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- 2025年12月22日
- 議会(質問・討論)
- 2025年12月議会 細木良議員による委員長報告への反対討論/フレックスタイム・給特法条例に反対、教育請願賛成(2025.12.19)
●細木議員 私は、日本共産党を代表し、議案第17号「職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案」、議案第22号「公立学校職員の給与に関する条例及び公立学校の教育職員の給与その他の勤務条件の特別措置に関する条例の一部を改正する条例議案」に反対、請第1-1号と請第1-2号「すべての子どもにゆきとどいた教育をすすめるための請願について」、請第2-1号と請第2-2号「教育予算を増額し、すべての子どもたちにゆきとどいた教育を求める私学助成の請願について」は、不採択とした委員長報告に反対をし、それぞれの請願に賛成の立場で討論を行います。
議案第17号「職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案」は、いわゆるフレックスタイム制を県職員、教職員に導入するものです。反対の理由は、労働基準法にもとづき公務員に定められた「1日7時間45分、週38時間45分」という所定内労働時間が形骸化されるためです。県職員の超過勤務の状態は横ばいであり、教職員は後段述べますが、給特法のもと勤務時間外労働の把握があいまいで「定額働かせ放題制度」が実質継続する中、県職員、教職員ともさらに勤務状況を悪化させる懸念があります。
「部署内で休日や休暇時間の希望が重複した場合対応が困難」、「学校現場ではそもそもフレックスタイム制は馴染まず、週休3日など設定できるのか」、などの声があがっています。
今求められているのは、こうした仕組みを取り入れることではなく、ゆとりのある職員配置を行った上で、家族介護や子育てなどのため有給など休暇が取りやすい現場にすること、長時間勤務を改善することです。
議案第22号「公立学校職員の給与に関する条例及び公立学校の教育職員の給与その他の勤務条件の特別措置に関する条例の一部を改正する条例議案」いわゆる「給特法」に関する条例改定案は、今年6月の通常国会で、21もの附帯決議とともに採択された教育職員の給与などに関する一連の法改正に基づき提案されたものです。
教員の長時間労働は平均で一日11時間半に及び、土日も働いています。この異常な長時間労働は、教員の心身を壊し、授業準備や子どもと向き合う時間を奪い、ついには教員の成り手がみつからない「教員不足」を全国で引き起こすに至っています。そのために「定額働かせ放題」と言われる労働条件の改善として緊急であり、子どもの教育条件としてきわめて切実な、国民的課題です。こうした事態に政府も「給特法の枠組みを見直す」と言っていたにもかかわらず、改定された中味は、4%の調整額を段階的に10%まで引きあげるというわずかな改善と引き換えに「残業代ゼロ制度」「定額働かせ放題制度」を続行させるものでした。
残業代制度は、残業に割高な賃金支給を義務付けることで、使用者のコスト意識に訴えて長時間労働にブレーキをかけようという、世界共通のルールです。ところが学校のなかでも公立学校だけ、給特法(公立学校教員給与特別措置法 1971年)によって、このブレーキが外されています。残業代がないため残業時間も計られず、行政はコスト意識ゼロで次々と仕事を増やし、〝定額働かせ放題〟の状態がもたらされました。裁判所も「給特法は教育現場の実情に適合していない」(田中まさお訴訟、さいたま地裁判決、2021年)と指摘するなど、給特法の矛盾は極点に達しています。条例改定案には、こうした根本的な問題点があります。
そもそも4%加算が導入された当時の残業時間は現在の十数分の一でした。教員の受け持ち授業は「1日4コマ」(小学校の場合)とされ、それに見合う教員の基礎定数が配置されていました。しかし今は1日5コマ、6コマが当たり前となっています。これでは授業準備などは退勤時間以降に行わざるを得ず、長時間の残業が必至です。しかも、「道徳の教科化」「小学校英語」など新たな業務が次々増やされました。国の「教職員勤務実態調査」、どんな業務に何分使っているかの調査でも「教師にしかできない業務」の合計、小学校・1日9時間20分、加えて「持ち帰り残業」37分、で計9時間57分。中学校でも9時間59分となっており、「1日4コマ」にもとづく教員定数の大幅改善、詰め込みすぎのカリキュラムの精選、改善こそ求められています。さらに、現業職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどを定数化して多様な教職員が学校を支えるようにすることなど、OECD諸国の中で、GDP比で最低レベルの教育予算を抜本的に増やすことは、国民、県民の切実な願いです。
手当の改訂では、特別支援教育に従事する教員への3.0%程度の定額加算を廃止する一方で、新設される学級担任手当は対象外とすることは特別支援教育を軽視・差別的な対応となっており、認められません。また、新たに導入される「主務教諭」は、教員間に階層と分断を生み、授業負担の軽減も無く、業務を増やすだけであり容認できません。
教育に関する請願、請第1-1号・2号は4263人、請第2-1・2号は10570人もの請願者が名を連ね、県議会に提出されています。
県に対する請願項目は、学校現場の働き方の改善、複雑化している教育課題に向き合うためすべての学年を30人以下学級にすること、特別支援学級の編成標準を引き下げること、国に対し給食無償化を求めること、授業料以外にも重い負担となっている様々な保護者負担を県独自で軽減すること、休んだ教職員の代替をすぐに配置することなど緊急かつ重要な請願の内容となっています。
知事部局に対する私学助成については、公立と比較して私立校では、すし詰め状態のクラスが県内には多く「少人数学級の実施」が可能となるよう経常費助成補助の増額、全国的には半数以上の都・県で行われている入学金助成制度の創設など求めています。
現在、来年度予算編成が大詰めを迎えていますが、自民・維新・公明が来年4月から実施予定の公立小学校の給食と高校授業料の無償化をめぐり唐突に地方負担を求めたこと(※その後、自民、日本維新の会、公明の3党は12月18日、給食費無償化に際し、月額5200円の国負担を合意)に対し、全国知事会は今月12日「いわゆる教育の無償化に関する意見」を発表、「教育の無償化は、政党間の合意に基づくものであり、本来であれば国の責任において全額国庫補助金等で実施するものであるにも関わらず、 唐突に地方負担が示されたことは極めて乱暴で、憤りを禁じ得ない。」と不快感をあらわにしました。
その上で、都道府県に対する確実な財源措置を条件に、建設的な協議に応じる前提として、給食費支援の基準額について、給食の質を確保するとともに、地産地消や食育などの取組を実施している市町村等の地域の実情があることや、物価上昇の状況等を十分に踏まえた水準とし、今後とも食材費の実態調査を行い、それと併せて毎年基準額を変更・設定すること。中学校の給食費の負担軽減も、早期の実現に向けて検討を進めること。高校授業料、給食費とともに、今回の措置を契機とする保護者や学校・地方自治体の負担増大につながらない仕組みとし、関連事務に係る財政措置も盛り込むことなども求めています。
地方議会としてもこうした約束を反故にするような国の動きに抗議するとともに、県としてもよりよい教育環境を実現するよう求める県内の児童・生徒、保護者、教職員の切実な声に応えるべきで、本請願を不採択とすべきものではありません。
以上もって、議案第17号および第22号の反対討論、教育関連の請願についての賛成討論といたします。同僚議員の賛同を心よりお願い申し上げます。