議会報告

  • 2026年07月14日
    2026年6月議会 岡本和也議員のすべてのケアラーに対する包括的な支援と法的枠組みの整備を求める意見書(案)反対討論(2026.07.10)

私は日本共産党を代表いたしまして、議発第10号「すべてのケアラーに対する包括的な支援と法的枠組みの整備を求める意見書」案に反対の立場で討論を行います。

私たち、日本共産党は、ケアラー支援を進めることは大変重要な課題だと考えており、本意見書のケアラー支援の充実そのものに反対するものではありません。

家族などの身近な人に対して、日常生活への援助や介護などを行うケアラーが、社会全般に広範に広がっており、対策が急務であることは論をまちません。ヤングケアラーの状況にある子どもは、小学6年生で6.5%(約15人に1人)、中学2年生で5.7%(約17人に1人)、全日制高校2年生で4.1%(約24人に1人)と深刻な実態です。また、仕事をしながら家族の介護等をするワーキングケアラーは2030年には300万人を超えると言われており、年間10万人近くの方が、介護等を理由に離職をされています。また不登校の子どものケアのため保護者が離職する不登校離職など、問題はさらに広がり続けています。

私たちは、この様なケアの重要な役割を認め、特に公的責任による分厚いケア社会をつくることが、人がその人らしく生き、1人ひとりの才能や個性が発揮でき、結果として活気ある社会をつくることにつながると考えています。

そこで、私たち日本共産党が本意見書案に反対する理由を申し上げます。それは、具体的な要望事項が「対処療法」的であり、なぜケアラーが生まれてきたのか根本原因の解決に結びついていないからです。特に公的責任である社会保障を後退させてきた国政の構造そのものを変える視点がなければ、ケアの責任を一義的に家庭等に固定化し、現在でも深刻な実態にあるケアラーの皆さんにさらなるケアの役割を担わせる懸念があるためです。又、本意見書案で挙げられている「経済財政運営と改革の基本方針2025」では、ケアラー支援の必要性が取り上げられていますが、その具体策としてはNPO等民間団体との連携、つまり共助が強調されています。この間の、国の社会保障いわゆる公的責任の切り下げへの言及はありません。

今年度の「骨太の方針」に向けた財政制度等審議会の建議では、暮らしの安心を支える重要な柱である社会保障政策で、負担増ばかりが提起されています。

具体的に、医療では、▽70歳以上の人の窓口負担を可及的速やかに原則3割に▽70歳以上の外来受診負担に上限を設ける「外来特例」の廃止▽医療機関の窓口業務費用の全額患者負担化▽小規模な病院の集約・再編などを求めています。介護では、政府は、24年度、4割近い事業所が赤字経営のもと訪問介護の基本報酬を下げたことで事業所の倒産・廃業を招き介護基盤を崩壊させています。今国会では、高齢者人口が減少する中山間地域などを「特定地域」と定め、介護保険サービスの人員配置基準を緩和し、「特定地域」の在宅サービスを介護保険給付から外しました。この「特定地域」を有する自治体は、全自治体の半数にも及ぶことを厚労省も認めており、国会の参考人審議では「一律サービスを提供するという介護保険法に違反しているのではないか」との指摘がでています。広い中山間地域を抱える高知県でも、見過ごせない改悪です。

この様なケアを軽視する政治こそが、社会全体に広範なケアラーを生み出す元凶となっています。この根本問題への視点がないまま、自助・共助でケアを求めることは、自己犠牲・自己責任を強化し、ケアラーの実態をさらに深刻化する危険があります。

社会保障費の多くは人件費であり、地域で循環するお金です。高知県も、医療・介護・福祉分野は最大の経済分野であり雇用の場となっています。住み続けられる高知県を築くうえで、国の公的責任によるケア労働者の配置基準の充実、賃金の確保などが求められています。これ等を実現する為の財源は、資本金10億円以上の大企業や超富裕層への適切な課税で確保できます。アベノミクスが始まる直前の2012年からの12年間で、大企業の当期純利益は3.5倍、株主配当は2.8倍です。これら大企業への課税で社会保障を充実させることは、今、家庭に自己責任で押しつけられているケアの役割を、企業も含め社会全体で公平に分配することにつながります。

そんな社会であってこそ、家族のケアを抱え込むケアラーが、相談もしやすくヘルプも出しやすい、公的な制度にもつながりやすい社会になると確信をいたします。

ケアラーの皆さんを真に支援する意味でも、ケアを重視する政治への転換こそが急務で有る事を申し上げ同僚議員各位の賛同をお願いし、反対討論といたします。