議会報告

【質問項目】
・ジェンダー平等・性的マイノリティへの施策
・子育て支援
・部局再編

【ジェンダー平等】
●中根議員 それでは、ジェンダー平等と男女共同参画推進について知事にお伺いをしたいと思います。
 昨日、3月8日は国際女性デーでした。世界の女性たちと連帯をして、日本でも各地で女性の地位向上と世界の平和を掲げて行動が続いています。この高知でもいくつかの集会が行われたり、またミモザのシンボルカラーに合わせまして、ライトイエローアップ期間ということで、3月1日から6日までは高知城で、そして3月6日から12日までは、ラビータのイエローライトアップが続けられて、おります。こんな中、国連のグテレス事務総長は、1月に、ジェンダー平等は「世界で最大の人権課題」とのべ、女性のリーダーシップは「流れを変えるために必要な要素で、深く根を張った構造やモデルを変えるときが来ている」とのべています。
 こうした中、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森・前会長の女性蔑視発言、さらに、その発言を現場でいさめる人もおらずに、笑い声さえ起こったという姿は、日本のジェンダー平等意識がいかに低いものかを世界に知らしめる、そんな事態となりました。 
 オリンピック・パラリンピックは、オリンピック憲章に基づき集い、実施されてきました。「オリンピック憲章の定める権利および自由は、いかなる差別も受けることなく確実に享受されなければならない」との崇高な理念に基づいて、組織・運営を図るものです。その責任者である会長が、「女性が入れば会議が長引く」とした発言は、辞任会見で「私は女性蔑視などする意識は毛頭ない」と語ったことによって、より深刻になりました。「やっぱりわかってないですね」とインタビューに応える街の人々の声に救われる思いもしましたが、長く政治にかかわり、総理大臣経験のある森氏の発言は日本社会のジェンダー平等意識がいまだに低い現れとして深刻に受け止めなければなりません。
◆男女共同参画本部長として、知事はどうとらえたのか、お聞きをいたします。

○県知事 ご指摘がありました、今回のオリンピック・パラリンピック組織委員会での事案についてでございます。これは、我が国においては、まだまだ、固定的な性別の役割分の意識でありますとか、無意識のうちの性別による差別といったものが、この社会全体の中に根強く残っていることの現れであるというふうに、受け止めなければいけないというふうに考えております。組織委員会においては、森前会長の辞職あるいは新体制の発足といった形で一定の対応がとられているということだと理解いたしておりますが、我々高知県もちょうど次期男女共同参画計画の策定作業の真最中ということでもございます。こうした事例もしっかり踏まえながら、県民の意識の向上といいますか、男女共同参画の意識の、よりよく向上をはかっていくということが私の務めであろうかというふうに考えております。

●中根議員 ありがとうございました。本当に、意識を変えるということは、まだまだ難しいものだということを私も、痛感をしております。
この間、世界の国々は女性に対するあらゆる差別を撤廃するための必要な措置をとる決意をうたい、そして、各国政府に迅速な取り組みを義務付けた女性差別撤廃条約を批准して、さらにその実効性を高めるために個人通報制度を定めた女性差別撤廃条約選択議定書を批准してきました。現在、女性差別撤廃条約の締約国189か国のうち選択議定書の批准国は114か国になっています。通報を受けた国連の委員会は、これを検討し、見解や勧告を各締約国に通知をします。法的拘束力はないけれど、締約国はフォローアップをもとめられます。こうした作業を通じて、通報した個々の女性の人権を救済するだけではなく、行政や国会、司法など、ジェンダー平等の国際基準を生かしていくという役割を果たしています。国際基準がどういうものなのか、具体的な事例をとうして各国のジェンダー平等が大きく進化しています。この中で、選択議定書を批准していない日本国は世界の重要な変化にくわわれず、ジェンダーギャップ指数を121位まで下げる結果となりました。
◆選択議定書の未批准など、世界の発展する流れに遅れを取っている日本の現状を知事は男女共同参画本部長としてどうとらえているのか、お聞きします。

○県知事 ご指摘がありました、国際的な指標でありますジェンダーギャップ指数でございます。日本は、4分野のうち、教育とか健康の、この2分野では、限りなく男女平等に近い、男女差があまりないという状況には達しているというふうな数字になっていると承知をしております。
 一方、残る2分野、経済、政治の2分野で、男女間の格差が非常に大きいというのが特色ではないかと考えます。中でも特徴的なのが、経済分野のうちの管理職に占める比率、そして政治全般の指数、これは政治面でのいわゆる指導者層における女性の進出度合い、こういったものが低いということであろうと考えておりまして、この、政治、経済面での指標が、全体の順位を押し下げているとうことではないかというふうに、存じます。
 この点に関しまして、令和2年12月の国会におきまして、橋本大臣が述べられました通り、諸外国ではスピード感を持った取組により、スコアを着実に上昇をさせているということの、裏返しと側面があろうかと思います。我々の方といたしましても、こういった状況であるということを踏まえまして、数値目標の設定そして、それの着実な達成を目指してのPDCAサイクルの励行といったことも含めまして、必要な対策をしっかりとってまいる必要があるというふうに考えております。

●中根議員 ありがとうございます。本当に、「グローバル社会」という言葉を口にしながら、世界の基準に立とうとしない姿勢というのは、一日も早くただされるべきだと思います。
国連のかつての開発政策とか、SDGsの目標から見ても、「ジェンダーの主流化」を真面目に政策化していない国は問題視されるという意味で、いやでもジェンダー平等は民主主義国日本で達成目標とされるべきものです。女性の人権の拡大とエンパワーだけでなく、多様な性の在り方も、すべてのひとの人権をも包括している流れであることは、だれもが否定をできません。
さて、先ほど知事もおっしゃいましたように、政府の第5次男女共同参画基本計画が昨年末に閣議決定されました。高知県も男女共同参画プラン見直しの議会を今迎えています。
先月2月26日、この日は、1996年の男女平等の観点で家族法の大幅な見直しを提言した法務大臣の諮問機関である法制審議会答申から、25年が経過した日でもありました。答申に盛り込まれた4つの改正の柱のうち、婚外子相続分差別の解消、再婚禁止期間100日に縮小、婚姻年齢の男女18歳への統一、は法改正されましたけれど、法の改正が手付かずなのは、選択的夫婦別姓制度の導入のみ。答申当時は見直しの対象とならなかった同性カップルの法的保障を求める声とともに、実現を望む声はたかまっています。
 ところが、昨年末に閣議決定された国の第5次男女共同参画基本計画は、8~9月には、第6回専門調査会の素案をもとにして、国民から意見を募集し、10月の第7回専門委員会で制度導入を求める400件以上の意見書を踏まえて、論議をしました。そして、11月には導入に対し、国会の議論の動向を注視しながら検討を進めるとされて、その後自民党内の論議が始まりました。ところが、自民党内の議論がまとまらず、結果的には12月末に閣議決定された基本計画から「選択的夫婦別姓」の文言が突然削除されるという大幅な後退が起こりました。また、今年1月30日には、自民党の衆参国会議員の有志50人が、自民党の地方議員と全国の40人の自民党議長に「選択的夫婦別姓に賛同するな」という文書を送りつけています。地方議員に思いを押し付ける圧力になると大問題になっています。その中に丸川珠代・男女共同参画担当相も名前を連ねておりまして、首相の任命責任が問われる事態にもなっています。
知事は、12月議会の塚地佐智議員の選択的夫婦別姓についての質問に「旧姓の通称使用」が広がっていることをあげて、「これは今、かなり社会的に広がっているというふうに考えます。これを法律改正なども含めてさらに究極まで拡大をしていく場合に選択的夫婦別姓と具体的にどう違いがあるのか十分に議論されている状況ではない」と答えています。通称使用が広がっているのは姓が変わることで不都合を感じた人が苦肉の策で実施しているものです。25年も前から、改正し、導入すべきとされたことを待ち望んでいる表れです。知事は、「子どもの姓をどうするのかというような、制度の具体的な内容の議論がまだだ」とも答弁をされましたが、世界中で夫婦別姓を認めていないのは日本だけですから、学ぶべき手本はたくさんあります。問題は、施策をつくる側の具体的な努力が不十分なことです。25年間の時をかけた今を、しっかりとらえてジェンダー平等の観点からも選択できる制度になるように具体化する時ではないでしょうか。
同一姓の強制は、明治になって、女性の人権や個人の尊厳を無視した家制度の下で導入された制度です。日本国憲法とも相いれず、日本の伝統でもありません。
◆2020年11月までに102だった地方議会での「選択的夫婦別姓制度の導入や議論を求めた意見書」が、2021年1月までには149議会で採択され、その後も増え続けています。この中には全会一致で採択した議会も少なくありません。今の到達、少し長い引用で申し訳ありませんでしたが、知事はどのように見られているのか、お伺いいたします。

○県知事 ご紹介いただきましたような状況は、選択的夫婦別姓制度に関する導入、あるいは議論を求める意識、こういった声が徐々に高まってきていることの表れだというふうに、受け止めております。ご指摘もありましたように、国の第五次男女共同参画基本計画におきましては、この制度に関しまして、国民各層の意見や、国民における議論の動向を注視しながら、司法の判断を踏まえ、さらなる検討を進めるというふうに記載がされております。また与党の自民党におきましても、中央においての動きということでございますが、選択的夫婦別姓制度の導入を検討するプロジェクトチームが設置をされまして、近く検討会が開催される予定だというふうに承知をしております。こうした動向も踏まえまして、これから国政の場でさらなる検討が進められるものと思っておりますし、それを私としても期待をいたしているところでございます。

●中根議員 ありがとうございました。本当に25年の時を経て、待ち望んでいる方はたくさんいらっしゃいます。こうした動向を国際基準にしているように、私たちも声を挙げ続けていきたいと思っています。
さて、国は今回の基本計画の見直しで、ジェンダーギャップ解消にとって重要な、指導的地位の女性割合目標を10年間も先送りしました、2020年までに30%の目標だった、この目標を十分な検証抜きに2030年までに30%と置き換えました。コロナ禍の中で、非正規雇用は女性比率が56%を占め労働の調整弁に使われています。男女間の賃金格差、育児時間の女性への負担などは女性の自殺率の急増にも表れており、コロナ後の社会に向かって構造的改革が求められていることは誰もが認めるところです。
◆そんな中での高知県の男女共同参画プランの見直しにあたって、パブリックコメントではどのような声が上がってきているのか、知事にお聞きします。

○県知事 時期の県のプランの見直しにあたりましては、合わせまして、55件のパブリックコメント、御意見をちょうだいしたところでございます。具体的にいくつかあげますと、ひとつには、コロナ禍で困窮した育児・介護に携わる女性に強力な支援の手を差し伸べることが肝要であるといったご意見、また、県庁の女性管理職割合について、高い水準を目指すべきであるといったご意見。さらに、男性がかかえる生きづらさを含めまして、固定的な性別役割分担意識を解消することが、必要だといったご意見。こういったご意見を頂戴したところでございます。こういった、いただいた御意見を踏まえまして、高知県の女性管理職職員比率の目標値の引き上げでありますとか、仕事と不妊治療の両立にかかわります記述の追加などにつきまして、プランに繁栄をしようとしているところでございます。
 なお、このパブリックコメントのご意見の中に、ただいまお話がありました、選択的夫婦別姓制度の導入について、国へ提案してほしいというご意見もございましたけれども、現在、まさしく国政の場で議論がなされているというそういう問題でありますことから、プランへの反映というのは今回は、見送ったという判断をいたしております

●中根議員 ありがとうございました。日本政府が合意をしている「2030年までに指導的立場の半分を女性に」、こういう目標についても、ずいぶんとご意見があったように思います。
高知県も取り組んで、今では、管理職に占める女性の数、県の2020年の目標値の10%は超え11%となっていますが、まだまだ不十分です。知事は12月議会での塚地佐智議員の質問に答えまして、「将来管理職になりうる女性職員の裾野は着実に広がっていることを示している」というふうにお答えされています。
これは、これに類似した質問のたびに、前知事も同じように答えられたことを思い出します。人事配置というのは、適材適所が基本で女性職員の管理職を望む声はアンケート結果を見ると一割強にとどまっているとのことですが、これこそ男女共同参画推進施策の出番ではありませんか。
能力のある多様性を発揮できる陣容は、女性の能力を適所に結びつけることで、よりよい施策作りに結びつきます。バランスのとれた職場と家庭のあり方を追求してこその男女共同参画推進ですから、変化をこうした意味でつくる本部長の本気度が問われていると思います。
◆思い切った女性幹部の登用を位置づける、こういう時は今だと思いますが、知事の決意をお聞きかせください。

○県知事 女性職員の管理職への登用につきましては、ご指摘のとおり、社会の多様性、あるいは、活力を高める観点から極めて重要な点だというふうに、認識をいたしております。現在、改定作業中の女性職員の活躍の推進に関する特定事業主行動計画におきましては、この目標の設定にあたりまして、これまでの役職段階別の女性職員の割合がどうなっているか、どう推移しているか、それとまた人数、年齢構成、あるいは職員の希望などを考慮しながら、具体的な目標値をどうするか、という検討を現在進めているところでございます。
 現計画では、10%としておりました目標値は大きく引き上げたいという方向で検討は、いたしているところでございます。今後は、掲げた目標の達成に向けまして、これまで以上に女性職員が管理職へのキャリアアップを目指そうという意識の醸成でございますとか、仕事と家庭の両立ができる環境づくりをすすめていくということが必要だということは、ご指摘もあった通りだと考えております。
 このため、県庁の中でも、さらなる業務改善を徹底をするということ、あるいは、デジタル技術の活用などによりまして、抜本的な効率化を進めていくということによりまして、職員が働きやすい活躍できる職場づくりを進めていく、このことが、女性の活躍の環境を整えていくということに、つながっていくというふうに考えております。
 特に、女性職員のキャリアアップについて、女性職員を鼓舞をしていくということも大事ではないかというご指摘であったというふうに、存じます。私からもこういった点につきましては、積極的に呼びかけをするというようなことも含めまして、しっかりと女性職員の背中を押していくということも自らしていきたいというふうに考えております。 
  
●中根議員 はい。世界水準からみて、この点が遅れている、そういう遅れた部分を、しっかりと本部長として任を果たしていただきたいと、引き上げるための役割を果たしていただきたいというに切望しておきます。
次に、高知市では、今年2月からパートナーシップ登録制度が実施されました。性的マイノリティーを社会が認知し支えるための啓発、ミーツ―運動、フラワーデモ、KuTooの(ハイヒール・パンプス)強要廃止の運動等など、様々な行動が高知でも取り組まれ、社会のあり方をよりよく変化をさせて、多様性を認め、人権を無視した強要を許さない声が上がっています。性的マイノリティーの人たちが同じ人間として生きやすい環境を整えていくことは社会の責任でもあります。日本政府はおくれた対応ですが、運動とともに県や市区町などでパートナーシップ制度が取り入れられる中で、高知市は昨年11月の「にじいろのまち宣言」に続いてこの制度を実施しました。これによって、病院に入院する際のサインや市営住宅の入所の際の家族世帯としての扱いなど、日常の家族としてのあり方が高知市では社会的に認められることになりました。
◆県としても、パートナーシップ制度を認め、例えば県営住宅の申し込みなど、家族としての扱いを認めることが急がれると思いますが、知事の見解をお伺いいたします。

○県知事 ご指摘ありました今回の高知市の取り組みは、多様な性の在り方を認めあいまして、性的指向や性自認に基づく差別などをなくすことが求められている昨今の社会情勢を踏まえた判断である、というふうに受け止めております。
 ご質問がござました県営住宅の申し込みについての扱いでございます。県内の市町村におきまして、登録などを受けましたパートナーにつきまして、その市町村が市町村営の住宅におきまして、親族と同等の扱いとするという場合には、その市町村にあります県営住宅についても、同様の対応をはかるという方向で、県としても対応してまいりたいと考えております。

●中根議員 ありがとうございました。やっぱり意識を変える制度や、形をつくって、それをこうしましたよと、発信をすることがとても大事だと思います。例えば、先ほど、県営住宅の申し込みなどをあげましたけれども、あらゆる点で、高知県としてもこのジェンダー平等、パートナーシップ制度そのものを認めていきますよという、こういう宣言が必要ではないでしょうか。また、こうした制度を発信していくためにも、様々な方の意見をぜひ多く聞く機会を本部長としても、知事にとっていただきたいというふうに考えています。
◆いまいちど、ジェンダー平等・男女共同参画推進を思い切って推し進める本部長の決意を、お伺いいたします。

○県知事 ただいま、議員からご指摘がござました様々な方の意見を聞く機会をという点におきましては、今般、いわゆる「濵田が参りました」県民座談会で、高知市を回りました時に、このパートナーシップ制度を求めるいわゆるLGBTの方々からのお話も直に伺うということができました。
 次期高知県男女共同参画プランにつきましては、SDGsの目標5番にあります、ジェンダー平等を達成しようというこういった点も見据えまして、性別にかかわりなく、誰もがいきいきと活躍できる高知県を目指す計画でもございます。この高知県の男女共同参画推進本部の本部長という立場で、私もございますので次期プランにもとづきまして、引き続き男女共同参画社会の実現にむけて、しっかりと取り組みまして、また、アピールすべきはしっかりアピールしていくということで取り組んでまいりたいと思います。

●中根議員 どうぞ、よろしくお願いします。知事が出向くだけでなく、来る人たちの意見もぜひとも耳を傾けてください。

【子育て支援】
●中根議員 次に子育て支援について、お伺いをいたします。
 高知版ネウボラの言葉が聞かれるようになって久しくなりました。
 高知県が手本とするネウボラは、フィンランド語で「助言の場」を意味して、母親の妊娠期から子どもの小学校入学まで、担当の保健師が子育てに関するあらゆる相談にワンストップで応じる、こうしたフィンランドの制度です。
このネウボラは、様々な自治体で高知版ネウボラのように各自治体の独自性を持たせながら広がっています。
◆この間の子育て支援策として取り組んできた高知版ネウボラの取り組みについて、地域福祉部長にお伺いします。

○地域福祉部長 これまでの高知版ネウボラの取り組みによりまして、子育て世代包括支援センターが30市町村で、32カ所設置をされております。また地域子育て支援センターは、23市町村1広域連合で60カ所となっておりまして、それぞれ設置が進んでいるところでございます。
 あわせて、すべての市町村で、母子保健や児童福祉、子育て支援に関する関係機関の連携した取り組みが進んできたところでございます。このことによりまして、母子保健分野におきましては、産婦健康診査や産後ケア事業が、すべての市町村で、実施をされております。また乳幼児健康診査の受診率につきましても、全国水準まで向上したところでございます。
 また、子育て支援分野では、地域子育て支援センターにおいて、未就園児のいる家庭の利用が増加をいたしますとともに、子育て相談や、子育て家庭同士の交流機会の拡充が図られてきたところでございます。

●中根議員 本当に大事な制度が、進みつつあるというふうに考えていますが、◆今後の取り組みの方向、これはどのようになっていくのでしょうか、私はまだまだ可能性は広がるというふうに思っていますが、地域福祉部長にお伺いいたします。

○地域福祉部長 今後につきましては、市町村における関係機関の連携した取り組み、これをさらに強化をすると、そのことによりまして、個々の家庭の状況に応じた支援力の向上をはかると、こういうために、母子保健や児童福祉分野の専門家を市町村に派遣をいたしまして、助言指導を実施していく取り組みをすすめていきたいと考えております。
 また、子育て家庭の様々なニーズに対応するため、地域子育て支援センターにおきまして、産前産後のサポートや子どもの一時預かりなどの多様なサービスを提供できますよう機能を強化してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、妊娠期から子育て期の切れ目のない公的な支援体制の構築を進めて参ります。

●中根議員 ぜひ、具体的な若い世代の声を聞きながら、発展をさせていただくように、よろしくお願いいたさいます。
さて、国では、2018年12月に「生育基本法」というのが成立をいたしました。この基本法は、「社会的経済的状況にかかわらず、安心して次代の社会を担う子どもを生み、育てることができる環境が整備されるように推進されなければならない」とされています。
今、喫緊の課題といえるのは、こうした制度とも相まって、「妊産婦医療費助成制度」の創設です。昨年9月に高知県議会に「妊産婦医療費助成制度創設を求める請願」が約2400筆の署名とともに提出をされました。請願自体は提出者の意向でいったん取り下げられましたけれど、高知県内でも19の市町村で、高知県に対して「妊産婦医療費助成制度」の創設を求める意見書が採択をされてきており、制度創設の機運が高まっていることは間違いありません。
「妊産婦医療費助成制度」は、各自治体の単独事業として岩手、栃木、茨城、そして富山の4県は、県制度として、また青森県は国保のみ対応の制度として、加えて13道県(2020年1月時点)では一部市町村によって実施されて、多くの自治体にさらに広がろうとしています。
近年では、様々な社会的要因で、女性の出産年齢が高くなる傾向にあり、いわゆる「ハイリスク妊娠」の割合が増えています。妊娠高血圧や妊娠糖尿病などのリスクもあります。当然のことながら、こうした「ハイリスク妊娠」は胎児の育成にも影響をします。一方で、厚労省は、妊娠・出産・産後の不安について調査をいたしまして、その中で、「妊娠中に経済的な不安があった」という方が15.7%となっています。
経済的な格差のために、また今、コロナ禍の中でもありますけれども、胎児の生育や母体への悪影響があってはならないと考えるものです。
母体の健康を守り、また経済的な格差によらずに、不安なく健やかに新しい命を育くめるこうした「妊産婦医療費助成制度」は、切れ目ない子育て支援のスタート、要となる制度ではないでしょうか。
2019年9月議会で、妊産婦医療費助成制度に関して、栃木県の制度を参考に考えると導入にいくらかかるかという質問に7,300万円とのお答えがありました。健康政策部長は「他県の事例を参考に、市町村や医療関係者などのご意見も伺いながら検討」していくとその時答弁をされていますけれど、制度創設に向けた議論を今しっかりと進めるべき時だと思います。
◆切れ目ない子育て支援のため、また母体の安全のためにも、「妊産婦医療費助成制度」を県として創設し、しっかりと支援体制を整えるべきだと考えますが健康政策部長に伺います。

○健康政策部長 妊産婦医療費助成制度につきまして、まず医療関係者の方のご意見として、高知県産婦人科医会が賛同しているとお聞きをしておりますし、また、折に触れ、産婦人科医師などに個別にご意見をお伺いしましたところ、否定的なご意見はございませんでした。
 また、昨年9月に、市町村の母子保健担当部署に、この制度の創設について、確認を行いましたところ、国や県において創設されれば、検討するという市・町がいくつかございました。ただ、多くの市町村で、その意向はない、もしくは、検討していないという状況でございましたので、今後そうした市町村と、さらに意見交換を行ってまいりたいというふうに考えております。

●中根議員 四国では、香川県、徳島県がすでに、全県実施をしております。19の意見書が県に上がっていて、あまりニーズがないというわけは、絶対にありません。身の回りを見ても、本当に妊娠期は大変だったというお母さんの声がたくさんあがってきていまして、短期間に2400もの署名が集まったこのことにも、本当に、重い意味があると思います。いつまでも待たせずに、県としての施策づくりをしていただくように、いまいちどスピード感をもってという点でお答えをいただけないでしょうか。

○健康政策部長 はい、やはり限られた財源の中で、子育て支援の施策全体としてさらに充実化するかどうかというのが、県もそうですし、特に財源的に厳しい市町村において、そうした視点があろうかというふうに思います。どういった制度であれば、可能かというような視点を持って、市町村とスピード感をもって、容疑をしていきたいというふうに、考えております

●中根議員 女性には、仕事もしっかりしなさい、子どもも生みなさい、そういいながら、財源を理由に、この本当に大変な時期をしっかり支えないということはあってはならないというふうに、思っています。ぜひとも早い実現を要望しておきます。

【部局再編】
●中根議員 次にうつります。今議会に提案されています部局再編についてお聞きします。
令和3年度の主な機構改革が提起されました。
驚いたのは、文化生活スポーツ部に位置していた、「人権課」と「男女共同参画課」が一つになって、女性の活躍推進室、女性相談支援センターの業務とともに新しく改変された「子ども・福祉政策部」に配置されたことです。人権や、国の男女共同参画基本法に基づく男女平等、SDGsの17項目を含めたジェンダー平等施策の具体化は、部局横断的なもので、本来総務部に位置していてもおかしくないものと考えます。
◆なぜ、子ども・福祉政策部なのか、知事の認識をお聞きいたします。 

○県知事 男女共同参画でございますとか、女性の活躍の場の拡大に関しましては、男女共同参画プランあるいはまち・ひと・しごと創生総合戦略にも目標を掲げまして、これは県をあげて、取り組んでまいってきております。その中でも、働く女性の多い本県におきまして、女性の活躍の場の拡大をはかるというためには、子育てを支援する仕組みあるいは男性の育児・家事への積極的参加の促進と、そして、母子保健の充実が重要であるというふうに考えております。
 また、女性に対するDVに関しましては、その背景のひとつとして、男女差別意識や経済的な問題があるとされていまして、福祉施策とも連携をして取り組むことが、効果的だというふうにも受け止めております。このため、ひとつには、母子保健や子育ての支援、二つ目には、男女共同参画に関する施策、三つ目には、福祉施策これらを一体的に進めていくというために、男女共同参画の所管を、この際、子ども・福祉政策部に移管をするということをご提案をいたしているところでございます。
 所管がどこでありましても、私は、本部長といたしまして、各部局長を本部員といたします高知県男女共同参画推進本部におきまして、部局間で、しっかり連携をしながら、男女共同参画の実現に向けて取り組む所存であります。

●中根議員 どのような意識を広げ、場を変えて、環境を整えいくのか、こういう意味では、政府を見ても、男女共同参画は内閣府の中においているではありませんか。そういう意味で、福祉部門と連携を取るということは、否定をしません。本当に大切なことだと思いますけれども、機構改革の発想が、世界水準にほど遠い日本の意識につながっているのではないかと危惧するものです。ぜひとも、今後とも、こうした意見を参考にしていただきたいと思います。
次に地域包括ケアシステムの推進体制の強化として、医療と介護の連携強化をと、健康福祉部に「在宅療養推進課」を設置したことについて伺います。高齢者福祉課にあった地域包括ケア・認知症施策推進室も廃止ということです。この間も健康政策部の在宅療養・医療推進の施策が委員会などで議論になるたびに、「ここを強化すると、介護保険導入の意味が薄れて、介護者の家族への負担が増して軋轢が生じ、現実にそぐわないのではないか」と意見を述べてきました。今や働く女性の年齢とそして人数を折れ線グラフにした日本独特のM字カーブがなくなって、専業の家事労働者が少ない時代です。「家にいたい」希望者が、安全に過ごすことができるのか、在宅介護を支える家族が夜間の介護で十分な睡眠をとることができない事態が行政の施策で作られるのではないか、大変不安を覚えます。
◆なぜ高齢者福祉の中でも在宅療養推進に特化しているかのような名称と課の設置をするのか、その意図を知事にお聞きいたします。

○県知事 平成30年度に実施いたしました県民世論調査におきまして、長期の療養や介護が必要となった場合に、どう過ごしたいかという質問に対しまして、自宅で過ごしたいと答えられた方が、約45%で、最も高くなっているという実情がございます。
 もちろん、医療機関への入院でございますとか、高齢者福祉施設への入所が必要な方々への対応も引き続き、しっかり進めていくという必要がありますし、それが前提でございますけれど、その上で、こうした、ただいま申し上げましたような自宅で療養したいと希望される方が、在宅で安心して暮らし続けられる環境を整えていくということが重要であるというのが私の考えでございます。
 そのため、在宅生活を支えます医療や介護の施策を強化をいたしますとともに、在宅医療や、在宅の歯科、訪問看護といった関連施策も一体的にすすめようということで、この際新たに在宅療養推進課を設置をするということを考えているところでございます。

●中根議員 介護の中身というのは、特化をすればいいというものではありません。今、特養ホームの生活を望んでも、介護施設への入所を望んでも、スムーズに受け入れられる状況ではなく、長期間待つ必要があるのが現状です。また、高齢化の進む郡部では、在宅療養を支える体制も不十分です。こうしたところをしっかりと、体制整えた上で、こうした施策の特化をしていく必要があるのではないか、このことを強く感じています。ぜひとも、現場の状況に見合った施策の推進を求めて、私の一切の質問を終わります。