議会報告

2019年12月議会 中根佐知県議の一般質問(2019.12.18)

 

【質問項目】

・ジェンダー平等

・子育て支援

・母子福祉避難施設

・教育問題(変形労働時間性)

・会計年度任用職員

 

【ジェンダー平等】

●中根県議 それでは、男女共同参画、ジェンダー(社会的・文化的性差)平等について、知事のお考えをお聞きしたいと思います。

男女共同参画基本法が制定され、本県でも「こうち男女共同参画プラン」が策定をされて、様々な取り組みがなされてきました。しかし、賃金格差は未だに25%ほどの開きがあり、共働き家庭における家事労働時間も圧倒的に女性に負担がかかっています。県庁における女性幹部の登用も低すぎる10%の目標に対して、平成30年度でやっと11.3%です。庁議のメンバーにいたっては、女性は一人だけで、この議場を見ても、実態は歴然としています。

1979年に女性差別撤廃条約が成立して40年、昨日、世界経済フォーラムが発表した2019年日本のジェンダーギャップ指数は153カ国中121位と過去最低となりました。

◆知事は、今日の本県の男女平等の到達点と課題をどのように考えておられるか、まずお伺いいたします。

本県での男女共同参画の推進は、行政のすべての分野で目的、意識的に進められなくてはならず部局横断的に対策が講じられなくてはなりません。

◆これまでも、「高知県男女共同参画推進本部」の本部長を知事が務めてこられましたが、浜田知事もその体制、役職を引き継がれるおつもりか、お伺いをいたします。

 

○県知事 中根議員のご質問にお答えをいたします。

まず、本県の男女平等の到達点と課題についてどのように考えているのか。また、「高知県男女共同参画推進本部」について、その体制、役職を引き継ぐつもりなのか、といったお尋ねがございました。

本県では、男女共同参画社会の実現に向けまして、平成13年度以降、「こうち男女共同参画プラン」におきまして、3つのテーマ、すなわち第一に「意識を変える」、第二に「場を広げる」、第三に「環境を整える」、このテーマをかかげまして、様々な施策に取り組んでまいりました。

意識の面では、平成16年度と26年度に実施いたしました意識調査の結果を比較いたしますと、「男女平等」と感じる県民の割合は、職場生活では23.1%から32.7%へと約10ポイント増加をいたしております。

学校教育におきましては62.5%から71%へと約9ポイント増加というような結果となっております。

このように、県民意識の面で一定の進展は見られますものの、さらに改善の必要があると考えております。

また、県の審議会等の委員に占めます女性の割合が伸び悩んでいること、あるいは育児休業の男性の取得が少ないことなどの課題もあると認識いたしております。

こうしたことから、男女平等の意識あるいは女性の活躍などの点で、男女共同参画の取組は、道半ばであるというふうに感じております。

このため、知事を本部長といたします「男女共同参画推進本部」の体制は引き継ぎ、男女共同参画社会の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 

●中根県議 個別課題として様々な問題がありますが、先の9月議会でも質問をした性的マイノリティ、LGBTQの方々の人権保障について伺います。

世界は今、豊かな人権保障、性の多様性を認め合う社会へと前進してきました。本県においても2019年3月に改定された高知県人権施策基本方針で、県民に身近な人権課題として性的指向・性自認の項目が追加され、啓発の推進や支援体制の充実がうたわれました。

日本国憲法第13条では「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政上で、最大の尊重を必要とする。」と定められています。本来、誰と結婚するかどうかの自由は、侵害されるべきものではありません。そうした議論の一方で、憲法第24条1項で、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本とする」との記述があり、同性婚は憲法上認められていないとの議論もあります。しかし、憲法24条で述べられる両性や夫婦の記述は、男性、女性でなくてはならない規定ではなく、婚姻という形態を望む二人の性であり、婚姻の形態を夫婦と表現したもので、個人の幸福追求権を阻害するものではないと思います。

◆政府において、多様な性のあり方を認め、男女にとらわれない婚姻制度の法整備を進めるべきと考えますが、知事のご所見をお聞かせください。

 

○県知事 次に、男女にとらわれない婚姻制度の法整備についてのお尋ねがございました。

多様性が尊重される社会の実現を図るということは、大変重要であると認識いたしておりますが、ご質問にありましたような同性婚の導入は、家族の在り方などに関わるものでありまして、社会に様々なご意見があると受け止めております。

政府におきましては、次のような見解を示されております。「憲法24条は、婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立すると定めており、現行憲法の下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていない。また、同性婚を認めるために憲法改正を検討すべきか否かは、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要する。」こういった考え方が、政府の考えかたでございます。

一方、国会におきましては、同性婚に関連します法案が議員提案されていると状況にあるというふうに承知をしております。

婚姻制度のあり方は、家族法の基本に関わる問題でございます。私といたしましては、この問題は、国政の場でよく議論をいただくべき問題であると認識をいたしております。

 

●中根県議 政府における法整備が遅々として進まない中、男女のカップルという結婚の形態だけでなく、多様な結婚の形を制度的に認めるパートナーシップ制度が国内の自治体に広がっています。パートナーシップ制度とは、法律婚が認められていないLGBTQ当事者のカップルに、自治体が結婚に相当する関係を認める制度で、来年4月1日から導入予定の高松市を含め、導入予定と検討中は約30自治体、すでに、29自治体でこの制度が実施されています。当初はいわゆる証明に止まっていましたが、最近では、「親族同士」を条件とする県営住宅への入所申請や、県立病院での面会・手術同意などができるようになるといった茨城県のように具体的な施策の実施にまで踏み込んでいます。

◆豊かな人権を保障し、個人として尊重される高知県を全国に発信するためにも、本県でも、是非、パートナーシップ制度の導入を早期に実施していただきたいと思いますが、知事の対応をお伺いいたします。

 

○県知事 次に、いわゆるパートナーシップ制度について、お尋ねがございました。

パートナーシップ制度の導入に関しましては、性的指向・性自認に対します県民の皆様の理解が進んでいくということが、まずは必要だというふうに考えております。

このため、県におきましては、高知県人権施策基本方針の中に、県民に身近な人権課題として「性的な指向・性自認」これを位置付けまして、研修や啓発などを行っているところでございます。

また、来年度は、「こうち男女共同参画プラン」におきましても、施策の一つとして盛り込み、啓発などを行う予定といたしております。

パートナーシップ制度につきましては、現状におきましては、こうした取組を進め、県民の皆様のこの問題に対する理解が深まるよう、まずは努めてまいりたいと考えております。

 

【子育て支援】

●中根県議 次に子育て支援策のさらなる充実について伺います。

2014年施行の「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が6月に改正され、政府の基本方針である「子供の貧困対策に関する大綱」が5年ぶりに見直されました。11月29日に閣議決定された大綱は、よりきめ細かく貧困家庭の実態をとらえようと25項目の指標に加えて「公共料金の未払い経験の有無」や「ひとり親家庭の親の正規の職員・従業員の割合」など39項目の指標を設定しています。親の妊娠から出産、生まれた子どもの社会的自立まで切れ目なく支援していく方針を盛り込んだ大綱が、子どもの貧困率を改善させ、貧困の連鎖を断ちきるものとなるように、行政が役割を果たしていかなければなりません。

高知県でも毎年見直しを重ねながら、「高知家の子どもの貧困対策推進計画」がつくられています。

平成28年度に実施した「高知県子どもの生活実態調査」からは、生活困難を定義するための要素として、1、低所得、これは「等価世帯所得が135.3万円未満」、2、生活必需品の非所有「子どもの生活に必要と思われる環境・宿題ができる場所や年齢にあった本やおもちゃ、生活の必需品や急な出費のための貯金5万円以上」等がない状況、3、支払い困難経験「学校の遠足や課外授業の参加費、学校の教材費、学校の給食費、家賃、光熱水費、公的年金や保険料が、過去1年間に経済的理由のために支払いができなかった経験、この3つの要素を加味した生活困難世帯の割合は、なんと33%にも上っています。

生活困難世帯に必要な施策を講じていくことが一番の子育て支援になり、高知県の将来を大きく左右するといっても過言ではありません。

◆知事はこの数値をどのようにとらえますか。また、この4年間に、深刻な実態を改善するためにも、目標値を示すことが必要だと考えます。改善するための知事の決意を併せてお伺いいたします。

 

○県知事 次に子どもの生活実態調査におきます。生活困難世帯の割合に対する受け止め、あるいはこれを、目標値を示すことが必要ではないかといったお尋ねがございました。

平成28年度に実施いたしました本県の子どもの生活実態調査におきましては、生活困難と位置づけた世帯の割合が全体の約3分の1となっております。多くの子どもたちが大変厳しい状況におかれているものというふうに受け止めております。

県としましては こうした状況をふまえまして、これまで、幼少期の子どもたちに対しましては、主に保護者の生活、あるいは就労面などへの支援を強化して取り組んでまいりました。

さらに、学齢を重ねるに従いまして、子どもたち本人を対象といたしまして、例えば“放課後の学習”の場の充実でございますとか、学校と地域が連携した見守り体制づくりなど厳しい環境にあります子どもたちへの支援を、充実強化をして、取り組んでまいりました。

こうした施策を効果的に進めるためには、目標値を設定したうえで、進捗状況をいわゆるPDCAサイクルによって、しっかりと検証していくことが重要であるというふうに考えています。

目標値の設定につきましては、来年度、国におきまして、各県比較の参考となるような実態調査が予定されておりますことから、その結果も考慮しながら検討してまいりたいと考えております。

今後とも、厳しい環境にあります子どもたちの将来の道が閉ざされることのないように、貧困など様々な要因による負の世代間連鎖を断ち切るという強い思いで、子どもや家庭が抱える課題の解決に向けて全力で取り組んでまいります。

 

●中根県議 具合的な子育て施策について、いくつか伺います。

まず、学校給食の無償化についてです。政府は約70年前の1951年の文部委員会で日本共産党の参議院議員の質問に対し「義務教育の無償をできるだけ早く、広範囲に実現したい」とし、学用品や学校給食の無償化も考えていると答弁しています。昨年12月、参議院の文教科学委員会で吉良佳子議員が51年当時の認識を政府が、今も継承しているのかと確認しました。憲法26条は「義務教育はこれを無償とする」と定めていますが、無料なのは授業料と教科書だけです。政府もこのことを認識していることを、確認をしました。

食育のためにも大切な学校給食は、本来無償化されるべきものです。憲法の下で、義務教育は無償ということを保護者も実感できるよう、教育条件を整える点でも、子育て支援の観点からも、まずは高知県が実施をするよう強く求めるものです。

◆学校給食の無償化の実施について教育長のご所見をお聞きします。

 

○教育長 まず、学校給食の無償化についてお尋ねがございました。

学校給食の無償化につきましては、平成2 9年度の文部科学省の調査では、学校給食費を無償化している自治体は、全国で4. 7%、一部無償化または補助している自治体は、24. 4%となっております。

本県の直近の状況では、完全無償化をしている自治体は3町村あり、そのほか、第3子以降を無償化する一部無償化や、給食費の8割補助や、 1食あたり5 0円を補助するなど、学校給食費の補助を実施している自治体が1 1町村となっております。

平成2 9年度の調査時には、給食費を完全無償化している自治体はなく一部補助する自治体が7町村であった状況から、現在、学校給食費の完全無償化や一部補助を実施している自治体は14町村と増加をしております。

また、生活保護など経済的に厳しい家庭には、就学援助制度があり、学校給食費や学用品費等について、児童生徒が経済的理由によって教育を受ける機会が妨げられることがないよう、市町村や県が必要な援助を行っております。

学校給食は、児童生徒の健康の保持増進や地産地消、食育の観点などから、教育の一環として大変重要な役割を担っていると考えておりますが、その無償化については負担規模も大きく、継続的な財源の確保が難しいことなどの課題があり、県教育委員会としましては、国や市町村の今後の動向を注視してまいりたいと考えております。

 

●中根県議 また、実態調査からも、ほぼ義務教育化が進んでいる高等学校に進学した子どもたちの就学援助制度を創設する必要があります。高校入学はうれしいが、高い制服や教科書代など、工面するのが大変な家庭がそのままになっています。

◆就学援助制度を高校まで利用できるよう要望するものですが、教育長にご所見を伺います。

 

○教育長 次に、就学援助制度を高校まで利用できるよう要望することについてお尋ねがございました。

高等学校におきましては、小中学校における就学援助制度に相当するものとして、国の制度である「高校生等奨学給付金」制度があります。

「高校生等奨学給付金」は、国が定める高等学校等修学支援事業費補助金交付要綱に基づき給付されるもので、3分の1が国費、3分の2が県費で負担をされております。

その対象者は、生活保護世帯や非課税世帯の低所得の世帯となっておりまして、小中学校の就学援助制度の対象者とほぼ同じとなっております。

小中学校の就学援助制度の支給額が対象費目ごとに定額または実費で支給されるのに対して、高等学校の奨学給付金は、費目にかかわらず年間の定額支給となっており、国公立か私立の学校かによって、また子どもの数などの世帯状況によって年間の支給額は異なりますが、本年度は、国公立の高等学校に通学する高校生には年額で32,300円から129,700円が給付され、教科書費や教科外活動費、部活動費、それから修学旅行などに幅広く充てることができるようになっております。

高等学校の奨学給付金は毎年増額されておりますので、今後も引き続き、全国知事会や、全国都道府県教育長協議会、全国都道府県教育委員協議会を通じて国に対して要望してまいりたいと考えております。

 

●中根県議 次に、経済的支援、暮らしを応援することにもなる社会施策の充実が急がれると考えるものです。その重要な一つが、国民健康保険における、子どもの均等割保険料の軽減、廃止だと考えます。子育て世代の国保料を格段に高くしている均等割りは、子どもの貧困解消や少子化対策にも逆行するものです。

  全国知事会、全国市長会、全国町村会などが国に対して支援制度を強く求めています。

今年2月議会では吉良議員が、県として子どもの均等割の減免に踏み出すことを提案しました。子どもが生まれて喜ぶ一方で、生まれたとたんに収入のない赤ちゃんにかかる国保税の心配をしなければならないこの制度のゆがみは、一日も早く解決しなければなりません。経済指標の高くない、少子高齢化が全国より早く進んでいる高知県にいつまでも国の施策を待つ余裕はありません。

全国的に市町村での取り組みが広がっています。政令指定都市の仙台市では、申請は不要で均等割の3割分が減免されています。南相馬市では、医療分と後期高齢者支援の27,000円全額免除です。加賀市は、「なぜ、子どもの均等割減免なの」というお知らせも作り、5割分が減免です。国保法第77条で、被災、病気、事業の休廃止など、特別な事情のある場合は、市町村の判断で保険料を減免でき、特別な事情に政省令の定めはありません。各地の独自減免はこの規定を利用し、子どもがいることを特別な事情と、実施しています。

◆知事は減免を実施している自治体の努力をどう評価されるでしょうか。伺います。

 

○県知事 つづきまして、子育て支援に関しまして、国民健康保険料の減免を実施している自治体の努力をどう評価するかというお尋ねがございました。

国民健康保険料の子どもに係ります被保険者いわゆる均等割の減免につきましては、お話にございました自治体を含め、全国いくつかの市町村ではこうした減免を行っているというふうに承知をいたしております。

この子どもに係ります被保険者均等割の減免は、減免することによって減収となります国保料をどう賄うか、財源をどうするかということが大きなポイントだと考えております。

この一部の自治体では、一般会計から国保会計への繰り入れを財源として実施をしていると聞いているところでございますが、一方、国保財政の安定的な運営を考えますと、この国保特会に必要な支出は、被保険者の国保料、それから国庫負担金等の公費、これによって必要な支出を賄っていくと、そして当該年度の収支を均衡させるということが基本となっっておりますので、こうした基本的な考え方に照らしますと、一般会計からのいわゆる基準外繰り入れによります対応は、必ずしも適切な対応とは言えないというふうに考えております。

もう一つ別のやり方といたしまして、国保の所得割の税率の方を上げる、これによって財源を引き上げて、国保被保険者全体で負担をして、この子どもの均等割の減免をするというような対応をしている自治体もあると、承知をいたしております。

こういう手法は、地域におきます少子化対策を進める上での一つの工夫だろうというふうに評価をしているところでございます。

 

●中根県議 高知県には0歳から14歳までの被保険者の数が、平成30年の9月時点で10920人います。 子ども均等割の3割軽減をすれば、一人あたりの減免額が9089円、均等割減免算定額は約9900万円です。2分の1軽減では、減免額は15149円、減免算定額は約1億6千万円、全額減免実施の場合、減免額は30298円、減免算定額は約3億3千万円です。

高知県ではこれまで、国に要望をしていくと答弁し続けてきました。が、これ以上待てない状況です。首長の判断ですぐに実行できることは、直ちに実行しようではありませんか。

◆国保の子どもの均等割り廃止に向けて、どう取り組んでいくのか知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、国民健康保険料の子どもの均等割の廃止に向けて、どのように取り組んでいくのかというお尋ねがございました。

わが国の少子化の現状は危機的な状況にありまして、若い世代が安心して結婚し子育てを行うことができる環境を整備することは、国を挙げて取り組むべき課題であるというふうに考えます。

このため、本県では、少子化対策・子育て支援の充実などの観点から、全国知事会を通じまして、国に対して、子どもの均等割の軽減措置を導入するよう、繰り返し提言をしてきたところでございます。

それぞれの自治体が国保財政を安定的に運営していくための基本を踏まえた上で、独自に子どもの均等割を減免すること自体は否定をされるべきではないとは思います。

ただ、私といたしましては、この間題は、国が制度として、財源も含めて責任を持って対応していただく必要があると考えております。

今後も全国知事会を通じまして、粘り強く提言を行ってまいります。

 

【母子福祉避難施設】

●中根県議 次に災害時の母子福祉避難施設の開設について伺います。

南海トラフ地震対策は県を挙げての取り組みになっています。先日、医師や助産師さんなど、母乳育児支援について学ぶ講座に参加しました。四国各地から熱心に参加された皆さんと一緒に、災害時の乳児栄養と支援者に必要な基本知識を学び、1981年に世界保健機構WHOが作った母乳代用品のマーケティングに関する国際基準が、日本ではいまだに法制化されていないことを知りました。

様々な気づきはさておいて、講座の質疑の中で、県外から来られた参加者が、「災害時の避難所に乳児を連れた親御さんがいなくて、いったいどこに避難をしたのかと不思議に思った。車での寝泊まりや、一家で安全な場所に移動したのかわからずとまどった。」との声を上げられました。

また、別の方は「熊本地震の救援に行って、民間の施設を借りて母子福祉避難所を開設しようとしたが、国の認可が下りるまでに時間がかかりすぎた経験から、今から乳児・幼児のいる家庭や、妊産婦である人々が安全に家族と過ごせる場を作っておくことが必要だと強く感じた」と話していました。

京都市や東京文京区などでは、妊産婦等福祉避難所を位置づけ、「妊産婦福祉避難所とは」というネット情報をアップし、母子健康手帳を交付の際に渡す「母と子の保健バック」に案内チラシを入れて周知を図っています。ここには産婦人科や助産師会との連携を欠かすことはできません。京都でも東京でも大学と協定を結び、大学のキャンパスに避難所を位置づけています。

 

平時から準備し、スタッフがトレーニングされることも必要ですし、該当する皆さんに「ここにいけば大丈夫だ」と、周知をすることも大事です。日ごろから保健師や産前産後のケアに携わる拠点施設があれば、日常的にも活動しながら、即座に災害に備えることができるのだがとの積極的な意見も聞こえてきています。まずは避難所へとなるにしても、その後生後間もない赤ちゃんや幼児を一緒に避難させる場所があることは心強いことです。ここに、父親が参加できないことが、心細さや利用しないといった要因にもなるという話も聞かれます。状況によって、柔軟な対応も求められると考えます。

◆まず、高知県の妊産婦等福祉避難所の位置づけはどのようになっているのか地域福祉部長に伺います。

 

○地域福祉部長 本県の妊産婦等福祉避難所の位置付けはどのようになっているか、とのお尋ねがございました。

妊産婦等福祉避難所は、特に配慮が必要な妊産婦や乳幼児を受け入れケアを行う施設として、議員のお話にありました京都市では大学や看護学校など15施設が、また東京都文京区では4か所の大学が指定されています。いずれも、妊産婦と乳児のみが対象となっており、父親など他の家族は施設に入ることができないと規定されています。

本県においては、市町村の地域子育て支援センターが併設された健康福祉センターなどが福祉避難所に指定されている事例はございますが、利用者を妊産婦等に限定している福祉避難所はございません。

災害時において、妊産婦等は平時に増して妊娠の合併症などの健康面や、授乳、夜泣きなどの対応への不安が大きくなることなどが心配されるため、今後そうした点に配慮した、妊産婦等の避難生活支援のあり方について検討していく必要があるものと考えております。

その際には、災害時に妊産婦等をケアする専門職の確保や、かかりつけの医療機関との連携などへの対応も必要となりますので、健康政策部とも連携し、福祉避難所の指定主体である市町村をはじめ、関係する機関と協議してまいります。

 

●中根県議◆さらに、災害時における妊産婦等への保健、医療体制の充実が必要だと思いますがいかがでしょうか、健康政策部長にお伺いいたします。

 

○健康政策部長 災害時における妊産婦などへの保健、医療体制の充実が必要ではないか、とのお尋ねがございました。

まず、そのうち保健体制につきましては、平成2 5年に「南海トラフ地震時保健活動ガイドライン」を策定しております。その中で、被災後に、避難所での生活を余儀なくされた妊産婦などが、安心して生活できるよう、まずは、保健師が健康状態などを把握し、その上で、早産傾向や妊娠高血圧症などの合併症のある妊産婦は、産科医療機関につなげる活動を行うこととしています。

一方、医療体制につきましては、平成2 9年度から周産期医療災害ワーキングを開催し、高知県災害時医療救護計画に基づく枠組みの中で活動することを基本として協議を行っています。

ワーキングでは、これまで災害時の分娩機能の確保に向けた体制のあり方や、妊産婦や新生児の搬送方法のほか、 周産期リエゾンと言われる医療機関の受け入れ調整等の役割を担う、産婦人科医師の活動内容などに関する協議を行ってまいりました。その結果、産科医療機関同士の連携体制が確立し、また、周産期リエゾンの活動マニュアルが策定されるなど、一定、体制強化が図られてきているところです。

今後はざらに、保健体制・医療体制のいずれにも共通することですが、訓練を通じて実効性を検証し、高めることをはじめ、熊本地震の際には、出産直後の産婦、乳幼児のケアといったことの対応に苦慮したと聞いておりますので、そうした人への支援のあり方などについての検討を、もう一段、深める必要があると考えております。

そのため、引き続きワーキングでそれらの課題解決に向けて協議を行い地域福祉部とも連携しながら、災害時における妊産婦支援の充実に向けて取り組んでまいります。

 

【教員の変形労働時間制】

●中根県議 教員の過労による休職や痛ましい過労死があとをたちません。教員の長時間労働の是正は日本の教育の現在と未来のかかった国民的課題となっています。この問題の根底に、「公立学校の教員給与特別措置法」があります。4%の教職調整額の支給と引きかえに労働基準法第37条の割増賃金の規定を適用除外し、残業代を支給しないとしたものです。時間外労働を規制する手段を奪い、際限のない長時間勤務を引き起こしたのです。

 12月4日成立した改定給特法はこれまでの給特法の枠組みには一切手をつけず、公立学校教員に1年単位の変形労働時間制を導入するものです。これは、1 日8 時間労働という大原則を壊す労働法制の大改悪、憲法違反の法律です。しかも、変形労働時間制の導入は、長期にわたり8時間労働の原則をあって無きものとする重大な労働条件の不利益変更にかかわらず、地方公務員である教員に労使協定さえ結ばせずに条例で変形労働時間制の導入を可能とするものです。労使対等原則を踏みにじるものであり、教員の労働者性を否定するものとなります。

◆今日の教員の多忙化の原因には、「定額働かせ放題」となっている給特法に根本問題があるのではないかと考えます。それに手を付けず、さらに、1日8時間労働の原則を崩し、民間では労使で協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があるものを、一方的に条例によって、変形労働時間制を導入する、このことは、「教員の地位に関する勧告」82項及び89項にも反すると思うが、教育長にお聞きをいたします。

 

○教育長 次に、一方的な条例によって、変形労働時間制を導入することは、「教員の地位に関する勧告」に反するのではないか、とのお尋ねがございました。

地方公務員法第24条、第5項の規定により「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」こととされており、変形労働時間制の汚用を盛り込んだ「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律」においても、変形労働時間制を活用する場合には、その内容を条例で定めるよう規定されたものと承知しております。

仮に、本県において教育職員に変形労働時間制を活用するための条例を制定しようとする場合には当然のことながら、職員団体との交渉などを経て、具体的な制度の内容を決定し

ていくこととなります。こうした手続きを経ることになりますので、議員のお話にありました教員の地位に関する勧告82項の「教員の給与及び勤務条件は、教員団体と教員の使用者との間の交渉の過程を経て決定されるものとする。」及び同勧告89項の「教員の一日及び1週あたりの勤務時間は、教員、団体と協議のうえ定めるものとする」という内容に沿うものであると考えております。

 

●中根県議 同制度は恒常的な時間外労働のないことを前提としており、導入できる条件はいまの働く現場には存在していません。2018年9月に10年ぶりになる2016年度の教員勤務実態調査の確定値が明らかになりました。学内の勤務時間は、小学校で11時間15分、中学校で11時間32分、10年前の調査よりもそれぞれ40分から30分増加しています。現在、1日当たりの正規の所定勤務時間は7時間45分ですから、公立学校の教員の時間外勤務は小学校で月59時間、中学校で月81時間に及びます。

1週間当たり55時間以上勤務している教員の割合は、小学校57.8%、中学校74.2%という結果になっていますが、今回の調査では、持ち帰り業務も調べられており、大体1日20分から1時間となっていますので、週55時間以上の勤務というのは実質月80時間以上の時間外労働、という過労死ラインを超える長さに相当してしまいます。小学校での6割近く、中学校での7割が過労死ラインを超える状態で働いているという、こういう実態があるということです。

◆変形労働時間制導入の前提である「あらかじめ予想される恒常的な時間外労働がない」というのは、現実を無視した虚構ではないかと考えます。高知県の教員の時間外労働の実態をどう認識しているか教育長にお聞きします。

 

○教育長 次に、教員の時間外労働の実態をどう認識しているか、とのお尋ねがございました。

本県においては、公立小中学校のうち、 教員の業務負担軽減を目的とした校務支援員を配置している30校の教員約900人を対象として、今年6月から10月までに行った調査では、所定の勤務時間を超える時間が80時間を超えている小学校教員の割合は10. 6%、中学校教員の割合は24.7%となっております。

また、県立学校においても、今年4月から7月までに行った長時間勤務者の調査では、所定の勤務時間を超える時間が80時間を超える教員の割合が5. 5%程度となっております。   

所定の勤務時間を超える要因としましては、小学校では「担任業務」が64%と最も多く、続いて、授業研究の担当や生徒指導の担当などの「分掌業務」が26%となっており、中学校では「分掌業務」が37%、「担任業務」が24%の順となっております。

こうした状況を踏まえ、現在、働き方改革の取組を進めているところであり、長時間勤務者の割合は減少傾向にはありますが、いずれの校種においても月によってばらつきがあり、また、部活動の顧問に長時間勤務者か多い傾向や、長時間勤務者の固定化といった状況が見られます。

県教育委員会としましては、引き続き、学校組織マネジメントカの向上、業務の効率化・削減、専門スタッフ、外部人材の活用など学校における働き方改革の取組を徹底し、長時間勤務の解消に取り組んでまいります。

 

●中根県議 同法は、「恒常的な時間外労働がない」ことが前提といいながら、一方で「上限ガイドラインは、時間外労働が月45時間まで、年間360時間まで」と、矛盾した内容をしめしています。政府も、「この指針を全員が守れないと導入はできない」と答弁しています。この指針においても、導入は不可能です。

変形労働時間制を導入すれば、政府の言うように、まとまった休みがとれるでしょうか。現状は、夏休み中も連日のように業務があり、年次有給休暇の消化すらできないのが実態です。「今のまま休日を設定しても、実際には休めない」と多くの教員が指摘しています。また、仮に夏の業務が減って休みがとれるようになった場合、今度は各自の代休や年休等を使う機会がなくなるという問題に直面します。この点でも導入の根拠はありません。

教員がまとまった休みをとることは、教員の健康と生活、教育の充実にも、積極的な意義がありますが、これは現行法でも可能です。

 1つは、行政研修、部活動の各種大会などの夏の業務を大幅に削減し、基本的に教員の義務的な業務が入らない、学校閉庁日等の休暇を取得しやすい期間を設けること。

 2つ目は、休日出勤や超過勤務に対する代休確保を厳格に行い、年休とあわせ、まとまった休みがとれるようにすることです。

◆現行法でも、まとまった休みの取得は可能だと思いますが、教育長のご所見を伺います。

 

○教育長 次に、現行法でも、まとまった休みの取得は可能ではないかとのお尋ねがございました。

 議員のお話にもありましたように、長期休暇期間中等における各種大会を含む部活動や、研修などを縮減することなどにより、現行の法制度のもとでも、教職員が一定期間連続して、年次有給休暇などを取得することは可能だと考えております。

他方、通院や介護などの事情で年次有給休暇の残日数が少ない教員や、年次有給休暇の付与日数が少ない臨時的任用職員など、 一定期問にまとまった休暇を取得することに躊躇されている方々にとっては、変形労働時間制の下で、 一定期間、勤務時間を割り振られない日が連続して設定されることで、自らが取得できる休暇の日数を減らすことなく、まとまった休日を取ることができるというメリットもあるのではないかと認識をしております。

 

●中根県議 そもそも勤務時間の正確な把握ができているのか、という問題があります。

タイムカードを導入した学校現場では虚偽の時間把握がまん延し、「目標達成ができなくなるので5時半には打刻してくれ」と管理職に言われるなど、全国各地からの訴えに対し、文科省は実態すら把握していないことが、法案審議の中であきらかになりました。

 高知県内でも私達のもとには様々な声が届いています。「長時間労働のデータが出ると管理職からの指導や医者との面談を勧められるなど“面倒くさいこと”“余計な時間がとられてしまう”」などの理由から正確な記録をしない教員が職場の半数以上いる。ひどい職場では「管理職が勝手に勤務時間を修正」「『長時間労働となった人は指導だから』と管理職が職員室で発言をするとか、管理職に近い教員が、勤務時間を短めに嘘の記録をするよう、時には冗談めかして、時には威圧的に迫ってくる、という告発です。

◆まず、どうやれば実態がつかめるのか、現場の教員の声が、教育長にダイレクトに届く仕組み、安心して実態を届けることができる仕組みを、真剣に検討すべきだと思いますが教育長にお聞きいたします。

 

○教育長 次に、勤務時間の実態や現場の教員の声が教育長にダイレクトに届く仕組み、安心して実態を届けることができる仕組みについて、お尋ねがございました。

県教育委員会では、教員の勤務時間の実態把握に関しましては、これまでも働き方改革の取組を進める中で、校務支援員を配置している「働き方改革推進校」の学校長の意見や、同校の教員へのアンケート調査、学校訪問時における教員からの意見、教職員団体との意見交換など、様々な機会を捉えて現場の声をお聞きしながら取り組んでまいりました。

そうした取り組みの中で私も、例えば教職員団体からは、勤務時間が正確に記録されていないケースがあるなどといったお声をお聞きしております。

働き方改革を進めていくにあたっては、教職員一人一人の勤務時間を適切に把握・管理することが不可欠であり、また、今後さまざまな取組等を検討するうえでも前提になるものであります。

今後も学校訪問や教職員団体との意見交換など、現場の教員の皆さんの生の声をお聞きする機会を出来るだけ設け、勤務時間の実態の把握に努めながら、働き方改革に取り組んでいきたいと考えております。

 

●中根県議 変形労働時間制を導入するには、校長など管理職が一人ひとりの教員から事情を聞き取って変形制の対象教員を決め、年間スケジュールに合わせて労働日や労働時間を決める必要があります。しかも、最低でも向こう30日間の日々の労働時間を、その初日の1カ月も前に決めて、途中での変更が許されません。これは現実を無視したものです。その結果、学校管理職の負担が大きく増えることになります。すでに変形労働時間制が導入されている国立大学付属校では、労働日数と総労働時間が異なるスケジュールが月単位で4パターン、年間では9パターンあり、それらのスケジュールを組み合わせなくてはなりません。国会審議でも、政府は「新たな業務が生じる」と認めました。

◆文科省調査でも副校長・教頭の勤務時間が際立って長くなっています。この現状からも見かけの残業時間を削るために、新たな事務負担をふやす変形労働時間制は、導入の根拠がくずれていると思いますが教育長の所見をお聞きします。

 

○教育長 次に、見かけの残業時間を削るために、新たな事務負担を増やす変形労働時間制は、導入の根拠が崩れているのではないか、とのお尋ねがございました。

平成2 8年に文部科学省が調査した教職員の勤務実態調査では、副校長・教頭の勤務時間が教員に比べで長くなっており、その要因としては副校長や教頭の業務が、人材育成から調査照会等への対応、渉外に至るまで、多岐にわたっていることが考えられます。

県教育委員会としましては、こうした管理職も含めて、学校における働き方改革を推進することで、長時間勤務の縮減を図っていく必要があると考えております。

変形労働時間制を導入する場合には、教職員への勤務時間への割振りなど管理職に新たな業務が発生することが考えられます。

しかしながら、平成2 0年度から1年単位の変形労働時間制を導入されている高知大学教育学部附属小学校・中学校では、本年度も校長や非常勤教員、事務職員を除く全ての教員を対象に実施しておられますが、実際に業務を担っておられる管理職の方にお聞きしましたところ、「勤務時間を延長する時期や、それに応じて勤務時間を短縮、又は割り振らない時期を調整するなどの業務が一定発生するものの、管理職の負担はそれほど大きなものではない。」とのことでありました。

今後、変形労働時間制を導入する場合においても管理職に過度の業務負担が発生することのないように、研究してまいりたいというふうに考えております

 

●中根県議 なにより今日の教員の多忙化、子どもに向き合う時間が取れない状況の解決には、学力テスト対策に追い立てられるような政策をあらためることと、何より抜本的な体制の充実が必要です。教員の一番の業務である授業の持ちコマ数を減らしていくことを軸にすえなくてはなりません。教員が週26コマ、1日で今5コマ、6コマも受け持っていては、所定の勤務時間内に仕事が終わらないのは当然です。一人当たりの持ちコマ数を抜本的に減らして、それに見合うだけの教員を増やしていく、このことしか解決策はありません。

11月25日付け沖縄タイムスに“「体がもたない」教育実習で体験した長時間労働 若者が教員を避ける要因に”との記事がのりました。3月には雑誌アエラに「教職のブラックすぎが原因!? 教育学部の志願者数が約10年で『激減』の衝撃」との記事がでています。私達の周りにも、「教育実習を体験し、自分には務まらないと志望先をかえた」とか「親から、あんなブラックなところはやめなさい、と言われた」との声が寄せられています。このままでは、担い手がいなくなるという危機感が私達にはあります。

教員の勤務条件を改善することが、その力を存分に発揮し、子どもの成長に寄与するとともに、働きやすく、働きがいのある学校現場をつくることになります。多くの若者にとって「教師をするなら高知県で」という魅力ある現場を作ることが教員不足解消にとっても最も効果のある対策となるはずです。

 高知県は橋本県政が先駆的に少人数学級を導入し、尾﨑県政でさらに充実実施しました。現在小学校1・2年生30人、3から4年生が35人、中学1年生30人となっています。しかし、この10年間は足止め状態で、その間に全国では小中学校のすべての学年で少人数学級を実施する県が22県となりました。

◆小手先でなく「教師をするなら高知県で」と言われるような、働く環境の抜本的な改善のために、少人数学級の拡大と教員増につとめるべきだと思いますが教育長の所見をお聞きいたします。

 

○教育長 最後に、働く環境の抜本的な改善のために、少人数学級の拡大と教員増に努めるべきとの、お尋ねがございました。

本県では、いわゆる小1プロブレムや中1ギャップに対応するために、平成16年度から全国に先駆けて、少人数学級編制に取り組み始めました。令和元年度においては、現在の少人数学級編制を行うために、国や県単独の加配定数を合わせて、100人程度の教員を増員しております。

また、その他にも教育課題の解決に向けて、習熟度別学習やチーム・ティーチングを行うため加配や、生徒指導上の課題、特別に支援を要する児童生徒に対応するための加配を実施しており、県内の都市部においては、教員一人あたりが受け持つ平均の児童生徒数は全国とほぼ同じ水準であるものの、県全体としては小規模校が多いということも相まって、全国で最も少ない状況となっています。

しかしながら、発達障害等の特別な支援を要する児童生徒の増加傾向への対応や、学力向上、不登校の児童生徒への取り組みの強化、教員の時間外勤務の縮減などの働き方改革の推進に向けた取り組みを進めるにあたり、教員定数の改善についても、今後全体的な対策の中で、効果的な増員や配置などについての研究も進めていきたいと考えております。まずは、国に対して、引き続き教員加配の充実を要望してまいります。

 

【会計年度任用職員】

●中根県議 次に、会計年度任用職員制度についてお聞きします。

 本制度の導入は、地方公務員の臨時・非常勤の適正な任用・勤務条件を確保することを、本旨としています。地方公務員の臨時・非常勤職員は、2005年の約45万5000人から、2016年の約64万4000人に増加し、事務職員や、教職員、保育士など多様な地方行政の担い手として、日々の公共・公務サービスを住民に提供する重要な役割を果たしています。

 その一方で、官製ワーキングプアの問題や、公務職場の多忙化が深刻化しており、その解決に資する制度運用が求められています。

 会計年度任用職員制度は、2020年4月からの運用開始を予定し、現在、本県でも該当する各職員に対し労働条件・給与等の説明が行われているとお聞きをしています。

 地方公務員制度は「任期の定めのない常勤職員を中心とする公務運営」を行うことを原則としており、この基本が堅持されることが必要です。

 2018年9月議会において、塚地議員の質問に対し、「現在の臨時・非常勤職員が従事している職の業務内容について精査し、整理した上で、常勤職員と同様の業務を行う職があることが判明した場合には、常勤職員等の活用について検討する必要があるもの」と考えていると答弁がなされています。

◆まず、深刻化する官製ワーキングプアや公務職場の多忙化をどのように認識しているのか。また、これを解消していく手立てが必要ですが、どのように取り組んでいくのか、あわせて知事にご所見を伺います。

 

○県知事 最後に、会計年度任用職員制度に関連いたしましていわゆる官製ワーキングプアの問題、あるいは公務職場の多忙化についての認識とこれらを解消する取り組みがどうかというお尋ねがございました。

まず、臨時・非常勤職員の任用や処遇に関してでございますが、これまで適正な任用が確保されていないこと、あるいは非常勤職員について労働者性が高い者であっても期末手当の支給ができないなどといった課題があったと認識しております。

これに対しまして、来年度から会計年度任用職員制度が導入されたという背景がございます。この新しい制度によりまして、現行の臨時・非常勤職員の多くが一般職の地方公務員と位置付けられまして、任用が明確化されることになると考えます。

また、給料水準につきましては、地方公務員法に規定されております職務給の原則、あるいは均衡の原則等に基づきまして、職務の内容や責任の程度等に応じて設定されることとなります。

更に、新たに期末手当の支給が可能となりますことから、一定の処遇改善につながるという効果も生じると考えます。

本県におきましても、制度開始に向けまして、具体の運用について鋭意検討をしているところでございます。

会計年度任用職員となる方々には、これまでも常勤職員とともに頑張ってこられているというふうに考えておりまして、円滑な導入に向けて、 引き続き準備を進めてまいります。

次に、公務職場の多忙化に関しましては、行政需要の多様化・複雑化や災害などへの対応のため、業務量が増加しているものと認識をいたしております。

これに対しましては、簡素で効率的な組織の構築に努める中で、これまでも業務の状況に応じた職員の配置、あるいは事業のスクラップアンドビルドの徹底に取り組んでまいりました。

これに加えて、デジタル技術を活用した事務の抜本的な効率化を図る取り組みを現在進めているところでございます。

その上で、これらの取組の成果・効果が出るまでの間におきましては、「県政運営指針」に掲げています知事部局3,300人体制につきまして、時限的にこれを超える一定のマンパワーの確保が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

今後とも、県勢浮揚の実現に向けまして、県職員一丸となって取り組める体制づくりに努めてまいります。私からは以上でございます。

 

●中根県議 ◆さらに、本制度の運用開始に向け、現在の臨時・非常勤職員について、正職員として雇用すべき業務を精査されたものと思いますが、その検討経過と、正職員とすべき職がなかったのか、精査した結果について、総務部長にお聞きをいたします。

 

○総務部長 まず、会計年度任用職員制度の運用開始に当たって、現在の臨時・非常勤職員のうち、常勤職員とすべき業務に関する検討経過とその結果についてお尋ねがございました。

会計年度任用職員制度の導入に向けては平成2 9年度から 3 0年度にかけまして、臨時・非常勤の職の実態についての調査を行いました。この結果を基に、総務省からのマニュアルにおいて示されております、常勤職員とすべき職の要件、具体軸には「従事する業務の性質」と「業務量を踏まえた勤務時間」について、該当するか確認を行っております。

その結果、現時点では、常勤職員とすべき職としては、本来臨時的任用職員に想定されている正職員の欠員代替の職の他、高等技術学校の職業訓練指導員の職のうち、現在非常勤の職となっているものの一部が、これに該当するものと考えております。

 

●中根県議 「会計年度任用職員制度に関する職員説明会」資料によれば、本県の臨時的任用職員制度の運用において、「職の設置は、原則パートタイム」となる、とされています。このことにより、現在フルタイムで雇用され事務補助業務等を担っている臨時的任用職員の皆さんが、原則パートタイムでの勤務に移行をすることになります。

◆知事部局において、この事務補助業務等を担う臨時的任用職員が何名おり、男女構成比率はどうなっているのか、お答えください。またそのうち、パートタイム勤務となる職員が、何名いるのか併せて総務部長に伺います。

 

○総務部長 次に、知事部局における事務補助業務等を担う臨時的任用職員の人数と男女比率、また、そのうち会計年度任 用職員制度への移行後にパートタイム勤務となる人数についてお尋ねがございました。

事務補助業務等に従事する臨時的任用職員について、知事部局における平成31年4月1日時点の職員数は197人であります、男女比率については、男性は20人で10.2%、女性は177人で89.8%となっております。

また、会計年度任用職員制度へ移行する職につきましては、フルタイムとすべき標準的な業務量があるかどうか、などの観点から、現在個別に検討を進めているところであります。事務補助業務等の職については、実態調査の結果を踏まえますと、フルタイムとすべき標準的な業務量が認められないものの方が多いとなっておりますので、基本的にはパートタイムに移行すると考えております。

なお、本県の知事部局などでは、臨時的任用職員につきましては、12か月を雇用期間の上限といたしまして、期間終了後、公募を実施しております。その際、同一の方は、3か月間は県の臨時的任用職員に応募できない、いわゆる空白期間を設ける運用を採ってきておりますので、属人的にそのまま移行することは想定しておりません。あくまで職としての移行、ということになります。

 

●中根県議 事務補助等業務を担う臨時的任用職員の業務内容は、行政管理課のホームページによれば「職員の補助的業務となっており、電話の応対や書類の発送、コピーなどの事務作業が中心となっています。各所属によってはパソコン(Word、Excel等)の作業をお願いする場合や、所属毎の固有の業務もあります」と説明をされています。

 総務省は、この間の通知(平成30年10月18日付・会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルの改訂について(通知)」、平成31年3月28日付・「会計年度任用職員制度の準備状況等に関する調査」の結果について(通知))で、「会計年度任用職員制度への移行について合理的な理由なく短い勤務時間を設定し、現在おこなっているフルタイムでの任用について抑制を図ることは改正法の主旨に沿わないものである」、と繰り返し指摘をし、職務の内容等に応じてフルタイムでの任用について「積極的な活用を検討」するよう促しています。

 現在の臨時的任用職員の業務内容は、「所属毎の固有の業務がある」と説明されていることからも分かる通り、多くの部署に配置をされフルタイムで多様な業務を担っているのが実態です。

◆会計年度任用職員制度の運用にあたり、現在の臨時的任用職員をフルタイムから原則パートタイムへと移行させるとすれば、その職務の内容を具体的に考慮したものとはいえず、そもそも、総務省通知に示された「合理的な理由」を欠くものではないか、と考えられますが、総務部長の見解をお聞きいたします。

 

○総務部長 次に、現在フルタイムである臨時的任用職員をパートタイムに設定することは合理的な理由を欠くのではないか、とのお尋ねがございました。

総務省のマニュアルでは、会計年度任用職員の任用に当たっては、職務の内容や標準的な職務の量に応じて、適切な勤務時間を設定することが必要とされているところです。

このことを踏まえまして、個々の職の具体的な職務内容や業務量を把握するために、知事部局において全庁的に実態調査を実施いたしまして、その結果を基に設定すると、その結果パートタイムが基本になるとしたものでありまして、合理的な理由を欠くものではないと考えております。

 

●中根県議 現在、フルタイムで業務を担っている臨時的任用職員が、パートタイムに移行することについて、大きく2点の問題点をあげなければなりません。

 一つは、その方々の給与の問題です。

 事務補助等を担う会計年度任用職員の月額給料の上限設定は156,000円とされています。しかし、この額は、フルタイム=週38時間45分で計算されているため、仮に、週29時間の勤務となれば、その分を差し引き、上限で117,000円となると示されています。ここから、健康保険料(介護保険第2号被保険者40歳以上)7,044円、厚生年金保険料10,797円、労働保険料351円、所得税640円が差し引かれ、手取り給与で98168円。給料上限を適用したとしても、10万円を切るという低額になります。

 総支給額で、平成31年度のフルタイムの臨時的任用職員と移行後のパートタイムとなった会計年度任用職員を比較すれば、年額で現在12ヶ月給与1,723,200円+期末手当最高支給額(夏28000円+冬44,000円)72,000円=1,795,200円、移行後は12ヶ月給与が1,404,000円+期末手当最高支給額298,350円=1,702,350円です。年総支給額で92,850円の減額となります。さらに言えば、現在フルタイムの臨時的任用職員には期限切れの退職時には、退職手当が支給されています。これが約7万円あり、パートタイムでは支給されません。退職手当も考慮すれば16万円あまりの大幅な減給となります。

 これほど給料が減額されれば、当然、「生活が成り立たない」、また、「働き続けられない」という事態を生むことは必至です。パートタイムになれば「副業も可能」とし、ダブルワークを想定していることも、このパートタイムの任用だけでは暮らしが成り立たないということを示唆するものとなっています。

◆これは、すでに官製ワーキングプアと呼ばれる現在の公務非正規職員の不安定な働き方をさらに助長する重大な不利益変更であり、本制度の導入の本旨である臨時・非常勤職員の「適正な」任用・勤務条件を確保するという点からみても、適正な勤務条件とは言えないものであると考えますが、総務部長にお聞きをいたします。

 

○総務部長 次に、現在フルタイムである臨時的任用職員をパートタイムとすることは不利益変更であり、適正な勤務条件とは言えないのではないか、とのお尋ねがございました。

今般の制度改正により、任用の適正化がなされ、臨時的任用の職については要件が厳格化されました。これにより、事務補助業務等の職については、会計年度任用職員として位置付けられることとなったところであります。

この見直しに当たっては、総務省マニュアルにおいて、職の設定に当たっては現に存在する職を漫然と存続するのではなく、それぞれの職の必要性を十分吟味した上で、適正な人員配置に努めることとされていることも踏まえ、職の内容や標準的な職務の量に応じた勤務時間を設定しようとしているところであります。

また、会計年度任用職員制度の導入に伴いまして、現行の3か月間の空白期間の設定を廃止することとしております。平等取扱いの原則などの制度の趣旨に沿った任用や勤務条件を確保しているものと考えております。

これによりまして、公募を経て、 1 2か月を超えて連続して任用されることが可能となるものでございます。

なお、先ほども申し上げたとおり、知事部局などにおきましては、臨時的任用職員は、最長1 2か月の任用ごとに公募を実施しておりまして、空白期間があることから同一の方が継続雇用となっている状況ではございません。新たにパートタイムの会計年度任用の職として設定する者でありますので、不利益変更に当たるとは考えておりません。

 

●中根県議 二つ目の問題点は、ただでさえ、行政需要の増加に伴い多忙化・過密化している県庁職員へのさらなる負担増です。

現在フルタイムの臨時的任用職員がパートタイムとなることで、勤務の仕方にもよりますが、1日1時間45分の勤務時間減、あるいは週4日勤務となるなど、その分は勤務時間が減ることになります。勤務時間が減ったからといって、その方たちが担っていた業務自体がなくなるわけではありません。その業務は、正規職員など他の職員への負担増となってしまいます。あるいは、そうでないとすれば、行政サービスを受ける県民へのサービス削減とならざるをえません。どちらにせよ、看過できない大きな問題です。

現在、事務補助等の業務を担う臨時的任用職員は、配属部署によって「固有の業務」があるとされ、実際に多様な業務を担っています。

◆これまでも、各部署の職務内容を考慮し、現に必要があったからこそ、臨時的任用職員をフルタイムで任用したのではありませんか。総務部長にお聞きします。

 

○総務部長 次に、現行の臨時的任用職員の勤務時間について、これまでも必要性を認めてフルタイムの設定としたのではないか、とのお尋ねがございました。 

事務補助業務等に従事する職の勤務時間につきましては正職員の業務を補助する業務であることを踏まえ、正職員の勤務時間と同様としてきたものと理解をしております。

しかしながら、地方公務員法上、本来、臨時的任用職員は正職員の欠員代替などを想定しているものでありまして、この度の 会計年度任用職員制度の導入及び臨時的任用職員の要件の厳格化に伴いまして、事務補助業務等の職は、会計年度任用職員に移行することとなります。移行に当たっては、事務の効率化や業務の見直しなども勘案しながら、個々の職の業務量を確認し、基本的にはパートタイムの設定になると見込んでいるところでございます。

当然、フルタイムでなければならない業務量や必要性がある職もありますことから、個々の職の設定につきまして、なお確認・検討を進めているところであります。

 

●中根県議 ◆最後に会計年度任用職員制度の導入に当たり、県庁業務を円滑に遂行し県民への必要な行政サービスを保障するという点から見ても、これまでフルタイムで任用してきた職については、現在と同様フルタイムの任用とする必要があるものと考えますが、総務部長にお聞きいたしまして、第一問といたします。

 

○総務部長 最後に、県民への行政サービスを保証する観点から、フルタイムで任用してきた職はフルタイムで任用する必要があるのではないか、とのお尋ねがございました。

先ほどからの繰り返しになりますが、任用の適正化を主たる目的とした地方公務員法などの改正によりまして、臨時的任用の職の厳格化や会計年度任用職員制度が導入されるものでございます。

法改正を受けまして、本県では事務補助業務等に従事する臨時的任用の職の取扱い、いわゆる空自期間の設定など従前の運用について、適正な取扱いとなるよう、見直しを進めてきたところです。

個々の職の具体的な職務内容や業務量を把握するための実態調査結果を基に、総務省から示されているマニュアルの内容を踏まえまして、職務給の原則、均衡の原則等に基づいて、勤務時間や給料水準などの勤務条件の設定を進めてきているところでございます。

制度開始に向けまして、必要な県民サービスの提供の観点を踏まえながら、業務量や必要性などを勘案し、個別具体の職について適切に設定するよう検討を進めてまいります。

 

【第二問】

●中根県議 それぞれにご答弁ありがとうございました。第二問を行います。

 知事にお伺いいたします。ちょうど昨日ジェンダー指数が、発表されました。そのジェンダー指数を見ると、昨年よりもぐっと順位を下げて、153ヵ国の中で121位という状況になっています。不平等の維持が、現状になっているというふうに、おっしゃる方もたくさんいらっしゃいまして、私たちはジェンダーの問題というのは、多様な生き方、多様な性、そして、そうしたものを社会全体で受け入れながら、人間として生きやすい世の中をつくっていく、そのために、大切なものだというふうに思っています。

 今回知事にお聞きをいたしました、パートナーシップ制度なども、そうした一環としてどうなのか、というお伺いをしたところです。家族のあり方そのものも本当に多様になっていますし、職場の状況も多様になっている。そんな中で、やっぱり、共感と前進の県政をつくるという、知事のもとでは、共感というのは、こちらが共感していただくのではなくて、本当に多様な目線、そして考え方にこちらが寄り添いながら、沿いながら、少数者の意見であってもしっかりそこを見ながら、まるごと高知県を発展させていくという視点が必要ではないかと、家族のあり方そのものも、今後しっかりと男女共同参画、男女平等の点でも、課題として論議をすすめていただきたい、このことを要望しておきたいと思いますが、その点について、お伺いをいたします。

 それから、子育て支援についても、知事は国保の均等割の制度、これはやるにしても国保料を高くして、その分をというお話をされましたけれど、今、本当に少子化の中で、この少子化をどうやって、乗り越えていくか、このことが大切になっています。そんな中で、子どもの生活実態調査をすると33%もの世帯が、なんらかの困窮に突き当たっていることは判明をしたと、こういう高知県であるならば、ここを解決するための、やっぱり施策が次々と必要になると思います。ぜひ、この点で、子どもの貧困状態をどう見るかという視点を、しっかりともっていく調査も含めてやっていただくよう要望したいと思いますが、それについて、再度お願いいたします。

 再度に、会計年度任用職員制度ですけれども、すべてがパートになるというこのことが、公務労働のワーキングプアをつくっていくということにつながっていく、仕事をつくり、暮らしをしていける高知県の中で、公務の場でこういうことをやっていくということが、やっぱり許されないと思いますが、お願いをいたします。

 

○県知事 中根議員の再質問にお答えいたします。

 まず、いわゆる男女平等、あるいはパートナーシップ条例の関連についてのご質問でございます。ご指摘がございましたように、わが国のいわゆる男女平等、ないし男女共同参画の現状をみました場合には、特に国会議員の女性の比率、これが国際的にみても低いというような形で、大きな課題があるのがわが国全体の状況だというふうに認識をしております。

 そのために、国でも、候補者をできるだけ均等に出していく努力義務を課すような法律もできているような動きもあると思いますが、これは社会の各局面において、しっかりと取り組んでいかなければならない、努力をしなければいけない問題だと思います。

 私ども、高知県も、ひとつの事業体といたしまして、その中で、例えば、管理職員の問題、あるいは育休の取得の問題、こういった問題が、現実の問題としてありますので、しっかりと取り組んでいきたいと思いますし、またお話がありましたパートナーシップ制度の慣例について申し上げますと、これはご提案として、ひとつ制度をつくるべきだというご提案でございました。そうなりますとやはり県民の皆さんの、多くの県民の皆さんのこの問題にたいするご理解というのが、やはり背景としてないと、片方で、この問題については、社会にさまざまな意見がある問題でございますので、そういった問題に対する県民の理解というものをまず先行させた中で、この問題は考えていくべきだという立場でご答弁を申し上げたつもりでございます。

 いずれにいたしましても、今、多様な個性を認めていくというのが大きな時代の流れだというふうに思いますので、そうした考え方に立ちまして、県行政もすすめてまいりたいと思います。

 それから、子育て支援の関連の、国民健康保険の減免等のお話がございました。これについても、大きな制度は、名前のとおり、国民健康保険でございますので、一種のナショナルミニマムとして、国の方で、大きな制度的な枠組みが決まっているという制度のあり方という部分に関わるものといたしましては、やはり国の方で、しっかり考えていただく必要があるという主旨を申し上げ述べたつもりでございます。

 片方で、子どもの貧困に関しての調査というお話についてございましたんですが、これは答弁でも申し上げましたとおり、来年度、国の方で、各県比較が参考にできるような、新しい調査方法で、調査をされるというお話も伺っておりますので、そうしたものの動向もしっかり見極めながら、県の調査についても実施をしてまいることをしっかりと検討してまいりたいと考えております。