議会報告

2019年6月議会 岡田芳秀代表質問

●岡田議員 市民と野党の共闘で県議会に送り出していただきました日本共産党の岡田でございます。

会派を代表いたしまして、以下質問をさせていただきます。

 

【政治姿勢・日米貿易交渉】

●岡田議員 まず、知事の政治姿勢についてお伺いします。

一つは、日米貿易交渉についてでございます。

 米国が昨年12月21日に発表した『対日貿易交渉目的』は、サービス分野を含む22項目からなる包括的な交渉を想定したものとなっています。日本は単なる物品協定(TAG)としていますが、アメリカは包括的な自由貿易協定(FTA)をめざす構えです。

今年4月15、16日の両日、ワシントンで行われた日米通商交渉では、農産物、自動車についての物品貿易交渉に加えて、「物品貿易」とは異なる項目である、デジタル貿易についても交渉することで合意がされています。

 来日したトランプ米大統領と安倍首相との5月27日の日米首脳会談では、日米貿易協定について、早期の成果達成にむけて議論を加速させることで一致をしました。会談後の、両首脳の共同記者会見で、トランプ大統領は「8月に両国にとってよい発表ができるだろう。貿易不均衡を早期に是正しなければならない」と言及し、さらに「TPP(環太平洋連携協定)は関係ない。私は何も縛られていない」と強調しました。安倍首相は新たな貿易交渉は「TPP水準」を上限とするのかという質問には答えず、TPP以上の市場開放の可能性を否定しませんでした。

 そしてその後、政府は米国に対する牛肉や豚肉など農産物関税を、先行しているTPPに合わせて一気に引き下げる案を提示し、その見返りに自動車分野で譲歩を求める方針である、と報じられています。そうなれば、国内農業に大きな影響が出ることは避けられません。政府与党は予算委員会を開いてきちんと説明する責任があります。7月の参院選をやり過ごして一気に大幅譲歩などということはあってはなりません。

 財務省「貿易統計」を基に農林水産省の作成した「輸出入概況」によると、2017年から2018年にかけて、農産物輸出は4,966億円から5,661億円へと695億円増えましたが、農産物輸入は6兆4,259億円から6兆6,220億円へと1,961億円増加しています。つまり国内農産物市場は1,266億円縮小したことになり、成長戦略にも反しています。

また、すでに発効されたTPP11、日欧EPAによって生じている国内農業への影響もしっかり見極める必要もあります。特に、チリ産ブドウの輸入が急増しており、生鮮果実の関税撤廃の影響はない、としてきた政府試算の見直しが必要となっております。

◇私は、日米2国間交渉を直ちに打ち切り、日本の経済・食料主権を守る、公平・公正な貿易ルールづくりをこそ、目指すべきと考えます。知事の所見をお伺いをいたします。

 

○県知事 岡田議員の御質問にお答えをいたします。

まず、日米の二国間交渉についてお尋ねがございました。

私は、これまでもお話してまいりましたように、世界経済の活性化のためには、国際協調による世界的な自由貿易体制の確立が必要であり、そのために、多国間、地域間、二国間のそれぞれにおいて、基本的には自由貿易を促進する形でのルールの確立が必要であると考えております。

ただし、従前から申し上げてきましたように、我が国としては、攻めるべきところは攻め、守るべきものは守るという姿勢を併せて堅持していただきたいと考えているところです。

そうした中において、本県のような中山間地域の農業を守ることは、私としても重大な関心事であります。

議員からお話のありました日米貿易交渉につきましても、こうした姿勢で臨んでいただきたいと考えております。

 

【政治姿勢・自治体職員】

●岡田議員 次に、自治体職員の職員数についてお伺いします。

財務省が財政制度等審議会の分科会で、警察官や消防士、教師らを除いた地方自治体の一般職員について、人口減にあわせて、2025年には約3万人を削減・効率化できるという試算を示しました。

 地方公共団体の総職員数は、1994年に約328万人でしたが、2018年には約274万人に減少、このうち一般職員は117万人余りから約92万人と大きく減少しています。同時に、14年をボトムとして増加に転じ、18年までに計約1万人増えています。総務省の調査では、防災や地方創生、子育て支援、生活保護関連業務の体制充実などが主な増員理由となっています。

 地方財政審議会の意見では「地方財政計画における近年の歳出は、…その内容を見ると、国の制度に基づく社会保障関係経費が増加しており、その増加分を、給与関係経費や投資的経費(単独)の減で吸収してきた。このため、給与関係経費、投資的経費ともに、ピーク時から大幅に減少しており…これまでと同様の対応を続けることは困難となってきている。 「今後、少子高齢化への対応や社会的に支援が必要な人々へのきめ細かな対応がますます求められることを考えると、これまでと同じように地方公務員の数を減らすことは限界にきている」(今後目指すべき地方財政の姿と平成29年度の地方財政への対応についての意見など)と指摘しています。

◇職員不足、職員の多忙化解消こそ求められており、財務省の試算は、以前の少人数学級やめよ、という主張と同様、地域の実態を見ていないものではないかといわなければなりません。撤回を強く求めるべきと思いますが、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、財務省の「地方職員3万人減可能」との試算について、撤回を求めるべきではないか、とのお尋ねがございました。

議員のお話にありましたように、地方自治体の一般行政部門の職員数は、厳しい財政状況や市町村合併などを背景に、平成7年以降減少しておりましたが、平成27年以降は、地方創生の取り組みや防災対策などの行政需要に対応するため、増加してきているという実態があります。

今回、財務省の財政制度等審議会から示された試算は、今後、人口減少が更に加速し、労働力不足が深刻化することを踏まえ、地方公共団体の業務や体制を抜本的に見直していく必要があるとの前提にたって、その一例として、人口当たりの職員数を一定にした場合の削減数を算出したものであります。

総務大臣も記者会見で発言されたように、極めて機械的な試算であって、これによって直ちに自治体に対し、職員の削減を求めるものではないと認識しております。

ただし、このことを奇貨として、地方の財源が削減されることのないよう、今後の国の動向について注視してまいります。

 

●岡田県議 国の制度に基づく社会保障関係経費の増、行政需要の高まりによるマンパワーの充実が迫られているにもかかわらず、国の地方財政計画の一般財源はふさわしく増えていません。これが上記のような職員削減を生み出すとともに、一方で非常勤職員を増加させてきた要因です。

 2016年度、市町村の非常勤職員は、全職員の30.3%にまで増加し、約49万人になっています。職員の半数以上が非正規という市町村は2016年度92自治体と、10年余りで7倍に急増しています(NHKおはよう日本)。

財務省の試算は、急増してきた非正規職員の実態を無視した暴論といえます。

サービスの安定性、継続性と専門性を考えれば、正職員を増やすことが求められています。また、非常勤職員の処遇改善を目的とした会計年度任用職員への移行にもとづく、処遇改善予算をしっかり確保することが求められています。しかし、政府は処遇改善のための財源規模すら示していません。正職員を減らして、非正規を拡大するという動きも全国的には起こっています。

◇行政需要の多様化にみあった職員体制の確保、非常勤職員の処遇改善のための財政措置こそ、真っ先に行うものであると考えるが、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、行政需要の多様化に見合った職員体制の確保と非常勤職員の処遇改善のための財政措置についてお尋ねがございました。

先ほどお答えしましたように、地方創生や防災対策などの行政需要の高まりに応じて、職員数が増加しているという実態がある中、今後も行政需要の増加や複雑化に対応するため には、必要な人員体制を確保することが重要であると考えています。

他方で、今後さらに県全体の人口減少が進み、労働力不足 が想定ざれることや、簡潔で効率的な組織体制を目指す観点を踏まえると、AIやRPAといったデジタル技術の活用や、事務の共同処理をはじめとする広域連携の推進などによる業務のさらなる効率化によって、マンパワーを確保する必要もあると考えております。

また、社会情勢の急速な変化や多様化する行政需要に対応するためには、正職員に加えて、非常勤職員などの方々のカは欠かせないものと考えております。来年4月からは、会計年度任用職員制度が導入されることにより、現行の非常勤職員等について、任用が明確化されるとともに、新たに期末手当が支給されるなど、一定の処遇改善が図られることとなります。

今回の会計年度任用職員制度導入にかかる財政措置を含め、地方の安定的な行政運営に必要な財源の確保について、引き続き、全国知事会などと連携し、国に対して、しっかりと要望してまいります。

 

【政治姿勢・米軍機低空飛行訓練】

●岡田県議 次に、米軍機の低空飛行訓練についてお伺いします。

本年4月11日、午後0時47分から1時の13分間の間に、本山町上空を米軍の戦闘機が3度飛来。本山町役場に設置をされた騒音測定器では、いずれも100デシベルを超える爆音が記録され、目撃をした町民や役場職員からは、「これまで目撃した中でも、これほど低く飛んだことはなかった」「パイロットのヘルメットが確認できるほど近かった」などの証言も寄せられています。

 本山町立本山保育所では、90名を超える園児たちがちょうどお昼寝をしていた時間。園舎を振るわすほどの轟音に、目を覚まし泣き出す子どもたち。保育士さんたちは、「大人でも身の危険を感じるほどだった。子どもたちの心に恐怖を与える米軍機の訓練は絶対にやめてほしい」と語っています。

 今回の事態を受け、知事も翌日、防衛大臣と外務大臣に要請文を提出し、その後、知事ご自身が政府関係者に面談し、要請をされていますし、5月27日には、本山町で保育所職員や保護者の皆さんから直接声も聞かれています。

◇そこで、まず、5月27日に本山町の現地で実態を聞かれた感想を、知事にお伺いします。

 

○県知事 次に、米軍機の低空飛行訓練に関して、5月27日に本山町の現地で実態を聞いた感想について、お尋ねがありました。

各市町村を訪問している「対話と実行行脚」で本山吋に伺った際に、本山保育所の職員や園児の保護者の皆様から米軍機の低空飛行について、実態や皆様の切実な声をお聞きし、県.民の安全・安心を守る立場として重く受け止めました。

このお話の中では、米軍機が低空で保育所の園庭の真上を飛んでいくことや、子どもたちが昼寝から目を覚まし、て保育士にかきついて泣いたり、怖がっていたことなどをお聞きするとともに、保護者や子どもたちの声を一筆一筆書いたというカードの写しをいただきました。

また、その後屋外に出て、実際に見えた飛行コースや、周辺の山を見ながら高さのイメージを皆様から教えていただいたり、他の地域でも別の方から同様のお話をお聞きしました。

実際に体感した皆様のお話を直接お聞きし、現地を見ることで、かなり低い高度を飛んだということを実感するとともに、本山町におけるこのたびの低空飛行訓練の実状を実感することができました。

私もこれまでに見たことがありますが、攻めて本県の抱えている負担の大きさを感じるとともに、子どもが泣き叫ぶような超低空飛行訓練は止めて欲しいと抗議の声をあげ続けることが大事だと思ったところであります。

 

●岡田県議 ◇また、防衛省地方協力局の職員が高知県を訪れていたとのことですが、どのような目的で訪れていたのか、知事の要請に応えたものなのか、知事に伺います。

 

○県知事 次に、防衛省地方協力局の職員が本県を訪れたのは、どのような目的か、私の要請に応えたものなのか、とのお尋ねがありました。

防衛省の職員が本県を訪問された目的としましては、防衛省としてより具体的にヘリの運航や現場の状況を確認するためだとお聞きをしております。

当日は地方協力局の補償課長ら6名が消防防災航空センターや高知医療センターを訪れ、操縦士からヘリの運用実態や米軍機の目撃情報などについて、直接ヒアリングされたほか、嶺北地域の地形やヘリポートなどを視察されております。

今回の防衛省の訪問は、4月に県として外務・防衛両大臣に米軍機の低空飛行訓練に係る要請書を提出するとともに、その後、私が4月と5月の二度にわたって防衛省地方協力局長と本省で面談し、地図や緯度経度の座標を示した資料を用いて、嶺北地域にあるへリポートの位置などをご説明するとともに、ヘリコプターが飛んでいる空域の安全度をより高めるために何らかの工夫ができないかとお願いしたところ、局長から何ができるか検討するとのお話があったことなどが背景にあると思っております。

今回の訪問でのヒアリングや視察を踏まえて、何らかの形でヘリの運航の安全度がより高まっていくような具体的な対応に踏み出してしていただきたいと考えているところであります。

 

●岡田県議 この日の低空飛行訓練の40分後には、ほぼ同じルートでドクターヘリが救急患者の搬送のため飛行していることを高知新聞の本山支局の記者がカメラでとらえており、その後の調査で2017年12月には、県の消防防災ヘリの操縦士が「目視で約200メートルの距離で米軍機が後方から接近し抜き去っていった」との証言を得て、5月3日の新聞紙上で大きく取り上げられました。知事は、これまでもこうした危険性を回避するため米軍機の低空飛行訓練の事前の情報提供を求めてきましたが「日米地位協定」の壁に阻まれ、事態は全く改善されておりません。

 今、全国で米軍による基地被害や訓練による被害に対し全国知事会が声を上げ「日米地位協定の見直し」を決議し行動を開始しています。

◇全国知事会の要請を踏まえ、また現地の皆さんの声もお聞きになり、今後、知事としてどのような働きかけを行っていくのか伺います。

 

○県知事 次に、全国知事会の要請を踏まえ、また、現地の方々の声もお聞きし、今後、知事としてどのような働きかけを行っていくのかとのお尋ねがありました。

低空飛行訓練については、全国事会が平成25年牢以降、事前情報提供を行うことを毎年要望しております。

特に、昨年7月には「米軍基地負担に関する提言」を基地のない都道府県も含めた総意として取りまとめ、その中で改めて「米軍機による低空飛行訓練等については、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行い、十分な配慮を行うことや、「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法などの国内法を原則として米軍にも適用させること」などを盛り込んで政府に提言しております。

他方では、本県としても、本年4月に外務・防衛両大臣あての要請文書を提出するとともに、その後、4月と5月には防衛省地方協力局長と面談して、米軍機の低空飛行訓練等については、事前情報提供を必ず行うこと、危険性の極めて高い超低空飛行訓練など異常な訓練は行わないことを改めて要請するとともに、先ほどお答えしましたとおり、ドクターヘリなどが飛行する空域の安全度をより高めるための工夫をお願いするなど私の思いを直接お伝えいたしました。

本山町の皆様が不安を感じたり心配されているように、万が一、米軍機が墜落したり、ヘリと衝突すれば、住民やヘリ搭乗者だけでなく、米軍の人命にも関わることとなり、日米関係にも大きなダメージを与えることになると考えております。

引き続き、ドクターヘリなどの運航の安全確保のため、米軍機の飛行に関する情報を訓練実施前に提供していただけるよう、全国知事会などとも連携をして、関係機関に粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。

 

●岡田県議 6月6日、日本共産党高知県委員会、徳島県委員会合同で「米軍機の低空飛行訓練の中止について」の要請書を持って政府交渉を行いました。その中で、防衛省、外務省の担当者からは「全く自由に飛んでいいわけではない」「安全に配慮するのは当然」「日米地位協定第16条には国内法の尊重という記述もある」と、何の見直しの必要もないと言わんばかりの答弁がなされ、現実に起きている事態を全く無視する発言が相次ぎました。政府に事態の深刻さを、そして危険性を事実として認識させる重要性を改めて痛感しました。

 そこで、まず、低空飛行の実態を音量だけでなく映像で捉え、飛行高度を記録するためのカメラの設置を提案をいたします。本山保育所の保育士さんたちはいつもポケットにカメラを持ち、子どもたちの様子を記録することと、低空飛行を証拠として残すための努力をしておられます。

◇県として飛行ルートを町民から聞き取り、有効な場所にカメラを設置すべきと考えますが、知事のご所見を伺います。

 

○県知事 次に、低空飛行の実態を捉えるため、有効な場所にカメラを設置すべきではないかとのお尋ねがおりました。

県では、米軍機の低空飛行訓練が住民生活に与える影響を、客観的、確定的な数値として把握するためには騒音の測定と記録が有効だと考え、目撃情報が多い嶺北地域の4町村と 香美市のご協力のもとで、合計5台の騒音測定器を、平成25年度から2か年で、設置して運用しております。

ご指摘のあったカメラの設置につきましては航空機の飛行実態等を把握するために有効な選択肢の一として考えられますが、設置者や設置場所、撮影の方法や精度、機器の維持管理を含めて、技術面やイニシャル、ランニング両面でのコスト等について、十分に、多角的な検討が必要になると考えております。

県としてカメラを設置するかどうかにつきましては 全国知事会が国の責任で実態調査を行うことを提言していることを踏まえつつ、国や関係市町村の意見もお聞きしなから、今後検討してみたいと考えところであります。

 

●岡田県議 ◇また、この間、消防防災ヘリやドクターヘリの乗組員からの報告も共有することとなりましたが、その報告を空の安全を司る国土交通省の部署にも通知し、米軍機であるとの確認を行わせるよう求めるべきだと考えますが、ご所見を伺います。

 

○県知事 次に、消防防災ヘリなどからの報告を国土交通省にも通知し、米軍機であるとの確認を行わせるよう求めるべきではないか、とのお尋ねがありました。

県の消防防災ヘリやドクターヘリ、県警ヘリが米軍機を目撃した場合には、日時や場所、ヘリとの目視距離などを記載した書面を危機管理部へ速やかに報告する仕組みを整え、市町村からの目撃情報と同様に速やかに防衛省へ伝達することとしたところです。

一方、米軍機が飛行する場合には、日米地位協定の下でも適用されている航空法第97条などに基づき、米軍も国土交通大臣に対して飛行計画の通報が必要となっております。

この具体的な流れとしましては、まず、米軍から自衛隊に米軍機の飛行計画が通報され、その後、自衛隊から国土交通省に通報されているものと承知しております。

このように、米軍のカウンターパートが自衛隊、つまり防衛省となっている運用の実態を踏まえれば本県が消防防災ヘリ等から報告を受ける米軍機の目撃情報についても、防衛省を窓口、として伝達し、防衛省から国土交通省や米軍に通知し、晴報共有を図ることが適当であると考えるところです。

本県が防衛省へ伝達する目撃情報につきましては、低空飛行訓練の実態として国の関係機関や米軍との間で共有されるとともに、ヘリなどの安全度をより高めたり、十分な配慮を行うための対応等を国が検討するうえで役立てていただくことを期待しております。

 

●岡田県議 事実確認に関して、これまで、低空飛行が確認をされたら、県が中国四国防衛局に米軍への確認を求め、その機体が米軍機であるとの通知を受け取っていました。しかし最近は、米軍からの回答が明確になされていない事態となっています。自衛隊機でもない出所不明の戦闘機が飛び回っているという異常事態は、看過できるものではありません。

◇事前の情報提供とともに飛行訓練後の速やかな情報公開を求めるべきだと思いますが、どのように対応されるか伺います。

 

○県知事 次に、事前の情報提供とともに飛行訓練後の速やかな情報公開を求めるべきではないか、とのお尋ねがありました。

本県では市町村から報告された米軍機の目撃情報を、その都度速やかに集約して中国四国防衛局に伝えておりますが、その際、両局においては、周辺の自衛隊に限らず全国の自衛隊に照会し、自衛隊機に該当がないか確認のうえ、該当がない場合は、「米軍機であった可能性がある」として県に回答するとともに、苦情などの内容を米側に伝え住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう求めていただいております。

今般、いわゆるオレンジルートを飛行する、ドクターへりなどの安全確保のため、米軍機による低空飛行訓練等に係る速やかな事前の情報提供を、私から防衛大臣らに改めて要請したところでありますが、議員御指摘のように、飛行訓練後についても情報の公開を求め、それが実現したとすれば、目撃情報以外の情報も把握することができ、頻繁に訓練が行われるルートや時間帯といった情報が蓄積されることになりますので、ヘリが飛行する際に参考となり、安全確保に繋がる面もあろうかと思います。

一方で、米軍機の飛行訓練、に係る情報は、米軍の軍事上での運用に関わる情報であることから、全てを明らかにすることは難しい面があると考えられます。

県といたしましては、軍事的な機密に関わるような情報まで求めているものではなく、ドクターヘリなどの安全確保のためには事前の情報が重要であると考え、事前の情報を差し支えない範囲で工夫して提供していただくよう粘り強く求めていきたいと考えているところであります。

 

●岡田県議 先の政府交渉には、「事故が起こってからでは取り返しがつかない。子どもたちの心と命を守るのが私たちの責任だ」と知事も受け取られた抗議はがきを持って、本山保育所の保護者や保育士さんたちも参加し、涙ながらに訴えられました。政府交渉から帰った保育士に、子どもたちから「もう飛ばんっていうてくれた?」との問いかけがあり、胸が詰まってしまったとのお話も伺っております。

◇県としてのこれまで以上の積極的な取り組みを強く求めるものですが、最後に知事の決意を伺います。

 

○県知事 次に、低空飛行訓練に対する決意について、お尋ねがありました。

米軍機の低空飛行訓練について、私の思いは大きく申し上げて3つであります。

1点目は、まず大前提として、これまでも申し上げてきましたとおり、日米安全保障は極めて重要であり、厳しい安全保障環境の中で日米安保の実効性を高めるという意味において、全ての訓練を否定するものではありません。

しかしながら、2点目として、先ほども申し上げましたけれども、住民の皆様が恐怖を覚え子どもが恐れ泣き叫ぶような危険な超低空飛行訓練は是非止めてもらいたいと考えているものであり、このことはこれまでも繰り返し訴えてきたところであります。

さらに、3点目として、いわゆるオレンジルートはドクターヘリなどが頻繁に飛行している空域でもありますため、このことを踏まえてさらなる安全対策を何らかの形で講じていくことも、併せてまた重要であると考えております。

そのため、低空飛行訓練に係る事前の情報提供を必ず行うことや、危険性の極めて高い超低空飛行訓練を行わないことについて、本年度に入り改めて国に要請を行うとともに、防衛省に対しドクターヘリなどの安全度がより高まっていくよう具体的なアクションを求めたところであります。

今後とも、全国知事会などとも連携し、米軍機の飛行訓練の動向を注視しつつ、粘り強く是正の要求を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 

【農業振興】

●岡田県議 次に、農業振興について伺います。

本県では県のトータルプランである「高知県産業振興計画」や「高知県南海トラフ地震対策行動計画」を上位計画として、また昨年7月の豪雨災害等を踏まえて、2019年から2023年までの新たな「高知県農業農村整備推進方針」が示され、「農を強くする」「農を守る」取り組みが始まっております。

この方針でも指摘をされていますが、「農地の減少と耕作放棄地の増加」、「農業者の減少と高齢化」は、農業振興にとって引き続き大きな課題です。本県の耕地面積は27,600ha(H29)で、この10年間(H19~H29)で約1,300ha減少しています。これは、南国市の水稲の作付面積1,380ha(H30)に相当します。また、耕作放棄地は3,921ha(H27)で、この10年間(H17~H27)で約110ha増えています。このため農地を担い手に集積して耕地面積を維持しようとしていますが、集積率は全国平均の56.2%に対して32.4%に留まっています。

農業振興にとって生産性を高めることは大事ですけれども、やはり農業生産の基盤となる耕地面積を維持することが大切だと考えます。そして耕地面積の減少に歯止めをかけるには、なによりも耕作放棄地の増加を食い止める、このことが重要です。

◇耕地面積の減少に歯止めがかからない現状をどうとらえているのか、農業振興部長に伺います。

 

●岡田県議 とりわけ耕作放棄地は、狭い土地であったり、水の便が悪かったりといった、いわゆる条件不利地に多くありましたが、最近では平野部でも見られるようになっています。ほ場整備を進めて集約するというやり方だけでは、おっつかないのが現状ではありませんか。ほ場整備がされなければ、そのまま放棄されることにもなりかねません。

地域農業の持続可能性を高めるためには、貸し手と借り手をつなぐ農地バンク(農地中間管理機構)の機能をもっと充実させること、耕作放棄地が生まれた要因を具体的に分析して対策を講じること、耕作放棄地をどう活用するのかを具体的に検討する仕組みを充実させることが大切です。例えば、町の周辺などでは、JAや集落経営などと連携して、ほ場を一定の小さな面積に区切り、「市民農場」として市民に一定の金額で貸し出し、そして家族が週末には土に親しむ、そこから農業をもっとやってみたいという人が生まれるというように、耕作放棄地をうまく活用している所もあります。また、障害者就労施設が農地を借り受けて福祉農園を営んでいるケースもあります。こうした取り組みを広げていくことができるのか、市民のニーズを調査するのも一つの対策ではないでしょうか。

市町村の耕作放棄地再生の取り組みと連携し、県としてもしっかりと取り組んでいかなければなりません。

◇地域農業を持続していくために、耕地面積の減少や耕作放棄地の増加が続く現状に歯止めをかけるために、どう取り組むのか、農業振興部長にお聞きします。

 

○農業振興部長 まず、耕地面積の減少に歯止めがかからない現状に対する認識と、地域農業を持続させていくための取り組みについて、お尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。

本県の耕地面積は、平成17年から27年の10年間で約8010ヘクタール減少しており、地域別に見ても、山間部はもとより、平野部でも大部分の市町村で耕地面積が減少しています。

減少の主な要因としては、農業者の減少や高齢化が進む中、特に山間(やまあい)の土地や平野部の小規模な水田など、生産条件の不利な農地を中心に耕作放棄地になっていることが考えられます。

耕作放棄地の発生を防止し、耕地面積の減少に歯止めをかけるためには、担い手を確保し、農地中間管理機構を通じて農地を担い手に集積する取り組みも重要ですが、個々の農家への集積だけでは限界もあることから、関係者の協力の下、地域全体で農地を維持していく仕組み作りが必要です。

このため、県では、農地を維持管理し、農業生産活動を支援する国の「中山間地域等直接支払交付金」をはじめとした「日本型直接支払制度」を活用し、生産基盤をしっかりと下支えし、その上で、地域の核となる経営体である集落営農と中山間農業複合経営拠点の両輪の取り組みを推進しています。

現在、県内の集落営農は224組織、中山間農業複合経営拠点は.20組織と着実に増加しており、今後も地域の農地の受け皿となるこれらの組織の拡大に取り組んでまいります。

また、生産条件の良い平野部においても耕作放棄地が発生していることから、国の「多面的機能支払交付金」を活用し、農業者や地域住民が共同で行う水路の泥上げや草刈り、植栽による景観形成など農地の維持を図る活動を支援しています。

こうした取り組みにより、耕地面積の減少に歯止めをかけるとともに、持続可能な地域農業の実現につなげてまいります。

 

●岡田県議 農業者の減少と高齢化の問題も大きな課題です。おおもとには人口減少が続いているという背景がありますが、直接的には農業だけで暮らしていける展望が持てないことがあります。「息子に農業をやれとは言えない」、「年をとって無理がきかん、作を減らそうと思いゆう」、「燃油は高止まり、消費税が上がったらどうなるか心配」こんな声が寄せられています。新規就農を促進するには、高知の農業の魅力を発信し、農業で暮らしていこう、農業で暮らしが成り立つという展望を示すことが重要です。そのためには、何よりも農家の皆さんの経営安定をはかり、後継者が農業に自信がもてるようにすること、そしてU、Iターンを促す取り組を強めることが必要です。

これから農業者の高齢化がさらに急速に進むことが予測されます。一昨年の県の新規就農者数は、目標320人に対して265人となっており、足踏み状態です。一方、全国的には49歳以下の農業就農者がここ数年2万人以上をキープしていることは、就農の形態は様々あるにしても、変化のきざしが生まれてきているのではないかと感じています。それでも全体としてみれば農業就業人口は、引き続き減少傾向にあり、歯止めがかかっていないこともリアルに見なければなりません。

◇今後、県として新規就農者の目標達成にどう取り組むのか、そして就農支援をどうしていくのか、農業振興部長にお聞きをします。

 

○農業振興部長 次に、新規就農者の確保目標の達成に向けた取り組みについてお尋ねがございました。

県では、地域で暮らし稼げる農業の実現を目指し、年間320人の新規就農者の確保を目標に、産地提案型の担い手確保対策などに取り組んでいるところです。こうした取り組みにより、新規就農者数については、産業振興計画スタート前の平成20年度に114人であったもめが、29年度には265人となったところです。

しかしながら、目標達成に向けては、農地などの生産基盤があり、スムーズな就農が可能な親元就農や、近年増加傾向にある移住者の農業参入を促す取り組みの強化が必要である と考えております。

このため、今年度から、親元就農への支援について、対象品目や研修方法を拡大するとともに、親元の経営体を法人化する場合は、支援期間を従来の1年間から最大3年間に延長 して支援水準も拡充したところです。

また、これらの支援策の拡充内容をJAの生産部会で直接説明するなど、親世代の農家とその後継者に対するPR活動も強化し、親元就農の掘り起こしを進めてまいります。

さらに、移住部署と連携して就農相談会を開催するとともに、県や市町村のホームページなどを通じて、豊かな自然の中で暮らせる本県の魅力や本県農業の強みを広く周知するなど、県外からの就農希望者の呼び込みも強化してまいります。

このように親元就農を積極的に推進するとともに、県外へのPR活動を強化するなど、新規就農者の確保目標の達成・に向けて取り組んでまいります。

 

●岡田県議 ◇また、現場では人手不足という問題も生まれています。ネットで労働条件を示して募集するということも行われていますが、労働力不足に対してどう取り組むのか、農業振興部長にお聞きします。

 

○農業振興部長 次に、労働力不足に対する取り組みについて、お尋ねがございました。

農業生産の維持拡大を図る上で、労働力の確保は喫緊の課題となっております。

このため、平成28年度に、JAや農業振興センターなどが県内11の地域でプロジェクトチームを設置し、JA無料職業紹介所の開設や、シルバー世代、子育て世代といった、ターゲットを絞ったマッチングなど、地域の実態に応じた取り組みを進めてまいりました。

その結果、昨年度は、JA無料職業紹介所において260件のマッチングが行われますとともに、JA四万十では、全国規模の求人サイトでショウガの収穫作業の募集を行ったところ、県外からの16名を含む29名のアルバイターが確保されるなど、一定の成果がみられているところです。

しかしながら、安定した雇用を望む求職者に対して、農業分野では収穫ピーク時を中心に季節的、短期的な雇用が多いことから、労働力の確保は厳しい状況が続いており、求職者のニーズに合致した、長期間の就労が可能となる仕組みづくりが必要と考えております。

そのため、現在、県とJAグループが連携し、品目ごとの労働力の不足時期、不足する頻度や人数、支払い可能な賃金などの実態把握に努めているところです。

今後は、この実態を基に、施設野菜や露地野菜、果樹など複数の品目の作業を組み合わせて、求職者にとって魅力ある、長期間安心して働くことができる農作業体系を構築してまいります。

 また、構築した農作業体系につきましては、JA無料職業紹介所によります、全国規模の求人サイトへの掲載や募集チラシの配布などによりまして、県内外の求職者とのマッチングをはかり、農業労働力の確保につとめてまいります。

 

●岡田県議 農家戸数や農業就労者の減少にも関わらず、販売額は伸びてきています。このことは「産業振興政策」の成果といえます。しかし、今後を考えますと、就業人口が減り続ける一方で、販売額を伸ばし続けていくにはやはり限界があるのではないでしょうか。私は、集約化、規模拡大で生産性を上げて売り上げを伸ばすというやり方だけではなく、農家が住民と一緒に地域を守る、持続可能な農業を続けるには、地域農業の多くを担っている家族農業への支援をはかるなど足元の力をつけることが大切だと考えます。

◇この10月からの消費税の10パーセントへの増税が予定されています。農業経営も圧迫するものです。政府自身が景気判断を「悪化」していると下方修正した状況のなかで、実施をすべきではないと考えますが、知事の所見をお聞かせください。

 

○県知事 次に、10月からの消費税増税について、政府自身が景気判断を「悪化」と下方修正した状況の中で実施すべきではないと考えるがどうか、とのお尋ねがございました。

景気動向指数の基調判断は、一致指数の動きを一定の基準に機械的に当てはめたものであり、本年3月から「悪化を示している」となってておりますが、直近の月例経済報告における政府の基調判断では「景気は緩やかに回復している」との骨格が維持されているところであります。

現在の国・地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という状況を鑑みれば社会保障制度の充実・強化を図り、かつ持続可能性を確保するためにも、消費税率の引上

げは、やむを得ないものと考えております。

一方で、消費税率引上げに当たりましては、経済的な影響をできるだけ小さくすることが重要でありますことから、国においては、一連の対策をしっかり行っていただきたいと考えております。

 

●岡田県議 また、増産が実証されている環境制御技術の普及についてです。安芸市では一定普及が進んでいるようですが、アンバランスがあり、全体として目標に届いていません。せっかくの研究成果が現場で活かされないとすればもったいない話です。例えばAさんのところではこうなると、収支のバランスシートも示して、ほんとうに経営が良くなる、収益が上がるというイメージが湧くようにわかりやすく示すなど、工夫が必要ではないでしょうか。

◇高齢になった農家の方たちは、新しいやり方をためらう傾向がありますが、今後どのように環境制御技術の普及を図っていくのか、農業振興部長の考えをお聞きします。

 

○農業振興部長 次に、どのように環境制御技術の普及を図っていくのかについて、お尋ねがございました。

環境制御技術の普及につきましては平成31年3月末現在で、ナスやピーマンなど、本県の主要7品目における導入面積率は50パーセントとなり、多くの農家の皆様の所得向上につながってきています。

一方で、農家の方が導入をためらう要因としましては、新たな機器を導入する際のコスト面に対する不安、機器やシステムが使いこなせないのではといった操作面での不安、増収に伴う労働力に対する不安などが挙げられます。

これらの不安を払拭するため、まず、コスト面では、地域ごとに設置した「学び教えあう場」を活用した機器の導入による増収効果の実証に加えて、品目ごとの経営収支モデルを作成し、生産部会での説明や個別農家への巡回指導などにより、普及に努めてまいりました。

次に、機器類の操作面では、例えばJA土佐くろしおでは機器メーカーと連携し、タッチパネルを活用した誰でも簡単に操作できる機器類を開発し、積極的に導入を推進したところ、この2年間でミョウガでの導入率が約10パーセントから約50パーセントにまで、一気に普及をいたしました。

また、労働力不足に対しましては、今年度から、自動天窓など、省力化につながる機器類の導入についても支援ができるよう補助事業の対象メニューを拡充し取り組んでいるところです。

今後は、さらに、機器メーカーに加えてIT企業とも連携して、より簡単で便利な機器の開発を推進していくとともに、経営規模や所得目標等に応じたきめ細かな指導を徹底し、導入にためらいのある農家の皆様に安心して導入してもらえるよう、取り組みを強化してまいります。

 

●岡田県議 次に、農業農村整備事業について、とりわけ南国市で行われている「国営緊急農地再編整備事業」についてお聞きします。

いよいよこのほ場整備事業が、これから本格的に始動します。受益面積は約530ha。全体が仕上がる工期は約10年です。当初の目標からすれば受益面積が狭くなったとはいえ、この事業は、地域の農業構造を変える大きな事業となります。どう変えるか、県は今年3月に策定した「農業農村整備推進方針」(2019~2023)の「参考資料」にかなり具体的に示されていますが、地域の皆さんともよく話し合って進めなければなりません。この事業は、農地集約にとどまらず、新たな営農展開によって、直販所、学校給食や農家レストラン、JA出資法人がとりくむ「還元野菜」の生産や、周辺の園芸農家などとも結びついて、農業を中核産業とする地域全体の活性化につなげていける可能性をもっています。期待の大きい事業です。こうした事業をつうじて次の世代が育つようにしなければなりません。地域の人たちが主体的に取り組み、地域の特性を生かした農業の振興が図られるよう、県におかれましては地元農家、土地改良区、南国市をはじめ関係機関としっかり連携して、ご支援いただくようにお願いをいたします。

その上で、支援の体制について伺います。南国市では、この4月に農地整備課が新設されました。職員は6名です。内1名は基盤整備の事業内容に精通している県の出向者ですが、南国市の5名は基盤整備に取り組んだ経験がないと伺っております。今後、具体的に事業が進んでいく中で、きめ細かな対応を図るためには支援体制の拡充も必要だと考えます。

◇この事業推進を図るうえでの県の役割、意気ごみを、農業振興部長お聞かせください。

 

○農業振興部長 最後に、南国市の国営緊急農地再編整備事業の推進について、お尋ねがございました。

本事業は、県内最大の水田面積を有する南国市において526ヘクタールのほ場整備を実施する大規模プロジェクトであり、基盤整備による優良農地の確保と併せて、次世代型施設園芸の拡大や企業参入による農業クラスターの形成など大きな成果が期待される重要な事業です。

このため、県としましても、事業着手に向けて南国市やJA等の関係者の取り組みを積極的に支援しており、昨年度は、国営農地整備推進監を専任で配置したうえで、ほ場整備の実務経験を持つ県職員と市の職員によるチームを編成し、事業の必要性を地権者に説明するための戸別訪問を行うなど粘り強く取り組みを重ね、仮同意率の向上を図ってまいりました。

さらに、本年度は、ほ場整備に精通した県職員を南国市に派遣して連携を強化しており、年度内に予定されている農林水産省の事業着手の決定が円滑に行われるよう、引き続き県の関係課と出先機関が主体性を持って、地元調整や営農計画の課題解決に取り組んでまいります。

今後は、県を通じて行う事業申請や土地改良区の設立などの事務手続きに万全を期すとともに、来年4月以降の本同意の徴集にあたっては、県と市が一体となった集中的な取り組みが必要になりますので、臨機応変に対応できるよう県の支援体制を整えていきたいと考えております。

国営事業の着手後は工事の進捗に合わせて新たな営農が実践され、一目も早い事業効果の発現に繋がるよう、国や南国市と一体となった取り組みをしっかりと進めてまいります。

 

●岡田県議 次に、このほ場整備事業に隣接している浜改田と前浜地域を流れる後川の排水対策についてお聞きします。南国市の最南端を東西に流れる後川は、もともと物部川の河口に流下していましたが、排水に課題があったことから、直接海へ放流する放水路が整備されています。

◇放水路の老朽化により、排水機能の低下が懸念されますが、今後、どの様な対策を検討されているのか、土木部長にお伺いします。

 

○土木部長 農業振興について、後川における放水路の老朽化による排水機能の低下が懸念されるが、今後、どのような対策を検討しているのか、とのお尋ねがありました。

後川は、高知龍馬空港の周辺を流域とする物部川の支川であり、国道55号付近から南に流れた後、海岸に沿って形成された砂丘に遮られて東に方向を変え、物部川の河口に流れ込んでいます。

東西に流れる区間では、河川の勾配が緩く、排水能力が不足することから、砂丘を横断して直接太平洋へ放流する放水路を3本整備し、必要な排水能力を確保しております。これらの放水路は、整備後60年以上が経過したものもあり、老朽化してきたため、平成25年度から2か年で長寿命化計画を策定し、この計画に基づき、水門や機械設備の修繕・更新、トンネル部の断面補修などの対策工事に着手しています。

引き続き、これらの河川管理施設の定時点検と補修、更新を行い、適切な維持管理に努めてまいります。

 

●岡田県議 ◇また、これから造成にかかる仮称南国日章工業団地に関わる、用水、排水対策についても、関係する農家の皆さんのご理解ご協力が得られるよう求めるものですが、経過を含めてどのように対応されるのか、商工労働部長にお聞きします。

 

○商工労働部長 (仮称)南国日章工業団地の用水、排水対策に関する、経過と今後の対応について、お尋ねがございました。

県では、新たな企業の誘致やBCP対策も含めた県内企業の移転・増設などに対応するため、昨年度分譲を完了した高知中央産業団地に次ぐ安全・安心な工業団地の開発を進めています。議員のお話にありました、(仮称)南国日章工業団地は、南国市と共同で開発を進めており、令和2年度の完成に向けて、今年度から、本体造成工事に着手する予定でございます。

地元の住民の皆様には、団地の開発に伴います用水及び排水対策を含めました整備計画について、南国市とともに平成27年度から28年度にかけて、王子地区、下咥内地区をはじめ6つの地区で19回の説明会を開催いたしました。

また、昨年度は、団地内からの排水に関連します導水路工事について、計7回の説明会を行ってまいりました。

そうした地元説明会等での用水の機能維持や排水対策に対するご意見も踏まえ、整備計画への反映も行ってきたところでございます。

まず、農業用水につきましては、現在、工業団地の計画地内には、12本の用水路があり、国道55号の下を通って、南側の農地に用水が流れている状況でございます。このたびの団地整備に伴い、これらの用水路については、付け替えが必要となりますが、現在の12本の用水の出口を全て存続させ、従前と同じ様に水を流すことで、用水機能が維持される計画としております。

次に、工業団地からの排水につきましては、団地内に降った雨水を一時貯留池に導き、放流量を調整したうえで、導水路を通じて国道55号を挟んだ南側の王子川の河川改修済みの区間に流す計画としております。このことにより、30年に1回程度に発生する確率とされている降雨によるピーク時の団地からの流出量を整備前と比較して約6割に抑えることができる計画としております。

現在、こうした取組のもと、導水路工事を進めておりますが、今議会に提出しています団地整備工事の契約に関する議案をお認めいただけましたら、直ちに本体造成工事に着手することとしており、工事に入ります前には、施工方法等について改めて地元説明会を行う予定としております。

今後も引き続き、地元をはじめ関係者のご理解とご協力をいただきながら、団地の早期完成を目指してまいります。

 

【管理型産業廃棄物最終処分場】

●岡田県議 次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場についてお聞きします。   

知事は今議会の提案説明で、佐川町加茂を建設予定地として決定した理由を、「反対のご意向を示された方はごくわずかにとどまった」「一定のご理解が得られつつあるのではないかと受け止めさせていただいております」と述べています。

6月11日付けの高知新聞によれば、県が受け入れるように要請している建設候補地の長竹地区自治会が地元住民42世帯を対象に6月2日から6日にかけて実施したアンケートでは、回答した37世帯のうち29世帯、八割近くの住民が反対していると報道されています。添えられた意見には「声が届かないから県の説明会に行く気がなえる。会の参加者が減り、一部の人しか発言しなくなったのは、『理解』とは違う」との意見もあり、「反対のご意向を示されたのはごくわずか」というのは諦めさせられたゆえのものであり、とても「一定の理解が得られつつある」状況ではないことが示されています。

◇第一回選定委員会では、建設予定地の決定は「地元住民、市町村のご了解を頂いて候補地を決定する」と説明していますが、知事は何をもって「地元住民の了解を頂いた」と考えたのかお聞きします。

 

○県知事 次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場について、何を持って地元住民の了解を得たと考えたのか、とのお尋ねがございました。

県としましては、これまで、住民の皆様のご理解を第一としまして、住民の皆様へのご説明を最優先に考え、説明会をはじめとした様々な取り組みを重ねてまいりました。

昨年末の12月に3箇所の最終候補地から「佐川町加茂」への絞り込みをさせていただいて以降、12月、2月、5月の「説明の場」をはじめとした様々な取り組みを重ねて、「三巡目」を終えました。その中で、誠意をもって、しっかりと「県としての考え」をお伝えするため、「将来も含めた施設の安全性や維持管理の体制」、「候補地選定の考え方」などといった住民の皆様のご不安やご心配の声について、精一杯、お答えをさせていただきました。

例えば12月の説明会において多く出されていた「施設からの水漏れ」や「施設に持ち込まれる廃棄物」など処分場特有のご不安の声に対しては、この間、水漏れへの懸念については、処分場内部の水は外部にいっさい出さない構造であり、その水もわずかできれいであること、地下水を常時監視していくことなど、また持ち込まれる廃棄物については、受け入れる廃棄物のほぼすべてが渇いている状態であり、腐敗物は含まれていないこと、有害な廃棄物は受け入れないことなどを丁寧にご説明させていただいたところです。この結果、2月5月と「話し合いの場」を重ねるにつれて、こうした処分場特有の問題に関するご不安の声は減少してまいりました。

こうしたことから、県としましては、地元の皆様が施設整備に関して抱いてこられた様々なご不安やご心配に対する県の説明に対して、一定のご理解が得られつつあるのではないかと受け止めさせていただいたところでございます。他方で、引き続き、川の増水や地下の空洞の有無などについて、ご不安の声が多く残っていることも認識をしており、重く受け止めております。

これらの対処策を詳細に検討し、ご不安をしっかり解消していくためにも、ボーリング調査をはじめ、建設予定地の地形状況等に応じた調査や設計等、億単位の多額の予算を伴う対応が必要となります。

また、長竹地区自治会から、県へもご意見をいただいており、いただいたご意見に対して、一つ一つ丁寧にお答えを作成し、長竹地区の全戸に配布させていただいたところでもあります。

今後、調査を進めていく過程においても、節月節目で調査結果を公開し、住民の皆様にご説明させていただき、ご意見を頂戴する場を設けてまいります。

調査などの結果により、致命的な事態が明らかになれば、加茂地区での施設整備は中止することとします。引き続き、ご不安の解消にご理解をいただけますよう努めてまいります。

 

●岡田県議 16日に佐川町が受け入れを住民に表明し、実施した説明会では、「住民は理解していない。どんどん進めないでほしい」「なぜ受け入れ決定の前に町独自で住民の声を聞く機会を設けなかったのか」との意見が出された、と報道されております。住民の意見が異なる極めて重要な事業の適否を諮るには、当該自治体の首長や執行機関の恣意性を排し、客観性、公正、公平性を担保するため住民代表や専門家などを構成員とする第3者的な側面を持つ検討委員会を当該市町村が設置をし、住民合意を形成し「了解を頂く」手法をとることが、極めて大事だと考えるものです。

◇今からでも遅くありません。候補地となった自治体に設置への助言を行うべきだと思うものですが、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、候補地となった自治体に、住民代表や専門家などを構成員とした第3者的な検討委員会設置への助言を行うべきではないか、とのお尋ねがございました。

これまで3巡にわたり開催してまいりました「説明の場」には、町長や副町長、役場関係者に毎回出席していただき、町議会議員の方々にも多数ご参加をいただいてきたところであり、その場でいただきました住民の皆様の声を踏まえて、それぞれのお立場で、ご判断されたものと認識をしております。

その上で、町議会で議論がなされ、議会としての結論を出され、その結果を踏まえ、町長がご判断されたと認識をしているところです。

自治体が意思決定をするにあたって、第3者的な側面を持つ検討委員会を設けるのか否かにつきましては、当該自治体が判断されることだと思います。ただ、ご指摘の通り、住民の皆様と専門家のご意見を取り入れていきながら、施設整備を進めていく視点は極めて大事なことだと考えております。そのような観点から、節目節目で開催する説明会などで住民の皆様のご意見をお聞きしていきたいと考えております。

また、施設の整備中であっても、現地の見学会を何度も開催させていただき、そのような場などでもご意見をお聞きしていきたいと考えております。

さらに、専門家のご意見を取り入れることも極めて大事なことだと考えており、これまでも候補地の選定にあたり専門家の知見を活かしてまいりました。

今後も、県と町とで連携協調しながら施設整備を進めるにあたっても、専門的かつ高度な知見や最新の技術等を大いに取り入れるため、廃棄物処理、地質、防災等の専門家からなる「施設整備専門委員会」を設置して、取り組んでまいります。

この委員会からの知見、ご意見などは当然として、県と町、住民の皆様との間で共有をされるものであります。

 

●岡田県議 本県同様に最終処分場の建設を図る岩手県では、10カ所を選んだ第4次選定の現地調査に、選定委員の地盤工学、土質力学の専門の教授が10カ所すべてに調査に入り、地滑りや崩壊などの可能性の有無を評価し、最終的に選定した5カ所の候補地は、立地条件等の点で問題ない場所だと、候補地を決定する時点で科学的で公平公正な選定結果を示すことができています。しかし、本県では、知事説明でも触れているように、いまだに、「河川の増水や地下の空洞の有無などに関するご不安」があるにもかかわらず、候補地として決定する、いわば、住民の気持ちを無視した対応と言わざるを得ません。これでは、住民が納得するわけはありません。

◇本県で第4次スクリーニングとして11カ所の現地調査を実施した時、なぜ、岩手県が行ったように選定委員会の専門家が同行して調査・地形判断を行わなかったのか、また、決定するまでにそれら地形的な立地条件については当然、調査をすべきだと考えますが、林業振興環境部長にお聞きをします。

 

○林業振興・環境部長 まず、新たな管理型産業廃棄物最終処分場について、本県で第4次スクリーニングとして11か所の現地調査を実施した時、なぜ、選定委員会が同行して調査、地形判読を行わなかったのか。また、決定するまでに地形的な立地条件について調査すべきではないか、とのお尋ねがございました。

最終処分場の候補地選定にあたっては、平成28年度に策定された「高知県における今後の管理型産業廃棄物最終処分のあり方に関する基本構想」に基づき、処分場整備に精通し、地形地質等の専門的知識も有するコンサルタント会社に事務局案の作成支援に関して業務委託を行い、事務局案を作成しております。その上で、有識者や専門家などから構成する選定委員会において、事務局案を議論していただきながら客観的、科学的に候補地の選定を進めてまいりました。

第4次スクリーニングを行う際には、県とコンサルタント会社の専門技術者で現地踏査を行うとともに、コンサルタント会社の地形判読の専門知識を有する部署が詳細な地形図を基に作業を行った上で、事務局案を作成し、選定委員会において議論していただいております。

その際には、航空レーザー計測データから作成された詳細な地形図とその地形判読結果、現地の写真なども委員にお示しさせていただきながらご議論いただいており、現地の状況もしっかりと踏まえた上で、選定していただいたものと認識しております。

また、「河川の増水」や「地下の空洞の有無」などに関するご不安の声に対して、対処策を詳細に検討し、住民の皆様のご不安をしっかりと解消していくためには、ボーリング調査などの詳細な調査や、建設予定地の個別の地形の状況に対応した設計などの相応の予算を伴う対応が必要であり、建設予定地を定めた上でないと、調査を行うことは困難だと考えております。

これらの調査結果は、住民の皆様にも節目節目で明らかにするとともに、仮にも、調査の結果、施設整備にとって致命的な事項が明らかになった場合には、「佐川町加茂」における整備を中止することも想定しているところです。

 

●岡田県議 ◇また、その第4次のスクリーニングで最終的な3カ所の候補地が選定されましたが、その際、佐川町加茂については、それまで議論もされていない経路の津波浸水条件を付けくわえられて最終候補地決定をしていることは、それまでの論議の不十分さとともに極めて不明瞭な選定方法だと考えます。経緯について林業振興環境部長にお聞きをします。

 

○林業振興・環境部長 次に、経路の津波浸水条件を付け加えた最終候補地の決定の経緯について、お尋ねがございました。

今回の候補地選定では、有識者と専門家等で構成する候補地選定委員会において、高知県全土の中から、津波を含めた災害発生時の危険性や法規制、周辺環境への影響などといった観点によって、様々な検証を行い、最終候補地の3か所が選定されており、客観性かつ科学的で透明性のあるプロセスにより、選定していただいたものと認識しております。

その選定にあたっては、まず、候補地を選定する範囲から、津波浸水想定区域をはじめとした施設の整備が困難な区域が除外されていることから、最終候補地の3カ所は、いずれも、南海トラフ地震による津波が発生した場合でも、埋め立てた廃棄物が津波により流出する心配がなく、さらに、施設の点検のため、車両や徒歩等によりアクセスが可能であるといった条件を満たしているものと言えます。

その上で、最終候補地3か所から一ヶ所の最有力な候補地を定めるにあたっては、当然のこと、より厳しい条件を設定して、絞り込みを行うこととなります。このため、県として、様々な条件について、追加的な比較検討を行う中で、特に有意に差のあった現地調査結果に基づく周辺環境への影響の度合いや南海トラフ地震の津波による通行への支障の度合いの違いに基づいて比較検討を行うこととなったものでございます。

その結果、新設する進入道路沿いに民家等がなく、車両通行による周辺環境への影響が最も少ないことと、高知市中心部からの通常経路上に津波による長期浸水エリアがないため発災直後から通常経路を通行して施設へ到達可能であるという理由から「佐川町加茂」を施設の整備に最も適した箇所として絞り込みをさせていただいたものです。

 

●岡田県議 ◇最後に、住民の不安を招いていることに、災害廃棄物の搬入があります。基本構想では搬入しないとなっているにもかかわらず、第一回選定委員会で「ここには記載されていないが、災害廃棄物の搬入を総合的に判断する」と説明しています。県は、基本構想を変えたのか、また、住民に対してそのことを説明したのか、林業振興環境部長にお聞きします。

 

○林業振興・環境部長 次に、基本構想では災害廃棄物の搬入はしないとあるが、第一回選定委員会では搬入を総合的に判断すると説明しており、基本構想を変更したのか。また、そのことについて、住民に対して説明を行ったのか、とのお尋ねがございました。

平成28年度に策定した「高知県における今後の管理型産業廃棄物最終処分のありかたに関する基本構想」では、有識者委員会での検討結果を踏まえて、新たな管理型最終処分場の必要性や施設規模、施設構成、候補地選定手法などについて、県としての考え方を取りまとめております。

その基本構想の中では、新たな施設の施設規模に災害廃棄物の受け入れを反映するか否かについても検討しているところですが、本県において南海トラフ地震が発生した場合、最終処分が困難な災害廃棄物が、Llの地震で約190万立方メートル、L2の地震で約780万立方メートル、発生すると見込まれることから、そうした災害廃棄物の受け入れを考慮した大規模な施設を整備することは現実的ではなく、「災害廃棄物の受け入れについては、新たな施設の規模に考慮する必要はない」と結論づけております。

加えまして、その但し書きとして、「大規模な災害が発生した時の災害廃棄物の受け入れについては、その時点での新たな施設の残余容量等も考慮したうえで、総合的に判断することとする。なお、災害廃棄物の具体的な処理方法については、別途、『南海トラフ巨大地震の発生に伴う災害廃棄物処理検討会』において、検討することとしている。」という記載をしてございます。

議員からご指摘のありました第一回候補地選定委員会において、委員の皆様にはこの基本構想の概要版をお配りしていたものであり、本仕様には先程の但し書きについては記載しておりませんでしたので、同委員会における委員の皆様への説明の折に、この但し書きの部分について、口頭で捕捉説明をさせていただいたところでございます。

ただし、実際の南海トラフ地震が発生した場合に生じる災害廃棄物の量は、先程も申し上げましたとおり、極めて莫大なものであるため、発生した廃棄物につきましては、災害用の受け入れ場所を別途用意することとなりますので、新たな施設での受け入れは行わない方針です。このことは既に住民説明会でもご説明してきたところでございます。

 

【高齢難聴者への支援】

●岡田県議 次に、高齢難聴者への支援、聞こえのバリアフリーについて伺います。

  人間は誰でも加齢とともに高い音から徐々に聞こえなくなり、70歳以上の半数に難聴があるとされています。いわゆる加齢性難聴です。

  言葉が聞こえにくくなると日常生活を不便にし、コミュニケーションを困難にするなど生活の質を落とす大きな原因になります。また認知機能が低下し、コミュニケーションが減り、社会的に孤立することで、認知症やうつ病のリスクが高まります。

  難聴になったら、なるべく早い補聴器の使用が聞こえの改善にとって大切です。そして国が今、高齢者の社会参加、定年延長や再雇用を求めており、耳が聞こえにくい、聞こえない、というのは大きな障害となります。まさに高齢者にとって補聴器は高齢者の社会参加の必需品です。その促進のための公的補助は、時代の要請とも言うべきものです。

  補聴器の値段は片耳3万円から20万円ぐらいですが、補聴器は大変な精密機械で人それぞれの聞こえに合わせようとすると、30万円以上になる、と専門家は言います。年金暮らしの高齢者、低所得の方々や、生活保護利用者等には手が届きません。結局、全く耳が聞こえない、ほとんど聞こえないまま毎日を過ごす、という深刻な事態になっています。

  補聴器購入の公的補助は、障害者手帳を持つ、両耳の聴力レベルが70デシベル以上という重度・高度の難聴者に限られています。具体的には「40㎝以上離れると会話が聞き取れない」人が対象です。欧米諸国では医療の問題として補助が行われています。そのため、難聴の人の補聴器所有率はイギリス47,6%、フランス41,0%、ドイツ36,9%、アメリカ30,2%と比べ、日本は14,4%と非常に低くなっています。欧米の半分以下です。

  世界保健機関(WHO)は、聴力が中等度の41デシベル以上、具体的には、基本的には聞こえるが、かなり聞きづらくなっている、を補聴器装着の基準としています。これは、放っておくと聴力がさらに低下をし、認識できない音が増えていく。その段階で補聴器を付けた方が音の認識が保てる、という非常に意味のある基準です。欧州等はこの基準にそって、また難聴を障害ではなく「医療」の対象としてとらえ、手厚い公的補助を実施しているのです。さらに難聴に早く対応することは、認知症やうつ病などへの進行を防ぐという意味で医療費を抑制する効果を発揮することになります。

 

  3月20日参議院財政金融委員会での日本共産党大門実紀史議員の補聴器購入への公的助成制度創設の求めに対して、麻生国務大臣は、(補助制度は)やらなければならない問題だ、と答えています。兵庫県議会は、昨年12月議会で「加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める意見書」を全会一致で可決しています。また東京都では8つの自治体で独自支援を実施しています。

◇国に対して公的助成制度の早急な創設を強く提案すべきだと考えますが、地域福祉部長の所見をお伺いします。

 

●岡田県議 ◇それまでの間、加齢性難聴で困っている方の現状を把握するとともに、軽中度の子どもの補聴器購入助成制度創設に続き、高齢者への支援を検討するよう求めますが、地域福祉部長に伺います。

 

○地域福祉部長 まず、高齢難聴者への支援について、補聴器の公的助成制度の創設を国に提案することについて、また、加齢性難聴者の現状把握と高齢者への支援について、お尋ねがございました。関適しますので、併せてお答えいたします。

補聴器の購入支援につきましては、聴覚障害の身体障害者手帳が交付された方に対して、障害者総合支援法に基づき、年齢にかかわらず、その購入に要する経費の一部が支給されておりますが、身体障害者手帳の対象とならない中軽度の難聴の方への国の支援措置は講じられていない状況にございます。

また、これまで、市町村や関係団体から加齢性難聴の方の補聴器購入への支援を求める声はお聞きをしておりませんが、今後におきましては、各市町村の地域包括支援センターに相談があった際や、要介護認定にかかる聞き取り調査などの様々な機会を捉えて加齢性難聴の方の状況把握に努めてまいりたいと考えています。

こうした中、難聴が認知症のリスクを高める可能性も指摘をされておりますことから、国において、補聴器を用いた「聴覚障害の補正による認知機能低下の予防効果を検証するための研究」が昨年度から開始をされておりますし、昨日、関係閣僚会議で決定されました「認知症施策推進大綱」においても、難聴などの危険因子に関する予防介入研究を進めることが盛り込まれているところです。

このため、国への公的助成制度創設の提言や、県の支援策につきましては、こうした国における研究の結果やその対応状況などを踏まえたうえで、対応を検討してまいりたいと考えております。

 

●岡田県議 ◇また相談体制の充実、公共施設等への補聴器を使われている方の聞こえをサポートする「磁気ループ」設置を求めますが、地域福祉部長に伺います。

 

○地域福祉部長 次に、相談体制の充実や公共施設等への「磁気ループ」の設置について、お尋ねがございました。

高齢難聴者の相談体制につきましては、「高知版地域包括ケアシステム」の構築に向けて取組を進めております、かかりつけ医やケアマネジャー、「あったかふれあいセンター」、「地域包括支援センター」などのゲートキーパーの機能強化を図る中で、難聴の方に対しても、その相談内容に応じて専門医療機関への早期受診を助言するなど相談支援体制の充実に努めてまいります。

磁気ループの公共施設への設置につきましては「高知.県ひとにやさしいまちづくり条例」の施設整備設言マニュアルに基づき、補聴器を利用している難聴者や聴覚障害者に配慮した設備として、設置を推奨しているところです。

県内の公共施設では、床に埋め込む大規模な磁気ループの設置事例は少ない状況ですが、最近では、持ち運びが可能な携帯型や、窓口などに手軽に置くことができるカウンター型の磁気ループが普及してきておりますので、今後は、このような設置工事が不要な磁気ループの公共施設への導入が促進するよう働きかけてまいります。

 

【高等教育の無償化】

●岡田県議 次に、大学等修学支援法についてお聞きをします。              

本法について安倍政権はマスコミを通して「無償化」という言葉を喧伝していますが、その支援対象は現行の減免対象数より狭まるものです。しかも、肝心の高い学費値下げがこの制度によって図られるのかを問うたわが党の国会での質問に、柴山文科相が「新たな制度は授業料の値下げを行うものではない」と答えたように、異常に高い学費には一切手をつけようとしていません。圧倒的多数の学生は、この支援法では放置されるだけでなく、今、各大学が実施している授業料減免措置がなくなる恐れもでてきています。しかも、その「財源」という口実で逆進性の強い消費税10%増税が学生と家族に押し付けられます。

 支援法が授業料の減免措置の拡充と給付型奨学金の支給額を大幅に増やす対象としているのは、住民税非課税世帯などの低所得世帯です。4人家族で年収380万円未満の世帯が対象、270万円未満で上限額54~70万円が支援をされます。住民税非課税などの低所得世帯から大学などに進学する高校生は、1学年あたり6・1万人で新入生の6.3%にあたります。現在の授業料減免制度で支援を受けている学生は、国立大で12%、公立大で6.8%、私立大で3.2%です。私立大学には年収841万円以下の世帯でも国が半分を補う制度がありますが、今回の支援法によってこれら中間所得世帯への減免措置は、拡充されるどころか縮小されるおそれがでています。

 また、第7条では支援対象を政府が定めた要件―すなわち、実務家教員による授業や経済界など外部の理事の数が一定割合を超えるなど―を満たした大学・専門学校に限定するとしており、大学自治にまで文科省の規則をあてはめ、支援対象はさらに狭くなります。

国立大学協会会長の山極寿一(やまぎわ・じゅいち)・京都大学総長が「学生が行きたい大学に進む希望をかなえるのが重要なのに、大学に条件を付けるのはおかしい」と発言するなど、大学関係者からも厳しい批判の声が上がっています。

知事は全国知事会次世代育成プロジェクトチームのPT長として、給付型奨学金の創設や高等教育の無償化に向けて、国の責任として取り組むよう強く訴えられて来たと本議会でも述べられています。

◇今回成立した支援法が、一部中間所得層も対象となっている現在の減免制度の縮小廃止となり就学継続が困難になる懸念に対する認識、さらに大学の要件に対してどうお考えか、知事にお聞きします。また、高知県立大学においての対応方策についてもお聞きかせください。

 

○県知事 次に、高等教育の無償化について、今回成立した大学等修学支援法に関して、お尋ねがございました。

「大学等における修学の支援に関する法律」による高等教育無償化は、授業料等減免と給付型奨学金の支給を併せて措置することで、真に支援が必要な低所得者世帯の学生を対象に、大学等における経済的負担を軽減するものであります。

この制度により、今後は、意欲と能力のある学生が、経済的理由で進学を断念することなく、大学等に進学する機会の充実につながるという点で、意義が大きいものと評価しております。

 一方で、今回の無償化制度における授業料等の減免基準は、これまで各大学がそれぞれ自己財源で実施してきたものとは異なるため、国の制度を適用した場合、高知県立大学におきましては、現状で授業料減免を受けられる学生が、支援の対象から外れる可能性があります。

国におきましては、今後、現に支援を受けている学生については、国立大学等の授業料減免の状況を把握し、学生の学びを継続支援する観点から、減免の事由や家計基準の実態等を見極めつつ、何らかの配慮が必要かどうか検討を行うとのことですので、県としましても、授業料減免制度について大学と協議を行い、検討する必要があると考えています。

また、大学に対しましては、無償化の対象となる機関要件として、実務経験のある教員が一定数以上配置されていることや、法人の理事に産業界等の外部人材を複数任命していることなどが定められています。

支援を受けた学生が、大学等でしっかり学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようになるという、今回の支援措置の目的を踏まえますと、大学等に対するこうした要件も必要ではないかと考えています。

現在、県立大学におきましては、高等教育無償化の対象となるための機関認定の申請を準備しており、大学からはこうした要件を十分満たすことができる見込みであると聞いています。

 

●岡田県議 ◇また、現在授業料免除を受けている高知県立大学生の措置が後退することがあってはならないと考えるものですが、授業料減免制度を利用されている学生の現状とあわせて、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、高知県立大学の授業料減免制度と、それを利用している学生の現状について、お尋ねがございました。

高知県立大学において、平成30年度に授業料減免を受けた学生は全額免除が105名、半額免除が69名となっています。

また、先ほどお答えしましたように、国の無償化制度が始まることにより、現在、授業料減免を受けている学生が新制度のもとでは、対象外となる可能性がありますので、国の動向等を注視しながら、大学と協議し、制度の検討を行ってまいります。

なお、その際には、県立大学のこれまでの授業料減免制度の導入経緯を踏まえたうえで、さらには新たな国の給付型奨学金制度が拡充されることも加味して、トータルとして現状並みの学生支援ができる方向で検討を進めたいと考えているところでございます。

 

●岡田県議 支援法では、在学中の成績評価(GPA)で下位4分の1に入った学生に対しては支援を打ち切ってしまう「足切り制度」を検討していることも重大です。支援を打ち切られた学生は退学するか、莫大な借金を背負うかの選択を迫られます。この非情な足切りに関し大学は厳格な成績管理が求められる事となり、支援の適否を評価するための経費や新たな人員配置などへの経費増加が見込まれるとの声も上がっており、消費税増税を財源とする支援制度がさらに学生に負担を課す学費値上げを誘発する要因となることも予測されます。

本来、高等教育無償化とは、誰もがお金の心配なしに高等教育を受けられる条件を整えるために「学費ゼロ」に近づけていくことです。ところが、安倍政権は、異常に高い学費(初年度納付金が国立大学で約82万円、私立大学で平均約132万円)には先に触れたように、一切、手を付けようとしていません。今年、授業料を5万円、8万円と値上げする私立大学が相次ぎ、雑誌が「有名大学が大幅値上げラッシュ!」と特集を組むほどです。こうした値上げ傾向を値下げに転じる政策は、安倍政権にはありません。

◇高知県立大学においては入学金・授業料など学費を低減させていくべきだと思いますが、知事にお聞きします。

 

○県知事 最後に、高知県立大学において入学金や授業料を低減させていくべきではないかとの、お尋ねがございました。

現在の高知県立大学の入学金や授業料は、大部分の国公立大学と同程度であり、突出したものではありません。

また、今回の高等教育無償化が実施されることで、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対しては、授業料減免と併せて給付型奨学金が支給されることとなり、経済的負担が軽減されることにもなっています。

こうしたことから、現状では、県立大学の学費を変更する必要があるとは考えておりません。私からは以上でございます。

 

【大規模風力発電集中立地問題】

●岡田県議 次に、大規模風力発電集中立地問題についてです。

自然エネルギーは、地域分散型で地域活性化に資するとともに、地球的な環境問題の解決に結びつく技術として、世界的規模で導入が急増し、価格低下も進んでいます。そうした世界の流れから取り残されそうな日本も、「第5次エネルギー基本計画」(2018.7閣議決定)では、初めて自然エネルギーの「主力電源化」にむけた取り組みを進めると位置づけました。しかし、国家的な総合戦略の欠陥により、現実には、地域、地元のエネルギーとしてではなく、大資本・地域外資本による大規模事業・計画が進められ、各地で、地域住民や自治体との間でトラブルが発生しています。

高知県でも、住民の知らない間に、大型風力発電の集中立地計画が目白おしの状態です。

土佐清水市と三原村の境にある今ノ山を中心とする尾根上に、ジャパンウインドエンジニアリング社が、ブレード直径が117メトールの巨大風車を最大46基設置する全国最大級の風力発電所の建設計画があります。四万十町と四万十市の境には、オリックスによる最大49基の風車による総出力最大14・7万キロワットの風力発電所の計画。そして、電源開発は、梼原町と愛媛県西予市との県境に最大50基、総出力最大18万キロワットの計画と、香美市と本山町の境の国見山周辺に最大22基、総出力数万キロワットの計画などです。いずれも東京の企業による計画です。

 ジャパンウィンドエンジニアリング社の計画以外は、すでに「環境影響評価」手続きの「計画段階配慮書」に対する環境大臣意見も出されています。それぞれ、生態系、自然環境、水質、景観などへの懸念や影響を低減することなどが付されていますが、県は、自然エネルギーの住民本位の推進のためにも、生活環境、自然と景観の保護、防災の観点から、現在の計画に対し、毅然とした対応をとること、さらに規制のルールを本格的に検討する時期に来ていると思います。

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度である改正FIT(フィット)法は、各地のトラブル増加を反映し、地域住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務と規定しました。3月20日の参院経済産業委員会で、わが党の岩渕友議員の質問に応え、世耕経産相は、その「あり方は、それぞれの実体に応じ丁寧に決められるべき」と答弁しています。また、地域住民の反対意思を無視した開発推進に、「地域の人が何を言ってもやるというものは、まさにコミュニケーションをしていないということかと思う」とも答弁しています。

◇まず、これらの既存の計画について、どのように対応するつもりか。また「適切なコミュニケーションを図ることの努力義務」をどう果たさせていくつもりか、林業振興環境部長にお聞きします。

 

○林業振興・環境部長 次に、高知県内で環境影響評価の手続が進められている、大型風力発電の立地計画について、どのように対応し、「適切なコミュニケーション」を図ることの努力義務」をどう果たさせていくのか、とのお尋ねがございました。

国においてば平成29年4月施行の、改正FIT法に基づいて制定された事業計画策定ガイドラインの中で、事業計画作成の初期段階から地域住民と、適切なコミュニケーションを図るとともに、地域住民に十分配慮し、事業を実施するよう努めることを求めているところです。

本県では、新エネルギービジョンにおいて、生活環境や自然環境との調和などの課題に対応しつつ、再生可能エネルギーの導入を図ることを基本方針としており、従前から、風力発電に限らず、大規模な再生可能エネルギーの発電施設の設置に関しては、事業者に対し、早い段階からの説明などにより地域住民の理解を得られるよう求めてきております。

議員のお話にありました大規模風力発電の立地計画につきましても、例えば環境影響評価の計画段階配慮書に対する知事の意見を付す際に、地域の実情に応じて、早期に丁寧な説明を行い十分な理解を得られるよう努めることや、地域住民等からの意見に十分配慮したうえで事業計画を検討するよう求めるなど、事業者に対して丁寧な対応を求めております。 

引き続き事業者の方々には、節目節目の適切なタイミングで、地域住民の皆様と適切にコミュニケーションを取っていただき、丁寧な合意形成を図りながら事業を進めていただく

ことにより、地域と共生した事業となるよう、しっかりと働きかけてまいります。

 

●岡田県議 ◇そもそも、自然エネルギーは、地域資源の活用として地域住民の合意。出資ですすめられることから、欧州では「エネルギーデモクラシー」と称されています。そうした本来的なあり方を取り戻すためにもFITの事業計画認定にあたり、地元住民、自治体の合意の義務化、地域と共生できない事業のFIT認定は取り消す、といったルール化が必要ではないか。林業振興環境部長にお聞きをします。

 

 

○林業振興・環境部長 次に、いわゆるFIT法の事業計画認定にあたり、地元住民、自治体の合意の義務化、地域と共生できない事業のFIT認定は取り消すといったルール作りが必要ではないか、とのお尋ねがございました。

改正FIT法では、事業計画の認定基準を満たさないことが確認された場合、その事業については個別に指導や改善命令が行われたり、必要があれば認定の取り消しが行われる仕組みとなっております。

一万で、地域住民との適切なコミュニケーションに関しては努力義務となっており、認定基準とはなっていないことから、その実効性について、もう一段強化の必要があると考えております。

関連する既存の法令との整理を考えますと、法律という形で全国的に規制を強化することが望ましいと考えており、また、全国的にもこうした問題が発生しておりますことから、全国知事会として、国に対し政策提言を行っているところでございます。

今後とも、地域との共生が図られた再生可能エネルギーのさらなる利用促進に向け、事業者に対し誠意ある対応を求めてまいりますとともに、引き続き国に対しても、政策提言を行ってまいります。

 

●岡田県議 高知県は災害常襲地域です。大雨や地震などで土砂災害による被害の恐れがある場所、また施設設置のための工事でその危険が増幅するような場所への立地を規制するゾーニングが必要となっています。ゾーニングについては、2012年に共産党県議団がその必要性をいち早く提案していましたが、先の参院経済産業委員会で、環境省も「早期の段階から関係者との調整の下で、風力発電を促進するエリア、環境保全を優先するエリアなどを設定するゾーニングが有効な手段と考える」「ゾーニングのとりくみにより、立地段階での環境影響の回避、低減や地域の合意形成が期待される」として、地方自治体によるゾーニングを推進する旨の答弁をしています。

環境省は、モデル事業を踏まえて、昨年3月に、ゾーニングについてのマニュアルを公表しました。現在、ゾーニングマップを公表している自治体は、鳴門市など4地域にとどまっていますが、長崎・西海市(さいかいし)は、土砂災害に関する情報をゾーニングマップに落とし込んでいます。マップ作成にあたり、事業適地から除外する項目として「砂防指定地」「地滑り防止区域」「急傾斜地崩壊危険区域」(砂防3法)を指定しています。鳴門市も10の影響項目の1つに「災害」を入れています。

高知県は、南海トラフ巨大地震、豪雨災害と山の深層崩壊など多くの危険と隣り合わせです。

◇災害の起こる危険性が高い場所等について、ゾーニングによる規制を早期に実施すべきではないか、林業振興環境部長にお聞きをします。

 

○林業振興・環境部長 次に、災害の起こる危険性が高い場所などについて、ゾーニングによる規制を早期に実施すべきではないか、とのお尋ねがございました。

「砂防指定地」や「地すべり防止区域」等、災害の発生の危険性が高い区域については、それぞれ個別法によりゾーニングと規制がなされており、本県では、こうした災害の発生の危険性が高い区域については、高知県防災マップとして、 一覧できる形で県のホームページ上に公開しております。

事業者の皆さまが事業計画を立てる際にも、こうしたツールをご活用いただけるようになっておりますことから、防災面のゾーニングに関して言えば実質的に機能を備えているものと考えております。

 

●岡田県議 もうひとつの懸念は、20年間の固定価格買取が終了した後の問題です。

大規模風力発電の集中立地計画が発生するのは、平原が多く偏西風の吹くヨーロッパと違い、日本は適地が限られており、また、台風・地震などによる故障のリスクもあることに加え、売電するための送電網の設置に多額の費用がかかるために、スケールメリットが要求されるからです。それだけ採算性が厳しいということではないでしょうか。

 さらに九州電力で発生した自然エネルギーの出力抑制は、事業経営をいっそう不安定にさせています。そうしたもとで、FIT後も安定して事業が継続できるのか。様々な課題があります。

◇FIT後に、巨大な廃墟が放置されることにならないか、そこまで含めた判断が必要と思われますが、林業振興環境部長にお聞きします。

以上をもって、私の第一問とします。

 

○林業振興・環境部長 最後に、固定価格買取終了後に施設が放置されないよう、施設の撤去も含めたFITの事業計画認定の判断が必要ではないか、とのお尋ねがございました。

事業者がFIT制度の事業計画認定を受ける際には廃棄費用の総額、毎月の積立金額などを記載した事業計画の認定申請書を経済産業省に提出することとなっており、発電事業を廃止する際の設備の廃棄計画についても、事業計画の認定の際に判断される仕組みとなっております。

また、平成30年7月より、FIT認定を受け運転を開始した事業者は、年に一回、廃棄費用の積立額や累積の積立額を経済産業省に報告することが義務付けされており、毎年の状況についてもフォローがなされております。

こうした仕組みに加えて、FIT終了後に風力発電設備等が放置されるおそれがないように、全国知事会として、管理及び撤去、処分が適切かつ確実に行われる仕組みを作るよう、国に対し政策提言も行ってきたところであります。

再生可能エネルギーは、昨年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」において、2050年に向けて主力電源化を目指すことが掲げられており、現在、国においては、主力電源化に向けての検討が始まったところであるとお聞きしております。

本県といたしましても、再生可能エネルギーの発電事業者が、FIT終了後においても、施設を更新し、継続的に事業を実施できる仕組み作りが必要であると考えておりますことから、こうした制度設計となるよう、国の動きを注視するとともに、引き続き国に対し政策提言を行ってまいります。

 

【第2問】

●岡田県議 どうもご答弁ありがとうございました。いくつか要請と質問をしたいと思います。

 一つは、米軍機の低空飛行の問題でございます。知事からも、現地にいかれて、皆さんからもお話を聞かれたということでございますけれども、やはり騒音測定器、大きな役割を果たしていると思いますけれども、やっぱりカメラもぜひ設置していただいてですね、やっぱり機種とか高度がわかると、把握しなければならないと思います。少なくてもやはり、国内法で定められた高度などは遵守をしていただきたいし、基本的にはそういう立場で日米地位協定の見直しもはかってもらいたいと思います。

 大人が身の危険を感じるほどの高さで飛んできた、ということが繰り返されることはあってはならないし、本山保育所には0歳児から年長組まで、90名の子どもさんがおいでるわけですから、こうした子どもさんが寝ているのを飛び起きて泣き叫ぶと、こんな事態をいつまでも許しておくわけにはいかないと思います。軍事的な機密ということもありますけども、やはり少なくとも国内法を守らすぐらいのことは、してもらわなければならないというふうに思います。知事もカメラ設置について、検討するというご答弁でございましたので、ぜひともそれを実現するように求めておきたいと思います。

 それから、就農支援の問題ですけれども、やはり後継者不足というので、地元の関係者の皆様も次の世代に渡していきたいが、なかなか後継者がいないということが悩みでございます。政府もこれから日米経済交渉の中で、農産物の輸入自由化の方にまだまだ舵を切っていこうとしておりますし、今回新規就農者への支援の予算が突然12%も削減をされたということも今後大きな影響も出てくるのではないかと心配もしております。そうした中で、本県の重要産業である農業の振興のためにも、後継者づくりをすすめるように、政府に対しても強く要望を挙げていただきたいということも要望をしておきたいと思います。

 最後に、佐川町に建設されようとしている新規の産業廃棄物の最終処分場の問題でございますけれども。やはり住民合意なくして、公共事業の推進というのはないと思います。

 そうして点では住民の皆さんが納得いかれるように、十分配慮した取り組みしなければならないし、公共事業のあり方として禍根を残すことがないようにしていただきたいというふうに思います。その点で、環境への配慮ということもいわれておりますけれども、今回の6月補正予算案、スケジュールをみましても環境アセスメントという項目はありますけれども、この予算がどこかについているのか、どこかに含まれているのかと、このことも答弁をいただきたいと思うんですけれども、このことを求めて2問を終わります。

 

○林業振興・環境部長 ただいまご質問いただきました佐川町の産業廃棄物最終処分場の件でございますけれども、環境アセスメントの調査につきましては、今回予算計上の中にはふくまれておりません。それは基本設計がある程度進んだ段階で、規模等を確定させてから、環境アセスメントの手続きに入っていく必要がございますので、ある程度進んだ時点で、予算計上した上で、取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 

●岡田県議 わかりました。以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。