議会報告

【質問項目】

・ビキニ核被災船員の救済

・米軍の低空飛行訓練

 

●吉良県議 日本共産党の吉良富彦でございます。今日最後の質問となりました。皆さんお疲れと思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。さっそく質問に入らせていただきます。

 

【ビキニ核被災船員の救済】

●吉良県議 まず、ビキニ核被災船員の救済について、質問させていただきます。

本年3月12 日、県が「ビキニ環礁水爆実験健康被害支援に関する事業」として、「ビキニ環礁水爆実験に遭遇した元乗組員の被曝による健康被害に対する支援に向けた取り組みを行う」ことを目的とした「放射線被ばくを理解するための」シンポジウムが開催されました。コロナ禍などによって2年延期され、待ち望まれた集会であり、私も参加いたしました。

集会では県の家保健康政策部長のあいさつに続き、被災船、第7大丸で通信士だった大黒藤兵衛さんの遺族、下本節子さんと、室戸地区で元マグロ漁船員の聞き取り調査に取り組んでいる太平洋核被災支援センター濱田郁夫共同代表との発言がありました。

下本さんは、被ばくしたことを家族にも一言も言わずに胃がんを患い、その後、胆のうがんを発症し亡くなった父親のこと、そして室戸の被災船員の実情を報告し二度と被爆者を出さないため「核兵器禁止条約に署名すべき。核実験の被害者である船員と遺族の声に耳を傾けてほしい」と述べました。

濱田さんは太平洋海域での核実験は1946年から1963年まで140回を超え、1954年3月には多くの室戸の船が極めて放射線量の高い危険海域に20日間もとどまり操業していた。1954年当時、室戸と室戸岬にはそれぞれ約70隻、合わせて140隻の遠洋漁船があり、一隻当たり20から25人の船員で、約3000人の漁船員がいた。今、船員がまだ元気なうちにと、複数の調査チームで年間100名の聞き取りに入っている。被災直後に被ばくの初期症状と思われる急激な健康悪化を示している、第7大丸の船員を一人ずつ丁寧に追うと、病歴がわかった13名のうち8名、62%という高いがん発症率であった。他、第7孝栄丸8人のうち5人で63%、第5明賀丸に至っては13人中10人、77%とがんの発症率は異常な高さを示しており、救済には、早急な調査が必要だと訴えました。

次いで、鎌田七男広島大学名誉教授、先生は2015年~16年に県が開催した3度の健康相談会で講演と元漁船員の聞き取りを行った先生ですけれども、その鎌田先生と廣橋伸之広島大学教授、お二人の講演、その後、県の川内・健康対策課長をコーディネーターにパネルディスカッションが行われました。

鎌田先生は、「黒い雨」と「ビキニ被災」は共に内部被曝であり、両者共に政治的な側面によって①人体に影響はないと言われ、②隠蔽され、③放置され、④他の被爆者と同等な扱いを受けず差別されてきたと述べられました。

また、廣橋先生は、政治的背景が影響しデータが外され、こんなに長い間、闇に葬られ評価、補償がなされてこなかったと発言されました。

お二人の発言はともに政治的な力によって被ばくが隠蔽されビキニ被災船員の救済がなされてこなかったことを指摘し、あらためて、今後の被災船員救済に向けた政治の責任を問うとともに、シンポジウムを開催した本県行政への期待を込めた発言だと感じました。

シンポジウムの成果を知事はどう受け止めてらっしゃるのか、まず、お聞きします。

 

○県知事 今回の放射線被曝を理解するためのシンポジウムは、かつての水爆実験での被害の事実を知りまた理解を深めるということを目的に開催をされたものでございます。

放射線被ばくに関する正しい知識を普及するということとともに、ビキニ被災の歴史的な経緯を風化させず、伝承していくということが非常に重要だと考えています。

そういった意味で今回のシンポジウムは県民の皆さんに対して一定の成果があったという風に受け止めておりますし、今後も引き続き県民の皆さんへの周知に努めていきたいと考えております。

 

●吉良県議 ぜひ継続して、被災船員に寄り添う企画、よろしくお願いいたしたいと思います。

2018年7月、ビキニ国賠訴訟で高知地裁が水爆実験による被ばくを認め、立法と行政による救済の必要性に言及した判決を下しました。同年9月議会で私が県としての対応を問うた際、尾崎前知事は「判決において、原告らが被ばくした事実が認められるとした上で、立法府及び行政府による一層の検討に期待するほかないとされたことを踏まえ、私どもといたしまして、どのような法的枠組みがあれば救済に向けた取り組みが可能か検討したい」「広島、長崎における救済のあり方などとも対比して考え、そして、もし理論構築が出来れば、それに基づいて政策提言をしていく」と答弁なさっています。これは今回のシンポジウムでも鎌田、廣橋両先生が奇しくも指摘された政治の責任に応える姿勢を示す、見識ある答弁で、多くの県民・ビキニ被災船関係者を励ましました。

その後、救済に向けた法的枠組み等の検討作業は、どう進められてきたのか、健康政策部長にお聞きいたします。

 

○健康政策部長 ビキニ被災船員の方々への支援に関する法的枠組みを検討するため令和元年度に、庁内でワーキングチームを立ち上げ被爆者援護法の枠組みなどについて議論することと合わせて、太平洋核被災支援センターの方々との意見交換を行いました。

その後これまでに複数回、厚生労働省関係部局に赴き担当者と救済に向けた制度的対応の可能性について意見交換をして参りましたが、残念ながら進展はない状況でございます。

 

●吉良県議 その法的枠組みを含めて、この間、被爆者救済に関して、大きな動きがあっております。

鎌田先生が触れている「黒い雨」訴訟です。2020年7月29 日、広島地方裁判所は 84 人の原告全員に被爆者手帳を交付するように命ずる画期的な判決を言い渡しました。特筆すべき点は、放射性降下物、黒い雨は特別区域より広範囲で降ったとして、区域規定を取り払ったこと、そして、被ばく原因を外部被ばくだけでなく、放射性微粒子が混入した黒い雨にさらされたことや、井戸水や食料の摂取による「内部被ばく」を認めたことです。これは放射性微粒子が含まれる海水を及び、スコールを浴び・飲み、海洋で獲った魚を常食とし摂取していたマグロ漁船員にも通じる判決だといえます。

地裁判決を受け、被告の厚労省と広島県と広島市は控訴しましたが、2021年7月14日、広島高裁は控訴を棄却し、以下の2点おいて広島地裁判決よりさらに踏み込んだ判決を下しました。

一つは、放射能により健康被害が生じることを否定できない場合には、被爆者と認め被爆者援護法の適用を受けられるとした点です。

もう一つは、地裁判決は黒い雨にさらされ、疾病の発症があることを適用条件としていましたが、広島高裁判決は、疾病の発症を要件から除外した点です。これは、被爆者援護行政の根本的な見直しを迫る画期的な判決となり、2021年8月2日以降、原告らには被爆者健康手帳が交付されました。この流れは、現在、東京地裁で全国健康保険協会船員保険部を被告に、労災保険適用を求め「ビキニ被ばく船員訴訟」を闘っている14人の本県元マグロ漁船員と遺族にとって、追い風となっています。

一方、「被爆者援護法」は高知地裁判決文(2018.07.20)の中で言うように「意識的に広島市及び長崎市の被ばく者に対する限定して立法されたもの」なので、ビキニ環礁の「核実験」で被爆した高知の被災船員には適用されません。また労災適用を勝ち取ったとしても、船員保険法には、原子力船陸奥の労働者に適用の検討がされたことはありますが、操業中の被ばくによる傷病を発症した際の適用項目がありません。これらへの対応が求められます。

1986年12月高知県議会でわが党の萩野郷一議員の質問に応え、厚生省と水産庁が、資料はない調査もできないと無視を決め込んでいた折であったにもかかわらず、県は、各保健所に対して「申し出があれば被爆者同様の検査を」と通知を出す英断を下しています。同年に土佐清水市は県に順じ、自治体として初めて独自調査を実施し267人の被災船員を把握したと報道されています。1988年5月には「高知県ビキニ被災船員の会」が結成されており、県知事に「原爆医療法をビキニ水爆実験被災者にも適応」等の4項目を政府に働きかけるよう求めています。

被災船員救済には、船員保険法や被爆者援護法の適用要件拡大などの改定を図る、あるいは「核実験被爆者」援護の特別措置法新設や、また県独自に現行の被爆者援護法に準じ、検査受診などを支援する県独自の「条例」の制定などをも視野に入れた対応等が考えられますが、健康政策部長の所見をお聞きいたします。

 

○健康政策部長 ワーキングでは、被爆者援護法を援用した枠組みなども検討してまいりましたが、核爆弾の威力や被災の範囲が広島長崎の原爆と大きく異なり、被災の事実認定などを引用することは困難との認識に立っております。

また県条例の制定についても同様の課題が生じるため、科学的知見の集積が乏しい都道府県レベルでの対応には限界がある、と考えております。このため救済に向けた法的枠組みの検討は国主導で対応していただくべき事項であると考えております。

 

●吉良県議 はい。先ほどのその指摘については、広島高裁の判決というのは、非常に有利に働く判決内容だと思います。再度、それも含めてですね、総合的な検討をお願いしたいと要請しておきたいと思います。そしてまた、県独自の取り組みについても、これは国が動かなくても、県として、我が県の被災船員、県民をどう守るのかということ、これは取り組みとして、追跡調査やあるいは健康被害に対する救済、これは引き続きできると思います。もう一歩踏み込んだ取り組みをできるような法的な枠組みを考えていただけたらと思います。これも要請をしておきます。

次にですね、高知県議会は2016年3月18日、全会一致で「ビキニ水爆実験に関する元乗組員等への健康影響について国の公式見解を求める意見書」を採択、知事はそれに先立つ2014年12月、既に政府厚労省に対し健康影響への検証・分析を要望していますが、本議会で上記意見書が採択された年の12月、再度「検証の更なる徹底」を求める要望書を厚労省に出しています。

2020 年7月16日、日本弁護士連合会がビキニ問題では初めての「太平洋・ビキニ環礁における水爆実験で被ばくした元漁船員らの健康被害に対する救済措置を求める意見書」を発表し、以下の政策実現を求めています。

1ビキニ事件に関する資料を保全・開示するとともに、被ばくした元漁船員らの事態を把握するために調査を実施する。 2 被害者らに対し、被ばくによる健康被害及び精神的被害に対する補償の支払いや生活支援などの金銭的補償を実施する。 3 生存する元漁船員らに対して、専門医による健康相談を実施するとし、日本政府と国際連合に提出しています。

この機をとらえ、本県が毎年行っている国への政策提言に、この日弁連意見書なども参考に、ビキニ被災船員救済を求める項目を設け、提出されるよう求めるものですが、知事のお考えをお聞きいたします。

 

○県知事 ただいま部長から、答弁いたしましたように、この救済に向けた立法措置のあり方、これを都道府県レベルで示していくというのは困難であるというふうに考えます。

やはり国におきましてこういったものを示していくと、その前提としての健康影響に対する調査というものが求められる、これを国の責任で行うべきだということだと考えます。お話もございましたように平成30年7月の国家賠償訴訟の判決におきましては、判決文におきまして立法府行政府による救済の必要性について言及されております。

こうしたことも踏まえましてこうした対応を行う場合に前提となりますビキニ被災による健康影響に関する調査の継続について、国に対して粘り強く要望提言をして参ります。

 

●吉良県議 ぜひですね、毎年、この政策提言にビキニの項目を入れてですね、国に要望していくということが必要だろうと思います。

 今、漁船員の皆さん、本当に今までのですね、私たちは国民として認められなかったんだという発言もありますけれども、そういう棄民的な政策に対して、怒りを持っておりますので、その思いをしっかりと、やはりつかんで、それに寄り添う県の姿勢を示していくことが、私は知事としては、必要だと思います。その点についてもう一度知事のご所見、お考えをお聞きいたします。

 

○県知事 お話がございますように、今回この被ばくをされております方々のお気持ちというものに、しっかりと寄り添っていくということが何よりも必要だというふうに考えております。そうした中で国とのやり取りも続けて参っておりますけれども、この被爆者の方々に寄り添うという、気持ちに寄り添うというところを基本にいたしまして、今後国との間におきましても、しっかりと提言あるいは要望をしてまいりたいと思っております。

 

●吉良県議 県民の皆さん、しっかり知事の動向を注視しておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

さて、先に述べた県シンポジウムと共に、県主催で、ビキニ被災船員の皆さんを対象にした健康相談会を行ってきています。県として初めて実施した健康相談会は2015年~16年にかけて室戸、土佐清水、高知の三カ所で講演会とあわせて開催されており、その時は、のべ30名の船員と家族の方々の参加があったと承知しています。一方、2019年からは、地域のかかりつけ医が船員の自宅に出向いて行う個別相談の形式に変更して行っていますが、昨年までの3年間で3名の相談にとどまっています。

健康相談会をどう総括しているのか、健康政策部長にお聞きいたします。

 

○健康政策部長 県としては、ビキニ環礁水爆実験による被災者を対象として平成26年度から健康相談を実施して参りました。相談の内容の多くは被災当時からの体調悪化や家族への影響、今後の生活における不安などを訴えられており、多くの課題を抱えて生活されている実態をお聞きしました。

令和元年度からは新型コロナウイルス感染症対策として集合形式での開催から個別相談に変更いたしました。一方で、相談会を通じて同じ悩みを抱えている方々が、相互に交流できる場としての効果もあることから集合形式の相談会の再開も検討してまいります。

 

●吉良県議 はい、どうぞよろしくお願いいたします。次にうつります。

 2020年に高知県文化賞を受けた山下正寿氏を事務局長とする太平洋核被災支援センターは、本年6月21日から23日にかけてオーストリア・ウィーンで開催された核兵器禁止条約の第一回目の締約国会議に笹島副代表を派遣し、締約国会議、前夜のICAN核禁止フォーラム・メインステージで、以下の様な、ビキニ被災者の証言ビデオが上映されました。

「米国がマーシャル諸島で核実験を行っている間に、太平洋で操業した漁船員たちは放射線にさらされました。第五福竜丸はよく知られていますが、他にも10,000 人以上の漁師たちが被ばくしていたのです。それは、米国からの和解金で政治決着させられました」「1980年代から、地元の高校生が被災者を訪問し、被災者とその家族の証言を明らかにするプロジェクトに参加しています」「日本政府は、被災船の検査の記録はないと主張してきましたが、2014年にようやく検査結果を公表しました」と映像とともにその説明の後、元船員の除本幸松さんの「三崎の船員たちは一人、また一人とがんで死んでいった」という証言や、遺族の1人が「父は精神的ダメージが大きかった」と語り、その影響がどのように家族関係を破壊し、生存者をも自殺に追いやったか。

また、乗組員たちの死について国から「核実験とは何の関係もない」と言われたことへの不満などの証言が続き、乗組員生存者とその遺族は、未だに「見捨てられた状態」にあり、「彼らは核の犠牲者として闘いを続けています」と紹介。「高知県の太平洋核被災支援センターが提供したビデオは、被災船員の埋もれた歴史に光を当てた」と、国際的に高い評価を受けたと聞いています。

さらに今年、5月6日から8日までに、県の後援を受けて「ビキニデーin高知2022」が室戸市と高知市を会場に開催されました。主催は太平洋核被災支援センターを含む実行委員会で、昨年にひき続きの開催でした。その最終日、ロシアのウクライナ侵略で日夜、超多忙な中であるにもかかわらず、中満泉・国連事務次長・軍縮担当上級代表から、7分にもわたる以下の内容のビデオメッセージが届けられています。「核実験の遺産は破壊以外なにもないのに、悲しいことにこの破壊的な核実験から約70年たった今、 核兵器が使用されるかもしれない可能性が、冷戦の最盛期以来もっとも高くなっている」と厳しい現状を指摘し、「すべての核実験を禁止するために包括的核実験禁止条約・CTBT の早急な発効が必要で6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議がこの目標に貢献することを期待。ビキニ高知の会合は、この重要性を強調するタイムリーな機会だ」と期待を寄せると同時に、ビキニ高知の闘いが若者と一緒に被ばくの事実を掘り起こし活動を持続させてきたことを、国連軍縮部の「軍縮のための若者たち」イニシャチブと重ね合わせて評価するメッセージでした。国際的なステージでの評価に、被災船員や遺族の皆さんは勇気づけられています。

核実験の被害者は世界中にたくさんいますが、その被害は検証されていません。核兵器禁止条約第 6 条はそういう人たちの救済を定めていますが、核実験の被災で補償を求めて闘っているのは、兵士がほとんどです。国・軍の命令で核実験に関わって被ばくしたから補償せよという闘いです。操業中に核実験で被災した一般漁民が救済を求め闘っているのは世界の中で高知だけです。その高知県で、2015年・16年に実施した健康相談会では、県が太平洋核被災支援センターと十分な事前打ち合わせをおこない、県作成のチラシを持ち、同センターの山下事務局長はじめ支援者たちが一軒一軒日ごろから交流のある被災船員の自宅に足を運び参加を促すきめ細かな取り組みが行い、先ほどのべた30名の元マグロ漁船員が集まってくれています。

市町村との連携を強化するとともに、太平洋核被災支援センターとの連携、官民連携の効果だと考えています。

尾崎前知事は「県として追跡調査を実施していくことは困難だが、太平洋核被災支援センターなどが追跡調査を継続的に実施していけるような支援策を検討する」と述べて、官民連携で被ばく船員救済に向き合う姿勢を、県内外に表明しました。

被災船員の高齢化が進んでいます。2017年に支援センターが発行したビキニ核被災ノート、鎌田先生の提言によってまとめられた31人の証言ですけれども、調査して証言を得たんですけれども、出版する時には15名がなくなっており、出版後お元気だった16名中6名がお亡くなりになりました。

 そして2019年に高知県出版文化賞をはじめ国内の数々の賞を受けた岡村啓佐・支援センター副代表が、日英二か国語で出版した写真集「NO NUKES」ご存命27名の元マグロ漁船員のうち、すでに12名が亡くなっています。被ばく漁船員の実態を把握するための追跡調査は急務です。

尾崎前知事が明言した「太平洋核被災支援センターなどが追跡調査を継続的に実施していけるような支援策」の進展をどう図るのか、浜田知事にお聞きいたします。

 

○県知事 お話がございましたように、これまで太平洋核被災支援センターにおきまして、当時の資料あるいは被災船員の方々の証言など、大変な時間を費やしまして調査を実施されましたことにいたしまして、改めて私としても敬意を表したいという風に存じます。

今後も活動を継続されるにあたりまして、追跡調査にかかります関係団体への協力依頼といったものなど県が側面から関与するということで、スムーズに事業が進むものがあれば、引き続き協力をして参りたいと考えます。

引き続き、県と太平洋核被災支援センターが連携することによりまして、被災者への支援の輪が広がっていくと、そういうことを期待いたしたいと考えます。

 

●吉良県議 ありがとうございます。

 この9月ですね、核兵器禁止条約に5カ国が署名して、今91カ国・地域となって100カ国・地域へ迫ろうとしています。

 先ほども申し上げました第一回締約国会議、ウィーン宣言でも、条約の実質的なまず第一課題として取り組もうとしているのは、核兵器の実験やあるいは様々な各被災者の救済ということが第6条で言われていますけれども、それに向けて今動きが強まろうとしております。そうなると、現実的にその被災の実態を訴えて頑張っているのは高知なんですね。その実態について調査に入ってくるという動きが出てきています。

以前私は、国連軍縮会議を高知で開いたらどうかと、そして、核実験による被害を内外に高知から発信して、そして救済を求めていく、そういう契機にしたらどうかとお話したことがあるんですけども、今回は世界の核実験被害者フォーラムというものが高知でなされようとしております。これは第3回の締約国会議、これを前にしてですね、来年度(2023年度)の11月から2月ぐらいまでなされるんじゃないかと思います。

県行政として、他県にない被災船員に寄り添った取り組みをし、そして調査にも協力している本県としてですね、ぜひ本決まりになればですね、全面的なバックアップをしていただきたいと思いますけれども、知事いかがでしょうか。

 

○県知事 ただいまお話のような会議を高知でというふうなお話が、具体的に出てまいりまして、また県に対してどういった協力をお願いしたいという中身についてこれが固まって参りましたら、お話をお聞きいたしまして、出来る限りの対応は、させていただきたいと考えております。

 

●吉良県議 よろしくおねがいいたします。

 ビキニ問題の最後ですけれども、ビキニ問題は高知県が中心です。日本の中でも。当時の県のマグロ漁船は179隻を数え、被災船473隻の3分の一は高知船籍で、被災船員数も2000人を超す大事件です。被爆後ただちに漁民は室戸市長を筆頭にした芸東原水爆対策協議会を結成。「原水爆禁止」「被曝者の生活防衛」をスローガンに打ち出した運動を展開し、ついに川村県知事を先頭とした高知県原水爆対策協議会(原水協)を結成します。被災から3か月後54年6月には、政府に「原爆被害対策調査研究協議会」を設置させ、母親たちの原水爆禁止運動も大きく広がります。1985年からは高校生により調査が始まり、それに呼応して被災船員の会が県下各地に結成され救済運動が展開されていきます。これら、他に類を見ないビキニ問題にかかわる歴史を高知県民の歴史として県史に編纂し後世に伝えていかねばなりません。

焼津市や三浦市はビキニ被災の資料冊子を編集発行しています。本県も県史編纂の機会をとらえ、今から資料調査を行い、県史の一つの項として取り上げていくべきと考えるものですが、知事のお考えをお聞きいたします。

 

○県知事 県史の編纂に向けましては、大学教授あるいは学芸員などで構成いたします委員会を設置いたしまして、今年度から段階的に時代あるいは分野ごとの専門部会を立ち上げまして、具体的な作業を進めるという段取りで進めております。

この中でも戦後の歴史に関しましては、来年度に現代部会を立ち上げまして、刊行内容の検討あるいは史料調査を開始する予定でございます。今後どのような資料を調査して、どのような事項を県史に掲載をしていくか、これについては現代部会で検討し協議を進めるということとなります。

本日議員からお話でございましたことにつきましては、来年度、現代部会が設置をされました後、その委員の方々にもお伝え致します。いずれにいたしましても、新たな県史におきましてはビキニ被災の問題に限らず、本県にとって重要な戦後の歴史をしっかりと取り上げてまいりたいと考えております。

 

●吉良県議 どうぞよろしくお願いいたします。

 

【低空飛行訓練について】          

●吉良県議 それでは次の項目にうつります。低空飛行訓練についてです。

 今年8月16日、米空軍は、米軍輸送機オスプレイCV22の飛行を当面停止すると発表しました。飛行中のクラッチの不具合による事故が過去6週間で2件、2017年以降で計4件発生したためとしています。もともと、オスプレイは機体の構造上の問題から事故が繰り返されており、今回の飛行中止措置は非常事態だったと考えられます。9月2日には解除しましたが、不具合の原因は特定できておらず、根本的な安全確保に至っていません。オスプレイの飛行はオレンジルート以外の市街地上空を含む県下各地で頻繁に目撃され、騒音や墜落への不安、ドクターヘリや防災ヘリの安全運航への支障など、見過ごすことはできません。

この5年間の米軍機オスプレイを含む飛行訓練の回数について危機管理部長にお聞きします。

 

○危機管理部長 この5年間に県内で米軍機の可能性があると確認された航空機の飛行回数は、平成30年が23回うちオスプレイはゼロ、令和元年が116回うちオスプレイは14回、令和2年が252回うちオスプレイが17回、令和3年が206回うちオスプレイが3回、令和4年は6月末時点で41回うちオスプレイは2回、令和元年以降は報道によりますと、在日米軍再編の中で空母艦載機を岩国基地に移転した後、飛行回数が大幅に増加したというにされております。

 

●吉良県議 ありがとうございます。5年前の2018年から比べますと10倍以上、23回が250を超えるということで、まさに異常です。

 その間にですね、2016年には高知県沖にFA-18が墜落しております。2018年には、室戸岬沖にFA-18とKC-130が墜落と、そして、2019年には(米軍機)目撃の40分後にドクターヘリが同じ空域を飛ぶということになっています。

 そういうように、留まることをしらない、傍若無人という飛行が行われております。危険を顧みずに。

しかもですね、夜間が増えているんですね、2020年夜間がですね、例えば2019年は、2018年はゼロ回だったのが、2019年30回だとか、2020年夜間に110回ですよ。

 こんなことは許されません。

 そうやって飛ぶ回数と同時に、新しく特徴的なのは、仁淀川水系、いの町や越知町、それから四万十川水系、要するに大きい川の水系に、どんどんですね入ってきていると、四万十町含めて、これはね何とも異常です。

 そういう中で、全国的にもその被害を受けている地域が広がっている中、日米両政府は9月26日の日米合同委員会で、米海兵隊普天間基地所属のMV22オスプレイの飛行訓練の高度を150mから90mにまで下げて、沖縄県を除く日本全土の山岳地帯で訓練を行うと、ほんのこの間決めています。

航空法81条の定めた最低安全高度は、人口密集地などは最も高い障害物から300m、人や家屋がない場所は150mとしています。在日米軍は日米地位協定によってもともと航空法適用を除外とされていますが、2012年の合同委員会で、航空法を念頭にオスプレイの最低高度を150mと下げていたものを、今回はさらに下げて90mとしたものです。

今回の訓練は9月27日から10月18日迄行うとしていますが、今回限りとはしておらず常態化する可能性があります。嶺北の狭隘で曲がりくねった山間の地上90mの所を、重さ20㌧を超える軍用機が異様な低周波轟音をたて縫うように飛び、暮らしと命が脅かされることなど断じて容認できません。防衛省は「日米同盟の抑止力・対処力を強化するもの」だとしていますが、日米同盟さえ掲げればどんな無法も許されるという姿勢は許されません。

一層の危険を押し付ける今回のオスプレイ飛行訓練に対し、全国知事会にも働きかけ、中止を求める断固とした姿勢を国に示すべきと思いますが、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 お話がございましたオスプレイを含みます米軍機の飛行訓練に関しましては、これまでも全国知事会を通じまして訓練ルートなどを事前に情報提供すること、あるいは地域住民の不安払拭に十分に配慮すること、こういったことについての要望をいたしております。また、県単独といたしましても超低空飛行など異常な訓練を行わないように私の知事就任以降だけでも、これまでに3回、外務大臣、防衛大臣、両大臣に対しまして要請をして参っております。お話がございました、この度日米合同委員会におきまして合意されました在日米軍の訓練につきましては、住宅、学校、病院等の上空では実施をしないということが条件とされているというように承知をしております。仮にこの合意事項に反するようなことが確認をされましたら、県と致しましては全国知事会とも連携をして訓練の中止を強く求めて参ります。

 

●吉良県議 時間がないので先へ行きます。

 騒音測定器を設置した香美市、本山町、大川村などからは具体的な騒音状況が県に報告されています。5月18日に4機のプロペラ機が飛来した本山町では、17時29分に77.5デシベル、6月3日11時半に83.5デシベル、7月6日14時10分に94.8デシベル等々、予告なしの突然の轟音が空から降ってくる状況が繰り返されています。が、その他多くの報告は測定器がないため、数値を示し中止を求めることができません。

オレンジルートやその周辺の市町村すべてに騒音測定器を備え、実態を把握することが必要だと考えるものですが、知事の考えをお聞きします。

 

○県知事 県におきましては、特に騒音の大きい戦闘機によります低空飛行訓練の頻度が高い5市町村に、お話ありましたような騒音測定器を設置し、騒音の数値を把握しております。その他の市町村におきましては、県民の皆さんから寄せられました目撃情報の中から、各市町村で騒音の程度を3段階に分類をした上で報告を受けて把握しております。これによりまして、騒音の状況を把握できていると考えますけれども、今後未設置の市町村から設置の要望があった場合には必要性から検討して判断をしてまいります。

 

●吉良県議 2021年の12月議会の岡田芳秀議員の質問に応えて、防衛省中国四国防衛局が、本山町の雁山に米軍機の低空飛行を観測する固定式の観測カメラを設置し、今年4月から運用されています。航空法違反の低空飛行の危険な実態を防衛局や米軍に示し中止させることができると考えての設置要求でしたが、観測カメラの映像は私たち県民や本山町が見ることができないことになっています。

観測カメラの映像を地元自治体や県が共有しチェックできる運用方法に変えるよう防衛局に要望すべきと思うが、これは危機管理部長にお聞きいたします。

 

○危機管理部長 防衛省が本山町に設置した観測カメラについては、設置の計画段階から撮影された映像データの提供を要請してきました。しかしながら、設置後に中四国防衛局から映像データは米軍の運用に関する情報が含まれており、米国側との信頼関係、米軍の運用の安全が損なわれる恐れがあることから、提供は差し控えさせていただくとの説明を受けております。その際、県からは中四国防衛局に対しまして、映像を提供すること、高度が推測できるよう詳細な分析を早期に行うことを改めて要請したところです。

県としましては、引き続き国に対し映像データの提供などを求めて参ります。

 

●吉良県議 最後になりますけれど、だいたい275万円で、カメラが設置できるということです。ぜひ、県民の安心、安全を確保するために、県独自で設置すべきと思いますが、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 これは、防衛局の方で既にカメラ設置しているわけでございますので、この米軍との関係で支障がないような形で工夫をして提供して頂きたい、ということで引き続き国に求めてまいりたいと考えております。