議会報告

【質問項目】

・木育の推進

・旧陸軍歩兵第44連隊跡地の保存と活用について

・女性管理職の配置について

 

●塚地議員 おはようございます。本会議質問も、いよいよ最終日の6日目となりまして、お疲れのこととはおもいますけれども、随時質問をさせていただきます。

 

【木育の推進】

●塚地議員 まず、「木育」の推進について伺います。

1995年3月に高知県木の文化県構想が打ち出されて、この3月で丸27年になります。この木の文化県構想は、「人と木のより深い関わりと多様なあり方を追求し、木に対するいろいろな知恵を蓄積しながら、木の循環に配慮した行動をとることが木の文化なのです。木の文化の基本理念は『人と木の共生』といえます。そして、こうした文化で県土づくりを行おうとするものです。」として、「木を育てる」「木に親しむ」「木を活かす」の3つの視点から取り組みを進めますと宣言し、取り組みの柱を示しています。

◆今日の課題にも生きる先見性を持った構想だと思いますが、現在の県行政でどのように位置づけられているのか、知事にお伺いをいたします。

 

○県知事 お話のございました平成7年に策定されました木の文化圏構想でございますが、全国に先駆けまして、人と木の共生を掲げまして、また、日本一の森林率を誇ります自然豊かな本県ならではの構想であったと考えます。

 また、今日循環型社会が到来をしているということを考えますと、非常に先進的な構想を示されたものというふうに評価をいたしております。

 現在、県が産業振興計画で取り組んでおります、木材産業のイノベーションですとか、木材利用の拡大の取り組みも、この構想で示されております施設の木造化、あるいは、優良製材品の安定供給体制の整備といった施策の延長線上にあるというものであります。また、この森林環境保全についての普及啓発の取り組みにつきましては、現在でもひきつづき、この木の文化担当を配置して、県では取り組んでいるということでございまして、こうした取り組みを見ますと、構想の人づくりの施策を発展させたものという評価もできようと思います。

 そんな意味で、木の文化県構想は、現在でも、本県林業施策のベース、土台をなしているものというふうに考えております。

 

●塚地議員 はい。県政全体に、大きく貫く構想として、その位置づけの具体化を力強く推し進めていただきたいと思います。

その後「こうち山の日」も制定をされ、2017年には「高知県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例」も作られました。木の文化を引き継いでいく上で重要なのは「木育」です。

「木育」とは、木と育むと書きます。先の県条例でも、19条3項で「県は、木育(県民の生活に必要な物資としての木の良さ及びその利用の意義を学ぶ活動をいう。)の推進に努めるものとする。」と定めています。が、まだ「木育」という言葉の内容について一般的にも認識されていないのが現状ではないでしょうか。

◆県条例にもうたっている木育の重要性についてどのようにお考えか知事にお伺いをいたします。

 

○県知事 お話がございました高知県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例におきまして、木育とは、普及啓発といたしまして、県民の生活に必要な物資としての木の良さ及びその利用の意義を学ぶ活動だというふうに、定義されているのは、ご指摘合った通りでございます。

 この条例は、議員提案により可決成立をしたものでございますが、その目的は、県産木材の供給及び利用を計画的に推進するといったことなどでございまして、林業及び木材産業の持続的発展などを実現するということを目指したものとなっております。

 県民の皆様に広く木材の良さや、その利用の意義を学んでいただきまして、社会全般に普及させていくということが、この条例が掲げました木材利用の推進・促進につながっていくということになりますので、その意味で、木育と言うのは、非常に重要な取り組みであるというふうに認識をいたしております。

 

●塚地議員 今、知事のご答弁では、産業・木材の産業振興というところでの位置づけが大きかったと思うんですけれども、やっぱり、人づくりをしていくという、この高知県の木の文化県構想を作っていくうえで、私は大変重要な考え方だと、事業だと思っていますので、引き続き質問をさせていただきます。

高知県内でも、越知町や佐川町などは「ウッドスタート宣言」を行い、木のおもちゃを町として誕生祝いに送る事業を始め、木の文化を広げる取り組みがなされています。

◆県内で「ウッドスタート宣言」をしている市町村は、どのような状況か、林業振興・環境部長に伺います。

 

○林業振興・環境部長 お話のありました越知町や、佐川町のほかにも、香美市や土佐清水市など8市町村で、出生時への誕生祝い品として、木製玩具を贈呈する事業等を行っております。

 ただ、「ウッドスタート宣言」、こちらは木育普及団体であるNPO法人「芸術と遊び創造協会」と調印を結ぶ必要がございまして、このいわゆる「ウッドスタート宣言」をした自治体は、ご指摘の越知町と佐川町の2町にとどまっております。

 

●塚地議員 ご紹介があった通り、「ウッドスタート宣言」をしていない市町村でも、様々な木育の取り組みが進んでいるというふうに思います。

◆本県における木育の取り組みの現状について、林業振興・環境部長に伺います。

 

○林業振興・環境部長 県では、まず乳幼児に対しまして、市町村を通じた木製玩具の配布これによりまして、木にふれあい親しむ体験を通じて、木の良さを認識する取り組みを行っております。

 また、保育園や幼稚園、学校への木製の遊具や机、いすなどの導入もすすめているところでございます。

 加えまして、小学校から高校までの児童・生徒たちが、森林や木材の良さへの理解を深め、関心を持つように、学校が実施する森林環境学習に対しまして、例えば、森林の持つ働きを教える先生の派遣、あるいは実際に山にいって間伐体験をする際のバスの借上げをする経費などに対する支援も行っております。

 合わせまして、こうした取り組みが広がりますように、学校の先生向けの年間指導計画づくりを支援するパンフレット、こうしたものも作成をしているところでございます。

 さらには、森林の持つ公益的機能、あるいは森林環境を保全することの重要性、加えまして、木の良さ、その利用の意義などにつきまして、より広くご理解いただくために、森林環境情報誌を年2回発行しておりまして、これをすべての保育園、幼稚園、小学校を通じて、ご家庭に届けるということで、家庭での周知につながる取り組みをすすめておるところでございます。

 

●塚地議員 積極的に、様々な取り組みが行われているということで、大変力強く思っております。私もアジロ山の自然の森公園というところで行われています森の幼稚園事業には、たびたびボランティアとしても参加をしております。

 高知県森と緑の会の皆さん、こうち森林救援隊の皆さんの熱心な活動にも敬服をしているところです。もくもく広場の成功に努力もしておられる皆さんのご活躍も存じ上げています。

そうした様々な取り組みが本県で広がっています。しかし、さらに体系だったものにし、充実させることが必要ではないでしょうか。とりわけ、子どもたちへの「木育」は、森林県であっても、自然に触れる機会が少なくなっている今日、とても重要になっていると思います。

森林率が82%で高知県に次いで2番目の県、岐阜県ではすでに2013年に「ぎふ木育30年ビジョン」を策定し、県民運動にまで盛り上げながら、暮らしの隅々に木育を浸透させる努力を行っております。

岐阜県の取り組みから学ぶものは多いと思いますが、私がぜひ高知県でも実施していただきたいと思うのは、「いつでも、だれでも、木育を」をキャッチフレーズに多くの皆さんが身近に「ぎふ木育」を体験できる拠点として、県内各地の児童館、図書館、子育て支援センターなどに岐阜の木のおもちゃや家具を常設で備えた「ぎふ木育広場」の設置です。一昨年度末までに101施設が認定されています。それぞれを「木育広場」として認定し、その中でも、地域への「ぎふ木育」の推進・普及を担う施設を「ぎふ木育広場地域支援拠点」として認定して、「ぎふ木育」に関する専門的なスタッフが常駐しているほか、木育イベントを多数開催しています。

本県でも、こうした場所を作り、木の良さを多くの人に広げる取り組みを進めなければと思います。そうした施設では、研修を受けたボランティアの「木のおもちゃ学芸員」さんが、簡単な木工や木のおもちゃづくりを教えたり、一緒に学んだりします。子どもたちはもちろん、「学芸員」の高齢者の生きがいにもつながっています。

◆本県には、岐阜県のような位置づけや機能を持った施設はどのようなものがあるか、林業振興・環境部長に伺います。

 

○林業振興・環境部長 お話にありました岐阜県の取り組みの内、地域支援拠点施設と同様の施設といたしましては、本県では森林研修センター情報交流館、あるいは、甫喜ヶ峰森林公園などが挙げられようかと思います。

 このうち、森林研修センター情報交流館におきましては、施設内に約100㎡ぐらいのウッディホールを設けておりまして、滑り台などの木製遊具や木のおもちゃを設置し、木や森に関する本のコーナーも設け、子どもたちに楽しんでいただいているという状況でございます。

 また、甫喜ヶ峰自然公園、こちらの方は、ご承知のように、100haの広さを有する森林公園でございます。木や森に親しめる場所ということでございますが、こちらには森林環境学習の講師として、豊富な経験とノウハウを持ったスタッフが常駐しておりまして、森林の働きなどの座学、あるいは木工工作の体験、野外での間伐体験や植物観察など自然体験型のプログラムも提供しているところでございます。

 

●塚地県議 それぞれ研修センター、甫喜ヶ峰、ご活躍だと思います。私は、ぜひ、地域にそれを広げていくということを、岐阜県のように広めていただきたい。

学校や保育所・幼稚園といった教育施設、地域の拠点である「あったかふれあいセンター」や「集落活動センター」でも木育が行われるような取り組みにしていただきたいと思います。そのために人材育成に県としても取り組んでいただきたいと思います。

◆県が実施をしています木育指導員の活動を支援する事業について、その実績はどのようになっているか、林業振興・環境部長に伺います。

 

○林業振興・環境部長 ご質問のありました事業、木育指導員活動支援事業と申しますが、これは県民の方々が木育指導員となっていただいて、保育園や幼稚園、学校に出向いて木工教室や木の良さなどを教える出前事業を行う、そうした際に要する経費あるいは木育指導員そのものの数を増やしていく養成講座などの取り組みに要する経費に対して、補助するものでございます。

 事業を開始したのが、令和2年度、昨年度でございますが、昨年度は木育に取り組む県内の団体が行った指導員の養成講座のカリキュラム作成について支援をさせていただきました。本年度は2つの団体が、保育園等に出向きまして、子どもたちといっしょに、木工作業を行ったほか、木育についての保護者の理解を深めていくワークショップを行うといった活動もおこなったところでございます。

 

●塚地議員 さらにこの事業を積極的に継続して充実をさせていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

本県での木育を推進することは、本県の林業振興と県産材への理解を進め、木のおもちゃを始め、様々な木製品、ひいては木の住まいを選択する消費者を育てることにもつながります。本県でもご紹介があったとおり、様々な木育の事業が取り組まれていますけれど、全体像が見えてきません。赤ちゃんから高齢者まで、木にふれあうことから、考える、行動する人づくりまでのステップアップなど、「木育」を体系化し、計画を持つ必要があると思います。

◆関係団体の方々や教育委員会などとも協力をして、「高知県版木育ビジョン」をぜひ策定していただきたいと思いますが、知事にお伺いいたします。

 

○県知事 お話がありましたように、また、先ほど部長から答弁も申し上げましたとおり、本県では木育推進の取り組みといたしまして、幅広い県民の皆さんを対象として、様々な事業を展開いたしているところでございます。

 ただ、議員からご指摘ございましたように、こうした事業の全体像がいま一歩見えにくいのではないかというご指摘もございました。そうした意味でこの事業の全体像を見える化していくと、そしてその進捗や成果を示していくということは、県民の皆さんの理解を深めまして、木材利用の推進につながっていくというふうに考えております。

 県では現在高知県産材利用推進方針というものを策定いたしておりますけれども、これは今、木材利用推進に関します意義、目標などを定めた県の方針として、策定をいたしておりますけれども、この中に、さらに木材利用推進施策の全体像を、一覧性をもって示していくと、そして一体的に進捗管理をしていくと、こういった方向で検討してまいりたいと考えております。

 

●塚地議員 一体的に進めていくということが、大事なことだというふうに思います。でも、木育ということを県民の皆さんにしっかりお伝えをしていく上では、今つくられようとしているものが、木育に特化して、県民の皆さんに見える形になるのか、そこのところをもう少し、お願いいたします。

 

○県知事 ご指摘の趣旨は、この条例に定められます木育に着目をしてということだと考えておりますので、この木材利用を促進していくための木育という観点から、この全体像が見えるようにという観点で検討していきたいと考えております。

 

●塚地議員 私は、もう一歩、ぜひ、進めて全体像、人づくりという観点からつくりあげていっていただきたいというふうに思います。

 そのことは、ひいては、木材の利用の促進にもつながっていくということになると思いますので、狭義、狭い意味での木育の計画ではなく、県全体に広がる、広い意味での人づくりの木育のビジョンとして、ぜひ私はつくっていただきたいと思います。

 人づくりの横串ということを通していくことが、木育をさらに広げて推進していく上でも、重要です。

◆ここで議論をしていてもあれなので、関連する団体の皆さん、また環境教育を携わっている教育委員会の皆さん、そうした方々と協議を重ねていただくそうした場をつくっていただきたいと思いますけれど、その点はいかがでしょうか。

 

○県知事 具体的に、どういった形で、つくっていくのが効果的かということはよく考えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、この木材利用の促進の中で、人づくりという要素が、この木育というキーワードにつながっているということだと思いますので、そういった部分がよく見えるような形で、まとめていければと考えております。

 

●塚地議員 ありがとうございました。ぜひその視点で関係団体の皆さんなどと協議をして、良いものをつくっていただきたいということを要請しておきたいと思います。

さて、乳幼児から木に触れ、子どもたちの居場所や高齢者の生きがいづくりにもつながる施設として今全国に広がっているのが、「東京おもちゃ美術館」を運営しているNPO法人芸術と遊び創造協会が、自治体とタイアップして展開している「おもちゃ美術館」です。美術館という名称ですが、木のおもちゃと遊びで、世代をつなぎ、地域文化を伝える体験型の美術館です。昨年10月、徳島県に県立の「木のおもちゃ美術館」がオープンいたしました。子どもたちが木に触れ、木と遊び、木を学ぶ、大人も十分に楽しめる施設として大変人気で、本県からも親子連れで訪れています。市や町で設置しているところも広がり、四国内でもこの4月香川県で「讃岐おもちゃ美術館」が開館することになり、来年には徳島県那賀町でも「おもちゃ美術館」ができる予定です。

◆本県も、県立の「木のおもちゃ美術館」の設置を検討していただきたいと思いますが、知事のご所見を伺います。

 

○県知事 子どもたちや県民の皆さんに、木に直接触れ合う機会を増やしてくということは、ただいまお話がありました、木育の観点からも大事なことだと考えております。

 このため先ほど部長からも答弁申し上げましたけれども、県におきましては、乳幼児への木製玩具の配布、あるいは保育園や幼稚園、学校への木製の遊具や机、いすなどの導入、こういった取り組みを進めているところでございます。

 まず、「木のおもちゃ美術館」を県立でつくってはどうかというご提案でございますが、正直、ひとつの新しい施設を、大きなものをつくっていくとなりますと、施設の整備、あるいは運営、相当の財政負担を伴うことになりますので、やはり費用負担、費用対効果ということもよく考えなきゃいかんと、そういう大きな課題があると思います。

 そうしたことも考えますと、まずはただいま申し上げましたような、県内への木製玩具の配布ですとか、木製の家具などの導入といった、今行っている取り組みをいっそう充実させていくということを考えたいと思いますし、また例えば、現実的に当面考える方策といたしましては、甫喜ヶ峰森林公園の森林学習展示館などの場におきまして、木と触れあうコーナー、おもちゃなども含めまして、木と触れあうコーナーを設けるというような形で、こういった既設の木育の機能をさらに高めるという工夫を検討してまいりたいと考えております。

 

●塚地議員 たしかに、一気に進む話ではないと私も思っておりますし、佐川町でも、この議論が進んでいて、そのおもちゃ美術館ができる可能性もあるというふうに見ております。

 ですが、高知県はやっぱり森林率84%全国一と言われる県ですので、ぜひ他県が先んじて作っている素晴らしい施設を学びながら、ぜひ高知県でも検討進めていただきということや要請をしておきたいと思います。

 先ほど、人づくりも含めた木育のビジョンみたいなものを私もぜひつくっていただきたいということを、お話をさせていただきました。

 さらなる振興を考えたときに、やっぱりそれは拠点をさらに充実させていく担当を明確にしていくということが重要だと思いますので、これからの木育推進にあたって、そうした点を充実していただけるよう、要請をしてこの質問は終わりたいと思います。

 

【旧陸軍歩兵第44連隊跡地の保存と活用について】

●塚地議員 次に、旧陸軍歩兵第44連隊跡地の保存と活用について、お伺いいたします。

 ロシアによるウクライナ侵攻で多くの戦争犠牲者が生まれています。戦争は、どんな理屈をつけても多くの人命を奪う「殺戮」となり、「殺し、殺される」悲劇をもたらすものです。一刻も早くロシア軍のウクライナからの撤退で、再び平穏な日々が訪れることを心から願っています。

 1945年8月の第二次世界大戦で日本が敗戦する日まで、大日本帝国憲法の下、日本も幾多の戦死者、戦争被害者をつくって来ました。その歴史を繰り返すことがあってはなりません。戦後76年を経、戦争を体験している世代が数少なくなっている中、その歴史を風化させず、後世に引き継いでいくために、戦争遺跡の存在は重要だと思います。

◆戦争遺跡の重要性について知事はどのような認識をお持ちかお伺いをいたします。

 

○県知事 お話のありました戦争遺跡につきましては、戦争体験者の方々の高齢化、あるいは減少によりまして、記憶の風化が憂慮をされている中でございます。

 戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に語り継ぐという上で、大変重要な役割を果たしているというふうに認識をしております。

 そうしたことから、県におきましては、平成30年度につきまして、今年度県内の明治時代から昭和20年頃までの戦争遺跡について、再調査をいたしました。

 その結果、旧陸軍歩兵第44連隊を含めまして、16市町村に合わせて97カ所の戦争遺跡が存在しているということを確認したところでございます。今後、この97カ所のうち、規模保存状態を踏まえまして、まずは30カ所を抽出いたしまして、詳細な調査を行いたいと考えます。

 その結果をもとに、市町村と保存の在り方を協議していくという予定といたしております。また戦争遺跡の重要性に鑑みまして、県といたしましても、旧陸軍歩兵第44連隊の跡地を取得いたしまして保存・活用の検討を進めているところでございます。

 こうした戦争遺跡を活用いたしまして、平和の重要性を後世にもしっかりと伝えていくという考えであります。

 

●塚地議員 ありがとうございました。その重要性を認識していただいているということが、十分伝わってまいりましたので、ぜひ、よろしくお願いいたします。

市民の皆さんの運動と県、県議会の英断で、財務省が売却を予定していました高知市朝倉にある約5500㎡に及ぶ「旧陸軍歩兵第44連隊跡地」を今年度県が買い取り、県民の貴重な財産となったことは今ご答弁があった通りです。

2019年2月議会で土地取得の意思を示されて以後、2020年には「旧陸軍歩兵第44連隊跡地保存活用検討委員会」を設置して、11月には保存・活用基本方針を策定しています。今年度から、その基本方針に基づく具体的な調査や活用に向けての検討が行われていますので、何点か伺いたいと思います。

◆まず、保存についてですが、「弾薬庫」と「講堂」については、建造物としての保存することが明記されています。弾薬庫を保護していた土塁について、保存を求める声もありますがどのような検討がなされているか、文化生活・スポーツ部長に伺います。

 

○文化生活・スポーツ部長 44連隊跡地にございます旧弾薬庫の西側に土盛り、土が盛り上げられた箇所が残されております。この土盛りにつきましては、弾薬庫の内部の弾薬が爆発した際の防御壁として構築された土塁の一部である可能性がありますため、昨年12月に県教育委員会による試掘確認調査が行われております。

 その結果、構築の時期を特定することはできなかったものの、その構築の方法や文献で確認されました弾薬庫と土塁の位置関係からこの土盛りは、旧弾薬庫に付随する土塁の可能性が高いとの判断がされているところでございます。

 このため、この土盛りにつきましては、今後周辺の樹木の伐採などを行いまして、全体像を把握した上で、保存について検討してまいりたいと考えております。

 

●塚地議員 ありがとうございました。

施設の運営については、検討委員会の提言では「県として管理運営を行っていくことを基本」とされています。

◆私は以前の質問で、歴史民俗資料館に保存されている戦争関連の資料や遺品などの管理の重要性も指摘してきましたが、歴史民俗資料館との関連施設にしていくことは考えておられないか、文化生活・スポーツ部長に伺います。

 

○文化生活・スポーツ部長 これまで、歴史民俗資料館におきましては、本県の戦争の歴史に関する重要な資料の収集、保存、展示公開を行ってきたところであります。

 44連隊跡地の保存活用を図る上で、これまでに蓄積されてきました歴史民俗資料館の知見は貴重なものだと考えております。

 跡地の管理運営の方法などにつきましては、現時点では未定でありますが、今後の検討に際して、歴史民俗資料館との関係を考慮してまいりたいと考えております。

 

●塚地議員 ぜひ、その方向で、検討を私は進めていただきたいと思います。

 基本構想の管理運営の項で、この施設の運営内容として、関連資料の収集、保存、調査研究も位置づけられております。それらを専門的に行おうとすれば、おっしゃった通り、歴史民俗資料館の専門性は、極めて重要な要素であると思いますので、ぜひ、よろしくお願いいたします。

資料の収集については提言の中で、「急速な資料の散逸が憂慮されることから、様々な機会を捉えての早急な対応が必要である」とできるだけ早く取り組みを行うように求めております。

◆すでに取り組みが進められていると思いますが、現時点での状況を文化生活・スポーツ部長にお伺いいたします。

 

○文化生活・スポーツ部長 保存活用基本方針におきましては、戦争体験者の高齢化や減少により記憶の風化が、憂慮される現状を踏まえまして、戦争の記憶の資料としてとらえ、戦争体験者や遺族の方々の証言などの聞き取り調査の実施を掲げているところでございます。

 昨年度、県教育委員会におきまして、関係者のご協力をいただき、14名の方々にインタビューを行い、当時の44連隊の状況や戦地の様子などに関する貴重な証言が収録されているところであります。

 

●塚地議員 本当に、急がれる課題となっております。大変な中ではあろうかと思いますけれど、なおいっそう、収集にご努力をお願いしたいと思います。

44連隊の跡地周辺には、44連隊に関連する陸軍病院や陸軍墓地等の関連施設が設けられていたことから、「朝倉地区は高知県の近代史を考える上で大変重要な場所である」とし、「周辺関連施設の一体的な活用を行う」とされています。まず、同じ兵営であった高知大学の敷地内にも重要な44連隊関連の施設が残されているのではないかと考えます。

◆そうした関連史跡の調査と今後の活用について、どのように進めて行かれるか、文化生活・スポーツ部長に伺います。

 

○文化生活・スポーツ部長 例えば、お話にもございました高知大学の朝倉キャンパスの敷地は、44連隊の兵営の跡地であることや、大学の正門付近は当時の44連隊の正門に当たることなどから、44連隊と密接に関連する場所であるものと考えております。

 県におきましては、44連隊跡地と周辺に点在する関連跡地をつなぐ見学コースを策定する構想なども持っているところであります。

 高知大学をはじめ、関連跡地の関係者の方々には、今後具体的な検討を進めていく中で、必要なご協力などをお願いしてまいりたいと考えております。

 

●塚地議員 よろしくお願いいたします。

今後のスケジュールを見ますと、2026年には一般公開を予定して、来年度から再来年度にかけて施設活用等基本・実施設計を作ることになっています。これまで、地域にある関連施設を自主的に保護・管理されてきた方々が地元におられます。今後、施設運営に当たって地域の方々の協力も必要になってくると思います。

◆基本設計を固めきる前に、検討委員会の内容や今後のスケジュールなど、地元への説明が必要だと思いますが、どのよう検討がされているか、文化生活・スポーツ部長にお伺いいたします。

 

○文化生活・スポーツ部長 現在のところ、まだ跡地の活用に向けて、必要な調査や旧講堂および旧弾薬庫の保存のための基本設計を実施している段階であります。

 今後、調査の結果などを踏まえまして、具体的な保存、活用策や詳細なスケジュールなどについて、検討を行うこととなってまいります。

 このため、地元へのご説明の時期などにつきましては、現時点で明確に申し上げられませんが、どのような施設ができるのかということにつきましては、地元の方々も関心を持っていただいていると存じますし、例えば、跡地の整備にかかる工事に伴い、騒音や工事車両の出入りなどによりまして、地元の方々にご迷惑をおかけするといったことなども想定されますため、今後の取り組みの進捗をふまえながら、できる限り早い時期にご説明してまいりたいと考えております。

 

●塚地議員 ありがとうございました。ぜひ、よろしくお願いいたします。

最後に、県内には多くの戦争遺跡が残され、十分な保存活用がされていなかったり、発見されていない物もあります。

◆この施設が、そうした遺跡の保存活用のネットワークの中心になるような体制、子どもたちに戦争の実像を学んでもらえる施設として充実させていくことが未来への県の責任だと思いますが、知事の決意を最後にお伺いしたいと思います。

 

○県知事 旧陸軍歩兵第44連隊の跡地は、県内の多くの若者が、この地から、出征をした歴史的に大変重要な場所でもあります。

 この歴史を後世に語り継ぐことは、県としても、意義深いというふうに考えております。そのため、現在、県民の皆様への公開を目指しまして、活用に向けた調査、経年劣化の激しい旧講堂、旧弾薬庫の保存についての基本設計を開始した、そういう段階でございます。

 県といたしましては、小中学生をはじめといたします県民の皆さんが、実際に残された施設を見学するということを通じまして、44連隊などの歴史、時代背景を理解いただきまして、平和の尊さを感じる施設として、しっかりと整備をいたしたいというふうに考えております。

 

●塚地議員 教育施設、見学施設という機能だけでない、やっぱり私は、あそこの場所を様々な戦争遺跡の調査研究という位置づけもありますので、さらなる充実をぜひしていただきたいという、これは要請としてお願いをしておきたいと思います。

 

【女性管理職の配置について】

●塚地議員 それでは、質問の最後の項目で、女性管理職の配置について、お伺いをいたします。

昨日も中根県議から、男女共同参画社会の推進についての様々な角度からの質問がなされましたが、私は、県組織における管理職の配置についてお伺いいたします。

男女共同参画基本法が1999年に制定され、あらゆる分野における女性の活躍が強調され、労働だけでなく家庭や政治参加など様々な分野での男女平等をうたっています。2015年8月には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」も作られ、その法律に義務付けられている地方公共団体に特定事業主行動計画「高知県における女性職員の活躍の推進に関する特定事業主行動計画」を県も翌2016年に策定し、県庁内での女性職員の活躍推進の取り組みを進めておられます。

 昨年4月には、この間の取り組みの到達を踏まえ、2025年までの計画の改訂を行いました。そこで、この間の取り組みの評価についてどのようにお考えか、知事に伺いいたします。

 

○県知事 本県におきましてはご紹介いただきましたように、平成28年の3月に、特定事業主行動計画を策定いたしました。

 これに基づきまして、女性の活躍を着実に推進するというために、採用からポスト職への登用まで様々な段階においての取り組みを進めてまいりました。

 例えば、女性が働きやすい環境を整えるという観点から、ワークライフバランスの推進、男性の育児休業の取得促進に取り組みまして、また登用につきましても、適材適所を基本といたしまして、能力を最大限に発揮できる配置に、意を用いてまいりました。

 こうした取り組みによりまして、知事部局におきますチーフ職以上におけます女性の割合は平成27年度の19.6%から、令和3年度には、26.8%と大幅な増加をいたしております。

 また、管理職におけます女性割合も、同じく7.1%から14.2%に倍増していると状況でございまして、この間の取り組みによる成果が一定出てきているというふうに認識いたしております。

 

●塚地議員 私は、この間の女性管理職の配置が目標に向かって前進をしているということ、評価するものですが、何点かさらなる強化を求めてお聞きをいたします。

 本年度の人事異動の発表にあたりまして、知事は、派遣の1名を含め、課長級から副部長級へ4人の女性職員を昇任させ、一等級に過去10年間で最高の5人となったと述べられました。このこと自体は前向きにとらえています。

しかし、日本を牽引する女性活躍のトップランナー県を目指す姿として自ら発信している鳥取県では、本県と比べて、課長級の女性比率は3%ほど低いものの、昨年4月の資料で部長級総数18人のうち女性は5名で27.8%。次長級、本県で言えば副部長級は総数54人のうち女性は10名で18.5%となっています。合計すると女性比率は20%を超えています。

一方、本県の昨年度の知事部局の部長、副部長の女性比率は2.2%、今年は知事もお述べになったとおり、増えてはいますが5.4%に止まっています。知事は、この現状の差をどのように受け止められるかお伺いいたします。

 

○県知事 議員からご指摘ございました通り、鳥取県は、部長級・次長級の女性割合が全国でも非常に高い部類だと考えておりまして、女性活躍の取り組みが進んでいる都道府県の一つであるというふうに認識しております。

 本県の状況について申しますと、現在知事部局以外の他部局に所属をしている職員も含めまして、女性の部長級は1名、そして副部長級は7名ということでございまして、率直なところ、鳥取県と比べますと、この人数、割合ともにまだ少ないというのが現状でございます。

 ただ、知事部局の現状を全国で比較したデータを見ますと、令和3年の4月1日時点の管理職における女性割合という切り口で見ますと、鳥取県が16.5%、全国6位でございますが、本県は14.2%、全国16位ということでございます。

 そういう意味で、部長級・副部長級というところに限定をしますと、かなり大きな差がついているということは、ご指摘のとおりでありますが、裾野となります管理職層ということで、幅広にご覧いただきますと、部長級・副部長級ほどの差はないということでございまして、本県もそういった意味で次代の部長級・副部長級を担う女性管理職を着実に育ててきているというふうに考えております。

 

●塚地議員 着実な前進をぜひ目に見えるものに、私はしていただきたいと、思っております。

この適材適所は、人事における大前提です。私が問題視をしておりますのは、この県の重要な政策判断を行うという庁議の場に女性が一人もいないということです。しかも、2年連続しているという点です。

◆この点について、知事はどのような認識をお持ちか、お伺いをいたします。

 

○県知事 庁議というのは、県行政の重要政策を決定するという場でございます。この場に女性職員が加わっていただくということは、本県が社会の多様性に対応し、活力を高めていくという大変有意義なことだというふうに考えております。

 議員からご指摘ございましたように、現状は庁議メンバーに女性がいない状況にございます。ただ、繰り返しになりますが、管理職、あるいはチーフ職以上といった階層での女性の割合は着実に伸びているということでございますので、近い将来ですね、今後の庁議メンバーの育成に必ずやつながってくるというふうに、期待をいたしているところでございます。

 とは申しましても、現状、2年連続でということでご指摘がございましたが、庁議メンバーに女性職員がいないといった現状は、これは心にしっかりとめながら、片方で人事は議員からもご指摘ありました適材適所というのも大原則でございますので、こういったものも照らしながらしっかりと検討してまいりたいと考えております。

 

●塚地議員 すいません。ちょっと時間の関係で残りの質問が、できなくなってしまったんですけれど、知事から今お話があった通り、やっぱり庁議メンバーに女性が一人もいないというのは、個人の問題ではなくて、組織の問題として、私は高知県庁にとって、大きな課題になるんだろうなというふうに思っております。

 一点、政策調整会議なんですけれど、それについても同様の懸念があるのではないかというふうに思っておりまして、その点が、構成がどのようになっているのかは、総務部長、すいません、お願いいたします。

 

○総務部長 政策調整会議は、各部局の予算を総括する副部長などを構成員としておりまして、副知事を除いた17名のうち現在女性の構成員は2名となっております。

 

●塚地議員 ぜひ、県庁のさらなる活性化ということを含めまして、今の庁議メンバー、政策調整会議のメンバーに多くの女性が登用されるようにですね、県としてのいっそうの努力をしていただきたいと思います。

 私は特別なことを言っているというつもりは、まったくなくてですね、やっぱり当たり前の組織に県庁のリーダーもなっていくということが大事だと思うんですね。そういう点での努力を、ぜひ強く要請をしておきたいと思います。

 知事も、先ほど、急いで、この女性がいないという状況を解決したいというお話もございましたので、ぜひ期待をしておきたいと思います。

 以上をもちまして、私の一切の質問を終わらせていただきます。

 今期で退職をされる県の職員の皆さん、本当にお疲れ様でございました。それぞれの場で、また引き続きご活躍くださいますように祈念を申し上げて終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。