議会報告

【質問項目】

・多子世帯の大学無償化制度の欠陥について

・子鹿園分校と療育福祉センターのリハビリ連携

・知事の政治姿勢/社会的弱者や少数者に対する県政運営について

 

●はた議員 日本共産党のはた愛でございます。よろしくお願いいたします。

 

【多子世帯の大学無償化制度の欠陥について】

●はた議員 まず、はじめに、多子世帯の大学無償化制度の結果について伺います。

2025年4月から、高等教育の修学支援新制度の多子世帯への支援拡充がスタートいたしました。この制度は、所得制限なしで、3人以上の子どもを育てる世帯に対し、大学の授業料、入学金を一定額まで無償化するものです。

今回の新制度によって救われる世帯が一部ではありますが、増えることは前進だと思います。しかし、今回の大学無償化制度の対象範囲が3人以上の子どもを扶養する世帯と線が引かれたことは非常に残念でなりません。

高知市でダブルワークをしているあるお母さんは「3人以上とかではなく、子育てしている みんなを考えてほしい」と訴えています。物価高騰が深刻さを増す中で、学費の工面は子育て世代にとってまさに死活問題です。学びの保障は憲法や教育基本法でも、行政の責任が定められており、本来は扶養人数にかかわらず、全ての子どもたちに教育の機会が保障される必要があります。

今議会問いたいのは、無償化制度の対象基準である3人以上の子どもを持つ世帯であっても、支援の対象から外れるケースが相次いでいるという問題です。

どのような世帯が対象から外れるかというと、基準日以降に世帯変更があった場合です。例えば、離婚、DV避難、死別などの理由で生計維持者が変わった時です。今年の4月、高知市で寄せられた相談でも認定基準日以降に生計維持者が父親から母親に変わったことで、制度の対象外だと説明を受けています。このケースでは国立大に通うお子さんの年間学費 56万円と生活費月6万円×12ヶ月の72万円、合計128万円を毎年お母さんが背負い、返済しています。また、子どもさん自身も、日々アルバイトをしながら必死に、学び生活をしていると聞きました。当事者であるお母さんは、「私たちだけではない。ネットでも多くの書き込みがある。困っている世帯はもっといるはず」と話してくれました。これが高知県で生まれ育った子どもたち、子育て世代の現状です。

一番支援や配慮が必要な世帯が制度を利用できないことは、制度の欠陥だと言わざるを得ません。

◆この4月の相談については県が対応してくださいましたので、その際の国の回答内容について、文化生活部長にお聞きをいたします。

 

○文化生活部長 ご相談に乗りました事案に対する問い合わせに対して、文部科学省からは本年4月の申請については、令和5年12月末時点の住民税の課税情報により、生計維持者が扶養する子の人数を確認し、認定する仕組みであり、この事案の認定は困難である。また、課税情報以外での認定は行っていないとの回答がございました。

 

●はた議員 この時点で、文科省は、このケースを断ったと。なぜ、このような事態が起きるのか。制度自体は3人以上の子育て世帯を救うというものでしたけれども、文科省は断りました。

この制度が問題なんですけれども、国が言う扶養することはどういう範囲なのかが、不明確だということだと思います。文科省は4月の制度がスタートする前、3月10日付で事務連絡文書を出しています。この中で扶養する子の範囲について、どう書かれてあるかというと、「多子世帯支援における扶養する子は、原則として申請する時点の兄弟数等ではなく、確定済みの税情報により確認する。申請手続きを行う場合、令和5年12月31日時点の情報により扶養する子の数を確認すること。また、令和7年度より税情報に反映されない時期に出生した生計維持者の自死等を追加すること」としています。つまり、扶養する子とは 基準日時点の税情報で確認できる子と、基準日以降に生まれた子ということであり、誰が どう読んでも、この文書から、基準日以降の世帯変更の対象範囲の中に、離婚やDV避難、死別が認められるとは読み取れません。だからこそ、県内での相談事例や赤旗新聞などメディアが報道している通り、全国的にも離婚、DV、死別のケースが認定されない、そういう苦情の声が広がったと考えます。

また、8月24日付の赤旗新聞の報道では、基準日以降に離婚やDV等で世帯に変更があった場合について、文科省は扶養確認ができれば対象であると回答しています。文科省は制度の欠陥ではなく、認定判断する学生支援機構や申請を受け付ける学校等が十分な聞き取りや確認ができていないのが原因だとの認識です。

しかし、県が今年の4月文科省に問い合わせをした時は、問題となっているケースについて対象外だとしており、これは扶養の確認の問題ではなく、国の制度、対象範囲が原因です。この間、文科省への問い合わせだけで約400件を超えていると報道がされていますが、全国からの指摘や改善を求める声が国を動かし、9月1日文科省は、申請手続き等に係る取扱いについて、事務連絡文書を出しました。その中で、対象、基準日以降の世帯変更について、学生等の個々の事情に鑑み、例えば、生計維持者の死別、離婚、暴力等からの避難など、税情報に反映されない扶養の変更があった場合についても、公的機関の証明により、当該事案の発生及び扶養に係る実態を確認した上で扶養とする子等として取り扱いを可能としたということで、対象範囲の在り方を、ここで見解を変えてきました。それを受けて9月9日には、判定期間である独立行政法人・日本学生支援機構が、大学など高等教育機関に通知を出して、扶養の事実があるにもかかわらず、税情報では確認できない子についても、生計維持者と生計を一にしていると認める場合は扶養する子と計上し、多子世帯の判定をすると、さらに、本取扱いの対象範囲が拡大されたことにより、要件を満たす場合、2025年4月にさかのぼり判定を適用しますと説明をしています。さかのぼって救済することは当然の改善策ですが、文科省からの謝罪はなく、改善点も一部であり、例えば、判定機関以降、4月ですね、4月以降に生計維持者が死亡した場合などは未だ対象外です。今後、指摘したような残された問題点の解消と改善した対象範囲の拡大やさかのぼり支援の最新情報を関係者に周知徹底していくことが行政に問われてきます。県内では無償化の対象校は、法律と民間を合わせ大学7校、専門学校19校あります。この間、対象外だとの説明を受け、諦めている世帯も少なくありませんし、また、進学を目指す子どもたちがいる高等学校の保護者や生徒にも今回の通知内容を丁寧に知らせる必要が求められています。

今回の対象範囲の拡大によるさかのぼり認定が取りこぼしなく、支援されるように相談や申請で対象外とされたケースを県内の大学等関係機関がしっかりつかむ必要があるのではないでしょうか。

◆また、県が周知するにあたっては、関係する全ての部署により、当事者など個人に行き届く、周知が行われることが大事だと思います。所管する大学等に今回の件を周知するにあたり、どのような工夫をし進めていかれるのか、文化生活部長にお聞きをいたします。

 

○文化生活部長 多子世帯に対する大学等の無償化は、高等教育の修学支援新制度における大幅な拡充であり、これまでも各大学等において、大学から保護者や学生の皆さんに対して、説明会の開催や学内システムへの掲示などにより周知を図ってきておられます。

今回の通知の取り扱いにつきましても、改めて学生等に対する周知を徹底するとともに、引き続き丁寧な聞き取りなど、個別の相談に対応するよう大学等に依頼をしています。

また、周知にあたりましては、個人宛てメールの活用や認定されなかった学生への声掛け などを大学等において行っていただいております。そうしたことを承知しておりますので 、今後も対象者にもれなく伝わるよう、県としても大学等に働きかけてまいります。

 

●はた議員 はい。最善の努力をお願いしたいと思います。

次に、この紹介した通り、9月1日の文科省通知でも改善されないケースがまだ残っています。例えば、先日、相談を受けたケースですが、DV避難の場合、税情報だけではないけれども、戸籍や住民票だけでは同一世帯だと確認ができないということで、このさかのぼり 申請ができないという声が寄せられています。

◆なので、県が実態をつかみながら国に対し、さらなる無償化制度の改善として、まずは3人未満の子どもを扶養する世帯も含めて対象範囲の拡大を強く国に求めてほしいと思いますが、文化生活部長にお聞きをいたします。

 

○文化生活部長 はい。この制度は、今年度スタートしたばかりであります。対象となる方々が運用面において納得できる制度となるよう、国において検討をしていただきたいと思います。県としましては、大学等と連携しつつ、必要に応じて、個別の事案について国に確認してまいります。

 

●はた議員 このさかのぼり申請が、それでもできると言われても弾かれている世帯が県内に存在しているということについては、やっぱり行政機関がどう公的証明を保障して、その世帯が支援を受けられるようにしていくのか、県はじめ、市町村、また、関係機関の動きが大事だと思います。

 文科省は、公的機関の証明により、ということを、再申請の条件にしているわけです。これが、DVの場合、戸籍や住民票だけでは読み取れないというケースがあるので、まずは生計を一にしているかという事実・実態をしっかり行政が自治体が掴むということが大事ですし、掴んだ場合はしっかり文科省に対象としてもらうような働きかけを行政が動かなければならないと思います。

◆県としては、この再申請、取りこぼしのない対応、実態をつかんだ 対応、これをどうしていくのか、再度、文化生活部長にお聞きをいたします。

 

○文化生活部 個々の不認定になった事案というのは、学校等において一定把握をしていただいております。ただ、あのその中に今回ご指摘がありましたような事案がどれほど含まれているのか、ということはしっかり見ていかないといけないということだろうと思っています。ですので、先ほど申し上げましたけれども、大学等から連絡を受けた中身などについてですね、どういったことで、認定が不可能になっているのか、というようなところが、つかむことができましたら、関係のところなどとも連携しながら検討をしていければと思っています。

認定自体はですね、大学がするのではなくて、機構(学生支援機構)の方がなさるということですので、どういった要因で、それが、不認定になっているのかというのは、大学側だけではなかなかつかめないというところもありますので、関係機関との連携も必要ではないかという風に感じております。

【子鹿園分校と療育福祉センターのリハビリ連携】

●はた議員 よろしくお願いします。

次に、県立子鹿園分校と県立療育福祉センターとのリハビリ連携について伺います。

子鹿園分校と療育福祉センターは、連携によるリハビリ支援を15年ほど前から学校・療育・保護者の連携と合意のもと取り組んでこられました。このリハビリは、医療であり、教育・授業ではないことから、関係者ができる範囲の協力をすることで成り立ってきました。しかし、今年の5月23日、学校と療育福祉センターからリハビリ中止のお知らせが保護者に突然出され、6月1日からリハビリへの送迎を、学校はできないということが示されました。リハビリを利用していた保護者の中には、仕事や体調不良などから保護者が付き添いなくても、学校が送迎してくれることでリハビリを受けることができる世帯がいます。突然の通知によって、残り1週間でリハビリが打ち切りとなる事態に大きな混乱と不安が広がりました。私たち、日本共産党県議団の元にも現状を知ってほしい、リハビリが受けられるよう、元に戻してほしいとの要望が寄せられてきました。

◆まず、この6月から親が付き添えない理由で、リハビリが中止となった子鹿園分校の児童生徒を何人いるのか、教育長にお聞きをいたします。

 

○教育長 6月1日以降、療育福祉センターでのリハビリを受けていないのは 5名でございます。

 

●はた議員 5人の子ども達が、 突然支援を打ち切られたわけです。けれども、本来は突然の中止という事態は避けるべきだと思います。中止となった経緯と理由について、以下、問いたいと思います。

付き添いについて、今回、療育福祉センターはリハビリに必ず保護者、または保護者に代わる者の付き添いが必要であるとし、学校側は、リハビリは授業ではないため、教員の役割は送迎のみで保護者に代わって付き添うものではないとして、リハビリが中止となったと聞きました。しかし、これまでできていた学校と療育福祉センターの連携が突然出来なくなったことは、通知後の保護者説明会でも繰り返し、納得できない、解決策はなかったのかと疑問と指摘の声が出されてきました。

保護者は、毎年リハビリのための送迎を学校に委任する承諾書を書いていますが、これは今年も学校が送迎してくれるという学校と保護者の約束でもあります。

しかし、承諾書を出した後、5月23日に突然リハビリ中止のお知らせが出ます。一体何があったのでしょうか。中止を決定するまでの間、どのような話し合いがされてきたのか、県教育委員会や子ども福祉政策部はどう関わってこられたのでしょうか。

◆この問題は、4月以降に発生し、教育委員会も、数回、その間に入ってきたと報告を聞きましたが、なぜ、中止の通知を出す決定過程の協議に保護者や担当教員たちが参加できなかったのか、まず教育長にお聞きをいたします。

 

○教育長 はい。この問題につきましては、色々な経緯がございますけれども、5月2日に会議がございまして、この会議では主に学校と療育福祉センターの管理者同士で対応を協議するというものであったことから、担当教員は参加していません。また、リハビリの主体自体は療育福祉センターであり、学校も県教育委員会もセンターの決定を覆すことは困難と認識をしておりました。このため、学校としては23日に保護者宛てに中止決定の文書を出すまでの間に保護者や教員を交えて、センターと再度協議をするという考えには至らなかったと聞いております。

 

●はた議員 ◆不利益を受ける関係者、保護者で、子ども達に1番寄り添い保護者の声を聞いてきた担当教員、その皆さんが、この政策を進めるか、辞めるか、この大事な決定までの協議に入ってなかったことについて、教育長は、この姿が正しい姿だと思ってるでしょうか。

 

○教育長 はい。正しい姿かどうかにつきましては、このリハビリについての協議をされた決定をされた場には、この教員が参加するという場ではなかったと。5月2日の段階で決定をするということが、されるという風な認識が学校にはなかったということから、担当教員が参加していませんので、仮にそういった協議がされると、決定がされる場でありましたら、それは、担当教員も参加をすべきであると考えます。

 

●はた議員 5月2日の協議のことを聞いているのではなくて、5月23日に通知を出しましたよね。6月1日からサービスを打ち切りますと、そういう大事な決定過程の中に、保護者も教員もいなかった。これ問題だと私は思います。

この間、その決定協議の中に療育福祉センターも入られてということで、教育委員会も子ども福祉政策部も、状況を把握していたと、なのに、なぜサービスが打ち切られて困る児童が出る、こんなことになったのでしょうか。

◆私は、この間の聞き取りで感じるのは、「たいしたことではない。親が付き添えばいい」そういう認識だったのではないかと思いますが、突然の中止をなぜ避けられなかったのか、教育長にお聞きをいたします。

 

○教育長 学校としては、リハビリが継続されるよう、いくつかの対応をセンターに提案をしておりますが、合意が得られず、その判断を、覆すことができないという風に認識をしていました。

また、センターでのリハビリは月1、2回程度であり、別の訪問リハビリ等を併用する児童生徒もいることから、リハビリを受ける機会がなくなることにはならないのではないかとの見方もございました。

しかし、実際問題として学校に隣接する療育福祉センターで、児童生徒がリハビリを受けられない事態に至ったことは反省しなければならないと考えます。中止となる前に、子どもたちのために、リハビリを継続できるよう、学校、センター、県教育委員会、関係部局が歩み寄り、方策や工夫について話し合う姿勢が十分ではなかったと考えます。

県教育委員会としても、この状況を把握していたにもかかわらず、リハビリを継続するための関係機関との連携・調整が十分でなく、こういった経過になってしまいましたことは、児童生徒、保護者の皆様に対して大変申し訳なく思います。

ただ6月以降ですね、学校においては、教員、保護者、それぞれにアンケートやヒアリングを実施しまして、意見を聞く機会を向けております。この中で、校長が保護者から直接ご意見を伺うこともあったと聞いています。また、学校とセンターが合同で保護者に対する説明会を 6月27日、8月29日の2回を行っています。

こうした中で出された意見を元に、県教育委員会、学校とセンターとでリハビリ再開に向けた協議を重ねまして、9月25日に保護者を交えた話し合いを行い、この10月からリハビリを再開することが決定されております。

 

●はた議員 ここで聞いているのは、(リハビリの打ち切りを)避けられなかった、教育委員会の意見です。

◆合意に至らなかったわけですので、相手側になります。子ども・福祉政策部、ここも関係したわけですので、中止を避けられなかった理由についてお聞きをいたします。

 

○子ども・福祉保育部長 療育福祉センターにおける発達に応じた機能訓練、いわゆるリハビリでございますが、安全確保の観点から、体調変化の見極めなどをお子さんの普段の状況が分かっている保護者などに付き添ってもらうこととしております。

本事案は、医療的ケアが必要な児童生徒の学校時間中のリハビリ、いわゆる「分校リハ」について子鹿園分校と協議を行った際、センター側は分校教職員が保護者代わりとして付き添っている分、学校側はあくまでも送迎のみの対応と双方の認識に違いがあることが分かりました。療育福祉センターとしましては、分校教職員による「分校リハ」中の付き添いが困難であり、安全確保ができないことから、中止をせざるを得ないと判断したものでございます。

 

●はた議員 ◆教育委員会も、子ども・福祉政策部も協議をしたけれども、行けなくなる子どもが発生するということについて、想定できなかったんでしょうか。その点について、教育長及び子どもを福祉政策部長にそれぞれお聞きをいたします。

 

○教育長 はい。行けなくなる子どもがいることが想定できたか、というご質問ですけれども、先ほども申し上げましたとおり、その段階では学校としては、リハビリが継続されるいくつか提案はしましたけれども、合意が得られなかったということでございます。ただ、学校も、先ほどもこれも申しましたが、別の訪問リハビリ等を併用する児童生徒もいるということから、リハビリを受ける機会がなくなることにはならないのではないか、という見方もあったという風に把握しております。

 

○子ども・福祉政策部長 はい。今回の中止によりまして、「分校リハ」が実施できなかったことで、児童生徒の皆さんにご迷惑をおかけしたことについては申し訳ないと考えております。 

双方の見解の違いが分かり、まずは安全が第一であることから中止をしたものでございまして、そうした際にですね、保護者の方にはご負担をおかけすることになりますけれども、中止の期間については、できるだけ影響を少なくするために、センターから保護者の方に連絡をさせていただいて、「分校リハ」の代替手段としまして、保護者に付き添っていただき、リハビリを実施させていただいたところでございます。

 

●はた議員 結果として、いけなくなる子が生まれると、それまでの協議の過程の甘さ、それがどこから生まれたか、それは利用者である保護者、また現場の先生を協議に入れてない、そういったところから生まれてきたのではないかと思います。で、これは児童たちの成長や尊厳に関わり、行政の責任、公務の意義が問われる問題だと思います。

早急に問題を解決してほしいということで、この間、保護者の皆さん、あらゆる角度から 要望が挙げられて、先ほど教育長が言われたとおり、9月の終わり頃でしょうか、リハビリを再開するめどとなったと、嬉しいニュースを聞きました。本当にそれは嬉しいことです。

◆しかし、この間、6月からリハビリが中止した、そういうことを踏まえれば、今後同じような空白が起きないような取り組みが必要だと思います。そのための具体的な対策、これを教育長にお聞きをいたします。

 

○教育長 まず10月以降のリハビリの再開にあたりましては、保護者の代理ではないものの、教員1名が複数名の児童生徒に対し、リハビリに同席すること、学校の看護師が療育福祉センターの職を兼務し、必要に応じてリハビリに立ち会い、医療的ケアにあたることとし、安全面の体制を整えることといたしました。

また、保護者からセンター及び学校に提出していただく同意書の中にも、こうしたことや、家庭でのリハビリの内容を反映するために、3ヶ月に1回は保護者がリハビリに付き添うこと等を明記し、毎年関係者間で確認をすることといたしました。今後も、学校とセンターで必要な情報を共有し、また教員や保護者の意見を適宜聞きながら、子どもたちのことを第一に考え、連携していくことが重要と考えます。

 

【知事の政治姿勢/社会的弱者や少数者に対する県政運営について】

●はた議員 よろしくお願いをいたします。

最後に知事にお伺いをいたします。

今回、大学無償化制度の問題や、障害のある子どもたちのリハビリ中止問題を取り上げました。共通して見えてくるのが、社会的弱者、困難を抱えている方達が理不尽な形で制度や支援から抜け落ちていくという状況が、国政や県政の場でも起きているということです。

弱者を軽視する政治や行政がいかに危険で社会にマイナスを生むのか、最後は、知事に問いたいと思います。

誰もが弱者や少数者になり得ます。その弱者を軽視するような扱いは不安を生みます。差別を助長させます。当然、行政や社会への不信感も強まります。このことは、例えば、南海トラフ巨大地震という大災害や少子高齢化社会を助け合って乗り越えなければならない私たちにとって不可欠な結束力、また信頼感を低下させるリスクになります。だからこそ、行政が守るべきものの中には、弱者の保護があるのだと思います。しかし、この点が県政運営の中で正しく理解されているのでしょうか。

◆今回取り上げた障害児への支援が打ち切られる事態、県は反省すべきだと思います。今回の事例のような障害者支援施策に関しては、行政において最優先で守っていくべき事業だと思います。このことに対する知事の所見をお願いいたします。

 

○県知事 お話ありました事案につきまして、私も報告を受けました。

今回のいわゆる「分校リハ」につきましては、医療的ケア児に対する対応する看護師が確保できないという理由で6月から先月の間、中止に至ったという風に承知をいたしております。  

今回、ただ、事の経過を聞きますと、今月からはですね、分校の看護師さんをセンターの兼務とするといった対応を取ることで、再開ができる体制になったという風に聞きますので、その意味では中止の判断をする前の時点で、なぜ今回のような対応ができなかったのかということが、反省すべき点ではないかという風に考えます。

障害者の方々への支援は、障害福祉部門だけではなくて、例えば、今回の医療、教育ですとか、ものによっては産業振興とか様々な分野の関係機関が連携をして、役割分担、責任体制を整理した上で、持続可能な提供体制を整えて行うということが望ましい姿だと思います。

その上で、状況の変化によって 従来のやり方を持続できなくなったという時も、単純に支援を止めたり、諦めたりするということではなくて、やり方をどう変えれば必要な支援ができるかと、こういう視点に立って、関係者が協力をして打開策を見出し、対応するということが必要だった事例などではないかという風に考えます。

私からは、今回の事例を教訓といたしまして、障害のある方を含めて県からの支援を必要としている全ての方々の立場に寄り添って考える、こういうことによりまして、今後、こうした考え方に立って取り組むようにということを関係者に対して指示をいたしたとこであります。

 

●はた議員 反省していただいて、寄り添った対応ということを知事が述べられました。

ただ、知事が進める賢く縮む、4Sプロジェクト、こういった県政運営の中で、今、あらゆる事業が合理化、また事業の市場化、縮小、そういった方向に大きく舵が切られています。

県全体の運営、考え方の中に、縮小していくのが、もう当たり前なんじゃないかというような考え方が蔓延しているのではないかと私は思っております。そういう意味で、人口減少を理由に、必要なサービスがなくなることが仕方ないという誤った認識が組織内で広がることを懸念しています。

◆今後、県政運営において 障害者に限らず全ての弱者、少数者の権利・声を大事にし、真に必要なサービスは残していくということの重要性を組織内でどういう共通理解を図っていくのか、その知事の方針をお聞きしたいと思います。

 

○県知事 いわゆる4Sプロジェクト、スマートシュリンクと申しますが、しばしば申し上げておりますように、シュリンクが目的ではありません。人口減少の中で何らかのシュリンクは避けられないとすると、それをスマートな形で行なっていこうというのが基本の考えであります。

人口減少によって効率が低下した部分を単に切り捨てるということではなくて、むしろ 中山間地域のように弱い立場になっている方々を支援して、その持続可能性を高めるための改革が4Sプロジェクトだという風に考えております。

ですので、消防の広域化は中山間地域の消防の現場の体制を守って強化していくために何ができるか、そして、高校の再編でも中山間地域の学校の存続をどうはかっていくのかと、こういう観点から、やり方を変えていこうというのが、この4Sプロジェクトの考え方でございます。この4Sプロジェクトに限ったことではありませんが、あらゆる分野におきまして、いわゆる社会的弱者の方々も含めた全ての県民の皆さんが、安心して暮らしていけるように、時代の変化に合わせて新しい公共サービスの提供体制を築いていくということが必要な時代だと思います。とりわけ、人口減少が全国に先駆けて進んでいる高知県は、その責任を負っているという風に考えます。

そうした認識に立ちまして、こうした県政運営の私の思いが、県庁内で一層浸透していきますように、今後も、庁議といったものもございますし、様々な打ち合わせ・話し合いの場面がございます。また、今日は議場でこういうやり取りをさせていただきました。

様々な機会を通じまして、こうした考え方を全庁的にさらに徹底をしていきたいと考えております。

 

●はた議員 今一度、知事には、「共感と前進」と言われております、で、やっぱり県民にまず共感する、私は執行部には現場の労働者の意見を聞いてほしいですし、何よりも共に暮らす県民の痛みにやっぱり敏感になっていただきたいと思います。以上をもちまして、全ての質問を終わります。