議会報告

【質問項目】

・新型コロナ対策

・気候危機

・高知工科大学新学群設置

・伊方原発再稼働

・性と生殖に関する健康と権利

 

●中根議員 私は、日本共産党を代表し、以下質問をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 

【新型コロナ対策】 

●中根議員 まず、新型コロナウイルス感染症の拡大についてです。この感染症拡大は、現在第五波がようやくピークアウトしたように見えますが、全く油断できません。デルタ株が主流になるもとで、国民の8割が2度のワクチン接種を終えているイスラエルやシンガポールなどでも感染再拡大が起こっています。9月3日の政府分科会の提言も「希望者全員がワクチン接種を終えても、集団免疫を実現することは難しい」との見解をしめしています。ワクチン一本やりでは感染を抑えられないことが明らかになってきています。

 ところが、ワクチン接種が進んだことで、政府が行動や経済活動の規制緩和を検討しています。しかし、この間、感染が下火になると行動制限を緩和し、さらには「Go To キャンペーン」で感染を日本中に拡大する、オリンピックを口実に入国検疫を緩和しアルファ株、デルタ株を呼び込んできたという失敗を繰り返してきました。政府分科会の尾身茂会長は「ワクチン接種率が上がることはいいことだが、急に緩めると必ずリバウンドが来る」(9/15衆院厚労委・閉会中審査)と述べています。慎重姿勢を示して、「当分、このウイルスとの闘いは続けていく必要がある」と言及しています。

今必要なことは、行動制限の緩和ではなくこれまでのように感染減少期に検査も減らすのではなく、検査能力に余裕がある今、徹底した検査で感染の火種をとりのぞくことです。特に感染の震源地とみられている大都市部での取り組みが決定的だと思います。

その大規模検査の推進についてですが、デルタ株では、感染者の口や鼻から出て空気中に浮遊するウイルスを含んだ微粒子「エアロゾル」を介した感染が主要な感染経路であることが世界の共通認識になっています。にもかかわらず、厚労省はいまだに飛沫感染・接触感染が主な感染経路としています。さらに濃厚接触者の定義も、マスクなしで15分間、1m以内などと極めて限定的です。これでは多くの感染者、特に無症状感染者を見逃し、感染の連鎖をとめることができません。

以前に紹介をした鳥取県の取組では、積極的な検査で感染者数が高知県の4割、死亡者も6分の1以下に抑え込んでいます。その内容をあらためて見てみますと、検査能力は、1日7400検体で、うちわけは県衛生研究所280検体、日赤病院248検体、民間検査機関1128検体、314の診療検査医療機関そのうちの検査可能な機関が243によって実施をしていて、検査結果が即日わかるように検査能力をあげています。

検査対象も濃厚接触者だけでなく、接触者、接触のおそれのある方、事業者や学校などの場合は、施設関係者全体に無料の行政検査を実施しています。濃厚接触かどうかを仕分けるとかえって時間がかかることから、保健所が聞き取りし、関係者を幅広く検査しています。大学などでは、体調の悪い学生さんには検査キットを渡して無料の行政検査を実施しています。

高知県でも先日、県立あき総合病院事務職員が感染した際、職場に濃厚接触者はいないが同室勤務、接触のあった職員69人に検査を実施しています。こうした対応が大切だと思うのです。

◆感染の連鎖を断ち切るためには、素早く、幅広く検査をすることが重要だと考えますが、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 中根議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、新型コロナウイルス感染症に対しまして、感染の連鎖を断ち切るべく、素早く、幅広い検査を行うべきではないかと、お尋ねがございました。

感染が落ち着いた状況になりましても、感染を早期に把握し感染の拡大を防ぐというためには、感染リスクを踏まえまして、迅速かつ幅広く検査をすることは重要だというふうに考えております。

これまでも、症状のある方が速やかに検査を受けられるようにという観点から、検査協力医療機関の充実を図ってまいりました。また、感染者が判明した場合には、濃厚接触者だけではなく、幅広く接触者の検査を実施いたしまして、感染の連鎖を防ぐことに努めてまいったところであります。

特に医療機関や介護施設、学校や保育所等で感染が確認された場合には、施設全体で利用者や従事者等の検査を、幅広に実施しているということはご紹介いただいた通りでございます。

また、市内の感染のリスクが高まったと判断される場合には、今までも、高知市中央公園で特設の検査会場を設けまして、飲食店の方々でありましたり、またワクチンの接種が終わっていない方々、こういった方々を対象に、臨時の検査をしていただく機会を設けてまいりました。今後、同様に、市中感染のリスクが高まったと判断をされるような場合には、再びこうした形で、特設の検査会場を設けるといったことも含めまして、リスク状況に応じました検査体制を構築してまいりたいと考えております。

 

●中根議員 次に「安心して休める保障」についてです。

安心して休めてこそ、積極的に検査をうけよう、という気持ちになるのではないでしょうか。

ところが、国による既存の支援の仕組みは、雇用保険が掛けられている事業所でないと使えません。休業補償のための国の制度が使えますが、小さなお店で、アルバイトやパートとして働いている学生、主婦が事実上対象にならない事例が発生しています。国保の傷病手当も事業主は対象外で、濃厚接触の場合は活用できません。

特に、子どもの感染が広がることで、困難が拡大しています。

小さな子どもが感染または濃厚接触者となれば、学校、保育所に通えず、基本的には親が仕事を休まなくてはなりません。

感染の場合は、子どもが回復した日から、親の方が2週間、濃厚接触者として待機しなければならず、およそ1か月の長期に及びます。

◆こうした法の隙間をなくし、賃金を保障する制度を拡充する必要があるのではないか、お聞きをいたします。

 

○県知事 次に、新型コロナウイルス感染症の影響によります休業等への保障について、お尋ねがございました。

県におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、厳しい状況にある方々に、きめ細かな充実した施策が届くようにという主旨で、全国知事会と連携をいたしまして、国に対する働きかけ等を、行ってまいっております。

例えば、お話にありました、お子様を持つ保護者の休職に係る給付制度につきましても、創設を訴えてまいりましたし、また、その運用にあたりましては、自営業の方、フリーランス、アルバイトの方々の収入減に対応することなども訴えてまいったところであります。

その結果として、例えば小学校休業等対応助成金・支援金につきましては、いったん終了しておりましたけれども、近々再開をするということが決定されたところであります。

また、この制度以外にも例えば、持続化給付金におきましても、フリーランスの方、あるいは前年度に実績のない事業者の方々も追加的に対象とするというような取り組みが行われておりますし、全般的に幅広く支援をしていくという観点からいいますと、生活福祉資金の特例貸付の制度を今回、コロナ禍におきまして創設がされまして、この据置期間が延長されるというような対応もされてまいったところでございます。

今後とも、この感染症の影響によりまして、厳しい状況にある方々が生活を維持していけますように、施策の充実を国に対して訴えてまいりたいと考えております。

また、拡充された支援が、 1日でも早く厳しい状況にある方々に届くよう、国とも連携しながら、こうした制度の周知にも努めてまいります。

 

●中根議員  第五波で、首都圏などで感染者の1割しか入院できないという医療崩壊が起こりました。特にデルタ株による感染は基礎疾患のない20代の若者でも急速に重症化することから、自宅療養という名で、医療から排除された感染者が亡くなる例が続出しました。警察庁によると、感染者のうち、自宅や外出先などで死亡した人は、昨年3月からこの8月までで817人となっており、うち8月の1か月だけで過去最多となる250人が亡くなっています。そのうち亡くなる前に感染が判明したのは132人にとどまっており、残る118人は死亡した後に感染が判明しています。医療体制、検査体制の不足は明らかです。こうした事態を二度と起こさない体制整備が必要です。

8月24日、日本共産党県議団と党県委員会は、知事に対し、「想定外を想定する」 危機管理の基本に立って、「新型コロナウイルス感染症の感染爆発を想定した万全の体制の確立を求める要望」を実施しました。その中で要望していた医療体制の強化について、9月補正予算は、6月に続いて、コロナ病床、家族向きの宿泊療養施設の追加など進められていること、また提案説明では、臨時の医療施設設置の検討、「原則、入院治療または宿泊療養」を貫くことに触れられたことは、県民の声に応えるものと評価するところです。

一方、自宅療養が余儀なくされた場合の支援強化についても触れられました。東京都の墨田区が、今回の緊急事態宣言が出された7月12日以降、重症者ゼロを達成しています。地域の医師や訪問看護師が往診を行う「健康観察チーム」と、そこに在宅療養支援薬局が加わり、素早く薬をとどけるとともに、電話で体調を聞き取るなど健康観察を行っています。

◆こうした地域の医療関係者、薬局などが連携して在宅療養者や濃厚接触者をサポートできる体制が必要と思うがお聞きをいたします。

 

○県知事 次に、在宅の療養者あるいは濃厚接触者のサポートの体制について、お尋ねがございました。

今回の第5波におきましては、想定を大きく上回る患者が発生したということがございまして、入院若しくは施設療養ですべてを対応するということが大変難しくなったという事情がございまして、無症状あるいは軽症者の方には、一時、自宅療養をお願いするという対応を取ることとなりました。

自宅療養におきましては、看護師が常駐をいたしております宿泊療養と比べまして、医療サービスへのアクセスが難しくなるということがございます。あわせて、心理的な不安も生じやすいということに留意したサポート体制が重要だというふうに考えております。

今回、自宅療養を開始する際には、検査協力医療機関やかかりつけ医等の電話診療によりまして、事前に解熱剤等を処方するといった体制を、県の医師会等にご協力をいただいて構築をしたところでございます。

加えて、症状が悪化した場合に備えまして、24時間の電話相談窓口を設置する、あるいは救急外来の診療体制を整備するといった対応をとりますとともに、生活支援物資の配布体制も構築をいたしたところであります。

今後とも、必要な場合に、自宅療養をお願いせざるを得ない場合が生じた場合には、自宅療養者への支援がしっかりと行えますように、ご協力いただきました医療機関あるいは薬局等のお話もお聞きしながら、更なる支援体制の強化に努めてまいる考えであります。

 

●中根議員 また、要望の席で「抗体カクテル療法」を6つの医療機関で実施できるようになっていると回答されました。墨田区では、抗体カクテル療法は、発症から7日以内に行う必要があり、病床がひっ迫しているとタイミングを逃してしまうと専用病床を設置し、多くの投与を実施しています。

◆専用病床の確保について、認識をお聞きいたします。

 

○県知事 次に、抗体カクテル療法の専用の病床確保について、お尋ねがございました。

抗体カクテル療法につきましは、これまでに県内12の医療機関で、百数十名の患者さんに対して実施をされまして、重症化予防に大きな効果が得られております。

感染判明時の患者の聞き取り調査の際に、例えば、高齢者や肥満の方など、重症化のリスクが高い患者さんには、積極的に抗体カクテル療法を勧めているというところであります。

一方で、抗体カクテル療法を実施後、副反応として、一時的に発熱等の症状が出現し医療上の対応が必要となるケースもあるということがございますので、現在は、この療法は入院治療で実施をいたしております。

今後とも抗体カクテル療法の効果を活かすべく、抗体カクテル療法を専門に行います医療機関を確保していくということ、あるいは臨時の医療施設で実施をしていくということなどにつきまして、検討を進めてまいります。

 

●中根議員 今月9日、全日本国立医療労働組合(全医労)は、コロナ感染拡大のなか、「職場からの訴え」をとりまとめ、地域医療と国立病院の機能強化を求める声明を発表しました。

現場からは悲痛な訴えが続出をしています。紹介しますと、「コロナ患者を受け入れているが、現場は常に人手不足。スタッフは疲弊し、退職する人、メンタル不全で仕事ができなくなる人もいます」「防護服で汗だくでかなりこたえる。感染リスクと隣り合わせで神経をすりへらし、1年に6人が辞めた」という訴え。また看護師がコロナ対応の応援に出るため、送り出した病棟では「ナースコールが鳴りっぱなしでパニック状態」「若いスタッフが多く、重症患者をみられる人がいない。全員が疲弊している」と続きます。

 そして国に対しては、「自分を犠牲にして頑張っているのに、政府は私たちを何だと思っているのか」「先進国であるはずの日本で入院できず、自宅療養中に亡くなる人が出ています。国は国民のいのちを守る任務を放棄しています」と、その対応を厳しく批判しています。

◆こうした現場の切実な声をどううけとめているか、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、今回の医療現場からの切実な声をどのように受け止めているのか、とのお尋ねがございました。

新型コロナウイルス感染症への対応が長期化をしていく中で、医療の最前線で日々ご尽力をいただいております医療従事者の皆様方には、心より感謝を申し上げたいと存じます。

県が行っております入院調整の際には、各医療機関におけます医療従事者の状況などをお聞きしまして、受け入れの負担が特定の箇所に集中しないように、努めているところでございます。

また、要介護度の高い患者さんなどに対応する場合の負担が大きいというようなお話も伺いましたので、この点について、県独自の支援制度を創設をするといった形で、できる限りの支援に努めております。

今後も、コロナ対応にあたります医療従事者の皆様のご意見を踏まえまして、新型コロナウイルスへの対応を行ってまいりたいと考えております。

 

●中根議員 こうした事態を生み出したのは、コロナ前から長期にわたり、病床が削減され、医師・看護師数も抑制され、公的病院でも採算性が優先される政策が進められてきた結果です。他の先進国と比較しても、ICU(集中治療室)の数は、人口10万人あたり5床で、ドイツの6分の1、イタリアの半分以下しかありません。医師数は、人口1千人あたり2・4人で、OECD加盟36カ国中32位、OECD平均から見ると14万人も足りない水準です。

 声明は、「コロナ禍で浮き彫りとなったぜい弱な医療提供体制の抜本的な見直しが急務であり、すべての国民のいのちと生活を守るには平時からの機能強化が必要」、「感染症の拡大、大規模災害などの緊急事態に備えた万全の医療体制を求めます」と訴えています。

◆この「平時からの機能強化、緊急対応に備えた万全の医療体制」について、その必要性と対策について、知事の受け止めをお聞きいたします。

 

○県知事 次に、平時からの緊急事態に備えた医療体制の必要性等について、お尋ねがございました。

いわゆる第5波によります、これまでに経験の無い急激な患者の増加を踏まえますと、そうした緊急事態に備えました医療提供体制の必要性を改めて痛感しているところでございます。

そのため、まずは、第5波を超える次なる波に備えまして、一層の病床の確保はもとよりでありますけれども、自宅療養者への医療提供体制の強化、臨時の医療施設の設置に向けた検討を進めております。

また、今年度、医療法が改正をされまして、次期・第8次となります医療計画におきましては、「新興感染症等の感染拡大時における医療」といった項目が追加されたということがございます。

今後、国から示されますこの計画の作成の指針等を注視をしながら、医療現場のご意見などもお聞きをしました、平時からの機能強化という点も含めまして、緊急事態に備えた医療提供体制の整備について検討を加えてまいります。

 

【気候危機】

●中根議員 次に、気候危機について伺います。

9月1日、日本共産党は、2030年度までに二酸化炭素(CO2)を50~60%削減するという目標を掲げた「気候危機打開のための2030戦略」を発表しました。

 これは6月議会でも指摘しましたが、2030年までの10年足らずの間に、全世界のCO2排出を半分近くまで削減できるかどうかに人類の未来がかかっている、というIPCC国連気候変動に関する政府間パネルの報告に示された世界の科学的知見にたったもので、「未来のためのエネルギー転換研究グループ」の提言など各種団体、専門家の提言を踏まえて策定したものです。

まず基本認識として、2050年カーボンゼロではなく、2030年削減が「未来への分岐点」と捉えることが決定的です。

政府が示した2030年度の二酸化炭素削減目標は、2013年度比46%となっています。がIPCCの2010年目標で見れば実は42%で、世界平均の45%削減も下回るものです。「先進国の責任を果たしてない」、「目標が低すぎる」と厳しい批判の声があがっているんです。

 

 日本共産党の戦略の特徴の1つは、「脱炭素化、省エネルギーと再生可能エネルギーの推進は、生活水準の悪化や耐乏生活を強いるものでも、経済の悪化や停滞をもたらすものでもありません。それどころか、新しい雇用を創出し、地域経済を活性化し、新たな技術の開発など持続可能な成長の大きな可能性を持っています。」と強調している点です。

 省エネは、企業にとっても中長期的な投資によってコスト削減とまともな効率化をもたらします。リストラ・人件費削減という経済全体にマイナスとなる「効率化」とは正反対です。住宅などの断熱化は、地域の建設業などに仕事と雇用を生み出します。

 再生可能エネルギーのための地域の発電所は、石炭火力や原発などより、はるかに多い雇用を生み出し、地域経済の活性化につながります。海外に依存してきた化石燃料への支払いは大幅に減り、日本経済の弱点である低いエネルギー自給率は大きく向上し、再エネの普及によるコスト削減もあり、電気料金の値下げにもつながります。

 さきの研究グループの試算では、2030年までに、エネルギー需要を約40%削減する省エネと、再生可能エネルギーで電力の44%を賄うエネルギー転換を実施すれば、年間254万人の雇用が新たに創出され、エネルギー転換で影響を受ける産業分野での現在の雇用者20万人をはるかに上回ります。投資額は、2030年までの累計で202兆円となり、GDPを205兆円押し上げ、化石燃料の輸入削減額は52兆円になるとされています(未来のためのエネルギー転換研究グループ レポート2030)。

世界的にみても環境と人権を重視した投資、商品が重視されています。原発、化石燃料関連は「座礁資産」とよばれ、投資の対象とされない時代に入ってきています。また、著名な多国籍企業が「RE100」といって自らの経済活動を再エネ100%で実施することを宣言し、これをめざしており、再エネを推進しない事業者は、サプライチェーン、バリューチェーンからはじかれるという時代を迎えようとしています。EUは2026年に、国境炭素税を全面実施することを発表するなどの動きも進んでいます。

◆気候危機に対応する社会をつくることは、高知県の持つポテンシャルを発揮させ、より上質な暮らしと経済を作っていく道です。持続可能な成長をもたらす可能性をどうとらえているか、認識を知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、気候危機に対応する社会をつくることが、持続可能な成長をもたらす可能性がどうかという点について、お尋ねがございました。

ご指摘もありましたように、温暖化対策は経済成長の制約ではなく、むしろイノベーシ ョンを生み出すものでありまして、大きな経済成長を果たすために必要不可欠なものというふうに考えられます。国におきましては、こうした考え方のもとに、経済と環境の好循環をつくっていくという「グリーン成長戦略」を策定し、取組を進められております。

本県におきましても、こうした流れを着実にとらえまして、カーボンニュートラルへの取組を、持続可能な成長につなげてまいりたいと考えております。

その際には、特に本県の強みを生かしたグリーン化を推進していくということが重要であると考えております。

このため、現在、策定中のアクションプランにおきましては、本県の豊富な日照量、あるいは森林資源などを生かした、再生可能エネルギーの導入でございますとか、森林吸収源対策を進めていくこととしたいと考えております。

また、例えば紙産業におきます脱炭素につながる製品開発を行っていくということなどによりまして、新たな成長の芽となりますグリーン化関連産業の育成にも取り組んでいくこととしております。

こうした取組をオール高知で進めていく、カーボンニュートラルの実現はもとよりでありますが、経済と環境の好循環の輪を、県内全域に広げていきたいというふうに考えております。

 

●中根議員 ◆電気代、化石燃料費として、現在、どれだけの金額が高知県から県外・国外に流失していると想定しているのか、また、気候危機対策がすすめば、その流出を防ぎ、そのお金が地域で循環できます。このことを見える化することも重要だと思いますが、林業振興環境部長にお聞きします。

 

○林業振興・環境部長 まず、エネルギーに関する資金流出額の想定と、この資金を地域内で循環し、見える化することについて、お尋ねが ございました。

財務省の「日本貿易統計」 によりますと、我が国の化石燃料の輸入総額は、2019年で約17兆円となっております。また、本県の石油・石炭製品、電気代等に係るエネルギー収支は、環境省の分析ツールによる推計では、2015年では942億円のマイナスとなっております。内訳といたしましては、石油・石炭関係で755億円、電気で83 億円、それぞれマイナスとなっております。 再生可能エネルギーの導入を促進し、エネルギーの地産地消が進めば、こうした金額のうち、少なくとも電気にかかる部分を地域内で循環させることが可能と なります。

県では、現在、地域新電力の設立支援や、自家消費型の太陽光発電施設の設置支援等を通じて、再生可能エネルギーの導入促進によるエネルギーの地産地消を推進しております。 地域内で循環する資金の見える化は、こうした取組の効果や成果を分かりやすくお示しし、取組に対する理解を促進することにつながるものと考えております。

 

●中根議員 産業振興計画をはじめ県の基本政策に気候危機をしっかり位置付けることが不可欠です。

 省エネについて、たとえば生産工程における効率のよい機器の導入、または断熱システムの更新も重要であると考えます。

◆今後、産業部門において省エネ化を進めていくためには、支援策のいっそうの充実が必要と思いますが、林業振興環境部長にお聞きします。

 

○林業環境・環境部長 次に、産業部門における省エネ化の支援策の充実について、お尋ねがございました。

本県のカーボンニュートラルの実現のためには、産業、運輸、家庭などのあらゆる部門で温室効果ガスの排出削減を加速していくことが必要であると考えております。

この温室効果ガス排出量のうち約7割を占めますエネルギー使用由来の排出量を見てまいりますと、その6割以上が農林水産業や製造業、サービス産業など事業者から排出されております。このため、こうした分野での省エネ対策を更に強化していくことが、大変重要であると考えております。

この省エネ対策に関しましては、現在、高効率な機器の導入促進のための融資制度や、水産業制度資金を活用した省エネエンジン等の導入支援、あるいは施設栽培における効率的な加温方法の普及などの取組を進めております。また、省エネアドバイザーによる省エネ診断や設備導入に向けた助言なども行っているところではございますが、今後はこうした取組をさらに充実・強化していく必要があると考えております。

このため、アクションプランの策定にあたりましては、脱炭素社会推進協議会でのご意見、事業者ヒアリング、アンケートなどを通じて寄せられたご意見・ご要望等をもとに、施策の 強化について検討しているところでございます。また、その際には、国の既存の補助制度の積極的な活用や、国の新たな支援策なども参考にさせていただきながら、より多くの事業者に、より効果的に活用いただけるよう、検討を深めてまいります。

 

●中根議員 住宅の断熱化は、光熱費を削減することで、欧州では貧困対策としても重視されています。

◆公営住宅の断熱化の促進、また民間住宅の断熱化・省エネ化に向けた改修を、気候危機打開の公益的機能があるとして支援する制度を強化することが必要と思いますが、土木部長にお聞きをいたします。

 

○土木部長 公営住宅の断熱化の促進、民間住宅の断熱化、省エネ化に向けた改修への支援強化について、お尋ねがございました。

家庭部門におけます脱炭素化を進めていく上では、住宅の断熱化、省エネ化の促進は、有効な手段のひとつでありまして、県としても進めていくべき取り組みと認識しております。

県営住宅の断熱化につきましては、県の公営住宅等長寿命化計画に基づいて行っております、バリアフリー化などの全面的改善工事の中で、壁や天井への断熱材の設置や、断熱性の高い窓ガラスへの取り替えなどを行っております。

一方、民間住宅の断熱化、省エネ化に向けた改修の促進につきましては、国の制度として、一定の省エネ性熊を上げるための断熱化工事に対する補助制度や、税制上の特例措置などの支援制度がございます。県としましても、ホームページや市町村の窓口を通じて、これらの情報発信を行っております。

また、国では現在、 2050年カーボンニュートラルの実現に向けまして、住宅の省エネ性能基準の見直しや、補助制度の拡充等の検討が進められております。このため引き続き、これまでの取り組みを進めるとともに、国の動向を注視し、補助制度の最新情報の発信や、制度拡充があった場合、必要に応じて県の支援策を検討するなど、住宅の断熱化、省エネ化のさらなる促進に努めてまいります。

 

●中根議員 ◆屋根上の太陽光発電の設置は約6%にとどまっています。支援制度を検討すべき時ではないか、林業振興環境部長にお聞きします。

 

○林業振興・環境部長 最後に、屋根上の太陽光発電設備の設置に対する支援制度の検討について、お尋ねがございました。

カーボンニュートラルの実現に向けましては、家庭部門においても脱炭素化の取組を推進していくことが必要であり、太陽光発電設備の導入と建物の高断熱化は、家庭部門における温室効果ガスの排出削減を進める上で、非常に効果の高い取組であると考えております。

他方、本県の一戸建住宅に対する太陽光発電設備の導入割合を見ますと、2020年度末で9. 1%にとどまっております。今後の更なる導入促進が求められているものと考えております。

こうしたなか、国におきましては、2030年に「新築戸建住宅の6割において太陽光発電が導入される」こうしたことを目標といたしまして、導入促進に向けた支援策が検討されております。

県といたしましても、国の施策を参考としながら家庭部門における太陽光発電設備の導入促進につきまして、さらに検討を深めてまいりたいと考えております。

 

●中根議員 おなじ9月には「日本版気候若者会議」が政策提言をおこなっています。各分野の専門家をアドバイザーに迎え、100人の若者が10週間にわたり議論しまとめたものです。具体策としても「消費」「移動」「住む」「食」「産業・生産」「総合」のテーマ別に計70項目にわたり提言がされています。若者の行動には、希望を感じますが、そこでは、「現在世代の排出によって将来世代が気候変動のさらに深刻な被害にあうことを意味する。これは明らかな不正義である」と、現在の政策決定のプロセスから被害を最もうける未来の世代、若者が排除されている理不尽さを指摘し、「若者が現在の温室効果ガス排出量の許容量、つまり、将来的なリスクの許容値を決定するための権利を有する」と主張し、二酸化炭素削減目標の大幅な引き上げを提案しています。

9月14日、発表された世界10カ国の若者1万人を対象にした欧米の大学・専門機関が実施した調査結果は、気候変動の影響について95%が「心配」、さらに75%は「未来が怖い」と感じ、約4割が「環境危機への不安から将来子供を持つことにためらいを覚える」と答えています。また、各国政府の危機対応に関しては、58%が「自分たちや将来の世代を裏切っている」と答えています。

◆若者の「政策提言」でも触れられている、若者が政策立案過程に参加し力を発揮できる環境づくりが重要だと思いますが知事に、認識をお聞きします。

 

○県知事 次に、若者が気候危機への対応のための政策立案過程に参加し、力を発揮できる環境づくりをおこなうべしと、とのお尋ねがございました。

世界的な課題であります気候温暖の問題に対しまして、本県といたしましても、その責任を果たしていくというために、カーボンニュートラルの実現を目指した取り組みを進めております。

この気候変動の問題は、将来世代に特に密接に関わる問題でございます。そのリスクを背負うことになる若者の意見を聞くということは、大変重要な視点であるというふうに考えております。

先月開催をいたしました県の「脱炭素社会推進協議会」におきましても、委員の皆様から「将来世代の意見を取り入れたり、将来世代に行動を促していくことが必要だ」とのご意見をいただいたところであります。

現在、若者世代の方々には、地球温暖化防止県民会議の活動に参画をいただきまして、出前講座の自主企画・運営でございますとか、広報素材の作成などで、ご活躍をいただいております。

今後は、こうした活動に加えまして、ただいま申し上げました「脱炭素社会推進協議会」、これをアクションプランを作る場として開会をしておりますが、こうした中に若者の意見を直接お伺いする場を設けるといったことなど、政策立案過程に参加いただく方策についても検討してまいります。

 

●中根議員 この政策提言の全体のビジョンでは、「私たちが目指す社会像は幸福と環境を両立させた社会である。それは気候正義と自然環境保全が実現され、ひとりひとりの基本的人権と幸せが実現する社会である。その社会が実現される際に、将来世代に対して真摯に向き合うことが可能となる。既得権益者や偏った世代の意向を重視することは、多くの人にとっての幸福と環境を軽視することであり、将来世代に負担を強いることになる。経済は幸福と環境を両立させ、将来世代に真摯に向き合うことを優先すべきだ。なぜなら、人類が健全に暮らしていける自然環境がなければ社会も経済も成り立たないからである。幸福や環境を無視した経済を私たちは求めない。」と指摘しています

この指摘に大人社会、特に政治に携わる者は真摯に耳を傾ける必要があります。

私たちの基本戦略でも「気候危機の打開は、貧困と格差をただすことと一体のもの」との立場で提案をしています。

◆県の政策を作り上げるうえでも、これらの政策提言を参考にしていただきたいと思います。知事のご所見をお伺いいたします。

 

○県知事 次に、県の政策を作り上げる上で、「日本版気候若者会議」などによる政策提言を参考にしてはどうかというお尋ねがございました。

カーボンニュートラルの実現に向けましては、県民の皆様あるいは事業者、関係団体等が一体となり、オール高知で取り組みを進めていくということが必要不可欠だと考えております。そのためには、広くご意見・ご要望をお聞きして、アクションプランの策定へとつなげていくことが重要であると考えます。

ご提案をいただきました「政策提言」あるいは「2030戦略」も含めまして、県民の皆様から様々な提言やアイディアは、貴重なご意見としてご参考にさせていただきたいというふうに考えております。

 

【高知工科大学新学群設置について】

●中根議員 次に高知工科大学の新学群設置に関してお聞きします。 

安倍前政権は、2013年6月に「骨太方針2013」で「10年間で世界大学ランキングトップ100に10校入れる」と打ちだし、一連の「大学改革」を推進しましたが、日本の科学論文数や論文の国際シェア、質の高さは大きく減少しました。

文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、今年8月、世界で2017~19年に発表された自然科学分野の学術論文のうち、他の論文に引用された回数が上位10%に入る影響力の大きな論文の数で、日本は過去最低の世界10位に後退したと公表。一方、中国は分析開始以来初めて、米国を抜いて世界1位となっています。また、英国の教育誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)」のWorld University Rankings 2022によると、200位までにはアメリカ57校、イギリス28校。アジアでは中国10校、韓国から6校が入っていますが、日本はようやく35位に東大、61位に京大が登場するのみとなり、政府の科学技術白書が「研究力に関する国際的地位の低下の傾向」を認めるに至って、自公政権の「大学改革」の破たんは明らかとなりました。

自公政権は、「イノベーションを生み出すための大学改革」と銘打ち「戦略的な経営」を大学に求めて、国立大学運営費交付金や私立大学経常費助成のような基盤的な経費を、国が大学を評価することで傾斜配分する競争的な資金へと根本的に変更したことが原因です。「タイムズ・ハイアー・エデュケーション「THE」誌に直接取材したイギリス在留の国際ジャーナリストの木村正人氏は運営費交付金の傾斜配分を問題視し「英国の研究者は、どの大学にいてもいい論文さえ書けば予算がもらえ、そうした仕組みがひいては大学間に競争をもたらしている。」と述べている事からもわかるように、官邸主導の集中投資は、大学を「学問の府」から戦略的な経営と国策研究を優先する「企業的」組織へと変質させ、現場から自由で創造性あふれる有能な研究者と研究とを締め出し多様な競争を奪う結果となったと言えます。

また、基盤的経費の傾斜配分をやめ、地方大学や文科系など財政力の弱い大学への配分調整を行うなど、大学間格差是正を政府に求めることも、大事なことだとかんがえるところです。

◆知事は、文部科学省科学技術・学術政策研究所の科学技術指標2021や科学技術白書をどう受け止めたのかお聞きいたします。

 

○県知事 次に、文部科学省の科学技術・学術政策研究所におきます科学技術指標2021や科学技術白書についてのお尋ねがございました。

我が国の科学技術の状況につきましては、近年、政府におきましても、論文に関する国際的な地位の低下傾向などが課題とされているものと承知をしております。お話がございました「科学技術指標 2021」や「科学技術白書」の内容につきましても、このことを示しているものと受け止めております。

論文など定量的に把握しやすい指標のみをもって研究力というものを一面的に判断すべきではないという面はあると思いますが、国において必要な対策の着実な実行が求められているというふうに考えます。

本年3月に、国で閣議決定されました「科学技術・イノベーション基本計画」におきましても、我が国の研究力の相対的な低下につきましては、ひとつには、ノーベル賞受賞者は多数輩出しているものの、論文の量・質ともに国際的地位の低下傾向が継続しているということ。また、特に研究力を支える若手研究者を取り巻く環境を見ると、任期付きポストの増加、あるいは研究に専念できる時間の減少など、引き続き厳しい状況が続いていること、などが課題だというふうにされております。

こうした課題を踏まえまして、この計画では、研究力の強化に向けまして、博士課程学生の処遇の向上とキャリアパスの拡大、若手研究者ポストの確保などを図るというふうにされています。また、多様で個性的な大学群の形成、1 0兆円規模の大学ファンドの活用によります取組の加速などもうたわれているところであります。

今後、こうした取組の着実な実行によりまして、我が国の研究力の強化と研究環境の向上が達成され、研究者の魅力も更に増すという好循環が創出されることを期待をいたしているところであります。

 

●中根議員 戦前、明治憲法下の我が国の大学は、滝川事件に象徴されるように、国家権力によって学問の自由が奪われ、時の政府が国策に沿わないと判断すれば、研究者は自由な研究や発表などことごとく奪われて弾圧され、戦争へと突き進んだ歴史を持っています。

戦後、日本国憲法に、他国では余りにもあたりまえの権利であり明記する必要のない「学問の自由」という文言の条項をあえて設け、①学問研究の自由、②研究発表の自由、③教授の自由、④大学の自治、を私たち国民がうたったのは、「時の権力・行政からの独立が学問の府である大学では、大原則である」ことを国民が共有し、戦後大学の運営がなされる事を望んだからに他ありません。

◆その戦後大学の大原則の観点からいうと、今回、県立工科大学の新学群設置にあたって、県の庁内検討組織に法人も参加していたにもかかわらず、前県議会議場答弁で知事が「白紙撤回」を宣言したのは、行政による県公立大学法人の権限・独立性への権力的な介入であり、断じて許されないものです。知事の考えをお聞きいたします。

 

○県知事 次に、高知工科大学の斯学群の設置に関しまして、6月議会での私からの「白紙撤回」の答弁について、お尋ねがございました。

私は、これまでにも申し上げてきたとおりでありますが、高知工科大学にデータ&イノベーション学群を設置する構想について、その方向性は時代の流れに沿ったものであると受け止めております。

他方、この構想には、新しい校舎を建設するなどといった内容も含まれておりまして、新学群の設置、そして、運営は、多額の県費の負担が見込まれる事業でもあります。アフターコロナ下の厳しい行財政環境の中で、この事業を推進するとしましたら、県民の皆さま、あるいは議会の皆さまのご理解をいただきながら、検討を進めていくということが何より肝要だというふうに考えております。

このため、6月県議会では、構想の実現に向けた進め方についての明神議員からのご指摘を踏まえまして、それまでの準備作業を一旦白紙に戻したいという私の考えを申し上げたところであります。

議員からご指摘もありましたように、県におきましては、本年4月に、新学群設置に関するプロジェクトチームを設置し、高知県公立大学法人の参加も得まして、検討を始めておりました。しかしながら、6月県議会の状況では、このチームの会合を2回開催し、論点の洗い出し、あるいは論点に対する対応案の整理に着手をし始めたといった段階にとどまっておりました。当然ながら、県民の皆さま、あるいは議会の皆さまにご説明しご理解をいただくというのは、これからという段階であったわけであります。そうした段階でありましたときに、大学の側から、開設の時期が既に決定しているかのような前提で、教員の公募を行うといった準備作業が行われたということでございまして、こうした大学におきます準備作業の進め方を改めるべきだという趣旨で、私は申し上げたものであります。新学群構想の内容そのものを県が一方的に白紙にするという趣旨を申し上げたことではまったくございません。

新学群の設置、運営は、多額の県費負担が見込まれる事業でありますので、具体的な必要性、期待される効果、財源、収支見通しなどに関しまして、県としてしっかりと検討しなければならないというふうに考えております。

この点、手順を尽くして県民の皆さま、議会の皆さまのご理解を得ながら検討を進めるためのものであると考えておりまして、法人への不当な介入ということには当たらないというふうに考えております。

 

●中根議員 県立大学は、県外大学に行かずとも高知県内で住民要求に応えた高等教育を行い、地域の文化・経済の発展に寄与できる有能な人物の育成をとの県民の願いから設立されたものです。ですから、その運営や設置する学部学科は、官邸主導で評価される「国策研究」に資するベクトルではなくて、県民・地域主導の民意ベクトルによる評価に耐えうるものであるべきです。

自治体などが設立した公立大学の「大学の自治」とは、最前線で学生教育・育成・研究にあたる学長、教授会、学生など大学の統治理念と、実務的運営をする法人理事の統治理念、そして、直接的な運営を行っていないが設置者で設備資金など提供する関係にある、県行政・自治体の統治理念、の三者の相関的な調整によって成立していると考えられます。

前の二者が「大学内部」としてくくられるものであることに対し、県行政は地方交付税措置を行う国同様、外部権力機関であると捉えられ、例えば研究内容や人事など、前者二者の管轄、管理運営事項、「自治」に対しての介入はあってはならないと考えられます。

◆そういう意味でいえば、新たな研究学群の設置は、前者のガバナンスの極めて重要な領域の問題であり、外部的で権力的側面を持つ県のガバナンスの下での検討会で行うより、法人のガバナンスのもとで行うべきだと考えるものですが、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、この問題に関する検討会を開催する際のガバナンスの在り方について、 お尋ねがございました。

地方独立行政法人法におきましては、設立団体の長であります知事が公立大学法人の教育・研究や業務運営などに関します6年間の「中期目標」を、議会の議決を経て設定をするということとされております。また、公立大学法人はその中期目標を達成するための「中期計画」を作成し、知事の認可を得るといった制度になっております。この度の新学群設置の構想に基づく事業は、この中期目標にも関わる、この中期目標に掲げていくべき重要なもの、重要な組織運営に関わる事項、基本的な事項であるというふうに受け止めておるところであります。

このため、設立団体であります県といたしましては、県政に関わる幅広い分野の方々のご意見もうかがう必要があるという認識でございまして、こういったご意見もお聞きしながら、この事業の県の政策としてのプライオリティをしっかり判断していく必要があるというふうに考えたわけであります。

こうした観点から、県のガバナンスの下で検討会を開催し、新学群の必要性、効果、規模・財源などについて検証・検討を行うというために、今議会に所要の予算を提案させていただいているところであります。このことにつきましては、高知県公立大学法人とも認識を合わせまして、連携・協力して対応していくことといたしております。

 

【伊方原発再稼働】

●中根議員 次に、四国電力伊方原発3号機の再稼働について伺います。

令和2年1月に伊方原発では、誤って制御棒を引き抜くなどの4件もの連続トラブルが発生しました。四国電力への信頼は大きく低下し、愛媛県としても「さらなる安全性の向上に向けた詳細調査の実施」や「県民の信頼回復」等の7項目を要請し、県伊方原発環境安全管理委員会等において四国電力の対応状況を確認されていた最中、今回の新たな問題が発覚し四国電力の体質への重大な懸念が広がっています。

新たな問題とは、9月8日、原子力規制委員会が保安規定違反と認定したもので、伊方原発の宿直中の社員が、2017年3月から19年2月に5回にわたり無断外出をし、保安規定で定める重大事故の対応要員22人を満たしていない状況があったという問題です。

無断外出について規制委員会は「重大事故に対応する体制整備に影響し、看過しがたい」と指摘、更田豊志委員長は同日の定例会合で「安全文化の劣化の兆候だ。しっかりした対応を求める」と述べました。

◆今回の保安規定違反の問題について、四国電力から本県にどのような報告と謝罪があったのかを、まず、知事に伺います。

 

○県知事 次に、四国電力の保安規定違反の問題につきまして、電力会社側からどのような報告と謝罪があったのか、という点についてでございます。

この件につきましては、プレスリリースのりました7月2日に四国電力高知支店から、事案の概要と、今後詳細調査を実施するとの報告がございました。

県といたしましては この事案を重く受け止めまして、同日に担当課長から四国電力高知支店に対しまして、保安規定の遵守と安全管理の徹底を要請いたしております。その際に、県民に不安を与えたことに対する謝罪を受けまして、本県からの要請については、本店にも内容を伝えるように求めたところであります。

また、 9月8日には、原子力規制委員会におきまして、本事案が保安規定違反に認定されましたことから、四国電力に対しまして、再発防止、今後の対応等に関する説明を要請いたしたところでございます。

これを受けまして、 9月1 3日に来庁された際には、改めて、謝罪とともに、コンプライアンス意識の向上や安全確保の徹底に取り組んでいくとの説明があったところであります。対応いたしました林業振興・環境部長には、保安規定違反が生じましたことは遺憾であり、保安規定や法令の遵守、安全確保を徹底するように、再度要請をさせたところであります。

 

●中根議員 今回の指摘を受け、四国電力は無断外出対策として、要員の確認体制に不備があった、GPSつきスマートフォンを宿直当番者全員に持たせる、点呼を抜き打ちで行うなどの再発防止策を講じるとしています。安全を管理する社員を監視しなければならないということ自体に改めて危機感を持つものです。

さらに、私たちが問題視しているのは、この重大な事実を内部告発があるまで四国電力が隠ぺいしていたと考えられる、まさに安全管理に対する無責任な体質そのものです。

四国電力は、本年6月24日に無断外出が繰り返されていたとの内部告発を受け、調査した結果として7月2日にこの事案を公表しました。ところが、この公表内容には重大な報告がなされていません。それは、無断外出を繰り返していた男性社員は、重大事故時に炉心に冷却水を供給する配管の保全などを担当する「配管接続班長」であったこと。しかも、2020年5月に「社有車で外出し、会社のガソリンチケットを使い、私用のガソリンを容器に給油していた」「約38万円相当の横領」であるとして停職6ヵ月の懲戒処分を行っていたこと。本年1月に自主退職をしていたこと、という3点。愛媛新聞の取材報道で明らかにされた事実です。

報道後、四国電力は、この事実は認めながら市民団体に対し「職場を離れて横領したことは分かったが保安規定に違反することに気づかなかった」と釈明し2020年5月時点では保安規定違反の認識はなかったとしています。しかし、懲戒処分を行うにあたって当然詳細な調査はされているはずで、その時点で保安規定に違反していたが隠ぺいしたのではないかとの疑念は当然生じます。万が一、保安要員が不足していたとの認識がなかったとしても、保安規定に対する認識の重大な欠如であり、いずれにせよ、原発の安全管理能力を持ち得ていないと断ぜざるを得ません。

私たちが不安視するのは、もし、今年6月の内部告発がなければ、規制委員会からの厳しい指摘もなく、隠ぺいしたままに10月25日の3号機の再稼働計画が実施されていたであろうということです。

◆今回の問題は、まさに四国電力会社全体の問題であり、県としても事実経過の究明と報告を求めるべきだと思いますが知事の対応を伺います。

 

○県知事 次に、四国電力に事実経過の究明と報告を求めることにつきまして、お尋ねがございました。

四国電力によります本事案の調査につきましては、客観性を確保するために、社外弁護士の指導・助言のもと、調査・取りまとめが行われておりまして、その内容の説明を受けているところであります。調査報告書には「懲戒事案として調査を行った部門と、原子力担当部門間での連携が上手く図れていなかった、そして保安規定違反になる可能性に思いが至らなかった」といった旨が報告をされております。

安全確保の上で重要な保安規定に違反が生じたことに加えまして、部門間の連携不足により実態の把握が遅れ、再発防止策を速やかに講じることができなかったということについては、誠に遺憾であると考えます。

安全確保の徹底には、ハード面に加えまして、社員一人ひとりが 「原発を運転する責任と使命」を自覚し、「安全対策に終わりはない」との意識を持って臨んでいただくことが必要だと考えております。

四国電力には、さきほど申し上げましたように、この点を充分に意識した上で、保安規定や法令の遵守、安全確保を徹底いただくように要請を行っております。

現在、本事案の再発防止策については、原子力規制庁の検査が実施中であり、愛媛県におかれましても、原子力安全専門部会において、専門的な観点から確認を行うというふうにお聞きをしております。本県といたしましては、こうした動向を注視し、情報収集も行いながら、再発防止策の内容、実効性について確認を行い、必要に応じまして再発防止策の一層の充実を四国電力に要請してまいります。

 

●中根議員 この問題が報告された7月7日の原子力規制委員会の定例会見で更田委員長は、「四国電力はもう福島第一原発事故を忘れてしまったのか。時がたつことで緩んでいないか」と厳しく指摘をしています。

◆昨年1月に続く今回の問題を見ても、四国電力が危険きわまりない原発を稼働させることは認められないと思いますが、知事の認識をお伺いいたします。

 

○県知事 次に、伊方原発を再稼働させることの認識について、お尋ねがございました。

この原発の再稼働にあたりましては、申すまでもありませんが、安全確保が大前提となります。このことから、四国電力には、社員一人ひとりに、原発を運営する責任と使命を自覚いただきたいというふうに考えます。その上で、今回のような事案が二度と起こることがないように、「安全対策に終わりはない」との意識を持って臨んでいただきたいというふうに考えているところであります。

 

【性と生殖に関する健康と権利について】

●中根議員 次に、男女平等の課題である、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ (性と生殖に関する健康と権利) の視点から、いくつか伺います。まず、生理の貧困問題をきっかけに課題となって認識されてきた女性の生理について伺います。 

 6月県議会塚地佐智議員の質問で、女性への「生涯にわたる健康支援」として、「性と生殖に関する健康と権利」を国連も、日本政府も、重要視していること。中でも生涯にわたる健康の基盤となる10~20代前半の重要な時期に月経を含めた保健の充実の推進が第5次男女共同参画基本計画に明記されていることを述べました。

 性教育の段階から健康な母体を作ることができるように、すでに世界では生理をめぐる不平等に目を向け、ジェンダー平等の視点から取り組みを進めようと、施策が社会的に発展してきています。

 コロナ禍の中で私たちの目の前に広がった生理の貧困問題は、貧困の相談とつなげる窓口としただけでは不十分で、世界の進展に目を向けてこれまでの常識を変える必要に迫られています。たとえば、トイレットペーパーがトイレにあるのが普通であるように、生理用品がトイレにあるのが普通になるような変化が求められています。

◆女性の生理をとりまく課題に関して、ジェンダー平等の視点で解決していくべきだと考えますが、知事にお聞きをいたします。

 

●中根議員 8月3日、内閣府男女共同参画局は「『生理の貧困』に係る地方公共団体の取り組み」の第2回調査結果(2021年7月20日時点)を第一回(5月19日時点)の調査結果に続いて発表しました。

2か月後の継続的な調査自体が異例で、そこには短期間に生理用品配布が一気に広がった変化が見て取れます。生理用品配布など「生理の貧困」実施自治体は、前回の5月時点では255から現在は581自治体に広がり、全自治体の32.8%、47都道府県に広がりました。が、急速に広がったとはいえ全自治体の3分の1で県ごとの実施自治体は多いところから少ないところまでアンバランスです。高い実施率の県も防災備蓄からの臨時的措置のところもすくなくありません。そんな中で、予算措置をして取り組んでいる自治体が、前回調査の55件から2.7倍の200件に、実施自治体の20.1%に増えています。

◆防災備蓄や寄付に頼るのではなく、生理用品の配布に関して一過性でない対策を進めるうえで、国の予算化は重要です。国に対してさらなる予算化を、県からも働きかけるべきだと考えますが、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 最後に、女性の生理を取り巻く課題の解決と生理用品の配布について、国にさらなる予算化を働きかけることについて、お尋ねがございました。互いに関連いたしますのであわせてお答えを申し上げます。

性と生殖に関する健康と権利の視点から、女性が自らの身体や健康について、正しい知識や情報を基に判断し、それが尊重される社会づくりが、重要だというふうに考えております。

このため、こうち男女共同参画プランにおきまして、性に関する教育の実施、性差に応じた健康に関する情報、相談指導などを受けやすい環境づくりに取り組んでいるところであります。

女性に対する健康面での支援の必要性につきましては、今回の生理の貧困をきっかけに社会的にも広く認識されることになってきたものと考えております。このことは、女性が社会生活の中で感じるつらさや不便さを社会全体で共有することにつながるものでありまして、その点性差の違いを認め、尊重しあうというジェンダー平等の視点からも重要だと考えます。

ただ、ご提案の中にござました生理用品を公共施設等のトイレ全般に配置するということにつきましては、社会一般に現時点でそうしたことが必要であるとの認識がどこまで広がっているのか、これは、はかりかねる状況でありまして、現時点ではまだ機が熟していないということではないかというふうに考えております。

まずは、現在、ご指摘もありました国の地域女性活躍推進交付金を活用して生理用品を配布しております施設等、学校でありましたり、市町村でありましたり、あるいは社会福祉協議会でありましたり、こういった方々の意見を聞いてみたい、この問題についての意見を聞いてみたいというふうに考えております。

また、生理用品の配布に係ります国への予算化の働きかけにつきましては、全国知事会を通じまして、学校等での無償提供の恒久化等の検討を求める提言が行われており、まずはその動向を注視してまいりたいと考えております。

私からは以上でございます。

 

●中根議員 第2回調査の中で実施記述に生理用品の学校配備と、中でもトイレ配備が増えています。東京港区の教育委員会では、6月に区立学校に通う小学校5年生から中学3年生まですべての女子児童・生徒2400人余りを対象にアンケートをとっています。これまで必要な人は保健室で生理用品を渡していましたが、保健室で把握していたよりも多い17%の子どもたちが「学校生活で生理用品がなくて困ったことがある」と答えたことについて、「当初は、経済的な理由で生理用品が手に入らないということについて注視していたのですが、生理が急に来たり、ナプキンが足りなくなって困ったりということについても、こどもたちが安心して学校生活を送ることができないことにつながるという意味で課題であると思う、調査をしてよかった。」と担当課長は述べています。

また、NHKが山口市で実施したアンケートで、回答者1063人のうち、生理がある生徒の3割が「生理用品がなくて困った」と回答しました。山口市の白石中学校では、無償配布をきっかけに、置いてほしい場所を生徒たちに聞くと、回答者150人のうち「トイレに87%」「保健室に1%」「どちらでもよい9%」で、ほとんどの生徒が「トイレ」とこたえています。東京都では9月から、すべての都立学校で生理用品の設置が始まりました。トイレットペーパーと同じように生理用品が当たり前にある環境にしたかったとしています。5月中旬から先行して実施していた都立新宿高校では、これまで保健室に取りに来ていた生徒には渡していたが、昨年利用されたのは10個程度。特に周知しなかったのに、8月末までに410以上のナプキンが使用されたとのことです。校長先生は、「誰でも使えるようにすることで、実は困っていた、生理用品が足りないなんて言えないという子に届いているんじゃないかなと思います。コロナ禍でただでさえストレスの多い生活の中、せめて衛生面での心配をせずに、安心して学校生活を送ってほしい」と述べられています。生活困窮者だけの問題ではないことがここでも見て取ることができます。

政府も公共施設や学校のトイレに生理用品を備えることで、自由に受け取れるようにしていることをあげて評価しており、「学校は対象外」としていた初めの認識から大きく変化しています。

◆トイレに生理用品を備えることを急ぐべきだと思うが、教育長に伺います。

 

○教育長 学校のトイレに生理用品を備えることについて、お尋ねがございました。

県では、子ども・福祉政策部が、生理用品の配付をきっかけとして、困難な状況にある女性の方を相談支援機関等へつなげる事業を実施しており、県立学校に対しても今月下旬か ら生理用品と併せて、相談支援機関等を一覧にしたチラシを同封し、配付を開始しております。

県教育委員会としましては、生理用品を手に取った生徒が、そのことをきっかけとして相談支援機関等から支援を受けることにつながるよう、チラシの配布や校内に保健室や図書室等複数の配布窓口を設けること等を、先日開催した県立学校長会で依頼したところです。

生徒が利用しやすい場所に生理用品を配置し、併せて相談支援機関等の情報を周知し必要な支援につなげていくことを目的としておりますので、ご指摘のトイレへの配置についても検討してまいりたいと考えております。

このため、トイレ配置分として県教育委員会で一定数を確保した上で、保健室や図書室などのほかに、各学校の実情に応じて、まずはトイレにも一定期間、試験的に配置をし、その使用状況等を検証してまいります。

今後は、これらの取組の結果に基づき、子ども・福祉政策部と連携を図りながら、支援を必要としている生徒に生理用品が行き届く体制の在り方や、相談支援機関につなげるため の効果的な方法を検討してまいります。

 

●中根議員 また、6月議会で議決された1500万円の国からの交付金事業をスピードをあげて推進すること、が待たれています。長引くコロナ禍の中で、これをきっかけにして社会的に「性と生殖に関する健康と権利」が身近な大切なものとして保障されるものとしていく必要があります。

◆地域女性活躍推進交付金を活用した事業の進捗状況を子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 まず、地域女性活躍推進交付金を活用した事業の進捗状況について、お尋ねがございました。

この事業は、先の6月定例会で予算案の議決を受け、高知県社会福祉協議会に業務を委託し、孤独や貧困などの課題を抱える女性の方への支援に取り組んでおります。

委託先では、現在、初回発送分として生理用品3千パックを購入し、相談窓口や支援機関を記載したチラシや事業の周知を行う掲示物、プライバシーに配慮するための「生理用品 交換カード」とともに、全市町村に送付しております。

生理用品等が到着した市町村から、事業を開始いただいており、生理用品の提供とそれを一つのきっかけとして、支援を必要とする方を、市町村社会福祉協議会などの相談機関に つなげてまいります。

また、相談機関において、相談者に寄り添ったきめ細かな支援を行っていくため、相談支援員のスキルアップ研修を行うとともに、高知県社会福祉協議会が持つ地域福祉のネット ワークを中心に関係機関と連携し、事業を進めてまいります。

 

●中根議員 次に、妊産婦医療についてお聞きします。

今日、西内健議員も質問されましたが、重なる点もありますが質問させていただきます。2019年9月議会で塚地県議が、今年2月議会で私が、「切れ目ない子育て支援のため、また母体の安全のためにも、妊産婦医療費助成制度を県として創設し、支援体制を整えるべきだ」とただしました。

国では、2018年12月に「生育基本法」が成立し、「社会的経済的状況にかかわらず、安心して次代の社会を担う子どもを生み、育てることができる環境が整備されるように推進されなければならない」と規定されています。今、コロナ禍の中で、これまで以上に負担が増している妊産婦にとって「性と生殖に関する健康と権利」の視点からも、具体的に母体の健康を支える施策がますます必要になっています。

近年では、様々な社会的要因で、女性の出産年齢が高くなる傾向にあり、いわゆる「ハイリスク妊娠」の割合が増えてきています。妊娠高血圧や妊娠糖尿病などのリスクもあります。当然のことながら、こうした「ハイリスク妊娠」は胎児の育成にも影響をします。一方で、厚労省(妊産婦に対する保険・医療体制の在り方に関する検討会・資料)によれば、妊娠・出産・産後の不安についての調査では、「妊娠中に経済的な不安があった」という方が15.7%となっています。

経済的な格差のために、胎児の生育や母体への悪影響があってはならないと考えるものです。

この間、新日本婦人の会高知県本部が、「妊産婦医療制度アンケート」を実施しました。現在41通のアンケートが返信されていますが、この中で無料検診14回以外に医療を受けた方は18人。受けなかった方は23人。中には、ひどいつわりで点滴に通ったり、切迫早産、副鼻腔炎、胎児不全、高血圧症、妊娠糖尿病、鉄欠乏症、ヘルペス、顔面神経麻痺、帝王切開後傷口が2回開き2ヶ月ほど通院、出産後の乳腺炎等など、負担を顧みる余裕なく対応している様子が書かれています。また、すべての妊婦にとって無料の歯科健康検査はありますが、治療は対象外。36週以降毎回行う子宮収縮などをはかるノンストレステストは14回の無料券の対象外ですから、毎回2000~3000円かかっています。「出産予定日を過ぎても超過した場合の無料受診券がほしい」 また、「必要な費用なので仕方がないが、負担額に出産時間、土曜日曜などの条件で個人差がないようにできないものかと思う」と出産費用にいくらかかるのかの見通しがつけづらい不安も綴られていました。

母体の健康を守り、また経済的な格差によらず、不安なく健やかに新しい命を育くめる「妊産婦医療費助成制度」は、強く求められています。

2019年9月議会では、妊産婦医療費助成制度に関して、栃木県の制度を参考に考えると制度導入には7,300万円の予算となり、健康政策部長は「他県の事例を参考に、市町村や医療関係者などのご意見も伺いながら検討」していくとの答弁がなされています。2021年2月議会では、「どういった制度であれば可能かといった視点を持って、協議をしていきたいという風に考えております」と健康政策部長からの答弁でした。

◆「妊産婦医療費助成制度」を県として創設し、しっかりと支援体制を整えるべきだと考えますが子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、県としての妊産婦医療費助成制度の創設について、お尋ねがございました。

少子化対策を推進するうえで、妊産婦の方々が安心して出産し、子育てできる環境づくりは重要であります。

「妊産婦医療費助成制度」は、現在、2 2の都道府県で実施されておりますが、対象疾病の範囲や所得制限、自己負担の有無など様々であり、財政負担も大きく異なっております。

このため、本年6月に、各市町村に対しまして、制度導入に関する意向調査を行った結果、県が2分の1程度の補助を行う前提で「実施の意向がある」と回答した市町村は、約7 割の2 5市町村でした。

一方で、 1 8市町村が「財政面の負担が大きい」ことを課題として挙げており、具体的なニーズや、妊産婦が負担している医療費の実態の把握が必要といったご意見もありました。 さらに、「全ての疾病を対象に、県が補助を行う前提で実施の意向がある」と回答した市町村は、約4割の1 5市町村にとどまっております。

こうしたことから、県としましては、全市町村が足並みを揃えて導入できる制度であり、かつ、子育て支援策としての効果が期待できる施策を検討したいと考えております。

今後は、財政負担の規模や、助成対象とする疾病の範囲などについて、改めて、各市町村と具体的な意見交換を進めてまいります。

 

●中根議員 身近な地域に出産できる病院がなくなって久しくなりました。県は産婦人科をはじめ、出産できる病院体制を整えるために、この間も努力されてきたと思います。先ほど紹介したアンケートの中で郡部の皆さんからは、「産婦人科が遠くお産に間に合わず、救急車を利用しました」「出産できる病院が遠く、通うのが大変だった。出産可能な病院を地方にも是非つくってもらいたい」「近くに出産できる病院がなく、一番近いところを選んで自宅から病院まで車で50分かかった。検診のたびに運転が負担だし、お産の時間に間に合うのか不安だった。また、産後の入院の際、黄疸のため子どもだけ入院が1日延びた。付き添う母親の料金は自責のため高額になる(1泊3~4万円)といわれ、つきそうことができなかった」「3人目を妊娠中だが、病院が少ないせいか集中しているのか、初診で行きたくても1ヶ月以上予約が取れない」「まず安心して出産できる場所を地域につくってほしい」と切実な声が記入されています。この状況は、出産に向かうすべての女性たちの声とも重なり、これ以上看過できません。

◆この声に応える土台はできているのか、経過と今後の見通しを、健康政策部長にうかがいをして、私の一問といたします。

 

○健康政策部長 出産できる病院のない地域の解消についてお尋ねがございました。

県内で出産できる施設の多くは中央医療圏に集中しており、幡多医療圏には2施設、安芸医療圏には1施設ございますが、高幡医療圏には分娩施設がない状況が続いております。

県では、こうした状況の大きな原因となっている不足している産婦人科医師の確保に向けて、奨学金の加算やキャリア形成環境の整備等により若手医師の定着を図るとともに、産婦人科医師の分娩手当の助成等を行ってまいりました。

こうした取組により、厚生労働省の調査(『医師・歯科医師・薬剤師調査』)によりますと、平成26年に50人であった産婦人科医師数は、平成30年には60人と増加傾向にあります。

さらに、新専門医制度のもと、本県で産婦人科を目指す医師は、平成30年度から毎年、 1名から3名を確実に確保できております。

一方、分娩の安全性確保の観点から、少なくとも複数の産婦人科医師による分娩対応が必要となりますので、地域の医療機関に複数医師を派遣するためには、さらなる人材育成が 必要となります。

現在、高度な医療と十分な研修が行える中央医療圏内の基幹施設において、こうした人材育成が行われているところで あり、教育の中心となります高知大学とは、より一層協力・連携しながら、産婦人科医師の確保と人材育成に取り組んでまいります。

また、高知県周産期医療協議会において、分娩取り扱い施設の役割分担のあり方や周産期医療に携わる医師の確保などについて議論を行っており、関係者と連携しながら本県の周産期医療体制の再構築に取り組んでまいりたいと考えております。

 

【第二問】

●中根議員 それぞれにありがとうございました。

 二つだけ質問をさせていただきます。一つは、気候変動の問題です。待ったなしの危機感というのを私たちも本当に持たなければならないようなそんな状況になってきたんだと、台風の発生状況とか、雨の降り方とかいろいろ見るたびに思うのですけれども、この気候変動をしっかりと知事がおっしゃったような方向に、転換させていくためには、制度の改革とか、産業のあり方の改革とか、さまざまな大きな改革が必要だと思います。そんな時に、担当課まかせではなく、知事も国に向かって、そしてまた様々な意見も聞きながら、アクションを起こしていただきたいと思いますが、その点、ご決意というか、思いをもう一度お願いをいたします。

 もう一点は、妊産婦の医療体制です。これはみんなが胸を痛めて、10年来何とかしなければということで県も努力をされてきた、このことは私も十分承知をしています。そんな中で、健康政策部長の、先ほど、具体的な妊婦さんのアンケートなどの声を聞かれて、ああ、またかというんじゃなくて、今現在どんなスピード感をもって、これに取り組まなければならないと思っているか、そのあたりを。10年来、みんな胸を痛めて、何とかしなければと思いながら、成果が少しずつ形として出てきているのであれば、そこをぐっとスピード感をもって、例えば、高幡地域に一つだけはどうしてもつくるとかですね、そういう具体的なことがあるべきだと思いますが、そのあたりの思いをお聞かせください。

 

○県知事 中根議員の再質問にお答えいたします。

 昨今の気候変動などをみましても、議員からご指摘ございましたように、このカーボンニュートラルの取り組みはまさしくまったなしの課題というふうに認識をしております。

 であればこそ、国もいろいろ議論があった中で、2050年のカーボンニュートラルないし、2030年の非常に意欲的な削減目標を出してきているということだと思いますし、このためには議員からご指摘ありましたように、様々な制度面あるいは政策面でかなり画期的な、まさに時代を画するような発想の転換と手当をしていかなければならない、そんな時代になっているということだと思っております。

 私は、先般、このアクションプランの策定の協議会にも、冒頭でございましたけれども、出席をさせていただきまして、私の決意を申し上げましたけれども、そういった観点に立ちまして、特に私自身といたしましては、高知県らしい貢献の仕方をやっていきたいと、特に森林ですとか、日照量、あるいは長い海岸線、こういった自然環境を持つ高知県らしい貢献をしていくとともに、高知の産業を含めまして、持続可能な高知の地域づくりにつなげていくとそういったものに関しまして、国の方には様々な面で大胆な制度の転換であったり、政策だったり、こういったものを求めていくということが必要だろうと考えおりまして、この協議会の議論なども踏まえ、また庁内の体制も整えまして、私が先頭に立ちまして、こういった国とのかかわりも含めまして、取り組んでまいりたいと考えております。

 

○健康政策部長 高幡地区に限らず、産婦人科の医療機関から遠い妊婦さん方には非常に、大変な思いをさせてしまってまことに申し訳ないと思っております。

 ただ一方で、やはり、分娩・出産の安全というのは、現在昔と違いまして、非常に高い、高度なものが求められております。また一方で、医師の働き方改革の問題がありまして、一人で分娩させるというのは、いまやそういうことを言いますとすぐそういう医療機関からは撤退していくというような状況がございますので、派遣元となっている高知大学医学部の産婦人科、前田教授の方ともお話をしながら、できるだけ早い段階で、医師が派遣できるようなところを見積もりたいと思います。

 実際、県立病院では、安芸総合病院、従来は一人で産婦人科やっていましたけれども、複数性になっておりますし、大学病院の産婦人科としても、地域、中央分以外の産科医療の確保には非常に関心を持っていただいていますので、引き続き連携をとってお話していきたいと思っております。

 

●中根議員 ありがとうございました。少子高齢化が進んで、どんどんどんどん人口減になっているそんな中で、果たすべき役割というのは、たくさんあると思うんですけれども、ぜひとも初めて妊娠して、初診に行くのに一カ月以上も、診察の予約が取れないというふうな異常事態、ますますやっぱり、進んでいると思います。様々なことで、予算確保に、気候変動も含めまして、すべてがそういうことなんですけれども、そこを命最優先で、ぜひとも県の施策進めていただくように、要請をして終わりたいと思います。ありがとうございました。