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- 2025年12月17日
- 議会(質問・討論)
- 2025年12月議会 はた愛議員の一般質問(2025.12.11)
【質問項目】
・長時間労働是正と県の「働き方改革」について
・公共施設、長寿命化対策について
・多文化共生の基盤整備について
・農政、増産計画と担い手確保について
●はた議員 日本共産党のはた愛でございます。通告に沿って一般質問を行います。
質問の前に共通する大きなテーマとして、浜田県政は、人口減少の中、次の時代を担う若い世代、働く人など現場の声に本当に共感していると言えるのか、この視点を大きなテーマとして、以下、問いたいと思います。
【長時間労働の改善と県の「働き方改革」について】
●はた議員 まず第一に、長時間労働の改善と県の「働き方改革」について、伺います。
長時間労働が心も体も蝕むという事実は、今や労働者も使用者も共通の認識となってきました。
特に過労死と長時間労働の因果関係は、医学的にも、また司法裁判の場でも認められていますが、では、過労死や長時間労働は改善しているといえるでしょうか。
厚生労働省の資料では、過労死等に関する労災認定件数が報告されていますが、過去5年を見ますと、2020年802件、2021年803件、2022年910件、2023年1,108件、2024年1,304件と、うなぎ上りに増え、過去最多となりました。また、高知労働局管内の認定件数を見ると、2022年4件、2023年8件、2024年7件と増加傾向にあります。
労働者の人口は、減少傾向でも過労死や業務災害に関わる認定数は、増えているのが日本の現状です。
また、厚生労働省・男女共同参画白書2024年版の「労働時間と睡眠時間の関係」の調査報告では、日本はOECD諸国の中で、平均7時間程度で最下位です。特に40代~50代は平均5時間程とのデータもありますが、労働者世代の現状は、育児と仕事の両立のためには、睡眠時間を削って生活しているというのが、高知県でも共通する実態ではないでしょうか。
その原因は、自己責任的な風潮が根強く残っていることと、長時間労働の是正や賃上げの支援策など環境整備が、まだまだ不十分だからだと思います。
だからこそ、政治や行政の後押しが必要不可欠になっていると考えます。
しかし、高市政権は、裁量労働制の対象を拡大することで、時間外労働の上限規制(月80時間)をさらに緩和する検討を厚生労働省に指示しました。政府は、働きたい人が長時間、働けるようにと説明しますが、現実と乖離した認識です。
多くの労働者は、「低賃金がゆえに長時間労働をせざるを得ない」とし、精神疾患も増え、働けなくなる人が増えていると声を上げています。
これを受け、2025年8月28日、全国労働組合総連合(全労連)は、国及び労働局など関係機関に対し、労働政策審議会に関しての「意見書」を提出しています。
その中で、労働時間の規制について、次のように述べています。
「日本は未だ長時間労働が蔓延しており、欧米諸国と比べても労働時間が長い実態は変わっていない。」、また、「使用者側は、働き方改革の取組が相まって一定の効果が上がっていると、述べているが、過労死・過労自死は増加傾向である。」とし、職場の現状から見れば、労働時間そのものを規制する必要があると述べています。
さらに裁量労働制について、労働者側の委員からは「裁量労働制の拡大は、長時間労働を助長しかねないため、安易に行うべきではない」などの意見が示されました。
特に、裁量労働制の問題点については、「使用者が本来負うべき実労働時間管理の義務をなくし、一定の時間働いたとみなし、割増賃金の支払義務を免れることである。しかも、使用者は「業務遂行の手段と時間配分の決定」を労働者に委ねるものの、業務量、納期の決定権を握っているため、労働者は容易に、長時間労働に追い込まれることになる。」とし、このような裁量労働制は「過労死・過労自死の温床と言うべきであり、もはや廃止すべきである、規制の緩和はすべきではない」と述べています。
このように、国が示す各種の調査データや審議会等で出されている意見を見ても、長時間労働や睡眠不足が引き起こす健康被害は深刻であり、その改善をどう図るのか、国や行政の責任が強く問われています。
しかし、今回、高市政権がやろうとしている裁量労働制の拡大による「働き方改革」というのは、時間外労働とはみなさない働き方を拡大する事であり、結果として長時間労働を許すものです。
まさに、働く者の健康被害、危険性を軽視した政策提案であり、規制緩和はすべきではありません。
県内の労働者の命と健康を守り、やりがいを感じられる労働環境をつくっていく意味でも、この問題に対する知事の姿勢や発言が重要になってくると思います。
◆政府の動きは、労働基準法などに位置づけられる、長時間労働の規制や健康被害の解消を目指す法律の目的に逆行すると思います。とりわけ長時間労働にもつながる裁量労働制は、苦しんでいる労働者の実態から見れば規制強化は、最低でも必要ですが、知事の認識をお聞きします。
○県知事 はた議員のご質問にお答えをいたします。
まず、いわゆる裁量労働制の規制強化の必要性に対する認識についてお尋ねがございました。ご紹介がありました裁量労働制は働いた時間にかかわらず、仕事の成果や実績などで評価を決めるという趣旨の制度でありまして、労使の間であらかじめ定めたいわゆるみなし労働時間で管理をするというものであります。
この制度は仕事の進め方を労働者の裁量に委ねますことで、自らの知識技術を活かし、創造的に働くことを可能とするということを趣旨といたしまして、昭和62年に創設されたものであります。その後、令和3年度の裁量労働制実態調査に関する専門家検討会では、労働者の裁量と健康を確保する方策などについて、課題があると報告をされました。
私なりに平たく申し上げれば、理念あるいは建前としては従業員の方々が自分自身の自主的な意思で働くということではありますけれども、事実上の問題としては、仕事を意に反して強いられるという側面があるのではないか、といった問題意識、あるいは、結果として過労死に繋がりかねないような長時間労働を助長する、そうした側面があるのではないか、というような懸念がこの背景にはあったのではないかというふうに理解をしております。
こうした懸念を払拭いたしますために、令和6年4月には労働者本人の同意やその撤回に関する手続きを労使で定めまして、使用者が労働基準監督署に届け出るように法改正が行われたというふうに承知しております。その結果、本制度の適用は労働者本人の同意が前提となりまして、同意しなかった場合、あるいは同意を撤回する場合に労働者に対し、不利益な取扱いを行うことも禁止をされました。
さらに、使用者におきましては、いわゆる勤務間インターバルの確保など、労働者の健康や福祉を確保すること、苦情の処理に関する措置を講じることとされているところでございます。従いまして、この法改正が行われた後の現在の制度につきましては、このように労働者保護の観点から改善をされたものとなっていると考えますので、この制度が今回の法改正の趣旨に沿って適切に運用されていくということが何よりも重要なのではないかというふうに考えております。
また、お話がありましたように、今後、国におきまして、労働時間規制の緩和の検討が行われるということになろうかと思いますが、そうした際にも、今回のこの裁量労働制に関します法改正の経緯というものも踏まえまして、あるいは教訓というのも踏まえまして、例えば労働者自身の自主的な判断の保障、あるいは健康の保持のための仕組みの確立といった観点で、労働者保護の考え方が実効性をもって実現されると、そうした制度としていくということが必要なのではないかというふうに考えております。
●はた議員 本来、過労死や業務災害につながる脳・心疾患と精神疾患を防ぎ、家庭と仕事のバランスも取れるような働き方へ、国だけでなく、自治体レベルでも改革が必要です。特に長時間労働の規制と賃上げをセットで支援するなどの取り組みは効果があると専門家も紹介しています。
まず、高知県内での長時間労働の実態ですが、高知労働局の定期監査の報告では、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果、違法な時間外労働があったものが60事業場、違反率44.1%、健康障害防止措置が不十分なもの59件や労働時間の把握が不適切なものが18事業場です。
そこで、県自身「働き方改革」について、どう取り組むのか。今回、県が打ち出した残業代1.5倍化について、問いたいと思います。県独自の予算で、残業代を増やすわけですが、本当に県職員の長時間労働は減るのでしょうか。
議員が県の職員の働き方に口を出すのは、どうかというご意見もあるとは思いますが、「全体の奉仕者」である公務員の労働は、県民の暮らしに直結していますし、上乗せの残業代は県民が負担するという点からも、効果ある取り組みを求めたいと思います。
県は今年9月、東京の株式会社ワークライフバランスと協定を結び、県職員を対象に、残業代の割り増し賃金率を大幅に引き上げ、残業時間を減らす方針を示しました。社会実験として来年度については、現行の割り増し率25%を50%へ、引上げるとしています。担当課は、「時間外に対する意識改革を進める」と説明していますが、本当に意識の変化をつくれるものなのか、残業が減るのか、疑問や期待など色んな声が庁内外から聞こえてきます。
県の知事部局における時間外の労働時間は、過去5年を見ると一人当たり、月平均が13時間前後で推移しており、大きく残業が減る状況には至っていません。現状は、人手不足が解消せず、一人の職員が抱える仕事量は減らず、増えている現場も存在していると聞いています。
◆知事部局も含め、県教育委員会及び県警察本部における、長時間労働者に対する医師の面接指導の実施となった、昨年度の延べ人数と、その傾向について、総務部長、教育長、県警本部長にお聞きします。
○総務部長 まず、長時間労働者に対する医師の面接指導を実施した昨年度の延べ人数とその傾向についてお尋ねがございました。
昨年度の知事部局における長時間労働者に対する医師の面接指導の実施者数は延べ90人となっており、近年は100人前後で推移しております。
○教育長 まず、長時間労働者の面接指導の実施者数と傾向についてお尋ねがございました。
県教育委員会事務局と県立学校における、昨年度の医師の面接指導の実施者数は延べ57人でした。近年は60数名で推移しており、昨年度は少し減少しております。
○警察本部長 まず、県警察における長時間労働者に対する医師の面接指導に関するお尋ねがございました。
県警察におきまして、令和6年度に長時間労働者に対する医師の面接指導を実施した者の数につきましては、延べ、133人で近年減少傾向となっております。
●はた議員 ◆これまでの時間外労働の縮減の取り組みの検証から見えてきた課題とは何でしょうか。
意識改革と言うならば、職員の生の声を掴むアンケートなど、実態調査も重要だと思いますが、どう進めていくのか、総務部長にお聞きします。
○総務部長 次に、これまでの時間外縮減の取り組みから見えてきた課題と意識改革の進め方についてお尋ねがございました。
県におけるこれまでの取り組みとしては、業務の効率化という観点でRPAによる業務プロセスの自動化、生成AI、電子申請といったデジタル技術の活用を積極的に進めてまいりました。また、多様な働き方という観点で早出・遅出勤務の導入やスマートオフィスの整備に加えて、今年度からはテレワークの回数制限を撤廃するなど、働きやすい環境づくりに努めております。
こうした取り組みにより、知事部局における時間外勤務は平成30年度をピークに減少に転じておりますけれども、近年はほぼ横ばいといった状況にありまして、さらなる取り組みが必要と考えております。
このため、9月議会において多様な人材を確保するための短時間勤務職員制度の新設や職員の時間外勤務に対する意識の変化を促すための時間外勤務手当の割増率の時限的な引き上げなど、全国初となる制度の導入を提案し、可決をいただいたところです。
こうした取り組みに加えて、9月に協定を提携したワークライフバランス社の協力を得ながら、現在幹部職員向け、管理職員向け、全職員向けの会議や研修をそれぞれ実施し、職員の意識改革を促しております。
あわせて、全職員を対象に仕事に関するアンケートを実施することで、業務量、働き方改革への考え方、職場の雰囲気などを把握し、取り組みの参考として活用しております。職員の意識改革には一定の時間が必要と考えますが、全職員が一丸となって精力的に取り組むことで、しっかりと成果を上げてまいります。
○総務部長 次に短時間勤務職員の採用計画についてお尋ねがございました。
本年度の知事部局における短時間勤務職員の募集については、行政職5名のほか、各技術職で合計12名の募集を行っており、現在採用試験を実施しているところです。
今回は初めての実施ということも踏まえ、この募集人員としたものですが、例えば行政職では応募が98名となっており、関心の高さがうかがえます。
来年度につきましては、こうした応募の状況や配置後の職場の状況などを見ながら、募集する職種や人員数を検討してまいります。
○警察本部長 次に、長時間労働の是正につながる新たな人員確保策などについてお尋ねがございました。
県警察といたしましても、長時間労働を是正し、仕事と家庭がより両立しやすい場環境づくりを進めていくことは大変重要であると認識しております。
この観点から、刑事手続きのIT化など、デジタル化の推進による業務の合理化を進めるとともに、多忙な所属への本部による支援体制の拡充など、さらなる業務の在り方の見直しと人的リソースの最適化を図ってまいります。
また、優秀な人材の確保に向け、本年度から従来の教養試験に変えて、民間企業の採用試験で広く活用されておりますSPI試験による採用試験も開始したところであります。
今後も職場の魅力を高めるとともに、実態に適した採用施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
●はた議員 やはり、仕事量など内容の見直し抜きに、「意識改革」を職員に求めるだけでは、無理があると思います。厚生労働省も長時間労働や休暇が取得できない状態が続くと、仕事への意欲や効率の低下を生むとし、仕事にやりがいや充実感を得ながら責任を果たすには、適切な労働時間で効率的に働き、休暇が取得できる環境、業務体制が不可欠だと、働き方改革のポイントを示しています。
県としても、新たな人員確保策や、さらなる業務の簡素化への具体策を示すことが大事です。
この点で、県は全国初の取り組みとして、短時間勤務職員の採用枠を新設するとしています。
例えば、育休等の職員の代替え配置や、事務処理が時間外になっている職場への配置が可能と説明しています。長時間労働の是正の大きなカギは人員確保です。その意味で今回の人員確保策が、どれだけの予算で、どの範囲を対象に取り組むのか、その規模感が大事な点だと思います。
◆知事部局の採用計画は17人うち行政職は5人としていますが、実態から見て少な過ぎではないでしょうか。
今後は、必要に応じ増員していく事も必要だと思いますが、どう対応するのか。総務部長にお聞きします。
○総務部長 最後に、県と市町村における土木職の採用状況、技術職員確保計画の状況、そして職員確保の取り組みにつきまして、お尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。
直近の令和6年度の土木職の採用試験の状況は、県では38名の募集に対して採用者が15名、市町村では50名程度の募集に対して採用者が13名となっており、県市町村とも新規採用職員を十分に確保できない状況が続いております。
技術職員の不足は全国的にも同様でありますので、県が技術職員確保計画を策定し、市町村支援に対応する職員等を確保する仕組みが令和5年度に導入されたところです。
本県において、市町村支援に従事する土木職員について令和7年度の計画数4名に対して実績は1名であり、計画の最終年度である令和10年度の計画数13名についても、現状の採用状況のままでは達成が厳しいと考えております。
こうした状況を改善するため、県では採用試験において、新たに専門試験を廃止し、SPIを活用した試験の導入や試験時期の前倒しなどを行ってまいりました。また、土木職員の業務とその魅力をPRするため、県内の学校への出前授業のほか、動画やパンフレットの制作などを行っており、本年度も新たなPR動画の作成などに取り組んでおります。
今後も県職員の確保策を検討するとともに、市町村の職員採用を支援していくため、他県の事例なども参考としながら、採用試験の共同実施や広報手段の充実などの取り組みについても検討してまいります。
●はた議員 ◆また、学校や警察の現場においても、長時間労働の是正につながる新たな人員確保策などに、どう取り組んでいくのか。教育長、県警本部長にお聞きします。
○教育長 次に、長時間労働の是正につながる人員確保についてお尋ねがございました。教員が子どもたちと向き合う時間を確保し、教員でなければ対応できない本来業務に集中できる環境を整備することは大変重要だと考えています。
そのため、国の事業も活用しながら、授業準備の補助休み時間の見守りなどに従事する教員業務支援員や部活動指導員といった外部人材の配置拡充に努めてまいります。加えて、体力などの理由でフルタイム勤務に不安を感じる教員も活躍できるよう、65歳以上も含め、週3日など短時間勤務講師の職を設け、授業や学級運営などを担っていただくことも検討しています。これらの人員をしっかりと確保していくことで、教員の負担軽減を図って参りたいと考えております。
【公共施設の長寿命化対策について】
●はた議員 次に、公共施設の長寿命化対策についてお聞きします。
公共施設、公共インフラの老朽化対策はまったなしの状況となっています。
県の公共施設等総合管理計画では、長寿命化の効果について試算しており、予防保全型の維持管理を実施し、築50年で改修を行うことにより、個々の施設の寿命を延ばすことで、建て替えコストを削減し、ライフサイクルコスト(生涯費用)の平準化と低減を、図ることが見込まれるとしています。
また、個別の施設の類型ごと(学校、庁舎、警察施設、文化施設など)に具体的な「個別施設計画」を策定し、PDCAサイクルを回して、着実に実行するとしています。
今回、問題になっている県民体育館の建て替えについても、当然、公共施設等総合管理計画の示すスリム化の効果や、スマートシュリンクの考え方でもある「必要なものは残す」という点に沿って、将来を見通したライフサイクルコストや規模、住民や関係者との合意は大事にされるべきと考えます。
こういった視点に立てば、住民が日常的に利用している施設については、再配置や統廃合、廃止などが検討される場合、担当部署などが説明会を実施し、住民や関係者の意見を丁寧に聴取する必要があると思います。
しかし、ぢばさんセンターに関しては、長寿命化を実施する方向性が示されている中で、大ホール機能が現位置から無くなる、新県民体育館に集約される話が突然、浮上し、これに対して高知商工会議所及び高知県工業会からも「現位置での存続支援」や「新体育館との役割分担」を求める申し入れが、知事に出されました。現状は、関係者の合意や納得は得られておらず、県立体育館への集約化は、強引に進めてはならないと思います。
◆ぢばさんセンターの大ホールについて、関係者が県立体育館への集約化は困難であると見解を示している事は、尊重されるべきと思いますが、知事の認識をお聞きします。
○県知事 次に、ぢばさんセンター大ホールに関します商工会議所等からの申し入れへの認識についてお尋ねがございました。
ぢばさんセンターは築後約40年が経過いたしまして、施設の老朽化が進み、利用者も減少傾向にあります。今後40年程度利用できるような長寿命化を行うためには多額の費用を投入いたしまして、大規模修繕を行うことが必要だと、そんな状況にあるところでございます。この状況を踏まえまして、この大ホールの廃止の可能性も含めた施設存廃存続の可否を検討するために、本年7月に関係団体有識者で構成をいたします。「ぢばさんセンター大ホール等あり方検討会」が設置をされたというふうに承知をしております。
一方で、本年9月に開催されました新県民体育館の方の検討会におきましては、このぢばさんセンター大ホールの展示会などにつきましても、新しい県民体育館で実施ができるように検討すべきだというご意見がございました。また、この10月のぢばさんセンターの方の検討会におきましても、新県民体育館で展示会などが実施可能な場合には、同規模の施設が2つも必要なのか、財政面も含めて検討が必要ではないかといった、集約化等の必要性を示唆するようなご意見も出されたということでございます。
こうした状況を受けまして、この10月の下旬にお話がございますように、高知商工会議所、そして高知県工業会の連名で新県民体育館と大ホールの間の役割分担を前提とした上で、新しい体育館が整備された後も大ホールを存続させてもらいたいと、そのための県市の支援を継続してもらいたいといった趣旨の申し入れがあったということは、ご指摘のとおりでございます。
そういう意味では、この集約化の方向性に対して相反する意見が出される状況ということでございました。そういう意味で、県といたしましては、大変悩ましい判断を迫られたわけでございますけれども、これまでの両検討会の検討経緯、そして、この両事業の整備のパートナーとも言うべき高知市側のご意向こういったものも踏まえ、そして今後50年といったタームで人口減少がさらに進んでいくというようなことを考えました場合には、総合的な判断として、やはりできる限り集約化の可能性がある限りはその集約化の可能性というのは追求をしていくべきではないかという観点に立ちまして、この新県民体育館の整備に関しましても、大ホールの機能の集約化が可能な規模を前提に検討を進めることが適当だろうというふうな判断に至りました。
この判断を踏まえまして、今月初め高知市に対しまして、最新の県民体育館の配置案につきまして、提示をさせていただくというような経過をたどっております。この申し入れについて、商工会議所等の理解を得ているのかということに関しましては、高知市とのやり取りを行う過程の中で、県の幹部職員をこの商工会議所等に送りまして、県といたしましては、大ホールの機能を新県民体育館に集約化すると、そういう選択肢を優先して、検討すべきものというふうに考えているということにつきまして、丁寧に説明をいたしまして、この申し出の中でご懸念がありました駐車場不足の問題、あるいは搬入口の確保の問題、こういった点についても対策を講じる考えだということも併せまして、説明をし、意思疎通を図ったところでございます。
こうした過程を経まして、今後の方針といたしましては、年内に新しい県民体育館の検討会が行われる予定がございますので、この場でえ最新の県としての配置案をご説明をし、まずはこの県民体育館側の検討会におきまして、その対応の方向性について意見の集約をお願いをしたいというふうに思っております。これを踏まえました上で、年明けにはこのぢばさんセンター側の検討会、こちらには、申し入れをいただいた商工会議所工業会からの代表も入っていただいておりますので、こちらの検討会におきまして、この県民体育館の側のお整備の方針の動向を踏まえて、このぢばさんセンター側の集約化についても、ご議論をいただくということをお願いいたしまして、いずれにいたしましても、年度内にはこの双方の検討会でのご議論が、双方いわば整合がとれる形で、決着が見られるように県として、努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。
●はた議員 次に、そもそも公共施設の維持管理やインフラ等の老朽化対策を実施するために、不可欠な技術職員が不足している問題について問いたいと思います。
公共施設の長寿命化対策や再配置問題、住民説明などは避けては通れない問題です。だからこそ、そのあり方や仕事を担う職員の体制を充実させる責任が問われます。
国の調べでは2005年度から2021年度にかけて、市町村全体の職員数は約9%減少しましたが、そのうち土木部門の職員数は約14%減少し、相対的に土木技術系職員の減少が目立っています。
さらに、技術系職員が5人以下の市町村は全体の約5割にのぼり、必要なメンテナンスが増える一方で、予算と人員が減少している状況です。高知県においても、傾向は同様です。
◆高知県や県内市町村の土木職の採用状況はどうなっているでしょうか、総務部長にお聞きをします。
●はた議員 2022年度の国土交通省「防災・減災対策の効果検証報告書」では、技術職員が充足している自治体では、災害からの復旧期間が平均で37.2%短縮されるというデータがあり、専門職の存在が住民の安全確保と早期の生活再建に直結することが示されています。
すでに国は、人材確保策として2020年に、復旧・復興支援職員派遣制度を創設し、災害時だけでなく、平時においても自治体職員の不足問題に対応するとしています。
例えば、大規模災害時には市町村へ技術職員を中長期的に派遣し、平時においても技術職員不足の市町村を支援するとして、必要な人件費を国が都道府県に対し交付税措置しています。
また、2023年度からは各都道府県に「技術職員確保計画」を要請し、計画的な技術職員の確保を国あげて求めています。しかし、県を含め、県内どこの市町村も、老朽化対策の仕事は急激に増えているのに、技術職の採用に手が上がらず、困っているとお聞きをしています。
◆南海トラフ巨大地震を前に技術系職員の確保は県の重要な仕事でもあります。国の交付税措置が活用できる技術職員について、県の「技術職員確保計画」における、市町村支援の計画数と実際の配置人数を総務部長にお聞きします。
●はた議員 官民問わず、建設業界の人手不足は、他産業と比較して突出しています。
2024年2月時点のハローワークの統計では、全産業の有効求人倍率が1.2〜1.3倍程度で推移する中、建設関連職種は、軒並み高い数値を示しています。例えば、建設躯体工事の職業は 9.75倍、建築・土木・測量技術者は 7.09倍、土木職は6.80倍です。官民とも技術職員の獲得競争を余儀なくされています。
この問題は、他県も同様であり、様々な取り組みが国の資料でも紹介されています。
例えば、広島県や奈良県、埼玉県では、県が事務局となり、市町村合同の試験を行い、市町村の職員を採用する取り組みを支えています。広島県では、共通となる試験は面接試験のみで、その後、各市町が行う個別試験において、筆記試験、SPI、適性検査など自由に実施しています。
各市町の受験要件、業務内容や処遇、共通実施する面接試験の試験日程を事前に公表した上で、受験生が受験先を3市町まで選択できるようにしているのが特徴です。
◆高知県も新たな技術職員確保の工夫が必要ではないでしょうか。紹介したように、他県では採用試験の工夫が行われています。人材確保や育成、技術の継承につながる、積極的な取り組みが必要と思いますが、県全体を考えて、今後、技術者不足をどう改善させていくのか、総務部長にお聞きします。
【多文化共生の地域づくりについて】
●はた議員 次に、多文化共生の地域づくりについてお伺いします。
外国の方も安心して働き、暮らせる街へ、県民の理解や環境整備が必要になっています。
各産業界にとって、外国人が共に働く仲間となってもらえることは、人手不足の解消へ、大きな期待がある一方で、地域での生活面では、言葉や生活文化の違いからトラブルも心配されています。
共に生きる生活者として、また共に働く仲間として、多様な国の人々の人権と暮らしを尊重できるよう、県が進める「多文化共生推進プラン」には、期待が寄せられています。
私自身、先日、高知県と姉妹都市協定を結んでいる、フィリピン・ベンケット州を50周年記念の訪問団の一員として訪れました。高知県との関係では、須崎市の農業団体は、技能実習生等を通算900人程度受け入れて来られました。
研修を終えたフィリピンの実習生たちは、高知で学んだ農業技術を活かし、ベンケット州ではイチゴのハウス栽培ができる農業基盤がつくられ、地元農業を大きく発展させていました。
ベンケット州で生産する野菜は、フィリピン国内に流通する野菜の約6割のシェアをもつそうです。一方、日本においては、疲弊する農村や漁村を直接支える働き手として、技能実習生たちが高知の産業基盤を支えてくれているのも事実です。改めて、姉妹都市交流や技能実習生などを受け入れる取り組みが、お互いの産業や経済分野を発展させる大きな力になっていると実感しました。
◆県は、フィリピン・ベンケット州と姉妹県州協定の再宣言を行いましたが、新たな50年に向けて、どのような交流の輪を発展させていくのか、知事の思いをお聞きします。
○県知事 次に、フィリピンのベンゲット州との今後の交流についてお尋ねがございました。
これまでベンゲット州とは農業分野を中心とした技能実習生の受け入れのほか、州政府の職員を技術研修員として受け入れるなど人的交流を重ねてまいりました。
今回の訪問ではこれらの交流を通じまして、本県に来られた方々と意見交換の機会を設けていただきました。長年にわたって積み重ねられました。両県・州の交流の輪が確実に広がっているということを実感いたしました。
そして、ご紹介もございましたように、技能実習生として来られていた方々の中からは高知で学んだハウス栽培の技術を活かして、現地でいちご農園の経営に成功されているという方もおられるというふうにお聞きをしたところでございます。
今後はこのように実績を積み重ねてまいりました農業分野での交流をしっかりと継続をし、お互いの地域の活性化につなげていくということが重要であると考えます。
加えまして、本年の2月には、高知大学の人文社会科学部が勧めます多文化共生社会の構築に関わるプロジェクトのご縁で、高知大学と国立ベンケット大学との間で交流の協定が締結されるといったような動きもございまして、教育や研究分野での交流の芽も生まれてまいっております。
次の50年に向けまして、実績の今までございます農業分野はもちろんでありますが、教育や文化など様々な分野で交流の輪がさらに広がりますように、関係する皆さんと共に取り組んでまいる考えであります。
●はた議員 また、県内の介護や医療の現場でも日本語や文化を絶えず学習し、目の前の仕事にも必死に向き合い、スキルアップを目指している外国人の姿があります。いの町のある介護現場で働く技能実習生は、「お世話するお年寄りが喜んでくれている、嬉しい」と話してくれました。
◆県が進める「多文化共生推進プラン」の策定にあたっては、理念だけではなく、具体的な施策が必要だと思います。どのように実施していくのか、文化生活部長にお聞きします。
○文化生活部長 多文化共生推進プラン、仮称でございますけれども、このプランの具体的な施策についてお尋ねがございました。
現在策定中のプランにつきましては、住民に身近な市町村をはじめ、関係者の皆様にご意見をお伺いしながら、コミュニケーション支援や生活支援などの項目ごとに盛り込むべき施策の検討を進めています。
例えば、コミュニケーション支援では、事業者からのニーズが高まっている外国人従業員に対する日本語学習につきまして、これまでの補助金による支援に加えて、日本語を指導できる有資格者を紹介する仕組みづくりを検討しています。
また、生活支援では外国人の方々が転入される際などに市町村に活用いただけるよう生活する上で必要な情報をまとめた冊子の雛形の作成などを検討しているところです。
今年度末に策定するプランにはこれまで取り組んできました地域日本語教室の運営や交流拠点の整備等を行う市町村への支援などに加えまして、こうした新たな施策を盛り込むこととしています。
多文化共生の地域づくりを進めるためには、まずは自分たちの国や地域の歴史や文化を理解し、再認識しつつ、相手方の国や地域の歴史や文化を理解し、尊重することが重要であるというふうに考えています。こうした認識のもと、プランの実行に当たりましては、日本人と外国人、それぞれの県民の皆様が国籍にかかわらず、お互いを尊重し合いながら地域で共に安心して働き、生活ができる多文化共生社会の実現を目指して、市町村や事業者の方々と一体となって施策を推進してまいります。
●はた議員 また、環境整備の点では、市町村や関係機関との連携を大事にして欲しいと思います。
特に、技能実習生たちは、来日後「日本語教育」などを一定時間受けることが義務付けされていますが、先日、須崎市が日本語教育施設を設置する方向で議論しているとお聞きをしました。
県内でも、法令で定められている日本語講習などが受けられる施設が一定数増えることは、県の目指す多文化共生ビジョンの方向性とも、合致するのではないでしょうか。
◆今後、技能実習生の入国後の講習施設の整備については、県の支援も必要と思いますが、県は、どのように取り組んでいくのか。商工労働部長にお聞きします。
○商工労働部長 技能実習生の入国後講習施設の整備に向けた支援についてご質問がありました。
入国後講習は、技能実習生が日本へ入国後、技能実習を始める前に実施される講習で、日本での生活や技能実習にスムーズに適応できるよう、日本語教育や生活ルールなどの指導が行われるものです。
技能実習生の受け入れ窓口となる県内の監理団体では、地元大学と連携した出前授業の実施など、工夫を凝らした報酬を自ら実施している団体もありますが、県内にある24団体のうち、16の団体が県外の講習施設を利用している状況です。県外の講習施設では本県の方言や生活ルール、また、産業や文化の特徴を学ぶ機会はほとんどなく、県内事業者が技能実習生を受け入れる際の課題にもなっています。
こうした課題の解決に向けては、国の法令に基づく、適正な講習はもとより方言や生活ルールに加えて、地域住民と交流できる機会を得るなど、技能実習生が本県での生活と仕事をスムーズにスタートできる、こういった知識を学ぶ施設が必要であると考えています。このため、県内の監理団体が共同で利用できる施設のあり方などについて、県内事業者や監理団体などのニーズもお聞きしながら、今後の支援の方法を検討していきます。
●はた議員 特定技能実習などの制度改正により最長10年の在留資格が認められるようになりましたが、技能実習生に限らず、日本で暮らす外国人の数は年々増えています。高知県では10年前との比較で約2倍、76ヵ国、6848人の外国人が生活をしています。その中で外国にルーツを持つ子ども達も増えています。
例えば、高知市では、日本語指導が必要な帰国・外国人児童・生徒に対して、支援員を2名配置し在籍校の訪問をしながら日本語指導を行っていると聞きました。
また、週1回、日本語教室を開催し、日本語指導員2名が支援をしているそうですが、2024年度、2025年度とも11ヵ国から11種類の母国語を言語とする児童・生徒が在籍しています。
全体数は2020年度12名、2024年度は30名。この5年間で2.5倍です。
県が多文化共生を進める一方で、外国人に対する差別的な言動も心配されています。教育の分野でも、十分な配慮と体制が必要だと思います。
◆まず、教育保障という点で、多様な文化、言語に対応できる体制の充実が必要と考えます。
各市町村からも加配教員を含めた、県費負担教職員の配置の増員について、強く要望が出されていると思いますが、この要請に応え、新年度はどの程度増員するのか、教育長にお聞きします。
○教育長 最後に、多様な文化言語に対応できる体制の充実に係る県費負担教職員の配置の増員についてお尋ねがございました。
義務標準法における日本語指導担当教員の配置定数は対象児童生徒18人に対して1人と定められており、本年度は3名の日本語指導担当教員を小中学校3校に配置しております。
本県の実情として、各市町村に対象の児童生徒が点在しており、現行の配置基準では全ての学校に担当教員を配置することは困難な状況です。県教育委員会としましては、1人でも多くの教員を配置できるよう、引き続き。国に対して定数改善及び加配の要望を行ってまいります。
【農政における、増産計画と担い手確保について】
●はた議員 最後に、農政における増産計画と担い手確保についてお聞きします。
石破・前首相は、この間の米価高騰の原因が需要に対して供給が少なかった、つまり米不足であったことを認めた上で、「コメの増産」に舵を切ると表明しました。
しかし、高市新政権は、一転してそれまでの自民党政権が行ってきた「需要に応じた生産」に政策を戻しました。政府が検討している来年の収穫量の目安では、来年は減産となると報じられています。
また、適正価格は市場で決まるとして、政府は関与しない方針です。
もともと今回の米価高騰の原因は、「需要に応じた生産」という方針のもと、ゆとりのない生産を続けてきたことにあります。政府は備蓄米を放出しましたが、手立てが後手後手となり米価は、高止まりしています。政府の備蓄米は、30万㌧余りしか残っておらず、大幅な増産へと転換し、ゆとりある需給・備蓄計画を立てる必要があります。
地域の農家は、政府の方針が揺らぎ、「来年の作付けや米価も、どうなるのか先の見通しが立たない」と声を上げており、また消費者は、「手ごろな値段でお米が買えるようになるのか不安」と訴えているのが今の状況です。
県議会では、2月定例会で「米の価格高騰対策と安定供給の仕組みづくりを一体で進めることを求める意見書」を全会一致で可決しています。その中には、「米の生産量は、安定供給を見通した方針とするとともに、価格安定に努めること」という項目があります。
お米は、主食であり、一日も早く生産者・消費者双方が安定した生活ができるようにしなければなりません。
◆安定した価格やゆとりある備蓄を実現する為に、お米については増産する方針が重要と思いますし、また、国は補正予算でお米など、足元の高騰対策にも活用できる「重点支援地方交付金」を示しました。県としても、何らかの対策を行う必要があるのではないでしょうか。県の考え方と取り組みについて、知事のご所見を伺います。
○県知事 最後に、米の価格安定に向けた増産方針、また物価高騰対策の重点支援地方創生臨時交付金に対する考え方、取り組み方針についてお尋ねがございました。
米は日本の主食でありまして、食料安全保障の観点からも全国でバランスよく生産し安定供給されることが重要であります。そのためには、生産者にとって再生産が可能であると同時に、消費者にとっても購入しやすい、そうした価格となるということが必要であると考えます。米の価格は市場で決まるものでございますので、必要な備蓄を含めまして、受給のバランスを取りながら価格の安定を図っていくと、これが国の責務であるというふうに考えております。
令和7年産の主食用米の生産量につきましては、前年比で1割増の748万トンと需要量の711万トンを大きく上回る見込みというふうにお聞きをしております。
このまま供給過剰が続きますと、再生産可能な価格は維持できず、米の供給力の低下につながり、結果として消費者の皆さんにも大きな影響を生じる可能性がある、そうした状況ではないかと考えております。今後の米生産につきましては、まずは精緻な需要予測に基づきまして、需要に応じた生産を行っていくということで、需給を安定させていくということが必要だろうと考えております。その上で、国内外でのさらなる需要拡大を図りながら、需要に応じて増産をしていくという考え方で対応することが重要と考えます。
県といたしましては、本県の米生産が将来にわたり持続可能なものとなりますように地域のニーズに応じた基盤整備やスマート技術、機械導入への支援など生産性の向上に向けた取り組み、あるいは、中山間地域の気象条件を活かして生産される品質の良い米のブランド化や販路拡大の取り組み、こういった施策をしっかりと推進をしてまいりたいと考えます。
また、重点支援地方交付金を活用した支援についてのお尋ねがございました。
この米をはじめといたします食料品の物価高等に対して消費者を支援するという観点からは、今回の交付金の中で市町村に対しまして、全国で4000億円の特別加算の別枠を設けるという方針が国から示されております。従いまして、この特別加算を活用いたしまして、消費者の方々にどのような食料品の支援を行うかについては、それぞれの市町村において適切に判断がされるべき問題だというふうに考えております。
県に配分される重点交付金につきましては、今回追加提案させていただきました補正予算案におきまして、LPガス、一次産業への支援など早期に対応が必要な事業を、まずは予算計上をして審議をお願いいたしております。
残る配分額の活用につきましては、特に新しい価値を生み出す高付加価値創出型経済への転換につながるような施策、あるいは賃上げの支援、こういったものを中心に検討させていただいたうえで、2月の議会におきまして、ご提案をさせていただきたいと考えております。
私からは以上であります。
●はた議員 農林水産省が11月28日に発表した2025年の「農林業センサス」によると、仕事として主に自営農業に従事する「基幹的農業従事者」の数が、5年前の調査から34万2千人、25.1%も減少し102万1千人になっています。平均年齢は67.6歳です。このまま減少が続けば農村が崩壊し、食料の生産基盤が失われかねません。
高知県の「基幹的農業従事者」の数は、5年前から26.1%減少し、1万4292人です。年齢構成は49歳までが15.6%、50歳代が12.1%、60歳代が22.5%、70歳代が33.9%、80歳以上が15.8%です。
70歳以上が約半数の49.7%であり、高齢になっても生産を頑張っていただいておりますが、後継者、担い手の育成を急がなければなりません。
ところが、本県の新規就農者の年度別の推移は、2019年の261人から、2020年217人になり、その後210人台が4年続き、2024年は171人と、前年から40名以上減少しています。
初期投資額の上昇や定年延長により、子育て世代の新規参入者やシニア世代の親元就農者数が大きく減少しているとの分析がありますが、これを突破していく取り組みが求められています。
おおもとには、アメリカや財界いいなりで、農産物の輸入自由化を受け入れ、価格保障や所得補償などの農業保護を投げ捨ててきた自民党政権の責任がありますが、その上で、県の取組について伺います。
◆県は昨年度から、農業分野でも女性活躍など新規施策も盛り込みましたが、成果が上がっているのでしょうか。農業振興部長にお聞きします。
○農業振興部長 まず、女性活躍などの新規就農施策の成果についてお尋ねがございました。
県では若者や女性の担い手を確保するため、昨年度から農業に興味を持ってもらい、魅力を知ってもらう取り組みを強化しています。具体的には、就農を希望する若者や女性のロールモデルとなる県内の農業現場でいきいきと活躍する若者や女性の動画の配信や、産地の農業者と直接交流する農業体験ツアーなどを実施し、本県農業の魅力を発信しています。
また、本年度は雇用就農者の確保に向けて、県内の若者に将来の就職先として農業の職場を知っていただくため、高校生や教員を対象とした農業職場見学会や一次産業の合同企業説明会を開催しました。イベントの参加者からは、農業への関心が高まった職業としての魅力が増した、といったご意見をいただいています。
こうした取り組みにより令和6年度の地域就農相談センターへの相談件数は289名で、前年度より59名増加し、本年度も同様の相談者数で推移をしております。また、その中で女性の相談者の数も増加してきており、強化した施策の効果が表れてきているものと考えています。
新規就農者を増やしていくためには、入り口となる就農相談者をさらに増やしていく必要があることから、農業や高知県に興味を持っていただいた方がより気軽に参加できるよう、来年度は新たにメタバースを活用したオンラインセミナーを開催するなど、取り組みを強化していきたいと考えています。
加えて相談いただいた方に、セミナーや農業体験ツアーなどのイベント情報や就農する際の支援メニューをタイムリーに提供するなど、本県農業への関心を持ち続けていただけるようフォローアップを継続し、1人でも多くの方の本県での収納に確実に結びつけていけるよう取り組んでまいります。
●はた議員 新規就農者の確保は、非常に大事なのですが、県は2024年に、独自に実施してきた50歳から64歳の就農支援策を廃止しました。この件については、支援対象の年齢を狭めるべきではないと議会でも質問しましたが、改善がないままです。その後、各地域の農業関係者からも同様の指摘の声が寄せられています。
例えば、昨年の高知市の農業委員が中心に取りまとめた「高知市農業施策等に関する意見書(建議書)」には、多様な就農希望者を対象とした支援制度の充実と題し、県や国に対して「50歳を超しても就農し、担い手として、地域の活性化に寄与している場合もある事から、年齢に関係なく就農希望者を支える仕組みが必要。その為、国・県の補助事業における年齢要件の見直しを求める」との意見が出されています。
今年も同様の意見書が上がっていると聞いていますが、しかし、意見書への対応について伺った際、県の農業担い手支援課は、「市長に出されたもので、県は知らない」と回答し、問題は無いとの姿勢です。市長に出されたものでも国や県への要望であり、それが届いていない、知らない状況は、生産者・関係者にとって不信と怒りでしかありません。『県・市連携』が不十分である現れでもあり、見過ごす事はできません。
◆まず、支援の年齢等の間口を広くしておくことの必要性と、改めて「高知市農業施策等に関する意見書」で、寄せられた県への要望について、今後はどう積極的に把握し、対応していくのか、農業振興部長にお聞きします。
○農業振興部長 次に、支援の年齢等の窓口を広くしておくことの必要性について、また市町村に寄せられた県への要望の把握についてお尋ねがございました。
お話のありました就農支援制度は、就農前の研修を受ける際に、国の支援対象とならない方に給付金を交付するもので、対象年齢は64歳までとして平成28年度に創設したものです。
近年30代以下の就農者数の減少が大きく、若者の確保対策への重点化や、これまでの事業の活動活用実績などから令和6年度に遅延対象年齢を国の制度と同じ49歳以下に引き下げました。
この対象年齢の引き上げについては、個別にお話をいただいている市町村もございますが、本年9月に実施した市町村へのアンケートやJAグループとの意見交換では見直しに関するご意見をいただいていないことなどから、限られた予算の中で、引き続き若者の確保対策に重点化するという観点から、来年度についても現在のスキームを継続していく方向で考えています。
一方で、令和6年度の新規就農者数は前年度から大きく減少しており、定年延長などで現在の仕事を続けられる環境が整ったことなどが影響し、50代、60代の親元就農の減少率は大きくなっています。このためシニア世代の収納に向けてどういった取り組みが効果的かにつきましては、検討していく必要があると考えています。
また、県の農業施策に対する要望等につきまして、これまで各市町村との担当者会議や個別のお問い合わせなど、随時お聞きをしているところでございます。合わせて、県内11の市の農業関係課で構成する都市農政連絡協議会やJAグループの農協農政会議との意見交換、さらには農家の方々とお会いできるさまざまな機会を通じてご意見を伺ってきたところです。
ご指摘のありました高知市農業施策等に関する意見書など、県の施策に関する内容を含む市町村への要望につきましては、県の取り組みへの貴重なご意見でもございますので、今後市町村としっかりと情報共有を図って参りたいと考えております。
今後も、市町村やJA等の関係機関や地域の農業者のご意見をお伺いしながら、施策の強化や見直しを図ってまいります。
●はた議員 最後に、農業者の話し合いを踏まえ、農地利用の姿を明確化した市町村の「地域計画」の結果が公表されました。高知県では、10年後に農地を受け継ぐ計画が未定となっている農地は約6割となっています。これは全国都道府県で見ると8番目に高い状況であり、高知県の農業での担い手不足の深刻さをより浮き彫りにしたと思います。
そのような中で、安芸市は公務職場ではありますが、農業の副業を認めました。また、先日の地元新聞では、高知市の職員が、ゆず農家の収穫を手伝い、汗を流している姿が報道されました。
◆県内で聞こえてくるのは、副業として農業を考えている若い世代の声です。この需要にどう応えていくのか問われています。副業の現状は、規模が小さく不安定である事から、融資や補助金などの支援が受けられない場合があることや、副業すら認めてもらえない事業体もあります。県として「地域計画」を改善していく意味からも、安芸市などの様に農業を副業として、認める取り組みを、県もどう進めていくのか、農業振興部長にお聞きをいたしまして、第一問といたします。
○農業振興部長 最後に、農業を副業として認めていく取り組みをどう進めていくのかお尋ねがございました。
若い世代など多くの方に副業として農業に関わっていただくことは、短期的には農繁期の労働力の確保に繋がること、さらには農業に対する関心や理解が深まることで、将来的には地域農業の担い手につながっていくことが期待されます。
お話にありました安芸市では本年5月に農業など市の産業として広く認知されたものに限り、副業を認め、市が農家のニーズを集めて副業を希望する職員に情報提供し、ユズの収穫などの農作業に充実する取り組みが行われております。
県では、本年10月30日から「営利企業への従事等の制限」の運用を変更しえ、例えば農業分野では相続に伴うやむを得ないものに限定していたところ、新たに営農を開始することや収穫のアルバイトなどが可能となりました。
副業として農業に携わる取り組みを含め広めていくためには、受け入れ側の農家の体制づくりやニーズの洗い出し、求人情報の集め方や周知の方法、農家とのマッチングなどが課題となります。
このため、JA等の関係機関と連携しながらこれらの課題を整理し、まずは県の職員への情報提供を行い、農作業への従事を呼びかけていきたいと考えています。その上で県や先行する市町村での取り組み、事例をお示ししながら、市町村や企業にも働きかけを行い、副業による農業への従事を広げていきたいと考えております。
【第2問】
●はた議員 ご答弁ありがとうございました。
2問をさせていただきたいと思います。
まず、知事にお聞きをいたします。高知ぢばさんセンターの大ホール機能を集約化することについて、管理をしている側の皆さんからですね、集約が困難とする意見書が届けられたということをお伝えをしましたけれども、それに対しては、説明をしたので意思疎通ができたという答弁でした。
けれども、集約化は困難とする、あの管理者のですね、主体性というものをやっぱり尊重するというのが県政のあり方の1つではないかと思うんです。どの施設、いろんな業種にわたって施設運営があると思うんですけれども、管理している主体がですね、難しいと言っていることをあの意思疎通ができたとして、進めるというのは、私はちょっといかがなものかと思います。その点で知事には、管理する側の主体性、これについてどう考えるのかお聞きをしたいと思います。
次に、総務部長に第2問をしたいと思います。長時間労働で苦しんでいる官民労働者の実態を報告させていただきました。その中で、特に、警察の現場、医師面接というのは過労死ラインに相当するということで、医師との面談があるわけですけれども130人、教育委員会で57人、知事部局で90名、これは本当に、私は危機として捉えるべきだと思っております。そういう意味で、デジタル化含めての業務の簡素化というのは努力をされてきたと評価はしているんですけれども、現場の実態として人手不足、配置ができなく困っている、そういったところがやっぱりあると答弁で分かりました。そういう意味では、今回短時間勤務職員を知事部局だけ予算がつけられてるんですけれども、実態に合わせて教育委員会、また警察本部もですね、この長時間労働を改善するための人員含めた予算、こういったものを広げていくということが必要ではないかと思います。これは、短時間勤務の今後の採用について総務部長に伺いましたので、必要に応じて知事部局については増員は検討するということでしたけど、あの知事部局にとどまらず、あの予算を広げて拡充していくっていうことを、総務部長に聞いても駄目なのかな、知事でしょうか、答えられる方、答えていただきたい。言ったら、この短時間勤務職員同等の人的支援、これを知事部局だけではなく、県全体の職員の改革をすると銘打ってますので、教育委員会及び県警に対しても必要な人員体制を調査した上で、予算をつけていくそういうことを検討できないかというのをお聞きをします。
それと、総務部長にもう1点、土木職員が足りていないと、国が交付税措置をした計画数が4人に対して1人しかいない。もうこれは、本当に、市町村にとったら衝撃的な数字なんですけれども、もっと細かく資料を見ますと34市町村のうちに土木職員が5人以下の自治体は13で、土木職員が1人もいない、0という自治体が三原村。このような状況で本当に災害に強い街を作れるのかという意味では、やっぱり市町村の職員を支援していく交付税措置もある、この人員体制を県が責任持って拡大していく、支援をしていくということが必要だと思いますので、この点についてはもっと改革ができるんじゃないかと思いますので、具体的な答弁をお願いいたします。共同採用の検討もするということでしたけれど、いつからするのかも含めて、もうちょっと詳しくこの辺をお聞かせください。
あと、農業についてです。高知市の農業委員会が取りまとめた高知市の意見書に対してですね、知らないというふうに回答があったわけですけれども、この県に対する要望を知らなくていい、問題としない、こういうような姿勢がなぜ現場で生まれたのか、組織としてこういう考え方が生まれないようにするにはどうするのか、まず、その点を2問といたします。
○県知事 ぢばさんセンターの問題に関しまして、再質問にお答えいたします。
まず事実関係に関して申しますと、ぢばさんセンターの大ホールと申しますのは、施設として所有しておりますのは、産業振興センターということでございまして、今管理をしているというお話ありましたが、管理をしているわけではなくてですね、商工会議所なり、工業会は。そのぢばさんセンターの役員といいますか、理事とか評議員を出していただいて、実質運営に関して協力をいただいているのは事実でありますけども、今回は管理をお願いしているという立場ということではなく、その利用者としてのですね、お立場でご意見をいただいたというふうに、私は理解をしております。
そして、その中身に関して、困難だというようなお話ございましたが、申し入れ書そのものには困難という言葉は、私は入ってないと思っておりまして、内容的には例えば駐車場がですね、じばさんセンターなら500台あるところが、今の県民体育館だと80台こんなことで大丈夫なのか、とかですね。あるいは搬入口の施設が十分なものができるのか、だから、代替可能かといった時にですね、そこの点が懸念があるんではないかと、そういう意味でそういうところがクリアできないと代替可能性について難しい面があるんではないかというご意見をいただいたというふうに理解しておりますので、その点については先ほども申しましたように、駐車場については地下に増設をするという方法も含めて、必要な台数は確保していく。また、設計上、搬入などについてもですね、スムーズにできるように考えていきます。ということ、ご説明をする中で、説明をさせていただきまして、ただいずれにしてもまだそれは水面下でと言いますか、ご報告ということでありますから、公式には商工会議所も工業会の方々もこの検討会のメンバー入っていただいておりますので、年明けの検討会の中でご報告をさせていただいて、この検討会のメンバーのお一人としてご意見は言っていただいて、検討会としてどういうご意見かということを、総意をまとめていただくということではないかと思っております。
○総務部長 はい。まず、短時間勤務職員のことについてでございます。ご質問いただきましたあの教育委員会とそれから警察本部の方について、私は責任を持ってお答えする立場にはございませんので、制度の話としてさせていただきます。
まず前提としてですね、予算で何か上限があるという状態ではございませんので、知事部局しか予算がないというお話ありましたけれども、別に予算がないからできないというような、そういう状態ではないというのは、あらかじめ申し上げておきたいと思います。
で、短時間勤務職員につきましては、他の一般のと言いますか、フルタイムの皆さんと比べるとですね、その勤務時間が違うので、この新しい制度が始まれば、それらの方々とその短時間勤務の方々が、同じ職場にいることになりますので、しかし、その運用面では、工夫がいるところもございます。なので、用意ドンでですね、増えれば増えるほどいいのかと言うと、そこはちゃんと実態、現場が回るように気をつけていかなきゃいけないという側面があると思っています。
今回、知事部局5名ということでしてますけれども、これは今後どうなっていくのかは、まだ正直分かりません。未知数のとこがありますので、ただ今後仮に広げていくにしてもですね。そこは現場がしっかり回っていくということを確認しながら、結果として、職員の皆さんが働きやすいような、そういう職場ができていくようにあの進めていきたいと思っております。そういう観点で、教育委員会も警察の方も、考えていくのではないかなというふうには思います。
それから2つ目、土木職員のお話をいただきましたけれども、これも予算の関係でということは全くございませんで、我々も取れるようなら取りたいという気持ちでやっております。で、具体的なお話をということでありましたけれども、市町村の共同採用の話はですね、私、年度当初からできないかという話は、担当課に指示して、考えてもらってですね、市町村ともやり取りしておりますけれども、なかなかこの実態はそう簡単ではないと感じています。まず、先行している他の都道府県もですね、やってはいるものの、なかなか手が上がってきていないという状況もあるようです。それから市町村からしてもですね、例えば、小さい団体からすると大きい団体と一緒にこういうことをするとですね、むしろそっちに取られちゃうんじゃないかというような心配もあるようですので、ここは市町村のニーズというのをしっかりお聞きした上でですね、県としては何とか、市町村のお助けをできないかという観点から、検討してまいりたいというふうに思います。
○農業振興部長 今回のお話につきましては、高知市の農業委員会から高知市長宛に提出をされた要望書ということで、そこから県の方に正式な要望として上がってきていないというお話をさせていただいたところだと思っております。
ただ、あの先ほど答弁も申し上げましたように、県の取り組みに対して、貴重なご意見ご要望でございますので、今後しっかり市町村の皆さんともお話をして、こういった要望も我々把握できるように努めていきたいと考えております。
●はた議員 2問への答弁ありがとうございました。
知事に再度お聞きをしたいんですが、集約厳しいという言うてないと言うんですが、文章を読みましたら、現位置での存続、現位置で存続したいと、ぢばさんセンターの利用者たちは言ってるわけです。この主体性を尊重するというのが、知事の姿勢ではないかと、尊重できないかと知事としての尊重、自主性をですね、それを尊重するかしないか、お答えをいただきたいと思います。
それと、最後に知事に要望したいんですけれども、教育委員会の新たな人員確保策というのはほぼ出されなかった現状維持で行くしかないと、県警本部も試験の取り組みはするけど、できないということですので、しっかり予算をつけていただきたい。そのことを要望しまして、全て終わります。
○県知事 再度のご意見、ご質問でございますけれども、存続のご要望というのも、前提がこの駐車場の問題とかですね、搬入口の問題がクリアされないのであれば、新しい県民体育館のアリーナではですね、今のホールの代替ができない、だとすれば、今のホールを存続をしてもらいたいと、県・市でお金も出してもらいたいというようなご要望だったと思いますので、そうした意味で、片方で私どもとしては集約ということも考えていかないといけないという課題ございますから、そうした中での判断を今後していくということでありますが、この文脈の中での前提となるところの課題の解決については、我々としては、こういう方針を持っていますということで、ご返事をしたということでありまして、すべてのことでご要望をそのままでしなければいけないということではないと思いますので、我々としては、我々の考え方をしっかり説明をしていくというのが先決ではないかと思っております。