判決で因果関係の立証の困難性に言及し、それでもなお、救済の必要性について立法府と行政府に検討を求めたことは画期的であり、全国の存命の被災漁船員の救済への道を拓く可能性を示したものと言えます。

◆今回の高知地裁判決を、知事はどう受け止めていらっしゃるのか、まずお聞きします。

 

■県知事 ビキニ被災船員の皆様方が64年前に太平洋で被災されて以来、健康不安に包まれながら操業や生活を続けられ、中には操業から離れることを余儀なくされたこと、これらに思いをいたしますと痛切極まりない思いであります。

 本訴訟は、国を相手どった損害賠償請求訴訟でありまして、県としてコメントする立場にはありませんが、本件判決において、漁船員の救済の必要性について、改めて検討されるべき、立法府および行政府のいっそうの検討に期待すると指摘されたことを踏まえ、国においては今後被災された方々に寄り添った対応がなされることを期待するものであります。

 

●吉良県議 核兵器禁止条約が核実験の影響を受けたものへの救済の義務を明示し、今回の国賠訴訟では、司法が漁船員救済の必要性に言及し立法府と行政府に措置を求めています。元乗組員の方々への救済措置は、高齢化でもう一刻の猶予もない状況で、喫緊の課題と言えます。原告で、ビキニ被曝を30年以上調査追跡してきた太平洋核被災支援センター事務局長の山下正寿氏は、救済に必要な被災船員の船籍や病歴、死亡診断等々の個人情報調査や収集を行ってきたが、時間がかかるし非開示など私人や民間団体としての調査には限界があることを指摘し、救済に関して「船員の追跡調査は厚生労働省がやれば死亡診断書も病名もすぐつかめる。救済するように要求していきたい」と述べています。

◆そこで、知事にお聞きします。厚労省が開示した資料、高知県が保管している資料、県内の漁協や保健所に保管されている資料など、関係市町村と連携をとり、それらを集積するビキニ被災船員追跡調査を、NPOなど民間への委託も含め、県の被災船員救済対策として取り組む事を求めるものですが、どうお考えかお聞きします。

 

■県知事 元船員の方々の被曝にかかる健康調査の追跡調査につきましては、一義的には国の責任において実施されるべきものであり、本県はこれまで国に対して、ビキニ被爆に関する科学的検証の実施を政策提案してきたところでございます。これを受けて国は、平成26年度から27年度にかけて厚生労働科学研究事業による調査研究を実施してきましたけれども、調査方法に不十分な点があるとして、本議会でもご指摘がありましたことから、平成28年12月と、本年1月に健康政策部長が国に対しまして、最新の知見を踏まえたうえで、被爆の健康影響についてさらにきめこまやかな研究を継続実施していただくよう政策提案したところであります。係争中ということもありましてか、その後動きはありませんが、国に対しては、県としては、継続して提案し続けていく必要があると考えておるところであります。

 本県にはビキニ被爆に関する記録が残っておりません。個人情報保護のかかわる課題もあり、県として追跡調査を実施していくことは困難でありますけれども、太平洋核被災支援センターなどが追跡調査を継続的に実施していけるような支援策について検討をさせていただきたいと考えております。

 さらに、今回の判決において、米国がビキニ環礁およびその付近において核実験を行い漁船員であった原告らが被爆した事実が認められるとしたうえで、被爆者援護法から作為義務に違反した不作為の違法を導き出し国賠法に基づく損害賠償請求によって司法的救済をはかることは困難であり、立法府および行政府によるいっそうの検討に期待するほかないとされたことを踏まえまして、私どもといたしまして、どのような法的枠組みがあれば、救済に向けた取組が可能か検討したいとそのように考えているところであります。

 

●吉良県議 この間、この県としての追跡調査については、2014年から毎回取り上げてまいりました。先程知事がおっしゃったように、県は三カ所での健康相談会や労災申請のサジェスチョンなど取り組まれ、県議会全開一致で採択された意見書やさらなる健康影響調査の検証にかかわる要望の国への提出など取り組まれてきたことは存じ上げております。しかし、この今回の司法の判決、そして、昨年7月の核兵器禁止条約の採択、これらを総合的に勘案すると公の責任が直接問われる段階に立ったと考えます。今まで国に顧みられることなく放置されたビキニ被災県民の追跡調査をしてきたのは、高校生や被災船員を支援する民間団体でした。しかし、これからは、立法と行政の手による救済への追跡調査が求められたと考えるものです。国に対しては、その法的な枠組みも含めて、検討して頂くということですけれども、今ここで私が求めていることは、県としてのありかたです。支援センターには、太平洋核被災支援センターには、350名の船員の追跡調査資料があります。厚労省の資料開示であきらかになった被曝船実数は、473隻です。航路図、人体と水揚げした魚の被曝線量が記載されており、被爆の実相をしる上で大変貴重な資料です。被爆したのべ992隻のうち、放射線量が高い被曝マグロを廃棄した高知県の船は、のべ270隻、実数でいいますと117隻です。それは2000名を越すであろう、本県の漁船員の被曝の実相を公的責任で明らかにし、歴史に刻む、そして残す作業が急がれていると私は感じています。知事は二年前、県として何ができるか、さぐっていきたいと述べております。

◆そこで具体的に県としてこの厚労省文書の高知船籍117隻の漁船員の追跡調査に着手できないものか、再度お聞きしておきたいと思います。

 

■県知事 私から2点申し上げたいとそのように思います。

 まず、追跡調査そのものに関して、この点については、県には記録も残っていないということもあります。太平洋核被災支援センターの皆様方などが追跡調査を継続的に実施していただく、ただそのことについて、様々な支援策、これを検討していきたいとそのように考えているものです。これが実施し続けられるような支援策を考えていくこれが大事だろうとそのように考えています。

 そして、2点目でありますけれども、立法府および行政府によるいっそうの検討に期待するほかないとされた今回の判決については、私もごもっともだというふうに思います。であれば、立法府および行政府におけるいっそうの検討としてどういうことをすべきだということについて我々としても考え、そしてそのことを提言していくと、そのこともまた必要ではなかろうかと考えたところであります。そういうことでありますので、どのような法的枠組みであれば、救済に向けた取組が可能かということを県として検討させていただきたい。そこでしっかり議論構築ができるのであれば、これについて国も含めしっかりと世の中に訴えていくということを行っていけないものかと、そのように考えておるところであります。

 

●吉良県議 残された時間は少ないと私たちは考えております。ぜひ、県内の被災船員の方々が、自らの人生を取り戻す。そして、侵害された人権が、しっかりと保障される方向へと、できるだけ速やかに、その方向性を示していただけるように、重ねて要望しておきたいと思います。

現在、広島・長崎での被曝線量評価に加えて、歯や血液の検査などによる被曝線量評価の科学的知見が蓄積され、一部が本県の報告書としてもまとめられています。

◆被災船員の歯や血液、遺骨の検査機会を作る手立てを図れないか、健康政策部長にお聞きします。

 

■健康政策部長 太平洋核被災支援センターなどが実施をされておられます元船員の追跡調査につきましては、実験から60年以上経過していることにより当時の資料が散逸するなどしてきわめて少ない中、対象者が高齢となって、次第に実施が困難となっていることなど大変なご苦労があることは認識をしているところでございます。お話のありましたことについて、例えば歯などによる被曝線量の評価につきましては、元船員の方から申し出があった場合に、抜歯した歯を保存しておくよう重ねて歯科医師会に要望するなど県としてできる協力は行ってまいります。

 また、知事から二度にわたっておはなしをしました通り、核被災支援センターなどが追跡調査を継続的に実施できるような支援策の検討、あるいは、法的枠組みの検討、そういったことを重ねていきたいと考えております。そのほか、元船員の方を含めた健康相談や、保健師等に対するビキニ被曝に関する学習会を開催するなど、今後も関係者の方のお話をお伺いしながら、対応してまいります。

 

●吉良県議 いま現在、歯や血液の検査は、本当にその研究者の善意にたよって、線量評価がされております。遺骨についても、日本分析センターでしかできないということで、結局1遺骨が15万円もかかるということで、これも困難をきたしている。そういう中で、本来それは先ほど来おっしゃっていますように、国が第一義的には、行うべきだということは、私たちもわかっております。しかし1988年の5月の11日に、いわゆる高知県ビキニ被災船員の会、これは船主を含めて、被災者だけでつくった会ですけれども、そこの会が、26人で結成されました。もう2001年に、全て皆さんなくなっているわけですけれども、その方々が、県庁へ来て4つの要求を行っています。被災地調査を県主導の元に実施、ふたつめ、定期的な健康診断の実施や医療費の補助、みっつめ、適正な職員配置や研修、よっつめ、原爆医療法をビキニ被災者にも適用するよう政府に働きかけること。それから、その後90年の7月、これは署名、6228人の署名を添えて高知県にビキニ環礁における水爆実験に伴う被災船員の医療保障に関する請願が出されております。その中ではやはり4点、被災船員の健康診断やがん検診、ふたつめ、医療費の補助、みっつめ、実態の調査、よっつめとして、被爆者手帳交付など被爆者並みの扱いを求めています。いずれも健康診断や医療の必要性そして特別立法によるいわゆる救済を国にもとめているものとなっています。この要望は被災船員の願いの原点であり、立法府と行政府がまず取り組むべき、今に生きる願いです。この原点に立った元乗組員への対応こそ行うよう、強く県、そして国にも求めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

さて、今年3月高知市で、「すべての核被災者に救済を」のスローガンで、ICANノーベル平和賞受賞記念シンポジュームが太平洋核被災支援センターとビキニ核被災検証会の主催で開催され、ノーベル平和賞を受賞した非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の国際委員川崎あきらさんが来高し講演しています。川崎さんは、その足で尾﨑知事を表敬訪問し、私も同席致しました。

ICAN側が、ノーベル平和賞受賞後に都道府県知事と面談したのは尾﨑高知県知事が初めてでしたが、その背景には、ICANが成立を求めた核兵器禁止条約について尾﨑知事が議会答弁で「核兵器の廃絶と世界の恒久平和を目指した今回の条約制定に向けた被ばく者の方々の活動に深く敬意を表します。今回の条約では、第6条において、各国は核兵器の使用又は核実験の影響を受けた者に対して、医療ケア、リハビリテーション、心理的な支援や、社会的、経済的に受け入れられるよう言及されているところです。世界中の多くの方々に、被ばくされた方々への支援の必要性が広く認識されたことは大変意義深い。我が国は賛成していませんが、条約制定をめぐる一連の取り組みや、I CANのノーベル平和賞の受賞を契機として、日本国民の間にも被ばく者の存在とその方々への支援の必要性が再認識されたことは、元船員の方々にとっても大変心強く意義深いものと考えます」と述べたことがあったと思います。

表敬訪問した川崎氏が「ビキニ被曝の状況解明と救済を進めてほしい。高知がイニシアチブをとれば、国際的に波及効果がある」と述べ、知事は「ビキニ事件被害者に対しては、寄り添う姿勢でしっかりと対応していきます」と応じられています。

川崎氏は尾﨑知事との会談後、知事は「高知は被曝県」、被曝の当事者との認識を持たれていると判断されたようです。

そして氏は、核兵器禁止条約は2019~2020に発効が予定されるが、その1年後には必ず第一回締約国会議が開かれる。核保有国がすぐには条約には入らない事を考えると、核兵器解体の作業よりも被害者援助、救済の作業の方を先にやることになり、そこでは必ず、第6条「被災者救済」をどうするかが話し合われる。

その際必要になるのは、核実験被害者の実相であり、その要望に今一番応えられるデータの蓄積があるのは、他でもない高知であり、被災者の生の証言が聞けることの意義は大きい。そこで、締約国会議に向けて、日本の都市で年に一度開かれている「国連軍縮会議」を高知で開催する事を提起しています。

国連軍縮会議in高知のテーマは「世界の核実験の実相」として、専門家の参加が30名、正式参加者が3~40名、計100名足らず。それに傍聴者が地元も含め3~400名、5~600名程度の会場が必要となります。担当窓口は外務省。なお、今年度以降の開催地はまだ決まっておらず、準備期間は自治体の取組によって半年くらいでも開催可能だといわれております、自治体からの費用はどこの年でもだいたい3000万円程度と言われています。

◆高知の被災経験とあわせ、世界からの報告、断片的知見を集約し、「高知レポート」として集約されることは、世界の被災者救済に大きな前進をもたらすであろうし、知事には国連に「高知レポート」を報告する役割を果たしてほしいと思います。子ども達が世界に目を向ける教育効果や、高知県の産業はじめ様々な面でアピールできる効果も大きいものと考えるものです。「国連軍縮会議in高知」開催について知事のお考えを聞きします。

 

■県知事 このビキニ被曝の問題について、今回の高知地裁の判決については大変考えさせられるものがあるというふうに私はおもっております。広島長崎で被爆された方々がおられ、これらの方々に対しては、国家は後押しをして救済をされているわけでありますけれども、ビキニ被災船員の皆様方に対して、十分な対応ができているのか、このことはしっかりと考えていかなければならないとそのように思うわけであります。今回の判決文の中においても、個々の漁船員が本件核実験によって放射線に被爆したことに加え、申請時点における健康状態の悪化が被曝による結果であることを立証することは困難を伴うものであることは否定できない。そうすると、長年にわたって、顧みられることが少なかった漁船員の救済の必要性については、改めて検討されるべきものとも考えられると、そう述べておられ、そして最後に国賠法によって司法的救済をおこなうことは困難である、立法府および行政府によるいっそうの検討に期待するほかないと、そういう判決文を書かれているわけです。そのことについては、私もなるほどと思いました。で、ありますので、どのような、立法府および行政府による救済の枠組みが、この実際事案の様々な限界がある中において、考えられるのかということについて、他の、例えば広島長崎における救済のあり方などとも対比していきながら、我々として考え、そして、もし理論構築が出来れば、それに基づいて政策提言をしていくとか、そういうことをぜひ考えさせていただきたいと、そのように考える次第であります。

そういう観点から、国連軍縮会議in高知、これは大変有意義な機会となるのかもしれません。しかしながら私としては、そういうことについてしっかりと理論構築をして、説得的に、対外的に訴えられる段階がきた、そういう時においてこの国連軍縮会議という、とっておきの機会を扱うべきではないのかとそのように考えております。

大変恐縮でありますが、私としては、今、国連軍縮会議in高知を開催することは、まだ、時期尚早ということではなかろうかとそのように考えているところです。

 

●吉良県議 ありがとうございました。軍縮会議、これを開催する資格があるのは、やはり私はもう高知しかないというふうに思っております。今度の核兵器禁止条約第6条のその内容から見てもですね。ですから、ぜひこれは県民として大きく実施を求めて運動も強めていきたいと思っております。

1954年3月から5月の間、ビキニ環礁での計6回の核実験の放射能総量は、広島原爆の3220倍、それは広島原爆を8年と9カ月半毎日爆発させた量です。全世界での核実験は2058回ですから、すさまじい量の放射能がばらまかれたということです。実験場のみならず、地球的規模での海洋、大気、土壌への汚染蓄積は食物連鎖により、内部被爆など深刻な影響を与えると考えられます。これらによる、外部・内部被曝による調査や分析はアメリカなど核保有国に独占され、危険性について故意に明らかにされていません。マーシャルやネバダ、カザフスタンなど世界の核実験場での、被曝の実態を交流することは、救済を行っていく上で、きわめて有意義な取り組みとなります。フクシマでの被曝の実体についてもビキニ事件同様、情報操作や隠蔽、矮小化が行われることがあってはならず、このような場で積極的な交流と情報公開でレポートされるべきで、そのことが人類を救うことにつながると考えます。ますます先鋭化し、深刻度を増すであろう人類と核廃棄物、放射能汚染とのたたかい、その中でのビキニ被災船での核被災への今の取り組みは、一地方のことではなく、グローバルな人類の課題に取り組んでいるといえます。核被災、汚染問題解決の先進県として、この軍縮会議の開会の意味など参考にして頂き、県民とともに取り組みを積み重ねていただくことを県に求めてこの項を終わりたいと思います。

 

【特別支援学校の整備】

●吉良県議 次に特別支援学校の整備について教育長にお聞きいたします。

この間、県立山田養護学校の現場へ足を運び、実情を視察し校長先生にお聞きしました。2年前に私が、大規模過密化の解消を求めて本会議質問で取り上げたときより、さらに、児童生徒数が25人も増加し、165人が190人となっていました。もともと小中学部50名、高等部30名と考えて建設された校舎は増築、改築が繰り返され、まるで迷路のような学校で、危機管理上も大変大きな問題をはらんでいると感じたところです。

◆当時指摘した、普通教室が不足し、作業学習などのための特別教室を普通教室に変更したり、クールダウンに必要なスペースが十分確保できないなど深刻な状態は、さらにひどくなっていると思われますが、一体どのような特別教室が転用され、従前実施されていた指導が困難をきたしているのか、教育長にお聞きいたします。

 

■教育長 はい。今年4月には、視聴覚室、作業学習室の2つの特別教室を転用しまして、中学部が使える普通教室で4室を整備しております。これらの特別教室でおこなっていた学習につきましては、視聴覚室は同様の機能がある会議室を使用したり、作業学習室は多目的ホールを使用し、円滑な作業ができるよう工夫しながら、教育活動に支障がないように対応しております。

 

●吉良県議 ずいぶんと簡単におっしゃっておりますけれど、重複用の特別教室、これもなくなっておりますね。それから、教科等の発達課題別の授業を行う教室がまったくなくて、会議室や音楽室、調理室をそれぞれの学校の先生たちが右往左往していると、しかもバッティングしてですね、とれない時があるというようなことも出てきております。

 それから、教材や道具を用意するにも色々なところにある、おけないわけですから、用意に手間がかかって時間的にも空間的にもね、大変だということです。

 それから、普通教室を、さっきいいましたように、高等部の工作教室なんかがないわけですから、その作業学習に使うことがおおくて活動に制限があって、もう煩雑でたまらないと、いうようなことでなっております。

 それから、先程も申し上げましたけれども、パニック時のクールダウン室が一ヶ所しかないために、バッティングすることがあって、パニック発生場所と離れていたりして、もう向こうまで連れていかない、廊下で指導せざるをえなくなっていると。本当に、本来最も専門的な教育的なフォローが必要で、そして環境としても守らなければならないこの特別支援学校が、そういうような状況になっていると、いうことです。だいたいその県の教育水準を見るのは、特別支援学校を見れば、レベルが分かるんですよ。これほどまでに、現場の実態、ひどいとは私も思いませんでした。ぜひ、教育長は、これ見ていただきたいと思うんですけれども、どうですか、行ったことはございますか。

 

■教育長 山田養護についてはまだ私もお伺いしたことはございません。

 

●吉良県議 ぜひ、行ってください。

 次に、そのような大規模化、過密化によって、その教室だけじゃなくて、先生も足りなかったり、あるいは一クラスの基準を超えてクラス編成をしているだとか、いわゆる子どもたちと先生に過重な負担と犠牲を押し付けている実態はないのかということを次にお聞きしたいと思います。

 

■教育長 学級編成は、編制基準通りに編成しております。教員につきましても、学級数児童生徒数などに基づき必要な人員を配置しております。しかしながら、児童生徒が大変増加したことにともないまして、教員数も増加していますことから、職員室が手狭になっている現状がございまして、執務環境を適切に確保する改善をする必要があるというふうに認識をしております。

 

●吉良県議 もうびっくりしますよ。職員室いっぱいです。それからね、机がないんです。長机です。長机にパソコン二台も置けないんです。それで、荷物を置くところがない、資料を置くところがない、もうどうしていいのかという、ちょっと動いただけで、あたったりするんですよ。

 それから、問題は、教職員の更衣室ロッカーがないんです、これは労働安全衛生法違反だと思うんですけれど、これについてもやはりちゃんとした指導をしていくべきだと思いますけれども、教育長に再度ご質問をいたします。

 

■教育長 はい。調べて必要な対応をいたしたいと思います。

 

●吉良県議 いずれにいたしましても、この過大規模校、そして過密状況を解決していくということは、喫緊の課題だと思います。そこで一問飛ばしまして、文科省の公立学校施設実態調査、これがあって、そこに国庫補助の基準の校舎必要面積と保有面積が示されています。本県の知的障害の特別支援学校における資格面積にかかわる充足率を指標とした施設整備に関する認識を教育長に聞きします。

 

■教育長 平成29年5月1日現在、山田養護が、充足率71.65%、日高養護は、69.11%、中村特支が63.56%、平均で67.59%となっております。資格面積に関わる充足率を指標としてみますと、必要面積という国の補助対象施設規模に届いていないということになりますので、児童生徒の増加数に伴い、施設整備が、全国も平均充足率66.71%となっております、高知も全国もおいついていないということが推測されると思います。

 

●吉良県議 ぜひ、充足率をあげるということで取り組みを強めていきたいと思います。基本的には、この山田養護学校も含めて、その知的障害児の特別支援学校、これをやはり市内につくるしかないと思います。山田養護学校で、いま在校している子どもたちの中で一番多いのが、土佐山田じゃなくて、高知市から通っている子どもたちなんですね。そういう意味では、やはり10年経って、生徒数が151%、学級数が182%ですから、いつまでも慎重に、見極めたいというのではなくて、もう10年経ってこれだけ多いわけですから、しっかりとあたらしい知的障害児学校を高知市内につくるという方向での検討を求めて、私の質問を終わりたいと思います。