議会報告

  • 2024年03月29日
    2024年2月議会 はた愛議員の「食料・農業・農村基本法の改正にあたり、国内農業の基盤強化を図ることを求める意見書(案)」賛成討論(2024.03.21)

農業 意見書 賛成討論案  はた 2000字

 

●はた議員 日本共産党のはた愛でございます。日本共産党を代表し議発第7号、「食料・農業・農村基本法の改正にあたり、国内農業の基盤強化を図ることを求める意見書(案)」に、賛成の立場から討論を行います。

 生きる為の食料政策は国の根幹ですが、改定案は、現行基本法で唯一、目標として掲げ、「向上を図る」としてきた食料自給率を、いくつかの指標の一つに格下げをしました。

 さらに、農業者が切実に求めていた、再生産可能な農産物価格についても、消費者や食品産業・流通業界などが考慮するものとされ、価格・所得補償の拡充などを、国の責任で行うという姿勢は、一切みられない改定案となっています。

 それとあわせて、“戦時食糧法”ともいえる「食料供給困難事態対策法案」を提出していることも重大です。その中身は「食料安全保障」という名で、輸入途絶など不測の事態の際に、国が作付け転換をさせ、コメ・ムギを増産させる事や花農家にイモを作らせる事など、罰則まで設け、強制できるとしている問題です。

 国のこの動きに対して、県内でも不信と怒りの声は広がっています。

 3月17日、地元新聞の声ひろばには、次の様な投稿がありました。

 四万十市の87歳の方ですが、改定法案に対し、「全く市場任せの農政としか言いようがありません。価格・所得補償の拡充など、政治の責任で、苦境にある農業経営を支える姿勢は一切みられません。・・かつての戦時中の食料管理法で校庭が芋畑に変わるのを見ながら、我慢生活を強いられた、私たち高齢者にとって、晴天のへきれきの法案です。一次産業を守る農林漁業家や自給率低下を憂う、一般国民の声が、政治に反映されないのは本当に悔しいです」と訴えています。

 これまでの農政への反省や転換が全くない、これが共通の農業現場や県民の声です。

 政府が提出している今回の法案では、現状でも食料自給率は38%と下がり続けていますが、それをより下げることになる輸入自由化は進みます。また、効率化の名で、農地はさらに大規模に集約化され、これまでの市場競争的な弱肉強食政策が続きます。

 このもとで、中山間で生きている小規模や家族経営の農家たち、農村が丸ごと危機に追い込まれていく中身だと、言わざるを得ません。

 日本全体の基幹的農業従事者数は2005年の224万人から2023年の116万4千人へと、半減しました。平均年齢は68.7歳で70歳以上の層が一番多い状況です。

 高知県においても農業従事者数は、2000年には約3万6千人いましたが、2020年には、約1万9千人へと、20年間でほぼ半減しています。耕地面積も、お米の産出額も承知の通り、減少の一途です。

 三菱総合研究所は、日本の農業について、2050年には農業経営体数は、2020年との比較で84%減り、経営耕地面積も半減すると、推計を報告しています。

 また現在、高止まりしている物価高騰の影響は深刻で、肥料や資材の価格は、平均で約1.5倍を超える大きな負担となっています。昨年公表された2022年度の農林水産の統計調査では、水田作の平均農業あら利益は、年間で約378万円です。一方で、平均農業経営費は377万円、差し引額は約1万円、時給にすると10円以下です。

 これは各種の補助金を含めた上での金額ですから、どれほど、農業が厳しく、自立も持続もできないような状況になっているかがわかります。

 県内東部のニラ農家の50代の女性は、肥料の高騰は2倍近くになり、自分が食べるごはんを減らして、ニラの肥料を買っていると話しています。そうやって身を削り育てたニラも、自然の影響を受け、単価は乱高下するといいます。

 そもそも自然環境に左右される産業だからこそ、国の支援は不可欠です。

 また、南国市で耕作放棄地化していたハウスを借り、ナスを生産する40代の男性は、転職をして新規就農の支援を受け、農家として頑張っておられますが、周辺農地の荒廃を心配しつつ、自身も新規就農者支援の補助金が切れたら、継続できるかわからないと、不安を訴えます。

 国が行うべきことは農業で食べていける、生活が成り立つ様に、これまでの農政を転換することです。

 例えば、農業保護の観点で海外の動きをみると、欧州諸国と日本の農業所得に占める直接支払い(補助金)の割合を比較すると、日本は30%、これに対しスイスは92%、ドイツは77%、フランスは64%であり、日本の直接支払い制度の実態は、きわめて貧弱です。

 世界の国々は、農業保護政策を国家の重要な問題と位置付け、予算も確保しています。

 日本においても、人がいなくなり崩れゆく農村をどう守るのか、本気の改革が問われていると思います。

 

 よって、国に対し、農業基本法の改定にあたっては、農業や農地の多面的機能の価値を見直し、自国の食料は自国でまかなう決意で、食料自給率の向上や農家の生活を守る、所得補償をしっかり行う農政へ、転換を強く求めるものです。 

 

 以上、のべまして、議発第7号に賛成の討論といたします。