議会報告

【テーマ】

・妊産婦への支援施策について

・子どもの貧困について

 

●塚地県議 おはようございます。本議会の本会議質問も最終日を迎えまして、お疲れのことと思いますけれど、どうぞよろしくお願いを申し上げます。それでは質問に入らせていただきます。

 

【妊産婦への支援施策について】

●塚地県議 2018年12月に「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」略称「成育基本法」が全会一致で可決、成立をいたしました。

今年中に法律が施行され、その後成育医療当協議会が設置され、有識者から意見を聴取。それを参考に厚生労働大臣が基本方針を策定し閣議決定することとなっています。

◆まず、本法律が成立したことをどのように評価されているか健康政策部長に伺います。

 

○健康政策部長 生育基本法は、成育医療等の提供に関する施策の基本となる事項を定めることにより、乳幼児から大人になるまでの、一連の生育家庭にある者とその保護者、妊産婦にたいし、必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策を総合的に推進することとしており、地方公共団体の責任も規定されておりますけれども、この法律の成立は妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援である、高知版ネウボラなど本県が進めている取り組みの後押しになるものと評価をさせていただいております。

 

●塚地県議 今後、この法律の具体化により「いつでも、どこでも、誰でも安心して出産、子育てができる、また、子どもたちが健やかに成長できる」体制や制度が充実されるよう意見をくみ取り、提言していくことが大切だと思います。国には、この法律の趣旨がしっかり具体化できる予算措置を求めていかなくてはなりません。

法律の具体化を見通しつつ、県として現状を一歩でも前進させていく取り組みについて、今回は妊産婦への支援施策について何点か伺います。

まず、分娩を取り扱う医療機関の体制の整備です。

◆健康政策部長に、本県の現状はどうなっているか、2次保健医療圏ごとにお示しください。

 

○健康政策部長 現在、県内で分娩を取り扱っている医療機関は、安芸保健医療圏に1施設、中央保健医療圏に10施設、幡多保健医療圏に2施設で、合計13施設ありますけれども、高幡保健医療圏には平成22年1月以降、分娩を取り扱う医療機関がないという状況であります。

 

●塚地県議 きわめて、広い県土で、少ない医療機関になっているという実態だと思います。とりわけ、高幡保健医療圏では、先程おっしゃられた通り、平成22年からすでに約10年間、産科のない無産科医療圏となっておりその課題解決は喫緊の課題です。産婦人科や周産期医療の医師確保の取り組みを進めていますけれども、無産科医療圏の解消の見通しについて健康政策部長に伺います。

 

○健康政策部長 これまで県内の産婦人科医師の増加と定着をはかるため、産婦人科を志望する人に対する医師養成奨学金制度の貸付金の加算、高知医療再生機構を通じた専門医師指導医の資格取得支援、分娩に従事した産婦人科医への手当の支給に対する補助など行ってまいりました。これらの取り組みにより、県全体で平成28年に県内の産婦人科、産科医師数が増加に転ずるなど一定明るい兆しは見えておりますが、分娩の安全性確保の観点から少なくとも複数の産婦人科医師による分娩対応が必要であること、分娩取り扱い診療所の減により県内での基幹病院での分娩数が増加していること、などから、高知大学から窪川病院へ優先して複数医師を派遣する余裕がない状況であり、高幡保健医療圏での分娩再開にはまだ時間を要する見込みでございます。

 

●塚地県議 この間のご努力は大変なものだと思います。本当に切望されているこの高幡医療圏でございますので、どうぞ今後とも、県を挙げて、ぜひ実現に努力をいただきたいと思います。

さて、妊産婦への支援施策はこの間、平成21年度から妊婦健診の公費負担を14回に増やすなど充実がはかられてきました。しかし、昨年来、妊婦が健診以外で医療機関を受診した場合の診療報酬を加算することが決定され、大きな問題となりました。「妊婦だからと加算を負担させていいのか」との大きな世論が作られ、現在、実施は凍結されています。一方、医療機関側は、妊婦の診療に当たっては特別な配慮が必要であり妊婦の診察を受け入れるためにも加算の必要性を主張する声もあります。

◆この現状を、どのように認識されているか、健康政策部長に伺います。

 

○健康政策部長 議員がおっしゃられたような妊婦加算についての色々なご意見があることは承知をしておりますが、この問題につきましては、妊産婦が受診する際の負担が、これから子どもを欲しいと思う人にとって、その意欲をくじくものとならないようにすることが必要であり、妊産婦に対する健康管理などの保健サービスや医療機関の連携など総合的な支援の中で医療提供体制を確立、維持していく観点からの議論が望ましいと認識をしております。

 厚生労働省の有識者会議では新たな報酬制度の要件や名称について、中央社会保険医療協議会で議論するよう厚生労働大臣に求めており、今後始まるこの協議会での審議を注視してまいります。

●塚地県議 今後の、中央社会保険医療協議会ですね、審議を注目していくということが大事だと思うんですけれども、加えて妊産婦の負担をどう軽減をしていくのかということが、大事な論点になろうかと思います。早期発見、早期治療は重症化を防ぎ医療費の削減に効果があることは自明の理です。医療にアクセスしやすい環境にすること、さらに妊産婦の経済的負担の軽減は、少子化対策の一つの柱ともいえます。すでに栃木、富山、岩手、茨城では県として妊産婦への県単独の医療費助成を実施しています。それ以外の県でも、市町村が独自助成を行っている自治体も広がっています。最もシンプルな制度設計と考えられる栃木県では、対象は全妊産婦、所得制限なし、給付対象は医療保険適用のすべての疾病、自己負担は県として月500円を設定していますが全市町村が補助をしているため実質負担は0、給付方法は償還払いで実施をし、県と市町村が2分の1ずつ負担をしています。

◆本県でこの方法で実施した場合、必要な予算はどうなるのか健康政策部長に伺います。

 

○健康政策部長 平成30年の本県の出生数に、平成30年度に栃木県が助成をした出生数一人当たりの実績額を単純に乗じて試算をいたしますと、約7300万円の予算が必要とみこまれるところです。

 

●塚地県議 本県でも様々な努力で合計特殊出生率を引き上げて参りましたが、知事提案説明にもあったとおり平成29年度よりも30年度は下回ってしまいました。とりわけ、妊婦は胎児の健康とも不可分ですから少子化対策の重要課題として、ぜひ本県でも実施の方向で検討していただきたいと思いますが、健康政策部長にお伺いいたします。

 

○健康政策部長 少子化対策を進める上で妊産婦が安心して出産・子育てできる環境をつくっていくことは重要です。一方、医療費の助成は、妊産婦の方が気になる症状がある時に、費用のことを心配せず、躊躇なく医療機関を受診できるという一面と、制度のありようによっては医療提供体制に影響を与えることも懸念をされます。従いまして、限られた財源の中で、子育て支援の施策が全体としてさらに充実するかどうかということを基本にしながら、他県の事例を参考に、市町村や医療関係者などのご意見も伺いながら検討してまいります。

 

●塚地県議 今のご答弁は、大変慎重なご答弁だったと思います。慎重なご答弁でしたが、さらにその上で、本議会で今議会の吉良県議の質問に対しまして、子どもの医療費無償化の県としての拡充を求めた質問に対して、知事は、拡充の方向を否定したものの、この間の少子化の中、助成対象となる乳幼児数が徐々に減少し減額されてきた予算について「県といたしましては、引き続き、市町村に頑張っていただいている事業は市町村にお願いしつつ、併せて県独自の他の施策を展開するなどして、限られた予算の中で、子育て支援の施策が全体としてさらに充実し、子育てしやすい環境になるよう全力で取り組んでいく必要がある」との答弁もされています。

妊婦の健康は、おなかの中にいる胎児の健康と一体のものです。

◆是非、県独自の新たな子育て支援施策として妊婦への医療費助成制度をスタートさせていただきたいと思います。先程の医療体制の充実、市町村との話し合いの蓄積、大事な観点だと思いますけれども、実現する方向でその話し合いに臨んでいただけるのかどうか、そこの姿勢をもう一度お願いいたします。

 

○健康政策部長 懸念されることがありますというふうにお答えをしたところなんですが、例えば、子どもの医療費の無償化によりまして、小児科に対して夜間とか休日、診療時間外の受診が増加をして、それに対して小児科医の方が悲鳴を上げているという声が全国的にあり、あるいは、高知県でも聞かれているところであります。お産に関しては24時間、日中、深夜を問わず、いつ訪れるかわからないという状況の中で、非常に元々が厳しい状況にあるんですが、私が直接お聞きをした話でも産婦人科を開業して以来、家族を含めて旅行に県外に一度も出たことがないという非常に過酷な環境で仕事をなさってくださっております。そうしたところに、この制度が、影響を与えないかどうか、そこは可能性としてゼロではないということもありますので、そこも含めて、慎重にということでございます。

 

●塚地県議 必要のない時に、妊婦が診察を受けにいくということは、考えづらいことです。そこはアクセスをしやすいように、いかにハードルを下げるか、その点やっぱり、基本を私はおくべきだと思いますが、そこは産科医会の皆さんなどに十分なご理解をいただく必要があると思いますので、その理解をいただけるような努力をぜひすすめていただきたいと思います。

また、本県は、産婦人科はもとより医療機関の偏在で、診察のための交通費などの負担も大きくなっています。

◆妊婦を対象に、分娩しやすい体制を整備する方策について、これまでどのような検討がされたのか、健康政策部長に伺います。

 

○健康政策部長 分娩しやすい体制の整備として、これまで交通費の助成の検討は行っておりませんけれども、妊婦検診や分娩待機のための一時滞在施設の確保ですとか、破水などをして救急車で搬送する際に、適切な対応ができるよう、主に中山間の救急救命士を対象とした、産科救急にたいする研修、また、助産師等が妊産婦の不安の解消や保健指導を強化する際の市町村への助成などを実施してきております。

 

●塚地県議 ひきつづき、妊産婦の皆さんにとって、この高知県が安心して、出産ができる体制の整備を進めていただきたいと思います。

さて、周産期については妊娠中のみならず、分娩後のサポートも大切です。

妊産婦の負担軽減と身体、並びに精神的ケアの充実の一環として、国が打ち出した施策に産婦健康診査事業があります。産後うつの予防や新生児への虐待予防をはかる観点から、産婦が精神的にも不安定になる産後2週間、産後1ヶ月などの出産間もない時期の健診を促すための産婦への補助制度です。

◆今議会での西森議員へのご答弁で、本県での補助制度の活用がなされていないとのことでしたが、何がネックになっているとお考えか、ある市町村の担当者からは、産婦健診後のフォロー体制などが整っていないなどの声も聞かれますけれど、健康政策部長のご所見を伺います。

 

○健康政策部長 西森議員のご質問にお答えしました通り、事業主体となる市町村からは、まずは、県全体としての事務手続きの統一化などの仕組みを、県につくってほしいという声をいただいておりまして、現在、市町村と医療機関の委託契約方法や、検診受審票や通知書の様式などの検討を行っております。

 また、私も塚地議員と同様の声を聞いておりますので、市町村と周産期医療機関、精神科医療機関の連携といった産婦検診後のフォロー体制についても、検討しているところです。

 

●塚地県議 それぞれ前向きにご努力をされて、体制整備に取り組まれているということがよくわかりました。先日、産後1ヶ月健診にいかれた方は、6000円の窓口負担が必要だったと領収書を見せていただきました。産後の出費がかさむ中で大変大きな負担です。ここが無料になる、これは大事なことだと思います。

市町村に早急にこの助成制度を導入していただかなくてはなりません。

◆先程の体制整備にご努力をしていただくと同時に、県として推進をするため、市町村負担の軽減に、たとえば県が助成費用の4分の1を、負担をするなど、検討するおつもりはないか健康政策部長にお伺いをいたします。

 

○健康政策部長 現時点で市町村から費用に関する要望は、いただいていないところであり、現在は要望されております先程申しました通り、検診後のフォロー体制を含めた検診事業のスキームの確立に向けて取り組んでいるところですので、まずはそのことを通じて全市町村で早期に産婦検診事業が実施できるよう取り組んでいきたいと考えております。

 

●塚地県議 厳しい、市町村の財政状況の中です。そこに県が一緒にとりくもうということを指し示すその意味でも私は県の積極姿勢を示す上でこういう補助制度もつくる、いっしょにやろうという姿勢を示すことが大事だと思うんです。

◆ぜひその点は今後の施策に生かしていただきたいと思いますけれど、もう一度、ご答弁お願いできますか。

 

○健康政策部長 なお、市町村と協議を重ねる中で、そういった声がありましたら、十分にお聞きをしていきたいというふうに思います。

 

●塚地県議 ぜひ市町村から要望は、きっと、いよいよ実現するとなった時の財政負担の問題も出て参りますので、その時には前向きに対応して頂けるようお願いをしておきたいと思います。

この産後まもなくの健診とともに、先ほど述べられた産後ケア体制やネットワークのさらなる充実が求められます。医療機関だけでなく気軽に相談や悩みが交流され、リフレッシュできる地域で支える仕組み作りが大切です。

◆子育て世代包括支援センターなど公的な機関での充実はもちろんのこと、自主的に運営する子育てサークルなどによる地域活動への支援も大切だと考えますが、今後どう取り組むおつもりか地域福祉部長にお伺いをいたします。

 

○地域福祉部長 子育てサークルは、子育て中のお役の交流や育児講座などの活動を通じて、仲間づくりや心身のリフレッシュに向けた支援を行うなど、子育て家庭の良き相談者となっております。こうした取り組みは子育て家庭の孤立化や負担感の軽減につながるものでありますので、高知版ネウボラを進める上で、重要な支援の輪となっております。今後も子育てサークルが継続して、活動できるよう支援をしてまいりたいと考えております。

 

●塚地県議 本当に大事な役割を地域で、果たして下さっている方々だと思います。その支援の輪が隅々まで広がるそういった体制の整備に補助をしていただくということを積極的にすすめてください。よろしくお願いいたします。

この質問の最後に、不妊治療の補助制度についてお伺いをいたします。不妊に悩む家庭を支え、子どもがほしいと希望する方たちにとって、この補助制度は大変有効な制度となっています。しかし、一般不妊治療費補助金の申請は市町村が窓口となっていまして、補助制度が十分に周知・活用されていないと思われます。特定不妊治療費の補助制度は県が窓口になっていますからこの際、一般不妊治療費補助金についても申請しやすいような運用についての工夫を行い、活用を促す方法をとるべきだと考えますけれど、健康政策部長にお聞きをいたします。

 

○健康政策部長 補助制度が十分に活用されていない理由としては、制度の周知不足に加えて、市町村からは不妊治療をうけていることを知られたくないために、助成申請をためらう方もいらっしゃるのではないかという話も聞きます。

 県としましては、引き続き、市町村といっしょに不妊治療制度の広報を行っていっそうの周知をはかるとともに、市町村にたいして申請窓口でのプライバシーに配慮した対応を県としていただくよう担当者会などを通じて協力を求めていきたいと考えております。

 

 

●塚地県議 ぜひ、この不妊治療の活用を広げていただく、先程お話があったとおり、大変センシティブな問題でもありますので、市町村では受付をして、申請に行きにくいという実態があります。必ず工夫を実現していただいて、活用の促進をはかっていただきたいと心より要望をしておきたいと思います。「高知県版ネウボラ」の理念が、しっかりと根付く取り組み、この間も着実に進められてきていると思います、さらにいっそうこの流れを大きくしていただく、今回の法整備をしっかり具体化していただく、そのために、県として力を尽くしていただけますように、要望をいたしまして、この項の質問を終わらせていただきたいと思います。

 

【子どもの貧困について】

●塚地県議 次に、子育ての、子どもの貧困問題についてお伺いをいたします。2013年6月に、子どもの貧困対策の推進に関する法律が制定をされて2014年8月に「子供の貧困対策に関する大綱」を、閣議決定をいたしました。それに基づき本県でも「高知家の子どもの貧困対策推進計画」を2016年3月に策定し、本年度計画の見直しを行うこととなっています。

本年6月、国会において「子どもの貧困対策推進法」の一部改正が行われました。

今回の改正は法律に5年後の見直しが規定をされていることを踏まえた改定ですが、関係団体からの要請を超党派議員連盟で検討をして、提出されたものです。

◆そこでまず、本改定の主な内容のうち、目的・基本理念の充実をどのようにとらえておられるか、知事にお伺いをいたします。

 

○県知事 この子どもの貧困対策推進法でありますけれども、今回の改正法の目的として、子どもの将来だけでなく、現在に向けた対策、こちらであるということ、これもふまえるべきでると。さらには、貧困の解消に向けて児童の権利条約の精神にのっとり推進することこういうことが明記をされ、さらに基本理念として、子どもの年齢等に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先考慮され、健やかに育成されることなどが新たに規定をされていることでありまして、いずれも、まことに重要な考え方また理念であると、そういうふうに考えています。

 現在、高知家の子どもの貧困対策推進計画、こちらをつくりまして、子どもが幼少期の頃は保護者の様々なバックアップを、そして、子どもが長じるにしたがって例えば放課後の学習支援など子ども自身に対する対策を充実させていくと、そういう形で、切れ目のない支援策を講じようとしてきているところであります。この取り組みについて、今回この新たな改正法に理念、また目的に応じまして、今後改訂をしていくその中においてさらに充実をしていくということを考えていかなければならんだろうとそのように思っております。

 高知版のネウボラの取り組みについて、本当に、子どもの年齢に応じて、子どもの今を守っていくと、そしてまた子どもの将来を守っていくとそういう取り組みに繋がっていくように、さらに取り組みを充実させていきたいとそのように考えています。

 

●塚地県議 今ご答弁がありました、この理念の改定、基本的な改定内容、これからの貧困対策にとって、重要なものになると思います。とりわけ、今回の改定の肝といわれるのは、子どもの権利条約の基本理念である「子どもを権利の主体」としてとらえ、子どもの将来のためだけでなく、その子の今を豊かにする包括的で早急な取り組み、また、具体的施策に主体である子どもの意見表明権を保証する点、さらに、貧困状況にある保護者の所得を増大させる点などにあります。

◆本年度、県の計画も見直し作業に入ることとなりますが、この理念や改訂内容をどのように生かしていこうと考えておられるか地域福祉部長にお伺をいたします。

 

○地域福祉部長 高知家の子どもの貧困対策推進計画の見直しになりましては、今回の法改正の目的理念を踏まえまして、高知版ネウボラをはじめ親の妊娠出産期から、子どもの社会的自立までの切れ目のない支援の強化、子どもを直接支援する際に子どもたちが違憲表明できる仕組みづくり、保護者の職業生活の安定のための就労支援の強化、働きながら子育てしやすい環境づくりの強化などについて、検討をしていく必要があるものと考えております。

 

●塚地県議 これまでにない理念や、観点というのがやっぱり、盛り込まれていくその中に子どもたちの意見がしっかりと反映をされる計画づくり、ぜひ進めていただきたいと、思います。

さて、高知県子どもの生活実態調査が2016年度に実施され、今年3月に報告書がまとめられました。小学1年生の保護者、小学5年生、中学2年生、高校2年生の児童・生徒とその保護者に学校を通じてアンケートを実施し回収率は義務教育で約60%、高校で約70%となっています。この回収状況について、調査結果の概要に記されているとおり、本県の小中学校の修学援助率は2016年度約25%であるのに、本調査では約17%にとどまっており、就学援助を受けている経済的に支援の必要な世帯の回答が十分反映し切れていないとの評価もあります。それでも、生活困難世帯とされる世帯が33%に上るなど、本県の子どもたちの置かれている実態の概要を把握する貴重な報告書でもあります。

この報告書に基づき、この間も県の施策の見直しを図ってこられていますが、対策の推進のためにも県民の皆さんにも認識していただく取り組みが必要だと思います。本年3月に県として「子どもの貧困を考えるフォーラム」を開催され高校生を含む100人あまりが参加されています。

◆この取り組みを、一過性のものとせず、今回の「子どもの貧困対策推進法」の理念に盛り込まれた「子どもの権利条約」や法律改定の趣旨を、高知の子どもの実態とともに伝えていくことが重要だと考えますが、地域福祉部長にご所見を伺います。

 

○地域福祉部長 本年度は議員からお話のありましたフォーラムの内容につきまして、とりまとめたリーフレットを市町村や学校へ配布をすることを、予定をしております。今後改訂する県計画の周知とあわせて、改正法の主旨や、各施策の取り組み状況等も、県民の皆様にひろくご理解いただけるよう県の広報や市長を通じまして、周知をはかってまいりたいと考えております。

 

●塚地県議 周知ということも大事ですけれど、ここはやっぱりある意味啓発という側面も必要かと思います。ぜひ県の様々な研修の場でもぜひ活用もいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

今回の改定では、より身近なところでの対策の前進を図るとして、これまで都道府県に課せられていた「貧困対策の推進に関する計画」の策定の努力義務を、市町村にも課すこととなりました。市町村が当該子どもの実態にきちんと向き合い、対策を推進する上で計画策定は意義深いことです。しかし、マンパワーやノーハウが不足している市町村での計画策定は、容易ではなく、県の支援はきわめて重要となります。

◆市町村での計画策定を推進するための支援体制をどのようにされるのか、地域福祉部長にうかがいます。

 

○地域福祉部長 本年度の法改正を受けまして、市町村の所管課を対象としました説明会を、開催をすることとしております。また、個別に、各種のデータを提供していくなど市町村の策定に向けてきめ細かく支援をしてまいりたいと考えております。

 

●塚地県議 ぜひ、県のバックアップがなければなかなか進まない取り組みになろうかと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

さて、子どもの貧困対策はきわめて多岐にわたって取り組まれていますが、今回は、県として推進を図っている「子ども食堂」について、具体的な取り組みについて伺いたいと思います。

私も、高知市内で実施されている「子ども食堂」に何カ所か参加させていただきました。それぞれお話も伺って参りました。赤ちゃん連れのお母さんから高齢者の方まで、子どもたちとおしゃべりしながら楽しそうに食事をされ、ボランティアの学生や主婦の人たちも賑やかに子どもたちに寄り添っている姿に、子どもたちだけでなく、みんながほっとできる居場所なんだと改めて存在の意味の大きさを実感しています。

◆そこで、現在、高知県内での「子ども食堂」の開設状況はどうなっているのか、地域福祉部長にお伺いいたします。

 

○地域福祉部長 県内の子ども食堂は、現在11市9町で、75カ所で開設をされております。このうち定期開催をしている食堂は58カ所、その約8割が月1回程度の開催となっております。子ども食堂は、平成27年度末の2市3カ所から順調に開設がすすんできましたが、まだ開設されていない地域が14町村御座います。このため市町村や社会福祉協議会等と連携をしまして、既存の交流施設などを活用した開設の促進や運営スタッフなどの人材育成などに取り組みまして、子どもたちの居場所づくりを推進してまいりたいと考えております。

 

●塚地県議 ぜひ、推進の方向でご努力いただきたいと思います。高知県の社会福祉協議会などとともに連携をして、ボランティアの募集の支援や開設費用の県単独の補助制度なども作られています。運営されている方々からは、「一回の運営費補助が6500円では、保険料や消毒液などの衛生用品費用が必要で、規模の大きなところでは、とうてい食材をまかないきることができない」との要望が出されています。県が助成制度を開始して本年度で3年目を迎えています。

◆この間の開催実態を踏まえた運営費補助のあり方の見直しも必要だと思いますが、地域福祉部長にお伺いをいたします。

 

○地域福祉部長 平成30年度は、子ども食堂支援事業費補助金を32カ所で活用いただいております。その実績をみますと寄付金や参加者の負担金以外に、運営者の自己資金を荷重に充当しているような事例はなく、過度な負担にはなってないものというふうに考えているところでございます。なお、各食堂によって、運営内容が異なりますことから、今後地域の支援機関との連携状況などを、協議をする際にその内容についても、詳しくお聞きをしたいというふうに考えているところでございます。

 

●塚地県議 確かに寄付金なども寄せられていまして、それなりのご努力はされています。でも、そうしたことへの負担がしっかりあるのも、現実です。やっぱり県が支えるという部分が、この子ども食堂が広がる上で、大きな意味合いを持っていますので、関係者の皆さんから、しっかりその実態をお聞きになって今後この運営の費用の見直し方向もぜひ検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

さて、「食材の確保が要で、高知市では中央卸市場の有志の方々の善意や高知生活協同組合などの協力が得られているものの、さらに広げていくためには、食材の提供をどう進めていくかも課題だ」と話されています。県としても、食材の確保のシステム作りにチャレンジもされたと思いますけれども、今後の取り組みについてどのようにお考えか、地域福祉部長にお伺いをいたします。

 

○地域福祉部長 現在、県内の量販店のご協力によりまして、県内の8店舗で、月一回食材を提供していただいているところでございます。このほか、県内外の食品メーカーや食品製造会社、コンビニエンスストアなどの複数の支援のお話をいただいており、配送の仕組みなどについて協議をすすめているところでございます。

 また、地元の事業者や生産者等からは、地域内への子ども食堂に食材提供のご相談がある場合は、市町村ごとに連絡窓口を設置して随時対応させていただいているところでございます。なお、広域的に食材を提供する場合は、保管場所や配送体制の課題もありますので、こうした仕組みづくりにつきまして、今後さらに検討してまいりたいと考えております。

 

●塚地県議 今、仕組みづくりを今後広域的なものも検討して頂くというご答弁がありました。本当にボランティアの皆さんが、大変な思い、食材を抱えて実施をされている実態もありますので、その今のシステムづくり期待は大きいと思いますので、実現の方向でよろしくお願いいたします。

「子ども食堂」に来る子どもたちの中には、「朝食を食べていない、食べたとしても菓子パンだけだという声も聞こえてくる、是非、学校として「朝ご飯食堂」、朝食を提供することが必要だと思う」との提案もあります。先に述べた、高知県子どもの生活実態調査でも、中学2年生で「朝食をいつも食べない」、「食べない方が多い」と答えた生徒は5.6%もいます。すでに取り組んでいる学校などもあり、「特に月曜日の朝、おなかをすかしてくる子どもたちがいる」とのお話も伺っています。

◆そこで、学内で「朝ご飯」を子どもたちに提供している学校は、現在どのような状況なのでしょうか。教育長にお伺いをいたします。

 

○教育長 県教育委員会は、平成29年度から児童生徒に朝食の重要性を理解させるとともに、児童生徒が自分一人でも朝食を用意できる力を身に着けさせることを目的として、学校で朝食をつくって提供するボランティア団体等に対し食材や食育資料の提供などを行う食育推進支援事業を実施しております。ボランティアの方々の食育活動の推進によって児童生徒が実際に朝食づくりに参加したり、朝食に関する知識や技能を習得することで、朝食の大切さや健康的な生活習慣に関する意識を深めることに繋がっておりますが、昨年度は、6団体が8校でこの事業を実施しまして、45回のべ1832人の児童生徒が参加しております。本年度は、今後の予定を含めまして、8団体が10校で57回開催し、のべ約2800人の児童生徒が参加する見込みとなっています。

 

確かに、家庭が担うべき役割です。しかし低賃金の中ダブルワーク、トリプルワークをしている一人親家庭や、精神的、肉体的な病気に悩む保護者もいるのが実態です。今の子どもたちの状況を少しでも改善するため必要な施策だと考えます。積極的な取り組みを求めたいと思いますが、教育長のご所見を伺います。

 

●塚地県議 取り組みは徐々にではありますけれど、広がってはきていると思います。たしかに、家庭が担う役割ではありますし、食育という側面もあろうかと思います。しかし、低賃金の中の、ダブルワーク、トリプルワークをしているひとり親家庭や精神的肉体的な、病気に悩む保護者もいるのが実態です。今の子どもたちの現状を少しでも改善するため、必要な施策だと考えます。積極的な今後の取り組みを求めたいと思いますけれど、教育長のご所見を、お伺いをいたします。

 

○教育長 この食育推進支援事業に参加した子どもたちからは、バランスよく朝ごはんを食べることが大切であることがわかったとか、家でもつくってみたいと、実際につくってみたといった意見がありましたほか、学校からは、子どもたちが朝食をしっかり食べている日は学習意欲があると、授業に集中できていると、子ども自身も朝食を食べている日と、食べてない日の体調の変化を感じ取っているといった意見も寄せられております。

 このようにこの事業は、食育を目的として実施しておりますけれど、朝食が食べられるということで、厳しい環境にある子どもたちの支援にもつながっている面もあると、いうふうに考えております。この事業をさらに拡大していくためには、地域のボランティアの方々の協力が必要となってまいりますので、県教育委員会としましては、食育の大切さと合わせて、この事業のPRをPTAの会や、地域学校協働本部などの会で実施していきたいというふうに考えております。

 

●塚地県議 ボランティアの方々に負担をおかけすることにはなろうと、思いますけれど、やっぱり学校を開いていく、現場の子どもたちに、直接そうした支援をしていくということは大変重要なことだと思いますので、しっかり進めていただきたいということを、お願いをしたいと思います。

 さて、今回は高知県版ネウボラの推進、子どもの貧困対策の推進について、質問をさせていただきました。尾崎知事とはこの議場での最後の質問の場となりました。私は、今回質問に立ったこうした問題の解決、それはなんといっても、子どもたちの貧困をなくす国造りが基本だというふうに考えております。今の子の格差と貧困の広がり、中山間地の衰退、こうした問題は、自然現象ではなくて、これはこれまでの自民党政治の、私は帰結だと、結果だと考えています。今から知事が、今後身を置こうとするその立場が、本当にこの問題を解決できるのかという点は大変、不安にも思っているところでございます。これから立場を変えて、大いに議論もさせていただきます。12年間ご苦労様でございました。以上で全ての質問を終わります。ありがとうございました。