議会報告

【質問項目】

・知事の政治姿勢・「処理汚染水」問題

・知事の政治姿勢・マイナ保険証

・知事の政治姿勢・気候危機対策

・知事の政治姿勢・子育て支援

・防災

・教育行政

・インボイス制度

・電気代引き下げ

 

●細木議員 日本共産党の細木良です。日本共産党議員団を代表して質問いたします。

今春の県議選において初当選いたしました。今年3月までの高知市議時代は、ライフワークとして質問で登壇する際は必ず取り上げてきた防災問題、医療機関で20年間勤務してきた経験から医療・健康づくり、文化あふれるまちづくりなど取り上げることが多かったわけですが、市議4期の経験を活かしながら、住民こそ主人公の立場で、いのち・くらし・平和最優先の県政をめざし全力でがんばってまいります。執行部のみなさん、同僚議員のみなさん、どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、浜田知事1期目4年の県政評価についてですが、未曽有のコロナ禍、物価高など厳しい県政運営となった中、私たち県議団は、数度にわたって緊急のコロナ・物価高騰対策を知事に申し入れ、提案に基づく検査体制の充実やくらし・事業者支援などの施策が実現した点は評価できるものです。

しかしながら今年度予算案への討論でも申し上げた通り、産業振興の面では域内経済循環施策の弱さ、教育行政では不登校全国一、学力テスト偏重、深刻な教員不足、ハラスメントなど課題が山積していながら解決する姿勢が弱いこと、子育て支援については市町村まかせで医療費助成など全国最低レベルに止まっていること、トラブル続きのマイナンバー偏重など国追随、無批判な姿勢があります。

政府は物価高対策そっちのけで軍備増大に猛進しています。このままでは地方切り捨て、社会保障改悪や税負担など国民への負担増は明白です。こうした政治に対し、地方から県民の声を発信し、悪政の防波堤としての役割が地方政治に求められているのではないでしょうか。

県民のいのちとくらしを守りたい、その思いを込めて質問に入ります。

 

【知事の政治姿勢・「処理汚染水」問題】

●細木議員 政府と東電は、8月24日、福島原発から発生するALPS処理汚染水の海洋放出を強行しました。全漁連や福島県漁連は放出に対し、「反対であることはいささかもかわりはない」と表明しています。福島県いわき市議会や宮城県議会など漁業者との約束の履行、海洋放出以外の処分方法の検討を求める意見書決議も数多くあがっています。2015年、「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との約束を反故にしたのは明白です。

県内の漁業関係者からも今回の海洋放出により輸出など風評被害について影響を懸念する声が、7日に行われた産業振興計画・フォローアップ委員会水産業部会でも出されています。県内の漁業は、燃油高騰や魚価の低迷、黒潮大蛇行、海水温上昇などによる漁獲量の減少など厳しい状況に置かれています。

◆県は9月4日、水産業関係者を対象に相談窓口を設置して対応していますが、どのような相談内容が寄せられているのか、県内の水産業を守るための施策について知事に伺います。

 

○県知事 細木議員の御質問にお答えいたします。

まず、ALPS処理水の影響に対する相談窓口の現状況と今後の水産業への支援についてお尋ねがございました。

県におきましては、今回の海洋放出によりまして、売上げの減少などの影響を受けます漁業者や加工・流通販売事業者からの相談に対応いたしますため、9月4日に相談窓口を設置いたしました。

窓口には、現在までに海洋放出により魚価が下がった場合の支援策の有無あるいは支援の対象者についてなど、 4件の問い合わせがございました。

県内の漁協や流通・販売事業者、関西や関東の卸売市場関係者に聞き取りを行いましたところ、現時点では、国内において価格の下落等の影響は生じていないというふうに伺っております。

一方で、中国の日本産水産物の輸入停止措置により、県内でも養殖クロマグロの取引が止まるなどの影響が出ております。

海洋放出による影響に対して、国では、販路拡大や輸出先の転換など「水産業を守る」政策パッケージを策定されています。県では、これらの支援策を漁業者や加工・流通販売事業者に周知いたしますとともに、影響を受けた方が速やかに活用できますよう、事業者に寄り添った対応を行ってまいります。

あわせまして、今年度配置いたしました水産物輸出促進コーディネーターなどが持つネットワークも活用いたしまして、中国以外の国への販路の開拓に向けた事業者支援を行ってまいります。

引き続き、海洋放出によります本県水産業への影響の把握に努めまして、必要に応じて、全国知事会などを通じて国への提言を行うなど、対策を講じてまいります。

 

●細木議員 ◆政府が、関係者、国民との約束を反故にすることは、決してあってはなりません。今回の国の対応に対する知事の所見を伺います。また、こういう手法が容認されるならば、例えば県の事業実施にあたっても県民の理解と協力を得ることが困難になるなど重大な負の影響をもたらすと思うが、知事の認識をお聞きします。

 

○県知事 次に、処理水の海洋放出に係ります国の対応についてどう考えるかとの、お尋ねがありました。

国は、処理水の海洋放出の実施にあたりましては、平成27年の夏に「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」との方針を示しまして、関係者との意見交換を重ねてまいりました。また、東京電力及び国において安全性について確認を行い、IAEA、国際原子力機関でございますが、も安全性に関する技術的な検証を行ったところであります。

そうした取組の結果、国は、漁業者の声を踏まえ、一定の理解を得たという判断に立って、海洋放出の開始を決定したというふうに説明をされているところであります。

一方、風評被害への懸念などから、依然として今回の放出に不安を感じられている方もおられます。この点につきましては、岸田総理自らが、政府を挙げて風評被害対策や、漁業の生業の継続支援に努力を続けていくというふうに述べられています。

もとより、国が「関係者、国民との約束を反故にする」ようなことはあってはなりません。引き続き、国の責任において、漁業者をはじめとして、関係者や不安を感じられている方々の安心が得られますように、努力をいただくことが必要であるというふうに考えています。

次に、県の事業実施に当たって県民の理解と協力を得ることが必要ではないかとの、お尋ねがございました。

県の事業について、県民の皆さんをはじめ、関係者の理解と協力なくして進めることはできません。このため、事業の実施に当たりましては、関係者の方々にしっかりと説明を行いまして、理解を得た上で進めるよう心がけております。

引き続き、こうした丁寧な対応に努めてまいります。

 

●細木議員 今回の処理汚染水は、通常運転している原発から出る二次冷却水ではなく、溶け落ちた核燃料に直接触れたものです。ALPSで処理したとはいえ、セシウム、ストロンチウム、ヨウ素等が残存しているものを海洋放出するのは世界で初めての試みです。核汚染された水を大量に長期間流出させた場合の影響は予見しがたいものです。放出されるトリチウム以外の様々な核種とその総量は明らかにされておらず、生物濃縮することでの影響などはわかっていません。しかも、IAEA報告書は30年に及ぶ放出による環境影響評価を実施していないし、東電も政府にそれを求めてもいません。海洋放出以外の他の方法との比較検討も行っていません。

放射性物質を扱う際の原則に「行為の正当化」があります。メリットがリスクを上回る必要がある、というもので、医療の放射線治療、また原発にともなうトリチウムの放出も、この原則のもとで実施されています。今回の海洋放出についてIAEAの報告書は、社会、経済、環境などの影響を考慮した正当化については評価してないことをわざわざ指摘しており、「計画の承認も推奨もしていない」と明言しているのです。

◆IAEAの報告書は、海洋放出を「正当化」していない、「承認も推奨もしていない」、このことをどう認識しているか。また、このことが正しく説明、報道されてない現状は、リスクコミュニケーションにとって由々しき事態ではないか、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、今回のIAEA・国際原子力機関の報告書の位置づけと、国からの説明について、お尋ねがございました。

IAEAは、原子力分野について専門的な知識を持ち、安全基準を策定、適用する権限を持つ国連の関連機関であります。公表された報告書は、海洋放出の是非について判断したものではありませんけれども、I AEAが第三者として、国際的な安全基準を満たしていることを検証したものというふうに認識をいたしております。

処理水の海洋放出につきましては、福島第一原発の着実な廃炉を進めるため、国の責任において決定されたものであります。このため、国は、放出の必要性や安全対策などにつきまして、様々な機会を通じて説明されてきたものと承知しております。

一方で、今回の報告書が、海洋放出の方針を推奨や支持するものではないというご指摘がありました。この点につきましては、風評被害などに世論が集中し、それらに比べますとただいま申し上げました「推奨や支持するものではない」というような点については、あまり大きく報道されなかったというふうにと考えます。

こうしたことを踏まえまして、国におきましては引き続き、関係者や、不安を感じられている方の状況や思いに寄り添われまして、科学的な根拠に基づいて、丁寧な説明が行われるということを期待いたしております。

 

●細木議員 廃炉作業の促進のためと言いますが、溶け落ちた880トンと試算されるデブリのうち、この12年間で取り出されたのは1グラムにも達しておらず、廃炉の見通しはまったく立っていません。海洋放出しないための大型タンクの設置、モルタル固化などの方法が存在します。なにより重大なのは、地下水の流入で、現在も日に100トンもの汚染水が発生し続けていることです。専門家、市民団体からは、地下ダムと称される原発を取り巻く広域遮水壁の建設が提案されています。費用も凍土壁の約半分とのことです。しかし、この提案は、まともに検討されず、「海洋放出ありき」で突き進んだことで、問題を深刻化させています。

放射線防護の鉄則の一つは「放射性物質は閉じ込める」「環境中に拡散させない」ことです。

◆関係者との約束を反故にした「海洋放出」は中止するとともに、地下水の流入を防ぐ抜本対策、海洋放出以外の解決方法を、東電まかせでなく、国際的な知見を結集して検討すべきと思うが、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、海洋放出の中止と、海洋放出以外の解決策の検討をすべきではないかという、お尋ねがございました。

処理水の処分につきましては、平成25年から議論が重ねられてまいっております。海洋放出以外にも、水蒸気放出ですとか、地層注入、地下埋設など、様々な方法が検討されてきたものと承知しております。そして、専門家により構成された委員会におきましては、令和 2年、海洋放出と水蒸気放出、この2つが現実的な方法であると発表されたというふうに承知しております。

その後、地元自治体など様々な関係者へのヒアリングも行われ、書面での意見の募集も行われたところでございます。令和3年、国におきまして「2年後をめどに海洋放出する」という基本方針が決定されるにいたりました。海洋放出のこの方針決定にあたりましては、国内で放出実績があるという点、また、もう一つの選択肢でありました水蒸気放出に比べまして、モニタリング等を確実かつ安定的に実施が可能であるという点、こういった点が評価されたものと考えております。

あわせて、IAEAから、今回の処理水の海洋放出の実施は「国際安全基準に合致」している旨の報告がなされているということでございます。こうした検討から決定に至る経過、そして科学的な安全性の評価などを踏まえますと、現時点で、海洋放出の中止や、新たな方法の検討を改めて行う必要があるというふうには思っておらないところであります。引き続き、国の責任において、福島第一原発の着実な廃炉に向けた取組を進めますとともに、国民の皆さんに対します丁寧な説明を行っていただきたいというふうに考えております。

 

【知事の政治姿勢・マイナ保険証】

●細木議員 マイナ保険証の混乱は、現場の実務の実態を知らないものがシステムを構築したことにあるのではないでしょうか。マイナカード、住民票、戸籍の名前には、読み仮名は義務づけられていません。銀行口座はカタカナ、パスポートはローマ字です。また、名前や住所の異体字の扱い、何丁目、何番地、何号をどう表記するかという住所表示のゆれなど、ここが統一されてないために、突合できないデータが多数発生した問題など、そもそもデジタルの前提である仕事の仕組みの統一が不十分なまま、デジタル化を推し進めた結果です。だから検索しても一致するデータが出てこない事態が生まれており、混乱の原因となっています。協会けんぽ、健保組合で71万人分の保険証とマイナンバーが紐づけ出来てないのは、そのあらわれです。デジタル化の前に、様々な仕事の内容をどう標準化するかという基本の取組が必要だったのです。

 マイナ保険証も5年毎に役所に行って更新手続きが必要なのですが、政府は、保険証廃止を決め、資格確認書の発行を決めたものの、申請が困難な人はどうするのか、の声に押され、当面の間、プッシュ型の送付をきめました。しかし、誰がマイナ保険証を保持しているか、リアルタイムで把握するシステムはなく、どう資格確認書をとどけるのか自治体は困惑しています。また被用者保険では、定期的に資格確認書を発行する手間とコストが新たに発生する問題もあります。そのうえ、オンライン資格確認システムの義務付けを免除された医療機関が存在することから、あらたにマイナ保険証の保持者に「資格情報のお知らせ」を届けなければならないという事業も追加されることになりました。もっとも弱い立場の人達の現状とそれに寄り添った制度設計がなされてなかったことも混乱の原因です。

◆マイナ保険証をめぐる混乱は、現場の実態、国民の実態を軽視し、マイナンバーカード普及が自己目的化したことに原因があるのではないか、知事の認識をお聞きします。

 

●細木議員 そもそも、マイナカードの普及、利用がすすまない最大の原因は、利便性の実感ができないこと、そして個人情報保護への信頼が欠如しているからです。

◆保険証廃止は撤回し、スタートラインにもどって、改めて国民の納得と合意のもと一歩ずつ進んでいくべきと思うが、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、いわゆるマイナ保険証をめぐります混乱と保険証廃止の撤回について、お尋ねがございました。関連いたしますので併せてお答えをさせていただきます。

今後、医療分野でのデジタル化を進めることによりまして、例えば過去の治療歴のほか、重複する検査あるいは投薬がないかどうかといったことを速やかに確認することができるようになりまして、より良い医療を効率的に提供することが期待されていると考えます。この実現に向けてマイナ保険証への移行は避けて通れない道であるというふうに考えています。

そうした意味で、国民にとってより良い医療の提供を実現するという意味を持つわけでございますので、私としましては、様々な条件さえ整えばできるだけ早くこの意向が行われることが望ましいのではないかという思いを持っております。

ただ一方で、現状どうかといいますと、ご指摘もありましたように、マイナ保険証を巡りましては様々なトラブルが相次いでおります。国民の皆さんからの不信感、現場での混乱が生じていることは事実でありますので、このため、現在、国におきまして、紐付けの総点検の作業等を進めているというところだと考えております。

現段階で、国の方は来年秋に保険証を廃止してマイナ保険証に切り替えていくという方針ではありますけれど、経過的な措置といたしまして廃止後も最大一年間は保険証を利用できる、引き続き利用できるということ、あるいはご指摘もありましたように、保険証に代わります資格確認書の発行も準備するというようなお考えも示されています。

マイナ保険証へ完全に移行するということに関しましては、国民の信頼回復が大前提となるというふうに考えますが、こうした経過的な措置も準備をされているということでありますから、こうした経過的な措置も活用いただきながら、実質的に段階的な移行を目指していくということが、私としては望ましい方向ではないかというふうに考えているところであります。

 

【知事の政治姿勢・気候危機対策】

●細木議員 次に気候危機について。

世界各地で、干ばつ、熱波、山火事、豪雨など異常気象による災害が頻発しています。南極、北極の氷の減少、氷河の後退、異常な海水温などが記録されています。我が国において酷暑や豪雨が各地を襲いました。

人間の健康や生態系、経済、農業などに大きな影響を与えており、気候危機の様々な症状が噴出しています。グテレス国連事務総長は7月に「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と警告を発しました。そして、「パリ協定」の目標達成は「まだ可能だ」とし、「特に温室効果ガス排出の8割に責任を負っている日本を含む20カ国・地域(G20)が気候危機対策と気候正義の実現へさらに力を入れねばならない」と強調しました。国連は、すでに2年前に、各国が定めた温室効果ガスの削減目標を達成しても、今世紀末には産業革命前から気温が2・7度上がると公表しており、目標の上積みを含んだ取り組みの強化は、未来の世代への責任であり、一刻も猶予はできない状況です。

22年4月に策定した県脱炭素社会推進アクションプランは、「カーボンニュートラル実現に向けて重要となる2030年度」の温暖化ガス削減目標(2013年度比)を「47%以上」に引き上げ、排出量の削減に向けた取組を強化」すると掲げています。

◆策定から1年半たちましたが、現在の削減目標の達成度、主だった省エネ化と再生可能エネルギー普及の取組の進捗はどのようになっているのでしょうか。さらなる目標、取り組みの充実が必要ではないか、知事のお考えをお聞きします。

 

○県知事 次に、脱炭素社会推進アクションプランの取組状況について、お尋ねがございました。

この県のアクションプランは、「2050年カーボンニュートラルの実現」と「経済と環境の好循環の創出」に向けた行動計画であります。このプランでは、その中間目標といたしまして、2030年度までの温室効果ガス排出量を2013年度比で47%以上削減という目標を掲げますとともに、170のKPI・指標によりまして、各施策の進捗を把握いたしているところでございます。

本年8月末時点の進捗度といたしましては、例えば、園芸用A重油の使用量の削減、太陽光発電の累計導入量など、省エネあるいは再エネ普及の取組を含めまして、この目標を掲げました事項に関しまして約8割が達成見込みとなっております。また、そうした結果の、温室効果ガスの排出量という点で見ましても、本年度末時点で2030年度の目標削減量までの進捗率が約61%になると予測をいたしておりまして、全体としては順調に削減が進んでいるというふうに評価をいたしております。

一方、個別の部門でみますと、例えば、家庭やオフィスなど目標のペースを下回る部門もあるわけであります。さらに、進んでまいっております産業部門などに関してみましても、アフターコロナによります今後の需要回復ということも踏まえますと、今後より一層の取組の強化が必要だと考えられる状況だと思っております。

第Ⅰ期アクションプランの計画期間は、令和4年度・5年度の2カ年間といたしておりまして、現在、外部委員会のご意見も伺いながら、次の第Ⅱ期計画の策定に向けて、取り組んでいるところでございます。

委員会からは、それに際しまして、例えば、「脱炭素化に向けた将来イメージをより分かりやすく示してはどうか」といったご意見もいただいておりまして、次期計画にこの中身も反映していきたいと考えております。加えまして、ICT技術の活用によります生産性の向上や、本県の豊かな自然資源を活用した太陽光発電設備への支援、県内各業界団体の課題などに対応いたしました施策の充実を図りまして、さらなる排出削減につなげてまいります。

引き続き、温室効果ガス排出量の現状やアクションプランの各施策の進捗を的確に把握いたしまして、進捗の管理をしながら、目標達成に向けて必要な施策を講じてまいる考えです。

 

●細木議員 脱炭素アクションプラン重点施策には「県民や事業者に向けた多方面からの普及啓発」施策として、クールビズ・ウォームビズが取り上げられ、知事は議会初日、「排出量削減ペースが目標を下回っている。県民にさらなる意識醸成図る」と話されました。現在四国4県連携事業として「クールビズ四国」キャンペーンも実施されています。

しかし、先日行われた議会運営委員会において、意見の一致をみない場合は現行通りという原則がありながらも本会議に入室する際、上着・議員バッジを着用することが強行されました。

◆脱炭素をすすめるため、“率先垂範”する立場の議員が施策推進ではなく後退するようなことで良いのでしょうか。知事のお考えを伺います。

 

○県知事 次に、クールビズ期間中におきます県議会議員の上着の着用の問題について、お尋ねがございました。

いわゆるクールビズは、室温の適正化、そして、その温度に適した軽装の取り組みを通じまして、省エネとCO2の削減を図るというものでありまして、県のアクションプランにも位置づけて推進しているところであります。

一方で、この「軽装」が具体的にどの程度のものをいうのかというのは、一律に定まるものではございませんで、いわゆるTPOや仕事環境などに応じて柔軟に対応すべき、ある程度の幅をもって考えられるべきものだというふうに考えます。

議会におきます夏期の服装のあり方に関しましては、議会において自律的に決定されると、そうした方向が筋であるというふうに私としては考えております。従いまして、この問題について、私としては、先日の議会運営委員会での決定を尊重したいというふうに考えています。

 

●細木議員 これまでも質問してきたように、気候危機に対する取組は、より質の高い暮らしと経済をつくっていく取組です。しかし、断熱住宅支援50戸とか、本気で取り組んでいるとはとても思えません。現状は、未来を生きる子どもたちに、胸を張れる取組なのか、私たちも真剣に考える必要があります。 

その未来を生きる子ども、若い世代が社会を動かす事例が各地で生まれています。

神奈川県は今年度、すべての県立高校で使う電力を再生可能エネルギーで発電した電力に変えました。きっかけは、地球温暖化を止めたいと願う高校1年生が一人で始めた運動でした。2021年3月、「学校で地球にやさしい電力を使いたい」とネット署名を開始。署名は4か月間で2万名を超えました。高校の生物の授業で、化石燃料を使うことが地球温暖化の大きな要因となっているメカニズムを学び、自分が使っている電力が化石燃料を使う火力発電でつくられ「自分も温暖化に加担している」と感じたことが行動の原点です。一人で行動することに躊躇もあったとのことですが、環境アクティビストのグレタ・トゥンベリさんが一人でデモに立ち上がったことに勇気をもらい行動したとも語っています。神奈川県の担当者は、この活動が「高校への再エネ導入を加速するきっかけになった」と述べており、2030年までに全県有施設で使用する電力の再エネ100%利用を目指しています。

2つ目は、スノーリゾートで知られる長野県白馬村の白馬高校の高校生の取組です。教室を断熱改修すれば暖かくなるだけでなく、省エネも実現できることを知り、2020年初めに学校に断熱改修の提案を行い、学校、教育委員会の許可も得て、プロの建築家の指導で、自分たちで資金もあつめ、断熱改修に取り組みました。この経験は、白馬村、長野県のカーボンゼロ計画の中にも位置付けられています。

3つ目は、さいたま市芝川小学校の取組です。暑すぎてエアコンが効かないと断熱工事にとりくんだ例です。工事は、地元の工務店が担い、保護者や子どもも参加。天井と壁を断熱し、窓の内側をアルミホイルを張った板で遮熱。換気扇を修理し、基準の1500ppm以下を維持できる装置(デマンド換気)をつけたとのことです。同事業に携わった東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授の前真之(まえまさゆき)さんは、断熱後は、「とても涼しくなり、集中できる」と述べており、教室が健康で快適な学びの場に変わったことがわかりました。さらに「すべての教室で天井の断熱、窓の遮熱、デマンド換気だけは行ってほしい。1教室100万~150万円程度で可能です。そうすれば冬も温かくなり、小型のエアコンで済むようになり、電気代も安くなります。換気がよくなり、感染症のまん延を防ぎます」、と語っています。

◆これらの取組に学ぶべきものがあるのではないか、この点は教育長にお聞きします。

 

○教育長 まず、若い世代が自治体や社会を動かした取組について、学ぶべきものがあるのではないかとのお尋ねがございました。

お話にありました他県の取組は、児童生徒が社会的な課題を自分事として捉え、できることは何かを考え、実際に行動したという点、また、その行動に周囲も共感しともに動いたという点において、価値あるものと考えます。

本県におきましても、総合的な探究の時間等を活用し、高校生が地域や社会の課題を探究し、その解決策を考える取組が多くの学校で行われています。例えば、環境問題に関しましては、ソーラーパネルの発電効率を高める研究やマイクロプラスチックの海洋汚染の実態把握などを行い、各校の学習成果発表会やフォーラム等を通じて、地域や関係機関の方々に発信も行っているところであります。

ただ、こうした研究や取組を学校全体、あるいは社会の動きにまで高めていくためには、 これまで以上に生徒が自ら主体的に考え、行動したり、自分たちの意見や主張を多くの人々に伝えたりする力を育むことが大切であると考えます。

また、その際には、生徒たちの意見や活動を学校や周囲の大人がしっかりと受け止めることも必要だと思います。今後、こうした観点も踏まえて、日々の学習等の充実を図り、人材育成に努めてまいります。

 

●細木議員 こうした取り組みに学ぶとともに、

◆県立学校や公的施設の断熱化、再生可能エネルギーの導入に、目標をもって本格的に取り組むべきではないか、知事と教育長にお聞きします。また、民間住宅の断熱リフォーム制度を拡充強化すべきと思うが、この点については土木部長にお聞きします。

 

○県知事 次に、県立学校や公的施設の断熱化、再生可能エネルギーの導入の取り組みについて、お尋ねがございました。

学校や庁舎などの断熱化・再生可能エネルギーの導入は、脱炭素社会の実現を目指します本県におきまして、自らの率先垂範の観点から、重要な取組だと考えております。

このため、学校も含みます県有施設から排出する温室効果ガスを2025年度までに2019年度比で6.0%削減するということ、こうした数値目標を掲げまして、省エネ化あるいは再エネ導入の取組を進めております。

このうち省エネ化につきましては、施設の長寿命化改修等にあわせました断熱化あるいはLEDへの改修を行うことにしておりまして、今年度は北庁舎等で改修工事を進めております。

また、再エネの導入につきましては、今年度、県庁本庁舎のほか5施設への太陽光発電設備導入に向けて設計や工事を進めることとしております。来年度以降も順次整備を行いまして、2030年度には設置可能な施設の50%以上に太陽光発電設備を導入するという目標を掲げて取り組みます。

今後とも、県自らが率先して脱炭素社会の実現に貢献するという考え方に立ちまして、省エネ化、あるいは再エネの導入などを行うことによりまして、公共施設の脱炭素化を着実に進めてまいる考えであります。

 

○教育長 次に、県立学校施設における断熱化及び再生可能工ネルギーの導入について、お尋ねがございました。

学校施設における断熱化や再生可能エネルギーの導入については、令和4年3月に、 「新しい時代の学びを実現する学接施設の在り方」として、国の報告書にもまとめられておりま す。学校施設の整備にあたっては、この点を考慮する必要があるものと認識しております。

また、現在、本県では、多くの学校で老朽化が進んでおりますことから、長寿命化計画を策定し、順次改修に着手しております。その中で、外壁や屋根等への断熱材の施工や、断熱性能の高い窓への取替えなど学校施設の断熱化にも取り組んでいるところであります。

また、再生可能エネルギーの導入につきましては、現在、県立学校10校に太陽光発電設備が設置されています。今後、県の脱炭素社会推進アクションプランに沿いまして、令和12年度には、設置可能な施設の50%以上に太陽光発電設備を設置するよう整備を進めていくこととしております。

県教育委員会としましては、このように達成目標をもって計画的に進めているところであり、引き続き、学校が児童生徒にとって安全・安心で、快適な環境となるよう施設の改善・充実に、取り組んでまいります。

 

○土木部長 民間住宅の断熱リフォーム制度の拡充強化について、お尋ねがございました。

カーボンニュートラル実現に向けて、住宅の断熱化の促進は重要な施策の一つであると考えております。

このため、県では、断熱リフォームを行う住宅の所有者に対して、市町村が補助する場合に、その費用を支援する制度を、今年度、創設いたしました。

さらに、高知県脱炭素社会推進アクションプランにおいて、この補助制度により支援する件数を、2030年度までに計3,400件とする目標を設定しました。

取り組みの初年度となる今年度は、市町村への周知や制度化の準備に時間を要することから、50件を支援する目標としております。しかしながら、審査における技術的な点に不安を感じている市町村が多いこともあり、現在のところ、この制度を活用している市町村は、安芸市、津野町、日高村の3市町村にとどまっています。

このため、担当者説明会において制度を周知するとともに、この制度を活用していない市町村に対して、個別訪問により制度の導入を働きかけているところです。

また、民間住宅の断熱リフォームに向けた県民の皆さまの意識醸成を図るため、県のホームページやリーフレット、関係団体の講習会など、様々な機会を通して、断熱リフォームによるメリットについて、広く周知啓発を行っております。

今後は、市町村のご意見もお聞きしながら、技術的な面での支援の仕組みを検討するなど、より一層、民間住宅の断熱リフォームの普及促進に取り組んでまいります。

 

●細木議員 国連の子どもの権利委員会は、8月末、気候変動によって子どもの権利条約で定められた権利が脅威にさらされているとして、各国政府に対し、気候変動がもたらす現在および将来の危害から子どもの権利を保護する措置をとるよう求める指針(「一般的意見」)を発表しています。 

指針は、子どもが清潔で、健康で、持続可能な環境に暮らす権利がある。環境政策や気候変動対策に子どもの意見を反映させる重要性。子どもが気候変動問題を理解し、行動を起こせるようにするために、情報を得て、法的手段に訴える権利を保障する責任を各国政府が負っているとしています。ここには、2018年にスウェーデンでグレタ・トゥンベリさんが始めた学校ストライキや、そこから世界中に広がった「未来のための金曜日」のデモの取組、ドイツや米モンタナ州で若者が原告となり、若者の未来を奪っていると温暖化対策の加速を求めた裁判で、ともに勝訴したことなど、若者の行動が反映をしています。

◆子どもの権利委員会の指針に基づき、子どもたち自身が権利の主体者となって取り組めるよう、県としても全国各地の気候変動に対する取組の情報提供や、子どもの意見表明の場づくりなど進めるべきではないか。知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、気候変動に関する子どもたちへの情報提供、そして子どもたちの意見表明の場づくりについて、お尋ねがございました。

気候変動の問題は、将来世代に密接に関わる課題でございまして、そのリスクを背負う子どもたちへのアプローチは、大変重要な視点であります。このため、県の地球温暖化対策の取組におきましても、子どもたちへの積極的な情報発信を行いますとともに、子どもたち自らの主体的な活動を後挿ししてまいりました。

具体的には、子ども向けのパンフレットの配付、イベントの開催によりまして、地球温暖化の現状、そして私たち一人一人ができる取組など、気候変動に関する様々な情報提供を行っております。また、学生の皆さんに地球温暖化防止県民会議の活動に参画いただいておりますほか、SDGsに関する出前講座の企画及び運営を若者世代が中心となって実施するといった取組を進めておるところであります。

本県が目指します2050年のカーボンニュートラル実現には、あらゆる世代の県民が一体となって、脱炭素化の取組を推進していくことが大事であります。こうした視点に立ちまして、今後も未来を担う子どもたちが地球温暖化の問題について理解を深め、主体的な活動が行えるように、環境教育の機会の充実に取り組みます。

あわせまして、ホームページや県民会議の活動を通じまして、子どもたちの意見を広く発信する場の拡大に、引き続き努めてまいります。

 

●細木議員 みどりの食料システム戦略において、有機農業の推進が位置づけられています。有機農業は、温暖化ガス削減にとっても重要であるとともに、輸入に頼っている化学肥料の使用を減少させる点で、食料の安全保障に資する取組です。 

四国内には、愛媛県今治市や東とくしま農業協同組合の取組など、先進的な事例が存在していますが、多くの自治体では、有機農業の普及は、学校給食へのコメをはじめとした食材提供と一体で進められています。これらの地域では、移住した若者が力を発揮しているのも特徴です。

◆県においても学校給食への有機農産物の使用含め、有機農業を本格的に進めるべきだと思うが、取組の状況について、この点は農業振興部長にお聞きします。

 

○農業振興部長 有機農業の取組状況について、お尋ねがございました。

有機農業のさらなる拡大に向けまして、県では昨年度、有機農業者の方々に対し、課題や要望について聞き取り調査を実施いたしました。

生産者からは、「病虫害に苦労している」といった栽培技術の課題や「販売先の確保が難しい」といった販路拡大に向けての課題が多く挙げられましたことから、本年度はこうした課題を解決すべく、取組を進めているところでございます。

まず、栽培技術の向上に向けましては、4月に各農業振興センターに相談窓口を設置し、生育不良や病虫害対策についてのアドバイスや堆肥に関する情報提供などを行っております。また、県域で課題を検討する場を設け、多くの有機農業者の参加のもと、生産者間における栽培技術に関する情報共有なども行っております。

また、販路を拡大していく上では、実需者に求められる品目を生産すると同時に、ロットも確保しなければなりません。これには、個々の取組では限界があることから、生産者がグループとなり、組織的な対応を図っていく必要があります。

このため県では、グループ化の後押しも行い、新たに組織化されました約3 0名の生産者グループに対しまして、商談会の実施や直販所などにおける販売コーナーの確保といった販路拡大に向けた支援を実施しているところでございます。

さらに、学校給食での使用拡大に向けましては、教育委員会と連携のもと、市町村と生産者のマッチングを目的とした協議の場づくりなどにも取り組んでおります。

こうした既に有機で栽培されている生産者への支援に加えまして、今後は、需要の期待できる水稲やユズなどを「戦略的品目」と位置付けたうえで、新たな生産者の確保も図るなど、さらなる有機農業の拡大を目指して取り組んでまいります。

 

【知事の政治姿勢・子育て支援】

 ●細木議員 県政における子育て支援の充実は進んだのか、これからどう支援の拡大を図るのか、子どもの医療費の助成と学校給食の無償化への支援についてお聞きします。

子どもの医療費助成は本県では平成13年(2001年)3月から乳児の入院と通院に対し医療費助成をスタートし、現在、0歳~6歳までの無料化に対して県は2分の1の補助を市町村に行っています。

この支援の下、県内で多くの市町村が独自の上乗せ支援に取り組みむなどして、現在、中学校卒業までの無料化は高知市を除くすべての市町村で実施され、さらに高校卒業まで無料とする取り組みも行われています。しかし、県の医療費助成には所得制限が残っている点や平成21年(2009年)7月の改正以降、県による子どもの医療費助成の進展はなく、この14年間、県の子どもの医療費助成は改善されずにきました。結果、全国的にも最低レベルの水準となり、県内での無料化も自治体間の格差解消も進みにくい状況となっています。

全国的には県レベルで高校卒業まで無料化または助成支援を行う流れが広がっています。例えば、東京都は2023年から子どもの医療費助成の対象を中学生から高校生までに拡大。23区は独自制度として所得制限や自己負担なしとしました。県レベルでは、岩手県、群馬県、奈良県でも今年から高校生まで拡大しています。

◆まず、本県の子どもの医療費無料化の実態を知事にお聞きします。併せて、子ども医療費助成の対象年齢や県負担金の引き上げで、市町村支援を強化し、県内市町村が足並みをそろえて、高校卒業までの子どもの医療費無料化へ取り組めるように予算確保をすべきではないでしょうか、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、子どもの医療費のいわゆる無料化、無償化について、お尋ねがございました。

県におきましては、乳幼児の保健の向上そして福祉の増進を目的といたしまして、病気や発熱などで受診機会が特に多い6歳までの乳幼児期の医療費につきまして無償化に取り組みます市町村に1/2の財政支援を行っているところであります。

これに加えまして、主として子育て支援といった観点から、各市町村が上乗せの助成を行い、独自に助成対象の年齢を拡大しているというのが現状だということでございまして、具体的な範囲としましては高校生までが18市町村、中学生までが15市町村、小学生までが1市といった分布となっているところであります。

こうした形で、市町村ごとに、差がついているという現状でございますけれども、本来子どもの医療費は、住む地域や市町村の財政力に左右されることなく、安心して医療が受けられますように、 国の責任において全国一律に助成を実施すべきものというふうに考えております。

このため、全国知事会とも連携いたしまして、私自身が積極的に政策提言も行いまして、全国一律の助成制度の創設を強く働きかけているところでございます。

ただ、一方で、多くの市町村長からは、そうした方向が筋ではあるけれども、現状を見ると、国の措置が取られるまでの間、子ども医療費への助成に対しまして、県も何らかの財政支援を拡大できないのかというお声は多くいただいているところでございます。こうしたことでございますので、来年度からの人口減少対策に関します新たな財政支援制度の枠組みの中で、市町村が子ども医療費助成の拡充を図る取り組みについて、どのような形で支援できるのかという点については、今後検討してまいる考えであります。

 

●細木議員 同じく学校給食の無償化についても県の支援が問われています。全国では269自治体、県内では今年7月時点で、土佐町・佐川町・本山町・三原村・大豊町・中土佐町・仁淀川町・四万十町・室戸市・大川村(県は給食と位置付けてはないが集落活動センターより弁当配食)など県内では10カ所の市町村が独自の努力、財源で学校給食の無償化が行われています。

「義務教育は無償」との憲法26条の原則に照らしても、また、「保護者負担分の軽減につながる公費投入はできる」との国会答弁でも、無償化は行政が積極的にしなければならない問題だと言えます。

さらに、学校給食の充実は子育ての負担を軽減するだけでなく、子どもたちの成長に欠かせないバランスの取れた栄養を保障し、また地産地消を通じて、地元農家や漁業者など地域経済にも大きく貢献しています。

◆学校給食は、子ども達にとって幾重にも効果と意義がありますが、その認識と、県として市町村まかせにせずリーダーシップを果たす立場から学校給食費の無償化に向けた県独自の支援が必要ではないか、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、学校給食の効果と意義についての認識、そして、給食費の無償化に向けた県独自の支援の必要性の点についてお尋ねがございました。

学校給食は子どもたちの健康の保持増進、食育の充実などの観点から、我が国の教育の中で、大変重要な役割を担っているというふうに認識しております。

その中で、現在、本県の一部の市町村におきまして、独自の判断により学校給食費の無償化を実施していることは承知をいたしております。しかしながら、学校給食の役割は全国共通のものでありまして、その無償化につきましては、地域によって、あるいは自治体の財政力によって差が生じることがないように、国の責任によって行われるべきものであるというふうに考えます。

こうした考えに基づきまして、まず本年3月と5月に、学校給食費の負担軽減につきまして、本県独自で国に対して政策提言を行いました。また、 7月には、全国知事会として、学校給食費の無償化について、国の責任と財源による制度設計を行うということを求めたところであります。

現在、文部科学省におきましては、この3月に策定をされました「こども未来戦略方針」を踏まえまして、学授給食費の無償化の実現に向けての、実態調査あるいは課題の整理などが行われている段階だと承知しております。今後は、こうした国の動向を注視しながら、引き続き、全国知事会とも連携し、国に対して、働きかけてまいりたいと考えております。

 

【防災】

●細木議員 今年は関東大震災からちょうど100年の節目を迎えました。9月1日に発生し関東一円を襲った巨大地震は、家屋倒壊や火災による甚大な被害をもたらしました。10万5000人超えの死者には数千人もの虐殺犠牲者が含まれます。殺されたのは、当時日本の植民地だった朝鮮人をはじめ、中国人、関東地域でなじみの薄い方言を使う人、発語の不自由な人、加えて若き社会主義者や労働運動の指導者も含まれています。

震災直後、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などのデマが流され、各地で住民が自警団を組織し虐殺の担い手となりました。軍隊や警察組織も関与、内務省がデマを拡散したことも明らかになっています。しかし8月末、松野官房長官は「調査した限り、政府内に事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」と述べました。自民党政権下の2008年内閣府中央防災会議がまとめた報告書「1923関東大震災 第2編」でも、東京都公文書館所蔵の「関東戒厳司令部詳細」にも虐殺について記録されています。中央防災会議の報告書では「軍隊や警察、新聞も一時は流言の伝達に寄与し、混乱を増幅した」と総括しています。

歴史の隠ぺいは許されません。歴史事実に対し謙虚で真摯であるべきではないでしょうか。

◆関東大震災での朝鮮人など虐殺に関する歴史認識について知事に伺います。

 

○県知事 次に、関東大震災に関する歴史認識について、お尋ねが ございました。

ご指摘にありましたような、関東大震災時に発生したとされます虐殺につきまして、様々な証言あるいは言い伝えがあるということは私も報道で承知しているところであります。

ただ、この虐殺に関します現在の政府の公式の見解は、政府内において、事実関係を把握できる記録が見当たらない、という形で整理をされております。

従いまして、事実関係が明確になっていない状況だというふうに判断をされますので、私といたしましては、県行政の長にあります立場として、この問題についてのお答えは差し控えさせていただくことが適当であると考えます。

 

●細木議員 高知新聞で連載された「流言禍 関東大震災から高知へ」では、県内の朝鮮人労働者が大阪に向かう際、「上阪を企て逮捕さる」の見出しで市内南宝永町にありました・水上警察署で厳重に取り調べされたと当時の土陽新聞は伝えています。

また近年では熊本地震の折、合成映像による「ライオン脱走」がSNSで拡散されました。これから発生する災害などで社会が混乱に陥る事態が発生した時、AI生成等のフェイクニュースが流布される恐れがあります。

◆災害時において流布されるおそれのあるデマなどへの対応について危機管理部長に伺います。

 

○危機管理部長 まず、災害時におけるデマなどへの対応について、お尋ねがございました。

大規模な車震や風水害などの災害発生時には、行政に加え、一般の方からも被災状況や被災者支援に関することなど、様々な情報が大量に発信されます。

県としては、命を守り、命をつなぐため、さらには生活を立ち上げるための情報を、県民の皆様に適時、的確に提供することが大変重要であると考えています。

一方、一般の方から発信される情報の中には事実と異なっていたり、必ずしも正確ではないなど、いわゆるデマが含まれていることがあります。災害時は精神的に不安な状況が続き、情報が錯綜しデマや誤った情報が拡散しやすくなります。

また、モバイル端末の普及により、インターネットやメール、SN Sを使い、デマが爆発的に拡散される状況も見受けられます。

デマは、社会全体に混乱を引き起こしたり、被災者の不安を拡大させてしまう恐れがあります。また内容によっては救助活動に支障をきたす場合や、災害時の限られた通信環境を圧迫することで、本当に必要な情報が行き届かない状況にもつながりかねません。

このため、災害時に悪質なデマが拡散している場合には、信頼できる情報源で真偽を確かめることや、不確定な情報をS NSなどで拡散しないこと、不確定な情報に惑わされることなく、冷静に対処することといった、社会秩序を維持するための広報を県警察とも連携しなから実施するなど、県民に対して注意喚起を行ってまいります。

 

●細木議員 避難所である体育館での雑魚寝の状況は100年前と殆ど変わっていません。憲法25条に基づく避難所の生活環境、命をつなぐ取組の抜本的な改善が必要です。

災害対策基本法(避難所における生活環境の整備等)第八十六条では、災害応急対策責任者は、災害が発生したときは、法令又は防災計画の定めるところにより、遅滞なく、避難所を供与するとともに、当該避難所に係る必要な安全性及び良好な居住性の確保、当該避難所における食糧、衣料、医薬品その他の生活関連物資の配布及び保健医療サービスの提供その他避難所に滞在する被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならない、と示しています。

避難所の生活環境改善については、国際的な人道憲章と人道対応に関する最低基準「スフィア基準」があります。「災害や紛争の影響を受けた人びとには、尊厳ある生活を営む権利があり、従って、支援を受ける権利がある。」とされ、特に災害関連死を防ぐためにも避難所での「TKB」トイレ=快適で十分な数のトイレ、キッチン=温かい食事提供、ベッド=簡易ベッドの改善が急務です。この間改善された課題もありますが、諸外国の避難所の状況、被災後の支援と比較して日本の現状はまだまだ遅れています。

◆避難所環境整備について抜本的に改善すべきと思いますが、進捗状況について危機管理部長に伺います。

 

○危機管理部長 次に、避難所の環境整備について、お尋ねがございました。

南海トラフ地震が発生した場合、避難所には多くの避難者が長期間にわたり、滞在することになります。このため、少しでもストレスを減らし、心身共に健康で避難生活を送ることができるよう、避難所の規模や地域性を踏まえた環境整備が必要であると考えています。

本県では、国の指針や、お話のあった「スフィア基準」、専門家の意見も参考に、避難所運営マニュアル作成の手引き、避難所における要配慮者の支援ガイドなどを作成しています。

こうした手引きなどを活用し、県内に約1,200箇所ある、ほぼ全ての避難所で運営マニュアルが作成されており、避難生活に必要となる、簡易なトイレやベッドなどの資機材整備も進められています。

一方、熊本地震や西日本豪雨など、避難生活が長期化した災害では、避難生活における精神的・肉体的な負担や、エコノミークラス症候群などを原因とする災害関連死が大きな課題となりました。

こうした教訓を踏まえ、本県では、避難所生活における困りごとなどについて相談を受ける仕組み作りや、エコノミークラス症候群を予防するための注意喚起など、避難者の健康を守る取り組みを進めています。引き続き、避難者がより良好な環境の下で、避難生活を送る ことができるよう、避難所の運営訓練を重ねるとともに、訓練で明らかになった課題について、市町村と連携し、改善に向けて取り組んでまいります。

 

●細木議員 日本小児神経学会が特別支援学校を子ども福祉避難所として指定を促進するよう文科省に要望書を提出しています。発達に障害のある子どもたちは環境の変化に弱く、災害時には問題行動が目立ちやすくなること、医療的ケア児は人工呼吸器や吸引器など電源の確保が必要なためこうした災害弱者と言える子どもたちの家族は避難をためらいがちになります。学会の調査では福祉避難所に指定されている特別支援学校は30%、子どもの福祉避難所指定はわずか2%だったそうです。

◆子ども福祉避難所の開設について、県内の現状および指定促進に向けた取り組みについて、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 まず、子どもの福祉避難所の現状と指定促進に向けた取り組みについて、お尋ねがございました。

災害時における障害のある子どもやご家族の避難につきましては、他県では、避難所での生活に躊躇し、避難できなかった事例があるなど、障害の特性に応じた安全、安心な避難 先の確保は大変重要な問題です。

そのため、一般の避難所では、配慮が必要な方のためのスペースの確保を進めるとともに、厚生労働省が示した、避難所等で生活する障害児者への配慮に関する取り扱いに基づき、安心した避難生活を送ることができる環境づくりに取り組んでいるところです。

また、一般の避難所では避難所生活を送ることが困難な方のための福祉避難所の指定を進めており、令和5年3月末時点で2 4 3施設が指定されています。

現在、障害のある子どもに特化した福祉避難所はありませんが、議員からお話のありました特別支援学校は、バリアフリー化した施設であり、障害に対する専門性を有していることから、1 7校中8校が福祉避難所に指定されています。この8校では、在校生に加え、卒業生やそのご家族などの受け入れも想定されております。

未指定の9校のうち、2校は病院の中にあり、別の1校は災害警戒区域内に立地していることから、福祉避難所の指定は困難な状況となっています。残りの6校につきましては、現時点では指定に至っておりませんが、県としましては、市町村と連携し、指定に向けて取り組んでまいります。

また、医療的ケア児の避難には、人工呼吸器などの電源の確保等が必要となることから、医療機関等との連携を密にし、一人ひとりの安全、安心な避難先の確保を進めてまいります。

引き続き、障害の特性に応じた避難先が確保できるよう、一般の避難所での要配慮者スペースの確保や、新たな福祉避難所の指定に向けた市町村の取組を後押ししてまいります。

 

●細木議員 千葉県では、避難後の住民の支援、救助等を迅速に行うため、防災科学技術研究所が整備した日本海溝海底地震津波観測網(S-net)のデータを独自に解析し、九十九里・外房地域の津波高、津波浸水域等を予測しています。気象庁長官による津波の予報業務の許可を取得し、昨年より対象市町への最大津波高、津波高の20cm超過時刻、津波浸水域、津波浸水深などの予測情報の配信を開始しています。また、和歌山、三重においても、こういったシステムによる津波浸水域の予測結果を用い、孤立エリア、被災エリア、避難者数、建物被害数等を推定し救助活動等の体制整備、避難所の受け入れ準備、物資支援の準備等に活用しています。

◆南海トラフ地震発生後の対応を早めるため、紹介した千葉や和歌山、三重などの取組を参考にDo-Net及び来年度、四国から日向灘沖に設置予定のN-netの運用とあわせ、予測情報提供の実用化準備を関係機関とともに連携し進めるべきと考えますが、危機管理部長にお聞きします。

 

○危機管理部長 最後に、海底地震津波観測網のデータ活用した、予測情報提供の実用化準備について、お尋ねがございました。

南海トラフ地震をはじめとする太平洋沖合で発生する地震や津波を観測するため、国において、「海底地震津波観測網」の 整備が進められています。これらの観測網のうち、南海トラフに関連するものは、熊野灘沖と室戸岬沖で既に運用されているDONETと、足摺岬沖 ら日向灘沖にかけ、 来年度に整備を終える予定のN-netがあります。

千葉県や和歌山県、三重県では、こうした観測データを活用し、各県独自で被害予測システムを軍用していますが、気象業務の許可取得や専門職員の育成配置のほか、機器類の整備・運用に多額の経費を要するなど課題があると伺っています。

一方、本県では、南海トラフ坤震発生直後の津波浸水被害等を推測するため、東北大学と企業が国の実証事業で共向開発し、内閣府も導入している「津波浸水被害予測システム」を活用することとしています。

このシステムは、気象庁から配信される震源や規模等のデータを用いて、津波到達時刻や浸水エリア、浸水による被災人口や建物被害をスーパーコンピュータで予測し、地震発生から30分程度で本県に提供されるものです。

南海トラフ地震発生時には、このシステムによる被害予測が迅速な初動活動に役立つものと考えており、既に、県の災害対策本部事務局訓練などで活用しています。

今後、国の海底地震津波観測網の整備が完了すれば、気象庁の緊急地震速報や津波情報の迅速な配信が行えるようになるとともに、より精度の高い被害予測にもつながることになります。引き続き、関係機関と連携を図りながら、予測システムの高度化や効果的な運用方法の検討に取り組んでまいります。

 

●細木議員 今年の夏から秋にかけ大変な猛暑に見舞われ、「熱中症警戒アラート」が連日のように発出、熱中症で救急搬送される方が増加、救急搬送業務にも負荷がかかる状況となっています。我が国における熱中症による救急搬送者数は数万人を超え、また、熱中症による死亡者数は年間 1,000 人を超える高い水準で推移しています。地球温暖化の進行に伴い、今後、「顕著な高温」の頻度・強度がますます高まっていくことが予測されていますが、まさに熱中症も「災害」であり、特に室内や夜間に熱中症にかかるリスクのある高齢者対策を強めなければなりません。

併せて、屋外での対策として環境省は、指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)の指定・開放などの施策をすすめています。一例をあげると「まちなかオアシス事業」として、一部公共施設を一時的な休息所として開放、経口補水液等配備し、薬局や商業施設等民間施設の指定・開放も広がっています。

◆県内の施設を対象に、指定暑熱避難施設の指定・開放を進める考えはないか、林業振興・環境部長に伺います。

 

○林業振興・環境部長 県内の施設を対象とした指定暑熱避難施設の指定・開放について、お尋ねがございました。

国においては、昨今の気候変動の影響により今後極端な高温の発生リスクが増加することを見据えて、熱中症対策を強化することとしております。

具体的には本年度、気候変動適応法を改正し、法的裏付けのある、より積極的な対策を進めることとしており、主なものとしては、国における熱中症対策英行計画の策定、現在の熱中症警戒アラー卜を「熱中症警戒情報」とし、より深刻な健康被害が発生し得る場合に一段上の「熱中症特別警戒情報」を発表すること、市町村長による指定暑熱避難施設、いわゆるクーリングシェルターの指定制度化などが挙げられます。

中でもクーリングシェルターは、熱中症特別警戒情報発表期間中の暑さをしのぐ場として、趣端な高温時における重大な被害の発生防止につながることが期待されます。

このため、県としましても、改正法が全面施行される令和6年春に向け、各市町村に対し制度の周知を行うなどして、クーリングシェルターの指定、開放に向けた検討を後押ししてまいります。

 

●細木議員 社会福祉協議会が貸し付ける「生活福祉資金」について社会福祉協議会に問い合わせたところ、低所得者がエアコンを購入する際、基本的には対象になるとのことですが、他県では対象となっていないところもあるなど周知が徹底されていません。

◆県民の生命にかかわる問題であり、改めて生活福祉資金の使途としてエアコン購入も対象である旨の周知徹底を図るべきではないか、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、生活福祉資金にエアコン購入が対象であることの周知についてお尋ねがございました。

高知県社会福祉協議会が行う「生活福祉資金貸付制度」は、低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯を対象に、資金の貸付と同時に、必要な相談支援を行うことにより、その世帯の経 済的自立や社会福祉参加の促進を図り、安定した生活を送ることを目的とする国の貸付制度です。

エアコン設置費用につきましては、相談者の収入状況等を総合的に判断し、エアコン購入費の一時的な出費が困難な方を貸付の対象としています。今年4月から8月末までのエアコン設置費用に関する貸付は19件となっており、全て、生活保護世帯への貸付となっています。

生活保護世帯への周知につきましては、担当のケースワーカーを通じて、必要に応じて貸付制度の案内を行っているところです。一方で、生活保護世帯以外の方への周知につきましては、コロナ禍で生活に困窮した方への支援として「生活福祉資金貸付制度」は広く周知を行ってきましたが、「エアコン設置費用の貸付」に関しては、個別相談の中での紹介にとどまっています。

今後は、エアコン購入費の一時的な出費が困難な方も、必要な相談支援につながっていくよう、エアコン設置費用の貸付について、生活福祉資金貸付制度のリーフレットに記載するなど、必要な方へ情報が届くよう工夫してまいります。

 

【教育行政】 

●細木議員 教員不足、長時間過密労働、先生のなり手の減少は深刻な課題です。今年8月、中央教育審議会質の高い教師の確保特別部会が、「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)」を発表、9月に入って各県の知事・教育長に通知が出されています。

取組の具体策として、①学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進②学校における働き方改革の実効性の向上等③持続可能な勤務環境整備等の支援の充実、が掲げられています。

①では、各学校における授業時数や学校行事の在り方の見直しが求められていますが、すべての学校において授業時数について点検、来年度以降の教育課程の編成に臨むこと、可能な学校においては今年度から改善を進めること、特に年間1086単位時間以上の標準時数を大幅に上回っている学校については指導体制や教育課程の編成工夫・改善計画をつくるよう強調されています。

県内のある自治体(三原村)の小学校での授業時数は、1年生で1059時間(標準時数850)、2年生1115(同910)、3年生1188(同980)、4年生1229(同1015)、5・6年生1231(同1015)、などの実態となっています。

ある小学2年生の作文をご紹介します。「6時間授業が2日あって疲れて姿勢が崩れます。疲れて姿勢が崩れても“姿勢を保って”と言われ無理に姿勢を保とうとすると背中が痛くなります。2年生から6時間授業は早すぎます。3年生くらいからがいいです」、疲れて6時間目にあった好きな図工の授業を休んだ時は、「6時間も授業すると脳みそが疲れるがよ、図工ってアイディアとか発想が大事やき。疲れた脳みそではアイディアとか浮かばんがよ」

先生も大変ですが、子どもも標準時数を越えた状況で疲れ果てています。

◆標準時数を超える県内小中学校の状況について、教育長に伺います。

 

●細木議員 文科省は、「災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態に備えることのみを過剰に意識して標準授業時数を大幅に上回って教育課程を編成する必要はない」としています。

◆「提言」に基づき、来年度の教育課程編成に向け、標準時数超過の現状をどのように改善していくのか、教育長に伺います。

 

○教育長 次に、県内の小中学校における授業時数超過の状況と、その改善について、お尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。

県教育委員会では、授業時数について、これまで、平成31年度の中央教育審議会の答申を踏まえまして、標準授業時数から105時間を超える場合は、児童の負担過重になるものと捉えてきたところであります。これに沿いまして、市町村教育委員会に対し、令和4年度の実績についての聞き取り調査を行ったところ、「105時間を超えている学校がある」と回答した市町村が51%、学校数では小中281校のうちの61校22%という状況でありました。

こうした中、文部科学省が本年8月の中央教育審議会特別部会からの提言を受け、発出した通知に基づきますと、先ほど申し上げた、105時間の超過という目安は、さらに70時間程度になるものと捉えられます。

このため、県教育委員会では、これまで以上に、授業時数や学校行事の在り方等を見直す必要があるととらえ、この目安と必要な対応について、速やかに市町村教育委員会に対して通知をしたところであります。さらに今後は、この通知内容を直接市町村教育委員会に説明する機会を設け、各学校で適切に授業時数が設定されるよう、指導の徹底を要請してまいります。

 

●細木議員 ②学校における働き方改革の実効性の向上等では、勤務時間の上限等を定めた令和2年の「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」の告示等について(通知)の実効性向上が求められています。

ある大学生は「教材研究も、いじめ指導も、保護者対応もしなければならないのに、働かせ放題で、残業代ゼロ。民間では許されないことがまかり通るのはおかしい」と話すなど、学校現場のブラックな働かせ方は、学生の教職離れの要因となっています。

2022年度に文科省が実施した「勤務実態調査」の集計が発表されました。前回調査と比較して「在校等時間」が30分程度減ったと言っていますが、いまなお多くの教員が「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」(1か月の時間外在校等時間45時間以内 、1年間の時間外在校等時間について、360時間以内)や厚労省の定める「過労死ライン」(月80時間)を越えて働かざるをえない実態があります。

◆この間の取組によって、県内教職員の長時間過密労働の実態がどの程度改善されてきたのか、教育長に伺います。

 

○教育長 次に、本県教員の長時間労働の改善状況について、お尋ねがございました。

県教育委員会では、これまで教育大綱や教育振興基本計画に働き方改革の推進を位置づけ、取組を進めてきたところであります。

具体的には、勤務時間管理の徹底や、統合型校務支援システム等のICTの活用促進、研修のオンライン化といった業務の効率化のほか、教員業務支援員など外部人材の配置など にも取り組んでまいりました。

その結果、例えば、教員業務支援員を配置している小中学校等における月平均の時間外在校等時間は、平成30年度の配置校20校で約53時間であったものが、令和4年度の配置校 85校では約41時間となるなど、改善傾向が見られております。

 

●細木議員 勤務実態調査の結果を受け、文科省は「給特法」改正の検討を行うとしています。給特法とは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(1971年制定)のことで、日本における公立学校の教育職員の給与や労働条件を定めた法律です。教育職員には、原則的に時間外勤務手当や休日勤務を支給しない代わりに、給料の月額の4%に相当する額を「教職調整額」として支給することが定められています。 

給特法の労働時間規制も「臨時又は緊急のやむを得ない必要があるとき」と限定されていますが、実際には法を無視し長時間の残業をさせる一方、残業代も支払わない、過労死ライン越えの残業も当たり前という最悪の状態に陥っているのが教員の現状です。

政府や自民党内では、学級担任や部活顧問への手当支給、教職調整額を増額する案も出されているようですが、まさに「固定残業代」と同種で働かせ放題、長時間残業の温床となるものです。

◆「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」改正について教育長の所見を伺います。

 

○教育長 次に、給特法の改正について、お尋ねがございました。

本年5月に文部科学大臣から中央教育審議会に対し、質の高い教員を確保するための総合的な方策について諮問がなされ、その中で、教員の処遇改善の在り方についても、現在検討されているものと承知しております。

また、本年6月の政府の骨太の方針では「給特法等の法制的な枠組みを含め、具体的な制度設計の検討を進め、教師の処遇を抜本的に見直す。」と示されたところであります。

私としましては、国において、現在の教員の状況を踏まえた処遇について、給特法の改正も含め適切な結論が出されるものと考えており、その動向を注視してまいりたいと考えております。

 

●細木議員 全日本教職員組合は昨年、教職員勤務実態調査を実施。時間外勤務が月平均92.5時間と過労死ラインを越えています。一日の休憩は平均10分、「今日も初トイレは夕方だった」という先生も多かったそうです。この調査結果からは、①教職員の過酷な勤務実態はもう限界であり、一刻も早く改善しなければならないこと、②長時間勤務の要因は、今の教職員数ではカバーできないほどたくさんの業務が押し付けられていること、③そのような中でも教職員は、授業の準備や子どもたちへの指導、ふれあいに時間をかけてよりよい教育をしたいと願っていること、があきらかになったとのことです。

長時間勤務の解消には小手先の対応ではなく、教職員大幅増員が求められているのは明白です。

県内での教員不足の実態は危機的です。この2学期冒頭、室戸市では、産休の代替が着任できず栄養教員が不在となりました。アレルギー対応など命に係わる教員が不在という由々しき事態です。産休中でしんどい時期、やむなく現場に出向くという事態もあったようです。現在も未配置も続いているようです。

最近の採用状況で若い栄養教諭が多くなっています。少子化で人口減少の中、学校現場では妊娠が喜ばれない、妊娠することで迷惑をかけるのではないかという思いを抱かせる現場は健全とは到底言えません。

◆県教委の「臨時教職員の配置に責任を持つ」姿勢、責任感や危機感欠如がこのような事態を招いたのではないか。教職員の今後の未配置解決策について、教育長に伺います。

 

○教育長 次に、教員の未配置に対する解決策について、お尋ねがございました。

教員の配置につきましては、年度途中の対応も含めて、県教育委員会の責任の下、計画的に人材を確保し実施すべきものと考えております。

しかしながら、全国と同様に、本県も大量退職に伴う採用数の拡大により、新卒者や臨時教員の多くが正規教員として採用されていることから、特に年度途中の欠員に対応する臨 時教員の確保が極めて困難な状況となっております。

本県では、本年度4月当初の時点での教員の未配置はございませんでしたが、しかしその後、急な病体取得や途中退職また産休取得などによって、9月1日時点で小学校10校、中学校6校において未配置となっています。

未配置の解消に向けて、県教育委員会では、市町村教育委員会と連携し、退職教員等への働きかけを積極的に行ってきました。また、新聞広告や市町村の広報ルート等を通じて臨時教員を募集し、教員免許状保有者の掘り起しにも努めてきたところです。さらに、 SNS等を活用した県内外への発信や、本県採用審査を受審された他県出身者に対する呼びかけも行っております。今後も引き続き様々な手立てを用いて、未配置の解消に努めてまいりたいと考えております。

 

●細木議員 ③の「持続可能な勤務環境整備等の支援の充実」では、教職員定数の改善として、小学校高学年の教科担任制の強化、教職員定数の改善を求めています。

◆県独自措置として教職員定数の見直しをするべきではないか、教育長に伺います。

 

○教育長 次に、県独自措置としての教職員定数の見直しについて、お尋ねがございました。

まず議員のお話にもありました、小学校教科担任制に係る教員の配置につきましては、今年度、国の加配を55名確保し、兼務校を含めて69校で実施しております。本県では、この他にも国の加配にさらに県独自で加配を上乗せし、小中学校の全学年において35人以下の少人数学級編制を実現しています。

こうしたことから、本県の教員一人が受け持つ平均児童生徒数は、小中学校ともに全国で少ない状況にあり、これ以上、県独白で定数改善を行うことは大変厳しいものと考えております。

しかしながら、各校には様々な教育課題も見られ、加配教員の配置を望む声が多くあることも承知しており、引き続き、国に対して、必要な教職員定数について要望を行っていきた いと考えております。

 

●細木議員 採用審査について、現在、高知県は全国トップクラスの日程(今年は6月17日実施)で第1次審査を行っていますが、文科省は民間企業の採用日程に遅れを取らないよう、来年は全国共通の日程で6月16日に実施されるとのことです。

今年の採用審査の応募状況は、小中学校の応募は昨年比較で317名減少、特に県内受審者は185名減少しており、来年度は臨時教員に登録する人が100名以上減少するのではないかと臨時教員不足を懸念する声が現場から出されています。長岡教育長は新聞取材に応え、「少子化により優秀な人材は民間を含め奪い合い。本県も新たな方策を考える」と話されました。10月に遅らせて審査を実施し他県からの受審者を確保することや、県内の臨時教員の1次審査全面免除、奨学金返済支援など県独自の施策をすべきではないでしょうか。

◆来年度の採用審査日程設定および受審者確保の手立てについて、教育長に伺います。

 

○教育長 最後に、来年度の採用審査日程及び受審者確保の手だてについて、お尋ねがございました。

これまで本県では、採用審査の早期化や関西会場での実施、現職教員等特別選考の導入など、教員確保に向けて、様々な取組を行ってまいりました。本年度におきましても、社会人採用の年齢制限の緩和や特別選考の受審教科の拡大のほか、中学校教諭と小学校教諭の併願を可能にするなどの制度改善を行ったところであります。

しかしながら、全国的に教員不足が課題となっており、本県においては、特に小学校の教員採用における志願者の減少や辞退者の増加が続いている状況にあります。

このため、教員確保に向けた対策の強化が必要だと考えており、現在、来年度に向けまして、採用審査の日程変更や一部受審者の年齢制限のさらなる緩和、大学推薦枠の拡大など を検討しております。

加えまして、臨時教員の経験をより活かせるような審査方法の見直しにも、取り組んでいきたいと考えております。

教育委員会としましては、他県の対応も参考にしながら、引き続き検討を進め、より多くの方に本県教員を目指していだだけるよう取り組んでまいります。

 

【インボイス制度】

●細木議員 次に、来月からインボイス制度が導入されます。世界では100を超える国が消費税や付加価値税など減税していますが、日本はあろうことか逆行し税率を変更しない消費税の大増税を行います。その規模は1兆円、業者1人当たり年15万円の増税と言われています。フリーランスなど免税業者のみなさんがインボイス反対の声を上げ続けていますが、「脱税」「ピンハネ」といった誹謗中傷が後をたちません。しかし財務省は消費税に「預り金」「益税」はないという見解を国会で出していますし、元財務省主税局課長は「益税が存在しないどころか、価格転嫁できず損税が生じている」と分析しています。インボイスを機に廃業を考えると答えた事業者はアニメ・漫画といったエンタメ業界で2割、建設業界では1割に上っています。インボイス登録しないと10%値引きすると言われたなど一方的な値引き通告は優越的地位の乱用であり独占禁止法に抵触する恐れがあります。2026年9月までの「8割控除」といった経過措置などを知らない業者も多いようです。

コロナ禍から立ち直りきれていない状況の中、コロナ対策の融資返済や物価・資材高騰にインボイスが追い打ちをかけることになります。

◆県経済を担う中小零細業者を守るため、せめてインボイス制度の導入延期を国に対し発信すべきではないか、知事に伺います。

 

○県知事 次に、いわゆる消費税のインボイス制度の導入延期を国に対して発信すべきではないかとの点でのお尋ねがございました。

このインボイス制度の開始が直前に迫りまして、税理士などの支援によりまして、事業者の登録が進む一方、個人事業主や免税事業者の方々の中には登録を迷っている方々がおられるということは承知しております。

このインボイス制度の導入にあたりましては、制度の開始まで4年間の準備期間がおかれ、また制度開始後6年間の経過措置が設けられまして、段階的に移行するという配慮が行われております。また、特に小規模事業者に対する負担軽減措置として、3年間は納税額を売上税額の2割とする緩和措置も設けられているところでございます。

また、このインボイス導入に関しましての、本県独自の支援策といたしましては、本年2月におきまして、インボイス対応I T導入補助金を創設いたしまして、中小企業等がインボイス制度に対応するための費用を手厚し支援させていただいております。

インボイス制度そのものは、消費税の複数税率の制度の下で適正な課税を確保するために必要な措置だというふうに考えております。県内事業者の皆さんが、スムーズに新制度に移行できますように、周知・広報等の支援を引き続き継続してまいる考えであります。

 

【電気代引き下げ】

●細木議員 次に、インボイスの副作用として問題なのは電気代の値上げにつながることです。太陽光発電などを行う個人がFITを使って売電している場合、個人からインボイスをもらえない電力会社は消費税負担が増え、年間影響額は今後580億円にものぼるため、経産省は「賦課金」として電気代に上乗せすることを認めており、さらに高くなることが予想されます。

総務省が今月22日に発表した消費者物価指数はガソリン、食糧の上昇幅が大きく前年同月比3.1%上昇しました。家計は大変です。政府の電気・ガス代の負担軽減策は9月使用分から半額となります。四国電力の2023年4~6月期連結決算は純利益118億400万円、前年同期の5倍超となっています。

◆四国電力の大株主である県は、県民のくらしを守るため電気代引き下げを求めるべきではないでしょうか。知事に伺います。以上一問とします。

 

○県知事 最後に、四国電力の株主として電気代の引き下げを求めるべきではないかという、お尋ねがございました。電気料金につきましては、電力の安定供給を維持し、持続可能 な事業運営を図るという観点から、電力会社の経営判断として設定されているものというふうに認識しております。また、多くを占めます、いわゆる規制料金に関して申しますと、国において、この安定供給の要請と国民生活の安定という要請、このバランスを考慮されて、認可も行われている水準で設定されているというふうに認識しております。

したがいまして、現時点におきまして、県が株主として電気料金の引き下げを求めるという考えはございません。私からは以上であります。

 

【第二問】

●細木議員 それぞれ、ご答弁ありがとうございました。二問を行います。

マイナンバーについては、この間トラブル続きということで、デジタル庁が個人情報保護委員会から指摘も受けました。

個人情報保護をないがしろにして、マイナンバーの利用拡大、マイナンバーカードのどんどん押し付けをこれ以上してはならないと思います。日本は、デジタルの後進国で主要先進国に比べて大きく遅れを取っているということで国民を煽ってですね、マイナンバーカード、様々なポイントも付与するということで取り組みをしましたが、同一の個人識別番号を複数の行政機関で利用して、各行政機関を個人情報 1枚のカードに紐付けしているのは、G 7で日本だけです。

こうしたことも、問題点として挙げられるとはないかということで指摘をしておきます。

 

気候危機の問題では、この20日ですね、ニューヨークの国連本部で気候野心サミットが行われました。日本政府は、岸田首相が出席してスピーチをする準備をしていたものの、国連が断ったと報じられています。

気候変動対策に後ろ向きの日本に対する国際的な厳しい視線が浮き彫りになったのではないかということです。このサミットでグテレス氏は、冒頭演説で人類は地獄の門を開けてしまったということで強い言葉で警告しています。特に先進国での排出量の削減については、前倒してどんどん頑張れということで、決断すべきということで、かなり、迫っています。

で、あの排出量については、このアクションプランで8割方、おおむね減少で取り組みが 進んでいると言われていますが、この一段の削減、攻めの姿勢をということで、報告書をまとめられています。そういうことで、いえば、もっともっと、やっぱり、できることもあるんじゃないかなっていうふうに思います。今月行いました危機管理文化厚生委員会で、視察で富山に行ってまいりましたが、富山での小水力、これもやっぱり高知県はかなり、同様に ポテンシャルのあるのではないかと思いますので、是非こうした調査もやって欲しいと思います。県有施設の新規の建設時には再生可能エネルギーの必要を義務付けるなど、行ってほしいと思います。これはしっかりあの指摘をしておきます

 

  で、あと、子育て支援については、ちょっと質問にしたいと思いますが、昨年度、令和4年度の県の子ども医療費の助成は、補助金額は3億1770万4000円 対象人数は2万6044人ということで、おおむね10年前と比較して県が出すお金が1億円減っています。

対象人数も子どもさん減っていますので、1万4000人も減っています。現行の県の助成制度、同様の形で半分ということで、小学校卒業まで拡充するには、あと3億円でできます。一般会計予算の本当に0.1%未満です。

県人口の半数を占める高知市の9月定例会で岡崎市長、重い腰を上げて、やっと中学校卒業まで、医療費助成やると明言をされましたので、県が小学校卒業まで拡充したら県内足並み揃えて、お隣の徳島もやるそうですが、高校卒業まで無料化の展望できると思います。知事選挙目前になっていますが、是非、決断を求めたいと思いますので、濵田知事に、この医療助成のさらなる拡充、もう一度聞きたいと思いますのでよろしくお願いします。

 

あと子どもの福祉避難所については、前向きに6つの避難所指定に向けて、努力するという、ご答弁をいただきました。

現行の子ども福祉避難所についても、今後の課題としてですね、この小児神経学会が言っているのは、人材の確保や備蓄についても支援を行うことが必要、子どものための福祉避難所の施設基準を作成して、建物の老朽化、自家発電、エアコン、物資の保管スペースなどに関して、予算付けて改善を図ること、また、医療的ケア児に関して、看護師の配置、病院との連携なども求められていますので、是非この点、これからも課題として取り組んでいただきたいと思います。

 

教育の問題では、これもちょっと質問したいと思いますけど、やっぱりこの働き方改革 というのは、外部人材の配置によってかなり10時間以上の時間が減少されたということで、これをさらに進めていただきたいと思いますけど、やっぱりあの大元のこの持ち時数の上限の設定であるとか、全国でも突出している充て指導主導の現場復帰、これは断トツに高知が多いです。さらなる、少人数学級の推進や県版学テの廃止など、県独自施策の見直しもしながら、働き方改革をしていっていただきたいというふうに思います。

教育については、さらなる改善について、まだできることがあるのではないかと思いますのでその点、教育長にお伺いします。

 

 インボイスについては、オンラインの署名の「STOP!インボイス署名」の到達ですが24日 50万筆オンライン署名の過去最高を突破して、現在 52万になっているそうです

 この物価高による倒産件数も増加傾向であります。私たち共産党は、ゼロゼロ融資返済は、別枠の債務として、新規融資が受けられるように求めていますし、県内では、イラストレーターの方が契約先から解除されたという事例なども、発生しているようです。

中小企業・小規模企業振興条例制定する県の責務として、相談窓口設置など、中小企業の支援を求めておきたいと思います。

以上、二問です。

 

○県知事 細木議員の再質問にお答えいたします。

いわゆる、子ども医療費助成についての考え方でございます。ただいま、答弁申し上げましたように子ども医療費の助成は、この地域によって、あるいは自治体の財政力によって差がつくという状態は好ましくないと思っておりまして、基本的に、国の責任におきまして 全国一律の制度を作っていく、そして、充実をしていくというのがあるべき姿だというふうに考えているところでございます。

県としまして、今、小学校就学前までのですね、医療費につきまして 1/2 助成をしております。考え方は、先程、申しましたように小学校就学前はよくお子さんは熱を出しますから、やはり、子供の健康確保ということを考えた時に就学前という線引きで、県としても支援をしていこうと。また、国全体の制度といたしましても、この就学前につきましては一般の自己負担3割に対して、就学前は2割ということで、これはまさしく、全国一律で、自己負担の軽減が図られているという事でありますから、いわゆる健康政策的な観点からの助成をしていくということに関しまして、就学前ということは、根拠があってやっているということだと考えております。

それに加えて 各市町村の判断で健康的な政策というよりはむしろ子育て支援・経済負担の軽減という観点から、小学・中学・高校までの無償化の年齢の拡大ということが行われているという状態だと思っております。

これは、あのよく市長会議あるいは町村長との意見交換の場でも、議題になり、話題になるところでございますが 各市町村長さんとの意見交換の中では確かにこれは国として統一して制度を行うべきだということはありながらも、現実にできる限りそれができるまでの間は、県においても一定の財政的な支援が考えられないのか、という強い意見をいただくという場面がございます。

 そうしたこともございますので、私としては筋としては、国の統一的な制度の構築を求めていくということではありますけれども、今、現時点でできる対策として何があるかというふうに考えました時に、今、新たに来年度から目標としております人口減少対策の財政的支援制度の中で、ただいま申し上げましたように、1つの新しい枠組みとして、市町村の比較的判断の自由度のある人口減少対策のものについて支援をしていくというような枠組みを考えたいと思っておりますので、そうした枠組みを新たに設けていく中で、この子ども医療費の拡充を行いたいという市町村をどういう形で支援できるのかという点については、今後、この制度の設計の中でしっかりと検討してまいりたいと考えております。

 

○教育長 県教育委員会としましては、先ほど申し上げましたように、現在働き方改革には 取り組んでいるところでございますが、今後もですね、ICT のさらなる活用、そして、今お話にありました教員業務支援員の配置、これについては国もやると言っておりますので 、この拡充などもですね、さらに取り組んでいきたい。

さらには、働き方改革に関連するこの財政支援の拡充、こういったことにつきましても国の方に求めていきたいという風に考えております。さらにあのお話の中にありました加配に関することですが、例えば、小学校の教科担任制にかかる教員の配置につきましては、先ほども見ましたけれども、国の加配を55名配置して実施しております。そして、この加配配置校ではですね、授業準備の時間が軽減されるとか、生徒と向き合う時間が確保されるとか、そういったお話も聞かせていただいております。そしてこれはあの大規模校のみならずですね、小中規模校からもこういった加配の要望もいただいているところでありますので、国に対してですね、しっかりこういった加配の増員、こういったことも要望していきたいという風に考えております。

 

●細木議員 最後は、質問にはしませんが、しつこいようですが子どもの医療費のことです。議会初日に知事の提案説明の中で、県財政の健全化と今後の財政収支の見通しということで報告がありました。

不測の事態にも一定対応できる程度の財政調整的基金も確保できたし、今後も安定的な財政運営に一定の見通しがついているという点では、本当に0.1%未満の金額で、高校卒業まで視野に入るということで言えば、各市町村の長からもお話があるように、さらにやっぱり子どもの貧困ということもあって、やっぱり早期発見・早期治療にもつながるということでは、病気の疾患にかかる率は下がるかもしれませんけど、中学生・高校生に対してもすぐにアクセスできて、早期発見・早期治療ができるという点では、やっぱり後押しになると思いますので、是非この点は、引き続き、検討していただきたいですし、別枠でそういうスキームがあったら、市町村独自の取り組みがさらに加速をしていい取り組みが出てくると思いますので、是非検討していただきたいと思います。以上で全質問を終わります。ありがとうございました。