議会報告

【テーマ】

・知事の政治姿勢・「合口」発言

・知事の政治姿勢・パレスチナ/ガザ地区

・民間空港・港湾の軍事利用化

・関西戦略について

・農政について

・中山間地域再興ビジョンとジェンダー格差について

・ケア労働者への財政支援について

・子ども医療費助成について

 

【知事の政治姿勢・「合口」発言】

●岡田議員 日本共産党の岡田芳秀でございます。会派を代表して順次質問させていただきます。

はじめに、知事の政治姿勢について伺います。

まず、浜田知事の先の知事選と「合口」発言についてです。

開票日翌日、地元紙は“「成果」へ重なる責任”との社説を掲げました。その中では、結果について「信任投票の性格が濃い選挙の構図」であり、「『消極的支持』で投じられた票もあったとみられる。投票率も過去最低の42.47%となり、県民との距離も浮かび上がった。」と指摘しています。一期目は、コロナ禍の真っただ中で独自色を出す余裕もなかったわけですが、社説は、県民が「県勢浮揚の取り組みを評価して投票したかといえば、疑問符がつく。」として、「人口減少や中山間対策など本県の抱える構造的な問題に対し、『成果』と呼べるほどの実績はまだない」「最も重要な分野ではむしろ、後退感の方が浮き彫りになった。2022年の出生数が過去最低かつ全国最小という衝撃的な結果の背景には、県の分析不足もあった。」とも述べています。

無所属で立候補した米田稔候補の訴えは、短時間で、その訴えを直接聞いた人は限りがありましたけれども、寄せられた声はどれも切実なものでした。若者からは「未来が見えない」との苦悩も語られました。これらの声を、知事は我が事としてとらえているのでしょうか。社説は「国策が県民目線とずれている時まで追随しては、政治家としての主体性を問われかねない。」と指摘しています。

現実はどうでしょうか。非正規雇用を拡大し、実質賃金は96年のピーク時から年間24万円も減り、世界でも以上な「賃金が上がらない国」となっています。一方、消費税は5%から8%、10%へと14兆円も大増税が行われました。「社会福祉のため」との名目で増税したのに、増税分は富裕層・大企業減税などの穴埋めに使われています。社会保障は、年金、医療、介護などあらゆる分野で負担増と給付削減が繰り返されてきました。この30年程の間に、国民年金保険料は2倍、国保料・税は(一人当たり)1.5倍、介護保険料も2倍にもなりながら、年金は10年前に比べて実質7.3%も減り、医療費の窓口負担は増え、介護制度も悪くなる一方でした。世界有数の高い学費、貧しい奨学金制度によって、若者が背負わされている借金は総額10兆円におよびます。30年間で7倍にもなりました。日本は社会保障や教育への公的支出は先進国で極めて低い水準です。

◆こうした現実で苦悩する県民の実態をどうとらえているか、この思いに共感することが県政の出発点であり、県民の代表として、県民の思いを政府にまっすぐ届けることが知事の責務であると思いますが、知事に伺います。

 

○県知事 岡田議員のご質問にお答えをいたします。

 まず、県民の実態把握と知事の責務についてお尋ねがございました。私は今回の知事選挙を通じて、県内各地を回る中で中山間地域の厳しい現状を訴える声、あるいは子育て世代の経済的負担の軽減を求める声をお聞きいたしました。また、物価高騰で生活や事業活動に影響が出ているといった声もいただいたところであります。

こうした県民の皆さんの声を受けまして、人口減少の克服に向けて、特に若者人口の減少に歯止めをかけ、持続可能な人口構造への転換を果たせるよう決意を新たにしたところであります。

また子育て支援につきましては、国の子ども未来戦略も踏まえまして、子育て世代の経済的負担の軽減を図りたいと考えておりますし、併せまして男性の育児休業の取得促進を通じました社会全体の意識改革、あるいは住民参加型の子育て支援といった取り組みを抜本強化したいと考えます。

物価高騰に対しましては、国の総合経済対策も最大限活用いたしまして、足元の影響軽減を図り、加えまして、中長期を見据えて構造転換を促す取り組みが進みますように、今議会に補正予算を提案させていただきました。

こうした県民の皆さんの声を踏まえまして、県政課題を解決していくためには 国の強力な後押しが必要だと考えます。その際、単に国に物申すというだけではなく目指す方向を具体的に提案することで国を動かし、成果を上げていくということが知事としての責務だという風に考えております。

 

●岡田議員 知事は、「共感と前進」について「県民の共感を得て成果にこだわり前進していく」(20年2月県議会)と語っていますが、今回の「合口」発言は、自分に共感しないものは敵だとの姿勢をあらわにしたものといえます。知事は、相手の集会に出た人に対して、「喉元に合口を突き付けられた思い」「選挙は戦い。殺さなきゃ殺されるっていう世界だから、最低限の自己防衛はしないといけない。」と発言しました。この「合口」発言は、自分に「共感」しない人をまるでテロリストとみなような発言です。知事の人権に対する認識が問われます。

選挙は、異なる立場を尊重して言論をたたかわせるものであり民主主義の土台です。いまの選挙制度は、先人が苦労して勝ち取ってきたものであり、暴力や殺し合いとは対極にあるものです。民主主義や平和、選挙制度を築き上げてきた歴史をも顧みないものといわなければなりません。「知事の本質がよくわかった」との県民の批判が寄せられています。

今回の選挙で知事を支持した人ばかりでなく、反対の意見を持つ人、また今回は投票にいかなかった人を含めて、そういう皆さんの思いも汲んだ県政運営が求められます。

◆「合口」発言は、県民の代表としての資質にかかる暴言です。県民と共に歩む決意があるなら、この発言に対する謝罪と反省が、2期目のスタートに欠かせないと思いますが、知事にお聞きをいたします。

 

○県知事 次に今回の選挙の前にした集会におきます。私の発言につきまして、お尋ねがございました。

今回の発言は高知市長選挙の立候補予定者の決起集会という場面におきまして、私自身の政治的立場の決断に至った経緯を分かりやすく説明をしたい、そういったための例え話してとして行ったものでございます。そうした趣旨のたとえ話であるということ、そして私自身の真意につきましては、少なくともその場の集会の参加者にはご理解いただけているというふうに思うわけであります。

一方で、こうした発言に関します TPOを別にしまして、抜きにいたしまして参加者以外の方々が事後的にこの発言の言葉だけに接した時に、いささか過激な印象を与えるものであったのではないかというご意見をいただいておりまして、この点については私としても虚心坦懐に受け止めまして、肝に銘じたいという風に思います。

選挙は終わりました ゲームイズオーバー、ノーサイドということだと思います。2期目の知事として、県政の舵取り役を委ねられました以上は、共感と前進を基本姿勢といたしまして様々な県政課題に県民一丸となって取り組む、その先頭に立ちたいという思いであります。そのためにも、全県民を代表する立場にふさわしい言動を、私自身が保つように、なお一層心がけてまいります。

 

【知事の政治姿勢・パレスチナ/ガザ地区】

●岡田議員 次に、パレスチナ・ガザ地区の深刻な事態についてです。

犠牲者が増え続けており、その多くは女性や子どもたちです。保育器から出された子供たちや、血を流す子どもの映像を見て、多くの県民が心を痛めております。

今回のイスラエル軍によるガザへの軍事侵攻の発端は、10月7日のハマスによる無差別攻撃にありました。民間人を無差別に殺傷することは国際法違反であり、日本共産党はそれを厳しく非難するとともに、人質の即時全員解放を強く求めます。

同時に、こうした事態が起こった歴史的背景を踏まえて、いまの事態をとらえることが重要です。イスラエルは1967年以来、ヨルダン川西岸とガザ地区を占領下におき、住民の強制排除を行いながら入植を拡大してきました。ガザ地区には2007年以来、封鎖政策をとり、非人道的状態をつくりだし、たびたび空爆によって多くのパレスチナ人を殺害しております。イスラエルが「自衛権」をたてに、圧倒的な軍事力を行使して報復を行い、ガザでジェノサイドを行うことは許されません。

国連のグテーレス事務総長は7日、国連憲章99条に基づいて、安全保障理事会に対し人道的な停戦を求めるよう要請しました。この99条では「国連の事務総長は国際社会の平和と安全の維持に脅威となる事項について安全保障理事会に注意を促すことができる」と定められています。

グテーレス事務総長は「社会秩序はまもなく完全に崩壊し、限られた人道支援さえ不可能になることが予想される」と訴えています。歴代の事務総長でもこの99条に基づいて要請したケースはほとんどなく、一歩踏み込んだ措置をとったものです。

国連安保理で8日(日本時間9日)、この人道的停戦を求める決議案の採決が行われ、日本は賛成しましたが、残念なことに常任理事国のアメリカが拒否権を行使して否決となりました。

 

ガザの深刻な人道的危機を打開するには、イスラエルがガザへの大規模な攻撃をただちにやめること、双方が即時停戦に向けた交渉のテーブルにつくことが不可欠です。

日本はこれまで、この地域で武力行使をしたことがなく、パレスチナともイスラエルともよい関係を持ってきました。日本は、問題があっても戦争にしない、話し合いで解決する平和憲法を持っています。日本政府は、この憲法の立場からも、そして人道的な立場からも、イスラエルとパレスチナに即時休戦、停戦を求めることが必要です。

「ガザに平和を」の世論と運動が、国際的に広がっています。高知県内でも、有志によって、各地で「ガザに平和を」の市民集会が開かれ、街頭からのアピールも行われています。

◆知事は、今回のパレスチナの事態をどう受け止めているのか、日本政府や国際社会に「ガザに平和を」と呼びかける考えはないか、お聞きいたします。

 

○県知事 次に パレスチナ情勢の受け止めと日本政府や国際社会への呼びかけにつきましてお尋ねがございました。現在もガザ地区におきまして、イスラエル軍とイスラム組織ハマスによります戦闘が継続をいたしておりまして、民間人を含む多数の犠牲者、負傷者が発生しております。大変憂慮すべき事態という風に認識をいたしております。

ガザ地区は、衛生状態も悪く、水や食料、医療物資の不足などから人道上の機器は深刻度を増しておりまして 特に子どもたちへの影響は甚大で報道に接するたびに、私としても胸を痛めているところであります。

国際社会によります粘り強い働きかけを通じまして 人質の即時解放や危機的な人道状況の改善、そして何よりも事態の沈静化が1日も早く図られることを心から願っております。

議員からご指摘がありました日本政府や国際社会への呼びかけにつきましては、これは外交に関する問題でありまして国において対応をいただくべき事柄であるという風に考えております。

 

●岡田議員 イスラエルによる一方的ともいえる殺害の継続は、イスラエルの立場を擁護するアメリカによる後ろ盾抜きにはありえません。イスラエルへのアメリカの軍事支援は、年間約38億ドル(約5700億円)、今回の事態で140億ドル(2兆1千億円)が追加されました。イスラエルの人口は950万人と日本の13分の1ですので、日本に例えると、年間約7.4兆円、今回の追加は約27兆円の軍事支援ということになります。この巨額の軍事支援が、イスラエルの軍事行動を支えています。イスラエルによる占領、入植、軍事行動など力による現状変更に対する国際的な批判に対してもアメリカは30回を超えて国連安保理で拒否権を行使してきました。

◆日本が同盟を結んでいるアメリカの責任は極めて大きいと指摘しなければなりません。日本政府はアメリカに対し、はっきりと忠告すべきではないかと考えますが、知事の所見を伺います。

 

○県知事 次に日本政府の対応について、お尋ねがございました。日本政府はこの問題に関しまして 、先月15日の国連安保理におきまして、戦闘休止を求める決議案につきまして アメリカやイギリスが棄権をする中、賛成という態度を表明いたしました。

 また、今月8日の安保理におきましても、即時停戦を求める決議案につきまして、アメリカが拒否権を行使する中で、日本政府は賛成をいたしております。日本政府は国際社会にそしてアメリカに対しまして、これらの決議案への賛成という形で、人道状況の改善自体の早期沈静化に向けた強い姿勢を示しているものだという風に考えるところであります。

 

●岡田議員 日本共産党は、中東和平のためには、国連でもたびたび確認されているように、「イスラエルの占領地からの撤退」「パレスチナ独立国家樹立を含む民族自決権の実現」「両者の生存権の相互承認」が必要だと考えています。暴力の悪循環を絶ち、協議のテーブルにつくことが解決の道です。日本共産党は、関係各国と国際機関が、あらゆる外交努力をおこなうよう強く呼びかけます。

 

【民間空港・港湾の軍事利用化】

●岡田議員 次に、民間の空港・港湾の軍事利用についてお聞きいたします。

10月23日に国土交通省と防衛省が本県を訪れ、防衛力強化のための政府の考えを説明しています。

政府は民間の空港・港湾を仮称ですが「特定重要拠点」として整備する考えであることが報じられています。例えば、「日経」9月29日付は、「政府は、防衛力強化の目的で拡充する公共インフラとして10道県の33空港・港湾を選定した」として、「地方自治体と近く協議する」と報じています。同紙は、この特定重要拠点が「台湾有事の場合に自衛隊が部隊を展開したり燃料・食糧を補給したりする拠点として使える」ものであることや、自民党外交部会長などを務めた佐藤正久参議院議員が「有事に米軍が部隊派遣できるようにする意味もある」と説明をしていることなども報じています。

私たち日本共産党は、県民が正しく判断ができるようにと考え、直ちに10月24日、会派として政府の説明内容について、公開を知事に申し入れました。対応していただいた井上副知事によりますと、政府の考え方の説明であって、「特定重要拠点」の具体的な場所の言及も米軍との関係についても言及はなかった、ただ、年に数回、訓練をさせてほしいという話であった、ということでした。

その後、朝日新聞が11/26日付で「政府は、防衛力強化のために整備を進めるとして、空港14施設と港湾24施設の計38施設をリストアップした」と報じ、本県では宿毛湾港、須崎港、高知港がリストに入っています。

◆このリストが報じられるまでに、具体的な場所について本県に相談があったのか、あったとすればどう対応したのか、知事に伺います。

 

○県知事 次に、本県の港湾がいわゆる 特定重要拠点にリストアップをされたことが報道される前に具体的な相談があったのか、またあったとすればどう対応したのか、というお尋ねがございました。

この問題に関しまして、10月に国からの最初の説明を受けました後に、この選挙期間中であったわけでありますが 11月15日に国から県の関係各部に対しまして、追加の説明があったと報告を受けております。この際、国の方からは高知港・須崎港・宿毛湾港の 3港を特定重要拠点の候補として考えており、今後調整を進めさせてもらいたい旨の意向が示されております。これを受けまして県からは協議を始めるにあたりまして、広く情報の公開と所在地の首長をはじめ、県民に対して取組内容の説明を行っていただきたいという要請を申し上げたところであります。

 

●岡田議員 今回の政府の動きは、昨年末に岸田内閣が閣議決定した安保3文書で「有事において、部隊等の能力を最大限発揮する」ため「民間の空港、港湾施設等の利用拡大を図る」としたのを具体化したものです。知事は、この件に関しての記者の質問に対して、「双方にとってメリットがある」と答えています。しかし、政府の要請を受け入れることは、本県の軍事化につながり、施設は相手からの標的となることは明白です。

政府が空港・港湾の軍事化を急ぐ背景には、中国との覇権争いをする米国の戦略があります。米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が1月に公表した「台湾有事」に関する机上演習報告書は、沖縄をはじめとする、日本国内の米軍基地や自衛隊基地が中国軍からミサイル攻撃を受け、「日本の戦闘機の大半は地上で失われる」として、そのリスクを減らすために、戦闘機が空港を利用できるようにし、「分散化」させることが重要だと指摘しています(11/5赤旗)。

報告書は、空港を軍事利用すれば「中国が攻撃すべき駐機場が増え、(ミサイルの)在庫を減らせることができる」と説明しており、米軍の損害を低減させるためなら、日本の空港や周辺住民を犠牲にしてもかまわないという発想です。さらに報告書は、「地元の政治的な反対で妨げられるかもしれないが、大きな見返りがあり、強力な取り組みが必要だ」と、反対の声を無視してでも推進するよう主張しております。

今年1月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同声明でも、有事における「空港・港湾の柔軟な使用」を可能にするため「演習や検討作業を通じて協力する」と明記しました。

◆「双方にとってメリットがある」との知事の発言は、米戦略の一翼を担うものだという本質を理解しているのか疑わざるを得ません。「特定重要拠点」の受け入れが県民の安全・安心を脅かすことになるとの認識はないのか、知事に伺います。

 

○県知事 次に特定重要拠点の受け入れが県民の安全・安心を脅かすことになるという認識の有無などについて、お尋ねがございました。

特定重要拠点につきましては 国からは国民保護事案への対応や有事の際の円滑な利用に備えて、平時における自衛隊と海上保安庁の訓練などで使用するものという説明を受けております。またこうした訓練などの実施にあたりまして、国と施設管理者との間で平時の際の施設利用に関するルールを作りたいという風な考えだとお聞きをしております。

今回の話は自衛隊などが施設管理者と協議の上、利用可能な時間に訓練を行うということでございまして、それをもって直ちに県民の皆さんの安全・安心を脅かすものではないという風に認識をしております。

しかしながら行われます訓練の内容によりましては、県民の皆さんの不安につながる恐れはあると考えておりますので、今後、国との協議の中で、この点を確認してまいりたいと考えております。

県といたしましても、具体的な事情につきまして、国との協議で調整がつき、ご説明ができる段階になりましたら、県民の皆さんの不安を取り除けるように取り組みたいという風に考えております。

 

●岡田議員 ◆また、「特定重要拠点」の受け入れは、米軍との共同訓練にも道を開くものであり、この点をどう認識しているのか。「特定重要拠点」の指定は、県民に明確に事業内容を説明すると共に、地元自治体や関係者、住民の合意なしに指定を受けるべきではないと考えますが、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次にこのことが米軍との共同訓練に道を開くことになるのではないか、そういった認識の有無、また地元自治体や住民などへの説明と合意についてお尋ねがございました。

特定重要拠点に関します今回のスキームは自衛隊と海上保安庁のニーズに基づいたインフラ整備、機能強化、平時からの利用に関するルール作りという風に国からの説明を受けているところであります。このスキームにつきまして、政府は国会におきまして、現時点で米軍の利用は考慮外と答弁されているものと承知をいたしております。

こうしたことから、特定重要拠点としての受け入れが米軍の利用につながるものとは現時点では我々としては考えておらないところであります。

一方、県といたしましては国に対し 今後協議を進めるにあたりまして、情報公開を可能な限りを行うとともに、所在地の首長あるいは県民の皆さんに対して説明を行っていただくように要請をいたしております。

  特定重要拠点の指定の受け入れ可否の判断にあたりましては、こうした点に関します国の対応を見ました上で、関係します他県などとも情報交換、あるいは意見交換をしながら 適切に対応してまいりたいと考えております。

 

●岡田議員 本県では、1997年12月議会において「高知県の港湾における非核平和利用に関する決議」を全会一致で可決し、「県内全ての港において非核三原則を遵守し、県民に親しまれる平和な港としなければならない」と決議しております。

全ての港湾の軍事化を許さず、平和利用を願っての決議です。こうした決議や運動が、国連の核兵器禁止条約につながっています。あれから26年が経過したとはいえ、今でも意義のある、また、今こそ意義のある重要な決議です。

◆知事はこの決議をどのように受け止めているのか。また、この決議の今日的意義についてどのように考えているのか、併せて伺います。

 

○県知事 次に「高知県の港湾における非核平和利用に関する決議」の受け止めと今日的意義について、お尋ねがございました。本県では、県議会におきまして 昭和59年に「非核平和高知県宣言」、平成9年には「高知県の港湾における非核平和利用に関する決議」がなされております。この決議は、高知新港の一部区間開校を控えまして本県の港湾におけます非核平和利用の意思が示されたものと受け止めております。今日におきましても、港湾におきます、非核三原則を遵守し、非核平和利用を進めていく、こうした意義に変わりはないという風に考えております。

 

【関西戦略について】

●岡田議員 次に、本県の関西戦略についてお聞きします。

この「関西・高知経済連携強化戦略」の柱は、観光推進、外商拡大、万博・IR(統合型リゾート)連携です。ところで、この中の大阪・関西万博ですけれども、万博関連の予算が大きく膨らんでいます。会場建設費は、誘致決定時の1250億円から、1.9倍の2350億円となる見通しです。また、これとは別にパビリオン「日本館」の事業費や途上国の出展支援、安全確保の費用など837億円が別途計上されており、これを加えると総額3187億円となります。

半年間の開催のために、これほど巨額の経費をかけることの是非が議論となっています。毎日新聞の世論調査(10月14日、15日実施)では、万博の費用が膨らみ税金による負担も増えることについて、「万博をやめるべき」が35%、「規模を縮小して、費用を削減すべきだ」が42%、「やむを得ない」の15%を大きく上回っています。

万博の会場の建設費は国、大阪府・市、企業の3者で3分の1ずつ負担することになっています。そのため国民一人当たりにすると約600円、大阪市民は一人当たり約1万9千円の負担となりますが、この負担がさらに膨らむことが予想されます。

また、開催地の夢洲(ゆめしま)について、当時の松井知事が、IRのために、当初は候補地に挙がっていなかったのに、超軟弱地盤の夢洲にわざわざ万博を持ってきたとの指摘もあります。夢洲には電気も上下水道も通っておらず、整備はこれからです。そして、2025年の開催までにすべての工事が間に合わないとも言われはじめています。

◆知事は、万博の建設費が膨らんで国、つまり国民や大阪府・市民の負担が増えることをどう考えますか。また、今の進捗状況のもとで入場チケットがすでに販売されており、学校団体割引券も販売されていますけれども、本県に対してこうしたチケットの販売要請がきているのか、要請があればどう対応するのかも、併せて伺います。

 

○県知事 次に大阪・関西万博の経費の国民等の負担増に関する考え方、そしてチケットの販売要請に関しますお尋ねがございました。

万博会場の建設費などにつきましては、物価高騰の影響による増額は一定程度やむを得ない部分もあると考えますけれども、関係者において必要な経費を精査いただきまして、予算の合理化を徹底する必要があるのではないかと考えております。

もう1点お尋ねでございました万博の入場チケットについてでありますが本年8月に国から全国の都道府県教育委員会に対しまして入場料金と修学旅行における活用についての周知依頼がありました。これを受けまして本県教育委員会から県内の市町村教育委員会に対して 8月24日付で情報提供を行ったところであります。

また、日本国際博覧会協会から全国の自治体に対しまして、職員の福利厚生面でのこのチケットの活用について案内がありまして、現在、具体的な対応について検討いたしているところであります。

 

●岡田議員 国民の暮らしが大変なときに、巨費を投じる大阪万博について、共同通信が11月3日から5日にかけて実施した世論調査では、大阪万博は「不要だ」が68.6%で、「必要だ」の28.3%を大きく上回っています。

◆万博開催の中止を求める声を、知事はどう受け止めるのか。本県の万博・IR関連の関西戦略は見直すべきと考えるが、併せて伺います。

 

○県知事 次に大阪・関西万博の中止を求める声に対する受け止めと関西戦略の見直しについて、お尋ねがございました 万博の開催に向けましては、経費の全体像を示し、透明性をもって説明することによりまして、国民の皆さんの理解を得ることが何よりも重要であると考えます。この点につきまして、政府を挙げてしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。

関西圏におきましては 中心市街地における再開発が進みますとともに、外国人観光客が数多く訪れるといった形で経済活力が高まっております。こうした活力を呼び込みますことで本県経済の底上げにつなげたいという考えは変わっておりません。そうした中、万博の開催は関西圏から近距離にあります本県にとりまして 外商拡大、インバウンド観光客の誘致などのために、絶好の機会であるという風に捉えております。

従いまして、関西戦略におきまして、万博 IRの位置付けを見直す考えはありませんで、この戦略に掲げました取り組みを着実に推進してまいる考えであります。

 

【農政について】

●岡田議員 次に、農政について伺います。

はじめに、政府が来年の通常国会で制定をめざしている新しい「基本法」についてです。

日本のカロリー自給率は38%で、先進国で最低であり、穀物自給率28%は世界185カ国中129位です。旧農業基本法以来、自給率は下がり続け、現行の食料・農業・農村基本法制定後、5次にわたる「基本計画」で食料自給率を引き上げるとされてきましたが、目標が達成されたことは一度もありません。現行基本法は、「基本計画」で「自給率向上目標」を設定したものの、単なる閣議決定にしたため、法的拘束力がなく目標は骨抜きにされたためです。

今回の政府の「新基本法」の検討では、食料自給率を単なる一指標とし、これまでの位置づけを格下げして、食料自給率に対する国の責任を放棄しようとしています。

いま、世界的な食糧危機が進行しているなかで、新興国の食料需要の増大や、日本の経済力の相対的な低下による買い負けなど、食料は都合よくいつでも輸入できる状況ではなくなってきています。一方、国内の農業は、基幹的農業従事者がわずか10年間で3割も減少し、農地面積も減少し続けています。

食料自給率向上を放棄するのではなく、「新基本法」制定にあたっては、食料自給率向上を中心課題に据え、農政の最大目標に掲げて取り組む必要があります。

◆そのため、食料自給率目標を定める基本計画を国会承認制とし、計画の達成度の検証結果と必要な政策の見直しを国会に報告させるなど、自給率向上を政府の法的義務とすべきと考えます。知事の所見を伺います。

 

○県知事 次に農政に関しまして、食料自給率の向上を法的義務とするということについてのお尋ねがございました。

現在の食料農業農村基本法におきましては、食料自給率の目標を含めました基本計画の策定を国の義務と定めまして、その目標は向上を図ることを旨とするとされております。

令和2年に策定をされました 現行の基本計画におきましては 平成30年度に37%でありましたカロリーベースの自給率を令和12年度に45%にするという目標が示されております。国民生活に不可欠であります食料を将来にわたって安定的に供給をし続けるために、自給率の向上を図っていく、このことは大変重要な政策課題であるという風に認識をいたしております。

現在、基本法の見直しの検討が行われているところではありますけれども今後の自給率のあり方などにつきまして、国民に分かりやすく、議論の過程も含めて、丁寧にご説明をいただきたいと考えております。

また、議員からは計画の達成度の検証結果を国会に報告されるべし、といったお話がございました。こうした自給率向上に向けた取り組み状況に関するチェック機能の強化に向けて、国会の関与のあり方についてどう考えるかという点に関しましては、これはまさしく国政の場で十分に議論をしていただくべき事項であるという風に考えるところであります。

  

●岡田議員 いま各国では、新自由主義的な自由貿易が農村の疲弊、農業の危機をもたらしていることへの反省が広がっています。「国連食糧への権利に関する特別報告書」がWTO農業協定を段階的に廃止し、新しい食料協定の締結交渉を求める、2020年ですけれども、など、国際的な変化が生まれています。

一方、日本は、アメリカの圧力に押されて市場開放、輸入自由化が拡大されてきました。食料自給率向上のためには、これまでの輸入自由化路線を見直して、食料主権を回復していくことが重要です。また、食料自給率の向上に本格的に転じるには、農林水産関連予算の大幅な増額が不可欠です。さらに農林水産行政だけでなく、環境、国土、教育、厚生労働を含めた政府や自治体の総力を挙げた取り組みが必要です。

国の一般歳出予算に占める農林水産予算の割合は、1980年には11.7%、2000年には7.1%であったものが2023年には3.1%に縮小しています。国民一人当たりの農業予算を諸外国の比較してみても、日本はアメリカ・フランスの半分、韓国の3分の1に過ぎません。農林水産の当初予算は、この10数年間ずっと約2.3兆円で推移しています。補正予算等があるとは言え、一次産業の振興には当初予算の増額が必要です。

食料安全保障が重要との認識に立ち、国民の命を守るというなら、命の源である食料を生産・供給する農林水産業の振興のための予算を思い切って増額すべきだと考えます。

◆農業と農村、とりわけ中山間地域の歴史的な衰退の流れを逆転させ、食料自給率の向上に転ずるためにも、また本県の農業の振興のためにも、国に対して予算を思い切って増やすよう、地方から声を上げ続けていかなければならないと考えます。知事の考えを伺います。

 

○県知事 次に国に対して思い切った農業関連予算の増額の声を上げ続けるべきではないかとのお尋ねがございました。

国の令和5年度当初予算におきます農林水産関係予算は2兆2683億円でありまして、お話にございましたようにこの10年あまり同水準で推移をいたしております。本県の農業振興という立場からしますと、この国の予算総額、総額を増額すべきという議論よりは時々の課題に対応した求められる施策に対する個々の予算が十分に確保されるということの方がより重要ではないかという風に考えます。

そのため、これまでも本県の実情を踏まえまして施策の充実強化や必要な予算の確保につきまして国に対して積極的に政策提言を行ってまいりました。本年度も、原材料や資材などの高騰によりまして、生産コストが上昇し、収益が悪化をしている、こういった状況を踏まえまして、持続可能な農業の実現に向けました生産性向上等への支援を提言いたしております。

また、農業の競争力を強化するための基盤整備予算の確保などの要望も行いました結果、これらについて来年度予算の概算要求に反映をされているところであります。

今後も引き続き、事業を捉えました政策提言を積極的に行ってまいりますとともに予算化された国の事業を最大限活用できるように取り組んでまいります。

 

●岡田議員 いまの農政に求められているのは、大多数の農業者が営農を続け、暮らしが成り立つようにすることです。その最大の柱は、価格保障を中心に各種の所得補償を組み合わせることが重要と考えます。

動植物の生育や気象条件に左右され、多数の中小経営によって担われる農業生産は、市場まかせでは維持できません。なかでも生産費をつぐなう農産物の価格保障は、農業者に再生産を保障し、意欲と誇りを取り戻すうえで、決定的条件といえます。

農業大国の米国でさえ、主な農産物に、販売価格が生産費を下回った場合、その差額を補填する仕組みを二重三重に整え、農業経営を下支えしています。EU諸国では農産物の価格支持制度を維持したうえ、環境の保全や条件不利地の維持などに配慮して手厚い所得補償を実施し、農業と農村を守っています。

日本共産党は、品目ごとの価格・経営安定制度を、生産費にみあう水準に抜本的に改善・再建することを提案しています。国土や環境の保全など農業・農村の多面的機能を評価して各種の直接支払い(所得補償)を充実すること、その際、所得補償が大規模経営に集中するのを避けるため中小規模経営への配分を手厚くする、こうした制度を作ることが必要です。

◆価格保障を中心に各種の所得補償を組み合わせる仕組みを国に求める考えはないか、知事に伺います。

 

○県知事 次に農業におきます価格保障を中心に 各種の所得補償を組み合わせる仕組みを国に求める考えはないかというお尋ねがございました。農家が安心して、移動するため、直接支払いの制度といたしまして、国は中山間地域等直接支払いなど、いわゆる日本型直接支払いといった農家への直接的な支援を実施いたしております。

この日本型直接支払いによって、特に、中山間地域におけます営農活動の継続あるいは自然環境の保全に資する農業生産活動の促進が図られているものという風に考えております 。

また、様々な価格の高騰が長期化をする中で、農産物におきましては価格への転嫁が十分に進んでいないと考えられますので、国において適正な価格形成に向けた仕組みづくりの検討が続けられているところであります。

このため、この仕組みが本県の実情にあったものになるように、必要に応じて国に対して提言を行ってまいる考えであります。

●岡田議員 「新基本法」を検討した検証部会では「再生産可能な適正価格の実現」が議論の焦点となっていました。つまり、生産費を価格に転嫁できる仕組みをつくろうという議論です。生産費を価格に転嫁することが難しい農家が営農を続けられるようにするためには、「適正価格」の確立は一つの有効な考えです。賃上げなど国民所得を増やすことと合わせた、実効ある価格転嫁の仕組みの検討が必要です。

◆先の商工農林水産委員会で、杉村農業振興部長は、適正価格の検討にあたっては、「本県にとって良い方向となるよう意見を言っていく」との考えを述べられました。具体的にどう取り組んでいくのか、農業振興部長に伺います。

○農業振興部長 まず、適正価格の実現に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか、お尋ねがございました。

現在国では食料農業農村基本法の見直しに係る議論が進められており、その中で持続可能な食料供給に向けて、生産から消費に至る食料システム全体で、適正取引が推進される仕組みの構築を検討するため 8月に適正価格形成に関する協議会を設置しております。この協議会では「米」、「野菜」、「食肉」、「飲用牛乳」、「豆腐・納豆」の5つの品目について、流通経路。価格の動向、生産コストの構造などを分析しています。そして、まずは流通経路が簡素でコストの把握も比較的可能な飲料の牛乳と豆腐納豆について、それぞれ、ワーキンググループが設置されております。

そのような中で、本県にとって影響の大きい野菜につきましては、流通経路が複雑な上、品目や栽培方法によって生産コストの構成割合が大きく異なるなど、検討項目も多く引き続き協議会の中でコストデータの把握収集などが検討されていくと聞いております。

本県の野菜で言えば、メインである施設栽培は野菜の少ない厳寒期に大消費地を含め、日本全国に野菜を供給している供給産地ですので、一般的な露地栽培と比べると生産コストは高く、輸送コストもかかっております。このような状況でございますので、全国一律の指標では本県の実態を反映した価格形成の仕組みにはならないと考えております。

今後は、本県のコストデータなどを積極的に国に示すとともに、国の動きを注視しながら指標化を含め、農産物の適正な価格形成に向けた仕組みが本県の実情を反映したものとなりますよう、必要に応じて国に提言を行ってまいります。

 

●岡田議員 次に、私の地元のことですけれども、南国市十市の施設園芸地帯の用水の問題についてお聞きします。十市地区では海岸線にある園芸ハウスでは、ずいぶん前からハウスに使用する水を石土池から取水しています。ところが、この池では、春から夏場にかけて藻が繁殖し、その藻屑が繁茂し、園芸ハウスの取水配管に詰まって、農家はこれを取り除くのに大変苦労しています。

高知市に在住し、南国市十市のハウスで5、6年前からナスを栽培している、地域では若手の園芸農家から、この藻屑が配管に詰まって困っているという相談を受けました。ご本人に会って話を聞くと、配管の末端に近いところで排水をしていた方が入院して、排水バルブを開けることがなくなり、いつも以上に(藻屑が)詰まるようになったと話でした。

県の営農支援サービス「SAWACHI」にも加入している意欲のある方ですが、はじめから藻屑のことが分かっていたら、十市でハウスをやらなかったかもしれないと話していました。

県の農業基盤課が、この配管を自動的に開閉して排水する設備を設置する対策を示してくれて、その設備を県、市、改良区でお金を出して設置する運びとなりました。しかし、この藻屑の問題は、地域全体の問題であり、私はこの際もっと抜本的な対策が必要だと考えます。

地域の農家からは、石土池の中央付近にまで伸ばしている取水口に藻屑が入らないようにしてほしい、池の水質を改善するには石土水門の開閉作業を適切に行うことが必要だ、といった意見をお聞きしました。農家の皆さんはこれまでその都度藻屑を取り除いていますが、若い担い手が、近代的なハウスを経営することになって問題があらためて顕在化しています。

◆担い手づくりには、ハウスに関係する農業基盤の改善が不可欠です。池の取水口の対策をどうするのか、農業振興部長に伺います。

 

○農業振興部長 次に、石土池の取水口の対策について、お尋ねがございました。

南国市十市地区は古くから園芸が盛んであり、その農業用水は、水源の石土池から揚水ポンプで取水し排水管を通して44ヘクタールの農地に供給しております。しかしながら、議員のお話にございましたように、排水管の末端付近の園芸ハウスにおいて池に大量に繁殖しているホテイアオイの藻屑などが潅水設備の目詰まりを起こし、一部の農家において営農に支障が出ていることは確認しております。

 このため、応急的な対策としまして、本年度中に排水管の末端部に藻屑を排出するためのタイマー式のバルブを設置することで、農家と土地改良区、南国市の了承を得ているところでございます。今後は 応急的な対策の効果等を検証した上で、取水口での藻屑を除去する施設の整備などの抜本的な対策を検討してまいります。

 

●岡田議員 次に、「地域計画」の取り組みについてです。

地域の農業を維持・振興するため、これまで、地域での話し合いにより、「人・農地プラン」を作成し、実行してきました。しかし、今後も高齢化や人口減少により農業者の減少や耕作放棄地が拡大し、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念されていることから、「人・農地プラン」を法定化し、地域での話し合いにより目指すべき将来の農地利用の姿を明確化する地域計画を定め、それを実行するため、地域内外から農地の受け手を幅広く確保しつつ、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めようとしています。

 しかし、地域の農業が維持できなくなった背景には、米価の下落など農業をとりまく厳しい状況が続いていることがあります。同時に、農家の高齢化が進み、担い手が確保できないことから耕作放棄地が増えています。したがって、地域の農家が農業で暮らせるようにする施策が、地域農業を維持・振興するための土台となります。

とはいえ、現状のまま推移すると、高齢化等により離農者が増え地域農業は維持できなくなります。そのため、地域農業を今後どのように維持・振興していくのかの話し合いが重要です。引き継ぐ農地と、引き継がない農地を仕分けして集約化するという国の施策にとらわれず、地域の農業をどうしていくのか、関係者が集まり話し合っていくことが必要となっています。

◆そうした観点から、県として、地域計画づくりに向けた話し合いをどのように支援していくのか、農業振興部長にお聞きいたします。

 

○農業振興部長 最後に、地域計画づくりに向けた話し合いへの支援について、お尋ねがございました。

地域計画は10年後の地域の将来をイメージして、現在栽培している作物の生産振興や 担い手の確保をはじめ、今後、農地を誰に引き継ぎ、地域の農業をどのように維持発展させていくのかなどについて、農業者や農地の所有者などの関係者がしっかりと話し合って、実効性のある計画にしていくことが重要であると考えております。

現在、令和6年度末までの策定に向けまして、県内全ての市町村で話し合いが進められており、県としましても、農業振興センターがこの話し合いに積極的に参加しているところでございます。

 しかしながら、農業をしていない農地の所有者や高齢農家などの参加が少ない地域では、地域計画の策定に向けた話し合いが深まっていないといった課題が見えてきております。 このため、農業委員を始めとする関係機関の皆様とともに、農地の所有者や高齢農家などに呼びかけて1人でも多くの方に話し合いに参加していただけるよう取り組んでいるところでございます。

今後も 地域計画の取りまとめ役となる市町村職員に対するワークショップ研修などを開催するとともに、話し合いが円滑に進められますよう、農業振興センターがしっかり支援してまいります。

 

【中山間地域再興ビジョンとジェンダー格差について】

●岡田議員 次に、中山間地域再興ビジョンに関わって、人口減少対策として、特に「若者の女性の割合」を指標のひとつとして、施策が進められようとして点について、お聞きいたします。

 この12月に示された素案では、「若者世代、特に女性の人口流出」という表現で見出しが建てられ、「(高知市以外における)15~34歳の転出超過数の男女構成」、また「高知市外では女性の人口が男性に比べて大幅に少ない」等の数値が示されています。その上で「高知市以外の婚姻数は10年間で2/3程度に縮小」し、「女性の人口の減少、未婚化の進展、婚姻数の減少により、出生数は大幅に減少」したとして、冒頭に述べたように「すべての市町村で、20~34歳の年齢層における女性の割合がR2全国平均(49%)を上回る」ことを指標の一つにおいて、人口減少対策が進められようとしています。

 人口減少対策として、「若者の女性の割合」を位置づけ、結婚、出産とつなげていくという一連の施策展開について、リプロダクティブヘルス&ライツ、つまり、子どもを産む、産まない、いつ何人産むかは女性自身が決めることだという人権の視点から、批判の声が出ています。

 この間、当事者の若者女性の声をお聞きしました。出されたのは、「行政が、若い女性は、結婚し、出産するものというひとつの型にはめようとすることには違和感がある」、また別の方は「女性は、結婚はまだか、結婚をしたら子どもはまだか、一人産んだら二人目はいつかと、常にプレッシャーをかけられ、うんざりしている」などの声です。

 若者女性の県定住を進めようとする施策が、当事者から敬遠されるとすれば、本末転倒です。これら一連の人口減少対策が、若者女性に「結婚、出産」の社会的プレッシャーとなる事態は避けなければなりません。

◆女性が暮らし続けたい高知県となるためには、一人一人の女性が、多様な家族の在り方やシングルなど、どんな選択をしても、あるいは年齢の別なく尊重される、というメッセージと施策展開が必要と考えますが、知事の所見をお伺いします。

 

○県知事 次に女性の選択が尊重されるというメッセージと施策展開の必要性について、お尋ねがございました。

本年 3月に策定しました本県の「女性活躍推進計画アクションプラン」におきましては女性が自らの希望や意思に基づいて、人生を選択し、個性や能力を最大限発揮できることを目指すべき姿として掲げているところでございます。

このアクションプランを踏まえまして本県におきます人口減少対策におきましては若者、特に若い女性が高知県で活躍をし、高知県で結婚や出産をしたいと選ばれるように、そして、その結果として県内で結婚出産を希望する女性が増えていくということを目指して、施策の充実を図りたいと考えております。その上で、その希望を叶える施策の充実強化に取り組んでまいる考えであります。

 

●岡田議員 上智大学の目黒依子・名誉教授が、一貫して、「ジェンダー格差と少子化」の関係性を指摘していることは重要です。目黒氏は、性別によって固定的な役割を押し付ける社会構造が、女性の「結婚回避」「出産回避」、ひいては少子化現象につながっていると指摘しています。

「女性にとっては『大人になったら、こういうことがしたい』という理想があっても、結婚・出産、そして家事・育児という決められた役割がある。子どもが手を離れて、復職するとしても、パートタイムか非正規雇用になってしまうことが多い。結婚によって自分の人生を犠牲にするのは女性であるという認識があり、結婚前に自己を確立しておけば結婚・出産後も自己実現を続けられると期待し、結婚を先延ばしにする。初婚年齢が高くなるほど、結婚から第1子出産までの時間が長くなり、結果的に子どもの数も減ってしまう。」

「結婚生活において家事や育児の負担感が大きいほど出産意欲が低くなることも明らか」となっていると分析しています。

 ジェンダー不平等な構造の転換が、人口減対策についても重要だという指摘です。

中山間地域再興ビジョン素案では、「地域に根強く残る固定的な性別役割分担意識の解消に努めることが重要」とされ、アクションプラン案でも「職場・地域社会における固定的な性別役割分担意識の解消」の指標として女性管理職の割合、男性育児休業取得率、未就学の子どもがいる男性の平日の家事・育児時間などの目標が示されています。

◆具体的にどのような取り組みを進め、この目標を実現するのか、お聞きします。

 

○県知事 次に固定的な性別役割分担意識の解消に向けた取り組みについて、お尋ねがございました。女性に高知を選んでもらうためには、地域に根強く残ります固定的な性別役割分担意識の解消が欠かせないと考えております。

このため、まずは男性の育児休業取得が当たり前というような高知県を目指しまして、私自身が先頭に立ちまして 共働き共育てを、県民運動として強力に推進をし、社会全体の意識改革を図ってまいります。

この県民運動の中では特に男性側の意識を変えていくことが重要だと考えます。まず隗より始めよといたしまして、県が率先垂範をしまして、県庁の男性職員の育児休業取得、あるいは女性管理職の登用を進めまして、共働きとも育ての社会をリードしていくとそうした決意でございます。その上で、こうした意識改革に賛同いただきます市町村、あるいは企業の取り組みを後押ししたいという風に考えております。

具体的には、男性の育児休業取得目標を50%以上とする企業への育休代替職員の配置に対する支援、あるいは、企業版両親学級の開催の支援などを行ってはどうかという観点から検討をさせていただいております。

また、男性の育児休業や女性管理職割合の向上に向けまして、高知県ワークライフバランス推進企業として認証される企業をさらに拡大を図っていきたいと考えております。併せまして、男性の育休取得を推進する企業へのまあ一種のインセンティブといたしまして、例えば 入札参加資格審査におきます加点の導入などができないかこれを新たに検討したいと考えております。

さらに、市町村が地域の実情に合わせた人口減少対策として実施をいたします、共働き共育ての関連施策につきましても、人口減少対策総合交付金などで支援をしたいと考えております。加えまして、先駆的な企業や市町村の取り組みあるいは、いわゆる男性インフルエンサーなどのロールモデルにつきます情報を切れ目なく発信をしていく、ということによりましてオール高知の県民運動としての機運を高めたいと考えております。

こうした一連の重層的な取り組みを、私自身が先頭に立って推進をしていくということによりまして、古典的な性別役割分担意識の解消に向けました目標の達成を目指してまいる考えであります。

 

●岡田議員 同時に、民間事業所に手本を示す高知県行政の役割も重要です。男性の育休取得率は「令和3年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査」で全国3位と健闘しているものの、本県では女性管理職割合、特に部長・副部長の女性管理職の登用が遅れています。

◆まず、県行政として、女性管理職、特に部長・副部長への登用を、これまでの延長線上ではない喫緊の課題として進めることが、女性の自分らしい生き方を尊重する強いメッセージとなると考えるものですが、知事の認識をお聞きします。

 

○県知事 次に県行政として女性の管理職への登用を進めるべきという点についてのお尋ねがございました。

女性の管理職登用につきましては、女性の活躍機会が増えることによりまして、組織の活性化、そして働きやすい職場づくりにつながるものと考えておりまして、県として、県自身も推進をすべきことだという風に考えております。

本県におきましては 平成28年3月に策定いたしました特定事業主としての行動計画に基づきまして、県庁の管理職に占めます女性割合の向上に取り組んでまいっております。 令和3年4月のこの改定におきましては それまで10%以上として設定をしておりました 目標値を令和7年度までに 18%以上にするという高い目標値に引き上げまして、女性職員の積極的な管理職登用を行ってまいったところであります。

その結果、知事部局の管理職におきます 女性割合は計画策定前平成27年度の7.1%から令和5年度には約2.5倍の17.9%まで上昇し、目標にほぼ達しているという状況になっております。

全国比較が可能な例は4年度のデータで見ましても本県の女性管理職の割合は、全国の中で 18位という位置にありまして、全国的に女性登用が進む中であって本県が少なくとも 遅れを取っているというような状況にはありません。

 また、部長・副部長級につきましても、現在、知事部局では部長級で1名、副部長級で10名、計11名の女性職員を配置いたしております。平成27年には これが 4名でしたので、部長・副部長級の上級の幹部職員につきましても増加をしているということであります。

引き続き、キャリアアップに向けました意識醸成 ワークライフバランスに配慮した環境づくりを進めまして、適材適所を基本としながら女性の管理職登用に意を用いてまいる考えであります。

 

●岡田議員 「意識の転換」に留まらず、ジェンダー格差を具体的に改善していくことも必要です。特に働き方のジェンダー格差改善は、重要な課題です。

令和4年就業構造基本調査によれば、県内の「非正規の職員・従業員」は、男性30.3%、女性69.6%となっており、女性が男性を39.3ポイント上回り、雇用分野で明確なジェンダー格差があります。これら雇用形態の格差が、男性と女性の賃金格差、また年金の格差などに連鎖してしまいます。雇用条件が改善されなければ、女性が暮らし続けたい高知県にはなりません。

アクションプラン案では、「地域アクションプランの取組による雇用創出」、「企業立地の推進」など雇用確保の施策が盛り込まれています。

◆働く場におけるジェンダー格差をどのように改善していくのか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。

 

○子ども福祉政策部長 まず、働く場におけるジェンダー格差の改善について、お尋ねがございました。

働く場におけるジェンダー格差の課題は、女性は男性に比べて非正規雇用に占める割合が高いことや、管理職割合の低さ、平均勤続年数の短さなどが挙げられます。

県では、女性の経済的自立や格差の解消に向けて、令和5年3月に女性活躍推進計画アクションプランを策定し、固定的な性別役割分担意識の解消や女性が活躍できる環境づくりに、企業や関係機関とともに取り組んでおります。

具体的には 正規雇用の拡大に向けましては、高知県の女性仕事応援室やジョブカフェコーチにおいて求職者と企業とのマッチング支援を行っております。また、管理職への登用促進に向けましては、女性活躍推進セミナーやシンポジウムの開催により 多様な人材登用の必要性などについて、県内企業への理解の促進を図っております。

加えて、高知県ワークライフバランス推進企業の拡大や働き方改革トップセミナーの開催、高知県登録働き方改革コンサルタントによる企業支援などにより働きやすく、就業継続できる職場環境づくりを推進しております。

 さらに 女性のキャリア形成に向けて、女性活躍のためのビジネス講座やセミナーの開催などにより女性のスキルアップを後押ししております。今後も、女性活躍推進計画アクションプランにおける取り組みをさらに充実強化させていくことで、性別による格差をなくし、女性が活躍できる環境づくりを進めてまいります。

 

◆また、国のキャリアアップ助成金と連携した県独自の上乗せ措置で非正規から正規への転換を推し進める考えはないか、商工労働部長にお聞きします。

 

○商工労働部長 国のキャリアアップ助成金への県独自の上乗せ措置についてお尋ねがございました。

お尋ねのありました国のキャリアアップ助成金は非正規雇用にある方を対象に企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員への登用や職業改善の取り組みを実施した事業主に対し助成を行う制度です。国においては、今般の総合経済対策において、非正規雇用にある方の所得向上を図るため キャリアアップ助成金の支給金額を、中小企業で1人当たり 57万円から80万円に引き上げたほか、加算措置の新設や要件緩など、大幅な拡充を行ったところです。

こうした状況にもありますことから、現時点において県独自の上乗せを行うことは考えておりません。

非正規雇用にある方にとって正社員となることは 所得の向上に加え雇用の安定にもつながりますことから、県としても多くの県内企業にこの助成金を活用していただきたいと考えております。このため、これまでも県の主催でキャリアアップ助成金をはじめとする各種制度の活用を促すためのセミナーや相談会を労働局と連携し開催してきたところです。   

今後も、労働局や商工会議所など関係団体と連携しながらキャリアアップ助成金の周知徹底と活用促進に努めてまいります。

 

◆この点でも、民間事業所の手本となるべき県行政において、非正規公務員=会計年度任用職員の処遇改善や正規職員化が必要ですが、取り組む考えはないか、総務部長にお聞きします。

 

○総務部長 会計年度任用職員の処遇改善と正職員化についてお尋ねがございました。まず、会計年度任用職員の処遇改善につきましては、正職員化の任用に当たりましては、地方公務員法の平等取扱いや能力実証主義の原則に基づき、平等かつ客観的な採用試験によることが必要と考えております。また、会計年度任用職員の職につきましては、総務省から示されたマニュアルに沿って職務内容や責任の程度に関して正職員と異なる設定としております。

これらのことを踏まえますと、従前と同様の業務に従事することを前提としながら、会計年度任用職員を正職員として任用することにはならないと考えております。

 次に、会計年度、任用職員の報酬などにつきましては、正職員の給与改定に準じて改定を行ってきておりまして、加えて来年度からは 正職員と同様に勤勉手当を支給したいと考えております。

 今、議会にはこれらの内容を盛り込んだ給与条例の改正案を提出しており、原案どおり可決された場合には、大半の方の年収が2割程度上昇する見込みとなっております。このことは相当程度の処遇改善に当たるものと考えております。今後も引き続き、総務省のマニュアルを踏まえながら会計年度任用職員制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

 

【ケア労働者への財政支援について】

●岡田議員 次に、ケア労働者への賃金引上げなど県独自の財政支援についてお聞きします。

本県の医療福祉産業の生産額は3500億円と全産業のトップであり、重要な基幹産業です。また医療福祉の現場で働く労働者は(およそ県民5人に一人)6万人と多く、その約7割が女性です。しかし介護労働者の賃金水準は全産業と比較して7万円~10万円低いと言われています。

コロナ禍の下で、高齢者、子ども、障害者などを支え続けて来た介護労働者に対し、その仕事に相応しく処遇改善・賃金引上げをすべきではないでしょうか。処遇改善は単なる支出ではなく消費拡大策であり最大の地域経済対策、税収増にもつながっていきます。また、女性介護労働者の賃金が上昇することによって子育て支援、少子化対策にもつながる有効な施策となります。何より介護や福祉現場では深刻な人手不足が続いており、介護福祉サービスの安定的な提供を今後保障するためにも処遇改善がなんとしても必要です。

◆県内のケア労働者の賃金は、他の産業と比較して格差がどれくらいあるのか。それを踏まえて、ケア労働者への安定的な雇用確保対策として、県独自の財政支援を行う考えはないか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。

 

○子ども福祉政策部長 次に、県内のケア労働者と他の産業との賃金格差と安定的な雇用確保対策に係る支援について、お尋ねがございました。

介護職員の処遇改善につきましては、国において他の産業との賃金格差を是正するため、平成24年から5回の処遇改善加算を行っております。また来年2月からは、新たに月額 6000円程度の処遇改善が実施される予定となっております。

令和4年度の賃金構造基本統計調査における本件の介護職員の平均賃金は約29万4000円で、全産業の平均賃金 34万5000円とは約5万円の格差となっております。

平成23年は約9万円の格差となっておりましたので、処遇改善加算の効果もあり、他産業との賃金格差は縮小しております。

介護職員の賃金は、国が定めた介護報酬を原資としていることから、国において改善が図られるべきものと考えております。

このため、国の動向を注視しながら機会を捉えて、全国知事会を通じて国に対して他産業との格差解消に向けた処遇改善の要望を行ってまいります。また、処遇改善加算については、県内事業所の取得率が本年4月時点で約88%と全国平均の約94%と比べ低い状況となっております。介護職員の更なる処遇改善に向けて、事業所にアドバイザーを派遣するなど、処遇改善加算の取得を支援してまいります。

介護職員の雇用確保対策として県独自の取り組みにつきましては、中山間地域の介護事業者がホームヘルパーなどを新規雇用した場合の一時金や転居費用についての助成を本年度から新たに実施しております。引き続き、各事業所に寄り添ったきめ細かな支援に努めてまいります。

 

【子ども医療費助成について】

●岡田議員 最後に、こども医療費助成についてお聞きします。

今年9月議会で共産党議員団は、20年近く就学前までの低い水準に止まっている県のこども医療費助成制度の拡充を求めました。知事は答弁の中で「多くの市長村長から子ども医療費の助成に対し県の財政支援の拡大を求める声が寄せられているため、来年度からの新たな人口減少対策の財政支援制度の中で、子ども医療費助成拡充を図る取り組みについてどのように支援できるのか検討中」と答えました。

◆先ほどの答弁でも少しありましたが、人口減少対策の財政支援制度を活用し、子どもの医療費助成をどのようなスキームで市町村を支援していくのか。予算規模も併せて、知事にお聞きします。

 

○県知事 最後に子ども医療費助成についてのお尋ねがございました。

 現在、県におきましては 乳幼児期 6歳までの医療費無償化に取り組む市町村に対しまして、所要経費の1/2の財政支援を行っております。

これによりまして、乳幼児の保健の向上、あるいは福祉の増進を図るということでございますが、こうした観点から引き続きこの制度については存続をして継続をしてまいる考えであります。

現状、こうした県の支援措置に加えまして 各市町村が主として子育て支援の観点などからこの助成年齢の範囲を上乗せして支援をしていただいているという状況だというふうに承知しております。

一方で 新年度からは、市町村が地域の実情に合わせて実施をいたします人口減少対策を総合的に支援する新たな交付金を創設するということを、現在、検討しているということは、ただいま議員からもご紹介があった通りでございます。

この交付金におきまして、 基本配分型の部分といたしまして、新規事業や既存事業の拡充を行う場合に、市町村の裁量でどの事業に活用するかということは決められるような自由度の高いものにしようという線で検討いたしております。従いまして、市町村が子育て支援の観点から独自に子ども医療費助成の範囲の拡充に取り組む場合には、この基本配分型の交付金を活用いただけるのではないかという風に想定をいたしております。

そして、この基本配分型の各市町村への配分の額につきましては、現時点におきましては、市町村の規模に応じまして、300万円から7500万円程度の規模を想定いたしているところでございますけれども、今後、各市町村のご意見なども伺いながら交付金の全体像や規模を具体的な制度設計を確定してまいりたいと考えております。

私からは以上であります。

 

●岡田議員 知事は9月議会答弁の中で、「県が就学前まで助成しているのは子どもの健康確保ということで線引きをしている。」と答え、市町村の上乗せ支援は子育て支援、経済負担軽減の視点から拡大しているとの認識を示しました。しかしその認識を正していただきたいデータがあります。

高知保険医協会は2020年度に高知県内の公立小中高・特別支援学校で行われた学校健診の状況等について調査(回答率59.7%)を行っていますが、学校健診の結果、受診が必要とされた児童生徒のうち約6割が未受診だったことが明らかになっています。また、新型コロナの感染拡大による児童・生徒の健康は、25.5%の学校で影響があり、「肥満の増加」「視力低下の増加」が指摘されています。

各診療科別では、

・歯科 要受診と診断された児童・生徒の 71.9%(前回 64.4%)が「未受診」

・眼科 要受診と診断されたにもかかわらず、未受診であった児童・生徒は、57.1%(全国 55.4%)

・耳鼻科 未受診だった子どもの割合は、 54.5%(全国 57.4%)

・内科 要受診と診断されたにもかかわらず、未受診だった児童・生徒の割合は、66.3%(全国 53.6%)

高知県は全国平均と比較すると眼科健診を除き「要受診率」が高く、「未受診率」も一部の健診を除き高い数値を示しています。未受診の理由について、養護教諭に尋ねたところ、一番多かったのは「健康への理解不足」63.5% (全国 57.0%)。2 番目が「新型コロナ感染による受診控え」48.6%(全国 46.8%) 、3 番目が「共働き」29.1%(32.1%)、4 番目が「無関心」26.4%(27.4%)と傾向は全国と同様です。高知県は乳幼児等医療費助成制度により小学校卒業までは全市町村で医療費が原則無料のため、「経済的困難」を未受診要因とした回答は 11.3%と少ないのですが、高校では 46.4%と急増し 3 番目となっています。

一方、歯科検診では、歯列・咬合の異常が指摘された場合は矯正治療が必要となるケースがありますが、歯科矯正治療の医療保険適用範囲はごく狭い範囲に限定され、乳幼児等医療費助成制度からも除外されるため、自費治療(自由診療)となることが未受診率を押し上げている可能性があります。未受診の児童・生徒は、家庭環境に何らかの問題を抱えている可能性が考えられますが、未受診についての自由記載欄では「ネグレクト傾向の家庭」「受診するほどではないという保護者の医療に関する考え方」(小学校)など保護者要因の他に、「へき地であり近くに専門医がおらず通院困難」「生徒自身の多忙」(中学校)という理由を上げた回答もありました。

以上のような調査結果からも、小学校から高校までの児童・生徒の受診率を高める施策が求められます。

 

◆子どもの未受診の現状を改善し、早期発見・早期治療につなげ、本県の児童・生徒の健康確保を目指すうえでも、県の医療費助成の考えを改める必要があるのではないかと考えます。子ども・福祉政策部長にお聞きし、私の第1問といたします。

○子ども福祉政策部長 最後に、学校健診の結果、受診が必要となった児童生徒の未受診の現状を改善するために、県の子ども医療費の助成への考えを改める必要について お尋ねがございました。

県の子ども医療費の助成への考えとしましては、子どもの健康を確保する観点においては、住む地域や市町村の財政力に左右されることなく、安心して医療が受けられるよう、国の責任において、全国一律に医療費助成を実施することが基本であると考えております。

 他方で各市町村における小学中学高校までの無償化の年齢拡大は、子育て支援や経済負担の軽減の観点から行われているものと認識をしております。

学校検診の結果、病院等での受診が必要な場合には、児童生徒及びその保護者に対して受診勧告を行い、受診した結果を各家庭から学校に報告いただいております。

 未受診の児童生徒やご家庭に対しましては、長期休業に入る前に再度の受診勧告を行うとともに個別に受診を促しております。

 未受診の理由は、保護者の理解不足が最も多いと認識をしており、引き続き、各学校において粘り強く受診の必要性を伝え、未受診の解消につなげていくと伺っております。

お尋ねのありました未受診の現状を改善するために、県の子ども医療費の助成への考えを改める必要性につきましては、お話の高知保険医協会の調査結果からは医療費助成の有無が未受診に影響することを示す関連性は明確に確認されておりませんが、子どもの健康を確保する観点であれば、従来の考え方のとおり、医療費助成は国の責任において全国一律に実施すべきものと考えております。

 

【第2問】

●岡田議員 2問を行いたいと思います。

知事からご答弁をいただきましたけれども、最初に選挙の時の「合口」発言でございます。例え話ということをおっしゃったし、また TPO は別にして参加されていなかった皆さんが聞いた時に、どういう思いで受け止められたのかということで、虚心坦懐に受け止める というお話でございましたけども、私はもう、はっきりあの発言撤回すると、率直に言われたらどうかなということを、率直に思いました。撤回される意思があるのかお聞きをしたいと思います。

そしてえ パレスチナ問題ですけれども、外交問題であり、国において対応してもらうという答弁でありましたけども、国際問題であってもやはりこの平和の問題っていうのは、全ての人に関わる問題だと考えます。国と地方の関係は対等だということもおっしゃったしやっぱりあの地方自治体のトップとしても、しっかりそういう発信はですね、していくことが大事だというふうに思います。そういった点でずっと答弁を聞かせていただいて、やはり 知事のおっしゃるその役割分担ですね、国と地方の、そうした中で今後その防衛力強化の重要拠点の問題も出てきますけれども、そういった点でやっぱり自治体のトップとしてしっかり発言をしていくとメッセージを送るというのは、国際問題であっても大事だと私は思います。

そうした 市民の声が世界を動かして、この12月12日 (国連)緊急特別会合が開かれて、3/4以上に当たる日仏中露など153か国が、ガザの即時停戦を求める決議を採択しています。

10月の緊急特別会合と比べて、賛成国が32カ国増えています。

やはり世界でそういう平和の求める、まさに平和の声が広がっていったという世論が後押ししているという風に私は思います。問題を解決するためにも、即時停戦、そして話し合いを求めるためにも、そうした声はやはり地方からも、しっかり国際的にも共同しながら上げていくということが必要だと思いますけども、その認識を伺いたいと思います。

そして空港湾の軍事利用の問題ですけども、やはり背景をしっかり押さえておくことが必要だと思うんです。防衛省が、今後ですね、陸海空3自衛隊を一元的に指揮する組織として統合司令部を作ることで進んでおります。アメリカの軍の組織にカウンターパートとしてこういった組織編成をしながら日米同盟の深化を図っていこうとしております。

そうした一連の流れの中で、またアメリカ戦略上の流れの中で、こういう話が出てきていると言わなければなりません。当面、アメリカ米軍の訓練利用は考えていないというお話でもありましたけれども、しっかりそういった背景を捉えてですね、県民にきちんと説明をする、そしてこう、県民の意思を尊重するという姿勢が求められると思います。全国知事会では地位協定の見直しを求めておりますけども。そういうことこそはまずはすべきだというふうに思っております。

そして、次に農業の問題ですけれども、農業振興部長から丁寧なご答弁いただきありがとうございます。食料自給率の向上について、私はやはり国が責任をもってそれを実行していくような立て付けにしていかなければならないと思うし、そして農業予算、1問でも言いましたけども、この10年 2.3兆円で推移しています。

そして、予算規模が増えていく中で、比率としては減っていっているわけで、本当に地域地方の農業を進行していくためにはやはり、予算措置を国がしっかりするとこれはやっぱ地方からもっともっと声を上げていく必要があると私は思います。

この中山間を広く抱える高知県、そして農業が産業の重要な役割を果たしているこの高知県においてやっぱり国にしっかり予算措置を確保するように求めていることが、私は大事だと思っているところでございます。これは質問には致しませんけども。

そして、あの具体的な、南国の問題、取水の問題を検討されるということでよろしくお願いしたいと思います。地域計画については南国市で言えば、長岡地区で話し合いがされておりまして、こうした話し合いの場を急いで広げていく必要があると思います。

10年先の計画、もう10年も待てないというのが、現場の状況ですのでね。しっかりと支援をしていただいて、地域の農業をどうするのかということをですね、話し合いが広がるように引き続き支援を強めていただくことを要請したいというふうに思います。

あと、ケア労働の問題、賃金格差 5万円ということで、来年6月から6000円上がるということですけども、高知県の労働人口の中で、このケア労働、大きな、人数も多いですしね 重要な役割を果たしていただいております。しっかり。待遇が改善されて、人材も確保していけるという形でしっかりとした県の支援を求めて、2問といたします。

 

○県知事 岡田議員、第2問目のご質問にお答えいたします。

1つは、選挙期間直前の私の発言について撤回をすべきではないかという話ございました。 第1問目でお答えいたしましたように発言の TPOを考えていただきますと、まさしくあの発言を行ったその場での方々にはこの趣旨はご理解いただいているというふうに思います。事後的に第三者の方々から見た時にどうかという話はあるかもしれませんが、そのことに関しましては只今申し上げましたように真摯に受け止めるという立場でありますけれども、この元々の発言が私は間違ったものとは思っておりませんので、発言を撤回するという考えはございません。

それから 2点目のパレスチナの問題に関しまして、これは国と地方の役割分担の中でやはり外交問題に関しましては、これは国の専権の範疇に入る部分だということだと思います。この問題に関しましては、これも第1問目でご答弁申し上げましたように日本政府として、国連安保理におきまして、しっかりとした態度を示されているということだと思いますので、これに加えて、地方自治体という立場から何か政府に注文をしなければいけないという状況にはないのではないかというふうに考えているところでございます。以上であります。