議会報告

●岡本議員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました第1号議案「令和8年度高知県一般会計予算」並びに第20号、50号、54号、55号議案に反対の立場から討論を行います。

 私たち日本共産党は、来年度予算への対応として、具体的な中身は元より、予算に反映されていない県民の願い、また知事の政治姿勢による県政の方向性など、その総合的な評価に基づき判断をしています。来年度予算は、県民と現場の声に応えるボトムアップの施策として、耐震診断の2000年基準への拡大、体育館への空調設置、社会福祉施設の省エネ化への支援、高校生の通学費支援、また、賃上げ原資への補助などが盛り込まれ、これ等については高く評価できるものです。

しかし、今回反対する理由の第一として、知事の政治姿勢において強まるトップダウンと国の方針への追随が、看過できない点です。今年度、知事の意向で新設された特別職参与について、来年度も任期を更新するとしています。参与の政治的中立性の問題や勤務状況の不透明さが指摘され、何よりトップダウンによる意思決定の強化は、県民の声を施策に反映すべき県行政のボトムアップ機能を著しく阻害するもので容認できません。

また、県一消防に向け、任意協議会への参加を要件とし、人口減少対策総合交付金を「重点配分」する手法は、市町村と県の信頼関係を壊し自由闊達な議論を抑制するもので、強権的です。また、県民体育館の建替えを巡っても、県が「稼げる施設に」と、トップダウンで計画案を二転三転させ、県民を置き去りに議論を進めている事は、今後30年を見据えたときに大きな禍根を残すものです。この「稼ぐ」という発想は、スポーツの成長産業化や国立博物館・美術館に「自力で稼ぐ」ことを求める国の方針の持ち込みです。

平和の問題を巡る知事の政治姿勢も重大です。知事は今議会アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃に対する答弁で「事後的に国連憲章違反、ジュネーブ条約違反と糾弾をしても亡くなった方々は帰ってこない」と国際法秩序を否定し、安全保障の「必要な見直し」として憲法9条の改正や非核三原則を例示しつつ、「自国のことは自国で守る…事前の備え」が必要との認識を示しました。現在、GDP2%への軍事費増を前倒しで進める国の方針に迎合するものです。軍事費増ではなく、ケア労働者や不足する教員への予算を国に求める県政でこそ、県民の暮らしを守ることができます。また、米軍への補給任務の拠点としても活用が想定される特定利用港湾は攻撃目標となりかねず、国際法秩序が守られることは、県民の命と安全に直結する問題です。

反対理由の第二は、産業政策です。来年度予算で、「高付加価値化経済」への転換がうたわれています。高付加価値化で中間層の事業者を引上げることも必要です。しかし、高付加価値化だけでは、地域経済の苦境を打開できません。昨年、高知県内の休廃業・解散は364件(帝国データバンク)と四国で最多で、コロナ融資の返済に加え、物価高騰の中、原材料費、人件費などのコストを価格転嫁できていません。イラン攻撃でさらなる高騰も懸念されます。高付加価値化を進めれば、一般にモノ・サービスはより高価格になります。価格転嫁自体が難しい中で、高価格にできる事業者は限られます。

休廃業の増加で、例えば、地域に商店がなくなり買い物が困難となるなど生活基盤が失われている事が人口減の一因です。賃上げ補助は重要な施策ですが、その要件に、高付加価値化を求める事は、活用できる事業者は限られます。高付加価値だけではない、地域経済の維持という視点で、施策展開が図られるべきです。

反対理由の第三は、人口減少対策におけるジェンダー平等の視点が弱い点です。この間、「官製婚活」について、女性の自己決定を尊重するリプロダクティブ・ヘルス/ライツの観点から批判が広がっています。知事が提案理由で転出超過数の男女比の縮小に触れ「今後の出生数の増加につながることが期待される」としたことは、女性の自己決定権を尊重しておらず、この姿勢の抜本的転換を求めます。

民間会社の調査で「子ども望まない未婚女性64%で過去最多」と報道されました。「キャリア形成の難しさが障壁」となり「個人の努力だけでは仕事との両立は難しい」と女性が考えざるを得ない問題が指摘されています。国連人口基金は、出生率が低い国について「職場や家庭でのジェンダー不平等、共働き家庭への構造的な支援の欠如」という要因を指摘しています。県行政に求められるのは、婚活よりも、このジェンダー不平等の構造を転換させるいっそうの取り組み強化です。

反対理由の第四は、教育行政です。「学力テスト」に偏重した学力対策が、学校現場の多忙化を招き、子どもたちへ息苦しさを押しつけ、不登校増加等の要因となっています。また、教育のICT利用は、学習効果の面からも世界の中でも政策転換が相次いでおり、国際的な到達点に学ぶことが必要です。教員未配置の問題は、依然として深刻で抜本的対策が求められます。

反対理由の第五として、デジタル化の無批判な推進です。デジタル化は必要です。しかし、この間、自治体システムの標準化のコスト削減効果が疑問視されており、また、マイナ保険証などマイナカードの不具合も依然として報告される中で、批判的な視点を持つことが必要です。

反対理由の第六として、全国最低水準の子ども医療費助成です。子どもの健康と成長に県として責任を持ち、前進させる事を求めます。議案第20号は、ウォーターPPPにより、災害対応や職員の技術継承に問題が生じる懸念があり反対です。また、第50号は、長引く物価高騰とイラン攻撃によるさらなる影響が予測される現時点での議員報酬引上げには反対します。第54及び55号については、県民に新たな保険料負担を課すもので賛成できません。

 人口減少が進む中、住み続けられる高知県を維持するため、ナショナルミニマムを保障する県行政の役割が強く求められます。また、政府追随ではなく、平和を発信する高知県政でこそ県民の命と安全を守ることが出来ます。以上、同僚議員各位の賛同を求めまして、反対討論とさせていただきます。