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- 2025年06月20日
- 議会(質問・討論)
- 2025年6月議会 岡本和也議員の代表質問(2025.06.18)
【質問項目】
・米軍機F-35Bの高知空港への長期間駐機
・物価高騰対策・消費税減税
・物価高騰対策・年金
・物価高騰対策・コメの安定供給
・物価高騰対策・医療と介護の充実
・中山間地域対策
・消防広域化
・指定管理者制度
・生理の尊厳
●岡本議員 日本共産党と代表して質問させていただきます。
【米軍機F-35Bの高知空港への長期間駐機】
●岡本議員 まず、米軍戦闘機による高知龍馬空港への長期間の駐機について、お聞きします。
岩国基地所属のF-35Bステルス戦闘機が、3月25日、「飛行中に警告灯が表示したため」「予防着陸」として、高知龍馬空港に突然着陸し、42日間も駐機する異例の事態となり、県民から不安の声が高まりました。これは、令和元年から確認できる米軍機による日本国内への予防着陸としては、最長となりました。42日間の間に、計14回、米軍輸送機が飛来するなど、米軍による空港使用が常態化しました。
何よりも問題なのは、「飛行中に警告灯が表示したため」との説明のみで、どのような不具合が起こったのか、どの程度の見通しで離陸するかなど、必要な情報が全く県民に明かされなかった事です。日本共産党県議団は4月25日に、防衛省へ聞き取りを行いました。しかし、そこでも「詳細については米軍の運用に関する事項のため、お答えは差し控える」との答えが繰り返されました。
詳細が明らかにされないままの長期駐機に、「予防着陸とはいうが、墜落の危険があったのではないか」「武器・弾薬などを搭載したまま駐機しているのではないか」など、県民の不安が高まり、中谷元・防衛大臣がSNSの投稿で「命からがら着陸した」などと記載したことも、事故の危険性を想起させ不安に拍車をかけました。
◆そこで、42日間という異例の長期間の駐機に対し、高知県として早期離陸が必要だとの認識だったのか。また、長期間の駐機で高まった県民の不安の声を、どのように受け止めたか知事にお聞きします。
○県知事 岡本議員のご質問にお答えをいたします。
まず、先般、高知龍馬空港に予防着陸をした米軍機に関しまして、早期離陸の必要性の認識、県民の不安への受け止めについてお尋ねがございました。
今回の米軍機の予防着陸以降、空港に見慣れない戦闘機が駐機をしているということで少なからず、県民の皆さんに不安感を与えていたと考えます。県といたしましては、必要な点検整備を終えて、できるだけ早期に岩国基地に帰還するということが、米軍自身にとっても望ましい展開であろうし、また、その結果として県民の皆さんの不安も早期に解消される、これが望ましい姿であろうと考えておりました。
また、県としては、中国四国防衛局を通じまして、準備作業の進捗見通しなどにつきまして 知らせていただくということによりまして、県民の皆さんの不安を和らげるということにもなるのではないか、という考えでおったところでございます。
しかしながら、そうした中で 結果的に42日間と異例の長さで空港にとどまられまして、この間、米軍からの確たる情報もなく、県民の皆様での中で不安感、一部には、ご指摘がありましたような憶測なども広まったということは、大変残念な事態であったという風に私としても受け止めております。
●岡本議員 この間、民間空港への米軍機着陸が、2022年342件、2023年453件、2024年は317件と繰り返されています。背景には、台湾有事を見据えた西日本全体の軍事化拡大・日米共同作戦体制を整える「南西シフト」の問題があります。
日米安全保障協議委員会共同発表による「空港及び港湾の柔軟な使用(中略)を可能にする為に、演習や検討作業を通じて協力する」との合意を具体化するものです。今回の着陸も、県民から「米軍の利用への地ならしでは」との声があがりました
「予防着陸」は、パイロットが飛行中の航空機に何らかの異常を示す兆候を察知した場合に、危険の未然防止のために行うとされており、「予防着陸」自体はやむを得ません。しかし、今回のように原因が説明されない状況での「予防着陸」は適切であったか判断できません。極論すれば、「予防着陸」の名目で期間を限定せず駐機し、民間空港を事実上「基地化」する事も可能です。
知事は、5月9日付で「今般のような事案の発生に際しては(中略)的確な情報提供と説明に努めることを米軍に求めるよう」中国四国防衛局に対し要請しています。しかしながら、米軍側の配慮を求めるだけでは限界があります。
◆日米地位協定を改定し、事故や今回のような不測の事態が起こった際には住民への情報提供を米軍に義務づける必要があると考えますが、日米地位協定改定の必要性について、知事の見解をお聞きいたします。
○県知事 次に、この件に関しまして、日米地位協定の改定が必要ではないかというお尋ねがございました。
本県といたしましては、米軍機に関しましては、事故の場合に限らず、今般のような整備不良が疑われるような事案の場合におきましても、米軍から的確に情報提供がされるということが必要だという風に考えているところでございます。
そして、米軍に情報提供を促していくための方法論としまして、ご提案がありましたような形で、日米地位協定を改定するというのも 1つの端的な解決策ではあるという風に考えます。
しかしながら、この日米地位協定は1960年に締結されまして、以降65年間 1度も 改定されておらないということであります。協定そのものの改定は、こういうことを見ますと、現実にはかなりハードルが高いのではないかと考えます。
このため、協定の改定とまでいかなくても、どのような形であれ、ルートであれ、米軍からの的確な情報提供がされること、このことが最も優先して追及されるべきであろうと考えております。このため、まずは現行の日米地位協定の運用の中でも今回のような予防着陸の場合に関します中身につきましても、米軍側に情報提供を促していくと、これを全国知事会を通じまして、国に働きかけていくというのが当面現実的な対応ではないかという風に考えております。
また、先般、国会の質疑の中では、岩屋外務大臣の方からも特に地元への情報提供ということについて、配慮をされるべきという点については、前向きな見解も示されたという風に承知しておりまして、そうした国におきます取り組みにも期待をいたしたいという風に考えております。
【物価高騰対策・消費税減税】
●岡本議員 次に、物価高騰対策の消費税減税についてお聞きします。
各種の世論調査では、物価対策として消費税減税を求める声が6~7割占めています。消費税は、低所得者ほど負担率が重く、所得再配分という税金の基礎が失われています。
24年度の与党の税制調査会の資料は、「経済界には、法人税改革(減税)の趣旨を踏まえ、国内投資の拡大や賃上げを求めてきたが、企業部門では、収益が拡大したにもかかわらず、現預金などが上がり続けた。法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ず、法人税の在り方を転換していかなければならない」となっています。石破首相も、内部留保が積み上がり、賃上げ、設備投資につながらなかった事を認め、「単なる大企業優遇だと批判を受けないよう努める」(3月6日の参院予算委)と国会で答弁しています。また、元日本経団連会長の十倉雅和さんが、最近の著書で「税と社会保険料を合わせた負担の在り方の見直しに当たっては、どういった手法を用いるか、その順番と実施時期をどうするかを考えなければならない。そこで、まず考えられるのは、応能負担、富裕層の負担増の徹底である。可処分所得の底上げを図る必要がある事に加え、格差是正や再分配機能の強化の観点からも、まずは富裕層への負担増を考えざるを得ない」と書いています。
日本共産党は大企業、超富裕層に対する応分の負担により、消費税を5%に減税し、将来的に廃止をめざす、複数税率が解消されるのでインボイスを廃止することを提案しています、それは政府や財界人も現在の税制に問題意識を示している内容と同方向です。
そうすれば、1世帯当たり年間12万円の減税となり、暮らしをあたため、消費も活発化し、経済活性化にもつながります。
◆与党税調や元経団連会長の意見をどう受け止めたか、物価高騰対策として消費税減税を求めるべきではないか、知事の見解をお聞きします。
○県知事 次に、与党税調などの意見の受け止めと消費税減税についてお尋ねがございました。与党税調の税制改正大綱におきましては、今後の法人税のあり方といたしまして、大企業を中心に企業が国内投資や賃上げに機動的に取り組むようにメリハリのある法人税体系を構築していくという考え方が示されております。
また、経団連の方からは 応能負担の徹底、消費増税、企業の応分の負担等により、社会保障財源を確保すべきとの提言があったとお聞きをいたしております。こうした提言の内容は、今後税制の議論が行われる場合の重要な論点となると考えます。
また、その内容は賃上げの実現 や社会保険料の負担の抑制を主眼としておりまして、消費税減税を求めるといった趣旨ではないと理解を致しております。今後、具体的な税制改正が検討される際には、地方財政への影響などにも十分配慮して、丁寧に議論をいただきたいという風に考えます。
次に、物価高騰対策として、消費税減税をすべきではないかという考え方についてであります。これは、国民生活の影響緩和のための対策として、選択肢の1つではあるという風に考えます。
ただ、一方で、消費税はよく言われますように、社会保障制度を支える貴重な財源でもありますし、この収入の約4割は地方財政に貢献をしているということでございますので、仮に消費税減税を検討するということであれば、地方財政に影響を与えない形で恒久的な財源措置が講じられると、そういった制度設計をしていただく必要があるという風に考えております。こうした点に関しまして、消費税減税を多くの方が主張されておりますけれども、そうした方々から、現時点におきましては、具体的で説得力のある恒久財源の提案を私自身聞いたことがないというのが実情でございます。こうした中でございますので、物価高騰対策として、消費減税を我々として求めていくということができるような状況にはないという風に今考えております。
物価高騰対策といたしましては、特に生活が苦しい方への緊急的な給付措置に加えまして、高付加価値型経済への転換を後押ししていく施策など、実効性の高い経済対策を早期に講じていただきたいという思いでおります。
【物価高騰対策・年金】
●岡本議員 次に物価高騰対策の年金についてお聞きします。
この13年間で、年金給付額は物価高に追い付かず実質減となっています。国民年金の平均受給額は6万円に届いていません、厚生年金の平均月額は14万6429円ですが、女性に限れば10万7200円となっており、年金だけで生活している世帯は2019年の48.4%から2021年は24.9%(「国民生活基礎調査」)と半減しています。
年金制度改定法案・修正案が衆院を通過しました。最大の問題は「マクロ経済スライド」という、年金を物価や賃金の伸びよりも低く抑えて目減りさせる仕掛けが温存されている事です。
「修正された内容でも基礎年金と厚生年金の調整期間を同時に終了させる措置を行っても2037年までマクロ経済スライドが続き基礎年金部分は2024年度比で約1割減る事になります。」これで、どうして「100年安心の年金」といえるでしょうか。
日本共産党は、「マクロ経済スライド」は中止し、給付の5年分にも及ぶ巨額の年金積立金の活用や高額所得者の年金保険料の「頭打ち」を、今回75万円に見直しされますが、健康保険並みの139万円に見直す事を提案しています。
◆年金改革は、「制度の持続性」ではなく、「人たるに値する暮らしの維持」を、目標とすべきと思うが知事の見解をお聞きします。
○県知事 次に年金改革に関する見解についてのお尋ねがございました。
年金制度は老後生活の費用のうち、基礎的な部分を賄える給付水準を確保しながら、一方では持続可能であるという必要があります。また、年金制度単独ということではなく、他の社会保障制度と相まって高齢者の生活を支える、そして、役割を果たしていくということが期待されていると理解を致しております。
我が国の年金制度は、現役世代が納めた保険料を、その時々の高齢者の年金給付に充てていく、いわゆる付加方式を基本に運営がされております。その結果、高齢化が進展するのに伴いまして、現役世代に過度な負担が生じているということが大きな課題となってきているという風に認識しております。
議員から、お話ございました「マクロ経済スライド」は、こうした課題への対応として、年金の支給水準の方を緩やかに下方調整をする仕組みであります。
このため、現役世代の負担を軽減し、制度の持続可能性を確保する。こういう観点からは合理的な仕組みではあるという風に考えます。
合わせまして、標準報酬月額についてでございますが、この標準報酬月額はこの負担額が将来の給付水準と表裏一体の関係にあるということから、給付額を抑制することとの兼ね合いで上限が設定されているという風に理解しております。
このため、これを引き上げるといたしましても、一部の高所得者から多く保険料を徴収して、これを給付全体の底上げに活用するといった方法は、年金制度の基本的な考え方には そぐわないのではないかという風に考えております。
いずれにいたしましても、年金制度につきましては、1つには老後の生活保障の要請、もう1つには持続可能性の確保の要請、この2つの大きなポイントがあろうかと思います。この2つの要請の両立を図りながら国においてしっかりと制度設計、そしてその運用を図っていただきたいと考えております。
●岡本議員 年金保険料は、年金の支払いなどに充てられなかったものが積み立てられています。この積立金は、運用収益で将来の年金給付を補うとして資本市場に投資され、それを「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が担っています。
この積立金の運用先に、2024年3月末現在、イスラエルの国債を2270億円、同国に兵器を供給する軍事企業の株式を11社、6398億円保有しており、パレスチナでの民族浄化と虐殺への年金投資に怒りの声が広がっています。国際司法裁判所(ICJ)は昨年7月、イスラエルの武力による領土取得、パレスチナ人の国家樹立を含む自決権のはく奪であり、明白な国際法違反と断罪。9月には国連総会が勧告的意見を支持する決議を採択、イスラエルへの武器提供の禁止など各国がとるべき措置を列挙しました。その後、世界最大級の投資ファンドのノルウェー政府年金基金がイスラエルの通信企業への投資をやめるなど、国際司法裁判所(ICJ)の判断、国連総会決議に沿った動きも出ています。
また、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN・アイキャン)とオランダの平和団体「PAX・パックス」が2月18日、核兵器製造企業とこれらの企業に投資する金融機関に関する報告書を発表し「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)も約29億ドルの投資を行っていると明らかにされています。
◆年金積立金は、平和憲法にそった運用がされるべきであり、ジェノサイドや核兵器の開発に使われるべきではないと思うが、知事の見解をお聞きします。
○県知事 次に年金積立金の運用の在り方について、お尋ねがございました。
年金の積立金は国民年金法などに基づきまして、もっぱら被保険者の利益のためという目的で、世界全域の金融資産を対象として、幅広く分散投資が行われているところであります。議員からご指摘がありましたように、紛争当事国の国債や兵器の製造企業などに対します投資の是非につきましては、国内外で議論があるということは承知をいたしております。
私といたしまして、国民の掛け金の負担をできるだけ抑えた上で より多くの給付を行っていくと、そのことが大事だと思っておりますので、このためには積立金をしっかりと運用してこの積立金を増やしていくという努力をする、このことが何よりも優先的に考えられる命題ではないかという風に考えます。
それを前提とした上で、可能な限り、投資の是非に議論がありますような、疑問符が付くような銘柄以外での金融商品での運用が行われるということが望ましいのではないかと考えております。
国におきましては、こうした議論も踏まえていただきまして、適切なルールを定めまして、しっかりと資金を運用いただきまして、安定的で持続可能な年金財政の運営を図っていただきたいと考えております。
【物価高騰対策・コメの安定供給】
●岡本議員 次に物価高騰対策のコメの安定供給についてお聞きします。
異常な米価高騰の根本には「コメ不足」があります。日本共産党は昨年の早い段階から、そのことを指摘し、備蓄米の放出を提案してきました。現在、備蓄米の放出がようやくはじまりましたが、問題の根本には、政府が一貫して、「全体として供給量はある」(小泉進次郎農林水産相)等とコメ不足を認めてない事で、備蓄米の放出も後手後手に回っています。備蓄米は、随意契約の結果、低価格で供給されていますが、その場しのぎの小手先細工ではコメ問題は解決できません。
コメ不足の背景には政府の農政の三つの失政があります。第一に、コメの消費が毎年減ることを前提に、農家に減反・減産を押し付け、一方で、市場任せで低い生産価格を放置してきた事。第二に、コメ農家への所得補償、10アールあたり1万5000円を全廃して年間1500億円近い所得を全国のコメ農家から奪い、生産基盤を弱体化させてきた事、第三に、輸入機会の確保にすぎないのに、毎年ミニマムアクセス米を枠いっぱいの77万トン輸入してきた事にあります。
その結果、2021、2022年のコメ農家の1時間あたりの労働報酬がわずか10円に落ち込み、2000年以降、コメ農家は175万戸から2023年58万戸へと減少しています。なによりも先進国では当たり前に取組まれている生産費を賄えるような価格保障、所得補償制度の導入が求められます。政府は、食料自給率45%を掲げ続けていますが、本気で実現しようとすれば、予算の抜本的拡充が必要です。農林水産予算は1980年に、約3兆6000億円で、軍事予算を上回っていました。ところが、2025年度予算で、農林水産予算は約2兆3000億円で、防衛予算約8兆7000億円の4分の1になっています。5月29日の参議院農水委員会では、「食料、命を支える予算の大幅な増額が必要」とのわが党議員の指摘に、小泉農水相も「方向性は、全く同感だ。今後、予算も含めて増やしていく」と答弁せざるをえませんでした。
◆コメの価格保障、コメ農家への所得補償の確立、農業予算の抜本的増額は、現在の農業危機を打開し、国民生活の安定と国土と環境の保全のために、また地方の人口減に歯止めをかける為にも不可欠ではないか、知事の見解をお聞きします。
○県知事 次に米の価格保証、米農家への所得補償の確立、さらには、農業予算の抜本的増額についてお尋ねがございました。米は日本の主食でありますし、今安定的な供給に向けまして、国民の皆さんの関心の非常に高い品目でもあります。
こうしたことを考えますと、生産性の向上によりまして、米の生産の増大を図っていくことが重要だと考えます。その中で、消費者と生産者の双方が納得できるような価格、水準を目指していくということも求められていると考えます。
国は、この際、現在、水田政策を根本的に見直しまして、例えば 農地の大区画化、スマート技術の活用、収量の多い品種の開発などによりまして、生産性向上を強力に推進をしていくという風な考え方を明らかにされております。県といたしましても、この生産のコストを低減し、競争力を高めるための規模の拡大、あるいは、生産性の向上などの取り組みに対しては支援が必要だという風に考えております。
こうした生産性向上の支援とは別に、地域の特色を生かした付加価値の高い米作りが行われ、国土保全や水源涵養などの重要な役割を果たします中山間地域の農業を支えるための所得への補償は必要だという風に考えます。
一方で、米の価格保証といたしまして、販売価格が生産コストの実績を下回った場合に、その差額を国が一律に補償するというような対応を取ることにつきましては、結果といたしまして、生産者の努力や生産性向上の意欲をそぐことになりかねないという問題点があると考えますので、こうした方式は国民の理解が得られないのではないかと考えます。むしろ、米の価格保証的な役割を果たす制度を考えるといたしますと望ましいのは、例えば共済制度などによりまして、いわゆる、セーフティーネットの対策を強化するといった対応が考えられるのではないかという風に思います。
国におきましては、意欲を持った生産者が安心して米を作り続けられまして、競争力のある成長産業にしていくための支援の在り方を検討いただいて、予算をしっかりと確保していただきたいという風に考えております。
●岡本議員 4月に閣議決定された今後5年間の農業政策の方針となる「食料・農業・農村基本計画」では、基幹的農業従事者は25年間で111万人と半減。年齢構成のピークは70歳以上の層と指摘されていますが、2030年までの49歳以下の担い手数の目標は、現在の水準である4万8千人を維持するにとどまっています。農水省の推計では、基幹的農業従事者は2040年には約30万人になるとしています。この国から、農家、農民が消えようとしています。
政府は毎年の新規就農者の目標さえ持っていません。
◆政府として、新規就農者の目標を持ち、支援制度を充実させるべき思うが農業振興部長にお聞きします。
○農業振興部長 政府として新規就農者の目標を持ち、支援制度を充実させることについてお尋ねがございました。
本年4月に国が策定した食料・農業・農村基本計画において、新規就農者の確保数についての目標は設定されてはおりませんが、持続可能な農業構造の構築に向けて、新規就農者の確保の取り組みを進めることで、2030年に49歳以下の担い手の数を2023年と同水準の4万8千人とすることを目標としています。
国では新規就農者の確保に向けて、就農前の研修期間中の生活を支援する就農準備資金や就農後の早期の経営確立を支援する経営開始資金といった給付金制度、経営開始時の設備投資を支援する経営発展支援事業など、それぞれの段階に応じて様々な支援制度が設けられております。
これらの支援制度によって収入がなくなる研修期間においても安心して研修に専念できることや、就農後の不安定な経営が支えられること、また初期投資の負担軽減が図られることなどから本県においても多くの方に活用されています。
一方で、就農準備資金は平成24年の制度創設以来、給付額の改定が行われていないことから、現状の賃金水準の上昇や物価高騰などの社会情勢の変化に対応した給付額の見直しについて、今月、国に提言を行ったところです。
今後も、新規就農者の確保や就農後の経営安定につながるよう、支援制度の充実や必要な予算の確保について、様々な機会を通じて国に提言や要望を行っていきたいと考えております。
【物価高騰対策・医療と介護の充実】
●岡本議員 次に、物価高騰対策の医療と介護の充実についてお聞きします。
公定価格の改定は、医療は2年毎、介護・障碍者福祉は3年毎となっており、急激な物価高に対応できない制度的欠陥が露呈しています。経営の赤字の増大とともに、他産業の賃上げにおいつかず、賃金格差が拡大し、人手不足の中、他分野に人材が流出するという深刻な事態が生まれています。
全国公私病院連盟が昨年6月を対象とした「病院運営実態分析調査」を今年2月に発表しましたが、100床あたりの総収益から総費用を差し引くと2221万9千円の赤字で、赤字病院の割合は80.1%にも上っています。日本病院会など6病院団体が3月に公表した2024年度の診療報酬改定後の病院経営状況についての緊急調査では、経常利益率は100床あたり平均でマイナス1・0%からマイナス3・3%に悪化。経常利益が赤字の医療機関の割合も50・8%から61・2%に増大。6病院団体は「病院が危機的状況」「地域医療は崩壊寸前」「ある日突然、病院がなくなります」と訴えています。
地域から医療機関がなくなれば、若者の定住・移住も進まないのはあきらかです。
3月12日の日本医師会・6病院団体合同声明は、「直近の賃金上昇と物価高騰を踏まえると、令和8年度診療報酬改定の前に期中改定での対応も必要であると考える」とし、さらに令和8年度診療報酬改定に向けて、「1.『高齢化の伸びの範囲内に抑制する』という社会保障予算の目安対応の廃止 賃金上昇と物価高騰等を踏まえ、財政フレームを見直して目安対応を廃止し、別次元の対応を求める。」「2.診療報酬等について、賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入 医療業界でも他産業並みの賃上げができるよう、賃金・物価の上昇を反映できる仕組みの導入を求める。」ことを要望しています。
日本共産党は、4月発表の「物価高騰から暮らしを守る緊急提案」で、患者の負担にならないよう国費を5000億円投入して診療報酬の基本部分を引き上げ、医療従事者の賃上げを求めています。
◆医療機関の現状の認識、また緊急の財政支援の必要性や日本医師会などが提案する財政フレームの改善について、県として積極的な行動が必要と思うが健康政策部長のお考えをお聞きします。
○健康政策部長 物価高騰下における医療機関の現状認識と財政支援などに対する県の積極的な行動についてお尋ねがございました。
県内の病院を有する医療法人のうち、経常利益が赤字となっている法人の割合は令和4年度の59%から令和5年度には64%に増加し、公立病院では70%にのぼっています。
現在、物価高騰や人件費の上昇などに伴い、医療機関の経営は大変厳しい状況にあると承知しております。
そのため、県ではこれまで国の経済対策を活用して、光熱費や食材料費の上昇分に対する支援を行ってまいりましたし、今議会におきましても追加の支援を行うための予算案を提出しております。
また、こういった状況は全国的な課題となっていますことから、先月には、全国知事会を通じた緊急要望を行い、物価や賃金の上昇に応じて診療報酬をスライドさせる仕組みの導入など国に要請しました。併せまして、別途本県としましても、県内医療機関の窮状を国に訴え、財政支援を求めたところでございます。
引き続き医療機関の経営状況や国の動向を注視し、全国知事会とも連携しながら必要な財政支援を国に求めてまいります。
●岡本議員 一方、今年度当初予算成立にあたり、自民・公明・維新の3党が「4兆円の医療費削減」で合意文書を交わし、その第一歩として11万の病床削減に合意したと報じられています。「余剰ベッド削減」と言いますが、コロナ禍の教訓を忘れたのでしょうか。平時に余裕がないと危機的事態には対応できません。政府は、2025年度末を目標に病床全体で2015年の125万床から119万床に、高度急性期と急性期では合わせて76万5千床から53万1千床に減らすべくすすめてきました。2025年には病床全体では削減目標を達成する見込みとの事ですが、高度急性期・急性期病床を減らすのは現実には困難で思惑通り進まず、2023年時点で、合わせてあと15万4千床の削減が迫られています。診療報酬の抑制で病院の6割が赤字、約半数が「破綻懸念先」とされ、病院の統廃合が起き「地域医療の崩壊」が叫ばれています。これ以上、11万床もの大規模な削減をすすめれば医療崩壊が急激に進みかねません。とりわけ、高度急性期・急性期病床削減が強く危惧されます。また、医師不足も深刻です。日本の医師数は、人口あたりOECD平均の2/3程度であり、実数では13万人も平均より少ないことが指摘されてきました。
◆どこの地域に住んでも安心して医療をうけることが出来る、安心して出産ができることが大事であり、機械的な病床削減は、地方の人口減に拍車をかけるのではないか、知事の見解をお聞きします。
○県知事 次に、自由民主党、公明党、日本維新の会が合意をされました病床の削減の問題に関しまして、お尋ねがございました。
この3党合意の文書におきましては、議員からお話がありましたように、11万床といった数字が削減に絡みまして、言及をされております。ただ同時にこの病床数の削減に当たりましては、地域の実情を踏まえた調査を行うこと、あるいは感染症などに対応する病床を確実に確保することなどが明記もされております。このような全体を見ますと、地域の実情を無視して機械的な削減を進めるというような趣旨のものではないという風に受け止めております。
本県ではこれまでも、地域医療構想に基づきまして、効率的で質の高い医療提供体制の構築を目指してまいりました。関係者の合意形成を図りながら、病床転換などへの支援を進めて参ったところでございます。また、昨年度からは将来の医療需要を分析いたしますとともに、今後確保が必要な病床数などについて 地域ごとの協議を始めているところであります。
その現段階での分析から県内の状況を見渡しますと、高知市及びその周辺以外の地域におきましては、むしろ病床が不足をしているという状況でありまして、医療体制の維持強化が必要な状況にあるという風に考えております。
国におきましては、こうした地域の実情を踏まえますとともに、地方の意見を丁寧に聞いて、この問題への対応を進めていただきたいと考えております。
●岡本議員 次に介護です、昨年4月、訪問介護事業所の4割が赤字なのに、基本報酬を2~3%引き下げた事により、介護崩壊を加速させたことを示す調査結果を3月31日厚労省が発表しました。介護保険収入が5%以上減収した事業所が最多で、全体の4~5割に上っており、57%の事業所が減収と回答しています。訪問介護ステーションが1つもない県内の自治体も増加しています。
老人保健施設の事業者など介護10団体が4月に行った緊急調査では、24年度の事業収支は、報酬が引き下げられた訪問介護を含む在宅系の46・8%が赤字、特別養護老人ホームなど施設系の赤字は33%となっています。
介護職員の賃上げ率は正職員で2・15%と、全産業平均5・37%(連合)との差は3・22%ポイントと、前年度の2・07%より拡大しており、賃上げ額も5349円と、前年度7337円の7割強に低下しています。そうしたもとで、他業種への離職者は、前々年比で正社員が148%。勤続10年以上の正社員は172%と増加しています。
調査した事業者79・7%が、政府の賃上げ支援策(5・4万円)を申請、78・1%が介護職員処遇改善加算の最上位を算定しているにもかかわらず、他産業との賃金格差が広がっており、政府の処遇改善策が極めて不十分であることを示しています。
3月17日、全国市長会は、地域の医療機関、介護施設、障害者福祉施設等の物価高騰対策等に関する緊急要望を政府におこなっています。現在の制度は、物価高騰や賃上げを適時価格転嫁できない仕組みとなっており、 「地域の医療、介護、障害福祉サービス等の提供体制を維持できなくなるのではないかと懸念している。」と危機感を示し、「緊急に十分な財政支援を行うこと」「社会経済情勢等に応じて、改定期を待たずに必要な見直しを行う仕組みを導入するなど、柔軟に対応すること」を求めています。全国知事会も5月15日、同様の緊急要望をおこなっています。
◆まず、県内の訪問介護事業所の現状について、介護保険収入の増減、賃金の全産業平均との比較、また、34市町村のうち、訪問介護事業所がゼロ、または1となっている自治体数を、子ども・福祉政策部長にお聞きします。
○子ども・福祉政策部長 まず、県内の訪問介護事業所の現状について、お尋ねがございました。
本県では、中山間地域への訪問など移動距離が長くて非効率なこともございまして、月当たりの延べ訪問回数が400回以下の小規模な訪問介護事業所が約6割を占めている状況でございます。こうした事業所の収入と支出の差は約1%となっており、400回を超える事業所の収支差が5%以上であるのに比べかなり低い率となっているところでございます。
次に賃金は国の賃金構造、基本統計調査結果を基に比較しますと、令和6年の県内の全産業平均の年間給与額が約400万円であるのに対し、訪問介護従事者は約330万円と70万円程度低くなっています。
さらに、県内の訪問介護事業所につきましては、事業所がない自治体は4町村、事業者が1つの自治体は10町村となっております。
◆これら訪問介護事業所における現状への認識、また、県の日本一の健康長寿県構想の実現にむけての介護、障害福祉サービスの担い手確保の見通しと取り組みについて、子ども福祉政策部長にお聞きします。
○子ども・福祉政策部長 次に、訪問介護事業者の現状への認識と担い手確保の見通しの取り組みについてお尋ねがございました。
訪問介護事業所の現状については、介護報酬のマイナス改定に伴い、県内の月当たりの延べ訪問回数が400回以下の小規模な訪問介護事業所の経営は厳しい状況にあるものと認識しています。このため、昨年度は、小規模な事業を対象に、ガソリン価格の高騰に伴う負担軽減への支援を行いました。
また、今年度は中山間地域の利用者に市部等からサービス提供を行う事業者に対する県独自の支援において、遠距離の加算率を引き上げ、支援を強化したところでございます。
次に担い手の確保につきましては、県内の介護分野の有効求人倍率は平成30年以降 2倍を超える状況が続いており、今後もこうした傾向は続くものと考えています。
このため、更なる担い手の確保に向けて、生産性の向上や多様な人材の参入促進、介護の仕事の魅力発信などに取り組んでいるところです。
具体的には、生産性の向上に向けICTロボットの導入支援によるデジタル化の促進やアドバイザー派遣による伴走型支援を行ってまいります。
また、多様な人材の参入促進に向けては、介護施設が海外現地で行う、人材確保の取り組みへの新たな支援制度を創設するなど、事業者支援を強化するとともに、シニア層などが働きやすい介護助手の導入を促進してまいります。
さらに 介護の仕事の魅力発信については、ネガティブなイメージの払拭に向けた情報発信にも取り組んでまいります。
こうした取り組みにより、担い手のさらなる確保を図ってまいります。
●岡本議員 「介護崩壊」とも言われる事態の打開には、とりわけヘルパー、ケアマネージャーの配置基準の充実をふくむ抜本的な処遇改善が待ったなしとなっています。一方で介護保険料の全国平均額は発足当初から2倍以上の2.1倍を超え、負担が限界に達しています。この隘路(あいろ)を打開するために、国庫負担の増額以外ありません。日本共産党は、国庫負担を10%ひきあげて、1.3兆円を投じて、介護崩壊を食い止め、介護従事者の賃上げを行うべきと提案しています。
◆県としても国庫負担引上げを政府に強くもとめるべきと思うが子ども・福祉政策部長に聞きします。
○子ども・福祉政策部長 次に、介護保険の国庫負担の引き上げについてお尋ねがございました。
高齢化に伴い、介護給付費が増加する中、持続可能な介護保険制度としていきますには、給付と負担の議論の中で、国と地方の負担のあり方についても検討されるものと考えています。
昨年の全国知事会では、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、適切な介護報酬の設定や保険料と国地方の負担の在り方を含め、国庫負担割合を引き上げるなど、必要な制度の改善を図ることについて、国に提言を行ったところでございます。
引き続き、国の動きも注視しながら持続可能な制度となるよう、全国知事会と連携し取り組んでまいります。
【中山間地域対策】
●岡本議員 次に中山間地域対策について「賢く縮まない取り組み」についてお聞きします
高知県の人口減少は深刻でその対策は喫緊の課題になっています。人口減少の影響で県内各地の保育所、小中学校の休止、高等学校の再編計画などの寂しいニュースが届いてきます。反面、嬉しいニュースも入ってきています。2024年度に高知県に移住した人が2241人と初めて2千人を超えた事。移住組数も過去最多の1734組に、移住者を年代別にみると30代以下が約7割を占め、20代以下は前年度比171人増の981人と若い方の移住が多くみられます。又、県内高等学校で取り組まれている「地域みらい留学」の中で今年度西土佐分校に15人の入学者があり、この内県外出身者は6名でした。西土佐地区では厳しい状況の中、同分校教員、PTA、地域住民らが地域における分校存続の意義を確認して「自然や文化に触れて地域貢献に繋がる探求学習」「地域と共にある学校」を前面に掲げて生徒確保を目指してきた、と報道されました。又、集落活動センターの取り組みでも日高村能津集落活動センターミライエでは取り組みの成果で近所の保育所での利用者が増えて地域の活性化につながった等があります。この様に人口減少が確実に進んでいる中でも取り組み方によっては高知県が元気になれる条件も確認できます。
四万十市のある保育所でも利用者が10名を切った事によって存続の可否を決定する閉所説明会が行われました。そこでの保護者の発言を紹介すると「都会からわざわざ田舎に引っ越してきて、この田舎で子育てしたいと思っているのに子どもが少ないと言う理由で閉所するのは納得いかない」「誰も閉所を望んでないし来年から入所させたいという保護者もいるのに10人に満たないと言う理由で閉所するのはなぜですか。5人に成ってから考えても良いのではないか」この様な保護者の声にこたえて中山間地域を守らなければなりません。
◆保育所や小中学校の存続は直接県とはかかわり有りませんが、中山間地域の小規模保育所や小中学校を残すことが中山間地域再興ビジョンに結びつき人口減対策につながるのではないか、知事の見解をお聞きします。
○県知事 次に、中山間地域の小規模保育所や小中学校を残すことが人口減少対策に繋がるのではないかとお尋ねがございました。
保育所や小中学校は中山間地域の重要な生活基盤でありまして、その存廃は地域社会の活力維持に大きく関わってくるということはご指摘のとおりだと思います。一方で、あまりに 小規模な保育所、学校を維持し続けることは、例えば、市町村にとりまして、財政面ということを考えましたような場合にも、大きな負担となる可能性があるという問題はあるという風に思います。
私といたしましては、保育所や小中学校の存廃について検討する上で、何よりも重要なのは、子どもたちの健全な成長を支えるための適切な教育環境などをいかに確保するか、こういう観点ではないかという風に思っております。
児童生徒数の減少が著しい地域の保育所、学校の存廃につきましては、まこうした観点を踏まえまして、市町村が地域の関係者と話し合い、理解を得ながら主体的に判断をされるべきものという風に考えております。
県といたしましては、元気な未来創造戦略中山間地域再興ビジョンに基づきまして、地域の実情に応じて地域活性化に取り組む市町村を包括的に支援をしてまいりまして、人口減少対策を進めてまいる考えであります。
●岡本議員 ◆県内では保育料の無償化について0歳から2歳児についての保育料無償化は市町村によってばらつきがあります。高知県として市町村に対して積極的な支援を行う事で完全無償化にできないか。県外からの移住者、20歳30歳代が増加している状況の中、高知県への移住促進の選択肢にするべきだと考えるが教育長のお考えをお聞きします。
○教育長 保育料の無償化について、お尋ねがございました。
県では18歳未満の子が3人以上の多子世帯に対し、国の無償化制度の対象とならない0歳から2歳児までの保育料の軽減を支援しています。この支援も活用しながら、県内18市町村においては 世帯人数にかかわらず、0歳から5歳児までの保育料を完全無償化しています。保育料の無償化は子育て世帯の経済的負担を軽減し、子どもを産み育てやすい環境を整備する上で有効な施策であると考えます。しかし、これを完全に無償化することは、人口の多い市町村にとっては 財政負担が大きく取り組みが難しい状況にあると認識しています。
少子化問題は本県のみならず、国全体で取り組むべき喫緊の課題です。そのため、保育料の無償化につきましては、自治体の人口規模や財政状況にかかわらず、全国一律の基幹的な経済支援策として、国において費用を負担することが望ましいと考えます。
このため、県としましては、これまで国に対し、保育料の完全無償化を含む子育て支援策の充実について、繰り返し政策提言を行ってまいりました。引き続き、全国知事会とも協力しながら国に働きかけてまいります。
●岡本議員 次に集落支援センターなどへの支援策についてお聞きします。中山間地域を元気にしたい県内各地で集落活動センターなどを中心に様々な取り組みが行われ又計画もされています。高知県としてもその取り組みに対しては積極的な支援を行っています。その上で地域から取り組みに対して改善の要望には積極的に応えるべきでないかお聞きします。
先ず地域支援企画員についてです。2003年にこの制度が始まり各市町村に駐在して市町村と連携しながら地域振興や活性化に向けた取組の支援を行うとともに県と地域をつなぐパイプ役となって県の政策や支援制度などの情報を伝える活動を行っています。また、従来から取り組んできた地域アクションプランの実行支援や集落活動センターの立ち上げなどへの支援に加えて、近年では市町村の人口減少対策のサポートにもあたるなど、その役割はますます大きくなっている所です。このため地域支援企画員にはこれまで以上に幅広い知識の習得やコミュニケーション力やネットワーク形成力といったスキルの向上が求められると考えます。
◆現場からこの地域支援企画員に対して様々な知識と経験を持たれた職員の配置を求める声が上がっています。地域支援企画員の資質向上にどのように取り組むのか産業振興推進部長の答弁を求めます。
○産業振興推進部長 地域支援企画員の資質向上について、お尋ねがございました。
本県では、県内7つの産業振興推進地域本部に、副部長級の地域産業振興課と課長補佐級の総括職員を配置し、各市町村に駐在する地域支援企画員とともに地域の課題解決に向けた取り組みを支援しています。
その中で、地域支援企画員は、地域アクションプランや集落機能の維持、人口減少対策など、地域の活性化に向けた様々な取り組みを支援し、県と地域をつなぐ重要な役割を担っています。
こうした役割を果たすためには、県の施策に関する幅広い知識に加え、コミュニケーション力などのスキルの習得が求められます。そうしたことから、職員の資質向上に向け、県の主要な施策や先進的な取り組み事例、地域の住民の皆様との向き合い方などを学ぶための様々な研修を体系的に実施しています。
また、日々の業務の中で、地域産業振興会や総括職員がそれぞれの知識や経験に基づく指導助言を行っており、こうしたことも地域支援企画員のレベルアップに大きくつながっているものと考えます。
今後とも、これらの取り組みを通じて 地域支援企画員の資質の向上を図ることで、市町村や地域の多様なニーズに応えることのできる人材の育成に努めてまいります。
●岡本議員 次に地域おこし協力隊についてです。この事業は国からの予算処置がされ中山間を元気にできることから高知県としても大変有利な制度です。しかし、この間協力隊への成り手がいない事が課題になっています。例えば役所が実施したいテーマばかりで協力隊を募ることから協力隊応募者からの提案型との間にずれがある等の声があります。協力隊の成り手不足に対しては県としても問題点を明らかにして対策をとるべきだと思います。
◆現職の協力隊員の意見を聞くことや市町村間での情報交換を行うことによってなり手が少ない市町村の教訓にする事、さらに総務省が進める2泊3日の「おためし」や2週間から3か月の「インターン」の制度があります。県としても積極的に取り組むなどして地域おこし協力隊員の確保を図るべきだと思います。人口減少・中山間担当理事の考えをお聞かせください。
○人口減少・中山間担当理事 地域おこし協力隊の積極的な確保について、お尋ねがございました。
本県では今年6月時点で209人の地域おこし協力隊が活動しており、今年度は全ての市町村に配置され、農林漁業や観光振興など、さまざまな業務に従事しています。一方、全国競争が一層厳しくなる中で、多くの市町村で必要な隊員数の確保が難しくなってきており、募集しても応募がない状況が続いている業務もございます。その要因といたしましては、市町村が求める業務と応募者との希望とのズレがあること、また、募集する業務の魅力が応募者へ伝わりにくいことなどが考えられます。
このため、今年度から新たに協力隊の確保に課題を抱える市町村を専門家が定期的に継続して訪問し、市町村の募集活動を伴走支援する取り組みを行っております。具体的には、募集する業務が応募者にとって魅力的な内容となるよう磨き上げ、その魅力がひと目でイメージしやすく、かつ明確化したターゲットにしっかり届くよう、業務の企画から発信方法までをトータルでサポートします。また、議員からお話のありましたお試しやインターンの精度は着任前に協力隊の活動や地域での生活を体験し、着任後のイメージを持っていただけることから、協力隊の応募に繋がる有効な取り組みであると考えております。
昨年度、この制度を活用したのは6市町村にとどまっておりますので、活用に向け、市町村への働きかけを行うとともに、より多くの方に参加いただけるよう情報発信を強化してまいります。
合わせて、県が定期的に開催する現役の協力隊や市町村を対象とした情報交換会において、今後、伴走支援による成果や応募に繋がっている自治体の成功事例を共有し、横展開を図ってまいります。こうした取り組みを通して、本県の活性化に重要な役割を担っていただいている協力隊員の確保に努めてまいります。
【消防広域化】
●岡本議員 次に、消防広域化についてお聞きします。
現在、県は、県内の消防本部を一つに統合する消防広域化を、今年度中に広域化基本計画を策定し、議決を経て法定協議会を設置しようとしています。非常に拙速です。
2月議会で、知事は、「消防の広域化を県一で考えるという事を真剣にやっていかないと、もうだめな時期だということで、おおむね消防長の意見が集約されている」と答弁し、すでにコンセンサスを得ているかのように答弁しました。
しかし、実態は、まったく違うことが、この間明らかになっています。
4月に市町村長、消防長が参加して開かれた「第1回高知県消防広域化基本計画あり方検討会」では、厳しい意見が相次ぎました。紹介すると「慎重に進めていただきたいというのが正直な思い」(南国市長)、「JAの統一、あるいは漁協の統一は、サービスが低下し負担が増えた。例えば、システム面では、国が進めた自治体標準化もランニングコストで高額な負担を強いられている。非常に不安が先立っている」(土佐市長)、「どこの市町村も先行きが分からないという事なので、ぜひ地理的、財政的課題、組織体制どうなっていくのかというシミュレーションがないと中々議論にならない」(高知市)等、拙速な県の提案に対し、市町村が懸念を示した形です。
◆第1回あり方検討会の議論を見ても、消防広域化のコンセンサスは現状得られていないのではないか、知事にお聞きします。
○県知事 次に、消防広域化に関しまして、市町村のコンセンサスの形成の状況はどうかというお尋ねがございました。
今後、人口減少が進行します中で、消防広域化が必要ではないかということ、あるいはその場合でも県一での広域化という大きな方向性につきましては、市町村長や消防本部の消防長の皆さんの理解は概ね得られているのではないかという風に考えます。そうであればこそ、本年4月に県が設置をいたしました検討会には全ての市町村長、消防長が参加をいただいて、議論のテーブルについていただいたということだという風に理解をいたしております。
一方で、県一での、消防広域化というのは、全国初の試みでもあります。そして、現時点では財政負担、あるいは職員配置等がどう変化するかといったことについての定量的なイメージが提示できていないというのも事実でありますので、こういった点からお話がありましたように、第1回目の検討会で市町村長からご不安の声、あるいはご懸念の声があったという風に受け止めております。
そうした意味で、現時点でこの消防広域化を実行に向けたゴーサインがいただけている段階かというと、まだそこまでには至っていないという認識であります。
従いまして、今後はこの定量的な見通しを明らかにするシミュレーション、あるいは実務的な検討作業を急いでまいります。そして、広域化の姿を早期に具体的にイメージしていただけるように、まずはこの作業に取り組みたいということで考えております。こうしたことを通じまして、今回の消防広域化の実行に向けました市町村間のコンセンサスをできるだけ早期に得た上で、新しい基本計画を取りまとめたい、そういう段取りを考えております。
●岡本議員 又、知事は5月29日の会見において、先に行った若手消防職員との懇談会などもふまえ、小規模な消防本部では兼務の実態があることを認識したと述べています。県内の大多数を占める小規模な消防本部では、職員が、指令業務と現場業務、総務部門等を兼務しているのが実態です。
知事は、管理部門の統合で生じる余力を現場力の強化に振り向けるといいますが、実態を見れば、本部を一本化したとして余力が生じるとは考えられません。むしろ、現場業務も担う人員が引き抜かれ、現場力が低下する懸念があります。
◆小規模な消防本部における兼務の実態を、どう受け止めたか知事にお聞きします。
○県知事 次に小規模な消防本部におきます兼務の実態につきまして、お尋ねがございました。ご紹介もありましたように、県内でも小規模な消防本部におきましては、1人の職員が多くの仕事、例えば、総務事務、通信指令業務、現場出動、こういった複数の業務を兼務してやりくりされているという風にお聞きをいたしております。
先月行いました若手の消防職員との意見交換の中でもこうした実態については伺いましたし、一方では、規模が相対的に大きい高知市消防局におきましては一般的にはそうした 兼務という形態はないんだというようなお話も伺いました。
兼務がないような形態で勤務がされておりますと、ある職員の方がどの部分の仕事をしているか、例えば、指令業務なのか、総務業務なのか、予防業務なのか、こういったことは一義的に外から見ても非常に明確に区分ができますので、これのイメージが非常に持ちやすいということはあろうかと思います。
ただ、一方で、この兼務ということになりましても、それぞれ、その職員の方がどの業務にどれだけの時間従事しているかという点を調査・分析をいたしますと、小数点以下というような形になりますが、例えばある職員の方が 0.5人分は指令業務、0.3人分は総務業務 0.2人部は予防業務といった形で、この分担といいますか、兼務のウェイトの中身というのを定量化するということはできるし、これは現在までいろいろな場所でやっておられていることだと思います。
そうしたデータを元にいたしまして、この職員配置をどう変えていくかというシミュレーションをしていくという作業になろうという風に考えております。
そういった意味で、まず 兼務の人役の調査、実態の調査を行うということ。それを踏まえて、第2の段階として、職員配置の具体的なシミュレーションを行うということ。第3にそのシミュレーションを踏まえまして、現場を抱えます消防本部と我々の方で意見交換をして、具体的にどういう配置の変更の計画を作っていくかということを固めていく、こういった3段階で議論が進めていくものだという風に考えておりまして、そうした意味で、現時点では、この現状の先ほど申しましたような人役の調査、定量的な把握というところの精査を行っているという段階であります。
今後、これに基づきまして、具体的にどういった形で管理部門の整理・統合で生じる余力を現場に振り向けていくのか、あるいは兼務の解消を図っていくのか、そういったシミュレーション、そして案づくりということを進めていきたいということを考えているといるところであります。
●岡本議員 この計画が、まったく、県民を置き去りにして進んでいる点も非常に大きな懸念を抱いています。
県が示したQ&Aでは、「基礎データとして、各消防本部の消防力、職員配置、運営経費などについて情報収集し、現状を把握した上でシミュレーションも実施する」として、まったく基礎的なデータも把握されていないのが現状です。これでは、消防広域化の是非について、県民は議論することもできません。消防の在り方は、県民の暮らしに大きく関わる問題です。各地の消防団や自主防災組織で活動している皆さんなどが、実質的に議論に参加することが必要です。
◆各地の消防団や自主防災組織の皆さんも参加し、県民参加で、消防広域化の在り方を検討する機会を設けるべきではないか。また、県民参加を保障する上でも、少なくとも、今年度内の基本計画策定、法定協議会設置というスケジュールは見直すべきではないか、知事にお伺いいたします。
○県知事 続きまして、消防広域化の検討に県民参加の機会を設けること、そして今年度のスケジュールの見直しが必要ではないかといったお尋ねがございました。
消防広域化は、県民の皆さんのご意見をお伺い、またご理解を得ながら進めていくことが重要だと考えます。このため、既に、基本構想を昨年度策定する際にもパブリックコメントを行わせていただきました。大半の方の意見は 常備消防の関係者からのものでございましたけども、一部、消防団の方からも現にご意見を頂戴したところであります。
広域化の実現に向けましては、全ての市町村長が検討会に参加していただいております。また、全ての市町村議会におきまして、実現に向けては法定協議会の設置、広域連合の設立 2回の議決を得ることとなります。
こうしたことを考えますと、地域住民の代表である市町村長さん、あるいは同じく地域の住民を代表される市町村議会議員の皆さんの議論、あるいは審議の過程を通じまして、県民の皆さんのご意見が反映された案が形成されてくるという風に考えております。
今年度に策定を予定しております基本計画につきましても、パブリックコメントの実施という点を含めまして、県民の皆さんへの広報広聴の機会を設けるということは、検討したいと考えております。
一方、今後のスケジュールについてであります。性急ではないかという、ご意見がございました。けれども、現在検討会での議論が始まったばかりの段階でございます。現時点におきましては、まずは先ほども申しましたような職員配置でございますとか、財政負担のシミュレーション作業を進めていく、そして、実務的な検討作業を加速をしていく、そして、議論の材料を整えていくということが、まず、すべき作業だという風に考えております。その上で検討開始から1年が経過します今年度の末までには基本計画の策定を目指したいというのが、現時点での考えであります。
一方で、年度末が近づいてまいりました段階におきましては、その時点でこうした検討作業の進捗状況ですとか、議論の熟度がどうかというところを見極めまして、コンセンサス形成になお、一定の時間が必要だという判断がされれば、その時点で以後のスケジュールを再検討したいとそういう段取りを考えております。
【指定管理者制度】
●岡本議員 次に、指定管理者制度における公共性維持について、お聞きします。
本議会への報告事項として「公社等外郭団体のあり方見直しについて」として、県の公の施設における指定管理の見直しが提案されています。
知事は、指定管理者制度について「より高い付加価値を生み出すサービスを提供しながら、職員の所得向上が期待されるため、管理者となっている県の公社等外郭団体の管理運営に対する県の関与を縮小する」旨の提案理由説明を行いました。
具体的には、管理者を直指定してきた、県立美術館、牧野植物園、のいち動物公園、高知城歴史博物館などの公の施設を、公募に切り替えることが示されています。これは施設運営に、市場性を持ち込むものです。
これまで県は、直指定について、当該施設の「地域に根ざした公共性」「高い専門性」「運営の継続性」「教育普及など効率性だけでは捉えられない業務の必要性」などを理由にしてきました。非常に重要な観点です。県立文化施設には市場性だけでは達成できない価値があり、文化やスポーツに親しむ良質な機会を提供する県民の貴重な共有財産だと言えます。
世界人権宣言は、「文化生活への参加と芸術の鑑賞」を基本的人権に位置づけており、本来、公的支援の強化こそ必要です。県の関与の縮小は、県民の人権保障の後退につながります。
◆まず、県立文化施設を含めた公の施設が、県民生活の向上に寄与する重要性について、知事の所見をお聞きします。
◆また、直指定から公募への見直しで、これまで県が示してきた直指定の「公共性」「専門性」「効率性だけではない業務の必要性」などの重要な考え方が担保できないリスクについてどのように考えているか知事にお聞きします。
○県知事 次に、公の施設の重要性と指定管理者の選定方法について、お尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。
文化施設をはじめといたします県の公の施設は住民福祉の増進を目的といたしまして、住民の皆さんに広く利用いただくために設置をしているものであります。県民生活の向上のために重要な役割を担っているという風に考えております。
この公の施設の管理にあたりまして、指定管理者を選定する際には、いわゆる公募による選定の方法と、もう1つは特定の事業者をあらかじめ指定をする直指定による選定、この2通りの方法がございます。公募による選定の場合は、管理業務で生じた剰余金は管理者の収入に帰属するという扱いをしておりますけれども、本県の場合では、この直指定による選定の場合は、競争性が働かないということも踏まえまして、剰余金が生じた場合には県に返納してもらうということを求めていると、こういう扱いを行ってきております。
今回、公社と外郭団体の在り方を見直し考えておりますが、この見直しにおきましては、一定規模の集客が見込める施設につきまして、これまでのいわゆる直指定を公募の方式に切り替えたいと考えております。これによりまして、先ほどの剰余金の扱いの関係で言いますと、剰余金が生じた場合は管理者の収入とするということ、これと合わせまして、各団体が創意工夫のもとで高付加価値のサービス、付加価値型のサービスを提供しながら、職員の所得向上を目指すといった技術性の向上を図りそうした取り組みを県としても後押しをしていくという対応をとりたいというふうに考えております。
この直指定から公募への切り替えにあたりましては、ご指摘もありましたような施設の公共性や専門性を確保するという視点も大変重要だと考えております。このため、今後、指定管理者の選定に際しましては、外部の有識者も含む審査会を設置いたしまして、単に価格の上下高のみではなく、公共性や専門性の観点も踏まえた審査が実施されるように基準を定めてまいる考えであります。
例えば、特に高い専門性が求められるような施設につきましては、その審査項目の配点を極めて高く設定をするといったような対応も考えているところでございます。これらによりまして、公の施設の公共性専門性はしっかり担保をしながら、施設の魅力アップサービス向上、そして、高付加価値型のサービス提供と職員の所得向上の取り組み、こういった動きに繋げていきたいという風に考えておるところでございます。
【生理の尊厳】
●岡本議員 最後に、生理の尊厳についてお聞きします。
妊娠回数の減少により、過去に比べ生涯月経回数が格段に増え、経済的負担と共に、生理用品が必要になる精神的負担が大きく成っている中、生理用品をトイレに置いてほしいとSNSに投稿した日本共産党の三重県議に殺害予告を含めた攻撃的な投稿が集中するという事態が起こりました。ジェンダー平等を求めて声をあげる女性への攻撃が相次いでいます。ミソジニー(女性嫌悪、女性蔑視)による人権侵害を許さない取り組みを求められています。
そんな中6月12日地元紙に土佐塾中高「生理休暇」導入の記事が掲載されました。同校の生徒が生理痛で苦しんでいる友達を見かねて無理をしない様にと生徒会で取り組み、導入に向けては生徒会長が何と60名の教員を前にして必要性を説明したとありました。高知や全国の学校に制度が広がって欲しいと願っていますとも報道がありました
◆性と生殖に関する困りごと、女性の尊厳に関わることを社会全体で福祉的に解決すべきであり、ジェンダー平等の発言に対する攻撃は、男尊女卑の規範を改める動きを黙らせようとするミソジニーに基づく女性への人権侵害であり、男女共同参画社会と相いれないと思うが、土佐塾中高の「生理休暇」導入の取り組みも含めて知事の認識を聞きします。
○県知事 次に、いわゆるジェンダー平等の発言に対する攻撃が、女性への人権侵害にあたるのではないかというお尋ねがございました。
議員からご紹介がございました三重県議会議員の方の事案につきましては、その契機となった公費での生理用品の設置に関しては、様々なご意見があるのは事実だと思います。しかしながら、こうした公共的な政策の在り方への意見をSNS上で平穏な方法で表明した方に対しまして、ご指摘がありましたような人格攻撃的な表現であったり、あるいは殺害予告 といった形で誹謗中傷を行うということは重大な人権侵害であり、断じてあってはならないことだという風に考えます。
一方で、元来、男性と女性の間には体力面・体格面をはじめといたしまして生物学的に見てもおのずと一般的な傾向値として違いがあるということは事実であると考えます。こうした性差を蔑視をするのではなくて、男女特有の健康課題につきまして相互に理解を深め、配慮し合うこのことが大事だという風に考えています。そうした意味でも、土佐塾中高等学校での生理休暇の導入は、女性が社会生活の中で感じる辛さや不便さを共有することにつながる意義深い取り組みではないかという風に考えております。県といたしましても、こうした性差による違い、あるいは多様な価値観をお互いに認め合って人権を尊重するそうした社会づくりに向けまして、県民の理解促進に一層努めてまいります。
●岡本議員 女性たちを黙らせてきた家父長制にしがみつく政治が問われています。「セクシュアルハラスメント」への刑事罰、民事救済の規定を持つ法律がない国はOECD加盟国では日本とチリだけです。
◆ILOが2019年に採択した「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約」でも求められている様に「ハラスメント禁止」を法制化すべきと思うが併せて知事の認識を伺います。
○県知事 最後にハラスメント禁止を法制化することについての認識について、お尋ねがございました。議員からご紹介がありましたILO条約は、いわゆるジェンダーに基づくものも含めまして、仕事における暴力とハラスメントを禁止する法令の制定を加盟国に求めるといったものであります。言うまでもなく、職場におけるハラスメントは労働者の尊厳、人格を傷つけるだけではなく、職場環境を悪化させる要因でありまして、あってはならないものと考えております。
このため、我が国におきましても、ハラスメントを雇用管理の問題と位置づけまして、企業が主体的に防止措置を講じる、こうしたことを男女雇用機会均等法をはじめとする複数の法律で既に規定をしているという風に認識をしています。
その上で、さらにILO条約が求めるように、ハラスメント自体の包括的な禁止を法制化するということに関しましては、ひとつは、すでに現行の国内法の体系の中で、民法や刑法などの適用によって対応されていることとの整合性をどう図っていくのかという、要は法律的な問題。また、個々のハラスメントによって、言動の内容や性質が様々である中で、違法行為を特定する、法制化するとすると、要件を法律でしっかり書いていく必要があると思います。そうしたことができるのか、といった問題もこういった実務上難しい課題があるという風に考えております。
つきましては、国におきまして、こうした課題についてしっかりと検討いただきまして、その結論に従って必要な手立てを講じていただきたいと、私としては考えております。
私からは以上であります。
●岡本議員 生理用品を学校や庁舎のトイレに設置する事について、そもそも生理用品を学校や庁舎のトイレに設置することは、コロナ禍のもとで「生理の貧困」が大きな課題となり、その後、政府において推進されてきたものです。内閣府のホームページには「生理の貧困」対策の地方自治体の実施状況が毎年発表されています。
今年2月公表の調査結果では、過半数の926自治体が無償配布に取り組んでいます。内閣府担当者は「まだ自治体すべてで行っているわけではありません。調査結果を公表することで広がってほしい」と述べています(赤旗4/7)
同調査では、全公立高校のトイレに生理用品を置いている都県は15、全小中学校のトイレに設置している区市町村は295に上り、15県の県庁所在地が全小中学校に設置しています。庁舎のトイレに備え置きしている自治体は東京都や群馬県、横浜市、熊本市など121と広がっています。兵庫県淡路市は、市の広報で、市役所のトイレに生理用品を置く目的を「突然生理用品が必要になる事態などの精神的負担を軽減し、『生理の尊厳』を守る」ためだと説明しています(23年5月号)。
本議会でも「生理の貧困」について幾度となく取り上げてきました。2023年7月の調査では、県内で取組んでいる自治体は、政府の交付金なども活用し、全自治体で無償配布に取り組んでいました。ところが、2024年10月時点の調査では、「梼原町が町内の小中・高校のトイレに配備」「県がイベント会場等で希望者に配布」のみに一気に後退。実施率6%(2/35自治体+県)と全国最下位となっています。四国内で「学校のトイレに設置」している自治体は、香川3/17、愛媛2/20、徳島1/24、高知1/34の7自治体です。
◆この現状をどう認識しているのか、例えば、梼原町は、町内の県立高校も含めて防災用の備蓄を活用し、回転をさせていますが、こうした取り組みも参考にどう改善するつもりか。子ども福祉政策部長にお聞きして第一回目の質問といたします。
○子ども・福祉政策部長 最後に、生理の貧困に関する取り組みについて、お尋ねがございました。生理の貧困に対する県の取り組みは、国の交付金を活用して生理用品の提供をきっかけとして、困難や不安を抱える女性に寄り添い、必要な支援や相談につなげることを目的に実施してまいりました。
令和5年度は相談機関の周知に重点を置き、県が生理用品を購入して相談窓口をお知らせするカードと合わせて、全市町村を通じた配布に取り組んだところです。
一方、令和6年度は相談支援につなげることを重点に置き、県が相談機関と連携をして、県内 24か所で開催した女性の居場所づくりの事業の中で生理用品の提供を行ったところでございます。
このように、昨年度は、県事業として県が単独で実施したこと、さらには他の自治体における取り組みについての市町村への情報提供が十分でなかったことから、県内市町村における取り組みが少数にとどまったものと考えています。
このため、県としましては、国の交付金の活用事例をはじめ、防災備蓄や企業団体との連携など、他の自治体の取り組みに関する情報提供を丁寧に行ってまいります。こうした取り組みによりまして、困難や不安を抱える女性を、必要な支援や相談に繋げる市町村の主体的な取り組みの拡大につなげてまいります。
【第2問】
○岡本議員 どうも、ご丁寧な答弁ありがとうございます。
私もいっぱい項目を出した中で、答弁を考えていただいたことに、まず感謝申し上げます。ありがとうございます。何点か質問をさせていただきます。
まずですね、米の価格保証を米の農家への所得補償についてです。これは答弁要りませんけれども、やっぱり米=主食をですね、守ると、でなければ、国民は餓死してしまうぞ、とそういう認識で私は政府にも言いたいですし、県としてもそういう立場で臨んでいただきたいなということをまず申し上げたいと思います。
まず最初にですね、質問をさせていただきます。中山間地対策の「賢く縮まない」取り組みということで、小規模の保育所や小中学校を守ることについて、知事は一緒の考えだと思うけれども、子どもたちへの健全な環境を作ることも大事だという風に言われました。
この質問を準備するにあたりまして、ちょっと調べました。地元紙の記事ですけれど、西土佐分校ですよね、これが今年15人だったということでえ、2022年が7人ですね、で、2023年が8人、24年が4人です。もうこのままほっといたら、もうやめなきゃならないんですよね。しかし、地元で取り組んでこうなったと、でやっぱりこれをきちっと見るべきだという風に思うんです。
それと、保育所の保護者の声も紹介しましたけれども、都会からわざわざ田舎に引っ越してきて、この田舎で子育てをしたいと思っている。子どもが少ないという理由で閉所するのは納得いかないと、移住者がこのように答えているわけですよね。やっぱりこういうことを、私は知事がね、しっかりと受け止めて欲しいんです。だからスマートシュリンクでなくって、賢く拡大するスマートエキスパンド、やっぱりこういう立場に立つのではならなければならないんじゃないかと私は思ってるんですけど、知事の見解を求めたいと思います。
それと、保育料の無償化について、教育長の方から国に提案していくという風に言われました。教育長が就任した時のインタビューに答えた中身にですね、これは高校の問題ですけれども、全国初や日本一を目指す思い切ったことをしていきたいという風に言われてますよね。覚えていると思うんですけれども、やっぱりこれと関連すればですね、こういう思いに立つのであれば、高知県としてですね、もう0歳児から2歳児までも無償化にしていくという立場とるのが適切ではないかと思うんですけど、その辺りの感想をお聞かせください。
それと、消防についてです。知事の方から、今年度末までは見極めるということで、答弁がありました。はっきり言ってですね。コンセンサスの問題で言えば、日本共産党のはた議員の答弁に対して、もうやらなければならないような言い方を当初していたのが、今度の第1回の第1回の高知県消防広域化基本計画あり方検討会でですね、3つの長の発言を紹介しましたけれども、やっぱりね、問題があると思いますね。この発言を聞く中で、だから、慎重に対応することを私は求めたいと思います。慎重に対応していくという答弁がありましたので、これ以上は答弁も求めません。けれども、是非そういう立場で、色んな人の意見も聞いてですね。現場の声も聞いていただいて、ゆっくり進めていただきたいことをお願いしておきたいと思います。
○県知事 岡本議員の再質問にお答えいたします。1つは、中山間の学校の存続に関しまして、スマートシュリンクではなくて、スマートエキスパンドを目指すべきではないかというご質問ございました。
これは誤解がある部分があると思うんですけども、スマートシュリンクと私申しました時に言葉の意味として重点があるのは、スマートの方でありまして、シュリンクは人口減少そのものは、今の年齢構成を考えますと避けがたい、シュリンクが避けがたいのであれば、スマートなシュリンクでなければいけないということを申し上げているところです。そういう意味で、シュリンクそのものが目的ではないということでありますし、今そういう意味で お話がありました西土佐分校の話は、これは県立高校の事例でありますけれども、私は大変良い事例であると思いますし、地域を挙げて、こういった形で学校の存続を進めると、人口 は全体としても進んで縮んでいく中でもこういう形で分校を守っていくというのを学校と地域が一体になって進めていく。これは、私は目指すべき方向だと思っておりますので、その点はご理解いただきたいと思います。
また、消防の広域化に関しまして、お話ございました。
大きな方向性としてのですね広域化の必要性、その場合、県一を目指していくという点について、私はこれは必要性は理解をいただいていると思いますが、ではいつやるのか、どうやるのかについて、このゴーサインを出していただけるまでには至っていないということだと思っております。率直に申し上げまして、市町村長さんの中にもですね。比較的都市部はまだ単独で行けると思っているところは多い中山間地域はもう明日にでも統合していかないと人が確保できないというのはかなり切実な思いがある。そこは温度差、ギャップがあるのは事実だと思います。
今回の検討会、1回目でのご発言はそういう事情も背景にあるという風に考えますけども、私自身は今高知市も含めまして、県内の都市部はやっぱり中山間地域があってこそ発展してきたということだと思いますので、県全体として、この消防の必要な現場力を確保していくという、いわば大義に立ってですね。どういう形で協力が知られるかという観点に立って、是非ご協力いただきたい。そのために、具体的にどのような形で、定量的に変わっていくか というイメージを早くお示しをしまして、具体的な打ち合わせ、そして折り合いどころを探していくという努力をしたいという風に思っております。以上です。
○教育長
ありがとうございます。先ほど、私のインタビューのお話をしていただきました。
あの時にも、高校の取り組みについてお話をさせていただいたんですけども、日本一や 全国初というのは、それは先にそういうことがあるとしても、やはり何よりも、それぞれの高等学校が持つ魅力化、特色化を打ち出していくということが大切であり、その先に日本初の何々とか、例えば日本は初の部活動ですとか、また教育課程とかそういう取り組みベースでそういうことができればいいというふうなお答えをしたことでした。
この先ほどおっしゃっていたこの保育料の無償化につきましては、確かにあの子育て世帯につきましては、この経済的負担を軽減していくっていうことは、子どもを産み育てやすい環境をつくるということは、本当にあの有効な取り組みであると、施策であるというふうに考えております。ただ、これを完全に無償化するということを、例えば、県がそういうことをするとなりますと、なかなか財政負担が大きいなというふうに考えておりまして、難しい状況にあるという風に認識をしております。
先ほども、お話もさせていただきましたけれども、これまでも、国に対しましては、保育料の完全無償化を含みます子育て施策の充実について 政策提言をしてまいりました。今後も引き続き、全国知事会とも連携をしながら国へも提言をしていきたいという風に考えております。