議会報告

【質問項目】

・医療的ケア児

・ジェンダー平等・婚姻の平等・男女共同参画

・住宅行政

 

●米田議員 日本共産党の米田みのるでございます。通告に従い質問をおこないます。       

 

【医療的ケア児】

●米田議員 まず、医療的ケア児の支援について伺います。

  一昨年2021年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立し、9月に施行しました。「医療的ケア」ということばが生み出されて30年、当事者、家族のみなさんの切実な声と願い、多くの国民的な世論の強まりの中で、全会一致での成立となりました。

  この医療的ケア児支援法は、「医療的ケア児」を法律上で明確に定義し、日本の歴史上初めて、国や地方自治体等が医療的ケア児の支援を行う責務を負うことを明文化しています。そして、医療的ケア児を子育てする家族の負担を軽減し、健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資すること、またそのことによって障害や医療的ケアの有無にかかわらず、安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現に寄与することを目的としています。

  新しい歴史のスタートともいえると思いますが、当事者、家族のみなさんの切実な願いに応えて、早急な施策の展開と目的を達成することを課せられた国、地方自治体等の責務が厳しく問われているのではないでしょうか。以下お聞きをいたします。

医療、科学の進歩も合わさって、たんの吸引や経管栄養など医療的ケアが必要な子どもたちが増えています。全国で2万人を超え、高知県で90人、高知市で半数を超える52人が生活をしています。

◆対象のすべての子どもたちに保育や教育、就学などを保障するために看護師の配置が不可欠と思います。学校や保育園での配置状況について、教育長に伺います。

 

○教育長 文部科学省が実施しました学校における医療的ケアに関する実態調査によりますと、令和4年5月時点で48名の医療的ケア児学校に在籍をしております。

このうち7名が在籍している小学校と高等学校におきましては、保護者が看護師の配置を希望していない2名を除く、5校5人に対し5名の看護師を配置しております。

県立特別支援学校では、医療的ケアが必要な中学生21名が在籍する8校に17名の看護師を配置し、また施設から学校に通う14名につきましては、施設の看護師が対応しております。教員が家庭を訪問して教育を行っております訪問生6名につきましては、保護者が対応している状況です。

次に、県が市町村に対して実施しました調査では令和4年10月時点で保育園に通園している医療的ケア児は15名となっておりまして、そのうち6名に対しては専任の看護師が配置されるか、または訪問看護師が医療的ケアを提供しております。残る9名の医療的ケア児につきましては、夜間のみ酸素吸入が必要なケースであるなど、医師が、日中は医療的ケアは不要と判断している幼児でありまして、看護師は配置しておりません。

●米田議員 ◆研修の一環として現場を体験することが重要だという指摘もありますが、看護師を今後どう養成、確保していくのか、健康政策部長に伺います。

 

○健康政策部長 医療機器、人材の整った医療機関でなく学校や保育園などの居宅に近い環境で対応することを踏まえますと、訪問看護担えるような能力のある看護師が担当することが望まれると思います。

県では、平成27年度に県立大学に寄付講座を開設し、訪問看護師の育成のために取り組むとともに、その中で医療的ケア児の在宅看護研修科目に取り入れております。

その結果、訪問看護師は平成26年の211人から令和2年には364人に増加し、また、医療的ケア児の訪問看護に対応できる訪問看護ステーションは平成26年の20施設から令和4年には31施設と増加しております。寄付講座の継続に加えまして、次年度訪問看護総合支援センターを新設し、人材育成の取り組みを充実します。ここでは医療的ケア児や難病などの専門分野の技術指導ケアができる訪問看護ステーションの協力を得て、研修を希望する訪問看護師が訪問看護に同行し、看護の現場での技術等を学べる機会を提供してまいります。

 

●米田議員 必要な看護師さんの配置を必ずできるように、ぜひ頑張って、養成、確保していただきたいと思います。

◆学校への子どもの送迎は、保護者の負担に頼っている割合が半数以上とのことであり、支援が必要と考えますが、実態はどうか教育長に伺います。   

 

○教育長 小学校と高等学校に在籍する医療的ケア児7名のうち小学校の1名、高等学校の1名は自力で通学をしており、小学生5名につきましては保護者が送迎を行っております。

また、県立特別支援学校に通学している医療的ケア児21名のうち、保護者が送迎をしている児童生徒は15名となっております。残りの6名はスクールバスや福祉サービスを利用しております。そして、送迎にかかります支援としましては医療的ケア児を含め障害のある児童生徒の保護者に対して、ガソリン代を就学奨励費で支援するものはございます。

また、県立特別支援学校におきましては、保護者が送迎できない時などにタクシーを利用して通学する場合には、タクシー料金の全部又は一部を補助するものがございます。

これに加えまして来年度におきましては、医師から安全面の理由によりスクールバスに乗車できない児童生徒を対象に、介護タクシー等を活用した通学支援のモデル事業を実施いたします。そして、この中で出てきました課題等を整理し、知事部局等とも連携を図りながら、送迎に関する支援の充実と方策を検討していきたいと、考えております。

 

●米田議員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次に、高知市朝倉にある重症児デイサービスでは、希望者も多く利用地域は7市町に広がっています。片道土佐市10.5キロ、佐川町20.5キロ、南国市15.5キロなどとなっており、重症心身障害児、医療的ケア児の保護者にとって送迎が負担になっているのではないでしょうか。また送迎に取り組む事業者にとってもドライバーの確保に苦戦している、ガソリン代の高騰と、高速料金の持ち出しなど様々な困難の中サービス提供に努めています。

◆保護者及び事業者への支援が必要と考えるが、実態はどうか子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 県内で、医療的ケア児に通所サービスを実施している事業所は9事業所、そのうち送迎を行っているのは8事業所でございます。

送迎につきましては、人材の確保や燃料費高騰等による経費の負担増など、サービスの維持に苦慮しているとお聞きをしています。

そのため令和5年度からは県が独自で実施している遠隔地サービスを提供する事業者への報酬の上乗せ支援に、医療的ケア児者の送迎サービスを追加するとともに、有料道路料金を上乗せするなど、事業所のサービスの確保に向けた支援メニューを拡充してまいります。

 

●米田議員 ありがとうございます。ぜひ、実態をよく見ていただいて、必要な支援を引き続き充実していただきたいと思います。

「子どもの実態が多様化」「個々の心身の状況等に応じた適切な支援を受けられるようにすることが重要な課題となっている」と法の第1条で述べています。

◆家族にとっては大変な困難と負担がかかっているためマンツーマンに相当するような支援が必要ですが、法第1条が言う必要な体制が整っているのか、現状について子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします

 

○子ども・福祉政策部長 マンツーマンに相当する支援としまして、医療的ケア児と家族に寄り添い、必要な支援を調整する医療的ケア児等コーディネーターの配置を進めております。

現在コーディネーターは県内53か所の事業所等で勤務をしている109名の専門職の方が登録しており、令和5年度末までに120名の登録を目指しております。現在担当の専門職がコーディネーター資格を持たないことなどから、約3割の医療的ケア児はコーディネーターが配置をされていない状況となっております。そのため医療的ケア児を担当している専門職を中心に、資格取得のための研修の受講を支援し5年度末までには全ての医療的ケア児への配置を目指して取り組んでまいります。

 

●米田議員 ありがとうございます。ぜひ、親御さんにとっても、働いている方はなおさら大変なんですね。どういうサービスが、どこでどう受けられるかということで、大変な状況がありますので、ぜひ、配置を十分にするように努力をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

  次に、主に就学前の児童発達支援、通学生の放課後デイサービス、主に18歳以上が利用する生活介護、の各事業が医療的ケア児と家族の多様性、個々の状況に応じた適切な支援を提供することが極めて大事だと思います。

  ちょうど10年前の12月議会で紹介した重度障害重複障害児のK君。私もお母さんの運転する車に同乗させてもらいましたが、車の中で、舌が下がり窒息状態になったり、体がずれるなどに対応しながら必死に学校へ送迎していました。その後中等部の時に胃ろう、高等部3年の時に気管切開の手術をしています。お母さんは、この1月で20歳になったが、学校卒業後のこの3年間が一番つらかった、生活介護に通所しているが、寝ていることも多くなり、表情が変わり笑顔がなくなった、この子らしさが後退しているのがつらい、と話してくれました。同時に、その施設もケアの専門ではありますが、18歳までの施設と比べて低い報酬体系や、スタッフも少ないのが原因ではないかと述べ、安心して預けることができるようにしてほしい、と語っていました。

  医療的ケア児支援法は、基本理念として、支援は個々の状況に応じて切れ目なく行われなければならない、医療的ケア児でなくなった後にも配慮した支援を行われなければならないとしています。

◆現在の生活介護の報酬体系では、子どもと家族の思いに応えられず、法が期待する支援が十分にできないと考えますが、子ども・福祉政策部長の認識を伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 高校卒業後に利用する生活介護の報酬体系は、在学中のサービスと比べ単価が低く設定されております。

障害者団体からは、報酬体系の見直しについて要望が出されているところです。報酬の見直しにつきましては、令和3年度の改定におきまして、医療的ケアが必要な方を2名以上受け入れる場合の加算が新たに新設されたものの、看護職員は3名以上の配置が必要となるため、県内の事業者では活用されず、報酬体系の改善には繋がっていない状況です。

生活介護を行う事業所において医療的ケアが必要な方にサービスを提供していくためには報酬体系の充実が必要と考えておりますので、県としましても、国に提言して参ります。

 

●米田議員 ありがとうございます。ただ、報酬体系を改善するというのは大変なことで、例えば、それまでに県が独自に対応するということも含めて検討すべきではないですか。部長にお聞きします。

 

○子ども・福祉政策部長 この制度的な問題つきまして、医療的ケアの法がスタートしてから、それぞれ体制は進んでいるという状況でございますけれども、お話の卒業後につきましての報酬体系の問題につきましては従来から課題というふうに認識しておりますが、県としましても国の方にですね、提言をしていくということでしっかり対応してきたいと考えております。

 

●米田議員 ぜひ、さらに検討を強めていただきたいというふうに思います。今日、明日の問題ですからね、ずっと先の問題ではなくて、現在起こっている状況を改善することが、急がれているというふうに思います。

次に、また、郡部のある地域では就学前は保育園で見てもらえる、しかし学齢期はその地域には放課後等デイサービスがなくて、夏休みなど南国市や高知市のデイを利用する方もいます。希望があっても利用できない方ももちろんおいでます。

さきの、法の基本理念は、居住する地域にかかわらず等しく適切な支援を受けられる施策をしなければならないとしています。県東部や高幡地区などにも支援が提供できるようにすべきではありませんか、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 医療的ケア児の通所サービスを実施している9事業所は、高知市に7箇所、南国市、宿毛市にそれぞれ1箇所となっております。

そのため第2期高知県障害児福祉計画におきまして、事業者がない安芸圏域及び高幡圏域でも、医療的ケア児を支援することができる体制の確保を目標に掲げて取り組んでいるところでございます。

事業所の新設につきましては、人材の確保や採算面などから、困難な状況となっておるため、既存の事業者への看護師の配置などの体制整備を目指して、社会福祉協議会や社会福祉法人などと協議を行っているところでございます。

 

●米田議員 ありがとうございます。なお、父母の会、保護者の皆さんともよく話しをして、対応できるところは、ぜひ対応していただきたいというふうに思います。

◆次に、法第3章で規定している医療的ケア児支援センターの役割と、その役割をどのように果たしていくのか、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 医療的ケア児等支援センターの役割は、ご家族などからの相談対応、医療的ケア児に関する情報提供や研修の実施、医療・保険・福祉・教育等との関係機関との連携がございます。

相談対応と関係機関の連携につきましては、様々な相談をしっかりと受け止めた上で市町村やコーディネーター関係機関等と連携して、総合的に対応し、必要に応じてコーディネーター等への支援を行っているところでございます。

また、研修につきましては、県とセンターで役割分担を行い専門人材の養成につきましては県が実施し、広く支援者の裾野を広げるための研修等につきましてはセンターを中心に実施しております。

今後、県としましては、医療的ケア児に関する情報がセンターに集約され、より専門性の高い相談支援が実施できるよう、センターの体制強化やセンターが関係機関と連携していくために、必要な仕組みづくりなどの支援を行ってまいります。

 

●米田議員 ありがとうございした。 

医療的ケア児や家族の支援について、法に明示されたように県の責任と果たす役割は決定的に重要だと考えます。

◆そのためには、県においてそれぞれの専門性が発揮できるよう各部局が一体となって取り組みを進めていくことができる体制を確立するとともに、県の重要施策の一つとして位置付けて取り組んでいく必要があると考えますが、知事にお伺いします。

 

○県知事 医療的ケア児のご家族の皆様とは、作年度にお会いいたしましたし、また、その後も「濱田が参りました」の中で、つの町の小学校で、ケア児の方、また保護者の方とお話する機会も得ました。

そうした日々の生活におけるお話を聞きしておりまして、改めてご家族の心身のご負担の重さ、大きさということを実感したところでございます。ご指摘もありましたように、県として医療・保健・福祉・教育こういった関係機関そして民間団体と緊密な連携のもとで、これまでの取り組みをしっかりと進めていく必要があるというふうに考えているところであります。

このために、この県としての位置づけにつきましてはこの一連の取り組みを日本一の健康長寿県構想の中に、明確に位置づけをいたしまして、医療的ケア児とご家族が安心して生活を送ることができるように、進めていく考えであります。

具体的には、大きく3点になりますが、一つ目が医療的ケア児支援センターを中心と致しまして、全ての医療的ケア児がコーディネーターからの支援を受けられる体制を作っていくという点であります。

二点目が、これもご指摘ございましたけれども、保育所・学校などにおけます支援といたしまして、看護師の配置あるいは通学児のご家族の負担軽減を図っていくという点。

三点目が、在宅生活におけます支援として、医療福祉サービスの充実を図りまして、ご家族の介護負担を軽減していくとこういう点。

こういった取り組みを進めていくにあたりましては、ご指摘もありましたように、県庁内におきましても各部局連携し、横断的にもしっかりと取り組んでまいる所存であります。

 

●米田議員 ありがとうございます。知事が先頭に立って、新しい法律のもとで、国も地方自治体も責務を明確に明記されたわけですので、それに応えて頑張ってやっていただきたいと思います

このテーマの最後に、家族の皆さんのレスパイトケア(一時的な休息・休養)の保障について伺います。日々喜びとともにご苦労と困難も伴う子育てと、自分らしい生き方、休養を家族も送ることができるような支援が極めて重要です。家族が必要な時に利用ができるレスパイトケアの体制づくりについて、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 ご家族の負担を軽減するためには、一時的に子どもを預けることができる施設が必要であり、現在県内では医療機関に併設している4箇所でサービスを実施しております。

さらなる拡大を図るため、これまでも医療機関に対しまして、働きかけを行ってまいりましたが、実施のための体制が整わないことから新たな施設の確保は進んでいない状況となっております。そのため令和2年度からは看護師が自宅を訪問し、最大半日程度ご家族に代わって介護を行う事業を実施しており、令和4年度は8名の方にご利用いただいております。

引き続き必要な方が、確実にサービスを利用できるよう、訪問看護師の確保や既存の4施設の受け入れ定員の拡充など、ご家族の負担軽減に取り組んで参ります。

 

●米田議員 ありがとうございます。ただ、ショートステイからいうと本当に短時間の休養しか取れませんので、それはぜひ拡充を目指して、引き続き努力をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。

 私は、ちょうど15年前の2008年、平成20年、この2月議会で、初めて医療的ケア児支援の質問を行いました。今18歳になっていますが、当時3歳になったばかりの音十愛(おとめ)ちゃん、全盲などの重度重複障害がありますが、この子の最前の道をと盲学校幼稚部への入学を求めた家族支援者の願いを紹介し、実現をと提案したことを思い起こしています。こうした営みの中で、制定された新しい法律に基づいて、医療的ケア児と家族などの人権が、しっかりと保障されることを願って、この問題の質問を終わりたいと思います。

 

【ジェンダー平等・婚姻の平等・男女共同参画】

●米田議員 次に移ります。ジェンダー平等・男女共同参画について、知事に伺います。

同性婚を法律で認めることやLGBTQなど、性的少数者に対する差別をなくす法律を求める声が広がっています。朝日新聞の2月21日付けの世論調査では、同性同士の結婚を「法律で認めるべきだ」は72%にのぼりました。産経新聞の同日付の調査も71%が同性婚法制化に賛成でした。性的少数者の当事者が強く求めている「差別を禁止する法律も朝日新聞の調査では51%が「つくるべきだ」と多数です。性の多様性が尊重される社会の実現を求めて、世論は大きく動いています。多様性社会の実現に向かう中、「性的少数者の差別を禁止し、人権と尊厳を保障する法律の制定」に背を向け続けることは許されないと考えます。

◆この世論をどのように受け止めておられるのか、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 ご指摘がございましたように、最近の各種の世論調査などを見ますと、国民の皆さんの間に、一つには同性婚を認めるということ、もう一つには性の多様性の理解増進に係る法整備を進めるということ、こういったことに関しまして、これを容認するという意見が大変増えているという風に認識をしているところでございます。

この問題に関しましては、家族を巡ります法制でありましたり、人権に関わります基本理念を規定する法制の整備、これが必要な問題でございます。これは、全国統一でしっかりと対応していくべき問題であろうというふうに考えますので、こうした最近の世論の高まりというのを踏まえましては、国政の場でしっかりと議論をいただきたいというふうに考えているところであります。

 

●米田議員 この間、性的少数者に対する荒井勝喜前総理秘書官の差別発言があり、解任・更迭される事態が起こりました。

◆知事はこの差別発言をどう受け止めておられるのか、伺います。

 

○県知事 ご指摘のありました前総理秘書官の発言でございますが、報道によりますと、いわゆるオフレコ発言だったという風には、お聞きいたしますけれども、それにいたしましても、いわゆる同性愛の方々がもし隣に住んでいたら嫌だ、とか、見るのも嫌だ、といったような発言をされたという風に承知をしております。

こうした前総理秘書官の発言は、性的なマイノリティの方々への不当な差別にあたるものであるというふうに考えます。現在、諸外国ではこの同性婚でありましたり、この理解促進にかかりますような法制、こうしたものがかなり広がっているという中でですね、総理の補佐をされる秘書官の立場にある方が、こうした発言をされるということは、誠に言語道断でありまして、あってはならないことだというふうに認識いたしております。

 

 

●米田議員 2月20日、全国23県の知事が「多様性への理解促進と誰もが安心して暮らし、活躍できる社会づくりを求める緊急共同声明」を出しました。

少し長くなりますが紹介させていただきます。「SDGsの考え方を踏まえながら、年齢や性別、障がいの有無や国籍、性的指向・性自認などの違いにかかわらず、一人ひとりが個性や能力を遺憾なく発揮し、自分らしく安心して暮ら」すことが重要。各自治体として「セミナー等の開催による啓発やパートナーシップ制度の導入等の取り組みを行ってきたところであるが、LGBTなどの性の多様性については、偏見や誤解などにより深く傷つき、生きづらさを感じている人々がいることも事実である。」としています。

そして、「我々としては、政府が目指している多様性が尊重される包括的な経済社会の実現に向けて、それぞれの地域において、これまで以上に性を含めた多様性を尊重することの重要性を周知・啓発するとともに、性的少数者に対する理解促進と、様々な取り組みを一層進めていかなければならないと考えている。」と書き記されています。

茨城県の大井川知事は東京の都道府県会館での記者会見で、パートナーシップ宣誓制度について、「すでに10都府県を含む全国250以上の自治体で制度の導入が進み、人口カバー率では65%を超える広がりを見せている。制度導入済みの県同士では相互認証の仕組みを導入しており、三重県や北関東三県との連携協定を締結している」と述べています。また、同席した千葉県の熊谷知事は、「日本全体が多様性を尊重する社会となり、活力に満ちた日本になるよう、われわれも地方から頑張りたい」と述べています。

緊急共同声明を出した23県の知事の中に濵田知事も名を連ねており、大変期待もしているところであります。

◆23県の知事の中に名を連ねることになった経過を知事にお聞きします。

 

○県知事 今回の声明に関しまして申しますと、ただいま、お話がありました荒井前総理秘書官の発言を契機と致しまして、千葉県の熊谷知事から呼びかけございましてこうした声明をまとめたものでございます。

性も含めた多様性が尊重される社会の実現に向けまして、国の動きを後押しすると、そういう意味も込めまして地方から声をあげていこうということで、具体的には将来世代の応援知事同盟という組織がございまして、20県余りの県の知事が加盟をしておりますけれども、私もその一員ということでございまして、そのメンバーに対して呼びかけがあったというような経緯でございます。

今回の共同声明では、ご紹介もございましたけども、地方におきましても性の多様性の尊重に向けまして様々な取り組みを行うということと、併せまして、国において統合的な組織体制の構築、あらゆる政策分野での取り組みが進められるように、後押しをしていくということは表明をされているわけでございまして、また、私自身もこの呼びかけにありました声明の内容・主旨に賛同いたしましたので、共同での声明に至ったところでございます。

 

●米田議員 ありがとうございます。

日本でのパートナーシップ制度は、2017年には6自治体96組でしたが、2020年51自治体1052組、2021年110自治体2018組、2022年255自治体4186組が登録するまでに広がり続けています。今議会中にも、23県の知事の中にいる山梨県知事が制度導入を表明されました。パートナーシップ宣誓制度のある自治体で宣誓した方たちが自治体を転出すると、改めて転出先で宣誓を行う必要があり、当事者の負担が大きくなるとして、パートナーシップ宣誓制度の自治体間連携も昨年から広がり始めました。

 高知県もパートナーシップ宣誓制度を導入する時期ではないでしょうか。

◆知事は、今後具体的にどう取り組まれるのかお聞きをいたします。

 

○県知事 お話のありましたパートナーシップの宣誓制度でございますが、性的マイノリティの方が誰に対しまして、自治体が婚姻に準ずる関係と認めますことで、社会的認知度の向上が期待されるものであります。県内では5市町が導入をされているところでございます。この制度化につきましては、やはり前提といたしまして地域の皆さんのこうした問題に対します理解、住民の皆さんの理解というのが必要ではないかというふうに考えます。

また、この住民の皆さんに、身近にありまして、戸籍ですとか住民記録といった事務を取扱い、またこの住民の皆さんの身分関係、居住関係の証明などを行うという事務は、常日頃市町村において行われているということがございます。そうしたことを踏まえますと、私自身は一義的には、このパートナーシップ宣誓制度に関しましては、この市町村のレベルにおきまして、各地域におきますこの性的指向・性自認に対します住民の皆さんの理解の進捗の状況をこういったものを踏まえまして、導入についてそれぞれ検討いただくということが望ましいものというふうに考えております。

一方で、県におきましても、制度を導入された市町村から証明を受けられました方々に対しましては、例えば県営住宅への入居、あるいは県立病院でのお見舞い、こういったものに関する場面におきまして、婚姻関係と同等に扱うという方針を決定いたし、また実行しておりまして、そういった形で市町村の判断を尊重し、またバックアップをしているということでございます。あわせましては、今後も県内でも5市町におきまして、制度が入っておりますので、この住民の皆さんが相互に移動するという場合に、この制度の連携をどうしていくかというような問題も出てくる可能性があると思います。こうした市町村間で制度に関する調整が必要な場面が生じましたら、県と致しまして、広域的な自治体として、その調整役・橋渡し役を担っていこうというふうに考えております。

 

●米田議員 非常に残念ですが、知事はやりたくない、というその口実にしか、私、聞こえんのですよ。例えば、最初に聞きました世論調査、大きく変わってきたと言いました。その朝日新聞はですね、2015年同性婚法律で認めるべきだというのは41%しかなかったのが、8年たった今日、72%になっているんですよ。高知県も、私はそれと同等かそれ以上だというふうに思うんですよ。だから、今、もうすでに住民、国民の理解は多数だということは明らかじゃないですか。しかもですね、この朝日新聞は、自民党支持層では「同性婚を認めるべきだ」が67%、「差別禁止法令をつくるべきだ」が47%、全体の傾向とほとんど差がないということまで言っていますよ。

私は、この点をしっかりととらえて、それに応えるのが、行政の責任者の役割だというふうに思うんですよ、それをやっているのが、全国で一番最初にこの制度を立ち上げた茨城県の知事なんですけど、記者会見でこう言ってますよね。「本県においてパートナーシップ宣誓制度を導入した際のエピソードを参考までに紹介したい。本県でも本制度の導入を提案した際には、議会を含めて時期尚早との意見も聞かれたところであったが、行政として、政治家として、一歩前に出ることが、差別や偏見への対応については、大変重要と考え、本制度を導入したところ、現在の広がりを見るにつけ、大変心強い」と。

◆(都道府県として)一番先にパートナーシップ宣誓制度を導入した茨城県の知事が言っているのですが、せっかく23の知事の中で、そういう方がおいでるわけですが、このことに学ぶことはできませんか、どうですか。

 

○県知事 お話がございましたように国民の皆さんの間では、例えば、同性婚に関します、これを容認するという意見、かなり広がっているというのは事実だと思いますが、これはあくまで家族法制ないしは基本的な人権に関する基本問題ということでありますので、全国統一的に扱うべき問題として、国においてしっかり議論をしていただくというのが筋だと思います。

その上で、代替的な効果も狙って自治体レベルでのパートナーシップの制度というのが、動きが広がっている、これも事実でございますけども、ただいま申し上げましたようにこの自治体、同じ自治体レベルでも県市町村、いずれのレベルの対応により馴染むかということを考えますと、市町村レベルで各地域におけます、この問題に関する理解の進捗を踏まえてご判断を頂くということが、私は合理的ではないかと考えておりまして、そのことを前提に広域的自治体として市町村の動きだけでは十分でない部分に関しまして、これを補完をしていくという立場で、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 

●米田議員 ぜひ、せっかくそういう連盟をつくっているわけですから、よくそこに学んでいただきたい県民、住民の立場で頑張りっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。

 あわせて、今日は国際女性デーで、国連も認めた日なんです、私は、その日を記念してぜひ、宣誓に向けての表明をしていただきたいなというふうに思ったんですけれど、大変無理なようですので、ぜひ、引き続き検討をしていただきたいと思います。

 

次にジェンダー平等・男女共同参画の意識を変える観点で伺います。

 ある町の乳幼児健診の問診票を見た町民から、育児についてのアンケートで問いの10項目のうち1項目が、「父親の育児協力」になっていて、ジェンダー平等の観点から見直しが必要ではないかとの連絡をいただきました。調べてみると、ずいぶん昔に国が示した様式例を参考に市町村が作成し、そのまま使用していたもので、今、ほとんどの市町村では「父親の育児参加」になっている表現が「育児協力」というなんとも無責任な表現・位置づけになっています。県や市町村自治体の出す公文書は、ほとんどが見直しをされていることと思いますが、ジェンダー平等を推進する立場にある自治体がまだこのような遅れた認識にあることに危機感を覚えるものです。

◆これは一例ではありますがジェンダー平等・男女共同参画の立場から、こうした遅れた認識を見直すための動きが大変重要と考えています、今後県で具体的にどう取り組まれるのか、知事に伺います。

 

○県知事 男女共同参画社会の実現を図っていくためには、性差の違いを認め尊重し合うという意識を社会全体で高めていくということが必要だと考えております。県では、こうち男女共同参画プランにおきまして、意識の啓発あるいは市町村レベルでの男女共同参画計画の策定を支援するといった形で、具体的な施策を PDCA を回しながら実行いたしております。

加えて、今月女性活躍に向けましたアクションプランの策定を致しますが、この中では意識の改革を柱に掲げまして、固定的な性別役割分担意識の解消に向けた取り組みを充実をしようと考えております。具体的には、多様な形で活躍する女性や家庭と仕事の両立に取り組む男性の事例を発信していく、また、企業を対象としたシンポジウムや研修などを通じまして、社会全体の意識改革を促していくという考えでございます。

合わせまして、少子化対策の推進県民会議などとの連携を深めまして、官民協働の体制で男性の家事や育児への参加を測っていくということで、男女共同社会の実現を目指していく所存でございます。特に、具体的に県庁におきましては、「先ず隗より始めよ」という事ございまして、男性職員の育休取得の促進を図っておりまして、数年前まで10%台の取得率でございましたのを、最近では70%前後という形で全国の都道府県でもかなり高いところまで引き上げておりまして、こうした形で男性の育休の取得が当たり前になっていくという社会を、県庁がリードしていきたいという気概で取り組んでいるところでございます。

                                

●米田議員 ありがとうございます。

次に生理の貧困問題について伺います。

コロナ禍に加えて大変な物価高騰の中で、格差は広がっています。全国で取り組まれている生理用品の配布は多くの女性たちの不安に寄り添ってきました。

◆本県における取り組み状況を、まず教育長に伺います。

 

○教育長 令和3年度に知事部局におきまして、生理用品の提供を通じて経済的な問題などを抱える女性必要な支援につなげることを目的とした事業が実施されております。

この事業と並行しまして、県教育委員会では県立高等学校のトイレに試験的に生理用品を配置することを令和3年11月の約1ヶ月間行なっております。この結果配置した数の約3割もの活用がございまして、生理用品の配置は生理の貧困問題に対応する有効な手立ての一つであるというふうに考えております。ただの実施後36校中11校の生徒や教員から、トイレにそのまま置くことは衛生面に問題があるのではないかと心配する声もありまして、12月以降は衛生面にも気をつけ、学校の実情に応じてトイレや保健室に生理用品を配置する形をとり、無償配布を続けているところでございます

 

●米田議員 ありがとうございます。

◆続いて子ども・福祉政策部長に、取り組み状況をお聞きします。

 

○子ども・福祉政策部長 生理の貧困の問題に対しましては、令和3年度より国の地域女性活躍推進交付金を活用し、生理用品の提供を通じまして必要な支援につなげることを目的に取り組んでいるところでございます。

令和3年度は市町村役場や市町村社会福祉協議会、学校などで4913パックの生理用品を配布しました。相談機関を明記いたしましたカード等を同時に配布することでプライバシーに配慮しながら、必要な支援に繋がるよう取り組んできたところです。

加えて生活困窮者の自立支援の担当職員や教員を対象に、対応力の向上に向けた研修を実施しております。

令和4年とは配布の窓口を拡充するとともに人権啓発イベント等での広報啓発活動を行い、令和5年2月末時点で約2600パックを配布しております。

 

●米田議員 ありがとうございます。

高知市では、2022年9月12日から11月30日の間、高知市立の中学校・義務教育学校19校と小学校1校のトイレの個室やトイレの洗面などに生理用品を配置しました。その後、実施した学校で児童生徒にアンケートを行っています。生理用品を学校のトイレに設置することについて「急に必要になったときにあると安心だと思う」答えた方が86.8%。「生理の貧困について、どういう支援があったらよいと思いますか」の設問には生理用品の無料配布が80.3%との結果となっています。

学校の保健室に取りに行くことによって、利用者とのコミュニケーションを図り悩みや相談に応じるツールをつくるという取り組みもありますが、まずは必要なときに誰の許可を得なくてもトイレに行けば生理用品があるということが、安心につながることがアンケートから見て取れるのではないでしょうか。このことは、公的施設のトイレにもいえるのではないかと思います。生理の貧困問題に高校の「総合的な探求の時間」で取り組んだ岡山県の高校生が、「生理は生理のある人だけのものではない。自分が生まれたのは生理があったから。自分のために生理があると思えるような社会になるのが理想だ」と語っています。

生理の貧困問題は、生活困窮問題であるとともに、ジェンダー問題としてとらえて、トイレにトイレットペーパーがあるように、公的施設のトイレなどに生理用品を備える取り組みを県として推進すべきだと思います。

◆今後の取り組みをどう考えているのか、まず教育長に伺います。

 

○教育長 生理用品の配布につきましては、先程も申し上げましたように、本年度も続けているところでございますが、さらに配置場所を増やすなど必要としている生徒が気兼ねなく使える環境学校とも相談しながら整えていきたいと考えております。

また、各学校におきまして全ての教職員が生理の貧困等についての共通理解を図る研修などを実施するとともに、相談ができる機関を記したカードの配布や掲示を行うなど、生徒が相談しやすい体制を整えるよう働きかけて参りたいと考えております。

さらに、ジェンダー問題への理解促進につきましては、引き続き性に関する指導始め学校教育全体を通して取り組んでいくよう指導助言を行ってまいります。

 

●米田議員 ありがとうございます。

◆同じく今後の取り組みについて、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 生理の貧困の問題では、必要としている課題の生理用品の配布を通じまして。困りごとを抱えている方を必要な支援につなげることが重要であり、来年度も引き続き国の交付金を活用し、生理用品の提供を通じた支援を行ってまいります。

現時点では生理用品を公共施設等のトイレ全般に配置することは考えてはおりませんが、他県の状況を見ながら今後の支援の在り方につきまして検討してまいります。

また、生理の貧困は女性の貧困の問題でもあることから、性別に関わらず自分自身の意欲や能力を発揮できる女性活躍推進に向けた取り組みが重要です。そのため、今年度内に、女性活躍推進計画アクションプランを策定し、男性は仕事、女性は家庭といった固定的な性別、役割分担意識の解消などによりいっそう協力に取り組んで参ります。

 

【住宅行政】

●米田議員 それぞれありがとうございました。それでは最後の住宅行政について土木部長に伺います。大変時間がなくなって、走り走りになりますが、申し訳ないですが、時間いっぱい質問させていただきます。

  まず、公営住宅の入居に際しての保証人の取扱いについてです。

  国交省はこの間、2018、2020年に2度の通知等で公営住宅の事業主体(自治体)は、保証人の確保を公営住宅への入居時に前提とすべきでないとの立場を自治体に示してきました。ところが、総務省中部管区行政局が10月に公表した調査結果では、保証人規定がない自治体は2割以下でした。同調査は、保証人確保が困難なため入居辞退や申し込み断念に至った例を挙げて、保証人がなくても家賃収納率は下がらないとして国交省に改善を求めています。

  議会質問で提言もしましたが、高知県において、保証人規定を削除しているのは、県と高知市など5自治体にとどまっており、35自治体中30自治体が改善をされていません。 

2020年の通知では、困窮する低額所得者に住宅を提供するといった公営住宅の目的を踏まえると、保証人の確保が困難であることを理由に入居できないといった事態が生じないようにしていくことが必要であると考えています、と述べています。

  公営住宅は、生存権に基づく住宅確保の基盤をなす制度です。身寄りのない高齢者も、低額所得者も安心して住み続けられる住宅政策が必要です。

◆県として、改善の困難な問題を明らかにするとともに、改善に踏み出すことができるように県下自治体への技術的助言を行うように求めるものですが、土木部長に見解を求めます。

 

○土木部長 県では、これまで市町村に対しまして担当者会などの機会を通じまして、保証人規定の削除を促してきております。

保証人規定を削除していない市町村からは、滞納家賃の回収機会が失われることや入居者が亡くなった場合などに、緊急連絡先の把握が難しくなることなどが理由として挙げられております。県といたしましては、市町村に対しまして、県営住宅では保証人規定を削除しても、家賃の収納率に影響がないことや、県が滞納対策として取り組んでおります早期訪問による督促の事例などを紹介しながら、引き続き保証人規定の削除を促していきたいと考えております。

 

●米田議員 ありがとうございました。なお、本当に高齢者は、私たちにも相談がきますけれども、例えば民間で保証人がないからということで、高齢者の方が入れない、申し込み出来ないわけですよね。そういう点では、高知県と高知市の住宅は、保証人規定を削除しているということで、非常に助かっています。

 それで、全県で、そういうことがやれるように、ぜひ市町村と協力してすすめていただきたいと思います。

 質問項目すべてやれなくて、申し訳ないです。また、今後の機会に住宅行政についても触れさせていただきたいなというふうに思います。以上をもちまして、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。