議会報告

  • 2019年07月03日
    2019年6月議会 中根佐知県議による「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書議案」賛成討論(2019.06.28)

○中根議員 私はただいま議題になっています議発第7号、「女性差別撤廃条約選択議定書」の批准を求める意見書議案に賛成の立場で討論を行います。

女性差別撤廃条約(女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)が1979年に国連で採択され、今年は40年になります。5年後の1985年に日本政府は条約を批准し、3つの法・制度の改正を行いました。①男女雇用機会均等法をつくったこと、②国籍法を改正し、それまで日本国籍の女性が外国籍の男性と結婚した場合に子どもは日本国籍を持てませんでしたが、両親のどちらかが日本国籍であれば子どもに日本国籍が与えられるようにしたこと、③3つ目には高校の家庭科を男女共修にしたことです。日本が女性差別撤廃条約を批准する前に、政府が各省庁に条約に抵触する論点を出させたところ、150くらいの法律や法令があったとのことですが、そのうちの3つを改正しただけで批准をし、あとの論点が充分に解決されないまま40年がたってしまいました。女性差別撤廃条約は国連加盟国の193か国のうち、イラン・ソマリア・スーダン・アメリカ合衆国の4か国を除く189か国が批准をしています。

条約を批准した国は「憲法または国の法令の中で男女の平等を規定すること」、「法律上だけでなく事実上も男女の差別がなくなるよう国として行動すること」の2つの大きな義務があり、原則として4年に一度国連の女性差別撤廃委員会に「国家報告書」を提出する義務があります。この委員会は受け取った報告書を読み、その国の代表団に対して課題と解決方法について質疑をし、結果を「勧告」(総括所見)として渡す仕組みです。日本はこれまで5回の報告書審査を経験をし、4年に一度とはなっていませんが、直近では2016年2月に審査を受けていて、次は早ければ2021年に審査があるといわれています。このように政府による報告をもとに勧告を出す「報告制度」しかないのが女性差別撤廃条約です。

これでは不十分だとして、1999年10月の国連総会で女性差別撤廃条約の実施を促進するために、個人からの通報を認める「個人通報制度」と、締約国の選挙で選ばれた女性差別撤廃委員会の委員が締約国を調査する「調査制度」を入れた女性差別撤廃条約選択議定書が採択されました。現在、112か国が批准していますが、日本政府はいまだに批准をしていません。

昨年6月の参議院法務委員会で、選択議定書の意義について、日本共産党の仁比聡平参議院議員の質問に答えた外務省は、「選択議定書は、条約上の権利を侵害された個人からの通報制度を定め、条約の効果的な実施を図るもの」と答弁しました。「ではなぜ批准しないのか」との問いに、上川法務大臣は「大変注目をしている」「真剣に検討する」と、これまでの主張を繰り返しました。この間20年。

また、「日本の司法の独立を侵すおそれがあるのか」との認識に対しては、「必ずしも我が国の司法制度と相いれないものではない」と答えています。

選択議定書を批准しない理由はないではありませんか。

選択議定書と同じ年、日本では男女共同参画社会基本法が成立し、政府にも担当大臣が置かれました。この20年、日本のジェンダー平等はしかし進んでいるとは言えません。先程、提案理由説明で坂本議員も引用されましたが、世界経済フォーラムが昨年公表している「ジェンダー・ギャップ指数」では、2018年12月発表時点で日本は149か国中110位です。国内機構として、男女平等について政策立案し、各省庁の連携を強めて政策を指導する、政府の男女参画推進本部、参画会議、参画局の強化が求められています。

また、この7月の参議院選挙は、各政党に候補者を男女同数とする努力義務が課された「政治分野における男女共同参画法」が施行されて初めての国政選挙です。性暴力やハラスメントを許さない運動、女性がパンプスを履くことを強要される#KuTooの声に、共用廃止の声が高まっています。性的マイノリティへの差別をなくし、尊厳をもって生きることを求める運動が広がっています。こうしたことは日本社会の希望でもあります。ここに、「女性差別撤廃条約選択議定書」の批准をすれば日本の意識と認識を変える大きな力になるのです。

日本の国が批准しない障壁は何もありません。世界の女性の権利を守る運動と流れの中で、多様な性、多様な生き方がともに守られる社会の実現に向けて「女性差別撤廃条約が真の実効性を発揮できるよう、「女性差別撤廃条約選択議定書」の早期批准を願って、議発第7号「女性差別撤廃条約選択議定書」の、批准を求める意見書議案への賛成討論といたします。同僚議員の再生をどうぞよろしくお願いいたします。

 

※同意見書案は、会派「県民の会」との共同提案。提案理由説明を、県民の会の坂本茂雄議員が行いました。