議会報告

  • 2023年07月07日
    2023年6月議会 岡本和也議員の「マイナンバーカードの健康保険証利用の運用停止及び現行保険証の存続を求める意見書」案賛成討論(2023.7.6)

●岡本議員 私は、日本共産党を代表して議発第9号「マイナンバーカードの健康保険証利用の運用停止及び現行保険証の存続を求める意見書」に賛成の立場で討論を行います。

健康保険証の廃止などを定めた改定マイナンバー法が6月2日、国会で可決成立しました。

成立した後もマイナンバーカードをめぐるトラブルが次々に明らかになっており、この制度は本当に大丈夫かとの声が日増しに高まっています。

こんな国民の声の中、マスコミ各社の反応も大変厳しいものがあります。マスコミ各社の社説を紹介すると、6月7日読売では「マイナ保険証の見直しは今からでも遅くない。選択制にもどすのも1案だろう」。

6月9日朝日「身近な健康保険証を廃止し、トラブルが続出しているマイナンバーカードに一本化するのは無理がある。廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だ選択制に戻すのも一案」。

6月9日毎日「トラブルが後を絶たない、計画を十分検証し、見直しをためらうべきでない」。

6月10日産経「マイナ保険証への一本化は国民の命や健康にも影響する。スケジュールありきでなく実施時期は柔軟に」等、全国紙4紙そろって立ち止まれとの報道です。

このようなマスコミの社説を見ても明らかなように、きわめて問題がある法律であると言わざるを得ません。

改めてマイナンバーカード運用の問題点を紹介します。

まず「他人の情報に紐づけられていた」事例についてです。5月の時点で厚労省によると7300件以上。

公的給付金の受取口座が本人名義でなく家族や同居人名義になっているケースは約13万件。まったく他人の口座が登録された例も748件報告されていました。

 

5月21日の全国保険医団体連合会(保団連)の記者会見が紹介され、5月19日までに集計された「トラブル事例アンケート」について、回答のあったシステムを運用している医療機関のうち65%の医療機関でトラブルが発生し、マイナカードを使った保険資格の確認では3640件で「無効」「該当資格なし」と表示され、資格が確認できず10割負担を患者に請求した医療機関は、全国推計では1291件。

さらに、他人の医療情報へのひも付けは49か所、高知でも1か所発生していました。これは、別人の情報に基づいて医療行為や薬剤投与が行われる危険性があり、生命に関わる重大な問題があります。

保団連は「重大な事故につながる、直ちに運用を停止し、現行保険証の廃止撤回を」と訴えており、県内の医師からも「トラブルは必ず起こる。安心できる根拠のない、マイナンバーに無理に移行することは難しい」などの声が上がっています。

こうしたトラブル事例を2月時点で把握していたにも関わらず、マイナンバー法の可決成立のため、国民に報告せず、隠蔽(いんぺい)してきた政府の責任は重大です。

 

現行保険証が廃止される事自体も大きな問題があります。

マイナ保険証のトラブルが生じた際、現行保険証で資格確認した例が4000件以上報告され、現行保険証が重要な役割を果たしています。

現行保険証が廃止され、申請に基づき「資格確認書」を1年ごとに発行する仕組みに移行すれば、申請漏れなどによって保険資格を確認できない被保険者が生じる懸念も指摘されています。

保団連の調査では、高齢者等の介護施設等での扱いで、顔認証や暗証番号の資格管理は「できない」と回答した施設は、なんと94%に上ります。

6月四万十市議会での議論でも「現行保険証が廃止されカードのみになった場合、高齢者施設や介護施設では、カードや暗証番号の管理が必要になることから、四万十市の関係する施設での対応はどの様にするのか」との質問に対して「関係する7か所の入所施設に問い合わせしたところ、マイナ保険証に統一された場合、7施設中5施設が管理は難しいと回答し、残り1施設は管理方法について助言をしてほしいと申し出があった」との答弁がなされ、問題が浮き彫りになりました。

 

この様な中、河野大臣の名称変更発言や松本総務相による「管理に不安を感じる認知症の高齢者らを対象に暗証番号の設定がなくても交付出来る様にする」。との表明に「セキュリティーを落としてどうする」、「本末転倒」等、その場しのぎの発言に国民から不安と怒りの声が上がっています。

JNNが7月2日に発表した世論調査では現行健康保険証を来年秋に廃止する政府方針に対し73%が撤回もしくは延期すべきだと回答しています。7月3日付高知新聞でも「情報漏えいの不安から5月以降318件のマイナンバーカード返納があり、急増」との報道が国民の不安を表しています。

さらに昨日、保団連ではマイナンバーカード保険証の相次ぐトラブルをめぐり、政府が現行の健康保険証を来年秋に廃止すれば、オンライン資格確認ができないなどのトラブルが少なくても108万件発生すると推計したと発表しました。

以上述べたように、マイナ保険証の運用には問題が山積しています。

よって国におかれましては、国民の不安を払しょくするため、トラブルが相次ぐマイナ保険証の運用は速やかに停止し、現行健康保険証の廃止方針を撤回し、存続させる事を求めるものであります。

議員各位の賛同を求めまして賛成討論とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。