議会報告

  • 2023年12月27日
    2023年12月議会 岡本和也議員の「政治資金規正法の抜本的改正を求める意見書(案)」賛成討論(2023.12.27)

●岡本議員 議発第9号「政治資金規正法の抜本的改正を求める意見書(案)」に賛成の立場で討論を行います。

 今年の漢字は京都市に本部がある「日本漢字能力検定協会」が一般から募集した中から一番多かった「税」が選ばれました。

 発表した清水寺の森貫主は「国民がシビアに税の行方を見ている」と感想を述べています。

 国民の暮らしは大変です、4年越しのコロナ禍での経済の停滞の上に、失敗したアベノミクスでの大胆な金融緩和による円安や、ウクライナへのロシアの侵略などが原因の異常な諸物価の高騰に、燃料や電気代の値上げ、さらに社会保障の増税、年金や給与は思った様に上がらない「電気料金の値上がりでエアコンをかける事が出来ない」「これでは生きていけない」国民の悲痛の声です。

 この様な国民の暮らしの中、税の集め方、使い方に注目が集まった事が今回の漢字「税」に表れています。

 まさに、その税の集め方、使い方を決める国会議員、政治家が、政治資金パーティー券を巡って、国民の信頼を裏切る行為を続けていた事が明らかとなっています。        

 連日の報道にもある様に自由民主党の主要5派閥が、政治資金パーティー券の収入について、販売ノルマの超過分を所属議員にキックバックし、収支報告書に記載していなかった問題です。

 最大派閥である安倍派の不記載は、2022年までの5年間で5億円規模、二階派は同じく約1億円を記載していない疑いがあり、東京地検特捜部が、両派閥に対し、強制捜査に入りました。

 その規模、継続性から、「裏金」を作る目的で組織的に続けられていた事が強く示唆されており、本件の全容解明、また、この「裏金」が何に使われたのか、徹底した解明が求められます。

 特捜部は、松野前官房長官ら、派閥の幹部に任意聴取するなど事態の進展を行っており、この「裏金」づくりに、政治家・国会議員である派閥幹部の関与があったのかが大きな焦点となっています。 

 そもそも、なぜ、このような問題が起こったのか。そこには、政治資金規正法の抜け道の問題が指摘されています。

 現行の政治資金規正法は、政治家個人に対する企業・団体による献金又は寄付は禁止しています。

 しかし、政党に対するものは温存し、また、寄付よりも公開義務が緩く透明性が低いパーティー券の購入という形では事実上の企業・団体献金が容認され、抜け道となっていると、かねてから指摘されてきました。

この問題を放置してきた事が、今回の事態の根幹にありました。

 今回、問題になったパーティー券収入は、建前こそ「事業収入」ですが、収入から開催経費を引いた「利益率」は最大で9割と軒並み高く、収容人数を大きく超える枚数を販売するなど、実態として寄付である事は疑いようがありません。

 パーティー券が寄付よりも公開義務が緩いことで、誰がパーティー券を購入したか収支報告で記載されているものは、2割程度にとどまり、その中身が不透明なブラックボックスと化しています。

 企業・団体献金の問題点は、国民が主権者の政治参加として行う個人献金とは性質が異なり、営利を目的とする企業や業界団体による政治献金は「見返り」を求める賄賂的性格を逃れられないという事です。

 企業・団体献金が、個人の力を超える巨大な財力により政治を左右し、民主主義を不当に歪めてきた事は、是迄に繰り返されてきた政治汚職事件が証明しています。

 また、失われた30年といわれる「賃金が上がらない」等、経済停滞にあって、政治による大企業への優遇税制などが続けられた結果として、大企業での内部留保はなんと510兆円という空前の規模で積みあがっています。ここにも、大企業の利権という影響力が見て取れます。

 この企業・団体が持つ巨大な資金が政治を歪めるという根本問題にメスを入れなければ、失墜をした政治への国民の信頼を取り戻す事はできません。

 本意見書は、実質的な企業・団体献金であるパーティー券を寄付と位置付け、加えて、企業・団体献金そのものを全面禁止する事で、政治資金の公平性を確保する事を求めています。

 共同通信社の世論調査では政治資金疑惑を巡り、パーティー券収入の過少記載を刑事告発された自民5派閥の説明が十分だと思うか尋ねたところ、「不十分だ」が86.0%に達し、「政治家を信用する事が出来ない」との厳しい声が国民から寄せられています。

 国民の政治への信頼を取り戻すためにも高知県議会として明確な意思を示すことが必要です。

 本意見書への賛同を求めまして、討論とさせて頂きます。