議会報告

【質問項目】

・農業政策(JAの支所等統廃合、ほ場整備、アグロエコロジー)

・防災(津波避難タワー)

・旧統一協会の被害者救済

 

●岡田議員 日本共産党の岡田芳秀です。通告に従い、質問をさせていただきます。

はじめに、農政について農業振興部長に伺います。

まず、JAの自己改革に対する県の対応についてでございます。JA高知県が進めている支所・出張所の統廃合など自己改革が、各地で問題になっています。昨年12月定例会で、わが党の中根さち議員の質問に対して、農業振興部長は「JAは…丁寧な説明を」と答弁をされています。しかし、その後、2月10日には県町村会と県町村議会議長会が「甚だ唐突感が否めない」として、JA高知県とJA高知中央会に対して自治体への説明を求める要望書を提出しています。要望書は「地域住民は切り捨てられるのではないかと不安を強く抱いている」と指摘し、「地元町村に丁寧に説明した上で慎重な判断をするよう強く要望する」としています。JAの自己改革は組合員をはじめ自治体や地域住民への影響が大きいだけに、よほど丁寧な説明が求められると考えます。

◆県は、JA高知県とJA高知中央会に対して、どのように対応してきたのか、お聞きをいたします。

 

○農業振興部長 県では、昨年12月定例会以降、 JA 高知県のさらなる改革案について情報収集に努めてまいりました。

その後、統廃合に関する新聞報道もあったことから1月下旬に JA 高知県に対し改革の推進にあたっては、改革後の目指す姿などを示した上で、改革の必要性や理由などについて組合の皆さんはもちろんのこと、市町村や地域住民に対しても、丁寧な説明を行うよう指導いたしました。

また、JA高知中央会に対しましても、同じく1月下旬に市町村や組合員への丁寧な説明が必要であること、再編案を検討する段階から市町村等との協議の場を設けることなどを JA 高知県にしっかりと助言するよう要請をしたところでございます。

 

●岡田議員 ありがとうございます。

JA高知県は経営基盤を強化するために、今年6月の総代会で今後の更なる改革案(令和8年度までの改革)を決定する予定となっています。

その内容は、すでにJAの支所運営委員会や座談会などで議論がされています。検討されている「将来を見据えた形での再編案」によれば、全県の現行58支所(うち3出張所)が36支所(うち8出張所)になる計画です。22支所減ということです。

例えば、土長地区では、南国市は8支所が2支所に、嶺北では4支所が2支所になる計画となっています。利用者からは「不便になる」との声も上がっているところです。全県的な、これまでにない大きな統廃合計画であり、決まってからでは、諸々の対応が遅れるのではないかと私は危惧しています。

◆まだ正式決定ではありませんけれども、方向性は明確です。決定されて、具体的に改革が進んでいけば、全県に及ぼす影響は大きいと考えます。県はこうしたJAの改革が地域の農業者の経営に及ぼす影響をどう認識しているのか伺います。

 

○農業振興部長 はい、支所の統廃合に関する報道を受けまして、 JA 高知県に確認したところJA高知県としてはですね、時期や再編数を具体的にスケジュール化した実態はない、というようなお話を伺っているところでございます。そうした状況でございますので、現時点ではあの具体事例を前提とした影響を、お答えすることは非常に難しいと考えておりますけども、ただ地域に大きな影響を及ぼすような組織改変が行われる場合には、当然、地域の農業者の経営にも影響があると考えられます。

そうしたことを踏まえまして、 JA 高知県には今後丁寧な説明を行うよう指導を行っているところでございます。

 

●岡田議員 はい。スケジュール化はしていないということですけれども、大きな方向はやはり定まっているというふうに思います。生産者が困らないように、また、地域の皆さんに理解が得られるような形でないとまずいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

◆ JAも赤字経営を続けるわけにはいかないということで、改革を進めている訳ですが、こうしたJAの改革の方向を受けて、今後、県は農業振興をどう図っていくお考えかお聞きします。

 

○農業振興部長 本県の農業振興を図っていく上で、JAは欠くことのできない重要なパートナーでございます。 JA 高知県からはですね、今後も将来にわたって農業振興ができるよう最善を尽くすというふうにお伺いしておりますので、県といたしましてもですね、JA高知県の自己改革が農業振興に影響を及ぼすことがないよう、しっかりと地域で暮らし稼げる農業の実現に向けて引き続き連携して取り組んでいきたい、と考えております。

 

●岡田議員 農業振興が滞らないように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

次に中山間振興・交通部長にお聞きします。

JA高知県の自己改革には、支所・出張所の統廃合に加えて、購買店舗やATMの廃止なども計画されています。例えば、南国と嶺北をカバーする土長地区ですけども、令和2年度から令和4年・5年度にかけて、支所・出張所が16から13に、購買店舗が17から12に、ATMが23から16になる計画です。そして、県下各地で2月末、3月末をもってAコープや購買店舗、ガソリンスタンドが無くなるところがでてきます。

例えば、香南市香我美町ではAコープが無くなるということで地域住民が困惑しており、私の地元の、南国市でも、例えば十市では購買店舗が2月末で無くなり、ガソリンスタンドが3月末で無くなることから住民は今後どうしようかと話しています。長い間、利用してきた組合員や地域住民にとっては、近くにこれに替わるお店のない地域では、買い物をするにも、ガソリンを入れに行くにも遠いところまで出かけなければならなくなります。

◆地域の人たちが生活や経営に困らないよう、県はJA、地元自治体などと善後策を協議するべきではないか、考えをお聞きします。

 

○中山間振興・交通部長 ご指摘のように地域から購買店舗やガソリンスタンドなどがなくなってしまうということは、その地域にお住まいの方々に大きな影響を与えるものと考えております。そのため、 JA が購買店舗などの廃止を検討する際には、市町村や地域の方々に不安を与えることがないよう丁寧に説明をすべきでありまして、また、その場合の影響や対応策につきましてもしっかりと話し合っていただくことが重要と考えております。

県としましても、例えば店舗を集落活動センターが引き継ぐ場合の補助制度など、様々な支援策を用意しておりますので、こうした話し合いの場が設けられる際には地域本部などが参加させていただき、しっかりフォローさせていただきたいと考えております。

 

●岡田議員 今日の高知新聞にも、香北町のAコープのことが出ておりまして、今後の対策について協議がされていくという話が出ていました。

JA高知県が進めている自己改革は、県が取り組んでいる中山間振興にも大きく影響してきます。JAは中山間地域で公的な役割も果たしており、そうした機能が縮小・廃止されるようになれば、中山間地域にはそれに代わる特別の対策が必要になってくると考えられます。購買店舗などの統廃合は、住民のくらしにも直結します。

本県の中山間地域振興にとって、できる限り、何らかの形で地域の公共インフラとしての役割を残していく手立てを考えていく必要があると思います。

◆県はJA高知県のこうした動向をふまえて、今後どのように中山間地域のくらしを支える取り組みを進めていくのか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。

 

○中山間振興・交通部長 県では、これまでも市町村と一体となりまして統廃合などの理由によりまして閉鎖されました購買店舗の営業を継続させるための支援、これを行って参りました。

例えば、今年3月末に閉鎖されます土佐町の Aコープにつきましては、民間事業者に店舗営業を引き継いでいただくために、県の中山間地域生活支援総合補助金こちらを活用しまして、県と土佐町で店舗改装に対する支援を行っているところでございます。また、中山間地域の店舗が安定的に商品を仕入れることができますように、生活用品などを届ける共同配送、この仕組みを維持するための補助制度を、本年度新たに創設したところでございます。

引き続き中山間地域で暮らす住民の方々のために、中山間地域の暮らしを支えていく取り組み、こちらをしっかりと支援して参りたいと考えております。

 

●岡田議員 暮らし支える取り組み、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

次に、南国市での国営ほ場整備事業についてお聞きいたします。

南国市は物部川をはじめ国分川、舟入川といった河川が流れ、長岡大地や香長平野が広がり、気候も比較的温暖で農業に適した地域です。稲作や露地野菜はもちろん、県内シェア一位のシシトウ、そしてピーマンなど施設園芸も盛んなところです。しかし、この南国市でも農家の高齢化、後継者不足が大きな問題となっています。また近年、耕作放棄地の増加も懸念されているところです。

そうした中、農業の生産基盤の整備を図る「国営ほ場整備事業」が令和2年度から令和11年度完成を目指して、取り組まれています。約520haを対象にした事業ですけれど、農業の生産性と収益を向上させるとともに、耕作放棄地の解消や発生防止にもつながるものです。この事業によって優良農地が確保されることになり、農業の振興と地域の活性化につながるものと期待されています。

◆そこで、現在の事業の進捗状況はどうか、農業振興部長にお聞きします。

 

○農業振興部長 南国市で進めております国営ほ場整備事業は、本年度から本格的に工事が開始となり、現在24.5haのほ場整備工事に着手しておりまして、本年度末にはですね、14.3haの整備が完了する予定でございます。

●岡田議員 ありがとうございます。

ほ場整備事業を進めるにあたって、様々な手続き、調整があり、土地改良区の役員をはじめ関係機関の皆さんに大変ご苦労をおかけしております。深く感謝しております。農家の立場から見ますと、ほ場の大区画化・汎用化が図られ、効率的な営農が実現できる国営ほ場整備事業の早期完了が望まれています。

◆県として、国営ほ場整備事業の推進にどのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きします。

 

○農業振興部長 南国市での国営ほ場整備事業は、南国市の農業振興はもとより高知県の農業生産額の向上にも大きく寄与する重要な事業でございます。このため円滑な工事の着手に向けまして、必要となります工事計画や換地計画に対する地権者の合意形成などが遅れる事がないように、国や南国市と連携して取り組んで参ります。

合わせて、早期の事業完了に向けた十分な予算確保につきましても、引き続き機会あるごとに国への要請活動を積極的に行ってまいります。さらに整備された優良農地において1日も早い事業効果の発現に繋がりますよう、現在の稲作を中心とした営農から次世代型施設園芸の拡大や路地野菜などの収益性の高い作物への転換を促し、新たな稼げる農業の実現に向けた取り組みを国や南国市と一体となって進めてまいります。

 

●岡田議員 はい。農家の皆さんに聞くと、一番困るのは、作付け計画の変更がまた変更になるとかいった事態が一番困るといったお話をしてらっしゃいます。順調に、事業をすすめていかれるように、県としての取り組みも、よろしくお願いしたいと思っております。

農政の最後に、アグロエコロジーについてお聞きいたします。

 一口に農業といっても、様々な農法があります。アグロエコロジーというのは、生態系をいかした持続可能な農業をめざすことです。アグロエコロジーは自然の生態系を活用した農業を軸に、地域を豊かにし、環境も社会も持続可能にするための食と農の現状を変革する方針であり、実践です。アグロエコロジーは、原則であって、特定の農法を押し付けるものではありません。地域にある資源の循環的な活用や地域ごとの生態系をいかそうというものです。

 農業をめぐっては、長年、農業の工業化により農業を効率化し、農業所得を高め、後継者を確保できるようにしようというのが、望ましい発展方向だと考えられてきました。いわゆる工業的農業といって良いと思います。世界的にもそう考えられてきたわけですけれども、現実に起ったのは地力の低下、農薬に耐性を持った雑草や昆虫、菌の発生、動物福祉の悪化、環境汚染、食料安全の問題、農村の過疎化や地域社会の衰退等が世界で起きております。

 そのため、国連やEU、米国等では、すでに工業的農業や緑の革命、これは食料危機克服のために、多収穫できる穀物を生産しようということなんですけれど、そうした技術に対する評価が変わり、10年以上前から工業的農業から脱却する必要性が訴えられてきています。なぜ国際的に工業的農業からの脱却が訴えられるようになったのか。それは、工業的農業は労働生産性や土地生産性は高くても、エネルギー生産性や社会的生産性ということで評価すると、じつは非常に非効率であったことがわかってきたからです。

 国際NGOのETCグループの試算によりますと、大規模農業は資源の75%を消費しながら食料の30%しか供給できていないということです。

 農業の社会的生産性ということは、地域で農業が営まれることによって実現される国土保全、防災、生物多様性の維持、所得獲得機会の創出、地域社会の活性化、景観の維持、文化の伝承等の多面的機能を表わすものです。地域から農業がなくなると、その機能を代替することは不可能です。

 そのため、21世紀のあるべき農業の姿として、世界銀行や国連機関、EU等は2000年代末から小規模・家族農業によるアグロエコロジーを推奨しています。

◆本県においても、持続可能な農業と地域社会を維持していくためにこうした取り組みを進めていくことが重要と考えます。農業振興部長の認識をお伺いいたします。

 

○農業振興部長 アグロエコロジーの持続可能な農業という点では、本県は全国に先駆けて環境保全型農業に取り組んできておりますし、来年度からは有機農業や家畜ふん堆肥の有効活用などグリーン化の取組を拡充し、持続可能な生産につなげることとしております。

また、地域社会の維持という点では本県の大部分を占める中山間地域では農業を守ることが地域そのものを守ることにつながるという思いのもと、小規模な家族経営体がしっかりと存続していけるための生産性向上に向けた取り組みなどを進めているところでございます。こうしたことからアグロエコロジーはですね、生態系への着目や農業の持続性という点では、本県の進める農業政策と相通ずるものもあると考えておる所でございます。

 

●岡田議員 はい。ありがとうございます。

 本県は施設園芸が大きなウエイトを占めております。データ管理やデータの活用によって、量で稼ぐというのも一つのやり方だと思いますけれども、他方で農業の多面的な役割を評価し、環境や景観が守られる地域に合った持続可能な農業を探求することも重要だというふうに考えます。農業経営は多様な形で良いし、また多様であった方が良いということも言えるかもしれません。環境に負荷をかけない持続可能な農業、大事だと思いますし、特に先ほどいった社会的生産性、これを正しく評価して、ここに着目してですね、農業の振興をはかっていくことが重要だと、私は考えているところです。

 

【防災】

●岡田議員 次に、防災について危機管理部長にお聞きいたします。

特に津波避難タワーと避難路についてです。避難路については、命を守るために日頃からの点検、補修等が必要ですが、自主防災組織の高齢化が進み、避難路や避難場所の管理が十分できていないところもあります。また、階段のみでスロープがない避難路も多く、避難場所は野ざらしという所がほとんどです。災害はいつ襲ってくるかわかりません。昼夜を問いませんし、悪天候の時かもしれません。一時的な避難場所とはいえ、避難しやすいように、整備・改善を進めることが必要だと思います。いざという時に役立つようにしなければなりません。

◆県として、避難路、避難場所の現状について調査する考えはないかお聞きします。

 

○危機管理部長 津波からの避難路や避難場所の維持管理につきましては、基本的に市町村や自主防災組織が行うことが基本となっております。しかしながらも、お話にもありましたように、これからマンパワー不足などによりまして、倒木や土砂の堆積の処理など比較的規模の小さな復旧作業でも、地域では自主防災組織で対応していくことが難しくなっているということでございます。そこで、市町村長からも県に対して支援の要望を頂いておりまして、現在、市町村とともにその対策について検討しているところでございます。

避難場所は県内に約2700カ所以上ございまして、それにつながる避難路はもっと多いはもっと多いということでございます。十分な管理ができてない箇所も含めまして現状につきましては管理者である市町村に把握していただきたいと、逆にあの把握はされているというふうに認識しております。県としましては、適宜、その状況をお聞きしたり、調査もしたいというふうに考えています。

 

●岡田議員 よろしくお願いします。

私の地元の南国市に関わりますけれど、南国市十市の海岸線では、東坪池と阿戸にある2つの津波避難タワーの間、約2㎞にわたって津波避難タワーがありません。近くに山があるから山に逃げるようにということですが、中間点の札場から東坪池の間には山はありません。避難路は札場、大小浜、丸山の3カ所に設置されていますが、スロープがあるのは札場だけです。スロープといっても車いすが上がれるような幅はないんです。そして、竹林の中に長い避難路がある大小浜の人に聞くと「土が流れゆうので、自身で揺れると通れなくなるかもしれない」と、そして「避難場所にイノシシが出るようになった」と、こういう話も出ました。

地域の高齢化が進んでいるなかで、私はやはり人家の近くに津波避難タワーがあった方が、はるかに安全、安心だと感じたところです。札場には診療所もありますので、避難タワーがあれば医療支援も受けられる可能性もあります。県下には、山が近いなどの理由で避難タワーのない場所もまだ多く残されているのではないかとも考えます。

◆県は、十市のような地域に津波避難タワーが必要であるとの考えはあるのか、お聞きします。

 

○危機管理部長 市町村の津波避難計画の位置づけされてないものの、より近くでより安全に避難するために津波避難タワーの整備を求める地域があるということは承知してございます。

津波から確実に避難するための対策につきましては、津波の避難訓練でありますとか、課題などを踏まえまして、市町村が地域の住民の方々と十分に話し合いまして、津波避難タワーの追加の整備も含めて判断するものというふうに考えております。

今後市町村から相談がございましたら、いっしょに検討したいと考えております。

 

●岡田議員 市町村から相談があれば、いっしょに考えるということでした。

 次に財源の問題について、お聞きしたいと思います。

津波避難タワーの建設は平成27年度で申請が締め切られましたが、初めて建てるところも多くて、避難訓練の結果、要支援者などが逃げ遅れるということが分かったなどの理由で、令和2年度から追加の建設の受付がされたとお聞きしました。

国の緊急防災減災事業債では7割の交付税措置がされ、残りの三分の二を県が補助する制度となっています。ところが、この国の緊急防災減災事業債は令和7年度までの制度であり、県の制度の受付は令和4年度、つまり今年度で終了します。

◆県は、少なくとも国の支援制度が残っている令和7年度まで、津波避難タワーに対する県の財政支援を継続すべきだと思います。危機管理部長に考えをお聞きします。

 

○危機管理部長 津波避難タワーの整備につきましては、お話のございましたように市町村の要望に基づきまして、これまで2回にわたり交付金による支援を実施してきております。

現在の防災対策臨時交付金事業につきましては、令和4年度までに整備されたものを対象としておりまして、本年度で終了ということにはなります。今後先ほども申し上げましたが、避難訓練による検証でありますとか、地域の特殊事情など新たな課題が明らかになりまして、市町村から津波避難タワーの整備について、ご相談があった場合につきましては、県の財政状況でありますとか、既存の国の補助制度の活用なども含めまして、支援について検討したいと思っております。

 

●岡田議員 わかりました。

地域を見渡しますと、津波避難タワーが津波だけでなく、河川の氾濫に対しても有効であると考えられる地域もあります。今後は、気候変動による雨量の増加や、豪雨災害の多発も予想されます。ですから、どこにどう逃げるかが重要です。近くに高台や、高い建物がない地域の人たち、あるいは避難所まで遠い地域の人たちにとっては、大きなものでなくても、地域の実情にあった大きさの避難タワーが命を守ってくれるのではないか、と考えます。

◆そうした施設も含めて津波避難タワー、単に避難タワーと言ってもいいと思いますが、こうした避難施設に対する財政措置を、現在実施されている国の措置が終わる令和7年以降も継続させるように、国に政策提言する考えはないかお聞きをいたします。

 

○危機管理部長 県では、全国知事会や南海トラフ地震による超広域災害への備えを強力に進めるいわゆる10県知事会議を通じまして、様々な防災減災対策を推進するために必要な財源の安定的かつ継続的な確保について、政策提言を行ってございます。

緊急防災減災事業債につきましても、今後の国の動向を注視いたしまして、必要に応じまして令和8年度以降の授業期間の延長について、政策提言を行いたいと考えております。

 

●岡田議員 よろしくお願いします。

 防災についてハード対策、財政措置についてお聞きしましたが、もちろん啓発、避難などソフト面も重要であります。誰一人取り残されない防災対策を求めます。

 

【統一協会被害者救済】

●岡田議員 最後に、統一協会の被害者救済についてお聞きします。

先の12月定例会で、日本共産党と県民の会が提出した、旧統一協会、世界平和統一家庭連合との関係を絶ち切り、被害防止および救済を求める意見書が、自民党から一切関係を絶つのは非現実的だとの反対討論があり、否決されたことは大変残念です。

ところで、昨年12月10日、統一協会の被害者救済法が成立いたしました。悪質な寄付勧誘を規制するものです。自由な意志を抑圧し、適切な判断が困難な状態に陥らないようにする、寄付者や配偶者、親族の生活維持を困難にしないよう「十分に配慮」するとされ、怠れば勧告や公表の対象となりました。マインドコントロール下での寄付取消など、もっと実効性のあるものにすべきだと思います。法改正が必要だと考えますけれども、とにもかくにも被害者の救済の新法ができたわけです。

法律ができたことでメディア報道も少なくなったようにも私も感じておりますけれど、法律をつくって終わりではありません。統一教会による被害の実態を明らかにし、被害者救済に取り組んでいかなければなりません。昨年、政府が相談窓口を開設して、相談を受け付けています。

◆全国から何件の相談が寄せられたのか、文化生活スポーツ部長にお聞きいたします。

 

○文化生活スポーツ部長 国の旧統一教会問題関係省庁連絡会議の資料によりますと、政府の合同電話相談窓口に対し、昨年9月5日から10月31日までの間に旧統一教会によるとされた被害について、全国から寄せられた相談件数は2367件とされており、またこの合同電話相談窓口の機能を引き継いだ法テラスの霊感商法等対応ダイヤルに対して、全国から寄せられた旧統一教会に関する相談は11月14日から本年1月31日までの間で543件と公表されておりまして、合計で2910件でございます。

 

●岡田議員 わかりました。

◆そのうち、高知県からの相談は何件あったのか、文化生活スポーツ部長にお聞きいたします。

 

○文化生活スポーツ部長 政府の合同電話相談窓口、法テラスの霊感商法等対応ダイヤル共に各自治体別の相談件数などは公表されておらず、本県からの相談件数は不明であります。

 

●岡田議員 はい。ぜひ、それは分かったらいいと思いますけれども、一方でですね、日本弁護士連合会、日弁連が昨年9月5日から10月24日までフリーダイヤル等で受け付けた霊感商法等の被害に関する相談申込では、全国から624件相談が寄せられて、県別に出ております、それをみますと高知県からは3件となっています。

統一教会の被害の実態は、なかなか表に出にくいと言われます。知られたら、様々な妨害を受けたという報告もあがっています。

高知新聞で、2011年の献金は高知が全国1位、という報道がありました。私も驚きましたけれど、約30年にわたって教団取材を続けるジャーナリストの石井謙一郎さんによると、献金総額から人件費など運営費を除いた額での地区別の目標達成率で、四国が全国第1位、教区別では高知が1位だったということです。

ですから、潜在的にはもっと悩みを抱えている方がおいでるのではないかと思います。

先日、自らが被害者である南国市の橋田達夫さんが、被害者の悩みを解決したいと、支援者と共に「旧統一教会被害者と支援者の会・高知」を発足し、相談窓口を開設されています。橋田さんは「献金や虐待に悩む人や、脱会したい人がいると思う。一人でも救済したい。過去の被害でも県外からでもいい。被害者がいる限り活動を続けたい」というふうに話しています。

◆県としては、どのように被害者救済に取り組むのか、これは知事にお伺いいたします。

 

○県知事 この被害者の救済に向けましては、県立消費生活センターにおきまして、弁護士などによります法律相談の開催、そして、この霊感商法等への相談対応を学びます相談員研修を実施するといった形で、この間相談支援体制の強化を図ってまいりました。

また県のホームページ、啓発リーフレットなど通じまして、様々な広報媒体を通じまして、相談窓口の周知もはかって参ったところであります。

さらに、お話がありました、潜在的な被害者の方が安心して相談できますように相談情報は外部に漏れるような事がないというようなこと、あるいは問題解決に向けまして、相談内容に応じまして確実に専門機関につないでいくといったような県の取り組みにつきまして、改めて周知を図っております。今後も県警察、法テラスなどの専門機関と、しっかりと情報交換をしながら連携をし、対応を図ってまいります。

 

●岡田議員 よろしくお願いします。

私も、橋田さんとお話をさせていただいたんですけども、橋田さんも長い間一人で悩んでおられて、そして、お子さんの自死ということもあって、色々辛い思いをされています。お一人で悩まずに、ぜひ相談をしてほしい、ということをおっしゃっているところです。

県としてもしっかりと被害者救済に取り組んでいただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

さて、今物価高騰は41年ぶりの物価高ということで、県民の暮らしも営業も大変厳しい状況が続いております。住みよい高知県を作っていくために、ぜひ知事にはこの県民の暮らしを、しっかりと受け止めていただいてですね、県民の暮らしを支える取り組みを強めていただきたいと思います。私たちも頑張っていくという決意を申し上げまして、私の質問を終わらせて頂きます。ありがとうございました。