議会報告

日本共産党の岡田芳秀でございます。私は会派を代表して、議発第9号「衆議院議員定数の維持を求める意見書」(案)に賛成の立場で討論いたします。

今開かれている国会に政府与党が共同で(6月24日)、衆議院議員の選挙制度改革及び定数削減に関する法律案を提出しています。同法案は、与野党でつくる協議会で選挙制度改革と定数削減を検討し、法施行から1年以内に結論が出ない場合、比例代表を自動的に45人削減し、現行の176人から131人とするものです。

昨年12月(5日)に政府与党が共同提出した法案は、小選挙区25、比例代表20の45議席削減案でしたが、今回の法案では、比例代表のみ45人削減となっています。

先日(6月29日)、衆議院の政治改革に関する特別委員会で法案提出者の趣旨説明があり、審議がされています(30日)が、与党委員だけの出席という異常な議事運営でした。選挙制度や議員定数をどうするかは、議会制民主主義の根幹をなすものであり、あくまで全政党会派で慎重に協議すべきです。委員長の職権で強権的に議事を進めることは厳に慎むべきだと思います。

与党は、今国会では皇室典範改正案の審議を優先させるため、定数削減法案成立の見送りを確認したとのことですが、この先、同法案は、継続審議ではなくキッパリと廃案にすることを強く求めるものです。

この意見書案に賛成する理由は、第一に、衆議院の現行議員定数465人が、諸外国と比べて多い訳ではないからです。とりわけ欧州諸国との比較では、人口当たりの国会議員数はむしろ少ないのが現状です。例えば、イギリスは、人口約6,960万人で、下院(庶民院)の議員定数は650人です。日本の人口(2026年6月現在の推計、1億2285万人)に換算すると、議員定数は約1,148人となります。ドイツは、人口約8,410万人で、下院に相当する連邦議会の議員定数は630人です。日本の人口に換算すると、議員定数は約920人となります。フランスは、人口約6,700万人で、下院に相当する国民会議の議員定数は577です。日本の人口に換算すると、議員定数は約1,059人となります。以上のように、どの国も人口比で、日本と比較して2倍かそれ以上の国会議員を有しており、「日本の国会議員は少なすぎる」のが現状です。

衆議院の議員定数削減の理由に、日本の人口減少が進んでいることがあげられていますが、諸外国と比べて人口比でこれだけの議員定数の差があるわけで、人口減少は衆議院の議員定数削減の理由になりません。むしろ、議員定数削減により、国民の声が国会に届きにくくなってしまうという弊害が大きくなります。

第二に、現在の衆議院の総定数465人という数は戦後最小であり(1946年466人、1986年512人。戦後は15.5万人に1人。現在もこの基準によると790人程度となる)、これ以上削減する理由はないからです。2016年1月の「衆議院選挙制度に関する調査答申」も、「現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」と断じています。

さらに、日本は議院内閣制で首相、閣僚、副大臣、大臣政務官など約70名の国会議員が政府入りしており、これ以上、国会議員を削減することは、国会による行政監視機能の維持にも悪影響を与えかねません。

第三に、比例のみ削減は、少数政党が議席を獲得する機会を減少させ、大政党に有利になるからです。多様な民意が切り捨てられることにつながると同時に、地域間格差が広がります。

衆議院の比例代表は、小選挙区では反映されにくい少数派の意見や多様な政党が議席を得るための重要な制度であり、多様な民意や少数意見を国政に反映させるために不可欠です。小選挙区に比重を置く選挙制度は大政党に有利であり、他方で、いわゆる「死票」も多くなります。

多様な民意という点では、比例のみ削減はジェンダー平等に逆行します。共同通信社が2月の衆院選結果を基に、比例代表を45議席減らした場合の男女比率を試算しています。それによると、男性議員より女性議員の減少する割合が高いことが分かったといいます(7月3日)。議席減少率は男性議員23%に対し、女性議員35%だった。現職が優先されがちな小選挙区に比べ、比例は女性を含む新人候補が擁立されるケースが多いのが要因です。このように比例に限定した削減は政治分野のジェンダー平等を目指す流れに逆行する側面があります。

また、地域間格差が広がります。比例代表45人削減を2020年国勢調査の人口に基づき配分した場合、本県を含む四国比例区は現行の6から4へ2人減となり、減少率は33%となります。一方、定数最多の南関東比例区は23から17への6人減、減少率は26%です。このように地域間格差が広がることから、四国の声が国会に届きにくくなります。

最後になりますが、比例代表制度は、少数意見を含む多様な民意を反映する制度であり、比例削減で切られるのは国民の声、国民の暮らしです。少数意見を含む多様な民意が国会に反映されてこそ、健全な議論を行うことができます。

定数の問題は、主権者である国民の意見をどう反映するかを、選挙制度全体で考えるべきです。そのために、衆院議長のもとに設置された衆議院選挙制度協議会があります。今開かれている国会での同協議会の5月に行われた参考人質疑では、政治学者から「(議員定数削減は)国民の意見を伝える経路が減ってしまう」との声があり、自治体首長からも「定数削減は地方切り捨てにつながる。これはあってはならない」など定数削減に反対する意見が多くを占めました。衆議院の定数削減は、国政に国民の声を届けるパイプを細くするものに他なりません。国会議員の数が少ない四国にとって、このパイプが細くなることは全く以て容認できません。

以上の理由から、比例代表を含め衆議院議員定数を維持するよう強く求め、議発第9号「衆議院議員定数の維持を求める意見書」(案)への賛成討論といたします。同僚議員の皆様のご賛同をよろしくお願いいたします。

衆議院議員定数の維持を求める意見書案