議会報告

2019年12月議会 米田稔県議の代表質問(2019.12.17)

 

【質問項目】

・知事の政治姿勢・県政運営の基本姿勢

・知事の政治姿勢・公務の役割

・知事の政治姿勢・桜を見る会

・知事の政治姿勢・米軍機・オスプレイ

・知事の政治姿勢・産業振興と人口減

・知事の政治姿勢・健康福祉行政①公的病院

・知事の政治姿勢・健康福祉行政②国保

・教育問題(学力テスト)

 

●米田県議 私は、日本共産党を代表して、浜田省司新知事の政治姿勢について質問を行います。

 

【知事の政治姿勢・県政運営の基本姿勢】

日本共産党県議団は、暮らしと地方破壊をすすめる自公政権のもとでも、現場の課題、地域の資源に目を向けてそれをしっかり支援する尾崎県政の努力は評価するとともに、一方、学力テスト偏重の教育行政のひずみを指摘しつつ予算にも賛成してきました。

 しかし、その頑張っている尾崎県政のもとでも、人口流出はとまらず、強みとする農業人口も耕作面積も減少し、また、地域の商店など事業所数も減っています。室戸では入院できる病院がなくなり、県下で出産に対応できる医療機関も減少しています。

 県政が努力するとともに、国の政治のあり方を変えないと地方はなりたたない、という現実があります。

 産業振興で努力しても、消費税がこの数年で二倍になり、税を価格に転嫁できない中小業者の努力が限界を超えてきています。TPP、EPAで安い一次産品が入ってくる、さらに一部の輸出大企業を潤おす円安政策により、燃料、材料費の高騰が、一次産業、中小業者を直撃しています。

 県の抱える少子化、人口減の克服には、国政の転換が必要であり、いままでの延長線で、県の努力で解決できる範囲は限定的だということを指摘しなければなりません。その上で、高知県の課題解決のために私達も、力をあわせることの出来るところには力をあわせ、全力で取り組んでいくことを表明し質問に入ります。

 

浜田知事は、知事選挙の中で、尾崎県政の継承を最大の柱として訴えましたが、その尾崎県政も、橋本県政の開かれた県政、住民力を重視した県政運営の継続を明言しスタートしています。行政経験のない橋本大二郎氏は、庶民の常識ではありえないだろう、という視点で、それまでの県政運営にメスをいれたことが、改革の出発点となりました。特定勢力と結びついたしがらみや不合理な慣行の一掃を進め、県職員が、まっすぐ県民に向き合って仕事ができる環境をつくったことが、尾崎県政が活躍できた土台にあると考えます。

また、尾崎前知事は、07年の当選後に「橋本知事は県民から積極的に話を聞いた。これは今後も継続していく」と答え、実際、「対話と実行座談会」にとりくんできました。こうした、まっすぐ県民に向き合う決意でスタートしたことが、あらゆる施策の前提にありました。

◆橋本県政以来の県政改革の流れである公正公平で、まっすぐ県民に向き合う姿勢で、県政運営に臨むことが必要と思いますが、県民に開かれた県政の意義をどう認識されているのか、県政運営の基本姿勢についてお聞きします。

○県知事 米田議員のご質問にお答えをいたします。

まず、県民に開かれた県政の意義をどう認識しているかとの、県政運営についての基本的姿勢についてお尋ねがございました。

先日、初登庁時の訓示で、職員を前にして、私自身が仕事を進める上で、気を付けている5つのキーワードを申し上げました。

その中でも第一の基盤として保持していただきたいと申し上げたのが、透明性であります。私は行政に携わる者として、県民の皆様にもしっかりと説明ができる透明性がある県政運営を行うことが県民の皆様の信頼を得て共感の県政を実現していくための必要不可欠な最低条件であるというふうに考えております。これが確固たるものとなってはじめて、県政への信頼と理解がすすみ、官民協働、市町村政との連携・協調がはかられるものと考えております。このような基本的姿勢をとりつつ、対話を通じて県民の皆様の共感を得ることで、課題の解決に向けて着実に前進してまいりたいと考えております。

 

●米田県議 県民の意見をよく聞く、と言う点ですが、尾崎県政では、わが党が提案した企業訪問を実行に移し、課題や得意分野などを把握するところからはじめて産業振興計画をつくったことは評価してきました。同時に、その後の対話と実行座談会では、成功事例やそれに準ずる方々への意見聴取に偏重してきたのではないか、とも感じています。

今回の知事選で「だれ一人取り残さない県政」という訴えが大きく共感を広げた背景には、取り残されていると実感している多くの県民の実態があると思います。

 浜田知事は、30数年間、高知から離れて生活をしています。まず、一部の成功事例だけではなく、県民のリアルな実態、「取り残されている」という思いを抱いている方々と向き合っていただきたいと思います。

◆例えば、子ども食堂やホームレス支援、ひきこもりの対応、無料低額診療などに取り組む団体の方々から、実情と課題を聞き、それを県民課題として発信し、課題を解決することが極めて大事だと思いますが、そうした県民のリアルな声を聞く場を設定するおつもりはないか、お聞きいたします。

 

○県知事 次に、課題を解決するために、県民のリアルな声を聞く場を設定するつもりはないかというお尋ねがございました。

知事を目指すことを決意いたしましてから、ここ数ヶ月間、県内各地を回る中で、県民の皆さまから様々な声をお聞かせいただき、地域における厳しい現状に接してまいりました。

本県の直面する困難な課題に県民の皆さまと共に立ち向かっていくためには、県民の皆さまとの対話を通じて、県政に対する「共感」を得ていくことが重要であると考えております。

 したがいまして、私も「共感と前進」という形で前知事の基本姿勢を継承いたしまして、できるだけ早い段階で、座談会のような形式で県内各市町村にお伺いし、住民の皆さまのご意見をお聴きしてまいりたいと考えております。

その際には、市町村のご意見も伺いながら、幅広い皆さまからお話を聴くことができるよう工夫もしてまいります。

こうした取り組みに加えまして、県内各地のイベントや会合に参加させていただく時など、ご意見をいただく機会は数多くあります。庁内におきましても、各部局との協議の中で、地域の情報に多く接してまいることとなります。

今後あらゆる機会を通じまして、さまざまな立場の皆さまのご意見にしっかりと耳を傾けさせていただきたいと考えておりますし、職員ともそうした意識を、共有をしてまいります。

 

【知事の政治姿勢・公務の役割】

●米田県議 次に、公務の役割についてお聞きします。

尾崎県政では、官民協働型の県政運営をめざしながらも、「『官から民へ』では済まない厳しい現実に向き合わなくてはならない」(11年9月)と公務の役割を重視し、橋本県政の時に作成した知事部局3000名体制の方針を3300名へと改めています。県は、総務省に提出した「財政比較分析表」でのコメントには、人口当たりの職員数が多いことに対し、「本県は面積が広く、県土の大部分を森林が占めており、地形も東西の距離が約百九十㌔㍍に及んでいることから、行政サービスの提供が非効率となり得る地理的な要因を有している。また、人口規模の小さな市町村が多く、県から市町村に対して多くの人的・財政的支援を必要としている。職員数は、面積や地形等の地理的要因、あるいは県内の市町村の規模によって大きく影響されることから、実数をもって本県の職員が多いとは言えない」と、明言していることも評価されるものです。

今年の2月議会では、「地方創生や防災対策などの行政需要の高まりに応じて、職員数が増加しているという実態がある中、今後も行政需要の増加や複雑化に対応するためには、必要な人員体制を確保することが重要である」と答弁しています。

2015年12月の地方財政審議会の「意見」(今後目指すべき地方財政の姿と平成28年度の地方財政への対応についての意見)では、「社会保障等の対人サービスの適切な提供には、マンパワーの確保が重要である。今後、少子高齢化への対応や社会的に支援が必要な人々へのきめ細かな対応がますます求められる」と指摘しています。
 県は、課題解決先進県として、5つの基本政策に基づき、積極的な取り組みを進めていますが、貧困と格差の拡大、TPP、日欧EPAなど、自由化・規制緩和から地域経済を守る取り組みなど、行政需要は拡大を続けています。その中で、一方では、知事選の中では、現場の中から「50代の先輩方が自己退職を沢山した。職員は駒で、疲れ切った駒は使い捨て」だ、という過酷な実態の告発もありました。また、消費者相談など専門性の高い職員を正規化できない現状もあります。

これらの点は、我が党は、「職員体制3300人の枠組みに縛られているからで、その枠組みが限界に来ているのではないか」、と指摘したことに対し、尾崎前知事は「行政需要の拡大や災害対応などのため、業務量が増加する中、職員定数に縛られることでやるべき業務ができない、あるいは、職員に過度な負担が生じるということがないよう留意する必要があると考えています。知事部局3300人体制の見直しについては、新年度・・つまり今年度ですが、検討することとしておりますが、いずれにしても必要な人員をしっかりと配置できる体制を目指していきたい」と答弁しています。

最近、教員の働き方はあまりにも「ブラックすぎる」と、若者が教職を敬遠しているとの報道がされるまでになりましたが、公務員の職場も例外ではないと危惧しています。若手・後輩に経験や専門性を継承できる、OJTが可能な一定の余裕がある、そして職場と家庭が両立できる職場環境を実現することが、ひいては県庁全体のパフォーマンスを中長期的に安定的に維持、高めていけることにつながると考えますが、

◆新知事は、高知県における公務の役割とそれを支える県職員の役割をどう認識しているのか。

 また、行政需要の拡大に応じた体制の強化が必要ではないか、併せてお聞きを致します。

 

○県知事 次に、高知県におけます公務の役割、県職員の役割についての認識と行政需要の拡大に応じた体制の強化についてお尋ねがございました。 

本県におきましては、全国に先駆けた人口減少や少子高齢化など課題が山積しております。これらを解決するために、引き続き、国や市町村、民間事業者、大学等と連携して取り組みを進めることが重要であります。その中で県は、進むべき方向性を示し、関係者の協力を得ながら、率先して取り組む必要があることから、果たす役割は非常に大きいものと認識をしております。

そして、県職員は、施策を立案し、関係者の方々との対話を通じて、実際にこれを推進し、成果を出していく、大変重要な役割を担っていると認識をいたしております。

また、行政需要の増加・複雑化に対応し、しっかりと県勢浮揚を目指す取り組みができる体制づくりを図る必要があります。

このため、これまでも業務の状況に応じた職員配置や事業のスクラップアンドビルドなどに取り組んできたところであります。今後は更に、デジタル鼓術を活用して、抜本的な事務の効率化を図ることとしております。

その上で、こうした事務の効率化の成果・効果が出るまでの間におきましては、「県政運営指針」に掲げております知事部局3,300人体制について、時限的に、一時的にこれを超える一定のマンパワーの確保が必要ではないかと考えまして、先般開催いたしました「県政運営指針」の検証委員会にご提案をしたところでございます。

職員の体制については、今後、検討を進めてまいりますが、簡素で効率的な組織の構築に努めながら、必要な人員をしっかり配置できる体制を目指してまいります。

 

【知事の政治姿勢・桜を見る会】

●米田県議 次に、総理主催の「桜を見る会」疑惑について知事にお伺いします。

  安倍首相と自民・公明政権は、野党がルールに基づいて要求をした国会の会期延長、予算委員会開催を拒否し、9日国会を閉じました。強く抗議するとともに、「桜を見る会」疑惑にフタをし、「逃げ切り」を図るなど絶対に許されるものではありません。

  10日付高知新聞社説は、“立法府軽視が強まった”として、「安倍政権が公的行事や税金を私物化し選挙や後援会活動に利用したのではないかといった疑いが晴れていない」、「政府・与党ももっと真摯に説明責任を果たすよう努めなければならない。国民の納得が得られなければ、桜の「疑惑の芽」はこれからも膨らみ続けるだろう」と強調しています。また朝日の社説は、“臨時国会閉幕 政権の専横を忘れまい”と題して、「政治権力が国民への説明を放棄した先に待っているのは、民主主義の土台の崩壊である。」と指摘をしています。

  「桜を見る会」私物化疑惑は、安倍首相の後援会員を買収した疑惑をはじめ、虚偽答弁、招待者名簿や資料の廃棄・隠蔽など安倍政権の本質的な特徴が凝縮しています。その上、今年の会招待者1万5千人中、首相や自民党の「枠」での招待者が8千人にのぼり、悪徳マルチ商法会社「ジャパンライフ」による実害を被った人が多数いること、公職選挙法、政治資金規正法をはじめ、財政法、公文書管理法などに違反する首相直結の疑惑が多岐にわたる点で、より深刻です。

 まさに、民主主義の根幹に関わる大問題であり、数の横暴による幕引きを許さず真相の究明と、憲法、地方自治にもとづく政治の確立こそ、圧倒的な国民、県民の願う道ではないでしょうか。

◆知事にお伺いします。長年、総務官僚そして地方行政に携わってきた政治家として、疑惑の解明と真相究明のために、安倍首相が説明責任を果たすよう求めるべきではありませんか、お聞きします。

 

○県知事 次に、桜を見る会につきまして、安倍総理が説明責任を果たすよう求めるべきではないか、とのお尋ねがございました。

桜を見る会につきましては、招待者の基準や支出のあり方、公文書の管理などに関する問題が指摘され、先の臨時国会において議論が行われてきたものと承知をしております。

これに関達し、安倍総理、あるいは政府関係者の説明に十分に納得していない国民が多いといった報道もされているところであります。

このため、国会閉会中でございましても、適切な機会を捉えて、丁寧に説明をしていただくことが重要であると私も考えております。

政府におきましては、既に来年度の開催の中止を決定し、招待基準の明確化や予算の見直しなどを図ることとされております。

こうした中で、国民に対する説明がなされるべきものと考えておるところでございます。

 

●米田県議  次に、公文書の管理に関わって知事にお伺いします。

  今年5月、日本共産党の宮本徹衆議院議員が質問準備のため推薦者名簿を資料要求したところ、内閣府はその直後に廃棄しました。さらに問題なのは、バックアップデータはしばらく残っていたにもかかわらず、「廃棄した」とウソの説明をしてきたことです。悪質な隠蔽というほかありません。

  また各省庁には推薦者名簿が保存されているのに、内閣官房にあるはずの「総理・長官等の推薦者」「与党による推薦者」の名簿だけが廃棄をされた。これが事実ならば安倍政権のもとで、内閣府と内閣官房は、公文書のまともな取り扱いさえできない行政府になりはてたと言わなければなりません。

  反社会的勢力が招待されたのかという事実確認さえ、「できない」で終わらせることは許されません。やましいところがないならば、首相の責任で電子データを復元させ、すべての名簿を明らかにすべきです。

  2日の参院本会議で、日本共産党・田村智子議員は次のように発言しています。国立公文書館には、「桜を見る会」の文書が多数保存されています。岸信介内閣時代の名簿は永久保存です。1957年の名簿は、戦後の引き揚げ者、戦後の復興への功績・功労者として、招待者の名前がすべて開示されています。政府がどのような考え方で、どのような施策を行ったのか、後世においても検証できるよう、国民の財産として公文書を保管する。自民党政権のもとでもこうした歴史と伝統、政府としての矜持(きょうじ)は受け継がれてきたはずです、とよびかけました。そして安倍政権の7年間で、公文書が、隠され、改ざんされ廃棄される。官僚の答弁は、総理をかばうために矛盾に矛盾を重ねる。いつまでこんなことを繰り返すつもりなのか。日本の民主主義が壊されていくことを黙認などできるはずがありません、と厳しく指摘をしています。

◆菅官房長官の「バックアップデータは公文書ではない」発言は、全くのへ理屈と思いますがどうか。また、今後の高知県の公文書管理にどうのぞむのか、知事に併せてお伺いをします。

 

○県知事 次に、桜を見る会に関します菅官房長官の発言内容に対する認識、あるいは本県の公文書管理についてどうかとの、お尋ねがございました。

まず、菅官房長官からは、「バックアップファイルは一般職員が業務に使用できるものではないことから、組織共用性を欠いており、行政文書に該当しない」という説明があったものと承知をしております。 .

これは、内閣府におきます公文書管理のルールと手続きに基づいたご発言であると認識をしております。

次に、本県の公文書管理につきましては、本年6月議会で議決をいただきました「高知県公文書等の管理に関する条例」を来年4月から施行することといたしております。

この条例では、職員に文書の作成義務を課したうえで、その件名や保存期間等を記載した公文書ファイル管理簿を公表することといたしております。

また、保存期間が満了した公文書の公文書館への移管又は廃棄の取り扱いにつきましては、各実施機関での判断、これが第一段階。それから公文書館長との協議、これが第二段階。そして、知事の附属機関である公文書管理委員会での確認という三重のチェックをかけるということにいたしております。

条例に基づいた取組を徹底いたしますことで、県政の透明性を確保し、県民の皆様への説明責任を適切に果たしてまいります。

 

【知事の政治姿勢・米軍機、オスプレイ】

●米田県議 米軍の低空飛行訓練について知事にお伺いします。

高知県は過去4度の墜落事故を経験するなど、米軍機の低空飛行訓練が県民の安全と安心を脅かしています。

尾崎県政では、わが党の要望に応え、市町村からの目撃情報の収集と公表、騒音測定機の設置などにより、その実態を告発するとともに、訓練中止を求めてきました。しかし、子どもが泣き叫ぶような訓練は止まっていません。ドクターヘリ、防災ヘリの飛行の安全性も脅かされ続けています。

それどころか、この11月頃から嶺北地域で、昼夜を問わず、米軍機と思われる機体による低空飛行訓練が増えているとの声が寄せられています。それによると「昼間は保育園の午睡中や、園庭で遊んでいる時間であってもお構いなしに保育園の真上を低空飛行し、建物の中でも振動を感じるほどの騒音です。保育園の子ども達は『戦争の飛行機。爆弾が落ちてくる』と怖がっています。夜間は20時前後が多く、住民からは『うるさい。子どもが怖がる』と不安と怒りの声が出ています。その後も毎日のように不気味な音が響き渡るので1994年10月の早明浦ダム湖の事故のように『墜落するのではないか』。沖縄県緑ヶ丘保育園のように『部品が落ちてくるのではないか』と不安を感じています。12月6日の12時過ぎの低空飛行は、町内の山(雁山・標高431m)より低く見えた」など、その恐怖ととともに訓練中止を求める強い願いが出されています。

◆まず、この間の、低空飛行訓練の状況をどう把握し対応したのか、また今後どう対応するのか、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、米軍の低空飛行訓練に関しまして、状況をどう把握し対応したのか、また今後の対応はどうかというお尋ねについてでございます。

本県では従来から、市町村に対しまして、低空飛行訓練の目撃情報を報告するよう依頼をいたしております。報告された情報につきましては、その都度速やかに集約をして中国四国防衛局に伝えているところでございます。

その際、同局におきましては、本県での低空飛行の実態、あるいは苦情などの内容をアメリカ側に伝え、住民に与える影響を最小限にとどめるよう求めていただいていると承知をいたしております。

また、本県は、危険性の極めて高い超低空飛行訓練など異常な訓練を行わないことや、飛行のルートや時期を事前に情報提供することなどを、繰り返し国に要請をしてきたところであります。

 しかしながら、これまでの要請にもかかわらず、本年の10月末からは戦闘機のほかプロペラ機による低空飛行訓練の目撃回数が大幅に増加をしております。また配慮があるべき夜間における飛行、あるいは子供が隋がるような超低空飛行訓練も報告されているところでございます。

この間の目撃情報につきましても、従来と同様に中国四国防衛局にお伝えをしたところでありますけれども、特に私が知事に就任してからも、超低空飛行訓練なども含め目撃情報が多くございました。こうしたことから、今月1 2日に外務・防衛両大臣に対しまして、異常な訓練は行わないよう米国に強く要請すること、あるいは事前の情報提供などを改めて求める要請書を提出いたしたところでございます。

今後も目撃情報の収集や状況の把握に努めまして、超低空飛行訓練が繰り返される場合などには是正の要請を行ってまいりたいと考えております。

 

●米田県議 昨年12月の高知沖の墜落事故の調査の中で、手放しの操縦や飛行中の読書、ひげを整えながらの自撮りなど重大事故につながりかねない規則違反が横行していることが判明しました。報告では、背景に部隊内に「薬物乱用、アルコールの過剰摂取、不倫、指示違反といった職業倫理にもとる実例」が存在すると指摘されており、背筋の凍るような実態です。実は、4年前にも、嶺北での低空飛行訓練中の自撮の動画が「あれが掘っ立て小屋だ」とのタイトルでインターネット上に配信され、大問題になった事件がありますが、これ以降も、まったく反省していなかったわけです。

新知事も、米軍の低空飛行訓練の中止を求める姿勢を継承するとともに、さらに踏み込んだ対応が必要と思います。

◆中止を強く求めるのは当然とし、さらなる証拠をつみあげ、国民世論に訴えるためにも、住民などが撮影した低空飛行の実態をしめす動画を県のホームページで公表する、また県がドライブレコーダーのような録画装置を設置し、「動かぬ証拠」を掴むことを検討すべきと思いますがお聞きします。

 

○県知事 次に、住民などが撮影をしました動画を県のホームページで公表する、あるいは県が録画装置を設置する、こういったことを検討すべきではないか、とのお尋ねがございました。

御指摘のございました動画の公表でございますとか、録画装置の設置につきましては航空機の飛行実態等を把握するために、確かに有効な選択肢の一つとしては考えられると思います。ただ一方で、提供される動画の真贋、本物かどうかということでございます、あるいは録画の撮影の方法、映像の精度など技術面での問題がございますほか、装置の維持管理、イニシャル・ランニング両面でのコストの問題など、様々な課題があるというふうに考えております。

全国知事会では、国の責任で実態調査を行うということを提言いたしておりまして、本県といたしましても、先日提出いたしました要請書におきまして、「国として現地における低空飛行訓練の状況を把握する方策を講じること」を新たに求めたところでございます。

一方、防衛省におきましては、本年8月に広島県内におきまして、米軍機の飛行実態を把握するための観測用カメラを設置したというような情報に接しております。

防衛省からは本県に対して、「現地における状況を詳細に把握するべく、現在どのような方策を採るべきか鋭意検討している」、これは本県においてということでございますが、というようなご説明もいただいているところでございます。

こうしたことから、本県といたしましては、国の責任で実態調査を行っていくことも含めまして、国や関係市町村の意見もお聞きしながら、引き続き検討を行ってまいりたいというふうに思います。

 

◆●米田県 また、知事と中国四国防衛局とのやり取りは公開してきました。この点もしっかり継承すべきと考えますが、お聞きをいたします。

 

○県知事 次に、尾崎前知事と中国四国防衛局とのやり取りを公開してきた点も継承すべきだと考えるがどうかという点のお尋ねがございました。

米軍機に関しまして、知事と中国四国防衛局長との直近のやり取りといたしましては、米軍の事故調査結果を報告するため、前知事のところへ局長が先月2回説明に来られた例がございます。この面談については、その一部始終を報道機関に公開したというふうに承知をしております。

私は、先程申し上げましたとおり、仕事を進めていく上で、透明性を確保することが、県民の皆様の信頼を得るための第一の基盤だと考えております。県民の皆様にしっかりと御説明ができるように、そして御納得ができますように、私が中国四国防衛局と県庁にて面談を行う際には、これまでと同様に、報道機関の皆様に公開をしてまいりたいと考えております。

 

●米田県議 また、なぜ、こんな横暴が繰り返されるのか、その根本には、米軍の無法を容認している地位協定の問題があります。ドイツ、イタリアなど他国では米軍訓練をしっかり規制していることは、県議会の場で取り上げてきました。先日、全国知事会の場で、沖縄県によるオーストラリアの実態が報告されています。「領空内に米軍管理の空域はない」、「米軍機が配備される際は、分解・洗浄しオーストラリア検疫当局の検査を受ける」、「飛行経路も厳しく規制。住宅地上空の飛行はなく、騒音問題もない」とのことです。広大なオーストラリアでもこうした規制をしています。政府の姿勢の問題です。

◆この屈辱的な日米地位協定の実態をどう認識されているのか。また、全国知事会も提言している地位協定の抜本改定を実現するため、地元選出の国会議員と一致して連名で要望するなど、これまで以上に踏み込んだ対応が必要と思いますが、お聞きをいたします。

 

○県知事 次に、日米地位協定の実態をどう認識しているか、またこの抜本改定を実現するため、これまで以上に踏み込んだ対応が必要ではないか、というお尋ねがございました。

我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しております。こうした中にありまして、日米地位協定は、日本と極東の平和と安全に寄与する目的で駐留をいたします在日米軍の円滑な活動を確保する観点から、日米安全保障体制にとって極めて重要なものになっているという認識でございます。

全国知事会が「米軍基地負担に関する提言」に昨年7月、取りまとめておりますが、この提言に置きましては、日米安全保障体制は国民の生命・財産や領土、領海等を守るために重要であるとこういう前提に立った上で、地位協定は、我が国にとって、依然として十分とは言えない現況である、といった課題を取りまとめておりまして、その内容については私も共感をいたしております。

日米地位協定の抜本的な見直しを求めるこの知事会の提言の実現に向けて、まずは全国知事会の一員として、しっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

政府におかれましては、国民の理解と協力が得られるよう、地位協定のあるべき姿を不断に追求していただきたいというふうに考えております。

 

●米田県議 米軍と自衛隊の共同防災訓練などへの対応で、県政の継承についてお聞きします。

 南海トラフ巨大地震が発生すれば、あらゆる支援の受け入れが必要であり、米軍参加の訓練であっても党県議団は、一律に否定はしていません。ただし、防災訓練である以上、高知での訓練については、県がしっかり把握し、県民にも内容を公表し、安全性、生活への影響で問題はないか、チェックをし、県民にとってより有効な訓練になるようすべきだと申入れ(2015年5月20日)をし、副知事との話し合いの中で課題意識を共有してきました。

◆防災訓練である以上、しっかり県が内容を把握し、県民に公表する立場をとるべきと思いますがお聞きします。

 

○県知事 次に、米軍と自衛隊による共同防災訓練は、県が内容を把握し県民に公表する立場を取るべきではないか、とのお尋ねがございました。

南海トラフ地震は、東日本大震災を遥かに上回る甚大な被害が想定されております。在日米軍をはじめとした外国からの支援も必要である、というふうに考えております。

このため、在日米軍と自衛隊が共同した防災訓練を行い、連携を強固なものとしておくことは、大変重要なことであると考えております。

これまでも本県は、南海トラフ地震を想定した日米共同の統合防災訓練が3回実施され.ております。それぞれ一定の成果をあげたと承知をいたしております。

一方、防災訓練は、安全が最優先でございますので、訓練に使う機材の安全性、あるいは地域住民の生活環境に、十分配慮して実施されるべきものであると考えております。

このため、本県におきまして、日米共同での防災訓練が実施される際には、これまでと同様に、防衛省から訓練内容、あるいは安全対策、生活環境への配慮など詳細な説明をしっかりと受けたいと思います。その上で、内容をしっかり把握いたしまして、安全対策の確認をしたうえで、その概要を県民の皆様に公表したいと考えている次第でございます。

 

●米田県議 次にオスプレイへの対応です。内外で多発する事故をうけ、尾崎前知事も「県民に安全性について懸念がある」とし、訓練の実施計画にあたっては、市街地上空を飛ばないこと、進入時の高度、コース(可能な限り河川の上)の確認、転換モードは海上で実施などを条件とし、その実施を確認するために、県職員2名が同乗することを防衛省に約束をさせています。

◆県民の安全安心を守るために、この立場を堅持すべきと思いますが、お聞きをいたします。

 

○県知事 次に、オスプレイへの対応について、これも前知事の立場を堅持すべきではないか、というお尋ねがございました。

オスプレイにつきましては、垂直に離発着ができる特性を持ったうえで、一般的なヘリと比べて速度や航続距離の面で、高い性能を有しております。このため、災害時の物資、人員の受け入れ、負傷者の搬送など災害応急活動に有用であると認識でございます。

このため、本県でも過去にオスプレイを活用する防災訓練が計画されたことがございますけども、その都度、具体的な安全対策をとるよう防衛省に要請をしてきたものと承知をいたしております。

一方で、近年、事故や緊急着陸が相次いだことを考えますと、県民の不安感は完全には払拭されていないと思われます。このため、オスプレイによる防災訓練については飛行の高度や、経路、飛行モードの転換場所によっては、県民の皆様から懸念の声が出るということも考えられるところでございます。

仮に、今後、本県で行われます防災訓練にオスプレイが参加をする場合には、これまでと同様に、防衛省に対し、一つには、安全の確保に向けた具体的な対策をとっていただくこと、ふたつには、訓練内容の詳細な説明を求めることを、してまいりたいと思います。

同時に、県としても安全対策の確認をしっかり行っていく必要があるというふうに考えております。

 

【知事の政治姿勢・産業振興と人口減】

●米田県議 次に、産業振興と人口減対策について、まず、国政との関連で、県が産業振興計画の土台に位置づけている農業政策への認識をお聞きします。

 次世代型のハウス園芸、6次産業化、担い手育成、地産外商など、県として、きめ細やかな努力をしていますが、日本政府の農業と食料の安全保障に対する認識と政策が、欧米諸国と比べ、著しく貧困であることを認識しているでしょうか。

各国の農業政策にも詳しく、TPP推進を厳しく批判してきた東京大学の鈴木宣弘教授の指摘は重要だと思います。

 “日本農業は過保護だ、だから競争力の強化を”という主張は根拠がありません。まず、日本の農産物関税ですが、米、コンニャクなど高関税のものもありますが、9割の産品の関税は非常に低く、平均関税率11.7%でEUの19.5%の半分程度しかなく、既に相当低く、大型の自由貿易協定の発効前でも、過酷な競争にさらされている現実があります。

 次に、農産物の輸出大国アメリカは競争力があるから、その地位を確立したのではない、ということです。コストが高くても食料自給は当たり前、それに加えて、食料を武器に世界をコントロールするため、いかに増産するかという食料戦略をとっているからだと解明をしています。

アメリカ農務省経済研究局のデータによると、ほとんどの年度、作物では販売額より生産コストが上回っています。あれだけ大規模経営でも赤字なのです。そのためにアメリカは、農家が満足に暮らし、営農を再生産するために必要な目標価格と国際市場で競争力を持つための市場価格の差額を全額政府が所得補填しており、その額は多い年は1兆円にもなります。農家所得に占める政府補助金の割合は、コメ、綿花の場合、4から5割になる年もあります。

 2006年の統計ですが、農業所得に占める直接支払いの割合は、アメリカが26.4%、フランスは90.2%、イギリスは何と95.2%。一方、日本は15.6%です。このどこをとって過保護というのでしょうか。農業をこんなに軽んじている国はほかに見当たりません。

欧米では、穀物、乳製品の生産がふえ支持価格を下回ると、支持価格で無制限に買い上げて国内外の援助物資や補助金をつけて輸出するなど、政府が最終的に価格を確保し、価格を支える仕組みを築いています。それは、国民の命を支える、国土・環境を保全する、国の独立性を守るという観点から、単なる「商品」ではない、との哲学があるからです。

◆日本の農業政策は、欧米諸国に比べてあまりに貧困ではないか。農業人口の減少がその証左ではないか。この農業政策の違いを無視して、諸外国との自由貿易の競争にさらすのは日本の農業をつぶす、亡国の道と思いますが、知事の基本認識をお聞きいたします。

 

○県知事 つづきまして、欧米諸国との農業政策に違いがある中で、諸外国と自由貿易をすることの認識はどうかという、お尋ねがございました。

我が国の農業は、食糧の安定供給のみならず、国土や環境の保全といった多面的機能を有しております。このため、農業生産活動が持続可能なものとなるよう、所得保障や価格補填を含めた国の政策によりまして、しっかりと農業者を支えていくということが重要であると考えております。

諸外国におきましても同様に、各国の実状に応じた農業施策を講じているものと考えます。ただ、その考え方につきましては、それぞれの国によって成り立ちに過去の経緯や背景がございまして、一律に、同じ土俵で、議論をすることはむずかしいというふうに考えております。

したがいまして、議員のお話にありました諸外国の国内施策と単純に比較をすることはむずかしいと考えておりますが、我が国では、例えば経営所得安定対策、あるいは野菜価格安定制度といった農業経営の安定対策が講じられております。これに加えまして、日本型直接支払のように農業・農村の多面的機能の維持・発揮を図る地域活動、あるいは農業生産活動に対する交付金制度などによりまして、これまで農業者を支援してまいったところでございます。

さらに、今般、日米貿易協定に関する最終合意を受けまして、政府は「総合的なTPP等関連政策大綱」を、改訂をされまして、肉用牛・酪農経営の増頭・増産を図るための奨励金制度の創設、あるいはスマート農業の開発・実証といいました生産基盤の強化など、国際競争力を高めるための新たな対策を盛り込んだと承知をしております。

国においては、改訂後の大綱に基づきます国内対策を十分に講じていただきたいと考えております。県としましても、国のこういった施策も活用しながら、自由貿易における県内農家への影響を最小限に抑えられるように、しっかりと取り組んでまいります。

あわせて、本県の中山間地域の厳しい実態も踏まえて、必要に応じて国に対して政策提言を行ってまいりたいと考えております。

 

●米田県議 また、中山間の多い本県の特徴を考慮すれば、中山間地域で希望をもって働ける、そして暮らし続けられるような施策を充実させていくことが重要です。

その一つとして、日本型直接支払交付金の有効活用が大切だと考えます。多面的機能支払交付金、中山間地域等直接支払交付金、そして環境保全型農業直接支払交付金等が、中山間地域の農業振興にとどまらず、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、そして良好な景観の形成等に利用され、関係者から高く評価をされています。

とりわけ中山間地域等直接支払交付金は、農業生産活動の継続に向けた前向きな取り組みにとどまらず、農業以外の組織との連携など集落機能の強化のためにも活用されてきています。今後は、高齢化や人口減少が著しい地域のコミュニティを維持していくためにも、また地域の魅力を発信するとともに地域外の人たちとの連携も図れるようにしていくなど、さらに使い勝手のいい制度として活用範囲を広げていき、他の施策とも連携させて地域が守れる、農業の担い手ができる、そして自然豊かな中山間地域で暮らし続けられるようにしていくことが大切だと考えます。

中山間地の農家は単に作物を作っているだけではありません。地域の文化や、棚田の風景やたくさんの生きもの、そして子どもたちの豊かな体験を育んでいます。そうした里山の果たす役割が引き継がれていくようにしなければなりません。

◆国に対して、中山間地域等直接支払交付金の総額を増やすこと、地域の実態に沿った単価設定にすること、農地だけでなく集落の維持や若者の参加をさらに促す加算メニューを増やして活用範囲の拡大を図ることなどを求める考えはないか、本県での同制度の成果、そして今後のこの制度の果たす役割についての認識を併せて、知事にお聞きをします。

 

○県知事 次に、特に中山間地域等直接支払制度に関しまして、新たな加算措置などを国に求めるということ、あるいは、本県でのこの制度の成果、今後の役割についてどうか、というお尋ねがございました。

この制度は、農業の生産条件が不利な地域におきます農業生産活動を支援するものであります。本県の大半を占めます中山間地域の農業を守りますとともに、地域の活性化を図るうえでも重要な制度であるというふうに考えております。

本県でも、約600の集落におきまして、年間約10億円の交付金を活用いたしまして、農業生産活動が継続をされております。このことによりまして、耕作放棄地の発生が防止されるという効果に加えまして、集落機能の維持、あるいはコミュニティの活性化といった成果が現れていると考えています。

また、議員のお話にもありました地域の実状に沿った支援策の充実につきましては、本県の厳しい実態なども踏まえまして、これまでも政策提言などを通じて、国に訴えてまいりました。

その結果、現在の第4期対策におきましては、例えば、高齢化などによりまして、5年間農地を保全管理しなかった場合、本来交付金を返金しないといけないわけですが、これの交付金の返還免除規定がおかれましたり、あるいは超急傾斜の農地を対象といたしました加算措置が設けられるといった形で、要件緩和や支援策の充実が図られてまいったという実績がございます。

来年度からは新たに第5期の対策がスタートするわけでございますが、この中でも今、国の方では、交付金の遡及返還規定のさらなる緩和、あるいはより生産条件の厳しい棚田地域を対象といたしました加算措置の創設など、地域がより取り組みやすい制度への見直しに向けて、検討が国において行われているというふうに承知をしております。

本県といたしましても、こうした要件緩和、あるいは、拡充される加算措置の内容も踏まえまして、今後においても地域の実状に応じた制度となりますように、国に対して提言活動を行ってまいりたいと思います。あわせまして、市町村と連携をして制度の周知を図るなどいたしまして、第5期の対策におかれましても、各地域におけます農業生産活動の継続につながりますよう、しっかりと取り組んでまいります。

 

●米田県議 次に、人口減少の問題についてお聞きします。

本県の推計人口は、今年6月1日に69万9,522人となり、70万人を割り込みました。そして、10月1日の推計では、69万7,674人と、更に減少しています。この10年間では、出生数から死亡数を引いた自然増減で4万9,967人減少、転入から転出を差し引いた社会増減で2万656人減少し、合わせて7万623人・年平均7000人余も減少をしています。

本県は、全国より10年以上先行して人口減少と少子高齢化が進んでおり、特に中山間地域ではその傾向が著しくなっています。

しかしこの人口減少は、決して自然現象ではありません。他の先進諸国では2015年から2050年までの人口増加率が20%前後になると予測される国が二つあります。アメリカ18%と、カナダ20%の増加です。一方、イタリアは-8%、ドイツ-3%と減少の予測ですが、日本ほどの減少率ではありません。

この日本の人口減少は、政治の責任が大きいと言わなければなりません。非正規や派遣労働を増やし、若者が生活の将来設計をしにくくしてきた国の経済政策の抜本的な見直しが必要です。

人口の社会減を食い止めるには、子育てしやすい労働環境を整えることと合わせて賃金の地域間格差を平準化することが大切です。全国一律の最低賃金にして時給1000円、1500円と引き上げる。これを経済的に対応が困難な中小企業への支援策と一体に取り組むことが重要です。賃金格差がなくなれば、東京一極集中が緩和され、高知のような自然環境のいい、食べ物の美味しいところで働き続けたい、また高知に移住したいという人が増えてきます。

◆本県の人口減少を食い止めるためにも、政府に対して全国一律の最低賃金を求める考えがあるのか、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、本県の人口減少を食い止めるためにも、政府に対して全国一律の最低賃金を求める考えがあるのか、というお尋ねがございました。

本県が抱えます人口減少の要因には、経済状況、生活環境など、様々なものがございますが、県内企業の労働生産性あるいは労働環境が改善され、働く方々の賃金が向上するこのことは大変望ましいことであると私も考えます。

一方で、最低賃金につきましては、国のいわゆる骨太の方針におきまして、より早期に全国の加重平均が千円になることを目指すという旨の方針が、示されております。

一方で、日本商工会議所など中小企業の関係者などからは、「最低賃金の大幅な引上げは、経営基盤が脆弱な中小企業・小規模事業者の経営を直撃し、雇用や事業存続自体を危うくする」旨の「緊急要望」がなされておりますし、私自身もそういった声を中小企業の経営者の皆様からおききをしているところでございます。

本県の最低賃金は、ここ数年は3%以上の上昇を続けておりまして、本年決定された790円は、引上げ額、上昇率とともに、現行制度下で最大となっております。

また、1人あたりの現金給与総額も、産業振興計画を推進してきた本県におきましては、全国を上回る伸びを示しております。

しかしながら、絶対水準では、全国との開きがあるのが実態でありまして、経済力に一定の格差がある現状においては、全国一律の最低賃金の導入は、現実的ではないと私としては考えております。

県といたしましては、事業戦略の策定・実行の支援、あるいは産業振興計画の着実な実績により、中小零細規模が大多数を占める県内企業の生産性の向上や経営基盤の強化を図る、このことがまず先決であると思っております。これによりまして、働く方々の賃金の向上と、 「いきいきと仕事ができる高知」が実現できるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。

 

【知事の政治姿勢・健康福祉行政①公的病院】 1,556字

●米田県議 次に、地域医療構想を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」について伺います。

昨年度、本県においても各公立・公的医療機関等が策定した「新公立病院改革プラン」及び「公的医療機関等2025プラン」について、地域医療構想調整会議において協議し、合意に至ったものを厚生労働省に提出しました。

しかし、厚生労働省は、提出されたプランでは現状と大きな変化がないと判断し、同省において、対象医療機関の診療実績データ分析を行い「診療実績が特に少ない」または「構想区域内に、一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上あり、かつ、お互いの所在地が近接している」と位置づけた公立・公的医療機関等について、本年9月、個別病院名をあげ、改めて再度協議を行うよう各都道府県に要請しました。

再編統合の議論を促すようにとりあげられた病院は、公立・公的病院の4分の1にも及ぶ424病院。本県では、佐川町立高北病院が特に診療実績が少ない病院として上げられ、JA高知病院、高知西病院、仁淀病院、土佐市民病院が、診療実績が類似かつ近接している医療機関があるとの理由により名指しで具体的対応を検討せよと要請しています。

全国一律の物差しで地域の実情も無視して、しかも2017年のわずかな期間のみの実績で個別病院名を名指しした今回の厚生労働省の発表に、全国知事会も、当該病院からも抗議の声が上がるのはあまりにも当然です。

◆まず、地域特性も無視した唐突な個別病院名の公表に対する地方の反発をどう受け止めておられるのか、知事に伺います。

 

○県知事 次に、地域医療構想に関しまして、厚生労働省が行いました、個別の病院名の公表に対する地方の反発をどう受け止めているか、というご質問についてでございます。

国の方では、9月に、診療実績が少ないなどの理由で2025年に向けた具体的対応方針の再検証が必要な病院として、全国4 2 4の公立・公的病院の名前を公表されました。これは、必ずしも医療機関そのものの統廃合を機械的に決めるものではないとされておりますが、公表された医療機関にとっては、ご質問にございましたように影響は少なくないということだと思います。したがいまして、公表に当たりましては、事前に再検証の留意点でございますとか、国の支援策、こういったものを充分に説明するなど、慎重かつ丁寧なプロセスが必要であったというふうに思っております。

こうしたプロセスを経ずに、いわば唐突に個別の病院名を公表した、こうした形になっておりますので、 「地域の実情を無視した」でありますとか、あるいは「統廃合ありき」ではないのか、といった地方の懸念・反発を生じてしまったことにつきましては、これは国は反省すべきであるという認識でおります。

 

●米田県議 今回の、2つの指標の設定も問題です。

まず、診療実績が少ない問題では、その根底に医師や看護師、助産師などの人材不足があります。地域にニーズがあってもそれに医療機関が応えられない。そうした事態を改善することにこそ本来の国の役割が果たされるべきです。さらに、近接の範囲が車で20分以内とされていますが、本県のように高齢者が多く運転免許の返上で車を手放す方も多く、公共交通機関も不十分な地域には、一律に当てはめることのできない基準です。病院間が20分であっても、その病院に行くまでに時間を要する高齢者にとっては大きな負担となります。こうした実態を無視した、あまりにも乱暴な病院名公表で、各病院は風評被害も受け、医師や看護師、患者や地域に不安が広がっており、いったん白紙撤回すべきだとの声が広がっています。厚生労働省は、あくまで検討材料としていますが、そんな言い分で、広がった不安が払拭できるものではありません。

◆今からでも、国に撤回を求めるべきだと思いますが、知事のご所見を伺います。

 

○県知事 次に、それでは国に対し、公表の撤回を求めるべきではないかというご質問がございました。

先ほど申し上げましたように、国は、そのことが与える影響は決して少なくないにも関わらず、個別の病院名を公表に至ったプロセスがいわば拙速であったということは否めない、そういう認識はもってございます。

しかしながら、地域医療構想を実現するためには、やはり、まずは法的な位置づけ、あるいは財政・税法上の措置が民間医療機関とは異なって、独自の措置が講じておられます公立・公的病院が率先して、この問題の検討にあたっていくということが必要なんだろうと、いうふうに思っております。そのためには、2 0 2 5年におきます必要な医療機能を議論し、今後の高齢化の進展などを見据えた対応を、公立・公的病院が率先して、検討していくことが必要であると思います。

したがいまして、国が医療機関名を公表し、具体的対応方針の再検証を促したことは、地域における議論を喚起したという意味では、この点では意義があるというふうに考えております。

また、国の方も「必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではない」ということ、あるいは、「病院が将来担うべき役割等の方向性を機械的に決めるものでもない」と説明をして、考え方を示しておりますから、国に撤回を求めることまでは必要ないという考えでございます。

 

●米田県議 今回の再検討を求めた国の姿勢は、地方自治を無視したものといわなければなりません。先に述べたとおり、各都道府県は30年度末には「公的医療機関等2025プラン」を地域医療構想調整会議で協議し決定したものです。その結果を無視して、唐突な病院名の公表は、都道府県での協議、決定を覆すものといわなければなりません。

◆病院の再編は国が強制すべきものではないと思いますが、知事のご所見を伺います。

 

○県知事 次に、病院の再編は国が強制すべきものではないというお考えについてどう考えるかというお尋ねがございました。

言うまでもございませんが、病院のダウンサイジングや機能連携、機能分化を含めた広い意味での再編・統合は、地域住民の意向も踏まえて、医療機関、あるいは設置者でございます自治体が主体的に議論をし、決定すべきものであると考えております。

国は 民間病院も含めました診療実績のデータを早急に公表するとともに、具体的な支援策を示すなど、地域でしっかりと議論が行われるような環境を整える役割に徹するべきだと考えます。

お話にございましたように、地域医療構想調整会議におきまして、一度は「新公立病院改革プラン」や「公的医療機関等2025プラン」を合意がされているところではございます。しかし、今回、再検証の対象となった5つの病院には、この機会を捉え、同会議におきまして改めて協議を行っていただきまして、地域の医療機関との連携や役割分担について、行政と住民、各医療機関の診療を担います医療従事者が共感できるような方策を議論していただきたいと考えております。

県といたしましても、そうした議論がしっかり行われるよう、サポートをしてまいります。

 

●米田県議 さて、少し前の話となりますが、「日経メディカル」の2007年7月号特集連動企画に掲載された記事に、当時の総務省自治財政局企業経営企画室長・浜田省司氏のコメントが掲載されています。当時知事は「自治体病院は原則、民営化あるいは廃止・統合。それができない場合には、地方公営企業の全部適用や指定管理者による公設民営制度などを考えてほしい」と述べられています。

◆この間、本県の高齢化率、家族構成、地域特性を見てこられたと思いますが、改めて自治体病院の果たす役割についてどのようにお考えか、住民が安心して住み慣れた地域で暮らし続ける上で公立・公的病院の果たす役割の重要性についてご所見をお聞かせください。

 

○県知事 次に、自治体病院の果たす役割あるいはその重要性について、お尋ねがございました。

 約10年前になりますが、平成19年ごろ、私は、私が、かつて総務省で公立病院改革ガイドラインの策定に関わっておりました。このころと比べましても、本県の人口は10万人近く減少し、高齢化率は26. 8%から35. 2%まで上昇いたしております。さらに高齢夫婦世帯あるいは、高齢単身世帯の割合が増えるといった形で、家庭における看護力・介護力が低下してきているという状況の変化もございます。

また、医療資源が高知市周辺に一極集中をする一方で、郡部における医師不足などの地域偏在が顕著になってきたというような状況もあります。

こうした状況の中で、公立・公的な医療機関には、中山間地域など民間医療機関が少ない地域におけます一般診療あるいは救急小児、周産期などの不採算とされる医療の確保、さらには、がんなどの高度先進医療、更に申し上げますと医師等の人材育成などの役割を果たしていただくことが必要だというふうに考えております。

また、民間医療機関との適切な役割分担をしながら地域包括ケアシステムの一端を担い、近隣の医療機関と連携した地域医療支援を通じて地域の医療ニーズに応えていく、こうしたことも公的な病院に期待されている一つの役割だと思います。

もちろん地域におきまして、公立・公的医療機関でしか担うことができない役割というのがあれば、それは当然確保していかなければならないと考えでございます。

高知市への極端な人口集中が進みます一方で、過疎が進む中山間地域を多く抱える本県につきましては、公立・公的医療機関の役割は大変重要であると考えております。今後、地域の医療機関との連携、役割分担について更にご議論いただきまして、住民が安心して住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、県も一緒になって、取り組んでまいりたいと考えております。

                           

【知事の政治姿勢・健康福祉行政②国保】

 ●米田県議 次に、国民健康保険についてお伺いします。           

政府・厚労省は、国保料の値上げを抑制したり、引き下げたりするために一般会計から国保特別会計に独自に公費繰り入れを行う市町村に対し、国からの予算を減らすペナルティ措置を2020年度から本格導入しようとしています。高い負担に苦しむ住民生活を無視し、地方自治も踏みにじり、事実上国保料値上げへの圧力をかけるようなことは、許されるものではありません。

  国保「保険者努力支援制度」という名による国が出す交付金で、全国で市区町村分500億円、都道府県分500億円の予算です。各自治体の国保行政を国が採点し、“成績がよい”自治体に交付金を増やす仕組みです。

  採点項目には、計画策定対象市町村の赤字削減・解消計画について、全て取りまとめて公表するなど市町村の公費繰入金を減らすよう都道府県が“指導”した場合に、交付金を増やすことなどを盛り込んでおり、繰入金の削減による国保料値上げを誘導しかねないことが問題になっています。そして20年度からは、市町村も含めて、公費繰入金の削減・解消の取り組みを進めれば交付金を増やす、そしてそれだけでなく取り組みを進めないと交付金を減らす、というのであります。

  交付金が減額されるケースとして、市区町村の場合「公費繰入金の削減・解消計画策定対象だが計画をつくっていない」、「同計画の中で削減の目標年次・削減額・具体的取り組みのいずれかを定めていない」、「18年度までに解消が見込まれるとして計画未策定だが、18年度に前年度以上の公費繰り入れを行った」などです。都道府県の場合は「計画策定対象の市区町村のうち1割以上が上記ケースのどれかに該当している」、先に紹介した市区町村のケースを指しています、などです。

  厚労省はこれまで繰り返し、公費の繰り入れは「自治体の判断」と国会答弁をしています。

◆地方分権に逆行し、地方自治体の自主性をふみにじり、住民に負担をおしつけることは許されないと考えますが、知事の見解を伺います。

 

○県知事 次に、国民健康保険に関しまして、一般会計から国保特別会計に独自に繰り入れを行います市町村に対します国の交付金の減額措置の導入に関しまして、お尋ねがございました。

国民健康保険の財政を安定的に運営していくためには、受益者である被保険者の国保料そして法定の国庫負担金等の公費により必要な支出を賄いまして、国民健康保険の特別会計におきまして、当該年度の収支を均衡させるこのことが重要であり、運営の基本だと考えております。

お話にございましたように、国は、令和2年度の保険者努力支援制度の市町村評価指標におきまして、新たに、国保料の引き上げの抑制などを目的とした法定外の一般会計繰り入れの有無でございますとか、赤字削減解消計画の進捗状況に応じて.評価する項目を設けたところでございます。

このため、例えば「計画策定対象市町村であるにも関わらず、計画を策定していない市町村」は、交付金が減額されるということになります。

しかしながら一方で、この新たな指標によりませば、これまで評価されておりませんでした「法定外繰り入れを行っていない市町村」でございますとか、「策定した赤字削減解消計画に沿って削減や解消をしている市町村」につきましては、交付金が交付されることとなります。これは、国保財政を安定的に運営していくための基本に基づいた見直しであると考えております。

県といたしましては、国保の財政運営の責任主体といたしまして、引き続き、法定外繰り入れの解消も含めまして、国保が将来にわたって安定的に運営できるこのことが大事だと、思っておりますので、そういう方向で取り組んでまいりたいと思います。

 

【学力テスト】

●米田県議 次に全国学力テストに関してお聞きします。

9月県議会においてわが党の吉良県議が、全国学力テストの結果を絶対的な「学力」の物差しととらえ、正答率向上策を学校現場に求める県や地教委によって教職員と子どもたちが振り回されている現場の実態を示し、学テの抽出(調査)化と県版学テの取りやめを求め、合わせて、県の教育大綱の見直しを求めました。

 知事は「学力テストの結果だけが、自己目的化するということであっては、いけない」とのべ、教育長も「学テの結果によって子どもたちがどんどん追い込まれていくということであってはならない」と答弁をしています。

 しかし、その思いと裏腹に、この間も、学テの正答率アップが自己目的化した学校現場の様相を告発する声は後を絶ちません。

「学校によっては県版学テ(全国学テでも)にまさに命を燃やしている管理職がいます。学テの結果が良かった教科の先生たちを連れてご飯をご馳走し、逆に結果が悪かった教科の先生を人格否定も含めて非難したりしている学校長がいる」とか、「本来の授業をせずに、テスト前一週間を学テの教科のみの授業で埋める“学校の独自性”を出す学校がある」。

また、学テでは無回答の割合も比較対象となるので、生徒に対して「わからなくても書け。無回答が多かったら校長室に呼ぶ」と言う教員が出てきています。更には、「校長会では学テの結果が良い学校の校長は大きな顔をし、結果が悪ければ顔を上げることができない」と職員会で全教員に学テ対策を十分行うよう、はっぱをかける校長の例も告発されています。

◆知事はこの声にあるような校長や学校現場をどう考えるのか、また学力テストが自己目的化することがあってはならないという考えをお持ちなのかお聞きをします。

 

○県知事 次に、全国学力・学習状況調査に関しまして、学校現場についての声に対する考え、あるいはこの調査結果の自己目的化に関する考え、あるいはこの調査結果の自己目的化に関する考えがどうかというお尋ねがございました。

私は、学力はその子どもの人生や将来を豊かにする能力の1つであると考えております。学校においては、子どもたちに考える力や創造力、あるいは表現力といった力をしっかりと育んでいただきたいと考えております。

そして、 9月議会において、尾崎前知事や教育長が答弁されているように、私も、学力調査の数値や順位だけを追い求めて、その結果が自己目的化するようなことがあってはならないと考えているところでございます。

このため、全国学力・学習状況調査の実施やその活用にあたりましては、児童生徒の学力の定着状況を把握をして、授業改善を図ったり、個々の子どもの指導に役立てるとの意図やねらいをしっかりと学校や教員が理解をし、共通認識を持っておくことが大切であるというふうに考えます。

そうしたことから、もし、議員からお話があったような「自己目的化」といったことが学校現場で行われているのであれば、それは決して好ましいことではなく、早急に是正されるべきものと考えます。

今後とも、学力調査の本来の主旨に鑑みまして、県はもとより、各市町村教育委員会や学校において、学力調査への取り組みが適切に行われますように、県教育委員会においては、自己チェックを働かせるとともに、市町村等に対しまして十分に説明をし、理解をいただくよう取り組んでいくことが必要だと考えております。

 

●米田県議 県版学テをめぐっては、先の9月議会でも福井県や広島県の例を示し中止を求めました。

知事も教育長も自己目的は問題だとのまっとうな認識であることも示されましたが、その意図とは正反対の指導が教育事務所、地教委を通して学校現場におろされています。

 「中学校第2学年平成31年度高知県学力定着状況調査出題予定範囲」という現場に配布された文書では、教科領域・範囲を示し、県教委作成の単元テスト、数学シート、国語学習シート、高知これ単など使用教材までも明記し学習内容を指定しています。

また、別の文書ではチェック項目を5点にわたって明示。全国学テや県版学テの課題があるとみられる問題は、授業や加力指導で取り出して計画的に確実に改善をと特別な取り組みの指示に始まり、特に小学5年生、中学2年生には各校で今年の全国学力テストを再実施せよと明示。また、県作成の問題集や過去問を活用し改善状況を把握するよう指示しています。

全国学テ、県版学テに対する県教委、教育事務所、地教委このような微に入り細に入る文書での指示こそが知事と教育長が否定している点数結果を追い求める、自己目的化を推し進めていると断言できます。

◆自己目的化はあってはならないというのであれば、これらの現場教員の教育権を踏みにじる文書の類は即刻辞めるべきだと考えますが、教育長にお聞きをします。

 

○教育長 まず、現場教員の教育権を踏みにじる文書は即刻やめるべきではないか、とのお尋ねがございました。

高知県学力定着状況調査において、出題範囲を明確に示すことについては、各学校において調査実施までに履修もれがないように計画的に授業で取り組んでもらうためにも必要なことと考えております。

また、学力調査後に調査結果から見えてきた課題を克服するために、学力調査等の問題を活用した授業方法などを例として提供することは、県教育委員会として必要なことと考えております。

しかし、ご指摘がありましたように、これまでに教育事務所から発出した文書の中には、過年度の学力調査問題の活用を指示し、学力調査の正答率を自己目的化すると捉えられかねない内容の文書がありました。ご指摘のあった8月29日付けの中部教育事務所が発出した文書につきましては、9月11日に校長会などから情報提供が県教育委員会にありました

ので、その内容を確認し、直ちに同教育事務所に文書を撤回し、今回ご指摘いただいた部分を全て削除したうえで、出し直しをするよう指示いたしました。

同教育事務所では、 9月13目付けで訂正した文書をもって管内の各市町村教育委員会を回り丁寧に説明し、さらに各市町村教育委員会から各学校へ周知をしていただいております。

ご指摘のあった文書は、訂正して出.し直しをしましたが、県教育委員会が、このような市町村教育委員会や学校の権限や裁量の範囲を超えた指示と捉えられるような文書や、点数を上げることを自己目的化すると捉えられるような文書を発出することは、あってはならないものと考えております。

今後は、県教育委員会全体として、全国学力調査及び県版学力調査の目的や趣旨が理解され、各学校において活用が図られるような適正な資料や文書の提供に努めてまいります。

 

●米田県議 単元テスト、県版学テ、過去問、授業振替など学テ体制に「命を燃やす」現場の構築に努めた結果「全国学テの小学校算数が12年前、43位が6位と大きく上昇しております」と先の9月議会で知事はアピールしました。しかしそれは、小学校算数でいえば全国平均との差で-1.7点だったのが+1点になったにすぎません。その陰で、本県の不登校の生徒数は悪化の一途をたどってきました。「不登校の小中学校における出現率は依然として高くさらなる対応が求められる状況です」と知事は述べていますが、2009年度と2018年度を比較すれば、小中合計で1.4倍に大きく増加しているのであって、それは「依然として高く」 ではなく急激に悪化していると言えます。「依然として高く」という事実を糊塗する表現はすべきでありません。正直に、全国二位の高さにまで増加してしまったというべきでありましょう。

この間、学テ体制が強化され、教員と子どもからゆとりが奪われてきたことと、その陰で不登校が4割も増えている事とに関連性があるとする研究報告もなされています。

◆不登校児童生徒の出現率の増加傾向について、知事の認識をお聞きします。

 

○県知事 最後に、不登校児童生徒の出現率の増加傾向について、お尋ねがございました。

不登校につきましては、一面では、学校に行かない時期が心の休養となったり、自分を見つめ直す時間となるという積極的な意味を持ちうる面はあると思います。ただ、一方で、義務教育の機会が十分に保障されず、学業の遅れ等によりまして、社会的自立を阻害するリスクを内在するものでもございまして、重要な教育課題のひとつというふうに捉えております。

近年の不登校児童生徒数は全国的に増加傾向にございますが、本県においては、その出現率が全国より高い状況が続いております。関係者が総力を挙げて対応すべき喫緊の課題であると認識をしておりますし、不登校の増加原因については、社会の変化等さまざまな背景要因が複雑に関達し合っているというふうに考えています。

そうした中で、本県の各学校からの報告によりますと、不登校となります主な要因といたしまして、第一に「家庭に係る状況」、次いで「友人関係をめぐる問題」、そして三番目として「学業の不振」があげられております。

このようなことから、各学校におかれましては、一つには、子どもたち一人二人の居場所がある学級学校の実現、あるいは、ふたつ目には、「わかる授業づくり」、こういったことに努めていく、こういったことによりまして、子どもにとって魅力ある学校を作っていくということが大切であると思います。併せまして、教員が子どもと向き合う時間を確保するための働き方改革、これは推進していくことも重要な課題であると考えております。

加えまして、市町村や関係機関と連携をいたしまして、第一には、学校以外に多様な学びの場を保障すること、第二には、心理と福祉の両面から子どもや保護者をサポートしていくこと、また、第三には、就学前から高等学校までの各段階において、児童生徒の社会的自立を目指した切れ目のない支援を実施していくこと、こうした三つのことが必要であるというふうに考えています。

今後、こうした施策の充実に向けまして、県教育委員会としっかりと協議を行い、連携して取り組みを実行してまいります。

 私からの答弁は以上でございます。

 

●米田県議 教育長は9月議会での先の自己目的化への答弁に次いで「しっかりと市町村教育委員会とも連携、協議をしていきたい」、「現場の先生方の声というのは、非常に大事だ、積極的にお話もこれからも聞かせていただいて、教育施策に反映していきたい」と述べています。

◆学力テストの結果を見た教育事務所や各地教委が、点数を上げることを自己目的化し、現場教員の頭越しに点数を煽るような指導、教育内容・方法まで押し付けている実態の有無をまず調査すべきだと考えますが、教育長にお聞きします。

 

○教育長 次に、学力テストの点数を上げることを自己目的化し、点数を煽るような指導、教育内容や方法まで押しつけることの有無を調査すべき、とのお尋ねがありました。

教育事務所は、市町村教育委員会や学校の教育活動が充実するよう、それぞれを支援することが主な役割となっています。例えば、学力調査に関して言えば、市町村教育委員会の協力のもと管内の小中学校の学力状況を把握し、学校の強みや弱みを分析して、市町村教育委員会の担当者が集まる研修会や学校訪問指導において、必要な支援策を提案したり、進捗状況を確認することになります。

このような役割から、教育事務所は、市町村教育委員会や学校が学力向上などをすすめる上で、参考となる資料や学力・調査の分析シートなどを作成し、提供を行っているところです。

しかし、先ほど答弁いたしましたとおり、教育事務所が発出した文書の中で不適切なものがあるとのご指摘をいただきましたので、先日、各教育事務所から市町村教育委員会や学校へ学力調査の実施に関して提供した資料やシートがどのようなものであったのか、全ての文書について調査を実施いたしました。

その結果、議員からご指摘があった文書の配布以外にも、学校全体の学習状況を把握するためのものという思いではあったものの、点数を上げるため、と受け止められるような、毎月の学力向上への取り組みを書き込むシートの様式を示すなど、学校が負担に感じるような取り組みが見受けられました。

市町村教育委員会や各学校に対して、強制的に指導や文書の提出を求めるものはありませんでしたが、市町村教育委員会や各学校の権限や裁量の範囲を超えることはあってはならないものですし、学校の負担感についても十分な配慮が必要だと考えています。

そのため、先日、緊急に教育事務所長会を開催して、県教育委員会として適切な資料提供や指導・助言がなされるように、私が全ての教育事務所長と直接確認を行ったところです。

 

◆●米田県議 また、現場教員の声を直接しっかり受け止める場を、年間を通じてどう確保するつもりなのか、お聞きをしまして、第一問といたします。

 

○教育長 最後に、現場教員の声を直接しっかり受け止める場を、年間を通じてどう確保するっもりかとの、お尋ねがございました。

県教育行政を確かな方向に推進していくためには、県民の皆さまをはじめ、様々な教育関係者の方々の声に耳を傾け、その総意で教育大綱や教育振興基本計画の理念の実現に向け進んでいくことが、大変重要だと考えております。そのため、子どもたちに直接教育を行い、様々な課題を体験している現場の教職員の声を聞くことは、特に大事なことと認識をしています。

これまでも、校長会や教頭会、養護教諭や栄養教諭の代表者、さらには各教職員団体など管理職や様々な職種、立場の皆さんと本県の教育の現状について話し合う機会を設けてきました。また、全ての県立高校及び特別支援学校、一部の市町村立学校にも直接出向き、授業参観や教職員の皆さんとの懇談会も実施しているところであり、今後も継続して実施してまいります。また、今後は特に、市町村立学校の教職員の方々と意見交換する機会を、できるだけ増やしてまいりたいと考えております。

 

【第二問】

●米田県議 丁寧な答弁ありがとうございました。第二問行いたいと思います。

先に、伊藤教育長がいわれたように、教育事務所とか地教委色々あったとしても、現場が一番大変ですので、そこがどうなっているかということを耳を傾けて、それに対応をぜひしていただきたいと強く、重ねてお願いをしておきたいと思います。

ただ、勝手にやり過ぎではなくて、震源はやっぱり、学テなんですよ、ですから陰に陽に、県の教育委員会も、結局1点、2点、順位を上げるために、そういう流れを向かっているわけですね。皆さんね。2007年、平成19年の時の小学校算数AB、あわせて、だいたい-1.7点になるんですけれど、全国平均からいうと、なんと、1.7点の間に19の県がひしめきあっているわけですよ。それをみんなが「0.なんぼ」ずつ伸ばそうというそういう、ある意味競争が、実際上あっているわけですね。

2019年のものも、その当時よりも2.7点あがりましたけれど、全国平均より1点、増えた、前進したと、しかしその中に、6つくらいの県がひしめきあっていると、結局1点、2点を争う、1位2位をまあいうたら争うために、まあいま学校の先生達は結局、追い立てられている。そして、子どもたちは、安心安全な場所を追い立てられている、居場所がなくなっている、そういった実態があることを私は、ぜひ見ていただきたいと思いますし、現場で色々聞いて頂きたい。特にですね、2009年と2018年を比べると子どもの数が6万人で、当時2009年の時は、不登校は775人でした。去年は、2018年、5万人の子どもに減っていますから、1059人です、出現率は1.26から2.09%、この10年のあいだに1.65倍増えてるんですよ。

私は、学テの実施と無関係どころか、点数を争い、先生が追い込まれ、子どもたちが追い込まれる中で、学校になじめない、学業がついていけない、友達と勉強を中心にしてうまいこといかない、いっぱいいるわけですよ。私は、この不登校の子どもたちの実態は、ひとつはやはりそこに大きな要因があるんではないかなと、私は思うんですが、これは、すいません、知事にお聞きしたいんですが、どういうふうに考えておられるのかということです。

そして、新しく、担当に人を増やすといわれていますけれど、やっぱり今一番大事なのは、一人ひとりの子どもに向き合える先生の時間を保障する、学校の先生を増やすそれがなければ、絶対できませんよ。兼任で不登校担当をもっても、みれんじゃないですか。結局仕事が増えるだけですよね。そんなんできるがやったら、前からやっちゅうわけですよね。僕らも新聞見て喜んだけれども、何のことはない、兼任でやりますということでしょう。それでは、打開になりません。本当に先生も大変、子どもたちも大変ということをぜひ打開するために、取り組んでいただきたいと思いますが、それが急がれているのではないかと思います。それをいっぺん回答もされましたけど、再度お伺いしたいと思います。

国民健康保険のペナルティと公的病院のことですけれど。知事が最初のところでいわれたように、国と市町村の関係は対等と協力だといわれた。しかし、これは対等ですか。けして、対等ではないですよ。行政はまだええかもしれんけど、そこに通っている患者さん、そこに勤めている医療スタッフ、意欲が出んというんですよ、お医者さん、看護師さんが集まらんというんですよ。それでもがんばってやろうとしているんですけれど、私は、やるべきは、そこまでいわんでいいと今知事はいいましたけれど、この公的病院の再編問題は、一度撤回させるべきですよ。

去年、皆さんが力を合わせて、地域医療構想どうするかと知恵合わせてやったわけでしょう。高知県も。それを一年もせんうちに、国が、二つの単純な指標で、これはダメですとくるわけですよ。こんなやり方許されますか。私は、優秀な県の職員の方が、地域医療構想、公立病院の改革プランと2025年プランつくったわけでしょう。自信をもってつくったわけでしょう。それをダメだというわけですから、足りんというわけですから、国にそういわれんでも、私たちは責任をもって地域医療を守りますといってやったらいいじゃないですか。それは一回撤回をする、誤りなら撤回をする、それが常道ですし、それが初めて対等と協力関係はあるということになるわけですので、その点も合わせて知事にお聞きして第二問といたします。

 

○県知事 米田先生の再質問にお答えいたします。一点は不登校の問題だと思います。特に、学力テストが不登校の増加原因になっているのではないかという点でございますけれども、各学校からの報告をみますと学業の不振といった言い方での、報告はされておるというものも多いと思いますが、スクールカウンセラーからの聞き取りによりましても、学力テストそのものが実施をされることですとか、あるいは高い点をとるようなプレッシャーがあったというようなことが、要因となって不登校となったというケースは、今のところ報告は受けていないと私も承知をいたしております。

 今後不登校となります様々な要因があると思いますので、こういったものの把握をし、適切な対応をしていくために、学力テストと不登校の関係性につきましても、このスクールカウンセラーの皆さんから情報収集を行っていくということが、必要だと思っておりますし、学業の不振といいましたときに、これが主な要因となっているという可能性にも十分留意いたしまして、分析をしっかり教育委員会でしてもらいたいというふうに考えております。

 それから、公的・公立病院の再編の関係でございます。これに関しましては、確かに今回の厚生労働省の進め方には、拙速なところがあり、また唐突感をあたえたということは事実だと思います。各病院にいたしますと、事前になんらの情報なしに、固有名詞があげられたということでとまどい反発があったということはこれはまぎれもない事実だと思います。

 ただ、この公立・公的な病院も含めました地域医療構想を、しっかりすすめていく、2025年にむけて必要な地域の医療にむけて、現状の医療の提供体制を改革をしていく、このこと自身はやはりやっていきませんと、県民のみなさんの健康医療を守ることができない、大事な課題であると思います。その意味で、今回の手法、やり方は、いささか乱暴だというそしりは逃れませんけれど、そうは申しましても、今のまま、各地域が現状を維持したい、ないしは、どんどん増えていく医療の需要に応じて、医療機能を増やしていきたいというような形で参りますと、医療機関が共倒れになってしまうというのが一番恐ろしい事態だと思います。

 そうした意味で、色んな機能分担ですとか、連携、そして現に果たしている機能との関係での見直し、こういったものはやっていきませんと、高知県全体の医療の維持・確保ということに支障をきたしてしまうと、こういう恐れがあると思いますので、そういう意味で今回いささか乱暴な形になったということは否めませんけれども、ひとつの議論のきっかけをいただいたというふうにとらえて、しっかりと対応を検討していく必要がある。こういう課題ではないかというふうに考えております。

 

●米田県議 ありがとうございました。

 あの2017年には、公立小中学校における、不登校要因というのが、調査されていまして、その大きな部分をしめているのが、学業の不振というのがあるんですよ、出来る人はまだいいですよ、しかし、多くの課題に困難を持っている子は、やっぱりプレッシャーになります。大変な圧力になります。ということを、ぜひ、現場を見ていただきたいと思います。

 それと、公立・公的病院のですけど、やっぱり、本当に対等というならば、きちんとご破算にして、一緒に再度考えましょうという姿勢でないといきません。もともと、この公的病院の再編問題は、骨太方針で出されてきた経済界、財界からもちこまれたものですから、そんなきれいごとではないというふうに思います。最後にぜひ、新しい知事も含めて、だれ一人取り残さないそういう県政に向けて、努力していただきたいということを要望して私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。