議会報告

一般質問案 2020.3.10

【質問項目】

・農政について

・物部川流域活性化について

・再生可能エネルギーについて

 

●岡田県議 おはようございます。日本共産党の岡田です。通告に従いまして、質問をいたします。

はじめに、県内での新型コロナウイルス、また全国でのウイルスの感染者が増えております。皆さまの一日も早いご回復を心よりお祈りいたします。専門家会議でも爆発的な感染拡大抑制できても長期化の可能性もあるということも指摘をされております。浜田知事をはじめ執行部の皆さん、また、医療関係者の皆さんには、大変ですけれども、県民の健康を守るために引き続きご尽力いただきますようによろしくお願いをいたします。それでは質問に入ります。

 

【農政について】

●岡田県議 まず、農政についてお聞きをいたします。

 いま政府は、食料・農業・農村基本法に基づく次期「基本計画」の検討を行っています。概ね5年毎に見直しているものですけれども、審議会等の意見を集約して、今月(3月)中にも閣議決定されることになります。

この議論の中で、JA全中の中家徹会長が、その骨子について概ね評価するが、「農業の多面的機能の発揮」という項目を入れることが必要である、ということ、また、「食料安全保障の確立」や「中小・家族経営」といった重要なキーワードは、明確に文言を記述するべきだ、と述べています。農政の今の現状を表した大変大事なポイントだと思います。私は、大変共感をいたしました。

日本の農業は、担い手の減少と高齢化に拍車がかかり、農業と農村が次世代に継承できずに、存続の危ぶまれる地域が少なくありません。現在の推計では、何もしなければ20年で農業従事者は半減し、農地は2割減るという厳しい状況にあります。

 食料自給率については、歴代政府が目標を決めてきましたけれども、農産物輸入「自由化」を推進し、国内の生産を犠牲にする道を歩んできたといわなければなりません。とりわけ、第2次安倍政権は、2015年に閣議決定した現行「基本計画」で、13年に39%だった自給率(カロリーベース)を45%へ引き上げる目標を掲げる一方で、TPP11、日欧EPA、日米貿易協定と、空前の農産物輸入「自由化」を次々に強行してきました。農業に打撃を与える政策を続けては、自給率の目標の達成ははかることはできないと思います。

 さらに、「企業が一番活躍できる」国を公言し、財界代表が主導する規制改革会議などが持ち出した政策を官邸主導で現場に押し付けるような形で、大規模化や企業参入を強力に推進をし、「農政改革」の名で、農地制度や農業協同組合法、主要農作物種子法などによって戦後の家族経営や農村の暮らしを支えてきた諸制度も矢継ぎ早に解体もしてきました。

 こうした安倍官邸農政に対して、農村地域では不満と怒りの声があふれています。2019年10月4日に行った日本農業新聞の世論調査では、農業者の67%が安倍農政を「評価しない」というふうに答えているのはその表れです。

◆そこで、知事は日本の食料自給率が下がり続けているというこの現状をどう受け止めておられるのか、所見をお聞かせください。

 

○県知事 国の方では、食料自給率が長期的に低下している要因につきまして、食説活の変化によって、自給率の高いコメの消費が現象する反面で、自給率が低い畜産物などの消費が増えたこと、という分析をいたしております。

 自給率の低下はこうした要因に加えまして、ひとつには外食産業を中心といたしますより安価な食材を求めるニーズが高まっていること、また他産業と同様の担い手の縮小・減少、あるいは、耕地面積の減少などによりまして、生産力が低下をしているということ、こういった様々な要因の複合的な重なりが、自給率の低下という形で現れているというふうに考えております。

 

●岡田県議 ご答弁ありがとうございます。 

私は、やはりアメリカに追随をし、大企業の利益ばかり優先をして、農産物輸入「自由化」をすすめてきたことに大きな要因があるというふうに考えております。

平成30年度の食料自給率はカロリーベースで37%まで過去最低に落ち込みました。

政府の議論の中では、「自給率など意味がない。産業としての農業、稼ぐ力こそ目標とすべきだ」といったような議論もあったようですけれども、「食料自給率」の向上は、「食料安全保障」の観点からも、地域社会や文化、環境の保全といった面からも非常に重要だというふうに思います。

 いま、新型コロナウイルスが色んな猛威を振るっていますけれども、影響は食品の分野にも及んできております。中国産野菜の日本への輸入も急減をしております。世界では気候変動による不作や、また国内での自然災害の多発など、やはり食料自給率高く確保していくといこうことが、必要だというふうに思います。

◆食料の外国依存を改めて、少なくとも国民の過半数の食をまかなえるような日本の食料自給率早期50%台への回復を目指すべきだと考えますが、知事のご所見をお聞かせください。

 

○県知事 我が国の食料自給率につきまして、国の方では平成12年以降だと思いますけれども、この目標値を示すようになっております。ただ、これを見ましても、現状に対して、一定の数%の上積みを目指すということで推移をしてきておりまして、いわゆる絶対水準といたしまして、何%の食料自給率が適当であると具体的な数字を申し上げることは困難であるというふうに思います。

 ただ、自給率を回復させますことはひいては国内の農業の維持・拡大につながることとなります。生産拡大、消費拡大の両面の取り組みによりまして、食料自給率を1%でも引き上げをはかっていくことが大切だと考えております。このため国におきましては、新たな食料・農業・農村基本計画の下でもてる施策を最大限にこうじることによりまして、自給率の回復を目指していただきたいと考えております。

 

●岡田県議 政府の次の計画では、資料を見ましたけど、引き続き45%の目標に、なるようです。半世紀前、50年前では日本の食料自給率60%ありましたのでね、それ以後ずっと減り続けてきているわけです。イギリスは60年代後半までずっと下がっていましたけれど、農業政策を見直してその後挽回、回復をしてきております。そうしたことに比べても、先進国の中で一番やっぱり自給率が低くなってきている日本の立て直しをはかっていかなければならないと思います。

日本共産党は、綱領で農業を国の基幹的生産部門に位置付け、食料自給率の向上、食の安全・安心の確保、国土の保全など多面的機能を重視し、農政の根本的転換をはかることをめざしています。

 この方向は、食料・農業・農村基本法の掲げる基本理念と多くの面で重なります。こうした農政の方向は、持続可能な世界への転換が迫られている国際社会に対する責任でもあると思います。国連は昨年から「家族農業の10年」を開始し、家族農業への抜本的な、本格的な支援を呼びかけました。地球的規模での気候変動、貧困、飢餓などが深刻化するなか、国連の定めた「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成も切実な課題です。そのためにも、これまで産業政策に偏重してきた農政を見直して、持続可能な農政へと転換することが必要だと思います。

 地域農業は大規模の担い手だけでは成り立ちません。様々な経営体が支え合って成り立っています。高知県でも、ほとんどが家族経営体です。

◆今日における「家族農業」が果している役割についてのご認識を、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 本県におきましても、家族経営体の割合が約98%を占めているということでございまして、農業が産業として持続可能なものであるためには、家族経営体の経営発展をはかっていくことが、極めて重要だと考えております。また生産条件のより厳しい中山間地域におきましては、産業の中心である農業を家族農業が守っているという実態がございます。さらには地域そのものを守ることにつながっているというふうに考えております。こうした中、国におきましては、食料・農業・農村基本計画の見直しの中で、農業の持続的発展などに向けまして、小規模農家や家族経営を重視するという方向を打ち出しているところでございます。本県におきましても、例えばIoPプロジェクトの推進によりまして、農家所得の向上を図っていくということ、あるいは日本型直接支払制度によります生産基盤の下支えなどに取り組むということによりまして、家族経営体をしっかりと支援してまいります。

 

●岡田県議 高知県でも、農業従事者の減少と高齢化が進んでいます。これまでの推移を見れば、県が掲げる新規就農者の年間目標320人を達成したとしても、農業従事者の減少に歯止めがかからないのではないかと私は思っております。それは農業のみならず、地域社会の疲弊にもつながっていきます。後継者、担い手づくりと、その育成に一層力を入れていかなければなりません。

 中心的に担っておられる基幹的農業従事者の減少がこの4、5年加速化してきております。本当にこの点もリアルに見て、後継者の育成に力を入れなければならないと思います。

 地域で頑張っておられる方々を支援し、地域の実情にあった施策を地域の方々とよく相談をして、地域の方々を主役にすすめること、地域農業を維持し地域社会を支えていける組織づくりに取り組むこと、また先端技術の活用で生産性の向上と省力化を図り、若い人たちにとって魅力ある農業にしていかなければならないと思います。「稼げる」農業にすることは大事ですけれども、同時に、都会には「スローライフ」を求める人たちも多くいます、そうした方たちにも間口を広げて高知に来てもらえるようにすることも大切だと考えます。

 新規就農は、新たに参入する方々への支援策をさらに充実させるとともに、親元就農への支援も強めていかなければ、後継ぎはできないというふうに思います。やっぱり、親が元気なうちに後を継げるということで取り組みを強めることが大切だと思いますけれども、◆県として地域の方々に寄り添った新規就農支援、とりわけ後継者づくりのための親元就農支援にどう取り組んでいくのか、農業振興部長の決意をお聞かせください。

 

○農業振興部長 県では、各産地が受け入れ態勢を整備して新規就農者の確保、育成をはかる産地提案型の担い手確保対策に、取り組んでおります。中でも親元就農は、親の所有する農地やハウスなどを活用をしたスムーズな就農が可能であり、また後継者が地元に戻ってくることで、地域での様々な活動に参加するなど地域の担い手としても重要であるというふうに考えています。このため今年度から、親元就農の支援につきましては、地域で一貫して研修が可能となるよう研修要件を見直すとともに、親元の経営体を法人化する場合は、支援期間を従来の一年間から最大三年間に延長し、支援水準を拡充しております。

 また、これらの支援策をまとめたリーフレットを作成し、親世代の農家等に対するPR活動を強化するなど引き続き親元就農の支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 

●岡田県議 よろしくお願いいたします。

また、担い手の皆さんが仕事をしやすくするために農地の基盤整備、ほ場整備もそうですけれど、重要な課題だと思います。

◆基盤整備事業を今後どう進めていくのか、その考えを農業振興部長にお聞きをいたします。

 

○農業振興部長 基盤整備は、農業の生産性の向上や担い手への農地集積の促進、高収益作物への転換など効率的かつ安定的な農業を展開する上で、不可欠な施策のひとつでございます。

 このため、第4期産業振興計画では、農業全体を下支えする基盤整備の推進と農地の確保をあらたに戦略の柱のひとつとして、位置づけまして、基盤整備を加速化することとしています。

 具体的には、まず基盤整備の有効性や地元負担を軽減できる有利な事業の周知など、地域への啓発活動を強化し、意欲の醸成をはかってまいります。また事業化に向けて、県、市町村、農地中間管理機構等によるプロジェクトチームを立ち上げ、推進体制を強化し、地域の合意形成や事業の計画づくりを支援してまいります。

 これらの取り組みを重ねることで、早期の事業化を実現し、地域ニーズに応じた基盤整備をいっそう推進してまいります。

 

●岡田県議 ありがとうございます。

この項の最後に、種子の問題についてお聞きしたいと思います。種子は最も基礎的な農業資材であり、地域の特性に合った種子、品種の開発は農業振興にとって非常に重要な課題だというふうに思います。

◆県は種子条例をつくることまでは考えていないということですけれども、コメの新品種の開発体制はしっかり維持されなければならないと考えます。どのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きします。

 

○農業振興部長 本県の水田農業の振興や、外商の更なる拡大には、本県の気象条件に適した品質の高いオリジナル品種の開発が不可欠であると考えております。このため農家の皆様や農業団体、実需者からの要望も聞きながら、これまで農業技術センターにおいて、食用の南国育ち、よさこい美人、酒米の銀の夢、土佐麗といった品種を開発してまいりました。現在も4名の研究員が、温暖化に対応できる高温に強い品種や、収量性の高い業務用の品種需要が高まっている吟醸酒の製造に適した品種などを開発を行っております。

 今後も引き続き人員と予算を確保しながら、優良な品種の開発体制をしっかりと維持してまいります。

 

●岡田県議 はい。しっかりと体制をとって、やっぱり経験、非常に大事だと思いますので、引き継いでいかれるように、よろしくお願いいたします。

また、全国では種子条例を制定する県が増えてきております。日本の種を守る会によると、今年1月17日現在で北海道、兵庫、富山、長野など15道県が種子条例をつくっております。農家の皆さんにとっては安心感につながりますし、農家の意欲につながっていくと私は思います。種はみんなの共有財産です。国民、県民の共有財産である種子が守られるよう、本県でも種子条例を制定をしていくべきだということを、あらためて要請しておきます。

 今回、新型のコロナウイルスによって、本県の経済活動に大きな影響が出てきております。農業分野も影響がありまして、給食が無くなったり、行事やイベントなどが自粛されたりということで、花き農家なども、花の値段が下がったということで、本当に悲鳴が上がっています。医療が最優先ですけれども、経済活動への影響も把握されて、国が第二弾の緊急対応策を打ち出しましたけれども、国の支援だけでなく、県独自の支援策も含めて、こういう時だからこそ、県民の背中を押すという施策を、手立てを県として十分とっていただけるように、対応していただくよう求めておきたいというふうに思います。

 

 

 

 

【物部川流域活性化について】 

●岡田県議 次に、物部川流域の活性化と課題についてお聞きします。

白髪山に水源をもち香美・香南・南国の三市を流れる物部川の流域では、豊かな水と森づくりのために、森・川・里・海に関わる流域住民と多くの団体が手を結び、「物部川21世紀の森と水の会」を結成し交流をはかり、課題を共有して、それぞれの団体が森や川の保全、環境学習など様々な活動を行っております。

また、高知県では平成20年7月に「物部川清流保全計画」を策定し、物部川の清流再生を目指して、地域の住民の皆さん、団体、事業者、行政などが連携・協働し、計画に掲げた取り組みを推進していくこととしています。計画には「天然アユが湧きたつ川」という副題もついています。

◆県は今後、物部川流域の住民や自治体と連携し「物部川清流保全計画」の実現にむけてどう取り組んでいかれるのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。

 

○林業振興・環境部長 物部川清流保全計画は、高知県清流保全条例に基づきまして、かつての天然アユが湧きたつ物部川の姿を取り戻すことを目指して、策定しております。

 この計画の推進にあたりまして、流域全体で取り組むといった住民の自主的な取り組みに重点を置くこととしてございます。議員のお話にもありました「物部川21世紀の森と水の会」をはじめ、環境活動団体、事業者、学識経験者、行政等で構成する物部川清流保全推進協議会を設置してこの協議会では、子どもたちを対象とした環境学習会の開催、水田の代搔きの際に発生する濁水の軽減対策などワーキンググループごとに課題解決に向けた会議を行って様々な取り組みを実施しているところでございます。

 また、このワーキンググループのうち、川本来の姿を取り戻すためのワーキンググループにおきましては、協議の結果をもとに、物部川で工事を実施する際の配慮事項をとりまとめることといたしまして、令和2年度に必要な予算を計上しているところでございます。

 ひきつづき、協議会メンバーと連携を図りながら、物部川が清流として再生していくよう取り組んでまいりたいと考えております。

 

●岡田県議 はい、よろしくお願いします。

「森と水の会」の方から、色々、お話をお聞きしましたけれど、ダムの関係ですね。県の公営企業局にもこういう「会」、集まりに参加してほしいという声も寄せられておりますので、よろしくお願いをいたします。

ところで、物部川には3つのダムがあります。その一つが永瀬ダムでありますけれど、永瀬ダムの土砂は、100年間でたまると想定した1350万立法メートルをすでに2011年に超過をしておりまして、建設から62年を経た昨年3月時点ですでに約1700万立法メートルに達しております。本県は毎年、予算を組んで約6500立方メートルの土砂を除去しておりますけれども、堆積のスピードに追い付いていないのが現状というふうに思います。

土砂の堆積が進むと治水機能が低下をします。総務省は、昨年10月の台風19号で河川氾濫の被害が相次いだことを受けて、ダムや河川の堆積土砂の撤去を財政的に支援する制度を設けることにしています。本県が事前の土砂撤去が豪雨対策に有効だと政策提言してきたことを踏まえて、浜田知事は「本県が進める防災・減災対策を力強く後押しするものだ」と高く評価されております。

◆そこで、河川やダム、特に永瀬ダムの土砂撤去について、国の新たな政策を受けて今後どう具体的に取り組むのか、土木部長にお尋ねします。

 

○土木部長 新たに緊急浚渫推進事業が創設されることを受けまして、来年度以降河川およびダムの土砂撤去に必要な予算に最大限、活用していきたいと考えております。例えば、近年頻発する豪雨に伴う広域的な山腹崩壊の発生などによりまして、大量の土砂が貯水池に流入している永瀬ダムではダム貯水池への作業道が狭隘な上、土砂の仮置き場が限られるなど制約があり、撤去できる量に限りがございます。新たに創設させる事業を活用するなどしまして、仮置き場の増設や作業道の整備を合わせて進めることで、土砂撤去を加速させていきたいと考えております。

 

●岡田県議 物部川は、一昨年(2018年)7月の豪雨で堤防決壊の危険がありましたが、下ノ村の引き堤工事が間に合っていたことが幸いして、大水害をまぬがれました。ただ、堤防から漏水していたということも聞きました。堤防は裏側から決壊することもあります。いま各所で堤防の補強工事が進められておりますけれど、矢板を打つなど、しっかりとした対策を求めたいと思います。

関連して、中小河川のハザードマップ作りも課題であると思います。災害に備えるために、必要だと思います。

すでに高知市では、国が作成した物部川および仁淀川、ならびに県が作成した鏡川および国分川の洪水浸水想定区域図を基にしたハザードマップをつくって公表しておりますけれど、このような取り組みを他の市町村でも進めるべきだと考えます。

◆国が管理する一級河川ではすでに、洪水浸水想定区域図が作成されているところですが、県が管理する河川における状況について、土木部長にお聞きします。

 

○土木部長 水防法では、氾濫によって大きな被害が発生する河川については、水位周知河川などに指定するとともに、洪水浸水想定区域図を作成することになっており、県下の河川では、宇治川、鏡川、国分川、松田川の4河川が対象になります。宇治川は平成29年に、鏡川、および国分川につきましては、昨年10月末にすでに公表を行っております。残る松田川につきましては、来年度の公表を目指し作業をしているところでございます。

 今後も過去に浸水被害を受けるなど、氾濫の被害が大きいと想定される河川につきましては、順次水位周知河川の指定と、洪水浸水想定区域図の作成をすすめていきたいと考えております。

●岡田県議 マップ作り、より一層のスピード感をもって取り組んでいただきたいというふうに思います。つくれば新たな発見と言いますか、防災対策のこともありますし、かさ上げ等、手立て、対策もうてるというふうに思いますので。

一方、物部川の町田堰(統合堰)ですけれども、頭首工や水路など利水施設が老朽化してきております。一般的にコンクリートの耐用年数は50年から60年といわれていますけれど、様々な水利施設がすでに50年を過ぎています。老朽化の度合いや、機能なども点検をしながら、計画的に設備の補強、長寿命化、更新を図っていかなければならないと思います。その際、操作がしやすいように機械類、計器類などの自動化も大事だと思います。現地も見てきましたけれども、町田堰では増水時に、ブロックも流されておりまして、下流に、魚道の下も大きく掘れ込んで、機能が果せないような状況になっています。

◆町田堰や魚道の早期改修が必要だと考えますが、事業計画はどうなっているのか、農業振興部長にお聞きをします。

 

○農業振興部長 町田堰は、築造されてから54年が経過し、老朽化が著しいことから施設を管理する物部川土地改良区連合が、施設の機能診断を実施し、改修計画を策定しております。工事につきましては、香南市が事業主体となって、令和2年度に着手し、特に老朽化が著しい取水ゲートの改良は令和3年度までに、魚道の改良や提本体の改修は令和6年度までに、終える予定でございます。

 県としても、円滑に事業が進むよう予算確保も含めて、しっかりと支援してまいります。

 

●岡田県議 私、先日、物部川漁協の松浦組合長の講演を聞く機会がありました

本当に川を愛する思い故の熱い思いがほとばしるお話でした。その中で、アユの成長のためには維持流量が毎秒1トンでは少ない、「ちょろちょろだ」というお話がありまして、別の方からは、少なくても毎秒3トンくらい必要だということもお聞きをしました。適切な灌漑用水を確保すると共に、維持流量を増やす手立てが必要だと思います。

永瀬ダムの操作規則には、杉田ダム下流地点において確保すべき流量が、期別に定められておりますけれど、河川の維持流量が少ないとやはり思います。物部川の維持流量についての考えを土木部長にお聞きをいたします。

 

○土木部長 物部川の維持流量につきましては、平成19年3月に国が定めました河川整備基本方針におきまして、将来目指すべき目標量が定められております。

 一方、永瀬ダムでは、治水や利水の目的を達成するために目標の維持流量を流せる状況にはなっておりません。

 このため、物部川における農業水利権の更新におきまして灌漑に必要な水量が減少された際には、その量を活用するなどして、維持流量を増加させる取り組みを行ってきたところです。

 今後も農業利水者である土地改良区や、河川管理者である国土交通省など関係機関と連携しまして基本方針で定められた維持流量に近づけるよう様々な検討をすすめていきたいと考えています。

 

●岡田県議 よろしくお願いいたします。

 

【再生可能エネルギーについて】

●岡田県議 次に、再生可能エネルギーについてお聞きをします。

世界では地球温暖化防止のために、「パリ協定」による温室効果ガス削減の対策が進められておりまして、日本政府も中長期の目標を持って取り組んでいます。

2011年3.11の福島原発事故以来、再生可能エネルギーを利用する社会に早く移行すべきだと考える人が増えました。原発の危険性を、身をもって知ったからです。一方、化石エネルギーの枯渇や地球温暖化という問題を抱えて、代替エネルギーとして安全な再生可能エネルギーを重視すべきだという人も増えてきております。

高知県には、全国に誇れる豊かな森林や長い日照時間など、再生可能エネルギーの資源が豊富に存在をします。この資源を生かして、地域が主体的に運営し、活用し、循環させる。また他の地域とのやり取りを可能にするように、すれば地域の再生にもつながっていくと思います。

梼原町では、自給率100%をめざす取り組みがされています。ホームページにも「私たちの町、ゆすはら町では、森、水、風、光などの自然エネルギーを活かした取り組みによって、生き物にやさしい低炭素なまちづくりを進めています。2050年には温室効果ガス排出量70%削減、吸収量の4.3倍増(1990年)と、地域資源利用によるエネルギー自給率100%超を目指しています。」(「環境モデル都市」ゆすはら町ホームページ)とあります。こうした先進事例を、ぜひ、そのまま当てはまるというわけではないと思いますけれども、県内に横展開させていくことも大切だというふうに思います。それは脱原発社会へとつながっていくものだと思っております。

◆県は、梼原町のような地域に根差した再生可能エネルギーの促進を図る考えがあるのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。

 

○林業振興・環境部長 本県では、平成28年3月に高知県新エネルギービジョンを改定いたしまして、高知県産100%自然エネルギーあふれる高知の創造をキャッチフレーズに掲げて、持続可能なエネルギーの利用、地域メリットの創出、地球温暖化対策への貢献、この3つの基本的な考え方のもと豊富な新エネルギー資源をいかした再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでいるところでございます。

 

●岡田県議 地方自治体でエネルギー政策を立ち上げて、地域住民の出資、地元資本で再生可能エネルギー導入を図っていくことができれば、地域住民、地元が売電収入を得ることができますし、地域で取り組めば、地域の風土・文化に合った再生可能エネルギーを導入することもできることになるというふうに思います。

◆県としてもこうした構想をもって、一社が地域を独占する形ではない、分散型のシステムをすすめていくことも大切だと思いますけれども、林業振興環境部長にお聞きをいたします。

 

○林業振興・環境部長 高知県新エネルギービジョンにおきましては、学識経験者で構成する高知県新エネルギー導入促進協議会を設置しておりまして、この場で来年度、新エネルギービジョンを改定する議論をすることとしてございます。現在、国におきましては、再生可能エネルギーの地産地消とともに災害時のレジリエンス強化にも資する分散型エネルギーシステムの構築をめざす方向性が示されているところでございます。

 この次期の新エネルギービジョンの見直しに当たりましては、こうした分散型エネルギーシステムの構築といった方向性や、再生可能エネルギーの地産地消といった観点も踏まえて、検討してまいりたいと思います。

 

●岡田県議 はい、よろしくお願いします。

ところで、いま全国各地で、再生可能エネルギー施設を設置する事業者と住民との間でトラブルも起きています。この点にもしっかり目を向けて、対策をとらねばならないと思います。国や県は再生エネルギー事業を進めるうえで「ガイドライン」を設けていますけれど、住民の立場に立って常に見直しを行い、改善をしていくことが大切だというふうに思います。全国では、県や市町村で法的拘束力のある条例を制定する動きも出てきています。

昨年もちあがった四万十川沿岸への大規模太陽光発電所計画については、四万十市長が、「不許可」にするということを決めまして住民は安どしているわけですけれども、事業者から提訴される可能性もないわけではありません。

こうした反対した住民からは「四万十川沿いに工作物を造れないよう、条例を見直してほしい」とこういった声も上がっています。     

◆県として、こうした声をどう受け止めているのか、林業振興・環境部長にお聞きします。

 

○林業振興・環境部長 四万十川条例におきましては、四万十川流域における事業活動について生態系、景観の保全と、流域の振興との調和を図ることが特に重要だと受け止めております。ただ、一律の工作物の設置の禁止や、住民同意を条例で義務付けることにつきましては、財産権を過度に制限することになりかねないというふうに考えておりますため、生態系、景観の保全と流域の振興という四万十川条例の趣旨に照らして慎重な対応が必要と考えております。

 他の法令に基づく規制のあり方とのバランスも考慮しながら、流域の市・町や四万十川流域保全振興委員会の意見も聞きながら、見直しの必要性について検討してまいりたいと考えております。

 

●岡田県議 はい。やっぱり、住民の方々の思いに寄り添った対応が必要だと思います。

私も中村の百笑町という四万十川のすぐそばで、赤鉄橋の近くで、7年あまり、生活、暮らしていた経験がありますけれども、そういった点でやはり幡多の皆さんの四万十川への思いは強いなということを非常に感じております。四万十川は県にとっても重要な観光資源でもありますので、やっぱりそこをしっかり守っていくような対策をとる必要があるということを、指摘をさせていただきます。

そして、私の地元の南国市でも今、業者と住民の間で対立が生まれています。下田川沿いの周りに住宅がある約1haの土地に神奈川県の事業者ですけれども、太陽光発電を設置する話が持ち上がりまして、地元住民が組織を立ち上げて反対をしておりまうす。説明会が一度開かれていますけれど、この業者はパネルを設置した後、すぐ転売をするとの話でして、この点にも住民が不安を感じているところです。

以前、奈半利町と室戸市にまたがる羽根の山に太陽光発電ができた時には、住民の反対があって、県の立会いのもとで事業者と奈半利町、室戸市との間に協定書が交わされているというお話です。途中で事業者が変わっても、その約束は次の事業者に引き継いでいかれるという内容と聞いております。

県外の業者が、全国で土地を探して、設置をしてすぐ転売をするということでは、地域住民には負担だけが押し付けられることになります。地域住民の合意の下に進められていかなければならないと思います。住民にとっては、国の法整備が十分できておらず、国や県の「ガイドライン」やあるいは景観条例などの条例に頼るしか手立てがありません。

NPO法人太陽光発電所ネットワークの調べによると、「太陽光発電設備の適正な設置に関する条例」や「太陽光発電の推進及び適正管理に関する条例」をすでに制定している市や町があります。そして、独自の条例制定や既存条例の改定を検討する都道府県や市区町村も生まれております。

高知県でも、住民と事業者とのトラブルを防ぐために、条例の制定をはじめ、設置可能なゾーンの制定だとか、また事業者に自治体や住民との合意協定を義務づけるなど、実情に沿った、住民の立場に立った「ガイドライン」見直しが必要であるというふうに考えます。

◆県として主体性を持ってトラブルを防止し、環境を保全するために、条例制定など踏み込んだ対応が必要だと考えますが、林業振興・環境部長に考えをお聞きをいたします。

 

○林業振興・環境部長 はい。事業者と、地域住民との間で太陽光発電に関してトラブルが生じる事例というのは、本県に限らず全国で発生しているということで承知しております。

 こうしたトラブルを防ぐためには、事業者と住民との適切なコミュニケーションを確保することが非常に重要であるというふうに考えております。しかしながらFIT法では事業者と住民との適切なコミュニケーションに関しましては、国のガイドラインで努力義務とされているところでございまして、認定基準とはなっていないという状況でございます。

 そのコミュニケーションについての実効性についてもう一段強化の必要性があるというふうに考えております。関連する既存の法令との整理なども考えますと、条例ではなく、法律という形で全国的に規制を強化することがのぞましいと考えておりまして、全国知事会として、国に対して政策提言を行ってきたところでございます。

 県といたしましては、地域との共生がはかられた再生可能エネルギーの導入が促進されますよう引き続き事業者に対しまして、国、県のガイドラインに基づいた事業活動というものを遵守して頂く、またその地域とのコミュニケーションの中で、住民の要望に対しては、誠意のある対応をして頂くということを求めて、参りたいということを考えております。

 

●岡田県議 国の、やはり、法的な整備が遅れているというのが大きな原因だというふうに私も思います。そうした点では、積極的によりいっそう政策提言、国に求めて、していただきたいということをお願いをしておきます。

 太陽光発電など再生エネルギーの推進は、そこで生活している住民の皆さんの納得と合意が前提でなければならないと思います。住民合意という場合、住民の範囲がわからないというふうなお話もありますけれども、地域には色々な組織もありますし、自治会もあります。やっぱりそういった住民の代表といいますか、住民としっかり意思統一しながら合意の下に進められていかなければならないと思います。

 そういう点では、県のガイドラインも拡充も、充実もしていただきたいと思っております。

色んな事業を進めていくためには、やはり地域の皆さんの協力、納得が大前提となると思いますので、その点では県としてもいっそうのご努力いただくことをお願いをしたいと思います。

また、元に戻りますけれども、農業振興については、今、本当に農政が大きな曲がり角に来てると私は思っています。このままでは本当に地域の衰退に歯止めがかからないと思います。特に中山間はそうですけれども、県政としても農業政策さらに拡充をし、住民の皆さんが地域を支えられると、元気に農業をやれるという形で施策の拡充につとめていただきますようにお願いを申し上げて、私のいっさいの質問を終わります。どうもありがとうございました。