議会報告

  • 2019年03月20日
    2019年2月議会 中根佐知県議による「沖縄県民の明確な民意を尊重し、辺野古米軍基地建設の埋め立て中止・普天間基地撤去を求める意見書(案)」提案説明

●中根県議 ただいま議題となりました、議発第5号「沖縄県民の明確な民意を尊重し、辺野古米軍基地建設の埋め立て中止・普天間基地撤去を求める意見書(案)」について、提出者を代表して提案説明をいたします。

 

 2月24日に投開票された「辺野古米軍基地建設のための埋立て賛否を問う沖縄県民投票」において、埋め立て「反対」が43万4273票、投票総数の71.7%を占め、名護市辺野古の米軍基地建設に対して、沖縄県民の圧倒的な反対の意思が示されました。この投票は、初めて米軍基地の建設という一点に絞って明確な民意が示されたもので、歴史的な投票結果となりました。

 しかし、日本政府は、「投票結果を真摯に受け止める」と言葉では繰返しながら、実際には沖縄県民のこの切実な声に耳を傾けることなく、県民投票の翌日も、辺野古での埋め立て工事を続行しています。

 辺野古埋め立て工事に関しては、軟弱地盤の存在が明らかになっています。今年1月、沖縄防衛局が国土交通省に提出した調査報告書「地盤に係る設計・施工の検討結果 報告書」では、辺野古基地予定地の大浦湾に深さ90メートルの軟弱地盤が存在することが明らかにされ、国会で追及されると、「検討した結果70メートル以下には固い粘土層がある」と根拠を示さず答弁し、そのまま工事を続行するという極めて不誠実な対応に終始をしています。

 また報告書には、「専門工事業者へのヒアリングから、現有作業船等の能力を考慮し、改良可能な最大深度はマイナス70メートル程度とする」と書かれ、つまりは、70メートル以上の地盤改良はできないことがはっきりと示されています。これにつじつまを合わせるために、政府は「70メートル以降は固い」などと、にわかに言い始めたという疑念が拭えません。そうではないというのであれば、ボーリング調査の結果など明確な根拠を示すべきですが、それすら拒否をし続けています。

この埋め立て工事は、このまま進めても、いつできるのか、いくら予算がかかるのかすら見通しが立っていません。万が一完成したとしても地盤改良をしていない粘土層の上に建てれば長期間にわたり圧密沈下が起こり、地盤沈下がし続けます。安全性が担保されない、使用できない基地になるのでないかと強く懸念されています。

 また、この埋め立て工事を進めるためには、沖縄県知事に設計変更を申請しなければなりませんが、沖縄県知事が新基地建設を前提とした設計変更を認めることはありえず、工事の完成はこの面からも不可能になったといわざるを得ません。

 このように、辺野古への米軍基地建設は、工事の妥当性やコスト、その法的手続き、建設後の基地の安全性など、どの点から見ても現実的には不可能であることが明らかになってきました。しかし、日本政府が、この「辺野古移設が唯一の解決策」として普天間基地閉鎖・撤去に換わる代替施設と位置づけてきたことが、結果的に普天間基地の長期固定化を招いています。

今年2月28日、沖縄県が政府に要望した普天間飛行場の5年以内の運用停止の期限をむかえました。この間政府は、普天間基地の撤去に向けアメリカに要求をしたのかと国会で問われ、「説明している」というのみで、要求をした事実を示すことができませんでした。運用停止どころか、今年1月には、普天間基地への米軍の他の基地所属機の離着陸が調査開始以来最多の378回に増加しています。

政府は、辺野古基地建設にあたって、この普天間基地の危険除去に繋がると繰り返してきましたが、実際には世界一危険と言われる普天間基地の危険除去に本気で取り組んできたとはいえない、と厳しく指摘せざるをえません。完成の見通しもたたず、沖縄県民も明確に反対する辺野古基地建設を条件とする限り、普天間基地はいつまでも固定化され続けてしまいます。今こそ、日本政府は、強い決意をもって、普天間基地の撤去を求め米国と再交渉すべきです。

 

わが国は、民主主義国家であり、日本国憲法において主権は国民にあることを宣言しています。沖縄県の県民投票はその全過程を通じて、国民こそがこの国の主権者であるという民主主義のあるべき姿を示しました。県民9万2848筆の署名を集め、沖縄県に県民投票条例の制定を直接請求。当初は一部自治体が県民投票を実施しないと表明する中で県民全員参加の投票実施が危ぶまれましたが、粘り強い合意形成の努力が続けられた結果、全市町村での投票実施に至りました。自らの地域のことは住民の意思で決めるという、真に民主主義を体現する県民投票であったと深く敬意を表するものです。この県民投票の結果を、政府は重く受け止めなければなりません。

県民投票後の共同通信社の世論調査では、県民投票の結果を「尊重すべきだ」との回答が約7割にのぼりました。辺野古米軍基地建設の埋め立てを立ち止まり再考することができるかどうかは、我が国の民主主義をはかる重要な試金石となります。国民主権をないがしろにする民主主義国家などは到底ありえません。

地方自治を踏みにじる行為に対して強く抗議し、沖縄県民に多大な苦難を強いてきた基地問題を解決するためにも、高知県議会として、沖縄県民の強い決意に応え連帯の意思を示そうではありませんか。

以上、「沖縄県民の明確な民意を尊重し、辺野古米軍基地建設の埋め立て中止・普天間基地撤去を求める意見書(案)」の提案理由といたします。

同僚議員のご賛同を心からお願いいたします。