議会報告

【質問項目】

・平和

・社会保障制度について

・参与について

・物価高対策

・県1消防について

・県民体育館再整備

・障害者施策について

 

●塚地議員私は、日本共産党を代表いたしまして、以下質問させていただきます。

 

【平和】

●塚地議員 高市首相は11月7日の衆院予算委員会で、中国による台湾の「海上封鎖を解くために米軍が来援する、それを防ぐために何らかの武力行使が行われるといった事態が想定される」「戦艦を使って、武力行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と、米国とともに中国への武力行使が可能になるとの認識を示したことは重大です。この発言によって日中関係は極度に悪化しています。

日本共産党は、東アジア平和提言を提唱し、中国の台湾に対する武力行使や武力による威嚇に反対するとともに、日本と米国が軍事的に関与・介入することにも反対です。同時に、日中が国交回復した日中共同声明3項では、日本は台湾が中国の不可分の領土の一部であるとの主張を理解し尊重するといたしました。また、終戦まで日本の植民地としていた台湾を中国に返還する立場を堅持すると合意しました。首相発言は、その日本外交の歩みを否定し、国民の利益を害する極めて大きな間違いだ、と指摘されています。私たちは、中国政府に対しても、政治課題は政治の舞台で解決すべきで、人的・文化的交流や経済活動にリンクさせないよう求めています。

◆事態を前向きに解決するために、高市首相は、発言を撤回した上で、「互いに脅威とならない」との2008年の日中首脳合意に基づき、冷静な対話に知恵をしぼることが、首相の責任ではないかと思いますが、知事の認識をお聞きします。

 

○県知事 塚地議員のご質問にお答えをいたします。

まず、日中関係に関しまして、高市総理の国会答弁をどう考えるか、あるいは両国間で冷静な対話が必要なのではないか、こういった点についてお尋ねがございました。

ご指摘がありましたように、現在、日中関係は冷え込んでおりまして、両国の経済活動や文化交流、インバウンドなど多方面で影響が広がっていることにつきまして、私自身大変心配を致しております。お尋ねの高市総理の国会答弁に関しましては、国の方では従来の政府見解の範囲内であって、今後も中国とは対話を通じて包括的な良い関係を作っていくという風に述べられております。

議員からは、予算委員会での高市総理の発言を撤回すべきではないか、とのお尋ねがございましたけれども、もとより、外交・安全保障に関します事項は、国が責任をもって判断し実行すべき領域にあると考えております。いずれにいたしましても、国においては、さまざまな外交ルーツを通じて、関係回復に向けた努力をつくしていただきたいと考えております。

 

 

●塚地議員 そこで問題となるのが特定利用空港・港湾の問題です。山口宇部空港が8/29特定利用空港に指定されたことに伴い、わが党の藤本県議が情報開示請求で入手した山口県の質問に対する国の回答(24年10月11日付)を紹介いたします。

国は、自衛隊の訓練を「年数回程度」実施すると説明。戦闘機や輸送機による離着陸訓練、離着陸に必要な各種機材、人員等の「展開訓練」などを想定している。「展開訓練」には自衛隊の輸送機による16式機動戦闘車-105ミリ砲を搭載-や、迎撃ミサイルシステム・パトリオット(PAC3)などを隊員とともに輸送する訓練も含まれる。弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施が必要な場合等に、PAC3部隊を展開場所へ輸送するために特定利用空港を利用する。すでに他の特定利用空港を含む一部の民間空港における爆発物等の運搬の実績があり、弾道ミサイル等への対処に関連し、PAC3部隊-弾薬を含む-を空輸で輸送した例もあると説明し、弾薬輸送の可能性を示しています。さらに国は、「特定利用空港・港湾」の枠組みを説明した別の資料で「侵攻部隊に対し、より遠方で対応」「状況に応じて必要な部隊を迅速に機動展開」と明記しています。この表現は「有事において利用することになった場合の自衛隊による空港の利用のイメージ」だと説明しており、平時に加え有事でも民間空港を利用することを否定しない内容となっていることが明らかになりました。

◆高知の港湾、空港も同様の取り扱いではないのか。また、紛争において住民や「民用物」保護を定めたジュネーブ条約(第1追加議定書第48条)がありますが、特定利用空港・港湾を自衛隊が使用すれば『民用物』ではなく攻撃目標になるとの認識を持っておられるか、知事にお聞きします。

 

○県知事 次にいわゆる特定利用空港・港湾についてのお尋ねがございました。

本県におきます特定利用空港・港湾と致しましては、昨年4月に3つの港湾が既に指定されております。これらに加えまして、現在、高知空港の指定について国で検討されている段階であります。議員から、ご質問の中で、部隊の展開訓練として、大型の防衛装備の配置訓練が行われるのではないかといったご指摘がございました。

ただ、この点につきましては、武器・弾薬などを含みます物資輸送などの訓練を特定利用空港・港湾で実施する可能性があるということについては、本県としても、この港湾の指定時に兼ねてから国から説明を受けていた内容でございます。その場合においても関連する法令に則っておりまして、安全の確保には十分配慮するという風にお聞きをいたしておりますので、そうした意味で、山口の情報公開の事例というのは、特段、私どもからして意外性があるという風には感じておりません。

また、特定利用空港・港湾は有事でも利用することになるのではないかというお尋ねもございました。確かに特定利用空港・港湾の枠組みは、本来的には、平時における訓練による活用を想定するものでありますけれども、元来、有事におきます空港・港湾の利用調整は特定利用空港・港湾の指定を受けているか否かに関係なく、いわゆる有事法制などに基づき行われるという枠組みとなっております。

言い換えますと、この特定利用空港・港湾に指定されたことをもって、有事における利用の可能性が否定されるといったような枠組みとはなってないわけでありまして、その意味でこの特定利用空港・港湾が有事でも利用することはあり得るということについては、私どもの理解から特に外れたところはないという風に思っております。

さらに特定利用空港・港湾を、自衛隊が使用するという場合につきまして、ジュネーブ諸条約上の攻撃目標となりうるのかどうかというお尋ねがございました。この点につきましては、実際に武力攻撃事態に至った場合になどにおきまして、その港湾・空港などの利用の実態、それが時々の状況下で軍事用にあたるのか、あるいは民生用にあたるのか、そういった実態面の評価に基づいて判断される、そういった性格のものであると考えます。このため、自衛隊等が特定利用空港・港湾に指定された空港・港湾を利用したからといって、それが直ちに攻撃目標とみなされると、そういった性格のものではないという風に認識をいたしております。

 

【社会保障制度について】

●塚地議員 次に、自民維新連立政権による、介護・医療など社会保障の改悪について、お聞きいたします。

 自民党と維新の会は連立政権合意書で、9月議会でも取り上げたOTC類似薬の保険外しなど、多岐にわたる社会保障改悪を合意項目に挙げており、我が国の社会保障を根本から揺るがす異質の危険性があることをまず指摘しておきます。

 この項最初に、介護保険の改悪についてお聞きいたします。

 介護保険を巡って、自民維新政権は、利用料2割負担の対象拡大、ケアマネジメントの有料化、要介護1・2の生活援助サービス等を自治体の「総合事業」に移行する介護保険外し、中山間・人口減少地域の訪問介護などの人員基準緩和など、来年の通常国会に提出を狙っています。

 利用料2割負担の対象拡大は、現在被保険者の上位20%、1人世帯なら年金収入等が、280万円以上が対象となっていますが、この所得ラインの引き下げを狙うものです。

このことにより、利用控につながることが強く危惧され、介護サービスが受けられない高齢者が広がり、ひいては、子ども世代の介護離職に連動するといった実態も出てくるのではないかと考えます。

◆現役世代が安心して働けるためにも、介護サービス利用料の負担増を行わないよう、国に提言すべきと思いますが知事に伺います。

 

○県知事 次に、介護サービスの利用料負担についてのお尋ねがございました。

高齢化の進行に伴いまして、今後も我が国におきます介護費用の増大が見込まれるわけであります。こうした中で、介護保険制度の持続可能性を確保していくためには、高齢者も含んでご負担をいただいております保険料負担の上昇を可能な限り抑えていくこと、そして、特に現役世代に過度な負担を求めないこと、このことが私としては重要ではないかと考えます。

こうした考えをもございまして、高齢者のサービス利用時の自己負担につきましては、1割負担という原則は維持しながらも、一定以上の所得がある方に関しましては、応分の負担増を求めるという観点からの見直しがこれまでも行われてきたという風に承知をいたしております。

そして、こうした負担増をお願いする中にありましても、介護サービスが必要とされている方々が必要なサービスを受けられる環境を損なうようなことがないように、十分に配慮するということが重要ではないかという風に考えております。

こうした観点から、今回の見直しに当たりましても、国の審議会におきましては、月ごとの負担増加額に上限を設定する、それ以上は負担が増えないような手当を講じる。あるいは預貯金が一定以下の方々の場合は1割負担という従来の負担水準に据え置くとこういった措置を講じるということが検討されているという風に承知しております。

国におきましては、こうした措置を講じることを通じまして、引き続き必要な方が躊躇なく、サービスを受けられる環境を整えていただくということが大事ではないかと思っておりますので、そうした観点から、丁寧な議論・検討を行っていただきたいという風に考えております。

 

●塚地議員 医療費についても、危険な議論が進もうとしています。

 医療分野の政権合意に、維新の会のかねてからの主張である「民間保険の活用に関する検討」という項目が盛り込まれていることは、医療を自己責任化し、国民皆保険制度の根幹を揺るがす危険があります。また、同じく維新が主張する「医療機関の営利事業化」は、医療に市場原理を持ち込み、公共性を損なうものです。これらの改悪が実行されれば、経済状況により、医療を受けられない方が生まれる事態が強く危惧されます。

◆「民間保険の活用」や「医療機関の営利事業化」など医療の公的責任を後退させる見直しは、医療が受けられる人と受けられない人の“命の格差”を生じさせるものではないか、知事の認識をお伺いいたします。

 

○県知事 次に、医療分野におきまして、民間保険の活用あるいは医療機関の営利事業のあり方などに対します認識について、お尋ねがございました。

ご質問にございましたように、今回の連立政権の合意書の中におきましては、社会保障全体の改革を推進することで、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくといった考え方が明示をされております。このための具体的な連立政権としての取り組みとして、お話がございましたような民間保険の活用、あるいは医療機関の営利事業のあり方についてなど13項目の改革につきまして、令和7年度中にまずはその骨子について連立政権の中で合意をし、令和8年度中にそのための具体的な制度設計を行うというスケジュールが示されているところでございます。

従いまして、お話ありましたような2点につきまして、現時点で具体的にどのような改革を考えているのかということについては、明らかではないというのが現状でございます。ただ、全体的な大きな方向性を考えますと、これは介護の場合と共通いたしますが、今後も我が国の高齢化の進行が見込まれます。また、医療の場合は特に医療技術の高度化、進歩もありまして、非常に高価な医薬品も出るということで、医療費の増加ということは今後も続いていくのではないかという風に考えられると思います。

こうした医療費の増加が見込まれる中で、将来にわたって国民皆保険制度を持続可能なものとして維持をしていくということの必要性を考えます。公的な給付の範囲で、どこまでのサービスをカバーしていくのかということについての議論は、私としてはやはり避けて通れない課題ではないかという風に考えております。

国におきましては、現役世代の負担をできるだけ抑えると、その一方で、国民の健康を守るために必要となる公的な医療給付はしっかり確保する。こうした2つの要請の両立を図っていくという観点に立ちまして、国民各層の納得が得られますような、丁寧な形で、丁寧に議論を進めていただきたいという風に考えております。

 

 【参与について】

●塚地議員 次に、参与について。

7月の参院選において、自民党公認候補として出馬をされた大石宗氏を県参与に起用した問題について、お聞きをいたします。

 大石氏には、高知県特別職参与・官民連携推進監として勤務する辞令が交付され、週3日、知事の名代として、企業版ふるさと納税・寄付の推進など民間事業所等からの協力の確保や官民連携施策遂行に係る民間事業所等との連携調整などの業務をこなすこととし、年収は副部長級給与を基準とし440万円だということです。また、勤務日以外の残る週4日は自由に政治活動を行うことを了としています。

 知事は、大石氏の参与起用について記者会見で問われ「今までの県の職員の、いわゆる職業公務員としての仕事の仕方、発想というものから1歩も2歩も踏み込んだ、民間の創意工夫を生かして、新しい事業にも取り組んでいく(略)とき」に踏み込んだ対応ができる参与の設置が必要との思いを強くした、と、その起用の理由を述べています。

 さらに知事提案説明において、参与を置き“官民連携”を進めるとして、「具体的には、公平性や前例に過度にとらわれず、時代の変化に即応すること、縦割りで専門性を追求するよりも県民の目線に立って横断的・総合的な政策を展開すること、さらには正確性の重視よりも時間のコストを意識したスピード感のあるタイムリーな対応に軸足を移していくことなどが求められ」ると述べられました。この発言には、行政の公平性や継続性、正確性を軽視するという看過しがたい知事の認識が現れています。

◆公平性や正確性を軽視する行政運営は、行政の公正さを毀損するリスクを高め、ひいては県民の信頼を損ない、決して「県民の目線」に立つ行政とは言えないと考えるものですが、知事の考えをお聞きいたします。

 

○県知事 次に、今回の参与職の設置に関連をしてということでございますが、行政運営におきます公平性や正確性について、お尋ねがございました。県行政におきまして、特に人口減少問題のようなかつて経験したことのない課題に挑戦をする、そういう局面におきましては、前例踏襲を第一とするのではなく、時代の変化に即応するという形で、むしろ臨機応変に動いていく、こうしたことをこころがけではないかという風に、私としては思っているところでございます。

今議会の提案説明の中ではそうした思いから公平性や前例に過度にとらわれず、という申し上げ方をいたしました。また、行政運営におきましての正確性の確保というのは当然大事なことでございます。ただ、これは正確を期するあまり、正確を期することに過度にこだわるあまり、例えば時間をいたずらに費やした結果、適切なタイミングを逸するということになりかねないというリスクがあると思います。

そうしたことにならないように、スピード感をもって物事にあたるべきだという思いも、私としては思っておりまして、そうした思いを申し上げたということでございます。

そして、個々の職員にどういう役割が期待されるかという点につきましては、職位に応じても自ずと異なると考えます。行政事務を担います担当のレベルの職員の皆さんには、自分自身の業務を担当する業務を、まずは公平かつ正確に、そして専門性をもって、丁寧に処理していくということが何よりも求められるというものだと思います。一方で、政策決定に権限責任を持つ、幹部職員となりますと、この公平性や正確性だけではなくて、こうした要素に加えて、ただいま申し上げましたような、時代の変化に即応して、これまでの方針の変更を、タイミングを逃さずに決断をし、県民のために成果を挙げていくと、こういったことが求められるような職員でもあるという風に考えます。従いまして、こうした役割分担をしっかり行った上で、県庁全体が、組織として県民の利益のために適切な行政運営の実現を図っていく、こうしたことが肝要ではないかという風に考えているというところであります。

 

●塚地議員 また、知事は、記者会見で、大石参与について「公の仕事をする立場と私生活を切り分け、政治にかかわる疑念をもたれやすいのであれば、県の仕事として行う情報発信とプライベートの情報発信をしっかり仕分けしてもらう」と発言しています。

 大石氏のSNS等による発信を参与用と私用に分ければ、「疑念」が晴れるかのような、問題意識は県民感覚からはほど遠いものです。先ほど若干の変更が答弁をされましたけれども、ことの本質は、県行政として、大石氏の勤務実態を把握し、その業務が妥当であることを県民へ説明する、説明責任の問題です。

 大阪府は、特別顧問及び特別参与の職務の公表等に関する運用指針を策定しています。

 「指針」は府情報公開条例に基づき、「目的」として、「ミッションの重要性に加え府民の関心も高い。特別顧問等が従事する職務の遂行に係る情報の公表及びその職務に従事している場における当該職務の実施状況の公開に努めることにより、府政の公正な運営を確保し、もって府の諸活動を府民に説明する責任が全うされるようにすること」と定めています。

 また、職務の遂行に係る情報については速やかにインターネットなどで事前事後の公表を定め、知事への成果物や意見交換の結果を公開することや、当該職務の実施状況の公開で府民の傍聴を認めること等も定めています。

 大石氏の勤務は、週3日に限られ、後に述べるように、参与の仕事と政治家の活動とが渾然一体としています。参与の仕事として、どこまでが適正な支出なのかの判断も容易ではありません。

◆給与以外の出張旅費等の勤務に伴う費用も県費でまかなうのか。

◆また、大石氏の勤務実態や、業務の妥当性をどのような仕組みで把握するのか。最低限、大阪府の「運用指針」と同等の公開の基準を定めるべきではないのか、知事にお聞きいたします。

 

●塚地議員 また、大石氏の参与起用は、政治的問題をはらんでいます。

 県民から「行政のトップが県民の税金で肩入れすることになり、行政の中立性を損なう。」県庁内部からも「すごく唐突。知事が大石氏の政治活動に加担しているように感じる」との疑念の声が上がっています。

 記者会見で知事はこの政治的中立性について問われ、「ご懸念」を持つ事は有りうるとして、勤務時間内は政治活動は行わない、あるいは「地位を利用した選挙運動」は法律で禁じられており、行わないということで担保していく、と述べています。

 果たしてこの担保は可能なのか。

 大石氏は、現在も公職選挙法に基づく後援会看板を出し、後援会等を組織する公職予定候補者として活動を続けています。知事も記者会見で指摘するように、特別職であっても「地位を利用した選挙運動」は禁じられています。これには選挙運動類似行為も含まれ、後援会への勧誘などが当たります。大石氏の参与という民間事業者等に便益を与えうる立場と、後援会等を組織し選挙運動類似行為を行う公職の予定候補者という立場をどのように切り分けるのか。今回の起用自体、彼が政治家として企業への訪問等を繰り返し築いた人脈に期待をしたもので、その意味で、政治家としての大石氏の活動と参与の仕事は渾然一体としており、明確な線引きは非常に困難です。単純に、服務時間か否かで判断しうるものではありません。

知事が記者会見で「地位を利用した選挙運動」の禁止に再三触れていることは、大石氏の活動に、そうした問題が起こりうる懸念を知事自身感じておられるのだと思います。

◆参与という地位を通じ、自らの選挙に有利な活動をするのではないかという県民からの疑念は免れません。また、この疑念を晴らすことは不可能であり、参与任用はすべきではなかったと思いますが、知事にお伺いをお聞きします。

 

○県知事 次に参与の給与以外の費用の支出、そして、勤務実態や業務の妥当性の判断、さらには参与の任用そのもののあり方について、お尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。

参与の活動につきましては、私、そして副知事が、その活動の方向性や目標について、ご本人を含めて事前に共有をいたしまして、定期的にその進捗状況の報告も受ける場を持つということとしております。業務の妥当性につきましては、こうした協議の中で判断をいたしまして、こうした業務遂行のために出張が必要であるということであれば、出張旅費などのこの職務遂行に必要となる経費についても、この判断に基づいて支出をしていくという扱いにしております。

参与には、企業版ふるさと納税の促進などを私の方から指示をいたした業務に対しまして、知事である私の補佐役として活動していただいております。このため、私も、参与の活動につきまして、県民の皆様に適時適切に説明をして参る考えであります。

併せまして、参与の活動内容の公開に関しまして、議員から大阪府の事例のご紹介もございました。本県におきましても、県民の皆さんの理解と納得を得るためにも、SNSなどを通じた積極的な情報発信に努めるように指示をいたしたいと思っております。

今回の参与の任用に当たりまして、様々な慎重なご意見があることは私としても十分承知をしておりますけれども、その上で、参与には公務とそれ以外の活動との線引きを明確にしながら、ご自身の経験、ネットワークを十二分に活かして手腕を発揮いただきたい。

そして何よりも具体的な成果を出していく、そのことを通じて、県民の皆さんの期待に応えていただきたい、そういう思いであります。

 

【物価高対策】

●塚地議員 物価高で、暮らしと営業が大変な中、物価高対策についてお聞きします。

政府が打ち出した補正予算案の経済対策の関係経費は17.7兆円規模と、リーマン・ショック後の09年度の14兆円、東日本大震災後の11年度の15兆円をも上回り、コロナ危機を除けば最大規模となっています。

 しかし、中身は消費税減税を拒否し、「最低賃金時給1500円」目標さえ取り下げるなど、「物価高から暮らしを守り経済を立て直すという太い柱が何もない」ものです。

 そのうえ重大な問題も盛り込まれています。軍事費のGDP比2%を2年前倒しで達成するため補正予算で1.1兆円盛り込みました。また、物価高騰対応の中にOTC類似薬の国民負担増、労働基準法を破壊する規制緩和まで含まれています。「危機管理投資」や「成長投資」の名で巨額の大企業支援策も含まれており、失敗を繰り返した従来路線の延長です。その財源も国債頼みであり、インフレを加速させかねないものです。すでに円安や長期金利の上昇など経済対策を打ち出したことによる負の影響が起きており、経済対策がさらなる物価高騰、暮らしの悪化を引き起こす危険な状態となっています。

 補正予算案の中には、重点交付金など物価高に対する緊急支援策もあり、しっかり県民のために活用していくようこれからも提言したいと思いますが、一時しのぎを繰り返すだけでは現状は改善いたしません。

 私たちは、今こそ、経済の5割強を占める家計消費をあたためるため、消費税減税、賃金や年金の引上げにこそ力を注ぐべきと提案しています。その財源は、大企業や超富裕層への適切な課税を行なえば十分確保にできます。

 さて、12月1日より、高知県の最低賃金が時給952円から71円引き上げられ、1,023円となりました。従業員にとっては喜ばしいことですが、特に中小零細事業者にとっては大きな負担となっています。すでに人件費をこれまでの枠に収めるためにパートの方の勤務時間を減らす、営業時間を短縮するなどの対応状況も生まれています。

 生産性をあげる支援策も重要ですが、過疎地でも人が住み続けられる地域を維持していくための経営支援や、中小・小規模事業者が活用しやすい業務改善助成金の改善などが必要です。今後、物価高騰、最低賃金引き上げに伴う大きな影響が予想されます。

◆高知県中小企業・小規模企業振興条例の精神に基づき、実態の把握と聞き取りを行い、必要な対策の打ち出しをすべきと思いますが、商工労働部長にお伺いします。

 

○商工労働部長 中小規模事業者の実態の把握と必要な対策についてご質問がありましたえ、今年度を実施しました中小企業向けの世論調査や、その後の関係団体からの聞き取りでは、小規模の事業者ほど、今後の業績の見通しや賃上げの見込みについても厳しいといった意見がありました。こうしたことから、日頃から地域の事業者との接点の多い商工会、商工会議所と連携し、これまでの経験や勘に頼った経営から損益分岐点の見極めといった客観的なデータ分析による経営への転換を促進するなど、小規模事業者の稼ぐ力を後押ししています。また、調査の中では県や関係団体の支援メニューが分かりにくいことや、情報が行き届いていないといった意見もありました。

このため、商工会などに加えて金融機関とも連携し、物価高や賃上げの対応が必要となる多くの小規模事業者が、様々な支援を活用できるよう、その周知を図るとともに、特に資金繰りの対応など、きめ細かな伴走支援にも取り組んでいます。

今後とも、関係団体と連携を密にし、現場のニーズをお聞きしながら必要に応じて、中小・小規模事業者の経営課題の解決に向けたメニューを検討していきます。

 

●塚地議員 2013年2月、わが党の大門みきし議員が参議院予算委員会で、「アメリカでは日本円にすると当時で二百円の最低賃金を引き上げるときに84億ドルの減税。フランスの場合は2兆2800億円の社会保険料の使用者負担軽減を、中小企業支援として大規模にやりながら、最低賃金を一気に引き上げた」「(アメリカでは)最賃を上げた州の方が雇用や中小企業の経営が改善したことから、当初賃上げに反対していた経営者らも『最賃引き上げはビジネスにも、地域社会にも利益となる』と声明を出している」ことを紹介し、「景気対策として大規模、大胆にやることが今こそ重要だ」と提案、それに対し、当時の麻生財務相は「大変参考になった。たまった内部留保が賃金や配当、設備投資に回らず、じーっとしている状態は異常だ」と肯定的な答弁をしています。

最低賃金引上げにともなって増大する中小企業の社会保険料負担の軽減や直接支援が必要だと考えます。

◆中小企業を取り巻く経営環境は厳しさを増していることから、これまで以上の支援を行うことを国に要望していくべきではないか。知事にお伺いいたします。

 

○県知事 次に、中小企業に対しますこれまで以上の支援を国に要望していくべきだという点についてのお尋ねがございました。

近年の大幅な最低賃金の引き上げは本県の中小そして小規模企業の経営の圧迫にもつながります。営業時間や雇用人数などを調整せざるを得ないという事態に至ることも懸念されるところであります。また、本県におきましては、大企業・大手メーカーが少なく、小規模企業の割合が、全国と比べても高いという産業構造の特性がございまして、労働生産性も大都市に比べて相当程度低い、そういう状況にございます。

加えて、小規模企業が多いために取引先との交渉力が弱く、賃上げの価格転嫁も十分に進まないという課題があるという風に考えております。このため、特に労働生産性が低い地方に対しましては重点的に補助金などでの支援を行うこと、あるいは価格転嫁を受け入れる機運の情勢を図るよう、特に努力をいただくこと。こうした点について、国に対して、県として提言を行ってまいっております。

今後とも、本件のような地理的・産業構造的にハンディのある地方に対して重点的な国の支援が行われますように、関係団体などとも連携して、国への提言を重ねていきたいと考えております。

 

【県1消防について】

●塚地議員 次に「県1消防」について伺います。

知事が高知県の人口減少対策のマスタープランとして位置付けている「元気な未来創造戦略」に新しく「4Sプロジェクト」が位置付けられて約1年を迎えます。県として強力な関与が必要な取り組みが「4S重点プロジェクト」として消防広域化、周産期医療体制の確保、県立高等学校の振興と再編、地域公共交通の確保、国保料水準の統一の5つが挙げられそれぞれ専門家などを含む検討が進められています。

中でも知事は、全国初の事業として県内15消防本部の統合に県も加わる「県1消防」の早急な実現に強い意欲を示され、基本構想では、構想を示してわずか1年で、組織統合を進めるための法定協議会の設立、その2年後には組織統合した県1消防本部をスタートさせるという、極めてタイトなスケジュールが示されました。

知事は「県1」の組織統合ありきで、当初、まず法定協議会にしてから詳細を詰めていくという案を提示。その時点で、トップダウンの計画の押し付け、現場の声を無視した基本構想だなどの批判の声が、現場職員からもあがっていました。パブリックコメントや市町村長などの声を受け、具体的なシミュレーションを検討する総務、財政、情報などの部会が設けられ、詳細な数値が示されるなど担当者のご負担も大変だったことでしょう。これらの検討を経て11月14日に開かれた第二回の県消防広域化基本計画あり方検討委員会において、県統合計画の見直しが提案されました。現場や首長、消防本部などの声を受け止め、見直しを提案されたことは適切なご判断だと思います。その上で、何点か伺います。

今回の見直しのポイントは、検討委員会に提出された資料「現行消防組織における本部機能の新法人への移行の進め方と目標年次」に示された内容です。当初県が提案していた県内15消防本部を統合する「県1消防」の発足時期を当初の2028年から少なくとも1年遅らせ、最長で34年度とする方針案で、当面、先行共同事業・指令システムの共同整備を先行して検討し、消防本部統合については別立てで検討することとなりました。

見直しに至る経過で、私たちが、各専門部会の傍聴や議事録から読み取っているのは、拙速、結論ありきという取り組み方に対する批判だけでなく、県1にすることのデメリット、例えば、JA統合や市町村合併での経験と結果に対する不信や、市町村間で負担を担い合うという財政のあり方に対する批判が根強く、「県1構想」そのものに対して異を唱える発言も耳にしてきました。

◆この間出されてきた市町村や消防本部の意見をどのように受け止めたのか知事に伺います。

 

○県知事 次に、消防広域化に対します市町村あるいは消防本部の意見への受け止めについて、お尋ねがございました。現在までの関係者との議論を通じまして、総論として将来的には、県1での広域化は必要だという方向性については、関係者の大多数の理解は得られているのではないかという印象を私としてはもっております。

ただ、具体的な統合に入るタイミングですとか、それに至る具体的な進め方の面では、慎重な意見も少なからずあるということは一連の議論を通じまして、私自身もしっかりと受け止めているつもりでございます。

そうした中でも、現行の高知市と土佐市の間の共同指令システムの更新時期を勘案して、令和16年度からは、県1本で共同運用をこのシステムについて開始をするという方針については、今回までの検討会の議論を通じまして、おおむね関係者の間で共通の理解が得られたのではないかという風に考えております。

従いまして、今回の見直し案の提示におきましては、こうした指令システムの更新を共同で行っていく、これを令和16年度からというところを前提に考えていくということを、前提条件とした上で、統合の時期や進め方については、地域別、機能別の段階的な統合の可能性も含めて、より柔軟に検討・協議を進めることとしてはどうかという提案をさせていただいたところでございます。

また、当面の進め方に関して申しますと、ご紹介をいただきましたように、当初は今年度中に各市町村の議会で議決を得て、法定協議会の設置を目指すという段取りを提示してまいりましたけれども、市町村の多くの方々から準備のための時間が足りないといったご意見がいただいたところでございます。

こうしたことからこの点につきましては、法定協議会の設置を求めるに先立って任意協議会を設置し、1年間かけて実務的な検討作業を進め、深めるということを先にしていくという段取りを提案させていただきました。こうした形で、進めて参りたいと思っておりますが、全体的な構図といたしましては、やはり人口減少が進む中で、特に中山間地域の小規模な消防本部では人材確保がすでに困難となっているということは否定し難いと思います。

ある意味、組織の存廃の危機を迎えていると言っても過言ではない状況だという風に思いますので、特にこの中山間地域の小規模本部の方々からすると、1年でも2年でも早く新しい体制に移行して、この人材確保というところに道筋をつけたいという思いをお持ちなのではないかという風に思います。

その点では、令和16年というタイミングまで、時間を徒過するということは、私はそうした中山間地域の皆様のご期待には応えられないことになるんではないかと、段階的にというようなやり方も含めてですね、この中山間地域の人材確保というところにしっかりとできるだけ早く手を打っていくということを検討しなければいけないのではないかと思います。そして、人口減少に打ち勝って県全体の消防力を確保していくためには、都市部、中山間地域の市町村がお互いの状況について理解を深めていただいて、そして、全体として、一丸となって一体となって、この常備消防組織の広域化に取り組んでいくということを期待いたしたいという風に考えておるところであります。

 

●塚地議員 しかし、県は、今年度中の取り組みとして「県1消防」の基本計画を策定し、その前提の上に翌年度以降の取り組み方針及び目標年次等について市町村、消防本部および県の間で確認することとする。そして、基本計画の概要について県は県議会に市町村はそれぞれの議会に報告することを要請するとし、あくまで「県1」構想に固執しているように見受けられます。

一方、進め方は県が当初、今年度中に立ち上げを要請していた法定協議会は見送られ、任意の協議会で今後の方向性を協議していくこととしました。実質、当初の県が出した28年度中に「県1」に組織統合を行うという基本構想が、段階を追って広域化しながら市町村が主体となって、どの時点で「県1」にするかどうかも判断していくこととしたと捉えています。今後、市町村間で、課題を共有し、あるべき姿を率直に議論することが重要となります。

◆この新法人への移行の進め方と目標年次に書かれている内容は、単純なスケジュールの先延ばしという性格の見直しではなく、「県1消防」に限らない、本部機能の新法人への移行の進め方が提案されたと受け止めるものですが、先ほど横山議員への答弁もございましたが、知事の認識を改めて伺いたいと思います。

 

●塚地議員 ◆したがって、今後、市町村が主体となって、現場の声も十分に踏まえた広域化のあり方を検討する任意の協議会に対しては、国への要望も含めた財政支援や情報提供にとどめ、現在の基本構想と実現スケジュールの押し付けではなく市町村支援に徹底することを求めるものですが知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、この消防本部機能の移行の進め方と、任意の協議会での市町村の支援に対する県の支援のあり方について、お尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えいたします。

まず、消防本部機能の統合につきましては、ただいま申し上げましたように、市町村の意向も踏まえて、柔軟な移行形態をとれるようにするという観点から、これまで提案をしてまいりました全県一斉で移行するという選択肢のほかに、地域別にあるいは機能別に段階的に統合を進めていくという選択肢も含めて検討協議を行うということを提案いたしております。

こうした提案の内容はおおむねご理解をいただいたと考えておりますけども、統合の時期などについて、個々の市町村のご意向をまずはお聞きをした上で、そうしたご意向をできる限り尊重しながら、丁寧に議論が進むように、作業を進めていければと考えております。

ただ、一方で、消防本部機能の統合は、一般に広範囲で行うほど効果的であるということは確かだと思います。その方がスケールメリットが拡大をし、実現をでき、またコストの軽減効果も最大化が期待されるということからでございます。

また、特に本県の特性として考えますと、高知県の場合、高知市が県内人口の半分を占めております。そうした上で、他の市町村に比べて圧倒的な消防力を有しているということを考えますと、例えば県内3つという統合の仕方をしますと、高知市が入った1つについては、消防力の高度化ということがかなり期待できますけども、高知市が入らない残り2つの主体ではですね、今後、統合による消防力の高度化という効果はかなり限定的になってしまうのではないか。やはり、高知市が中核となって、県全体で1つの組織にするということで、県全体の消防力の高度化、底上げというのが実現するという事情が、非常に高知県の場合、特色がある事情ではないかという風に考えますし、さらに南海トラフ地震などの大規模災害が切迫をしているということを考えました場合に、県全体で統一的な指揮命令体制を構築するということが、今のタイミングで求められるのではないかという風に考えているところでございます。

そうしたことも踏まえまして、ただ今申し上げましたように、今の司令システムの耐用年数の状況を考えまして、令和16年度――今から10年近い先でございますが――からはこの指令システムを、県内1本で共同運用を行っていこうと、こういうことを前提として検討を進めようということにしたわけでございます。

そうした中で、この指令システムの共同運用を行うというタイミングは、この指令システムに関する業務だけではございませんで、消防本部の救急出動、あるいは火災の出動の警防業務、こういった業務の運営方法を大幅に同時に見直す必要があるということになろうかと思いますので、遅くとも、そのタイミングに合わせて県全体で県1消防という新しい体制の完成を目指すということが、私としては最も合理的な選択肢だという思いは変わっておらないところでございます。

そうしたことも踏まえまして、来年度の任意の協議会では、地域別、機能別の段階的な統合の選択肢も含めて、よりきめ細かく市町村のご意見をお伺いするということに意を払ってまいりたいと思います。各市町村によって、ただいま、申し上げましたように、都市部と中山間地域事情が異なりますので、いろいろ多様なご意見が出ようかという風に思いますけれども、そうした市町村間の調整を図りながら実施計画案の取りまとめを行っていくというのが、任意協議会のミッションということになると考えます。

このため、県といたしましては、この様々な意見がある市町村間の橋渡し役、そして調整役として、これまで以上に、しっかりと汗をかいて合意形成のお手伝いをして参りたいと考えております。

 

【県民体育館再整備】

●塚地議員 次に県民体育館の再整備について、お聞きいたします。

 11/26に予定されていた第4回「新県民体育館整備等基本計画検討会」が12月18日に延期されています。しかし、その検討会の開催を待つことなく、あたかも決定事項のようにプールを含む全体構成案が示され、これまでの検討会の議論が、土台も定まらない中で開催されていたことに違和感を禁じ得ません。

様々な課題があるにも関わらず、拙速に進めようとしている県の姿勢に、各方面からスケジュールありきではなく、様々な課題に対し議論を出し尽くし、県民の意見を反映してこそ、今後50年にわたって「作ってよかった」されるみんなのためのアリーナとなり、今後の意見聴取や県民的議論が重要だと考えるものです。

まず、建設費などコストの問題です。事業費は、適切な事業を選択する上で、大前提の基礎的な情報ですが、これが試算すらだされないまま、ここまで議論が進んできたことにこの計画の不確実さが現れています。

事業費の試算もないまま、11月末に施設の全体構成を決定する予定ですすんでいましたが、第3回検討会で、委員からも要望があり、12月下旬の第4回検討会に向け試算されることとなっていました。

◆なぜ、判断の大前提となる事業費の試算がこれまで示されなかったのか、また、事業費試算もないまま適切な事業案が判断できると考えていたのか、知事にお伺いいたします。

 

○県知事 次に県民体育館の再整備にかかります事業費の試算についてのお尋ねがございました。

これまで、他県のアリーナの整備状況につきまして、例えば香川県のアリーナが最近200億円程度の事業費で完成をしたと言った実例につきまして、情報を得ておりましたので、こうした事例の数字をご紹介するということをもちまして、本事業にかかります大まかなコストの規模感ということについては、お伝えを申し上げて参ったというつもりであります。

一方で、この事業の実施の可否の判断材料とするという試算をするにつきましては、それは相応の根拠を持ってきて、試算をする必要があるだろうという風に考えてまいりましたので、このためにはまず施設の規模・機能の大枠を固めるということが先決、その上でそれを踏まえて試算をしていくというのが筋だという考え方に立ちまして、この規模・機能の大枠の検討作業を先行して参ったというのが、今までの考え方でございます。

その上で、最終的には用地を提供していただく高知市との合意形成がなければ、この見通しを立てることもできないわけでございますので、最近では高知市との間で、特に精力的に協議を重ねて参ったという状況でございます。ご紹介も頂きましたように、今月の初めには高知市長からの要望を踏まえました施設の配置案を県として取りまとめまして、アスパルこうちのグラウンドを全面使用させていただきたいというご要請をいたしました。これを受けまして、先日の高知市議会で、市長からは全面使用を認めるという旨の表明を頂いたということでございまして、これをもちまして、施設の規模機能につきまして、一定の目途で見通しが付いたという風に、私どもとしては、判断をしたわけでございます。

それを踏まえまして、今回、高知市にお示しをしました。配置案に基づきまして、規模や機能を前提条件とした上で試算をいたしましたところ、現時点で概算ではございますけども、想定されている整備事業費につきましては、諸々全体込みで210億円程度という数字を見込んでいるということについては、先ほど横山議員にお答えをしたとおりでございます。

今後はこうした最新の配置案に基づきます整備コストの試算に加えまして、収支の見通し、あるいは経済波及効果などについての試算も、年内の検討会でお示しをし、委員の皆さんのご意見をいただきたいと思っております。

また、基本計画全体につきましては、今後の検討会の場で施設を利用される立場のスポーツ団体、あるいは興行主の方々などのご意見もお聞きをいたしました上で、パブリックコメントを経まして、年度内に基本計画の取りまとめを行うというスケジュールで進めさせていただきたいと考えております。

 

●塚地議員 メインアリーナの年間利用シミュレーションの数字も根拠を欠くものです。

この根拠を欠く数字を元に、余剰を生み出し、メインアリーナを最大限稼働させるとして、サブアリーナを大型化したことが、計画の肥大化を招き、アスパルこうちのグラウンド廃止などの問題を引き起こしています。

具体的には、MICE・111日、プロスポーツ31日、エンタメ12日などの数字が当てはめられています。

MICEは、現在ぢばさんセンターで開催される展示会等すべてがメインアリーナで開かれるという甘い想定です。また、プロスポーツについては、他県のプロチームにアリーナを「第二のホーム」として活用してもらうことを想定、エンタメはあくまで全国の平均値を仮定として入れているに過ぎません。

◆年間使用シミュレーションに示されるMICE、プロスポーツ、エンタメなど、現時点で、計画に示される開催日数の見通しは約束されたものではなく実現可能性についてどのようにお考えか、観光振興・スポーツ部長にお聞きいたします。

 

○観光振興スポーツ部長 まず、新しい県民体育館の展示会等の開催日数の見通しについて、お尋ねがございました。

今年10月に開催した第3回基本計画検討会で新しい県民体育館において、想定される競技大会や展示会等での利用日数について説明をしました。この利用日数は、現在の施設の利用実績とスポーツ団体や興行主などに対し、ニーズ調査をした結果を基に予測を立てたもので、約束されているものではございません。

今後、実際に利用しているスポーツ団体や展示会、イベントなどの開催が見込まれる主催団体に対し、利用に関する意向や必要とする設備等をお聞きして、利用者にとって使いやすい施設となるよう、基本計画や設計に反映をさせていきたいと考えております。

 さらに、プロスポーツの試合や新たなコンサートの誘致にも取り組み、実現可能性を高めていきたいと考えています。

 

●塚地議員 さらに、観光消費額試算においても、「充実期」に、高知県にプロバスケットボールチームが生まれることを前提に計算されていますが、このプロチームがうまれるのか、それがいつになるのかも定かでない点も指摘をしておきます。

さて、県は12/1、高知市に対し、アスパルこうちのグラウンド全面使用、プールの設置、地下駐車場の整備などを含んだ全体構成最終案のようなものを提示し、すでに4日開会の市議会では決定したかと思われる市長の発言もありました。この過程は、非常に拙速で、この間議論を続けてきた「新県民体育館整備等基本計画検討会」での議論を経ないまま、まさに正式決定とも言えるような表明に、委員の方々はどう受け止められているのでしょうか。第3回の検討委員会で、ある委員さんは「将来の人たちに、責任を持つ判断をしないといけない」と述べられていましたが、

◆次回検討会には、結論ありきでなく、これまで検討してきたいくつかの案についても建設事業費、ランニングコスト、運営形態などについて比較検討をしていただくべきだと思いますが、観光振興・スポーツ部長にお伺いいたします。

 

○観光振興スポーツ部長 次に、事業費やランニングコストなどの比較検討についてお尋ねがございました。

今月開催する基本計画検討会において、高知市に対して提示しました最新の配置案をお示しし、委員の皆様から意見をいただきたいと考えております。

その際には、整備コストや収支の見通しなど金額面の試算も合わせてお示ししていきたいと考えております。例えば、サブアリーナがバスケットボールコート2名の場合と1面の場合の整備コストの違いでありますとか、プール設置の有無によって、収支見通しなどがどう異なるかといった試算を提示し、比較検討できるようにしたいと考えています。

 

●塚地議員 この事業には、公共施設等適正管理推進事業債を充当するとしていますが、この起債を使うためには、集約元の施設の延べ床面積よりも、新県民体育館の延べ床面積が減少する必要があります。面積減少要件をクリアするためには、ぢばさんセンター、武道館などの統合・廃止が必要とされます。現状では、これらの統合・廃止となる可能性がある対象施設や利用者の意見が尊重されているのでしょうか。

高知ぢばさんセンターについては現在「大ホールあり方検討会」が開催、議論されていますが、高知商工会議所と高知県工業会は連名で「大ホールの存続に向けた行政支援の継続と新県民体育館との将来的な役割分担について」との要望書を提出。「ものメッセ」をはじめ、ぢばさんセンターでの取り組みが、県内企業の若年人材確保に有効な手段となっていることなど、ぢばさんセンターの役割を示した上で、駐車場台数など、新県民体育館がぢばさん大ホールの機能をカバーできるものではない、と訴えていました。

◆とりわけ、700台を超える駐車スペースを有している立地は替え難い機能だとの声もあります。新県民体育館の整備にあたり、高知ぢばさんセンター大ホールの機能を受け入れるための対応はどのように検討されているのか観光振興・スポーツ部長に伺います。

 

○観光振興スポーツ部長 次に高知ぢばさんセンター大ホールの機能を受け入れるための対応について、お尋ねがございました。

ぢばさんセンターを所管する高知県産業振興センターから、展示会等を新しい県民体育館で開催する場合に、駐車場の不足や展示物の搬入方法といった懸念点を聞き取り、それらの対応策について整理を行いました。

先月から高知県工業会をはじめ、商工関係団体などに対し、これまでの整備に関する検討状況や、駐車場の増設及び搬入口間口の確保を検討していくことなど、懸念点への対応策について説明をしているところです。

今後、ぢばさんセンターで実際にイベントを開催している主催団体へ利用の意向を調査することも検討しております。

引き続き、ぢばさんセンター大ホール等あり方検討会の動向を見ながら、受け入れを視野に入れた基本計画づくりを進めてまいります。

 

●塚地議員 当事者の意見が尊重されていない問題の大きな焦点となっているのは、教育支援センター・青年センターが入るアスパルこうちのグラウンドの廃止方針です。

 アスパルこうちのグラウンドを巡っては、高知市教育委員会は、少なくとも半面の土のグラウンドを残して欲しいという意向を取り下げていません。不登校支援や青少年スポーツ振興を担う教育行政として当然の姿勢です。

青年センターによるグラウンド使用は、年間約7,500人と多数の青年が利用しており、11月26日には、利用者団体が、グラウンドを使用した建て替え計画に反対し、高知市へ要望しています。要望書では、青年センターの設立時に利用者参加で意見を集約した経過も紹介され「利用者の声も聞かれることがないまま県が開催する検討会で進行」していると現在の議論の過程が批判されています。アスパル設立時の丁寧な議論は、現在の県の当事者不在の議論と対照的で、利用者としては当然の批判です。

また、不登校児童生徒の保護者から、「(グラウンドの廃止は)デリケートな子どもたちに負担となる。グラウンドのような空間がなくなると圧迫感を感じる」など不安の声が上がっています。スポーツ課を通じて県へもグラウンドの存続が要望されています。

 この間、県は、アスパルこうち・教育支援センターの利用者に対し、アンケートを取っており、12月26日の〆切りとなっています。本来、アスパルこうちの利用者の意向や思いは、議論の前提となるものですが、一方ではアンケートを取りながら、その集約もされていない段階でのグラウンド廃止の提示は、あまりに県民の声を軽んじるものです。

当県議団が独自に行ったアンケートでも「もっと県民の声を聞いてじっくり取り組んでほしい」「県民の理解を得て、という観点には立って無い。このままでは同意出来ない」との厳しい意見が寄せられています。

◆アスパルこうち利用者のアンケートにどのような声が寄せられているのか、また、不登校当事者や保護者、グラウンド利用者の存続を求める声を、県としてどのように受け止めたのか合わせて、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、その際のアスパルこうちのグランドの存続を求める意見への受け止めについてお尋ねがございました。

アスパルこうちの中にあります教育支援センターにおきましては、不登校の子どもたちが通い、相談や支援を受けているという風にお聞きしております。高知市の教育委員会を通じまして、利用者から整備に関する懸念、あるいは要望などの声があるという話をいただきましたので、県といたしましても、先月から約1か月間の期間をかけまして、利用者の方々へのアンケート調査を行いまして、意見を把握させていただくということにしました。現在、このアンケートがまだ実施中ということではございますけれども、12月8日時点で、35件のご意見をいただいたという風にご報告を受けております。

このご意見の中には、1つには子どもたちに圧迫感を与え、緊張感を高めるのではないかといった、ご心配あるいは土のグラウンドを残してほしいといったご要望、こういった声をいただくものがあったという風に報告を受けました。ただ、一方で、アリーナの整備は中途半端な規模にならないようにしてほしいというご意見、必要な投資をしっかりと行ってほしいといった整備への肯定的なご意見もあったという風にお聞きをしております。

県といたしましては、新しい体育館が期待される機能を発揮するために、十分な規模の面積を確保する必要があると考えます。一方で、こうしたアスパルこうちの利用者の方々のご心配の声、そして、高知市からのご要望については重く受け止め、必要な対応を講じれなければいけないと考えてまいりました。

具体的には、施設屋上に人工芝を敷設するなどの形で教育的な配慮を行うことをした上で、グラウンドの全面使用をお願いするという申し出をさせていただいております。今後も、教育施設に通われる利用者の方々の声に耳を傾けまして、教育活動に支障を生じることがないように高知市と連携し、必要な対策を講じてまいる考えであります。

 

●塚地議員 お聞きしてきたように、計画の曖昧さ、県民不在の決定過程など問題は深刻です。

12月下旬に、全体構成を決めるというスケジュールは、県民の理解を得て事業をすすめるには、あまりに拙速すぎます。

今後50年使う県民の大事な財産である新県民体育館が、県民みんなのためのアリーナとなるためには、少なくとも、現在、県自らが取り組んでいるアンケートやオープンハウスの意見が集約された段階で、その内容を踏まえて、全体構成を策定することが必要です。県民不在の性急な決定に進めば、今後に禍根を残します。

◆急遽、プール設置が打ち出され、高知市の意見が取り入れられたことに反対するものではありませんが、あまりに窮屈な施設であり駐車場の課題もあります。12月下旬の決定というスケジュールでは、検討会のメンバーの負担が大きすぎるのではないかと思います。基本計画決定の時期を延期し、アンケートへの意見も踏まえ県民の声をしっかりと尊重した検討会のまとめができるようにすべきではないか、また、検討会による基本計画決定後のスケジュールについて観光振興・スポーツ部長にお伺いいたします。

 

○観光振興スポーツ部長 最後に、基本計画決定の延期と、今後のスケジュールについてお尋ねがございました。

新しい県民体育館の整備は、令和6年度から、有識者で構成するあり方検討会を開催するとともに、高知県スポーツ振興県民会議の場なども活用し、様々な形でご意見をお聞きしながら議論を進めてきました。

さらに、本年度からは基本計画の策定に向けた有識者による検討会を開催し、専門的な立場からのご意見を伺っているところです。

並行しまして、現在の体育館の利用者へのアンケートに加え、高知市役所やオーテピアなどに整備の構想を紹介するパネルを設置し、期待することなど広く県民・市民の皆様の声を集めているところでございます。

今後、今月の検討会をはじめ、関係団体や企業などから意見を聞き取り、パブリックコメントも踏まえて、当初の予定に沿って、年度内に基本計画を取りまとめていきたいと考えています。

また、来年度についても、有識者から専門的なアドバイスをいただきながら、基本設計や実施設計に取り組んでいきたいと考えています。

 

【障害者施策について】

●塚地議員 強度行動障害児者の集中的支援の実施についてお伺いいたします。

発達障害と判断される方の急激な増加に伴い、これまでも療育福祉センターなどで、診察の予約が何ヶ月待ちとの声が寄せられ、県としても様々な努力を進めてこられています。中でも、強度行動障害児者に関わることは、深刻で緊急性の高いことも多く対応に苦慮されていることだと思います。あるお母さんは、特別支援学校でも状態が改善せず、卒業後受け入れ施設が高知県では見つからず、香川県のグループホームに入所させてもらった。しかし日常的な面会などもままならず、高知県内の受け入れ態勢を整えてほしい。また、強度行動障害の相談体制の充実、集中的支援事業が利用できるように早急な対応を要望されています。

◆県として、まず強度行動障害児者の実情と課題をどのように把握されているか子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 まず、強度行動障害者の実情と課題について、お尋ねがございました。

強度行動障害とは、自らを傷つけたり、物を壊すといった本人や周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が頻繁に起きるため、専門的な支援が必要となっている状態を指します。

この障害にある方は周囲の人に自分の思いをうまく伝えられず、コミュニケーションが取れない時にストレスが高まり、本人や他者に影響を及ぼす行動が現れるなど、個人の性格やこだわりによって状態が様々といった特徴がございます。

このため、一定の期間、丁寧に行動を記録・分析をし、その結果を踏まえ、専門的な支援を行うことが求められます。

しかしながら、県内においては、こうした支援を行うための組織的な支援体制が整っていない施設も一定程度ある状況でございます。こうしたことから状態が悪化した方の場合、施設入所を希望しても断られたり、入所しても他者に影響を及ぼす行動が頻繁に起き、退所せざるを得ない事案が生じております。

このように必要な支援を受けられないといった課題に対応するため、施設職員のさらなるスキルアップに向けた研修や施設内での一貫した支援体制の充実が必要となっています。

 

●塚地議員 様々な課題が山積していますが、一人一人の障害特性に寄り添った対応や支援を専門家が一定期間集中して行い、支援方法を作成しながら地域での安定した生活を目指すという集中的支援事業の早急な開始が待たれています。

県でも、障害者総合支援法に基づき設置され、障害者の支援体制に関する課題や地域の実情に応じた体制の構築などを検討する自立支援協議会の中に、今年3月から強度行動障害支援部会を立ち上げ、施設や事業所への支援を検討していると聞いています。

◆現在の部会での検討状況と今後の取り組みについて、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、強度行動障害支援部会での検討状況と、今後の取り組みについて、お尋ねがございました。県では先ほどお答えをしました課題解決に向けて、本年3月に障害者の支援体制などを検討する自立支援協議会の中に、強度行動障害に特化した部会を立ち上げたところです。

この部会は、強度行動障害のある方を支援している障害者支援施設や相談支援事業所、市町村などの関係者で構成をしております。ここではこれまでに施設に対し、専門人材が状態の悪化した入所者への支援方法に助言を行う仕組みが必要との方向性が示されたところです。今後はこうした方向性に沿って、施設内で他の職員に適切な指導ができる職員や各施設に対して支援方法などを助言する人材の育成について検討することとしています。

具体的には施設において、入所者の個々の障害特性に応じた支援や生活面での配慮について助言をする、いわゆる集中的支援を行う人材が求められています。このため、今年度はモデル事業として、入所施設と通所事業所、それぞれ1か所で状態が悪化した具体のケースに対し、国の専門的研修の修了者などが継続して訪問をし、対象者の状態を適切に把握できているか、支援方法は適切かなどを確認し、職員への助言を行っているところでございます。

令和8年度は今年度のモデル事業の結果を確認し、改善点を共有しながら施設の対応力の向上に向けて取り組みを進めてまいります。

 

【特別支援学校スクールバスの安全性の確保について】

●塚地議員 この間、スクールバスを民間委託し、車両、運転手だけでなく、通学の介助員もバス会社の委託に含まれています。委託先のバス会社においても、安全な運行に様々な努力がされているところですが、バスの中での障害の特性にあった対応に苦慮されている実態もお聞きしています。

最近では、ある学校のコースでバスの中での障害特性に対する高度な対応が求められることが続き、年度替わりに契約が継続されず、そのコースには急遽、受けてくださるバス会社を探しなんとか運行ができたという事例がありました。スクールバスの運行では、一人一人の児童生徒の安全に配慮したバス会社との綿密な時間や場所の調整が必要で、年度始めの多忙な時期とも重なり、バス会社決定から打ち合わせに至る時間的余裕が必要だと考えます。

◆現場からは、コースの打ち合わせや乗車時刻の保護者との調整などがスムーズに行えるよう、業者決定を早める方法がないかと要望が寄せられています。教員の働き方改革の視点からも対応すべきと思いますが教育長にお伺いいたします。

 

○教育長 まず、特別支援学校のスクールバスの委託先の決定を早めることについて、お尋ねがございました。

現在、県立特別支援学校の本校・分校を合わせた14校のうち7校でスクールバスを運行しています。これらの学校では、例年入学する児童生徒が決定する3月下旬に、バスの運行予定経路等を調整し、4月1日以降に入札と契約を行っています。

それぞれの保護者と通学にあたってのルートや個別の支援に関する詳細な確認など、確実に行う必要があるため、時期を大幅に早めることは困難です。ただ、現行のスケジュールでは入札が不調になった場合、契約に遅れが生じ、運行、事業者との打ち合わせや試運転による安全確認等を入学式までの短期間で実施せざるを得なくなります。

このため、児童生徒の通学に影響が及ばないように、多少なりとも、入札契約の時期を前倒しすることができないか、県の関係部署や学校と協議してまいります。

 

●塚地議員 また、通学バス内での介助員については、約1時間にわたって、様々な特性を持つ子どもたちが狭い空間に同乗するため、座席位置や声かけなどの専門性が要求されます。運転手や保護者との意思疎通も必要です。

◆高知市立高知特別支援学校では、スクールバス介助員は、一定、専門性も蓄積できる雇用体制として、教育委員会が雇用した会計年度任用職員が乗車しています。県立においても委託内容を見直し、児童生徒との関係が継続できる介助員の体制にするべきだと思いますが教育長にお伺いいたします。

 

○教育長 次にスクールバスの委託内容の見直しについてお尋ねがございました。

特別支援学校のスクールバスの運行業務は、事業者に介助員として適した人材の雇用も含めて委託しております。学校と運行事業者においては、4月当初に児童生徒への配慮や適切な対応等についての打ち合わせを行っています。また、4月以降も円滑に運行ができているかなどについて、定期的に確認を行っています。

加えて、日常的にもスクールバスでの児童生徒の様子を介助員が教員に伝えたり、学校における児童生徒の様子や障害特性に応じた対応方法、配慮してほしいことなどを教員が介助員に伝えたりとこまめに情報交換を行い、安全で円滑な運行に努めていただいております。

一方、介助員を会計年度任用職員として雇用している他県等では人材が確保できない場合や、急な欠員が生じた場合は代替要員の確保が困難となるため、教員がスクールバスに乗車することとなるケースもあり、学校現場の負担が少なくないと伺っております。このようなことから、介助員の雇用については、委託業務に含めた形で運用し、引き続き、学校と運用事業者との日常的な情報交換や連携を深めることで、スクールバスの安全な運行を一層徹底してまいります。

 

【障害者自動車税減免制度】

●塚地議員 最後に本年度から実施された自動車税障害者減免制度について、お伺いいたします。

昨年6月議会でわが党の岡田芳秀県議が、続く9月議会で自民党の土居央県議が、障害者の日常生活の利用も自動車税の減免の対象として認めるよう求め、今年度から使用目的の範囲が拡大されました。考え方においては改善されたと思います。他県においては、日常生活での利用を減免対象と認めた時点で、特段の利用状況の証明書の提出はなく、運転者の同一生計証明書のみで対応している県が多く見られます。

しかしながら、本県の減免申請の手続きにおいては、「もっぱら障害者のために使用して」いることの証明がなければ、不正が見抜けないとして、無用とも言える書類の提出が求められ、障害者やご家族から人権侵害とも言えるとの怒りの声が届いています。

まず、1ヶ月あたり買い物や美容室、病院などに行っているという誓約書を書きます。さらにそれを裏付ける添付書類が必要です。

ここで、その添付書類の記入例として県のホームページにアップされているものを紹介したいと思います。 

※資料【PDF】自動車税減免記載例

一ヶ月の走行距離をまず月初めから、一月分、月終わりまでで出します。そして障害者の方を載せて運行をしたという日付、そして、このような詳しい行き先場所、行く目的、そして移動距離をいちいち書き込ませます。それを一月分記入させた上で、合計の距離数を出す。その合計距離数が、先ほどの一ヶ月間使った距離数の50%を超えていなければ、認められないという中身です。しかも、この申請書を提出する時には、ここに書かれてありますが「この運行実績提出時には当該車両で県税事務所に来て下さい」というものになっています。

これは、私は今まで、こんな申請は、見たことも聞いたこともありません。ここまで障害をもっておられる方、介護をしている家庭の家族の方に負担をかけなければ減免が受けられないのでしょうか。

行く先によっては思想信条や支持政党、宗教なども明らかとなりプライバシーに関わるとの声や今年度記録した方からは、出発前、到着後に走行距離を記入せねばならずそのことで注意を怠って、障害者の安全確認ができないといった声も寄せられています。

その上、この走行距離メーターの数値確認のため、運行実績提出時に当該車両で県税事務所に来ることまで求めるのはいかがなものか。

税の公平性を保つため必要な書類だとしていますが、もっぱら重度身体障害者のために使用していることの証明をさせ不正を防止しようという狙いでしょうか。ここに記載した内容の真贋について確認されるのでしょうか。ここまで煩雑な書類を作成させることで減免を断念させるのが狙いなのではないか、と疑いたくもなります。

しかも、通院なら一月4回が一年ほど継続するということで走行距離は関係ありませんから、距離を判断基準とすることに整合性はとれません。

重度身体障害者と共に暮らし日常生活を支えている家族に対してあまりに配慮のない対応だと思います。先に述べた通り、全国では、減免申請に通院の証明なども不要としている団体が多くあるのですから、法的に問題となるものではなく、県民を信頼する県政の姿勢の違いだと思います。

◆証明書の提出を不要にする英断を求めるものですが、知事にお伺いをいたしまして、私の第一問といたします。

 

○県知事 最後に自動車税の障害者減免制度に保管しまして、証明書の提出を不要とすべきではないかとお尋ねがありました。

家族運転の障害者減免につきましては、もっぱら障害者のために使用されている自動車が対象という制度となっております。このため減免の決定に際しましては、税の公平性の観点から、運行の実態を確認する必要があるという風に考えております。

昨年度までは、使用目的が通院・通学などの場合について、病院の通院証明書など第三者が発行する証明書により運行実態を確認した上で減免対象としてまいりました。

これに加えて、日常生活での利用という場合につきまして、第三者による証明が今まで困難であるという理由から減免の対象として参りませんでしたけど、県議会でのご指摘もいただきましたことを踏まえまして、本年度から、運行実態を一定程度確認した上で、減免の対象とするという判断をいたしました。

このお尋ねありました運行実績につきましては、第三者による証明が困難な日常生活につきましても、客観的に実態を確認し、減免の対象とするために提出をいただいておるものであります。

本年度は、初年度ということもありまして、当面、まずはその運用状況を確認、検証していく必要があるという風に考えておりますが、基本的な考え方といたしまして、課税の公平性という観点に立ちますと、運行実績あるいは証明書の提出そのものを直ちに不要とするという考えは持っておらないところでございます。ただ一方で、この本件に限らず、各種の税務手続きに関しましては、この公平性の確保といった観点はございますけれども、かなり納税者に煩雑な事務を課している、あるいは県の業務効率化の面からも見直しの余地があるのではないかという思いを持っておりまして、この税務手続きの簡素化に関しては、デジタル技術の活用を含めて、継続的に検討していくべき課題であるという問題意識は持っております。参与の方の話ではございませんけれど、やはり、公平性、正確性を期するとなりますと、委員からご紹介いただいたような形で、水も1滴も漏らさないようにちゃんと証明を取らないといけない、ある意味、職業的な良心もあって、ああした形でお願いをしているということだと思います。

ただ、ただいま申し上げましたように、納税者の負担軽減、県の業務の効率化、残業を減らしていくということも言っているわけでございますので、そうした観点からの合理化ということも、私は大事な視点だという風に思っておりまして、この本件を含めまして、引き続き県民の皆さんからの声を、丁寧にお伺いをしまして、課題の公平性と手続きの簡便性、この2つの要請が両立をするようにという観点に立って、観点にも意を払って、対応を考えてまいりたいと思っております。私からは以上であります。

【第2問】

●塚地議員 それぞれご答弁いただきましてありがとうございました。

まずは、教育長、今、ご答弁をいただきましたスクールバスの契約の件については、前向きに、できるだけということで、ご協議いただけるということでしたので、是非、現場でよろしくお願いしたいと思います。

知事の方に何点か、お伺いをさせていただきます。

まず、参与の件についての先ほどのご答弁の中で、大石氏の勤務実態もどういう風に把握するのかということについては、ちょっと私の中では全くこう見えてこなかったわけなんですけれども、週3日という期限をどういう風に規定するのかということです。先ほど事前事後の報告で、どういう行動だったのかを受けていくというようなお話をされましたが、特別公務員といえども、公職選挙法の関係の様々なあの懸念があるわけで、ここは勤務時間なんです、で、ここは特別職としての勤務で一定権限を持った仕事をしてます。で、それ以外は政治活動自由です、っていう部分のサビ分けはどうやってされるのかということがどうしても見えてこないわけですね。

そこが1番、県民の皆さんにとっても懸念されるところで、そこはもう少し詳しく、お伝えをいただきたいのと、先ほど旅費等もですね、あの県費の方でまかなわれるというお話をされましたが、それは事後承認なのか、事前承認なのか。それに対する正当性はどういう風に判断をされるのか、県費ですのでね。知事の私費でお雇いになって行かれるというなら、それは私どもも何も申し上げることはございませんけれど、そこは明確にやっぱりしていただかなくてはならないし、知事としての説明責任は当然おありになるという風に思いますので、そこはもう少し、明確にしていただくことができないかということが第1問でございます。

知事は、特別職と同時に、一定管理職に求められる資質というようなことも、おっしゃられました。私は、本当に、この人口減少の今の危機的な状況というのは、実はですね、自然現象ではなくて、30年来の失われた自民党政治のもとで作られたと、私は思っておりますので、そこはしっかり変えていかなくてはならなくて、この間、県庁の職員の皆さんはそれぞれ、本当に私は奮闘されてきたと思いますし、人口減少対策でも、汗をかいてこられたと思います。チームでやっぱり仕事をするというのが、県庁の大事な役割でして、この組織の中にトップダウンというような形のものを持ち込むことが本当に県庁の皆さんの持てるエネルギーを全て引き出すことになるのかと。1人の方のトップダウンのそうしたことで、この深刻な人口減少がね、改善するなら、それは本当にお手並み拝見とある意味言いたいぐらいで、私はむしろ、そこの点での県庁組織の皆さんのモチベーションに与える影響は、この間、大きかったのではないかというふうに思っておりまして、今、大石氏を参与と任命したことによる県庁組織内への影響というものを知事は何かをお感じになっていることがあれば、それはお伺いをしておきたいと思います。

 最後に自動車税の問題で再質問なんですけども、知事は煩雑すぎるんじゃないかというようなお話もあったようにも聞こえて見直しを検討されるとおっしゃったのかどうか、もう少しお答えをいただけたらと思います。私はあの減免するということで、その家族や障害のあるご本人がですね、しっかり安心して暮らしていけるということを担保する、そのことは本当に大事だと思いますので、是非その点。

ごめんなさい。最後にですね。県民体育館、簡単に言います。県民体育館の問題なんですけれども、この間、検討委員会の中ではプールを否定される、アドバイザーの、プール否定とまでは言ってませんでしたけど、それは困難じゃないかというご意見の方もおられたりして、私はある意味、仕切り直しだと思うんですね。検討委員会の協議というのは。

次の回で、全て、方向性をまとめてしまうというのは、あまりにあの拙速すぎて、検討委員会の皆さんにも負担が過ぎるんじゃないかというふうに思っていて、次の回でまとめ切るおつもりなのかどうなのかということを、再度お伺いをして私の2問といたします。

 

○県知事 再質問にお答えをいたします。

まず、参与の勤務実態の確認等についてでございます。参与のいわゆる日常的なですね、勤務のいわゆる、身の回りのお世話ということでもないですけれども、担当事務としては秘書課において担当させるということにしております。そうした中で、私も細部までチェックできてるわけではありませんけれども、いわゆる出勤簿的なものですね。いつ出勤をして、という実績が事後確認できるような記録は取っていかないといけないだろうと。

3日と言いましても、ご本人のスケジュール等もあって、例えば月、水、金と毎週カチカチと決めるという形もないであろうと、そこはある程度柔軟にですね、全体の期間通して、週3日相当というようなことを想定して、それにしても記録が残っておらないと確認はできませんから、それは、秘書課の方で実務的に、例えば出勤簿の記録といったものをつけていくということ等によって、適正に確認をさせるということで、運用を始めているところでございます。

旅費に関しましてもただいま申しましたようにえ、大石参与のですね、活動につきまして、ちょうど昨日に初めてまとまった形で現状の活動の報告を受けたわけでありますけれども、例えば、これは企業版ふるさと納税につきまして、県外の企業からですね、寄付をいただくということをコーディネートするとか、企業との連携協定を新たに県外企業と結ぶということになりますと、その調整のために現地に行ってですね、協議をするという必要も出てまいると思います。そういった点につきまして、少なくとも、大枠の動き、計画については、私と副知事と参与御本人とで、この計画、そして、実施状況の確認ってことをさせていただく中で、県外での出張が必要あるというかどうかにつきましては、ご本人からの申し出を受けて、我々で判断をして、その方向で必要な手続きを、原則は事前にしていくと、これは通常の職員と同じだと思いますので、事務担当は秘書課の方でしていくということで、これも適正に手続きを取っていくということを考えているところでございます。

県庁内の職員の反応についてということでございます。お話がありましたように、今回、県庁外からですね、高級スタッフという、スタッフという形でありますけれども、大石参与をお迎えするということに関しまして、もちろん幹部の職員の方々の中にはですね、自分たちとしては一生懸命やってきているけれども、知事は必ずしも評価をしてくれてないのではないか、というような思いを持たれた方は少なからず、おられるかもしれない、というふうには正直思っております。

ただ、私としては先ほど申し上げましたように、やはり、職業公務員として正確性、公平性、あるいは専門性こういったものを旨として、頑張ってこられた方というのが県庁職員の場合は例外ももちろんありますけど、かなり多いと多数派ということだと思います。そうした中で、今までの延長線で、新しい仕事に取り組むというだけではですね、この人口減少対策をブレイクスルーするというには、やや力不足の点があるのではないかと。

そういう意味では、それぞれ、得意技、得意分野が違うという意味で、大石さんのように従来の県庁職員の経験、あるいは人脈というところから、また次元が違うようなところでですね、広がりを持つ方にお願いをするということをもって、新しい分野を開拓していきたいんだ、ということを庁議などの席でもですね、私の口から説明をし、理解を求めたということでございまして。どちらが良くてどちらが悪いという問題で私はないと思っていまして、それぞれの持ち味を活かして新しい分野を切り開いていくと、そこを役割分担しながら一緒にやっていこうという話を、今後も折に触れ、職員に対しては申し上げていきたいという風に思います。

それから、自動車税の減免の関係でございます。これにつきましては、今回の見直しは新しく今年度から始めたとこでありますので、その執行状況の確認とか検証をしかるべき時点でしていくと、まだそういう段階だという風に思います。

そういう意味で、今回の手続き、それだけを取り上げてですね、早急に見直しをするということまでは考えておりませんけれども、この証明書の提出は求めるにしても、デジタル化の時代の中でですね、極めて、今のような、アナログのやり方がいいのかどうかというのは私自身も問題意識持っておりますので、そういった観点から税の手続きというのは、やはり公平性・正確性を期するために相当いわば煩雑な手続きをお願いしている部分が全体を通じてあると思いますから、そうしたものをデジタル化などを通じて簡素化をしていくと、そういう大きな流れの中でのそのテーマの1つとしてですね。今回の県の書類の簡素化と言いますか、事務手続きの簡素化というのもしかるべき時期に検討の俎上に乗るという認識で対応をさせたいということでございます。

それから県民体育館の件でございます。これにつきましては、あの部長の方から、もし補足があれば補足させたいと思いますが、私としては、年度内のですね基本計画の取りまとめということにつきましては、先々のスケジュールも考えますと、是非スケジュール通りやりたいということでございますが、検討会につきましては、既に、年末に向けまして、もう少し早い時点でのですね、意見集約を考えておりましたが、これは高知市との関係があって、1回既に当初の目論見よりは、遅らせてという形で柔軟に対応してきたということはございますので、年度内という期限というのは大事にしながら、検討会の会議そのものについては ですね、委員の皆さんのご意見もお聞きしながら、コンセンサスができる限り円満な形で得られるような運営というのについてですね。委員長さんと相談をさせたいという風に思っております。以上であります。

 

●塚地議員 ご答弁ありがとうございました。今のご答弁では(参与の)政治的中立性をどう担保するのかというのは、やはり私は全く不透明だったと思います。

(参与としての勤務の)3日が、いつが3日なのか、いつの段階が特別職の公務員なのか、私的な対応なのかということが、全く集約のしようがないですよね。私はかえって県民の皆さんから、こういう人事が本当にいいのか、という声はこれから上がってくると思いますので、是非そこの透明性をどう確保するかという点については、もっと心を砕いていただきたいし、ということをお伝えしておきたいと思います。

で、県民体育館の問題はですね、50年先を語る問題なんです。今、ぢばさんセンターの大ホールのあり方の検討委員会も含めて、やっぱり様々な意見がまだ出てきていて、私は、まだまだ聞かれていない現状があるという風に思います。消防の時にやっぱり様々な意見が出て、一定の猶予を持たせたというぐらいの構えで、この県民体育館、アリーナ問題も検討をしていただくよう強く要請をいたしまして、一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。