議会報告

  • 2025年12月22日
    2025年12月議会 はた愛議員の「皇室の伝統に基づく安定的皇位継承の国会論議促進を求める意見書案」反対討論(2025.12.19)

●はた議員 日本共産党を代表し、議発第6号、「皇室の伝統に基づく安定的皇位継承の国会論議促進を求める意見書案」に反対の立場で討論を行います。

私は、日本国憲法から見ても、女性天皇は認められるべきと考えます。

天皇制にあたっては、日本国憲法・第1条で「天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意にもとづく」と、位置づけされており、当然、この憲法に従って考える必要があります。

日本共産党は、「一人の個人が国を象徴する制度は、人間の平等と両立しない」と考えていますが、それを社会におしつけることはしませんし、憲法第1条にある天皇の地位についても、天皇制を続けるか、なくすか、また、国会の議決で改正ができる皇室典範においても、あくまでも憲法と国民の総意にもとづく事を求める立場をとっています。

今回の意見書の主旨である、天皇を男系男子にかぎることは、そもそも男女平等を定めた憲法とは、相いれないと考えます。国民の象徴であるならば、男性に限定するのは憲法解釈からも不合理です。 

例えば、憲法第2条に規定される天皇制の「世襲」の解釈についても、政府の見解及び多数の学説においては、男系・女系の両方が含まれるとされています。さらに、多くの学者は、憲法が「男系」と明記していない以上、法的には女系・女性天皇を認める余地があると解釈し、指摘しています。

政府の見解も同じであり、平成13年には、福田康夫・官房長官が「憲法第2条の世襲には男系及び女系の両方の系統を含むものと考える」と政府の見解を述べていますが、一方で、 歴史的伝統を重視し、皇室典範の男系男子の継承を主張する、少数派も存在しています。

しかし、憲法から委託された皇室典範である以上、憲法の解釈が優先し尊重されるべきと考えます。つまり、皇室典範において男系を認めるならば、女系、女性天皇も認める方向こそ、憲法尊重の姿ではないでしょうか。

国民の世論の状況について、読売新聞社が9月~10月に実施した「皇室に関する全国世論調査」では、天皇の皇位継承などを定めている皇室典範を改正して、女性の天皇を認めることに、「賛成」と答えた人は69%に上り、「反対」はわずか7%にとどまっています。

日本国民の総意にもとづく観点からも、女性天皇に道をひらく時ではないでしょうか。

 

歴史的伝統を主張し、天皇を「男系男子」とする考えや皇室典範ができた背景には、明治政府が権力の正統性を担保するため、神話の部分も含めて、制度化されたものですが、その神話でさえ、始まりは女性が最高神となっていることに、日本の特徴があると専門家も指摘しています。

また、考古学の調査では、日本には、古来女性天皇を生み出すシステムが存在していたことが証明されています。解説では、当時の社会が「父方と母方のどちらに属するかは、流動的な双系的親族結合」を基本とする社会であったことから、群臣(ぐんしん)の推挙によって選ばれた王については、男女は同等に扱われていたことなどが、平城宮・長岡宮・平安宮の発掘調査からも明らかになっています。

また、歴史学では、父系(ふけい)・夫方居住婚の規範が確立していた中国の記録による伝承を受けて、当時の倭(やまと)の王権のありようを解釈した結果、推古や持統の女性天皇は、あくまで男系天皇に引き継ぐ、ピンチヒッターと誤って解釈されたと、指摘されています。

つまり、考古学や歴史学の新たな見地からみれば「歴史伝統=男系男子」という古い通説は学問上も覆されています。

日本国憲法や日本の真の歴史と伝統にのっとり、国民多数の声を尊重するならば、「女性天皇を認める」ことこそ、本来の在り方だと、指摘したいと思います。

こうした点から憲法にもとづき、象徴である天皇制を「男系男子」にこだわり、その環境整備を求める意見書には、道理も根拠もなく反対するものです。

 

県議会の見識が問われており、各議員には議発第6号に、反対していただくことを求めまして討論といたします