議会報告

【質問項目】

・知事の政治姿勢 「国葬」問題、統一協会

・新型コロナウイルス感染症対策

・物価高騰対策

・生活保護行政

 

●米田県議 私は、日本共産党を代表して、以下質問を行います。

 

【政治姿勢・「国葬」問題】

●米田県議 最初に、安倍元首相の「国葬儀」、いわゆる国葬について知事に伺います。

日本共産党は、安倍晋三元首相が、参院選遊説中に銃撃され亡くなられたことに哀悼の意を示し、言論を暴力で封殺した蛮行を断固糾弾することを表明しました。他方で、わが党は、岸田政権が閣議決定した国葬は、国家として安倍氏の政治を賛美・礼賛することになり、憲法に保障された内心の自由を侵害して弔意の強制につながるとして、その中止を強く求めてきました。

昨日(9月27日)、国葬が日本武道館で執り行われ、本県から濱田知事、明神議長が出席をされました。

国葬の最大の問題は、国葬が憲法に違反することです。第一に、国葬は、憲法第14条が規定する「法の下の平等」に違反します。なぜ安倍元首相のみを特別扱いにして国葬を行ったのか。在任期間が8年8カ月と長かったというだけでは、合理的理由とはなりません。時の内閣や政権党の政治的思惑・打算によって、特定の個人を国葬という特別扱いし、憲法が規定する平等原則と相容れないことは明らかです。

第二に、国葬の強行は憲法第19条が保障する「思想及び良心の自由」に反するということです。岸田首相は、8月10日の記者会見で、国葬は「故人に対する敬意と弔意を国全体としてあらわす儀式」だと述べました。ここで述べられた「国全体」とは、私たちを含めた「国民全体」ということになります。ですから、これが憲法第19条に違反した弔意の強制であることは明らかです。

◆知事は、今回の国葬が、憲法第14条、第19条を踏みにじることになるとの認識はなかったのか、そして国葬が民主主義を揺るがすことになるとの認識はなかったのか、併せて伺います。

 

○県知事 米田議員の御質問にお答えをいたします。

まず、安倍元総理の国葬儀に対する認識について、お尋ねがございました。

今回、国葬儀とした理由につきまして、岸田総理は大きく4点を挙げられております。 第一に、憲政史上最長の通算8年8ヶ月にわたって総理大臣の重責を担われたということ。第二に、東日本大震災からの復興、地方創生の推進、戦略 的外交の展開など様々な分野で実績を残されたこと。 第三に、各国から様々な形で敬意と弔意が表明されていること。

そして、第四に、民主主義の根幹たる選挙運動中の非業の死であること、であります。こうした点を勘案し、政府において安倍元総理の国葬儀の実施を判断され、閣議決定がなされたものと承知をしております。このため、今回の国葬儀の決定について、必ずしも合理的な理由がないとまでは言えないのではないかと考えます。

また、今回の国葬儀は、実施によりまして、国民の権利を制限したり義務を課するという性格のものではありませんので、行政権の範疇に含まれるものとして行われる儀式であります。政府としても、国民一人ひとりにまで弔意を求めるものではないということを岸田総理が国会の場で明言されております。

以上のような経緯、対応を踏まえますと、今回の国葬儀の実施をもって憲法第14条に規定されます「法の下の平等」及び第1 9条に規定する「思想及び良心の自由」を侵害するとまでは言えないのではないかというふうに考えております。

このため、今回の国葬儀が民主主義を揺るがすことになるというような認識はございません。

 

●米田県議 国葬が近づくにつれて、反対の世論が強まりました。報道各社の世論調査では、軒並み国葬反対が賛成を大きく上回っています。

国会にはからず、閣議決定のみで国葬を決め巨額の国費を使う、岸田首相の説明に国民は納得していません。安倍政権の8年余りの間に、特定秘密保護法、共謀罪、集団的自衛権の容認、安保法制など憲法を踏みにじる政治が強行されました。「森・加計・桜」など政治の私物化が横行しました。公文書の改ざんを命じられた善良な公務員が自死する一方、誰も責任をとっていません。

加えて、安倍元首相と統一協会(世界平和統一家庭連合)との深い関係が、新たな疑惑として浮かび上がり、政治不信を招いています。

◆国葬反対が世論の多数となる中、なぜ知事は国葬に出席したのか理由について伺います。

 

○県知事 次に、安倍元総理の国葬儀に出席した理由について、お尋ねがございました。

報道各社の世論調査におきまして、今回の国葬儀に関して国民の賛否が分かれた状況にあったということは認識をいたしております。背景には、亡くなられた安倍元総理が現職の国会議員であり、総理退任後間もないこともありまして、政治家としての評価が定まっていないといったことなどが要因としてあったのではないかと考えております。

しかしながら、今回の国葬儀は政府において閣議決定をされまして、国の公式行事として実施されるものであります。また、安倍元総理におかれましては、憲政史上最長の通算8年8ヶ月にわたって、我が国の総理大臣の重責を担われた方でもあります。加えて、選挙戦中の銃撃という蛮行でその命を奪 われたことは、断じて許されないという思いもあります。

こうしたことを踏まえた時に、私自身としては、県民を代表する立場で参列し、直接哀悼の誠を捧げることが適当であろうと考え、国葬儀に出席をすることにいたしたものであります

 

◆次に、日本共産党高知県委員会と県議団は、国葬を前にして(9月9日)知事及び教育長にそれぞれ「県民への弔意強制に反対する」申入れを行いました。要望内容のうち、高知県内において、県民への弔意表明の強制を招くことがないよう、県庁各部局等における弔旗・半旗の掲揚や黙とう等は行わないことに対してどう対応されたのか、知事に伺います。

 

○県知事 次に、弔意表明に関する県庁での対応について、お尋ねがございました。

今回の国葬儀に際しましては、国の公式行事として実施されること、あるいは近年の類似の事例での対応の実績、こういったものを踏まえまして、半旗を掲揚し、弔意を表明するということといたしました。

このため、知事部局におきましては、総務部から各部局に対しまして、国葬儀の当日、県の庁舎で半旗を掲揚するように文書で通知いたしました。また、職員に黙とうを要請するということは行っておりません。

 

●米田県議 教育長には、学校の政治的中立性を確保する観点から、県教育委員会として学校および各市町村教育委員会へ弔意表明を求めないこと、学校における弔旗・半旗掲揚や黙とう等の実施状況について、調査・確認を行わないことを要請しました。

◆県教育委員会として、どう対応されたのか教育長にお聞きします。

 

○教育長 安倍元総理大臣の国葬儀にあたっての県教育委員会の対応について、お尋ねがございました。

昨日の安倍元総理大臣の国葬儀にあたりましては、弔意表明に関して文部科学省や知事からは特段の要請がございませんでした。また、過去の総理大臣経験者の葬儀にあたっての 対応の例や他県の動向等も参考にしながら総合的に判断した結果、県教育委員会として、県立学校を含めた所管施設や市町村教育委員会に対して何ら要請は行っておりません。

また、こうした要請は行っておりませんので、学校における弔意表明の実施状況について調査する予定はございません。以上でございます。

 

【政治姿勢・統一協会】 

●米田県議 次に、統一協会問題について、知事にお聞きいたします。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会によれば、統一協会(世界平和統一家庭連合)による被害は、1987年から2021年に全国の消費者センターへの相談と合わせて、計3万4537件の被害相談があり、被害額は約1237億円にのぼります。統一協会は2009年に「コンプライアンス宣言」を出し、法令順守を徹底してきたと主張していますが、宣言後も2875件の被害相談があり、被害額は約138億円に及んでいます。

 警察庁や消費者庁、法務省などによる統一協会問題合同電話相談窓口も9月5日から開かれ、初動の5日間で相談件数は1000件を超えたと報じられています。

 「先祖の因縁」などと不安に陥れ、高額のつぼなどを買わせる霊感商法の手法は、裁判においても「高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」(2009年「新世事件」)と認定され、関連企業の社長らが有罪判決を受けています。近年では、より巧妙化し、「事件化」しないように、献金の返還を請求できないよう権利を放棄させる「合意書」の存在も確認されています。

◆統一協会、世界平和統一家庭連合の反社会性を、どのように認識されておられるか、お聞きいたします。

◆また、把握されている県内の被害実態はどうか、合わせてお聞きいたします。

 

○県知事 次に、統一教会、世界平和統一家庭連合に関する認識及び県内の被害実態について、お尋ねがございました。

統一教会につきましては、かねてより、いわゆる霊感商法や高額な献金などが社会的な問題として指摘されておりまして、中には裁判に至った事例もあるというふう承知をしております。

平成2 7年8月に世界平和統一家庭連合と改称された後も、全国的に被害の相談が寄せられるなど、各方面から同様の問題が指摘されていることは、最近の報道などで承知しております。

また、県内でも旧統一教会及びその関連団体によります被害等が報道されているということも承知をいたしております。

県立消費生活センターにおきましては、旧統一教会に関しまして、資料が残っております平成24年から一昨日までの間に、5件の相談をお受けしています。

ただ、いずれも事案自体は過去のものでありまして、相談者もご本人でなくご家族の方であったということなどがございまして、具体的な被害の実態につきましては、県として確認できておらないという状況であります。

 

●米田県議 この間、高知県として知事部局、教育委員会、学校などに統一協会との接点の有無等について、調査されています。関連イベントの後援・協賛や補助金交付などの“業務上の関わり”はなかった、また「今年8月末に教団高知教区の幹部が県消費生活センターを訪れ、教団に関する相談状況を尋ねる事案があった」としています。

行政が、統一協会関連団体などに関わりを持つことは、統一協会の活動に「お墨付き」を与え、被害の拡大を招くものであり、許されません。

◆高知県行政として、統一協会や関連団体との関わりを持たないことが、被害を拡大させない社会的責任をはたすために必要と考えるものですが、お聞きいたします。

 

○県知事 次に、統一教会や関連団体への県行政の対応につきまして、お尋ねがございました。

旧統一教会、すなわち現在の世界平和統一家庭連合に関しましては、先ほどご答弁いたしましたとおり、昨今、社会的トラブルについての報道が多数なされていることを承知しております。こうした社会的に問題がある団体の活動を助長する効果が見込まれる場合には、イベントへの後援、共催、あるいは補助金の支出を行わないなどといった形で、適切に対応してまいります。

一方で、県には公的機関といたしまして、県民に等しくサービスを提供するという義務、責務がございます。従いまして、このような団体に対しましても、例えば、公の施設の利用について、これを一律に拒否するといったような対応をとることは困難であると考えます。 このような事例をはじめといたしました行政サービスの提供において一定の関係が、当該団体との間で生じるということはやむを得ないというふうに考えております。

いずれにいたしましても、世界平和統一家庭連合及びその関係団体に関する個々の事案につきましては、県民の皆さんに誤解を招かないように慎重に対応してまいります。

 

●米田県議 本県と統一協会の接点の調査において、調査団体として対象となったのは10団体となっています。有力な関連団体のいくつかが外れています。特に、重大だと考えるのは「日韓トンネル」に関わりのある団体「日韓トンネル推進全国会議」、「日韓海底トンネル推進議員連盟」、「国際ハイウェイ財団」などが軒並み含まれていない点です。

 日本と韓国を海底トンネルで結ぶという「日韓トンネル」構想は、両国を、全長200㎞を超えるルートでつなぐという荒唐無稽な計画で、1981年に統一協会の創始者である文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が提唱したものです。統一協会と関連団体が推進してきました。

 統一協会は、この「日韓トンネル」構想を資金集めに利用してきた、と指摘されています。全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士によれば「その壮大な計画を『教団が実現する!』というのが、信者に向けたアドバルーンなのです。『日韓トンネルを造るため』という名目で多大な献金を集めてきたのです。億単位の被害者はいくらもいます」と述べています。実際に、統一協会側から「日韓トンネル等の資金が必要」といわれて、消費者金融から計3億7000万円を借り入れ、統一協会にだまし取られるという事件も報じられています。(96年4月9日付日本経済新聞)

 「日韓トンネル」構想という大事業計画を示すことで、統一協会は自らを権威付けし、資金集めをしてきたというのが実態です。

 この構想を推進しているのが、「国際ハイウェイ財団」です。会長は梶栗正義(かじくり・まさよし)氏で、統一協会関連団体である国際勝共連合、世界平和連合などの会長も務める統一協会の最高実力者の一人とされる重要人物であり、国際ハイウェイ財団と統一協会との深い関係が分かります。2016年に統一協会・現トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏が来日し、「日韓トンネル」の唐津市内にある試掘抗を訪ねるなど、統一協会が、この計画に力を入れていることが分かります。

◆この統一協会と深い関係のある「日韓トンネル」構想に関わる「国際ハイウェイ財団」等を、県が実施した調査対象から外したのはなぜか、経過と合わせて、この項は総務部長にお聞きいたします。

 

○総務部長 旧統一教会、世界平和統一家庭連合及び関連団体との業務上の関わりを把握するため、県が実施した調査の対象とその選定経過について、お尋ねがございました。

この調査の実施にあたっては、他県調査を参考に、世界平和統一家庭連合及び報道などで当該団体との関係が明らかとされている団体として1 0団体を選定いたしました。

加えて、各部局に照会するにあたっては、選定した10団体以外についても、関連団体と判断されるケースについては、幅広く報告を求めておるところでございます。以上でございます。

 

●米田県議 この「国際ハイウェイ財団」で、「日韓トンネル」推進の講演会が2016年、2017年を中心に全国で活発に取り組まれていますが、大阪観光局の溝畑宏(みぞはた・ひろし)理事長が確認されただけで16回講演したと報じられています。(2022年8月15日付週刊現代)

 韓国で2017年11月に開かれた「ピースロードフォーラム特講」の講演録を見ると、登壇した溝畑氏は前観光庁長官との肩書で「韓国も『韓日トンネル推進委』をつくるべき」と題し、「日韓トンネルこそ両国の最大のビジネスになる。日韓トンネルが開通することを祈念します。私も微力ではありますが、協力いたします」と、この日韓トンネルを推進する自らの立場をつまびらかにしています。「国際ハイウェイ財団」の梶栗会長と並んで登壇した講演もあるなど関係の深さがうかがえます。

 溝畑氏は、取材に対し、登壇の経緯を「日韓トンネル推進全国会議の事務局から、日韓交流、とりわけ日韓の観光交流の必要性についての講演依頼があったことから引き受けました」と回答しており、講演の事実を認め、1回5万円の謝礼を受け取っていたと明らかにしています。確認されただけでも80万円の謝礼を受け取っており、統一協会が不正に得た資金が還流したことが強く懸念されます。

それ以上に、溝畑氏が、「観光庁長官」の経歴を示して講演に立つことで、荒唐無稽な「日韓トンネル」構想がさも実現可能であるかのように権威付けし、統一協会による被害を拡大した可能性を否定できません。

 溝畑氏は、2016年4月に大阪観光局長に就任し、そして、現在、関西・高知経済連携強化アドバイザー会議メンバーとして、高知県の関西戦略に深くかかわっています。

◆溝畑氏と、統一協会=国際ハイウェイ財団・日韓トンネルとの関りは、不適切であると考えるものですが、知事の認識をお聞きいたします。

 

○県知事 次に、大阪観光局の溝畑理事長と国際ハイウェイ財団との関わりについて、お尋ねがございました。

この国際ハイウェイ財団によります日韓トンネル関連イベントにおきまして、溝畑理事長が複数回にわたって講演をされていたということは、報道で承知をいたしております。

また、報道によりますと、溝畑氏は自らの経歴から日韓の観光交流を強化すべしとの信念を持っておられて、講演を引き受けたというふうに語られておりますし、また、この講演の席上で、高知県政のあり方については特段の言及はなかったというふうに理解をしております。

したがいまして、本県の知事という立場で、溝畑氏が講演に至った経緯やその内容、さらには財団との関わり等が適切であったどうかについて申し上げるべき立場にはないと考えております。

 

●米田県議 統一協会の被害を拡大しないために行政と統一協会・関連団体との関わりを断つという立場に立つならば、関西・高知経済連携強化アドバイザー会議という、高知県の産業振興計画・関西戦略の中核を担う組織に、「日韓トンネル」構想を自らが推進する立場に立ち統一協会と深い関係にあると言わざるを得ない溝畑氏が参加することは、許容できません。

◆溝畑氏を、関西・高知経済連携強化アドバイザー会議メンバーから解任する必要があると考えますが、お聞きいたします。

 

○県知事 次に、溝畑氏を関西・高知経済連携強化アドバイザーから解任をすべきだというご意見、お尋ねがございました。

溝畑氏は、大阪観光局の理事長という公職に就かれておりまして、高知県が関西戦略を進めますうえで観光誘客のキーパーソンとして、大所高所からのアドバイスをいただいております。

関西戦略の中でも「観光の推進」は大きな柱でございまして、特に、大阪観光局との連携による商品造成などが、今後重要なポイントとなっております。したがいまして、溝畑氏には、その経験や知見を生かして、引き続きアドバイザーの職を担っていただきまして、関西との経済連携の後押しをお願いしたいと考えております。

 

【新型コロナウイルス感染症対策】

●米田県議 新型コロナウイルス感染症対策について、知事にお聞きいたします。

 高知県内でも、7月中旬ごろから、いわゆる「第7波」の感染拡大が襲い、これまでにない規模の感染爆発が起こり、医療機関や高齢者施設等でのクラスターが頻発、8月24日は2,028人の新規感染者を確認し、過去最大を記録しています。

 医療従事者の感染・濃厚接触による人員不足も重なり、発熱外来をはじめとした医療提供体制はひっ迫、発熱しても病院の予約が取れない事例が多発しました。救急搬送も、現場到着から搬送までに30分以上かかった事例が、高知市内だけで、8月に350件以上あったと報道されています。保健所業務もひっ迫し、支援物資等が必要な方へ届かない事例も起こりました。これまでで最も厳しい状況に追い込まれたと言わなければなりません。

 この原因として、「感染拡大防止と社会経済活動との両立」と言いながら、実質的には、「感染拡大防止」を弱め、積極的な感染拡大防止策は取らずに、県民の自主的な感染予防を呼び掛けるに留まり、大規模なイベント等も相次いで開催されたことがあります。こういったいわばブレーキをかけずにアクセルを踏む判断の背景として、知事は「第7波(オミクロン株)は感染力は強いが重症化率は低い」との認識を繰り返し示されました。

しかし、この点で、重大なのは、死亡者数の著しい増加です。高知県における新型コロナ患者の死亡者数は、8月の一カ月間で121人に達し、これは、7月までの累計死亡者数を一カ月で上回る、極めて深刻な、痛恨の事態となりました。9月も死亡事例が後を絶ちません。昨日(9/27)までで、9月54人の方が亡くなられています。

「重症化率」つまり、肺炎になりづらいということをもって、オミクロン株BA.5のリスクを軽視し、積極的な感染抑止策を取らなかった「行動制限のない夏」の代償はあまりに大きかったと言わざるを得ません。

 知事は会見で、「コロナの症状が悪化して、重症化して亡くなるというケースは、あまり多くない。重篤な持病を抱えておられて、コロナの感染が引き金になって、元々の持病が悪化して、亡くなられるケースの方が、数字的に定量的な分析はできておりませんけれども、むしろ多い」、「死者が増えていると言っても、中身の問題だと思う」と発言されています。また、知事は、コロナ「関連」死を死亡者数にカウントするかどうかの統計の取り方の問題も指摘をされていますが、他県との比較はともかくも、本県で統計の取り方を変えていない以上、この8月以降に、新型コロナ患者の死亡が急増したことは紛れもない事実です。

医療機関や高齢者施設でのクラスターも相次いだため、何らかの健康上のリスクを抱えたコロナ患者が多かったことは当たり前です。しかし、コロナが引き金という以上は、コロナにかからなければ、失われなかった命だったと言えます。亡くなられた方、一人ひとりに人生があり、ご家族もおられたと思います。知事の「死者が増えていると言っても、中身の問題」との発言は、ご遺族の心痛を思えばあまりに配慮に欠け、命を軽視するものではないかとの批判をお聞きしていますが、当然です。

◆知事の「定量的な分析はできていない」発言についてですが、コロナ感染に起因する死亡に関わる重大な問題です。本来、分析したうえで評価すべきであり、余りにも軽率な発言と考えるがどうか。また、その後、どう分析し、対応してきたかお聞きします。

 

●米田県議 肺炎に着目する新型コロナの「重症化」の考え方については、オミクロン株の実態、あるいはワクチン接種が進んだ現状に合っていないとの指摘がされているところです。

インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁(くらもち・じん)院長は、「軽症者と診断された方がある程度、一定期間たって脱水などで持病が悪化したり、腎不全をきたしたりして、治療困難」となるとの状況を報告しています。これを避けるには、早期の点滴投与・投薬などが有効と指摘しています。

また、国立国際医療研究センターによれば、8月下旬までに医療機関に入院した7万人余りの内、亡くなった2,861人を分析。亡くなった方のうち、中等症だったのは第5波では57%だったのに対し、第6波で83%、第7波で89%と増加していてワクチン接種が進んだことなどで重症の肺炎になる患者が減った一方、コロナ感染をきっかけに持病が悪化して亡くなる患者が多くなっているとしています。分析した大曲貴夫(おおまがり・のりお)国際感染症センター長は「中等症でも、特に持病のある高齢者は、臓器の働きが悪くなって衰弱し亡くなる人が目立つ。『コロナは死ぬような怖い病気ではなくなった』という意見もあるが、現場ではコロナにかからなければ亡くなることはなかったというケースばかりだ。」との意見を述べています。

◆死者数の急増という痛恨の事態を繰り返さないために、肺炎に着目する重症化の考え方を実態に合ったものに転換し、ワクチンの効果も踏まえ、新型コロナ変異株のリスクを適正に評価し死亡を防がなければならないと考えますが、お伺いいたします。

 

○県知事 次に、コロナ感染に起因をいたします死亡事例の定量的な分析に基づく対応という点、あるいは、重症化リスクを適正に評価した死亡防止の取り組みについて、お尋ねがございました。関連をいたしますので、併せてお答えいたします。

新型コロナにより亡くなられる方が増え始めました8月中旬頃までは、日々の感染者の動向を確認する中で、亡くなられた方々一人ひとりの状況を把握しまして、概括的にその傾向を判断するという対応にとどまっておりました。

こうした段階で、記者会見の場で、私の方から定量的な分析はまだおこなっていないというお話をしたところでございます。その後、これらを体系的に整理いたしまして、定量的な分析を行ったところでございまして、それによりますと、今年7月以降のBA.5を主とする 第7波におきましては6万人を超える感染者が確認されておりまあして、9月2 1日時点で176人の方がお亡くなりになりました、そして、そのほとんどの方が基礎疾患をお持ちの方ということでございました。

これら第7波によります死亡者のうち、コロナ肺炎が重症化して死亡した方の割合は、第6波に比べて大幅に低下をいたしておりました。

この死亡者に占める割合が、32.1%ありましたのが7.4%にまで低下をしていたということであります。

一方で、基礎疾患をお持ちの感染者におきましては、現行の診断基準では重症に該当しない、発熱、脱水により基礎疾患等が悪化し、死亡に至った方、こうした方が第6波では、67.9%が第7波では92.6%を占めるまでに増加しておったというわけでございます。

議員からは、重症の考え方を転換すべきとのご意見をいただきましたけれども、このように、第7波におきましては、コロナ肺炎にまで至っていない軽症、中等症の方がお亡くなりになるケースが、かなり増加している、これは事実だと考えます。

したがいまして、我々といたしましては、コロナ肺炎による重症化への対応だけではなくて、軽症、中等症で基礎疾患をお持ちの方々に対しましても、早期の治療、薬の投与などによりまして、新型コロナへの感染によって全身状態が悪化することを防ぐことも重要になってきていると認識をいたしております。

引き続き、コロナに関する科学的知見をわかりやすく県民の皆さんにお伝えをしまして、重症化リスクの高い方々への注意喚起やワクチン接種、コロナ治療薬による早期治療、こういった取り組みを推進いたしまして、これにより、可能な限り死亡者の発生を減少させるように努力をしてまいります。

 

●米田県議 また、コロナにかかったことにより死亡につながる事例をいかに防ぐのか、具体的手立てが問われています。

◆今後の感染拡大を見据え、軽症者に早期に点滴投与・投薬等ができる臨時的な医療施設をつくり、患者の重症化や死亡を避け、ひいては医療機関のひっ迫を緩和する必要があるものと考えますが、お聞きいたします。

 

○県知事 次に、軽症者に早期に点滴投与あるいは投薬等ができる体制をつくるべしというお尋ねがございました。

患者の重症化・死亡リスクを低減させるためには、医師の診断によりまして速やかに新型コロナウイル感染症治療薬を投与することが有効であるというふうに考えます。

しかしながら、治療薬の対象は、国の通知によりまして重症化リスク等のある軽症患者に限定されております。また、これまで、治療薬の安定的な供給が難しいことがありまして、 厚生労働省がこれを所有した上で、事前に登録した医療機関あるいは薬局にのみ配分されるという供給上の制約もございました。

このため、県におきましては、入院協力医療機関をはじめすべての検査協力医療機関にこの事前登録をお願いいたしまして、確定診断後、速やかに投薬できる体制の構築を図ってまいりました。加えて、医師会におきまして、医師を対象とした治療薬に関する研修会を開催するということなどを通じまして、できるだけ多くの医療機関で投薬ができる体制を築くべく準備してまいりました。

こうした中で、今月16日には、一部の経口抗ウイルス薬につきまして一般流通が開始されました。すなわち、事前の登録無しにすべての医療機関で投薬することが可能となったというような変化がございました。

こうした状況を受けまして、県といたしましては、新たに臨時の医療施設を設けるという方法ではなく、地域の身近なかかりつけ医を含めまして、検査・診断を行いますすべての医療機関において、速やかに投薬できる環境を整えてまいるという方針で対応したいと考えております。

 

●米田県議 この間、政府は相次いで、新型コロナ対策の緩和を続けています。入国者数制限を5万人に緩和し、現地出国前72時間以内の陰性証明も不要としました。療養期間も短縮し、発症者は7日間、無症状感染者は5日間の療養で解除できるとしています。国立感染症研究所の分析によれば、症状がある感染者が他の人に感染させるリスクは10日間療養し11日目に解除となった場合は3.6%でしたが、8日目の解除では16.0%に上昇するとされています。期間短縮が議論となった厚労省の専門家組織の会合でも「医療機関や高齢者施設の従事者など重症化リスクの高い人に接する人は10日間の療養期間を守るべきだ」といった短縮に否定的な意見も出た、と報道されています。当然ですが、療養期間を短縮したからといって、それにあわせてウイルスの感染性が弱まるわけではありません。

政府が対策緩和を性急に進める一方では、第7波の中、8月の一カ月間として過去最多となる7,328人の新型コロナ患者が全国で亡くなっています。感染防止対策を緩和すれば、新型コロナによる死亡リスクが増えることは免れません。政府は「社会経済活動との両立」をうたいますが、両立の片側であるべき感染防止対策は弱まる一方です。

◆今般の政府による新型コロナ感染防止対策の緩和は、コロナ患者の死亡数増加を許容することにつながり、時期尚早と考えますが、認識をお聞きいたします。

 

○県知事 次に、政府によりますコロナ対策の緩和は、時期尚早と考えるがどうか、というお尋ねがございました。

世界的に見ましても、ウイズコロナの時代に向かっている中でございまして、我が国におきましても同様に、感染拡大防止と経済活動の回復とのバランスをとりながらの舵取りが必要な段階にきていると考えております。

こうした中、国におきまして、外国からの入国者につきましては、諸外国の動向も踏まえまして概ね自由化が行われました。

受け入れ空港を限定し、日々の受け入れ上限5万人を設けた上で、出発各国の感染状況に応じた検疫措置を講じておりまして、中身としては妥当なものでないかと考えております。

また、今月からは全数届出を見直しまして、感染者の療養期間や濃厚接触者の待機期間も短縮されましたけれども、これは国において科学的データの裏付けを取った上で決定されたものというふうに承知をしております。

このうち、特に、全数届出の見直しに関しましては、死亡する方のほとんどが高齢者あるいは入院中の方であるということを踏まえまして、6 5歳以上の方あるいは入院を要する方は従来どおり保健所に届け出るという対応を維持しているところであります。

今後進むべきウイズコロナ時代におきましては、この様な感染状況、あるいは病原性などを踏まえた科学的知見に基づきまして対策の見直しを進めていくべきものというふうに考えております。

 

●米田県議 この間、「感染防止と社会経済活動との両立」と言いながら、積極的な感染拡大防止策を取らないことが、結果として、経済にもダメージを広げています。コロナ陽性者、濃厚接触者の急増により、各分野で働き手の不足が顕在化しています。高知県内で言えば、とさでん交通が、コロナにより乗務員の確保が困難として、運航便数を減らしたことなどが一例ですが、個人事業主や小規模店では、コロナ陽性になれば仕事は休まざるを得ず、一時休業なども散見されます。

 働き手不足は深刻です。野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミストである木内登英(きうちたかひで)氏によれば、1日当たり新規感染者数の月中平均を、7月11.5万人、8月19.5万人、9月1.5万人と推計したうえで、失われる労働投入量を求めた結果、7~9月期の経済損失は、名目GDPで7.9兆円にも上るとしています。これは、第6波のまん延防止重点措置のもとで失われた個人消費の規模の試算値4兆円の2倍近くに達します。

 つまり、積極的な感染拡大防止対策を講じなかったことが、かえって、経済のダメージを大きくしたと考えなければなりません。

◆真に「感染拡大防止と社会経済活動との両立」を実現し、経済損失を避けるためにこそ、感染拡大期には、現金給付とセットで、営業や大規模イベント等に一定程度の制限をかけるなど、積極的な感染拡大防止対策を講じる必要があると考えますが、お伺いします。

 

○県知事 次に、感染拡大期におきます積極的な感染拡大防止対策を講じる必要性について、お尋ねがございました。

オミクロン株は感染力が強く、かつてない感染拡大をもたらしましたけれども、若い世代の重症化リスクは低いわけでありまして、感染が拡大する場面も飲食の場が中心だったところから、最近では、高齢者施設や家庭内に大きく変わってまいりました。

こうした特性を踏まえまして、国は、新たな行動制限は行わずに、高齢者等を守ることに重点を置くという考え方に立ちまして、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るという方針を採用しているというふうに考えております。

本県では、こうした国の方針あるいは県内の感染状況を踏まえまして、給付を伴う形での強い行動制限は行わずに、ワクチン接種の推進、無料検査の実施、クラスター対策などを講じてまいったところでございます。

また、「BA.5対策強化宣言」を発出した際には、さらなる病床の確保あるいはオンライン診断の実施などを行いまして、医療のひっ迫を回避するための直接的な対策を強化してまいりました。

こうした対策の結果、強い行動制限を伴います感染拡大防止対策を講じることなく、新規の感染者数を減少傾向に転じることができたものと考えております。

今後も、できるだけ強い行動制限はかけずに、高齢者等に医療資源を重点化するということなどによりまして、保健医療システムを引き続き機能させ、社会経済活動も維持をしていくように取り組んでまいります。

 

●米田県議 次に、新型コロナに関わり、具体的な対策について、お伺いいたします。

 一つは、生活物資支援についてです。この間、コロナ自宅療養者の生活物資の調達は原則「自己責任」とされているところですが、先の倉持氏の指摘によれば、新型コロナ感染では脱水症状による腎不全等の危険性があるとされていることからも、下痢あるいは発熱による発汗などが続けば、生活物資が確保できない状況は脱水状態を招きかねず、生死に関わるものと言えます。生活物資の支援は、「必要な方には届ける」という運用になっているものと承知しており、本議会にも予算が提案されていますが、5カ月間で3000セットと数が少なく、必要な方にも生活物資が届かないケースが増えています。

 先日は、学生への生活支援物資配布を実施している「ほっとまんぷくプロジェクト」が、自宅療養を経験した学生へのアンケートを公表し、82%が「食料など生活必需品の調達」に困ったと回答しています。

 そのような中で、例えば、黒潮町では、健康福祉課が担当し、「生活必需品セット」の配布を続けています。8月は一カ月間で町内180人に配布したとのことです。米、パン、季節の野菜、果物のほか、要望があればトイレットペーパー、マスク、オムツ、生理用品などの日用品を届けています。保健師の聞き取りにより、体調の相談や、療養時の不安の相談にも応じているとのことです。

◆市町村と積極的に連携するなど、必要な方に生活支援物資が届く仕組みを再構築する必要があると考えますが、健康政策部長にお聞きいたします。

 

○健康政策部長 自宅療養中に必要な方へ生活支援物資が届く仕組みについて、お尋ねがございました。

本県では、福祉保健所を通して自宅療養中の生活支援物資を必要とする方への物資配送を行っております。なお、全数把握の見直しにより、今月26日以降は、重症化リスクが低く症状が軽い方に登録していただく「陽性者フォローアップセンター」でも、要望に応じて配送を行うこととしました。

また、高齢者などで、ご本人の同意が得られれば各市町村においても、買い物支援等のサービス提供などが実施されており、各福祉保健所と市町村で連携して対応しているところでございます。

療養期間等については、令和4年9月7目より、オミクロン株の特性を踏まえ、これまでの発症日から1 0日間の療養期間を病状により最大で3日間短縮する措置が取られました。

同時に、療養期間中の外出自粛についても、一定の条件のもと、必ずマスクを着用するなど自主的な感染予防の行為を徹底することを前提に、食料品等の買い出しなど必要最小限の外出を行うことは差し支えないことが示されました。

こうした療養期間の短縮や療養期間中の外出自粛中の外出緩和等の状況も踏まえまして、ご自身や親族等で調達できる方は、ご自身の好みや体調に合わせた食糧などを調達していただきたいと思います。一方で、支援の必要な方には引き続き、各市町村、関係団体とも連携して、生活支援物資を届けてまいります。

 

●米田県議 小規模飲食事業者の実態も深刻です。この間の、感染爆発や、人々の行動変容の結果、ある割烹料理屋では、コロナ以前の売上の3割減となっているなどの実態をお聞きしています。県下隅々で営業されている小規模飲食事業者の皆さんの存在は、高知の豊かな食文化を支え、観光や農畜産物・水産物の産業振興にも資するものです。それにふさわしい支援が求められます。

◆小規模飲食事業者の売上について調査したのか、したのであれば、コロナ前との比較をお示しください。

◆小規模飲食事業者をはじめとした事業者の長期化するコロナ禍の影響を自己責任とせず、定量的なエビデンスに基づき事業者を直接支援する必要があると考えますが、商工労働部長に併せてお聞きします。

 

○商工労働部長 小規模飲食事業者への売上の調査と直接支援について、お尋ねがございました。関連しますので併せてお答えします。

まず、売上の調査について申し上げますと、新型コロナウイルス感染症は、飲食店をはじめ幅広い業種に影響を与えていることから、調査対象となる事業者が膨大な数になり、調査するとなると、集計、分析に相当の時間と労力を要することとなりますし、分析結果が出る頃には経済状況が違ったものになっており、必要な対策が後手に回ってしまうことも 懸念されます。

また、事業者の皆さまにも負担を強いることになるため、これまで個別事業者の売上調査は行わず、商工会や商工会議所、金融機関、商店街振興組合など関係する団体を通じて、その都度、業界や個別事業者の状況や声をお聞きしているところです。併せて、私を含めそれぞれの職員が様々な機会を生かして、個別の企業の状況について直接お話も伺っているところです。
 今月中旬の飲食店の状況は、昼間営業の店舗は、平日、週末ともに利用客が増えてきております。夜間営業の店舗では、一定の回復は見られますものの、二次会で利用されるような店舗は、依然として厳しい状況が続いております。全体としては、コロナ前の状況までは回復していないとお聞きしております。

次に、事業者への支援について申し上げますと、本県においては、先ほど申し上げましたとおり、定量的な調査は行っておりませんが、これまでにも経済状況に応じ、給付金の支給や新事業へのチャレンジに対する支援など、他県よりも一歩も二歩も踏み込んだ直接的な支援を行ってまいりました。また、特別経済対策プロジェクトチームと連携し、Go to EATキャンペーンなどによる需要喚起といった間接的な支援も行ってきたところです。

今後も、引き続き県内経済の実態把握に努め、事業者の声 もお聞きしながら、特別経済対策プロジェクトチームとも連携しつつ、限られた財源を最大限有効に活用し、必要な対策を迅速に講じてまいります。

 

●米田県議 医療や介護・高齢者施設、保健所などエッセンシャルワーカーの疲弊は、長期化するコロナ禍の中で限界に達しつつあります。第7波が一定落ち着いた段階で、医療、介護・高齢者施設、保健所の現場職員などから知事が直接ヒアリングし、課題や問題意識を共有して、第8波以降に備えて、実態に即した支援策の立案をする必要があると考えるものです。また、ギリギリの状態で現場を支えているエッセンシャルワーカーの皆さんの声を、知事が直接聞くことは、現場の奮闘に光を当て、励ますことにもつながります。

◆知事による医療・介護、あるいは保健所など新型コロナと最前線で対峙する現場の皆さんへの直接ヒアリングを行い、現状をつかむ考えはないか知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、新型コロナと最前線で対時する現場の皆さんから直接ヒアリングを行ってはどうかとの、お尋ねがございました。

新型コロナウイルス感染症への対応が長期化をしている中で、日々医療や介護の最前線でご尽力をいただいております従事者の皆様方に、心より感謝を申し上げたいと思います。

これまで、県医師会や看護協会との方々との意見交換を行ってまいっておりまして、その中で社会福祉施設で従事されている方も含めて、医療現場等々の方からも直接お話を伺ってまいったところでございます。

実情を伺いまして、例えば、医療現場の負担軽減に向けましては、発生届出の簡略化が必要ではないか、あるいはオンライン診断の体制を整備すべし、あるいは検査キット配布をすすめるべしとこういった対策を検討の上進めてまいったところでございます。

また、福祉保健所につきましては、業務の逼迫を受けまして、全庁あげての応援職員の投入あるいはOB保健師のご協力などによりまして、体制強化を図ってまいったところでございます。

引き続き、様々なルートから現場の声を集めまして、その課題や問題意識を共有いたしまして、実態に即した支援策の充実につなげてまいる考えであります。

 

【物価高騰対策】

●米田県議 次に、物価高騰対策について知事に伺います。

総務省「消費者物価指数」によると、前年同月に比べ値上がりした品目が増加しています。7月の調査では、調査品目のうち実に72・7%が前年同月に比べ値上がりました。値上がりが全般にわたっています。さらに帝国データバンクによると、年内に値上げを実施したか予定する食品は八月末時点で二万品目を上回り、十月は年内最多の値上げとなる見込みといわれ、「物価高倒産」も例年を上回るハイペースとなっています。

県民のくらし、県経済を支える事業者にとって極めて深刻な影響を与えています。

今回の物価高騰は、気候危機を背景にした穀物などの不作、ウクライナ危機による資源、食料輸出の混乱にくわえ、止まらない円安の影響があります。

9月7日、円相場が一時1ドル=144円台に、24年ぶりの円安を記録しました。1年前が110円前後でしたので、円の価値が4分の3に下落したことになり、これが輸入コストの急上昇を招いています。欧米がインフレ抑制のため利上げを断行する一方、日銀は相変わらず金融緩和を続け、金利差を広げ円売りの動きに拍車をかけています。

日銀が金融緩和策の変更による円安と物価の抑制には消極的なのは、「需要は伸びておらず、国内は依然デフレだ」との見方があると指摘されています(9/3東京新聞社説)が、当初より私たちは「通貨供給が足りないからデフレに陥っており、通貨供給を増やせば景気が上向く」というインフレターゲット論は、現実をさかさまに描いた虚構であり、事実上の日銀の赤字国債引き受けは、出口のない重大な副作用を生むと危険性を指摘してきました。現状は、指摘どおりの事態となり、金融緩和を続けても需要は増えなかったばかりか、財政破綻、日銀の債務超過を引き起こす利上げもできず、袋小路に陥っています。まさにアベノミクスの失政の結果です。円安は止まらず「今年中に160円、来年180円」とも指摘され、まだまだ値上げは続くという極めて深刻な事態です。

 

まず、賃上げ、中小事業への支援などで、実態経済を回復することが求められます。

 財務省が発表した法人企業統計によると大企業の内部留保(資本金10億円以上の大企業の利益剰余金のほか、引当金などの合計。金融・保険業を含む)は2021年度末で484・3兆円、前年度比べ17・5兆円増となっています。大企業の諸指標の2012年度からの推移をみますと、売上高 1・02倍、配当金 2・02倍、賃金 1・05倍と、売上高が伸びないなか、賃金を抑え込み、株主への配当金と内部留保に回していたことがわかります。

 日本共産党は、大企業がこの間の減税などによって増やした内部留保120兆円に、5年間の時限立法で2%の課税をし、その際、賃上げやグリーン投資分控除する仕組みとし、10兆円規模の財源をつくり、思い切った中小企業支援と一体で最低賃金1500円の実現を提案しています。

◆こうした、暮らしを応援し、実態経済を温める対策が求められます。それが、異常な金融緩和路線を正常化させる前提ともなります。認識をお聞きします。

 

○県知事 次に、現在の物価高騰を踏まえました今後の国の経済対策について、お尋ねがございました。

我が国の経済を安定的かつ持続的に成長させるためには、成長の成果を賃金や設備投資などに振り向けていくということが重要であります。他方で、経済回復の支障となります物価高騰への迅速な対応も求められているのが現在の状況だと考えております。

こうした中、国におきましては、先般、足元の物価高騰に対応するための追加策が決定されました。この追加策の中には、輸入小麦やガソリンの価格抑制対策、低所得世帯に対する支援などが盛り込まれております。さらに岸田総理は、物価高や新しい資本主義に対応する総合経済対策を1 0月中に取りまとめるという方針も示されております。

これらの対策を早急に進めまして、我が国の経済の早期の回復につなげますとともに、企業の利益を内部留保ではなく賃金や設備投資に振り向けるように促す取り組みを加速いただきたい。その上で、成長と分配の好循環の実現を図っていただきたいというふうに私としても考えております。

本県におきましても、県民の皆さんの暮らしを守るために、各分野の状況を注視しながら、 国の施策を最大限活用し、タイムリーに必要な対策を講じてまいります。

あわせまして、国の新たな経済対策が物価高騰などの影響を受けた県経済あるいは県民生活の回復の後押しとなりますように、全国知事会とも連携し必要な提言を行ってまいる考えであります。

 

●米田県議 政府は、4月に決定した物価高騰への緊急対策として地方創生臨時交付金に1兆円の「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」枠を創設、さらに4,000 億円の増額を決め、先の交付金のうち留保していた2,000 億円とあわせ、総額 6,000 億円を重点交付金として交付します。

この物価高は一過性のものではなく、本県の経済を支えている中小商工業者、一次産業の大規模な廃業や離農が懸念されます。緊急対策として積極活用するとともに、気候危機などに対応する新しいシステムを支える支援を抜本的に強化することが、高知県の今後を左右するといっても過言ではありません。

◆再生可能エネルギー・省エネルギーの抜本普及を目指し、住宅などの断熱改修助成制度、建築物への太陽光発電の設置、ソーラーシェアリングなどに予算措置すべきと考えますが、この項は、林業振興・環境部長にお聞きいたします。

 

○林業振興・環境部長 再生可能エネルギー、省エネルギーの抜本普及を目指した予算措置について、お尋ねがございました。

気候変動に対応し、カーボンニュートラルを実現させていくためには、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーを着実に促進していくことが必要です。そのため、県では昨年度に「脱炭素社会推進アクションプラン」を策定し、具体的な取組を進めているところです。

再生可能エネルギーの導入促進策としましては、本年度から、民間事業所向けと個人住宅向けに太陽光発電設備の導入にかかる補助制度を創設いたしました。

この制度は、発電した電気を自家消費することを条件としており、太陽光発電と農産物の栽培を同時に行う営農型発電、いわゆるソーラーシェアリングも、そうした場合には対象と なります。

また、 6月補正では、林業分野における原油価格の高騰への対応とともに脱炭素化を進めるため、電動チェーンソーや電動フォークリフトの導入支援策を創設いたしました。

その他、住宅用の断熱改修や、木質バイオマスボイラー導入への支援などを盛り込んだ県の計画が、この5月に国の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金に採択されました。現在、予算化に向けた制度の検討などを進めているところです。

今後も、増額された地方創生臨時交付金などの活用を検討するとともに、政策提言を通じたさらなる財源の確保に取り組み、再生可能エネルギーの導入や、省エネルギーの促進を強化してまいります。

 

●米田県議 物価高騰が広範囲にわたり、しかも、まだまだ続くことが懸念されます。政府の対策は、『大胆な対策が必要』といいながら住民税非課税世帯への5万円給付、ガソリン補助金の延長、小麦売り渡し価格の据え置きなど、あまりに貧弱です。

これだけの物価高騰に対しては、所得が少なければ少ないほど恩恵が大きい消費税の減税をやるべきです。コロナ危機で世界96の国と地域で付加価値税を減税しています。

◆県民の生活と営業にとって、消費税の減税が、暮らしに困っている人、商売に苦しんでいる業者への一番の支援になると思うがお聞きします。

 

○県知事 次に、こうした経済状況の中で、消費税の減税が、暮らしに困っている方々への一番の支援になるのではないか、というお尋ねがございました。

国民の皆さんが、うすく広く負担をしていただく形の消費税は、少子高齢化社会におけます社会保障を安定的に維持していく財源として位置付けられておるところでございます。

こうしたことから、政府におきましては、消費税の減税という歳入サイドの対策ではなく、本年4月の原油価格・物価高騰対策等緊急総合対策に加えまして、9月には、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金として住民税非課税世帯等に対し、一世帯当たり5万円を給付するなどといった形で国の歳出面からの経済対策を講じるということによりまして、困窮されている方々の生活を支えていく考えに立って対応されているというふうに認識しております。

政府は、今後さらに、物価高騰などに対応する新たな総合経済対策を1 0月中に取りまとめる方針も示されております。

県としましても、こうした国の動向を注視いたしまして、経済対策も活用しながら、県民の暮らしを守るために、引き続き各分野の状況に応じて、適時必要な対策を講じてまいります。

 

●米田県議 インボイス制度の問題点については2月県議会でただしましたが、この物価高騰のもとで、導入を強行すれば、新たに発生する負担で、廃業、離農などを一気に加速することにならないか、地域の商店、直販店に出店していた農家など、地域社会の支え手に深刻な影響を与えることになるのではないか。

◆その影響について実態にもとづく調査を実施するとともに、少なくともインボイスの導入は凍結、延期すべきと思いますがお聞きいたします。

 

○県知事 次に、消費税のインボイス制度の導入によります影響調査の実施と導入の凍結、延期について、お尋ねがございました。

インボイス制度の対象となります県内の免税事業者の皆さんに、全国同様、取引先からの排除や経営への影響を懸念する声があるということは、関係団体を通じて承知をいたしております。

このため、これまでにも全国知事会などと連携をいたしました政策提言を行いまして、国におきましては導入に対する各種の支援策の充実などが図られてまいりました。

お尋ねのありました事業者への直接の調査は、現段階では実施する予定はございませんけれど、引き続き関係団体を通じて、しっかり現場の実情の把握に努めてまいります。その上で、さらに必要がございましたら、円滑な導入に向けた政策提言を今後も行ってまいる考えであります。

また、インボイス制度の導入にあたりましては、軽減税率制度が実施をされてから4年間の準備期間、それに加えまして、制度開始後6年間の経過措置が設けられることとなっておりまして、段階的に移行するという配慮も行われております。

このインボイス制度そのものは、消費税の複数税率が導入をされた下で適正な課税を確保するために必要な措置であるというふうに考えております。

そのため、県内の事業者の皆さんが円滑に新たらしい制度に移行できますよう、税務署とも連携を図りながら、周知、広報等の支援に努めてまいる考えであります。

 

●米田県議 インボイス発行事業者の登録で義務的に求められるのは、法人名・個人事業者の氏名、登録番号となっています。すでに一定数の登録がされていますが、多くの同姓同名の個人事業主が存在しています。そうした中で、発注元の会社が確認を簡単にするためには任意で登録する住所や屋号、通称、旧姓などの登録を会社側から要請、事実上強制されることが懸念されます。そしてその情報は、公開されます。

プライバシー侵害につながるとして日本俳優連合や日本SF作家クラブ、日本漫画家協会など多くの団体が反対しています。また、家族や元パートナーのDVやストーカーなどから逃げて、個人事業主として生計を立てている人は廃業を余儀なくされるかもしれません。

◆プライバシー保護についてあまりにもずさんな制度設計であり、この点でも導入は問題だと思うがお聞きします。

 

○県知事 次に、インボイス発行事業者となりました場合の登録情報の公開とプライバシー保護の関係について、お尋ねがございました。

個人事業者がインボイス発行事業者となりました場合には、国税庁の公表サイトにおきまして、氏名、登録番号及び登録年月日が公表されます。また、個人事業者は、円滑に取引を行うために、本人の申し出によりまして、主たる屋号、主たる事務所の所在地等を追加で公表することが可能となっております。

国におきまして、個人事業者の公表事項をプライバシーに配慮して、原則として、氏名、登録番号及び登録年月日といった法令で定められた事項に限っているものと承知をしておりま す。

くり返しになりますけれど、インボイスの制度は、適正な課税を確保するために必要な措置であるというふうに考えております。県といたしましても、県内事業者の皆さんに混乱が生じないよう、国において、どういった対応がとられるかという動向も注視しながら、周知、あるいは広報等の支援に努めて参ります。

 

【生活保護行政】

●米田県議 次に、生活保護行政について、子ども・福祉政策部長にお伺いします。

            

【生活保護①生活保護は権利】

「生活保護の申請は、国民の権利です。ためらわずにご相談ください」――2年前の9月県議会で、日本共産党田村智子参院議員の国会質問に対するこの政府答弁を紹介して、広報の充実とともに、ためらわずに生活保護の申請、相談ができるように自治体に取り組みを強めるよう求めました。早速21年2月3日「生活保護をお考えの方へ 生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに相談してください。」とし、高知県のホームページを改善しています。

  しかし、県の「生活保護のしおり」を含めて、県下の福祉事務所では、「生活保護の申請は権利」等明記をしていないところがあります。

◆市町村と協力、連携をして改善を図るべきと考えますが、伺います。

 

◆また、静岡県、札幌市、新潟県南魚沼市などいわゆる「生活保護の申請は権利です」ポスターを作成、掲示するなど、権利保障のための取り組みが広がっています。これらの取り組みに学び生かしたらどうか、併せて伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 まず、生活保護制度についての広報と他県の取り組みを踏まえた周知について、お尋ねがございました。

生活保護の申請をお考えの方の中には、不安や抵抗感を感じる方もいるため、そうした不安などを和らげるためにも、分かりやすい広報に取り組む必要があります。

こうした中、県においては、生活保護の申請は国民の権利であることをホームページ上で周知しております。一方で、お話のありました県の「生活保護のしおり」には、記載がないことから、改善を図ってまいります。

また、県内の多くの市では、ホームページや「生活保護のしおり」に生活保護の申請は権利であることの記載がないことから、国や県の取り組みを紹介し、より良いものとなるよう働きかけを行ってまいります。

こうしたことに加え、お話のあった他県の事例も参考にしながら、制度のより効果的な周知について、市町村とともに取り組んでまいります。

 

【生活保護②自動車の保有】

 ●米田県議 次に、自動車の保有、使用について伺います。

  この問題も生活保護申請の大きな壁になっています。

  先日、保護の相談を受けました。75歳の女性ですが、坐骨神経痛、膝関節痛等のため仕事もできなくなり、古い軽自動車が日常生活で欠かせないもので、保有しての保護申請を提案しましたが、“車があったら受けられない、早く受けたい”と、処分をしての申請となりました。

  30代の青年ですが、失業後、生活保護を利用し、コロナ禍での特例による通勤用自動車の保有、処分保留が認められています。しかしこの間仕事は見つからず、2年ほど前に診断された疲労症候群の症状が厳しくなるなど、今後、自動車を保有できなくなるのでは、と精神的負担が強まっています。

  今日、現行の制度、通知を前提にしながら、自立助長、最低限度の生活を保障していけるように解釈・運用するとともに、自動車保有容認の基準を緩和することが必要ではないでしょうか。

  国は自動車を保有したまま、生活保護利用を認めるケースはあくまで限定された場合に限られています。事業用としての自動車、「公共交通機関の利用が著しく困難」な場合の通勤用・通院用自動車、障害者の通院等のための自動車、の保有となっています。

◆それぞれに該当する自動車の保有要件の件数と現状について、お聞きします。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、生活保護世帯における自動車の保有件数と現状について、お尋ねがございました。

生活保護世帯において、自動車の保有が認められるのは、自営業などの事業用や公共交通機関の利用が困難な場合の通勤・通院等、障害者の通院等に限られています。

令和3年度末時点で、県内の生活保護世帯において自動車の保有が認められた件数は185件となっています。

その内訳は、事業用が6 1件、公共交通機関が利用困難な場合の通勤用が4 3件、公共交通機関が利用困難な場合の通院等が2 0件、障害者の通院等が6 1件となっております。

令和2年度の208件と比較すると、 23件減少しておりますが、その大部分は高知市における減少となっております。

 

●米田県議 また福祉事務所等は、いま紹介した「保有を認めた目的以外に利用しない」よう指導しているとのことです。しかし、そもそも「保有目的以外で利用してはならない」とする規定はありません。枚方佐藤訴訟・大阪地裁平成25年4月19日判決、では「当該自動車を通院等以外の日常生活の目的のために利用することは、被保護者の自立助長(同法1条)及びその保有する資産の活用(同法4条1項)という観点から、むしろ当然に認められるべきである」と述べています。

 また815団体が参加する全国市長会は、「保健福祉施策に関する提言」のなかで、「地理的条件の悪い地域に居住する生活保護受給者が日常生活上の用に供する自動車の保有要件を緩和すること」と提言を毎年行っています。

  地域・地方の最前線で住民福祉増進のために頑張る市長会からの提言は、きわめて重いものがあると考えます。

  また、乗用車の世帯保有率ですが日本自動車工業会「2021年度乗用車市場動向調査」によりますと、首都圏69,7%、地方圏は82,4%、郡部は89,3%となっています。

また生活用品は、保有率が当該地域の全世帯の70%程度であれば「一般世帯との均衡を失することにならない」とされていることからしても、自動車は、生活用品として保有が認められるべきではありませんか。

◆保有要件緩和についての全国市長会の提言、また現在の自動車の保有状況をどう受け止め、対応するのか、知事のご所見を伺います。

 

○県知事 次に、生活保護世帯におきます自動車の保有について、お尋ねがございました。

生活保護の制度では、自動車は資産に該当しまして、その維持費は生計を圧迫するとの理由により、原則として保有は認められておりません。しかしながら、障害のある方や公共交通機関の利用が著しく困難な地域にお住まいの方が、通勤や通院に利用する場合などには、保有が認められているところであります。

こうした保有要件は、資産や能力など、あらゆるものを生活のために活用するといたしました法律の趣旨に照らしますと、一定の合理性があるものと受け止めております。

議員からお話がありましたように、このような中でありますが、全国市長会におきましては、地理的条件の悪い地域にお住まいの方が日常生活に使う自動車を保有できるように、要件の緩和を提言いたしております。

自動車の維持費をどう捻出するかといった課題がある一方で、通勤や買い物などに不便な地域が多い本県にとっては、全国市長会の提言内容は理解できる部分があります。

また、他県が実施した調査によりましては、本県を含む12府県が、全国市長会の提言と同様に、交通が不便な地域などにおけます。保有要件の見直しが必要と回答しているところでございます。

したがって本県もそういう意見をもっているわけでございますが、国の方は「慎重に検討したい」、慎重にといわれておりますが、検討はしたいという立場でお答えをいただいておりますので、県としては、これらの動き、国の対応も含めまして、こうした動きを注視してまいりたいと考えております。

 

【生活保護③エアコン設置】

●米田県議 次に、エアコン設置について伺います。

◆まず、今年の熱中症の救急搬送数、発生場所、傷病の程度などについて、危機管理部長にお聞きします。

 

○危機管理部長 本年の熱中症の救急搬送数等について、お尋ねがございました。

消防庁の調査の速報値によりますと、県内では、本年4月 25日から9月25日までの累計で、584名の方が熱中症により救急搬送されており、昨年の同時期と比較しますと約3 6% の増加となっております。

年齢構成別で見ますと、例年と同じく満65歳以上の高齢者の割合が最も多く、全体の約6割を占めております。

発生場所別で見ますと、最も多いのが住居で全体の約39%、次に道路で、約1 4%となっております。最後に、傷病の程度で見ますと、軽症が約64%、次に3週間未満の入院加療を必要とする中等症が約22%、3週間以上の入院加療を必要とする重症が約2%となっておりますが、救急搬送した事例で死亡事例はありません。

 

◆2018年(平成30年)4月より新規の生活保護利用者に、工事費も含めたエアコン設置助成が始まって4年になりますが、利用者への広報の徹底と制度の利用状況について子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、生活保護世帯へのエアコンの設置費用の助成に係る広報の徹底と制度の利用状況について、お尋ねがございました。

エアコンの設置費用の助成につきましては、制度が開始された平成3 0年度及び令和元年度には国の通知を受け、福祉保健所及び福祉事務所への周知を行い、令和2年度以降は、県独自に継続して福祉事務所などへの周知に取り組んでおります。

生活保護世帯に対しては、ケースワーカーが各家庭を訪問する際に生活状況などを確認し、必要に応じて助成制度の説明を行っているところです。

県内における制度の利用件数は、開始された平成30年度は36件、令和元年度は57件、令和2年度は78件、令和3年度は62件となっております。

 

●米田県議 それまでの利用者については助成されず、必要な世帯は、生活保護費のやりくりで、設置するように求めています。しかし、この間国は2013年から生活扶助基準を平均6,5%最大10%引き下げ(年670億円)、期末一時扶助引き下げ(年70億円)。2015年から住宅扶助基準(年190億円)と冬季加算(年30億円)も大幅に引き下げています。18年のさらなる引き下げ、そして消費税の2倍化、水道光熱費高騰、物価高など低所得者、生活保護利用者を容赦なく襲っています。保護費を節約して数万円単位の貯蓄をし、自力でエアコンを設置することはほとんど不可能ではありませんか。

  先ほど紹介した全国市長会は、同じ国への提言の中で「冷房器具の購入等に要する費用について、すべての被保護世帯が支給対象となるよう制度を改めること。冷房器具使用にかかる電気料金を扶助する夏季加算の創設」を求めています。

◆県として、連携して国に提言、要望し早期の実現を願うものですが、知事にお聞きします。

 

○県知事 最後に、生活保護世帯におきます冷房器具の購入費用の支給などについて、お尋ねがございました。

生活保護世帯におきます冷房器具の設置につきましては、熱中症予防の観点から、平成3 0年4月以降、その購入費用の支給が認められることになりました。一方で、それ以前から保護を受給している世帯につきましては、従来どおり生活保護費のやり繰りの中で賄うべきものというふうにされております。

一方で、近年、熱中症によります健康被害が心配される状況にありまして、冷房器具の設置は、命を守るうえで大変重要な意味をもってまいります。

そのため、購入費用の支給対象とならない世帯におきましては、金融機関よりも有利な条件で貸付が認められます生活福祉資金の案内や家計管理への助言など、きめ細かな支援を行っております。

県としましては、引き続き、一人ひとりに寄り添った支援に取り組むということで、必要な方に冷房器具が行き届くように対応したいと考えております。

あわせてお尋ねのありました、夏季加算につきましては、現在、国において生活保護基準の改定に向けた検討が行われておりますので、その検討状況を注視してまいります。

(私からは以上であります)

 

●米田県議 また平成30年3月31日以前から、生活保護を利用している世帯や低所得世帯を含めて対象にしている境港市や名古屋市、東京都荒川区など自治体でエアコン購入に独自に助成、支援するところが広がっています。県は「熱中症警戒アラートが出たらどうしたらいいの?」で、「不要不急の外出は避け、昼夜を問わずエアコン等」の使用をすすめています。

◆高知県も、市町村と協力してエアコン設置への新たな支援制度を創設するように求めるものですが、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたしまして、第一問といたします。

 

○子ども・福祉政策部長 最後に、生活保護世帯や低所得世帯を対象としたエアコン設置への新たな支援制度の創設について、お尋ねがございました。

近年、熱中症による健康被害が心配される状況にあり、エアコンの使用は命を守るためにも大変重要です。

経済的な理由により、エアコンを購入したくても出来ない場合への支援としましては、社会福祉協議会が実施している生活福祉資金貸付制度がございます。

生活福祉資金貸付制度の相談窓口では、その方の経済状況等をお聞きし、必要に応じて、生活困窮者自立支援制度の活用を促し、経済的な自立に向けた就労支援や家計相談につなげるなど、お一人お一人に寄り添った支援を行っております。

議員のお話にあった、エアコン設置への支援制度につきましては、都道府県で制度を創設しているところはなく、一部の自治体のみが助成している状況となっております。

今後も、熱中症予防のためのエアコン購入に対しまして、 社会福祉協議会と連携し、生活福祉資金貸付制度の周知、啓発を行うとともに、市町村や関係機関と連携し、生活が困窮 する方々の経済的な自立に向けて、必要な支援につなげてまいります。

 

【第二問】

●米田県議 それでは第二問をおこなわせてもらいます。一つは国葬の問題ですけど、今、知事が四つ理由を述べられましたけど、全くそんな今の答弁は、それこそ合理的な根拠ないと、言わざるを得ないと思います。8年8ヶ月、それは自民党の都合で8年8ヶ月やったわけですから、そして確かに非業な死は遂げられましたけど、奇しくも安倍さんが60年来の統一協会とのつながりが明らかになったし、そして、その広告塔としての役割、統一協会との繋がりの頂点にいたのではないかこういうことも明らかになったわけでそれが多くの国民の一つの疑念に広がってるんじゃないかというふうに思うんです。

それで、この間の閉会中審査にしても知事も述べられませんでした、国葬は開催する基準はありません、法的根拠もありません、岸田首相こう答えたんですよ。あとは閣議決定しかないんですそれを16億も血税を投入してやる理由には全くならない。だから国民は多数が反対の声を強めてるんじゃないですか。昨日のNHKでも、昨日の晩も国葬に賛成したのは35%、反対は57%いますと、という報道したんですよ。

だから閣議決定をもってして、戦後の国葬をやれる根拠もないし、国会で1度も議論もしてないのにやるべきものではないと言わざるを得ませんね。私聞きたいのはそうしたら知事はなぜ国民県民が国葬をやることに多数が反対してるのか、どんなふうに受け止めていますか。あなたの想いを聞かせていただきたいと思います。

 

それから、統一協会の問題ですけど、社会的問題が指摘されると言われてますけどそれを承知してるなら、またあえて言えば、知事は3年前ですか、選挙の時に行かれたという、なぜ行くんですか。

 承知しているのになぜ行くか。おかしいじゃないですか。

 知事の今の答弁は全く整合性が取れてませんよ。分かっちょって行ったのなら、大事です。

それと、少なくともですね、岸田首相も自民党も記者会見等で社会的な問題が指摘されるという風にいう、極めて不十分ですけど、それでも9月8日の茂木幹事長の記者会見でも、今後は「旧統一教会と一切関係を持たない」、とまでいいきらざるを得ない、ところまで来ているんですよ。国民はまだ疑心暗鬼を持ってますけれど、そこまで言っている団体なんですよ、それはあなたは社会的に問題が指摘される団体、そういうような捉え方ではなくて、しっかりと60年代の霊感商法やカルト集団のこの歴史を、為政者としてちゃんと見ないといけないじゃないですか、それは二つ目の質問です。

ちょっと中間になりますが、総務部長にも合わせてちょっと聞きたいですが、質問の関係で、よその県もそうだったと言いますけど、何で、今の統一協会にとってこの国際ハイウェイ財団、日韓トンネルというのは極めて重大な、位置づけの事業なんですよ。

 何十個と関連団体ありますけど、国際ハイウェイ財団、日韓トンネル協議会、日韓トンネル研究会これに関わってこれほど団体が作られてるんですよ。

 私は他県がそうだからといってこれはおかしいというふうに、賢明な総務部長なら、なったと思うんですよ。なぜあえてこれを抜かしたのか。率直に言って、この日韓トンネルの協議会四十七都道府県全部出来たんですよ、それだから余計他県も含めて触れたくなかったんではないかと、私はそんなことでこの反社会的な集団と対峙はできないように強く思うんですが、そこは答弁願いたいなと思います。

それから知事に、溝畑さんのことですけど、ハイウェイ財団、ひいては統一協会との関りがあったということは明らかで、事実を争う余地はないんです。国際ハイウェイ財団の事業報告という資料を当県議団も入手していますが、これは財団が公表したもので、はっきりと溝畑氏の名前が、いくどとなく出てくるんですよ。

県民会議、全国の各地の結成大会に参加しています。全国役員連絡協議会でも、講師をやっています。私が驚いたのは、最初多分、その支障が一番新しいか、よくわかりませんが、資料によると2012年から講師に行かれてるんです。あなたが大阪で副知事として、一緒にやる前からやられてるんですよ。

 私は、ここに「確信犯」的なところがあると思うんです。知事はライフワークみたいにいますけど、これほどまでに癒着をして、統一協会と癒着をしてライフワークといいながら、統一協会の事業の片棒を担いでるじゃないですか。

 それは高知県の正式の機関のメンバーとして置くことは、どれほど国民に対する裏切りになるか、彼が言っているから、高知県でのアドバイザーでもあるじゃないですか、とそういうことで彼が、統一協会と一体となって、それを広めること自身が統一協会に対する大きな弁護であり、力を貸すことになりますよ、分かりませんか。

 アドバイザーやからそんなことやってない、そんな事喋ってない、と、その場で喋ってなっても、ここへ来て高知県へ来て、向こうで世話になっている、その人がやることは皆さんが信頼してきますよね、そういうことやってはいけないから、私はアドバイザーから外すべきだというふうに言ってるわけです。以上、第二問といたします

 

○県知事 米田議員の再質問にお答えを致します。

まず国葬に関し、国葬儀に関しまして、県民の皆さん含め国民の反対が世論調査で多いとこの理由をどう考えているのか、ということについてでございます。

これにつきまして、私も第一問でお答えを致しました通り、安倍元総理の場合はまさしく現職の衆議院議員・政治家でかつ自民党の最大派閥の実力者という、まだまだ現役の中で今回の狙撃事件があって死亡されたと、そうした総理大臣としての歴史的な評価が定まらない前にですね、いわばまだ現役の政治家という段階でこうした形で死亡されたというところの事情が非常に大きいというふうに考えております。

総理大臣の仕事は国の行政トップという面もございますから、この国の行政の責任者として8年8ヶ月の仕事をされた、このことは私は今回の国葬に出席をしまして、映像資料を見ましても、非常に大きな実績を上げられておられますし、献身的な働きをされたとこの点については、おそらく、そう異論はないのではないかというふうに思います。

ただやはり政治家安倍晋三ということで見れば、いわゆる色々な事件、モリカケ・さくらと言われた事件があり、あるいは学術会議の委員の選任事件があり、そういったことに関しましては、私自身ももう少し丁寧な説明が必要ではなかったかと思いもございますから、政治家の立場として振り返りました時に、お話がありました統一教会の問題を含めまして県民の皆さん国民の皆さんには様々な意見があったと、それが行政面での功績ということと比べましても、政治家としての評価というところでトータルで考えた時にマイナスとお考えになる方がかなりおられるということがこういった県民の皆さんの意見、国民の皆さんの世論調査に現れているのではないかというふうに思います。

しかしながら、何度も申し上げますけれども、国の行政トップとして大変な重責を憲政史上最大の期間担われたということの功績は、そのことによって変わるということではないと考えておりますので、その点につきまして、私自身が素直にご苦労様でございましたという想いをお届けしたいということで今回の国葬議に参加をして、弔意をお示しをしたということでございます。

次に、統一教会の問題に関しまして、3年前の知事選挙の際に私自身、この高知県の責任者に挨拶に上がったということに関してのご質問でございます。この点につきまして、もともとこの団体が元統一教会との関係がある団体だということ、このことは承知をしてご挨拶に上がった、このことは事実でありますけれども、この私が訪問をしてごあいさつをした3年前の時点におきましては、このいわゆる霊感商法あるいは過剰な寄付の問題、こういったことが、過去においておこなわれておったということは、私も承知をしておりましたがその3年前の時点、さらに申し上げますと今回の参議院選挙前の時点ではこういった報道は一般的にはほとんど行われていないような 状況であったというのが実態ではないかと考えております。

そうしたこともございましたので、私と致しましては、このいわゆる反社会的な、社会的に問題がある行動なり、そういった活動といったものが、一定程度改善に向かっているのではないかという認識のもとに、当時は様々な団体に、ご挨拶に上がる一環としてご挨拶に上がったというのが実情でございまして、その点につきまして、この7月以降の、夏以降のですね、様々な情報、改めて情報に接しますと、必ずしも、下火になっていたということではないということだとすれば、そういう風に判断を致しましたので、今後の対応としてどうするかということに関しましては、こういった関わりは持たないつもりだということは申し上げておるつもりでございます。

最後に、この統一教会の関係の溝畑氏の問題でございますけれども、溝畑氏はこの会見や報道におきましても、ご自身の観光庁の長官を務められたあるいは大阪観光局の局長を務めているという経歴から、またあるいはサッカーの交流ということで、韓国との交流をしてきたというような経歴も含めて、日韓の観光交流を強化をすべきだというご持論を持ちで、その一環としてこの日韓トンネルの構想こういったものを進めていきたいといったお考えを持っていたと、それによってそうした立場から講演を引き受けて、この参加をしたというような表明をされているところでございまして、その点につきましてはこれはもうありのままに受け止めたいというふうに考えます。これもその今回の7月の参議院選挙前にこうしたような活動を、溝畑氏もされたということではないかというに考えておりますから、その意味で過去にこういった統一教会との関係があった、それも政治家というよりはむしろ行政的に近い関係があったということそれをもってですね、これが問題だということは必ずしも私はあたらないのではないかというふうに考えているとこでございます。

 

○総務部長 米田議員の再質問に御答弁を申し上げます。

旧統一教会世界平和統一家庭連合の関連団体としてもですね、県が実施した調査対象としたその選定の経過について再度ご質問ございました。

先ほどの答弁の繰り返しにはなってしまいますけれども、今回の調査の実施にあたりましては他県でどのような団体を調査対象としているかということをですね、その当時の情報を幅広く集めた上でございますけれども、ある団体をですねあえて外したということではなく世界平和統一家庭連合との関係が明らかとされているという団体としてですね、調査自体は8月下旬で行ったんですけれども、その当時の報道などをですね、よくチェックをいたしまして、そこで関係が明らかとされている団体というふうな名前が上がっていたところをですね、比較的幅広めに集めさせていただいてこの団体を選んだというところでございます、以上でございます。

 

●米田議員 率直にいってもそれは知事も脇が甘いし、その彼(溝畑氏)がライフワークでやりたいなら、アドバイザー止めてやったらいいんですよ、そういうことでしょ。彼がどんな善意を持っていても、統一協会のメンバーと一緒に、そこでこの話をするわけですからそれがアナウンスされるわけです。

結局、為政者、知事も含めて政治家はいろんな思いがあっても、周りからどうみられるか、客観的に、それがどういう役割を果たすか、ここを考えんといかんでしょう。

私は、友達であって観光局の理事長だからといって、それは無関係だみたいな話では絶対ダメです。是非あの今後どうするのか私の指摘踏まえて、今後どうするのか、ぜひ少なくとも検討して、判断をしてもらいたいというふうに思います。これは強く指摘しておきたいと思います。

また後は、この間の国葬問題でも、安倍氏の調査は不可欠だとか、教団問題を闇に葬るのか「国葬」するのかという意見もあるわけです。ですから、本当にあの国民が受けた被害実態をよく学びながら、見ながら、行政に取り組んでいただきたい、抗議も含めてこのことを強くお願いをして私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。